香港大手商社リー&フォンの労働者、公正な処遇を要求

世界中のビジネスに影響を与えてきたCOVID-19パンデミックだが、最も深刻な影響が雇用及び労使関係に及んでいる。多くの人々が「新たな日常」がやってくると言っているが、古いしきたりや習慣はそう簡単にはなくならない。会社が危機の際に労働者を祖末に扱うやり方もそうだ。100年以上の歴史をもつ香港のリー&フォンは、残念な事例の1つとなってしまった。

リー&フォングループのスペンサー・フォン最高経営責任者は最近、10億米ドルを投じて発行済株式を自社株買いし、上場廃止した。同時に同社は、世界の従業員の10%を解雇すると発表した。解雇対象の大部分は香港や中国の従業員であり、1,000人に影響が及ぶ。

この解雇のし方は、極めて非人道的で陰湿だ。リー&フォンの従業員らから相談を受けた香港のチュン・ライハ流通・商業・繊維・一般労組(RCCIGU)書記長は、労働者の多くが3〜35年同社に勤務していたという。非人道的とされるのは、1ヶ月前という直前の解雇通知と、長年勤続した従業員に公正な補償が支払われないことだ。

RCCIGUは会社との対話を試みたが無視された。最後の手段として、組合と解雇された労働者はストライキに入った。6月19日にはリー&フォンタワー前で街宣活動を行い、スタッフ署名キャンペーンにより集められた従業員390人分の請願署名を、同社のアンナ・テハン広報担当副社長に渡すことができた。

労働者たちの要求は公正なものだ。会社は自らの経営指針を忠実に実行し、最低でも3か月分の退職金を払うべきである。雇用契約上の義務として、2019年の賞与及び「5年勤続」手当を該当する従業員に支払うべきである。また、対話の要求を無視せず、解雇対象となった従業員とは速やかに連絡を取るべきである。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、RCCIGUと影響を受けたリー&フォン労働者に連帯の意を表明し、次のように述べた。「112年もの輝かしい伝統を持つ会社が、従業員に対してこのような対応を取っているとは残念だ。労働者の多くは何年も、或いは何十年も会社のために尽くしてきた。何ら協議や補償もなく、このような直前の通知で解雇されるのは、労働者にとって非常に不当だ。特にこのパンデミック危機の今、労働者の声に耳を傾けなくてはならない。」