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ホフマンUNI書記長、「組合は重要なデジタル・ガードレール」

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、2023年5月初旬にオンラインで開催されたパネルディスカッション『データ・オン・パーパス2023:労働者のためのテック・ワークを実現する』の中で、新たなテクノロジーが仕事を変えていく中で、労働者の権利を守る上で、強力な組合と団体交渉が不可欠であると語った。

ホフマン書記長は、ミーラ・ジョシュ・ニューヨーク市副市長、オックスフォード大学フェアワーク・プロジェクトのカビタ・ダッタニ博士研究員 とともに、パネルディスカッション『労働者のためのデジタル・ガードレールの構築』の中で講演した。

特にアルゴリズム管理システムなど、テクノロジーを使った職場におけるデータ収集範囲や人権侵害はここ数年で急速に変化しているが、同書記長は、テクノロジーが労働者に及ぼす多くの課題は、既存の解決策で根本的に解決できると訴えた。

「労働組合は何十年も前からテクノロジーをめぐる交渉を行ってきた。例えば、製造業では1980年代にロボットが導入され始めたが、その頃からの重要な原則(通知、リスク評価、実施と影響に関する交渉)の多くは、現代においても有効だ。(中略)例えば、ドイツでは、労使協議会が、アルゴリズム管理システムによって収集された個人データの使用を制限し、日単位や時間単位の個人指標としてではなく、チームレベルの実績を長期的に評価するためにのみ使用できるようにしてきた。」

また、コールセンターにおける全米通信労組(CWA)の協定について紹介し、モニタリングは毎月特定の時間に限定すること、モニタリングが行われる際には労働者に通知すること、モニタリングは懲戒ではなくフィードバックを目的とすることを求めていると述べた。

さらに、UNIが最近、大手コールセンター企業と締結したグローバル協定で、業務上の監視が業務上の必要性と比較して「不釣り合い」であってはならない旨を定めている点も例に挙げ、 「勤務時間中ずっとカメラで監視されているようなことを、受け入れるべきではない」と強調した。

また、こうした監視によって労働者は心理社会的ストレスにさらされ、また身体的なダメージにつながる可能性もあり、極端な監視で労働者の生産ペースを押し上げているアマゾンでは、負傷率が高くなっている。人間離れした目標を達成しなければならないというプレッシャーから、労働者は法律で義務付けられている休憩をとれなくなることもある。

企業によるこうした行き過ぎた行為を組合が止められるよう、UNIは今後数週間以内に、世界中の労働者が集団の力を使ってテック・ワークをどのように自らにとってより良いものにしてきたかについて、詳述した資料を発行する予定だ。

最後にホフマン書記長は、「企業がビジネスのやり方を変える際は、労働者と話をしなければならない。組合と対話を行い、新しいツールを適切に導入し、発生した問題を解決するために、強力で独立した安全衛生委員会、あるいは技術委員会が設置される必要がある」とまとめた。


国際労働災害犠牲者追悼日: 安全衛生委員会を通じ、より安全な仕事に向けた組織化を

世界中の組合が昨年、安全衛生をILOの基本的権利とすることに成功した。そして今、労働者はより安全な仕事を求めて組織化し、特に安全衛生委員会を設置し、苦労して得た成果を現実のものとしている。

UNIは、4月28日の国際労働災害犠牲者追悼日(労働安全衛生世界デー)に、職場で命を落とした人々を追悼し、負傷した人々を見舞うとともに、仕事における被害を防止するための取組みをさらに強化していく。安全衛生委員会は、危険な労働環境に対する第一の防衛線である。

安全衛生委員会は、パンデミック以降、かつてなく重要性を増している。パンデミックのピークが過ぎ去ったとはいえ、個人用保護具の不足、第三者による暴力の増加、長時間労働、過酷な労働ペース、労働者のメンタルヘルスへの負荷の増大は、根深く深刻な問題となっている。

しかし、労働者は反撃に転じおり、労働組合を通じ、自らの仕事をより安全なものにしようと取組んでいる。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「生活費の危機は、ストライキや職場での行動に拍車をかけたが、それと同じくらい重要なのは、パンデミックが安全衛生をめぐる組織化を再活性化させたことだ」と述べ、「職場でウイルスに感染したために、数え切れないほどの労働者が死亡し、また長期に及ぶ影響を受けたりしている。しかし、労働者が直面している深刻なリスクはOCVID-19だけではない。労働者は、より少ない時間と賃金で、より高い生産性を求める使用者によって、限界まで追い込まれている。このような厳しい状況は、労働者の身体に負担をかけるとともに、精神衛生もむしばんでいる」と指摘した。そして、「我々が世界中の労働組合とともに、仕事をより安全なものにし、安全衛生委員会を強化するために立ち上がっているのは、そのためだ。仕事は尊厳とエンパワーメントの源であるべきで、被害や病気、死をもたらすものであってはならない。負傷者も死亡者も、たった一人であっても、望ましくない」と語気を強めた。

昨年UNIは、アウトソーシング顧客サービス大手のテレパフォーマンスと画期的なグローバル枠組み協定に合意した。この協定には、職場で働く労働者とリモートワーカーの双方の従業員の問題に対処する、選挙で選ばれた組合の安全衛生委員会の設立が含まれている。また、安全衛生委員に対する研修や、職場のあらゆる危険を特定し改善するためのプロセスも規定されている。

また協定では、心理社会的リスクに対処するため、業務上の監視について「業務上の必要性に応じて」、「労働者のプライバシー権を尊重する」として、これを制限している。テレパフォーマンスは、カメラやAIモニタリングなどの監視ツールを会社がどのように使用するか、また、そのデータをどのように実績評価に使用するかについて、労働者に通知することになっている。

UNIは、より安全な仕事とより強力な組合のために組織化能力を高めている世界中の加盟組織とともに歩んできた。例えば、ネパールのUniPHINに支援を行ってきたが、安全衛生委員会が病院労働者の組織化において重要な役割を果たすようになっている。UniPHINは、パンデミックのピーク時である2021年に、労働者の安全衛生に関する研修を開始した。この研修を通じて、組合は安全衛生委員会を創設し、労働者は個人防護具、メンタルヘルス支援、休暇を得られるようになった。

オルグも務めるプラティマ・バッタUniPHIN財務部長は、「多くの労働者にとって、UniPHINは希望の源であり、困難な時期にも新しい組合員を組織することができた」と述べる。

ペルーのトトゥス・ハイパーマーケット労組は、2016年から同社の従業員に対し、自らの安全衛生代表を選ぶ権利について教育するキャンペーンを行ってきた。その結果、会社側からの干渉にもかかわらず、組合代表が安全衛生委員会に十分に参画できるようになった。同労組は、労働安全衛生の課題をめぐって労働者の訓練と組織化に投資したことで、負傷者が減少し、また組合も強化された。

労働安全衛生の取組みによって刺激を受けた若い組合員が、全国のトトゥス店舗で座り込みを行い、組合の力が発揮された。新協約の交渉で会社に譲歩を迫った結果、大幅な賃上げが実現したのである。組合員が連帯し決意を示した結果、安全衛生委員会が労災を防ぐだけでなく、他の問題をめぐって組織化できるということを示したのである。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「労働安全衛生は基本的権利であるが、組合がなければ、労働者の権利が軽視されることを我々は目の当たりにしてきた。国際労働災害犠牲者追悼日にあたり、我々は世界中の組合と協力し、組織化を通じて安全な仕事を確保し、安全衛生委員会の重要性を強調したい」と力を込めた。

ITUCの国際労働災害犠牲者追悼日の資料はこちらから。


フィリピンBIENオルグのアレックス・ドロロサ氏の悲劇的な死を悼む

UNIは、フィリピンの UNI 加盟組織BIEN のオルグであるアレックス・ドロロサ氏に対する残虐な殺害に、大きな衝撃を受けている。同氏は熱心で献身的なオルグであり、コールセンター業界の従業員の労働条件と権利を改善するため、人生を捧げてきた。彼はバコロド市で精力的に活動し、労働者の権利のために尽力する彼の姿は、彼を知るすべての人に感銘を与えていた。

行方不明となっていたアレックスは、4月24日にバコロド市郊外で23ヶ所の刺し傷を負った状態で発見された。殺害された経緯はまだ不明だが、これほど献身的で熱心なオルグが、このような暴力的で理不尽な最期を遂げたことに、我々は激しい憤りを覚える。

UNIは、アレックスの家族、友人、同僚に深い哀悼の意を表する。我々は、この惨事に直面した悲しみと連帯の中で、彼らとともに立ち向かっていく。また、フィリピン当局に対し、アレックスの殺害について徹底的な調査を行い、加害者を裁くことを求めていく。

この事件は、世界の一部地域でオルグや組合員が直面するリスクを痛感させる出来事である。UNIは、あらゆる場所で労働者の権利を促進し、擁護するという決意を再確認し、労働者の声を聞き、その権利が守られるよう、不断の取組みを続けていく。

我々は、フィリピンおよび世界中で労働者の権利のための闘いを続けることで、アレックスを追悼したい。


韓国のグーグルで労組結成

2023年4月中旬、 グーグル韓国の労働者が、韓国サービス労連(KFSWU)のもとで組合を結成した。グーグル韓国労組は、4月11日に第1回総会を開催し、役員を選出した。

組織化の動きは、グーグルの親会社であるアルファベットが、1月に世界規模で従業員の6%、つまり約1万2000人の雇用削減を発表した後に開始した。3月上旬にグーグル韓国は、解雇について従業員に通達した。

新たに選出されたキム・ジョンソブ・グーグル韓国労組委員長は、「解雇の嵐が米国IT業界に吹き荒れる中、一方的な解雇と継続的な雇用不安の痛みを感じている従業員が行動を起こし、先月から組合結成に向けて取組んできた」と述べた。

同労組は、グーグル韓国は長年「夢の職場」と呼ばれてきたが、ツイッター、アマゾン、マイクロソフト、メタなど他の大手テック企業と同様、人々は夢から醒めたと指摘した。組合は、グーグル韓国とGoogle クラウド韓国の労働者数百人を組織化し、同社における労働者の権利を保護する計画だ。KFSWUはすでにオラクル、ヒューレット・パッカード、SAP、マイクロソフト韓国を組織化している。グーグル韓国労組は、韓国で組織化された5番目の多国籍IT/テック企業となる。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は 、「グーグル韓国の労働者が労組を結成したことを歓迎し、この一歩を踏み出したことを祝福したい」と喜び、「アジア全域、そして世界中のグーグル労働者は、声を上げるため、そして現在進行中の不安定労働に終止符を打つため、組織化している。我々こうした労働者に連帯していく」と力強く語った。

UNIは、グーグル労組の国境を越えた要求や行動の連携を支援している。


モンテネグロのテレコム社員、補償と権利向上を獲得し、136日間のストライキを終了

モンテネグロのテレコム労働者は、労働者の権利、労働組合の権利に関する改善要求を実現し、136日間にわたるストを終えた。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、「ツルノゴルスキ・テレコムの労働者がストライキを成功させ、労働者と労働組合の権利について改善要求を達成したことに、祝意を表したい。この勝利が示すのは、集団行動の力と、社会的・経済的正義を実現する上での連帯の重要性だ。労働者の闘いを支援できたことを誇りに思うとともに、今後も労働者の権利と職場における公正な待遇を提唱していく」と喜んだ。

2022年11月16日に始まった今回のストライキは、2023年3月31日に解決し、ツルノゴルスキ・テレコムの従業員はスト期間中の補償を受け取った。モンテネグロのテレコム労組は、闘争中にUNIやOTU等の組合から受けた連帯支援に感謝の意を表し、今回のストの成果が、労働者と労働組合の権利をさらに改善していく契機となることを期待している。

2027年末を期限とする今回の協約では、賃金の引き上げ、冬季手当、目標達成賞与、従業員の福利厚生の向上が盛り込まれている。任意加入となっている民間の健康保険は継続され、2023年末にその延長について検討される予定だ。


グーグル初の欧州労使協議会、労働者の代表性を強化

スイスや英国を含む欧州のグーグル労働者は、まもなく史上初の欧州労使協議会の協約対象となる。これによって従業員は、自らの利害に影響を与える決定について、情報を提供され、協議を行う権利を持つことになる。 2023年3月下旬に締結された今回の新しい協約は、この巨大テック企業が従業員への適切な通知や従業員からの十分な意見聴取もなく欧州全域で解雇を実施する中、極めて重要なものだ。

このグローバルな人員削減プログラムは、特にグーグルにとって欧州の3大拠点である英国、アイルランド、スイスにおいて、組合員数が加速度的に増加する一因となっている。

協約によって、同社で初の欧州労使協議会(EWC)が設立される。EWCは、欧州に拠点を置く企業の従業員を代表するものであり、企業はEWCを通じて情報を共有し、労働者代表と協議しなければならない。また欧州レベルでの雇用や労働条件に影響を与える可能性のある決定について、労働者代表はEWCを通じて協議することができる。EWCを従業員が開始した場合、2つ以上のEU加盟国で事業を行う企業には、法的義務が発生する。

労使協議会を設置する協約は、欧州で活動するさまざまな国の労働者代表で構成される特別交渉機関(SNB)で交渉される。SNBのグーグル労働者代表は、ユナイト労働組合でEWCを担当するジョナサン・ヘイワード氏の支援を受けており、同氏は3年以上にわたってSNBと同社の交渉を支援してきた。ユナイト労組も、グーグル労働者の組織化を支援してきた。

英国は、欧州でも最も大きな労働力を抱える国の一つであり、SNBのグーグル従業員は例外的に、英国とスイスというEU非加盟の2か国を含める交渉に成功した。 ヘイワード氏は、「グーグル経営陣との間で、英国とスイスの労働者を含めるという合意を得るとともに、その他多くの重要な改善が協約に盛り込まれ、大きな飛躍となった」と述べた。

グーグル労働者は、今後6か月以内に、EWC代表を投票する予定であり、選挙後すぐに、EWCは運用を開始する。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「労組による組織化や、全国的な協約の推進について、UNIは支援を続けていくが、今回の協約は欧州レベルで労働者の声を反映させる上で大きな一歩となる」と述べた。

UNIは長年、欧州および世界中のグーグル労働者を含むテックワーカーの国境を越えた組織化を支援してきた。今回のEWCの新たなスタートにより、組合は『Googlers getting organized(組織化されたグーグル社員)』という検索フレーズが広まるだろうと見ている。

グーグル労働者を代表する労働組合は、グーグルなどの規模や重要性、影響力を持つ企業は、広く仕事の世界に影響を与えることから、これをテック業界における大きな進展と捉えている。

ユナイト労組は、組織内のデジタル及びテックワーカーの活動家や専任役員を通じ、デジタル経済の最前線に組合を位置付けていく構えだ。


日本のUNI加盟組織、賃上げを要求し歴史的な動きを牽引

日本のUNI加盟組織が、4月の新年度を前に、予想を上回る賃上げ要求で国内のアナリストや観測筋を驚かせている。

毎年2月~3月にかけて行われる年次賃金交渉(「春闘」と呼ばれる)では、これまで日本の労働組合は控えめな賃金要求を選択していたため、今回の要求は波紋を広げている。

これまでの春闘は、1990年代後半の日本のデフレ経済に端を発したものである。2022年の世界的なインフレによって日本の消費者と家計がコスト増に見舞われるようになり、ここ最近の数か月まで、その傾向は続いていた。

日本では、コアインフレ率(食費を除く)は4%を超え、中央銀行の目標値を超え、41年ぶりの高水準に達している。この状況は多くの日本の労働者にとって、給与がインフレに追いつかない場合、実質賃金が目減りする危険性があることを意味する。

政府は、インフレに連動した賃上げを企業側に公然と求めており、国民感情も、家計が生活費の上昇を乗り切れるような措置を望んでいる。日本の労働組合、特に主要なサービス産業部門を抱えるUNI加盟組織は、30年近く続いた賃金の横ばいサイクルを断ち切るための機会と捉えている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、2月に開催された日本UNI加盟組織連絡協議会の年次総会で日本の加盟組織と会談し、春闘交渉を前にした前向きな姿勢に感銘を受け、次のように語った。「日本の加盟組織が力を示し、労働者の賃金・労働条件の歴史的な改善を実現するためのこの好機を捉えていることは非常に素晴らしい。特に、ここ数十年で日本が経験したことのない高い賃上げを率先して求めて闘った加盟組織を誇りに思う。」

日本の加盟組織はすでに成果を上げており、例えばUAゼンセンは過去10年で最大となる4.56%の賃上げを獲得した(3月16日時点)。多くの流通・サービス加盟組合の交渉が集中回答日に先行して要求のほぼ満額で妥結しており、全体の賃金闘争を牽引している。とりわけ短時間(パートタイム)組合員の処遇については、UNIがGFAを結んでいる髙島屋労組で5.64%、イオンリテールワーカーズユニオンでは7%、と高い水準での賃上げを達成し、雇用形態間格差是正の流れが加速している。

自動車総連も、組織化する製造部門において例年にない高水準での妥結が進んでおり、続いて販売部門も魅力向上と人材確保に向けて交渉を続けている。

JP労組は、正社員に関し、定期昇給と社員一人当たり4,800円のベースアップを勝ち取った。なお、ベースアップは新卒初任賃金・若年層の賃金改善に傾斜配分し、これにより初任賃金は1万円以上改善となる。一時金年間は4.3月。また、全社員に、特別一時金70,000円の回答を引き出した。


インフレ時の団体交渉:労働組合の対応

UNI欧州の新たな調査報告、『すべてが上がる – 欧州の団体協約における自動賃上げ』は、高いインフレ率の時代に、労働組合がどのように交渉するかについて、焦点を当てるものだ。

欧州では2021年以降、生活費の急激な高騰に見舞われている。COVID-19パンデミックによるサプライチェーンの混乱、ウクライナ紛争後のエネルギー価格の上昇、企業収益の増加などが原因となり、インフレ率は多くの地域で2桁に達した。こうした状況が労働者の購買力に大きな影響を及ぼしているため、団体交渉の主要なテーマとなっている。

従来、労働組合は定率の賃上げを交渉の対象としている。しかし、予測不可能な高インフレの時代には、このアプローチは困難に直面する。解決策の1つとして、インフレ率に連動した(半)自動賃上げの実施が考えられる。このような方式は、「賃金の物価スライド」または「生活費調整(COLA)」と呼ばれる。

団体協約にこうした条項を盛り込むことで、将来のインフレ率に合わせて賃金が調整され、実質的な賃金保障と名目的な柔軟性がもたらされる。高インフレ下でも、労働者の購買力は保証される。同時に、交渉当事者は、交渉期間中に賃金がどれだけ上昇するか正確に知ることはできない。インフレ率が高い時期には、概して賃金の物価スライドやCOLA条項が好まれる。

報告書ではまず、多くの国で現在、労働組合がこうした条項を導入していることを紹介している。同時に、賃金をインフレに連動させる範囲と方法の両方において、かなりの多様性がみられる。だが、賃金連動方式は以前考えられていたよりも広範囲に普及している一方で、社会パートナーが団体協約にこのような条項を盛り込むことに反対している多くの国々では、依然としてこの方式は存在しない。

本報告書は、高インフレの影響と闘う上で、団体交渉がどのように貢献しうるのか、具体な事例を示すことで労働組合を支援することを目的としている。
報告書(英文)は、こちらから


UNI、反ファシズムの労働組合ネットワークに参加

UNIとUNI欧州が、反ファシズム労働組合の国際ネットワークのマニフェストに署名した。マニフェストは、集団的な行動を通じて、社会正義の推進、人権の擁護、民主主義の強化に取組むものだ。

近年、世界各地で、強権化、反対派の弾圧、民主主義制度の弱体化を目論む指導者を擁する、危険な権威主義体制の台頭が憂慮されている。また欧州では、極右グループややファシスト組織の脅威が高まっており、暴力やヘイトスピーチを用いて過激な主張を推進するグループもある。

ネットワークは、イタリア労働総同盟(CGIL)が、ファシストによるローマ本部への襲撃事件から1年を機に発足させたものだ。民主主義の擁護、人権の促進、あらゆる形態の人種主義、性差別、差別との闘いに取組んでいく。ネットワークの参加組織は、極右イデオロギーの拡散に対する連携した対応と、民主的価値を保護する必要性を強調している。

ローマでネットワークの結成に参加したオリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「労働組合は民主主義の拠り所だ。ファシストが組合運動を嫌うのは、そのためだ。排除を説き、最も弱い立場の者を責め立てようとする者は、働く人々の間に分断の種をまこうとするものであり、我々の友人ではない。彼らは、排除と不平等を生み出している真の責任者から、人々の注意をそらそうとしている。我々の答えは、常に民主主義を支持し強化するということだ。職場における民主主義と社会における民主主義は、同じコインの表裏の関係にある。団体交渉はポピュリズムに対する解毒剤だ」と訴えた。

UNI 欧州は昨年、「民主主義の支持と強化」をテーマに、欧州の組合が一堂に会する会議を開催し、職場やそれ以外の場所でこの目標に向かってどのように取組んでいるか、意見交換を行った。


テレコム労働者を暴力・ハラスメントから守る:欧州社会パートナーの共同声明

欧州電気通信事業者協会(ETN)およびUNI欧州ICTS部会に代表される欧州テレコム部門の社会パートナーは、職場におけるあらゆる暴力とハラスメントを非難する。

我々は、職場における暴力とハラスメントが、労働者と組織の双方に影響を及ぼす深刻な問題であることを認識し、ジェンダーに基づく暴力やハラスメントを含む職場におけるあらゆる形態の暴力やハラスメントを排除し、すべての人にとって健康で安全な職場環境を促進するため、共に尽力する。

脅迫と差別は、良好な精神衛生に対する大きな脅威である(OECD, 2019年)。欧州生活労働条件改善財団による欧州労働条件電話調査によると、特にサービス業と販売業の労働者は、さまざまな種類の脅迫の標的になっている(12%)。同調査によると、「女性のサービス業・販売業の労働者のうち約4%が、望まない性的注目を受けたと報告し、7%が、暴力、いじめ、嫌がらせを経験したと報告している[1]」

我々は、職場における暴力やハラスメントの問題が、労働組合と使用者の間の社会対話と団体交渉を通じて対処され、職場の安全衛生に関する労働者の適切な共同決定権が尊重されるよう、望むものである。

我々はこうした状況において、従業員の職場での暴力の経験には、男女差があることを認識している。この全体的な取組みの一環として、我々は、ジェンダーに配慮したアプローチに対する認識を高め、労働条件におけるジェンダー不平等に取り組み、セクハラを含む職場における女性に対するあらゆる形態の暴力を排除していく。我々は、家庭内暴力が職場環境に影響を与えることを認識し、また使用者はパートナーである労働組合と協力し、家庭内暴力の被害者に対する適切な支援と安全対策を、団体交渉を通じて政策に組み込むことができるようにしていくことができるのである。COVID-19パンデミック、そしてリモートワークや新しい形態のハイブリッドワークの大規模な導入によって、家庭内暴力の問題が増大しており、仕事に関わる問題として、取組んでいかなければならない[2]。

また我々は、すべての労働者が第三者からの暴力やハラスメント、セクシャルハラスメント、差別を受けることがないようにすることを決意する。第三者からの暴力やハラスメントとは、スタッフが職場で受ける可能性のある、同僚によるものではない虐待を指す。これは、技術者が一般市民から攻撃を受けたり、コンタクトセンターの従業員が顧客から嫌がらせを受けたり、従業員がオンラインでの嫌がらせの標的になったりするようなケースを指す。

我々は、すべての労働者がいかなる暴力やハラスメントも存在しない安全な環境で職務を遂行できるよう協力し、すべての個人にとって安全な場所としての「仕事」を促進していく。より具体的には、我々は、「仕事に関する第三者による暴力・ハラスメントに取組み、これを防止するためのEU多部門社会パートナー指針(2010年)」の行動計画における関連する成果と勧告、およびEU部門横断社会対話プロジェクトの「仕事の世界における暴力とハラスメントの排除」における勧告を、統合していくこと想定している。

これらの目標の実現に向けて、我々は包括的な戦略を構築するために社会対話と団体交渉を促進し、実施と監視のメカニズムを確立または強化していく。また、救済措置の利用、被害者への支援、ツール、トレーニングに関する成功事例を共有する。

我々は必要に応じ、利用しやすい形で意識啓発を行っていく。可能な限り、仕事の世界における暴力とハラスメントが防止されるよう、使用者が適切な措置をとることを支援していく。

職場の暴力やハラスメントの予防に向けた包括的アプローチは、確固たる政策から始まる。労働安全衛生の管理に関する、包括的なアプローチにおいては、個人、グループ、組織への影響を含め、暴力とハラスメントの心理社会的リスクが考慮される。

次の段階では、危険を特定し、リスクの評価がなされる。ここに含まれるのは、職場において何が暴力やハラスメントの引き金になりうるか、また、それをいかにして防ぐことができるかを、認識することである。

危険が特定された場合、それについて労働者は知らされなければならず、また労働者は職場で暴力やハラスメントを引き起こす可能性のあるものは何か、またそれをどのように防ぐことができるのかについて、情報が必要である。労働者が職場で直面する可能性のある危険について認識できるようにするためには、トレーニングも重要である。

また、効果的で安全かつ信頼できる苦情処理メカニズムを確保するためのトレーニングも必要であり、これには、事件が発生した際の報告方法に関する従業員への研修も含まれる。従業員は、職場が暴力問題を提起する上で安全な環境であり、従業員の懸念が慎重かつ専門的で機密性の高い形で扱われるよう、保証されなければならない。目撃者や内部告発者の扱いも同様である。

また管理職にある者は、職場のハラスメントや性的暴行に関する苦情をどのように処理するのが最善であるかについて訓練を受けなければならず、また被害を受けた従業員が利用できる支援や救済措置について、熟知していなければならない。また、自組織内におけるいかなる種類の差別的な行動にも加担してはならないことを認識する必要がある。

また社会パートナーは、他の形態の暴力とは異なり、しばしば匿名の加害者によって行われる、あらゆる形態のサイバー暴力を非難する。また、社会パートナーは、 ETNOによる児童保護タスクフォースの取組みについても評価する。これは、ETNOメンバーが既存および潜在的リスク、新たな傾向を特定・理解し、新たな対策を導入し、既存の枠組みを改善できるよう、共通理解を構築し認識を深めること目指すものである。その上で、ICTサービスとその使用が子どもにとってより安全なものであるよう、貢献していく。

電気通信部門の社会パートナーは、暴力やハラスメントに抗する過程において、あらゆる組織が異なる段階にあるとを認識するが、各組織の特性と能力に応じ、模倣から学び、共通の認識を促進し、その他の適切な措置を構築できるよう、尽力する。

リセ・フールETNO事務局長は、「職場に暴力はあってはならず、いかなるハラスメントも最大限に強い言葉で非難されなければならない。オープンかつ包摂的な対話を通じてこそ、革新的な潜在能力を十分に引き出し、社会的な関わりを強化し、創造的思考を育むことができる。人々が職場で安全であるようにすることは、事業を成功させる上で核となる」と語った。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「仕事の世界における暴力やハラスメントに、我々が共に取組んでいくことが重要だ。ICT部門の使用者を、この重要な取組みのパートナーにすることができ、喜ばしい。暴力やハラスメントの防止、苦情処理、効果的な救済には、トレーニング、実施、そしてモニタリングが必要だ。この強力な声明は、これらの目標を共に実現するという我々の決意を示している」と、述べた。

[1] EUROFOUND (2022), WORKING CONDITIONS IN THE TIME OF COVID-19: IMPLICATIONS FOR THE FUTURE, EUROPEAN WORKING CONDITIONS TELEPHONE SURVEY 2021 SERIES(WORKING CONDITIONS IN THE TIME OF COVID-19: IMPLICATIONS FOR THE (EUROPA.EU))

[2] ユーロバロメータの調査(2022年3月)によると、EUの女性の77%が、COVID-19パンデミックによって自国の女性に対する身体的・精神的暴力が増加していると考えている。(HTTPS://WWW.EUROPARL.EUROPA.EU/NEWS/EN/PRESS-ROOM/20220223IPR23904/NEW-EUROBAROMETER-SURVEY-HIGHLIGHTS-SEVERE-IMPACT-OF-COVID-19-PANDEMIC-ON-WOMEN)


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