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ウクライナの労働者を支援するため、キエフに新たな組織化センターを設置

ウクライナでの戦争が激化する中、UNI欧州は2025年5月20日、ウクライナの労働組合、退役軍人コミュニティ、NGOを支援する新たな組織化センターをキエフに設立した。

このセンター「COZZウクライナ」は、UNIの中東欧組織化センター(COZZ)のウクライナ支部として機能し、同国の労働者や難民への長年の支援を基盤に設立された。同センターは、ウクライナの労働者が欧州で最も過酷な状況下で組織化を進める中、UNIの支援強化の決意を示すものだ。スウェーデンのUNI加盟組織Unionenから最初の資金が提供された。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長兼COZZ財団理事長は「COZZ ウクライナの設立は、最も必要とされている場所で組織化を支援する明確なコミットメントだ。戦争の真っ只中でも、ウクライナの労働者は尊厳、権利、団体交渉を求めて立ち上がっている。COZZとUNIは、こうした労働者をあらゆる段階で支援していく」と述べた。

過去数ヶ月間、COZZは組織化活動の基盤を築いてきた。その中心的な取り組みの一つは、キエフでCOZZ初の専従オルグ(戦争で障害を負った若い退役軍人)を雇用したことだ。

COZZはウクライナの労働組合、退役軍人コミュニティ、NGOと連携を深めている。最近キエフを訪問したCOZZ代表は、UNI加盟組織である文化労働者組合と通信労組、およびナショナルセンターのFPSUとKVPUのメンバーと会談し、いずれも協力への強い意欲を示した。

ピーター・ヘルベルグUNI欧州会長(ユニオネン委員長)は、「ユニオネンは、COZZウクライナの設立を支援できたことを誇りに思う。ウクライナの労働組合への支援は、特に退役軍人やサービス部門の組合との革新的な協働を通じた取組みは、我々が大切にしている価値観——連帯、包摂、労働者の力への長期的なコミットメント——を示している」と述べた。

COZZの目標の一つは、労働組合運動と退役軍人ネットワークの両方に組み込まれたリーダー・トレーナーを育成することだ。こうしたリーダーは、草の根の組織化と機関レベルでの提言を橋渡しし、最終的に労働組合が包摂的な雇用と労働市場統合をリードするのを支援する。

COZZ Ukraineは形式上ではまだ新しい組織だが、その基盤は過去数年間で築かれてきた。ウクライナの労働組合との連帯を表明し、他のグローバルユニオンと協力する一方で、戦争開始以来、UNIの加盟組織であるBe Like Nina(BLN)を支持してきた。昨年夏、BLNはウクライナの24の全地域(占領地域を含む)で介護分野の組織化キャンペーンを大規模に開始した。

戦渦にあっても、BLNはおよそ2,000人の介護従事者に働きかけ、組合員数は約70%増加した。また新たな組合支部設立のため140人の労働者を訓練した。これらの最前線の労働者は、単に労働者の権利を擁護し労働条件を改善するだけでなく、圧力下での労働者の力を世界に示している。このキャンペーンの成果として、同労組はUNIの『恐怖からの解放賞』を受賞した。

COZZ ウクライナは、ウクライナの他の労働組合、欧州およびGUFsならびにウクライナにおける労働組合と労働者を支援するドナーとの協力を歓迎している。


UNI Apro加盟組織、国際助産師・看護師の日にケア従事者を称える

インド、韓国、スリランカのUNI加盟組織が、国際助産師の日(5月5日)と国際看護師の日(5月12日)にあわせ、医療従事者の貢献を称えつつ、こうした労働者の直面する制度的な課題に焦点を当てた。

国よって状況の違いはあるものの、地域からのメッセージは一貫しており、それは看護師と助産師は感謝の言葉を越えたものを必要としている——彼らは適切な労働条件、尊厳、そして永続的な評価を得るに値する労働者だ、ということだ。

 
インド東部ジャールカンド州の州都ランチーでは、ジャールカンド州保健医療・アンガンワディ職員連盟(JSHCAEF-IN)が主催したセミナーに100人を超える看護師が集まり、彼らの苦闘と将来の展望について議論した。このイベントは、インド全土の看護師の団結、適切な評価、労働条件の改善の重要性を強調した。

一方、インド・プネでは、UNIのケア部会加盟組織であるラストリヤ・マズドア・サンガ(RMS)が主催した国際看護師の日特別プログラムに、約25人の看護師が集まった。このイベントでは、看護師の貢献を称え、マハラシュトラ州における団結の強化を呼びかけた。フローレンス・ナイチンゲールへの追悼、宣誓式、RMS女性部門による職場でのセクハラをテーマにした街頭劇などが行われた。RMSの幹部が出席し、ケアワーカーの権利と認知へのコミットメントを再確認した。

韓国・ソウルでは、韓国保健医療労組(KHMU)と韓国医療産業労連(FKMTU)が共同で、国会議員会館で証言フォーラムを開催し、立法の進展と現場の現実との間に存在し続けるギャップを浮き彫りにした。

チェ・ヒソンKHMU委員長は「昨年、看護法成立という成果を挙げたが、現場の看護師は無償労働や医師の代理業務に苦悩している」と述べた。フォーラムでの証言では、慢性的な人員不足、睡眠不足、疲労の蓄積、看護職の現場事故の増加など、広範な懸念が浮き彫りになった。

スリランカでは政府助産師サービス協会(GMSA)が、今年のテーマに「助産師:あらゆる危機における不可欠な存在」を掲げ、助産師の妊産婦と新生児の健康支援における重要な役割を称える集会を開催した。このイベントでは、特に危機的な状況や支援が不足する地域で働く助産師の、表には出にくい労働に敬意が表された。

UNI Aproは、これらの取組みを称賛し、医療従事者および関連労働者の権利を擁護する加盟組織に強く連帯する。ケアにおけるエッセンシャルワーカーの役割を認識することで、彼らの職業的地位を強化するだけでなく、地域全体の医療システムの質とレジリエンスを強化することにもつながる。


インドで医療および保健所・保育所の労働者の声を発信

インドのUNI加盟組織であるジャールカンド州政府職員連盟 (JSNGEF)とジャールカンド州医療・アンガンワディ職員連盟(JSHCAEF)は、州都ラーンチーのラジェンドラ医科大学キャンパスで強力な合同会議を開催した。数百人の医療労働者とアンガンワディ(地域の保健所と保育所を兼ねた施設)労働者が集まり、ケア部門における差し迫った課題に取り組み、労働者の権利強化を求めた。

アショク・クマル・シンJSNGEF書記長兼JSHCAEF州会長)、I.B.ラニ・カルコー氏、ディレンドラ・プラサド氏、スシャント・クマール・サーフ氏、レカ・マンダル氏、デヴァンティ・デヴィ氏、プラヤグ・プラサド・ヤダヴ氏などの組合指導者が、賃金改善、安全な労働環境の強化、人員増強の緊急の必要性を強調する印象的なスピーチを行った。

COVID-19パンデミックから5年を迎えるにあたり、アショク・クマル・シン氏は、最前線で働く医療スタッフとアンガンワディ職員の絶え間ない献身を称えた。また、労働者の権利に対する労働組合の揺るぎないコミットメントを強調し、こうした取り組みを推進するUNIケア部会の継続的な支援を称賛した。

アショク・クマル・シンJSNGEF書記長はスピーチの中で、「COVID-19パンデミックから5年という節目を迎える中、危機管理において現場労働者、医療スタッフ、アンガンワディ職員が果たした重要な役割」を強調するとともに、UNIケア部会が労働運動を推進するために継続的な支援を行っていることに深い感謝の意を表した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「労働組合は、インドの医療従事者とアンガンワディ労働者の権利擁護において目覚ましい役割を果たしてきた。公正な賃金、人員配置の強化、安全な労働条件の確保に向けた組合の絶え間ない取組みは称賛に値する。社会を支えるアンガンワディ労働者は、当然しかるべき尊厳を持ち、尊重され、労働条件を改善されるべきだ。我々はこうした労働者の要求を継続的に支持し、相応の評価と権利を得られるよう、たゆまぬ取組みを続けていく」と発言した。

組合の要求
医療・福祉部門における労働条件の改善を目指す5つの主な要求を中心に、議論が展開した:

  1. 公正な賃金と手当-労働者が相応の報酬を受け取れるようにする。
  2. 人手不足への対応-業務量の圧迫を軽減し、サービスの質を高める。
  3. 職場の暴力とハラスメントの防止- すべての人にとって安全で尊厳ある環境を作る。
  4. 平等の促進- 移民労働者と非移民労働者の両方の労働条件を改善する。
  5. 労働組合による代表権の拡大-労働者に力を与えるための団体交渉権の強化

この会議では、労働者の権利を擁護する上での連帯の力が強調された。JSNGEFとJSHCAEFは、公正な賃金、労働条件の改善、雇用保障を求めて闘うことを再確認した。UNI ケア部会や他の関連組織と協力し、両労組は引き続きケア部門に意義ある変化を求め、 医療・アンガンワディ労働者の声が聞き入れられ、尊重されるよう、取組んでいく。


パンデミックから5年、UNI報告書で世界的な介護危機の深刻化が明るみに

ケア労働者を対象とした新たな世界的調査から、医療・介護分野における人材不足の危機が深刻化していることが明らかになった。労働者の70%近くが頻繁に人員不足に陥り、3分の1以上(36.4%)が常に人手不足で働いていると回答している。WHOによるCOVID-19パンデミック宣言から5年の節目にに発表されたUNI報告書は、63カ国の1万1,233人の労働者からの回答をもとに作成されたもので、崩壊の一途にあるケアのシステムを明らかにしている。パンデミック中に英雄として歓迎されたにもかかわらず、ケア労働者は慢性的な人員不足、貧困賃金、職場の暴力の急増に直面し、多くの労働者がこの職業から撤退し、利用者や患者を危険にさらしている。組合の保護を受けていない労働者は、こうした傾向の影響をさらに強く受けている。パンデミックの際に何万人もの命を奪ったのと同じ失敗が、危険なほど無視されたままになっている。

UNIはこうした状況が労働者を介護部門から遠ざけ、政府と使用者が対処できなかった危機が悪化していると警告する。この調査は、組合加入と団体交渉が労働者の定着と満足度を大幅に向上させることを示している。

安全な人員配置は、質の高いケアとより安全な職場環境のために不可欠だが、病院や介護施設における慢性的な人員不足は患者や利用者の健康を損ない、防ぐことのできる死さえ引き起こしている。介護労働者にとって、人員不足はモラルの低下、職場での暴力や負傷率の増加、離職率の高さにつながる。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「パンデミックから5年経った今でも、介護労働者は過重労働、低賃金、危険な状況にさらされている。この報告書は警鐘だ。賃金を引き上げ、人員配置を改善し、職場の暴力と闘うための早急な行動がなければ、介護システムは崩壊してしまう」と危惧する。

質の高いサービス、公正な賃金、増大する需要に対応できる労働力を確保するために、介護部門への公的資金を増額すること。
アラン・セーブルUNI世界ケア部会担当局長は「介護労働者が不足しているのではなく、低賃金、慢性的な人員不足、危険な状況を喜んで我慢する介護労働者が不足している」と指摘、「介護人材の危機は、単に新しい労働者を訓練したり、移民介護労働者を採用したりすることで解決できるものではない。低賃金、人員不足、暴力やハラスメントの蔓延といった、この部門から人を追い出す核心的な問題に取り組まない限り、労働者不足とケアの質の低下の連鎖は続くだろう」と述べた。

UNIは早急な対策を要求
UNIは政府と使用者に対し、早急に以下の緊急改革に着手することを求める:
●ケアの仕事を持続可能なものにし、労働者を確保するための賃上げと福利厚生の改善。
●燃え尽きを防止し、患者ケアを守るための安全な人員配置の義務化。
●ILO第190 号条約の批准と施行を含む、職場の暴力とハラスメントに対する保護の強化。
●大きな差別や危険な状況に直面する移民労働者に対する公正な待遇と法的保護。
●組合代表権と労働協約の支援
●労働条件と雇用の持続可能性を改善する組合代表権と団体交渉の支援。
●質の高いサービス、公正な賃金、増大する需要に対応できる労働力を確保するため、ケア部門に対する公的資金を増額する。

労働者の証言「我々は破綻しているのに、誰も気にとめない」
最前線で働く労働者の生の声は、この危機の人的被害を明らかにしている:

➡ 私の部署ではいじめや人種差別がありますが、いつも揉み消されています。これは人手不足が原因だと思います-英国、病院労働者
➡ 入居者から2度性的暴行を受けました。上司や同僚から話を聞いてもらえず、守ってもらえなませんでした。人手不足が原因で、1年前に性的暴行をしてきた人のケアをしなければならなくなりました-ニュージーランド、介護施設職員
➡ こんな状況であってはなりません。設備、資源、薬剤があまりに少ない中で、国民の大きな期待を背負って働いている。私たちはひどく破たんしています。政府も気にしていません-ケニヤ、病院看護師
➡ どの国の政府も医療を優先すると約束していたが、それは間違いなく実現していない。パンデミックで介護のひどい生活環境が露呈した後、事態が改善されることを期待していました。しかし、余計な事務作業と政治的なでたらめがあっただけで、何も改善されていない。私はただ、こうした人々がきちんとケアされるようにしてほしいのです。そのためにはスタッフとサポートが必要です-カナダ、介護施設労働者
➡ この仕事をとても楽しみにしていました。でもすぐに現実に思い知らされました。政府や国が医療制度に対してやってきたことにショックを受けています。訓練を受けた人はどんどん減っています。看護職をあきらめた同僚を8人知っていますが、彼らはこの職業に対する思い入れと情熱が強すぎたために、離職に追い込まれたのです-オーストリア、介護施設の看護師
➡「最低賃金より1ポンド高い給料をもらって、毎日暴行を受けています。スタッフの離職率が高すぎて、補充に苦労しています」-英国、医療補助

崖っぷちのシステム
COVID-19パンデミックは、介護や医療における構造的な深い失敗-防ぐことのできたはずの何万人もの死をもたらすという失敗を露呈した。5年経った今も、こうした失敗は危険なほど無視されたままである。UNIの報告書は、ひとつのことを明確にしている。それは、緊急の対策を講じなければ、高齢化によってすでに疲弊し、さらなるパンデミックの脅威にさらされている介護・医療制度は崩壊し、再び命が失われるということである。


クリスティUNI書記長、ラジェンドラUNI Apro地域書記長の記念講演 ~第26回 UNI-LCJ年次総会~

クリスティUNI書記長とラジェンドラUNI Apro地域書記長

★講演1:「生成AIがもたらす労働の未来」 クリスティ・ホフマン UNI書記長

現在、世界は激動の時を迎えており、米国のトランプ政権は政府機構を解体し、国際機関からの脱退を進めています。その影響は世界中に及び、AIを含む技術革新にも大きな影響を与えている。

特に、AIの職場への導入については、労働組合の関与が不可欠だ。その理由は、①最良の結果を得るため、②労働者への悪影響(解雇など)に対応するため、③生産性向上の利益を労働者と共有するためである。しかし、使用者側は「テクノロジーについて交渉するのは非現実的」として反対しているが、それでもフランスの70以上の企業が社会対話に合意するなど、前向きな動きもある。

AI技術の中でも特に影響が大きいのはアルゴリズム管理と生成AIだ。アルゴリズム管理は、監視や労働者への圧力に利用され、Amazonの倉庫やコールセンターなどで広く導入されている。一方、Chat GPTなどの生成AIは、文章作成やデータ分析などを自動化し、多くの業務の一部を代替する可能性がある。IMFの予測によると、全雇用の40~80%が何らかの形で生成AIの影響を受ける、特に事務職やバックオフィス業務がリスクが高いとされており、コールセンターやプログラマーも影響を受けており、今後、経済全体への普及が加速する可能性がある。

労働組合は、AI導入に関する交渉を進めるべきだ。既にいくつかの成功例もある。例えば、米国の脚本家組合はAIの使用を制限する協約を勝ち取り、オーストラリアやドイツの労働組合もAIに関する協議の枠組みを確立した。これにより、AIが労働者に与える影響を最小限に抑えつつ、技術の利点を生かす道が開かれると期待している。しかし、多くの国ではまだAIに関する労働規制が整っていない現状もある。そのため、労働組合の活動を奨励し、雇用主が技術導入の際に労働者と協議することを義務化するなどの政策が求められている。労働者のスキル向上を支援し、新たな仕事を創出するためのインセンティブも必要だ。

テクノロジーの発展は不可避ですが、それが労働者にとって公平で持続可能な形で進められるよう、労働組合は交渉の場に立ち、積極的に関与することが重要である。UNIは今後もこの課題に取り組み、労働者の利益を守るために国際的な対話を推進していきたい。

★講演2:「平和・人権・民主主義」 ラジェンドラ・アチャリャ UNI Apro地域書記長

アジアにおける民主主義の状況は国によって異なり、日本、韓国、インドは民主主義を維持しているが、他の国々では依然として厳しい状況が続いている。

ミャンマーでは、軍事クーデターから4年が経過し、大規模な避難、暴力的な弾圧、そして活動家の投獄が続いている。労働組合は民主主義勢力とともに、民主主義を復活させるための国民統一政府(NUG)を結成した。香港では、中国の国家安全法の下で制限が強化され、言論の自由や報道の自由が制約されている。バングラデシュでは、政治的な状況が不安定であり、前政権は反対派の声を抑圧していたことで批判された。現在の指導者は、同様の手段に頼ることなく、安定した政治運営を行うことが重要である。

アジアにおける平和は依然として不安定であり、国境を巡る争いや南シナ海での緊張や、朝鮮半島における終わりの見えない紛争の脅威が地域の安定を脅かしている。 また、ミャンマー、アフガニスタン、フィリピン、パキスタンの一部地域では内戦が続いており、平和と安全を取り戻すための障壁となっている。

人権:続く闘い

アジア全体で人権侵害が広がっており、政府は言論の自由を制限し、報道機関を弾圧し、人権活動家を迫害している。また、監視体制や強制労働、政治的抑圧が根強く存在している。多くの国々で進展が見られる一方、依然として女性やジェンダー平等に対する制約が続いている。

労働組合の権利と労働条件:

アジアの労働者は、特に労働保護が不十分な国や権威主義的な国々で重大な課題に直面しており、多くの国では団体交渉が制限され、労働者は搾取され続けている。湾岸諸国では移民労働者が非人道的な労働条件に苦しんでいる。しかし、バングラデシュのラナ・プラザ事故後、繊維業界の安全基準が改善され、国際安全衛生協定はバングラデシュとパキスタンで進展を見せている。

国際労働基準と人権デューデリジェンス:

アジアにおける国際労働基準の施行は国によって異なる。いくつかの国々は主要な国際労働機関(ILO)の条約を批准しているが、その実施は一貫していない。強制労働、児童労働、そして安全でない労働環境は、繊維、農業、建設業、さらにはサービス業でも依然として続いている。人権デューデリジェンスは注目を集めており、日本、韓国、オーストラリアは企業責任規制を強化している。

デジタル時代における労働と労働組合の権利:

技術革新、デジタル化、自動化はアジアの労働市場に変革をもたらし、製造業やサービス業で雇用の安定性が脅かされている。ギグエコノミーの拡大に伴い、特に新興経済国で労働者保護が不十分だ。職場の監視やアルゴリズム管理には倫理的懸念があり、強力な規制が求められている。労働組合は、技術革新が労働者の権利を守りつつ進むよう役割を果たすべきである。

UNI Apro: 私たちの役割と取り組み

UNI Aproは、民主主義、人権、労働組合の自由を守るため、ミャンマーの強制労働問題やフィリピンの労働組合弾圧に対する活動を行っている。インドネシアのオムニバス法に挑戦し、香港のRCCGUを支援。さらに、フィリピン、インド、パキスタン、ネパールで労働組合権利強化を進めている。

アジアにおける民主主義、平和、人権、労働組合の自由の闘いは続いており、権威主義や労働搾取は依然として課題である。労働組合の強化、国際労働基準の施行、デジタル変革の責任ある導入が重要だ。

講演後には、福井洋損保労連事務局長は、アルゴリズムによる労働管理が日本に導入される可能性について言及し、「その際に労働者の納得感や働きがいに差が生じるかどうか。もし差が生じる場合、労使協議で特に重視される観点は何か、またアルゴリズム導入後に従業員からフィードバックを得る仕組みや、働きがいを高めるためにどのような工夫がされているか」と質問した。

また、UNI Apro青年委員を務めている横内愛咲UAゼンセン運動推進局局員は、UAゼンセンの多くの組合が若者への教育機会を設けているものの、意思決定機関に若者を参加させる進展が低い現状を報告し、「青年が意思決定機関に参加するために一番大切なことは何か、また海外での先進的な青年活動の事例」について質問した。


UNI欧州の調査:人々は公的資金が賃金と労働条件の改善につながることを望んでいる

2025年3月上旬に発表された欧州全域を対象とした調査(UNI欧州が委託したもの)の結果によると、EU市民の大多数(72%)が、団体交渉を通じて労働者の生活を強化する公共調達を支持していることが明らかになった。

この調査結果は、民間企業への公契約の発注を管理するEU調達規則の改革に 欧州委員会が着手した矢先の発表となった。調査結果は、調達規則の中に団体協約を有する企業を優先し、労働組合潰しやダンピングを行う企業を排除する社会的条項を求める労働者や組合の声を後押しするものとなる。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は「今回の調査結果は、緊急の行動を求める呼びかけであり、欧州委員会は欧州の有権者の声を聞くべきだ。公的資金は、公正な競争を阻害し労働組合を弱体化させる企業ではなく、質の高い雇用を支援すべきだ」と述べ、「最善の方法は、労働組合と団体協約を結んでいる良心的な雇用主を優先することだ」と付言した。

EUでは、公契約を通じて何百万人もの労働者が雇用されている。公共調達は、民間部門全体の賃金や労働条件に影響を与える基準をつくっている。

調査の主な結果:
• 回答者の65%が、公契約は価格、品質、環境、社会基準に基づいて発注されるべきだと回答
• これらの基準のうち、賃金と労働条件は最優先事項であり、回答者の46.4%が、価格が高くても正当化されると回答
• 回答者の83%が、組合潰しの企業や低賃金の企業を排除することを希望
• 回答者の72%が、公共機関が団体協約のある企業を優先することを希望
• 公共入札において価格以外の要素を考慮することを希望する市民の割合は、2011年の同様の調査以来、52%から65%へと大幅に増加

この調査は、欧州全域で700万人の労働者を代表するUNI欧州の委託により、独立系の世論調査会社オピニアが実施した。チェコ、フランス、ドイツ、アイルランド、ポーランド、スペインの6か国より6,080人以上の回答者から回答を得た。

調達をより社会的なものにするという人々の希望は、労働者や労働組合の要求と一致している。2024年10月1日、9か国から1,000人以上のエッセンシャルワーカーが賃金と労働条件の改善を目指す公共調達改革のためにブリュッセルに結集した。しかし、UNI欧州の調査では、EU全域の公共入札の半数が、最低価格のみに基づいて行われており、これは調達規則に起因する場合が多い。

トマ・ピケティやイザベラ・ウェーバーなど100人以上の世界屈指の経済学者が、公開書簡の中で「入札において最低価格のみにフォーカスしすぎること」を批判し、規則の改革に向けて「団体交渉の強化」を求める労働者の要求を支持した。労働集約型の清掃、警備、ケータリング産業の使用者団体ですら、価格のみに焦点を当てることをやめる必要性を強調している。

レティクUNI欧州地域書記長は「欧州の人々は、エッセンシャルワーカー、世界有数の経済学者、そして使用者とともに、EU規則は最低価格のみに焦点を当てるのではなく、労働条件、賃金、サービスの質に関する欧州全体の基準を設定すべきだ、と訴えている」と主張した。そして、「これは規則を簡素化するという欧州委員会の目標を推し進めることにもつながる。例えば団体協約の尊重といった明確な基準は、単に煩雑な役所仕事を減らすだけでなく、ヨーロッパの数百万人のサービス労働者の賃金と労働条件を改善することにもつながる」と訴えた。


南アジアのコミュニティ・ヘルスワーカーが団結

スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュのコミュニティ・ヘルスワーカー(CHW)労組のリーダーたちが、南アジア全域でCHW運動を強化するための新たな取組みを開始した。

UNIとSAGE基金の支援を受けるこのプロジェクトは、CHWの労働条件の改善、雇用形態の正規化、労働者としての権利の確保を支援することを目的としている。

プロジェクトの立ち上げ集会は、スリランカ最大の女性医療労組である政府助産師サービス協会(GMSA)が主催し、コロンボで開催された。この集会は、CHWの指導者が経験を共有し、キャンペーン計画を策定し、組織化と研修能力を強化するためのワークショップに参加するためのプラットフォームとなった。

女性主導の強力かつ民主的で独立した労働組合の結成、労連ネットワークの拡大、労働構造改革の提唱などを通じて、労働組合は団結してその力を強化することができる。このキャンペーンは、地域医療の取組みは労働であり、それに従事する労働者はボランティアではなく、公正な賃金、社会的保護、団体交渉権を当然にも享受する存在であることを明確にし、人々の意識変化を促していく。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「CHWは南アジア全域の医療制度の要であるにもかかわらず、依然として不安定な状況に置かれている。このイニシアティブは、CHWの権利を確保し、労働組合を強化し、ボランティアではなくエッセンシャルワーカーとして扱われるようにするための重要な一歩だ」と取組みの意義を語った。

GMSAスリランカのデビカ・コディトゥワク委員長は、「我々の組合は大きな力を持ち、その力を他の労働組合と共有している」と連帯を強調した。

ヘボン・ネパールのコピラ氏は、正規の労働者として認められることの重要性を強調し、「長年、我々は見返りを期待することなく地域社会を大切にしてきた。今、UNIとSAGE基金の支援を得て、我々は正当な承認を求めて闘っている」と訴えた。

また、ALPUパキスタンのブシュラ・アライン氏は、このイニシアティブを女性のヘルスワーカーにとって画期的なものだと述べ、「このプロジェクトは、公正な賃金、より良い労働条件、そして正当な承認を求めて闘う我々の力を後押ししてくれる」と語っている。

同じくパキスタンのPCHWUから参加したアフシャン・ババール氏は、「今日のトレーニングが明日のリーダーを育成していく。保健医療の労働者が成長すれば、地域社会も発展していく」と取組みに期待を寄せている。

このプロジェクトにより、UNIとパートナー組織は、南アジアにおけるCHWの状況を変え、彼らの声を拡大し、権利を向上させ、より広範な労働運動の強化に尽力している。


フィリピンのヘルスワーカーへの手当支給遅延問題でUNI-PLCが議会公聴会に出席

2025年1月、UNIフィリピン加盟組織連絡協議会(UNI-PLC)がBHW党のアンジェリカ・ナターシャ下院議員が主導する下院議会公聴会に出席した。この公聴会は、バランガイ・ヘルスワーカー(BHW)に対する健康緊急手当(HEA)の支給についての深刻な遅延に取組むことを目的としたものである。

UNI-PLCは、全国121の市や町を対象に実施した協議から得た詳細な調査結果を発表し、BHWの厳しい現実を明らかにした。平均すると、BHWは25ヶ月間のうち17ヶ月間のHEAが未払いとなっており、その額は34億ペソ(約5,100万米ドル)に上る。さらに懸念されることに、調査対象となった自治体の65%で、BHWはHEAをまったく受給していないと報告しているのである。

このデータは保健省が発表した統計とほぼ一致している。保健省によると、全国で申請された350万件のHEA請求のうち、支払われたのは160万件のみで、180万件もの請求が未処理のままとなっている。

こうした遅延の大きな原因は、地方自治体レベルでの業務の停滞にある。BHWは、地方の保健担当官が彼らを受益者リストから除外するケースが多いと報告しており、これによりさらに不満が高まっている。

保健省は、HEAの支給のために国が割り当てた270億ペソ(約4億6100万米ドル)はすべて完全に自治体に払い出されていると説明しており、受益者にこれらの資金を適時に支給する責任は、現在では地方自治体にある。保健省は、HEAの資金が地方自治体レベルに届いてから受益者に行き渡るまでに30日以上を要してはならないと強調し、規定に従わない地方自治体に対しては、督促状や覚書を発布することを約束した。

カガヤンバレー地方のBHW連盟のマリベス・P・カイアバブ会長は、保健緊急手当(HEA)の支給が長引くことによるBHWの苛立ちと精神的負担が増大していると指摘し、「BHWたちは、この手当が支給される望みを失い始めている。 もうすぐ3年が経とうとしているが、我々は苦労した労働の成果や献身に対する報酬をまだ得られていない」と嘆いた。 また同氏は、財政的な困難が増大している中でも地域社会に貢献し続けているBHWが直面している苦境について、「我々は毎日休むことなく働き、バランガイの健康と安全を確保しているが、我々が受けるに値する評価や支援は、依然として手の届かないところにある」と付言した。

この発言は、支援制度から見捨てられたと感じている保健医療従事者たちの間に高まる苛立ちを浮き彫りにしている。支払いの遅れは、彼らに金銭的な負担をもたらしただけでなく、数えきれないほどの労働時間や献身、努力が正当に評価されることはないのではないかと、多くのBHWに疑問を生じさせている。

ローランド・デラクルスUNI-PLC議長は、彼らに対する支援の強化を表明し、「BHWは地域医療の要であり、彼らには約束された報酬を適時かつ公正に受ける資格がある。UNI-PLCは今後もBHWとともに闘い、彼らの苦情が汲み取られ、その献身が認められるよう、取組んでいく。正義が実現するまで、我々は闘い続ける」と述べた。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、この問題の重要性を強調し、「BHWの貴重な貢献には正当な報酬が支払われるべきだ。支払いは長引きすぎている。我々はフィリピン政府およびすべての関連当局に対し、団結して、今後一切の遅延なくすべてのBHWに正当に手当が支払われるよう強く求める。彼らにふさわしい敬意、権利、報酬が確実に支払われるようにすることは、我々全員の義務だ」と強調した。

今回の問題を解決する道のりは依然として困難に満ちているが、この議会公聴会はBHWにとって極めて重要な瞬間となった。彼らの訴えを広め、関係者間の対話を促進することで、エッセンシャルワーカー不である彼らに正義と評価がもたらされるための重要な一歩となった。

この取組みは、UNIが支援する「Together We Care」という画期的なプロジェクトを通じて行われており、USAID、フォード財団、CARE基金の支援を受け、保健・医療・介護部門における熟練しエンパワーされた労働者を育成することで、女性の経済的安定性を強化することを目的としている。


壊滅的な洪水に見舞われたネパールの人々に連帯

UNI Aproは、現在も続く自然災害により甚大な被害を被っているネパールの人々に対し、心よりお見舞いと連帯の意を表明する。

2024年9月26日以降、降り続く豪雨により洪水や地滑りが広範囲に発生し、200人以上が死亡、さらに多くの負傷者や行方不明者が出ている。

負傷者を助ける医療従事者、地域社会をつなぐ郵便局員、地域社会の安全を守る警備員など、 こうした中でエッセンシャルワークに携わっている労働者が特に懸念される。 この災害はまた、社会的に脆弱な立場にある労働者、特に移民とその家族、非正規労働者が直面する課題を悪化させている。

多くの人々が家を失い、生計を立てられなくなり、農場や事業所は洪水で水没した。工業地帯や地元の市場は、インフラ被害によって閉鎖に追い込まれている。

首都カトマンズと国内各地を結ぶ主要な高速道路を含む道路が封鎖され、交通や通信網に大きな混乱が生じている。プリトヴィ高速道路やトリブバン高速道路を含む主要な道路が地滑りによって寸断され、重要な橋が流されているため、地域社会はさらに孤立し、商業活動が停止している。

3,000人以上が救助されたものの、救助活動が続く中、多くの人々が依然として取り残されている。

UNIとUNI Aproはネパールの人々に連帯し、世界中の仲間と労働運動に対し、この危機の中で労働者が生活を再建し、権利を確保できるよう、支援を呼びかける。


インド・ジャールカンド州で 2 万人以上のコミュニティ・ヘルスワーカーが待遇改善を求め集会

2024年9月23日、インド・ジャールカンド州全土から集まった2万人以上のコミュニティ・ヘルスワーカーらが集会を開き、政府に労働条件の改善を求めた。UNI加盟組織であるJSNGEFの支援を受けて行われたこの集会では、主に賃金・手当・労働条件の改善を確保するための8項目の要求リストが提示された。

迫るストライキ

同労組は政府に対し、賃上げ、期日通りの給与支払い、公正な昇進、退職手当の改善など、主要な要求に取り組むよう9月末までの猶予を与えた。もし何ら進展がない場合、労働者(大半が女性)は10月1日から州を挙げてストライキの開始を宣言している。組合幹部は、ストライキは農村で保育を提供するアンガンワディ(地域の保健所と保育所を兼ねた施設)労働者が提供するエッセンシャル・サービスに大きな影響を与えるだろうと強調した。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、 「これらのケアに携わる労働者は地域社会の根幹を成すものであり、彼らが求めている改善は、福利や暮らし、仕事を最大限に遂行する能力にとって基本的なものだ」と述べ、「労働者たちは好意を求めているのではなく、エッセンシャルワークを通じて獲得した尊厳と公正さを要求しているのだ」と指摘した。

主な要求リストは以下の通り:

1. 勤務規則の改正: 労働者の雇用条件を改善するために既存の政策を更新すること。

1. 昇給の簡素化: 謝礼の増額プロセスを合理化し、他の国家公務員と賃金を一致させる。

1. 期日通りの支払い:定期的な支払いを保証する制度により、報酬が期日通りに支払われるようにする。

1. 退職手当:退職時に、アンガンワディ職員には 1,000 万円、ヘルパーには 5,000 万円を支給し、最終給与の 50%を年金として支給する。

1. 年功に基づく昇進:年功序列に基づく アンガンワディ職員の女性管理職への昇進を保証する。

1. 賃金格差の是正 契約労働者の賃金格差を是正し、手当を含む完全な政府職員の身分を与える。

1. デジタルツールへのアクセス: 労働者にタブレット端末を支給し、業務に関連するモバイルデータ通信費を負担する。

1. 十分な栄養補助金: 市場価格に見合うよう栄養補助金を調整するか、栄養補助物資の直接供給を確保する。


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