欧州の郵便労組、必要不可欠な労働者に必要不可欠な権利を要求

パンデミックの間、郵便事業は一般の人々にとってその重要性と価値を証明した。欧州全域で国の状況は異なっていたが、郵便労働者の献身的な働きがあったからこそ、経済と社会は持続できた。多くの郵便労働者は、ユニバーサルサービスを提供するため、適切な保護もなく命を危険に晒しながら働いた。多くが新型コロナウィルスに感染したが、集団として、郵便事業者の収入を何とか維持しながら郵便サービスを継続した。

パンデミックによる緊急事態の中でも、郵便事業者はこの状況から利益を得、サービスを減らすことによってより多くの収益を出そうとしている。

欧州全域でコロナ危機の間、政治家や意思決定者は、郵便・ロジスティクス労働者に殆ど注意を払ってこなかった。彼らは、人々が危機の間にもユニバーサルサービスの恩恵を受け続け、通販のオーダーが自宅に確実に配達されるようにするため、郵便・ロジスティクス労働者がどれだけ困難な労働条件下で増大する作業量に対応しているかを認識していない。

郵便事業者は、ユニバーサルサービス義務を下方修正するために、書状量の減少という現実を利用している。同時に、欧州委員会は、郵便サービス指令の評価を延期しようとしている。そのため、活況を呈する通販の配送産業をいかに各国レベルで規制するかについて、更なる混乱を招いている。

ベルギーで組合は、社会保障へ貢献する上で公正な競争条件とするよう、郵便サービス諮問委員会の勧告を政府と規制当局に出すことを検討している。郵便サービス諮問委員会は、ベルギーの幅広い郵便・ロジスティクス部門をカバーしている。組合は、全ての市場プレーヤーが郵便物の配達に公正な方法で貢献することを要求する。郵便・物流サービスは、多くの企業(中小から大企業まで)が遠隔販売/電子商取引を通じて事業が継続できるよう支えてきた。この危機によって、健康と雇用が一般の人々にとって最優先であることが示された。組合は、全ての市場プレーヤーのために社会保障の十分な資金を要求する。

bpost(ベルギー郵便)の組合は、必要とされるシフトと労働時間の再編が段階的なコスト削減措置となることを恐れている。シフトと作業スケジュールは、大量の小包に対処するため調整する必要がある。この危機によって、小包量が増大したにもかかわらず、収入の少ない郵便事業者の収益は影響を受けている。郵便・ロジスティクス労働者は、この危機の間の努力を評価されるに値する。

ジャン・ピエール・ニン(ACOD労組)とポール・ヘレゴト(VSOA/SLFP労組)は、郵便・ロジスティクス労働者が評価されていないことに遺憾の意を表明した。「新型コロナ危機の間、ヒーローが働き続けた全ての産業で、徐々に一息つけるようになってきた。だがbpostでは、そうではない。激増する業務量に四苦八苦しているからだ」と説明した。

ポルトガルでは、郵便労働者と組合が警鐘を鳴らしている。パンデミックの最中、労働者はCTT(ポルトガル郵便)での深刻な誤った取扱いを報告した。殆どのCTT労働者は適切な防護具もなく働いた。外部委託の臨時契約は、CTTの収入が大幅に減少したことを理由に解除された。通常郵便物量の減少とは対照的に、CTTグループ会社であるCTTエクスプレスの「速達便」サービスは急増した。

6月12日、組合はストを呼びかけた。組合によれば、昼食手当を食事カードで支給されることに反対するCTT労働者の多くがストを支持したという。ポルトガル郵便では2週間前にもストが行われた。(前回のストは5月29日だった。)2回目のストには、より良い労働条件を求める要求や、同社の事業分野の「不始末」と賃金凍結等への抗議も加わった。

労働者は、食事手当の支給形式として食事カードを割り当てるという提案を受け入れない。これまで食事手当は月給の一部として銀行振込みされていた。組合は、労働者が(危機の間)余計な出費を負わねばならないかもしれない時に、CTTはコスト節約の大胆な動きをとろうとしていると見ている。この決定により、国の最賃よりも低い手取り収入となるリスクのある労働者が何百人もいることを組合は懸念している。

組合員と会社の提案について話し合うことができない中、3つのUNI加盟組織、SNTCT労組、SINDETELCO労組及びSINTTAV労組は、団結し力を合わせてCTTで2回のストを呼びかけることを決めた。CTTは一方的に「既に有効な」カードを従業員の自宅に送って、その計画を強行しようとした。驚いたことに、複数の労働者が、勤務スケジュールや配達エリアを変更するとか、別の郵便局/職場へ異動させる等の脅迫やSMSメッセージによる心理的虐待によって、職場で定期的に標的にされていると報告している。

ホセ・オリベイラ(SNTCT労組)とホセ・アルセニオ(SINDETELCO労組)は、「CTT経営陣は、郵便配達員が(高価な)「速達便」サービスを配達できるよう、(優先扱い郵便及び書留を含む)何千件もの郵便物を配達せず、ユニバーサルサービス義務提供に対する軽視を示したに過ぎない。CTTのやり方は、効果的な社会対話を拒否する等、初めから間違っている」と指摘する。組合は、交渉の拒否を、政府、規制当局、政党そして一般市民に報告した。組合はCTT経営陣の反応を待っているが、更なるストも予想される。

「ベルギーやポルトガルの件は、目先の利益を追求して、郵便サービスを解体しようとする試みの一例だ。郵便・ロジスティクス労働者がパンデミックの中で市民や企業が存続できるよう貢献しているのに、このような状況は受け入れられない。郵便会社は効果的な社会対話と団体交渉に向き合わなければならない」と、オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は訴えた。

「各国の経済が徐々に再開される中で、明日の仕事をどうしていくか、至急団体交渉を行う必要がある。頑張って働く郵便・ロジスティクス労働者は感謝されるに値する。しかし、既に困難な労働条件を悪化させようとする試みがなされているのは非常に残念だ。郵便サービスの提供を強化する方がもっと効果的だ」とオリバー・レティクは断言した。

「欧州では、パンデミックによって書状の更なる減少と小包の急増という緊急事態が発生したにも関わらず、欧州委員会は郵便サービス指令の改訂を先延ばしにしている。欧州委員会は、必要な改訂プロセスを更に遅らせる口実としてパンデミックを利用してはならない。パンデミックによって、ユニバーサルサービス義務を再定義し拡大する緊急の必要性が示された。国レベルでは、郵便会社は郵便・ロジスティクス労働者に劇的な影響を及ぼすコスト削減を考えている。欧州委員会は美辞麗句はやめ、更なる規制緩和と労働条件の悪化を阻止しなければならない」と、UNI欧州郵便・ロジスティクス部会のデミトリス・テオドラキスは述べた。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、「#我々の郵便を守ろう」キャンペーンを通じて、グローバル及び欧州レベルで一貫して、強力なユニバーサルサービス義務の重要性を主張している。我々の郵便を守るために、嘆願書に署名してほしい。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、コロナ禍からの教訓を収集し、組合員がコロナ後に備えることができるように支援していく。