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グリーンとデジタル:欧州で双子の移行プロジェクト

グリーンとデジタルの双子の移行は、EUの優先課題として認識されている。「欧州社会権の柱」アクションプランの中では、「社会対話、情報、協議、そして様々なレベル(企業や産別を含む)における労働者と労働者代表の参加は、特に進行中の2つの移行と仕事の世界の変化を視野に入れ、経済の移行を形作り、職場の革新を促進する上で、重要な役割を果たす」と説明されている。

これを実現するため、UNI 欧州は、EUから資金を得た 2年間の プロジェクト「双子の移行を実現する:商業部門における2つの移行に関する社会対話の強化方法」を立ち上げた。このプロジェクトの一環として、商業部門におけるグリーンおよびデジタルの移行をどのように形成するかについて、組合に対する指針と提言を盛り込んだツールキットを作成予定である。

またこのプロジェクトは、2つの移行が、新たな雇用機会、生産性の向上、労働条件の改善、新たな業務編成など、労使に明確な利益をもたらすようにすることを目的としている。

このプロジェクトでは、イタリア、ハンガリー、スウェーデン、オランダの4つの対象国に焦点を当てているが、2024年に完成予定のツールキットは、すべての欧州加盟組織、社会パートナー、商業部門の主要ステークホルダーを対象とし、使用者、労働者とその代表者を動機付け、指針となって支えるものとなる。

2022年10月24日に開催されたプロジェクト運営グループの第 1 回会合に続いて、UNI欧州商業部会加盟組織に対するオンライン調査が間もなく開始する。調査では、2つの移行を扱う社会対話と団体協約に関するこれまでの事例、課題、戦略に関して、情報提供を求める。調査結果は、専門家の政策報告とともに、2023年春に予定されている対象国における一連の国内ワークショップにおいて、概要報告書として示される予定だ。ワークショップでは、参加者は優良事例を共有し、ツールキットの原案作成に必要な情報を提供していく。

プロジェクトの活動は、グリーンおよびデジタルの移行がもたらす仕事の世界におけるリスク、機会、課題について、使用者、労働者とその代表の意識を啓発し、理解を向上させることにつながるだろう。同時に、このプロジェクトの重要なメッセージは、今後の政策決定プロセスにおいて 社会対話は 不可欠な要素であるということだ。


暴力廃絶活動の16日間-今年UNIは、第三者からの暴力に焦点

11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」は、性差別に基づく暴力廃絶活動の16日間(11月25~12月10日)の最初の一日だ。

今年UNIは、機会均等局を通じて、第三者による暴力と、それを止めるために必要なことについて、認識を高めていく。

第三者からの暴力とは、顧客、取引先、利用者やその家族等から振るわれる暴力のことで、あらゆる部門の労働者に影響を及ぼしうる。

欠勤、高い離職率、生産性と収入の低下から、失業、長期的な心理的影響に至るまで、第三者からの暴力やハラスメントが労働者に与える被害は計り知れない。米国では、職場の暴力による経済的損失は、法律業務や医療、回復費用などのために、1,200億ドル以上に上ると推定されている。

商業部門では、小売業で働く10人のうち9人が、何らかの暴力を経験しており、コールセンターでは、従業員が電話口の相手から日常的に虐待を受けている。

英国のコールセンターで働く匿名希望の労働者は、「レイプする、撃つ、刺す、といった言葉で直接的に脅され、非常に露骨な性的・暴力的表現を浴びてきた。これは初めてのことではなく、1年半以上続いている」と嘆く。

UNI機会均等局は、11月25日から12月10日までの16日間のために、ソーシャルメディア用のツールキットとポスターを作成した。

UNIは、加盟組織がこのツールキットを活用・共有し、仕事の世界における暴力とハラスメントをなくすためにILO第190号条約と第206号勧告の批准を求め続けるとともに、組合の政策と団体協約の中に、この基準の文言と条項を盛り込むことを推奨する。

ポスター等ツールのダウンロードはこちらから。

ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「第三者による暴力は、労働者、使用者、そして全ての人々に影響を及ぼす。職場の暴力がもたらす心理的・精神的な影響は、数値化できない。少なくとも労働者は、職場で安全であると感じられなければならない。今こそ労働組合がともに行動を起こし、ILO第190号条約の精神を明記した、より強力な政策や協約を確立する時だ。そうすることで、人々の暮らしを変えることができるからだ」と呼びかけた。


リモートワーカーの権利を守るには、グローバルな解決策が必要

OECDのグローバルディール・フォーラムの中で行われた「ポストコロナの仕事の世界におけるテレワークに関する取組み:社会対話の役割」と題するハイレベルパネルにおいて、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、リモートワークという新たな現実に対応するためには、団体交渉の拡大、社会対話の改善、雇用法の強化が明確に必要であると指摘した。

ホフマン書記長は、すべての在宅勤務の形態が一様ではないことを踏まえ、十分なスペースと人間工学に基づいた家具、安定したインターネットを備え、比較的快適かつフレキシブルに在宅勤務ができる従業員もいるが、他方で、コロンビアやフィリピンのような国では、例えば低賃金で不安定な仕事であるコールセンター業界では、フルタイムでリモートで業務を行う労働者も存在すると指摘し、「組合や団体交渉があるところでは、あらゆる種類のリモートワーカーの状況に進展が見られるが、大多数を占めている組合のない労働者には、深刻な問題が残っている」と、強調した。

11月中旬にUNIは、25か国のリモートワークに関する約120の団体協約のデータを分析し、公表する予定だ。この報告書では、パンデミック時に爆発的に増加したリモートワークに対し、世界中の組合が確固たる対応をとってきたことが示されている。つながらない権利など、ますます普遍的になっている課題もあるが、他方で、DVや監視など、労働組合の交渉として新たな分野も浮上して生きている。

同書記長は、「つながらない権利にどのように対処するか、使用者はどのように安全なリモートワーク空間を確保するか、監視が労働者の心理社会的な健康に与える影響は何か、カメラやアルゴリズムによって収集された労働者のデータを誰が管理するか、などの課題がある。これらに加え、ジェンダー平等への取組みや、若い労働者が必要な指導を受けられるようにする取組みも必要」と指摘し、「こうした問題には、グローバルな解決策が必要だ。 新しい仕事の世界とはどのようなものか?という問いに答えるためには、規制、結社の自由、社会対話が必要」と訴えた。

ホフマン書記長の指摘は、ヌールディン・タブビ・チュニジア労働総同盟(UGTT)書記長をはじめとする他のパネリストからも支持を得た。タブビ書記長は、チュニジアのリモートワーカーに対して、より公正な成果をもたらす社会対話における組合の役割について、詳しく説明した。また、BNPパリバのスペイン統括責任者であるセシリア・ボネッド氏は、欧州労使協議会や組合と協力し、より広範なデジタル化の一環としてリモートワークを導入していることを説明した。


ネパールでUNIメンタリング・プログラムのワークショップを開催

2022年10月10~11日、ネパール・カトマンズで、FESネパール財団が支援するUNIメンタリング・プログラムのワークショップが開催された。ICTS部会、金融部会、商業部会、美容理容部会、ICTS部会、ケア部会から、13組のメンターとメンティーが参加した。

このプログラムでは、組合での経験豊富な女性が、組合活動への参加を希望する若い女性に対し、自らの経験を共有しながら指導を行っている。タンデム(メンタリングを行うぺア)は、互いのコミュニケーションを取りやすくするため、同じ都市の組合から選ばれており、女性組合員の精力的で活発な組合参加を促している。プログラムでは、団体交渉の中で女性が直面する課題を盛り込んでいくため、女性のリーダーシップを高めて積極的な参加を促すことで、女性と労働組合を支援している。

ワークショップでは、(1)リソースへのアクセスが困難、(2)無償の介護労働と家事、(3)職場でのジェンダーに基づく暴力、(4)家庭、社会、職場における差別、(5)月経、出産、更年期という3つの問題、(6)女性の身体を商品として扱うメディア表象、(7)男女間の賃金格差といった、女性の直面する問題に焦点が当てられた。

またプログラムの中では、参加者から以下のような課題が挙げられた-女性の能力に対する信頼の欠如、男女間の賃金格差、時間の融通がきかない、家父長的な思考、安全が確保されていないために女性が通勤できない、労働組合に対するネガティブなイメージ、労働組合で男性の同僚を説得する難しさ、自営業の女性やインフォーマルセクターの労働者に対する尊厳の欠如、インフォーマルセクターの労働者を保護する労働法の欠如など。

カマラ・ニューパンUNIネパール加盟協女性委員会議長は、「UNIのメンタリング・プログラムは我々だけのものではなく、組合を拡大・強化し、組織化を進め、成長させていくための機会だ」 と述べた。

メンタリング・プログラムを通じて参加者は、協力に向けた新しいアイデアや、自信を得ることができ、また女性の代表性が大幅に改善し、団体交渉に参加できるようになった。さらに参加者は、ILO第190号条約の批准に向けたキャンペーンやワークショップを展開し、多くの場所で職場におけるセクハラに関する委員会が設立された。

アンジャリ・ベデカーUNI Apro機会均等担当部長は、「女性同士の連帯支援や姉妹関係の絆を築いていくことは、非常に重要だ。これは決して男性に対抗して行われるプログラムではなく、差別を助長し、差別が当然だと思わせている、制度そのものに対抗していくためのプログラムだ。プログラムの目標は、組合で精力的に活躍する力強い女性たちによって加盟組織を強化していくことだ」と、メンタリング・プログラムの意義を改めて示した。

UNIのメンタリング・プログラムは、より多くの女性が労働組合運動に参加できるようにするため、UNI機会均等局が「THAT’S WHY」キャンペーンの一環として創設した。今回ネパールでワークショップが開催されたことで、UNIメンタリング・プログラムに参加した女性の数は、世界56か国で1,200人以上に達した。


「労働者の声に耳を傾けよ」:ローマから呼びかけ

2022年10月上旬、イタリア労働総同盟(CGIL)本部へのファシストによる襲撃から1年を迎え、何千人ものデモ隊がローマの街頭に結集した。デモ参加者は、イタリアや欧州各国の政策決定者に対し、労働者のニーズに耳を傾けるよう求めた。

労働者が提示した10項目の要求の中でも、生活費危機に対処するための団体交渉の強化と公正な税制、そしてイタリアにおける不安定な状況に対処し、社会保障と公共サービスを強化することは、特に優先課題だ。ここには、公共契約や民間企業への補助金に対する社会的条件の導入も含まれている。

UNI欧州は、デモ行進に加わるとともに、集会「労働者の権利と民主主義のための反ファシスト国際ネットワーク」にも参加した。オリバー・レティクUNI欧州地域書記長が講演を行い、極右グループによる分裂を煽る企てを阻止するための、欧州各地の労組の戦略・戦術について、洞察を語った。

マリア・グラツィア・ガブリエリFILCAMS書記長は、「改めて仕事を中心に据えたプロジェクトが必要だ。不安定な状況との闘い、そしてより良い労働条件や尊厳ある賃金も必要だ。この国に別の未来を切り開くということは、若者、女性、そしてすべての働く人々に展望と未来を与えるということだ」と訴えた。

レティク地域書記長は、「ローマの街頭から、欧州全体に向けて、働く人々は警鐘を鳴らし、尊厳を要求している。生活費の危機は、多くの人々を深刻な経済難に陥れている。労働者を主役に据えることで、この問題に取り組まなければならない。団体交渉はその解決策だ。今こそ、職場の民主主義を強化するための行動を起こすべき時だ」と力強く呼びかけた。


第9回UNI Apro東アジア労組フォーラム (2022年10月13~14日、台湾(ハイブリッド開催))

第9回UNI Apro東アジア労組フォーラムは、2022年10月13~14日、台湾においてハイブリッド開催された。日本、韓国、台湾、香港、モンゴルより述べ約200人が参加した。日本からは14組織73人(うち女性26人、女性参加率38%)が参加した。前回(2019年)、デモの影響で参加できなかった香港が参加し、モンゴルも前回に続き2回目の参加となった。

「東アジアにおけるポストコロナ時代の新たな課題と労働組合の対応」というスローガンの下、「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応」、「ポストコロナで加速するデジタル化に対応した人材育成と組合の対応」、「ポストコロナの職場におけるハラスメントと組合の対応」というテーマで、各国が取組みを共有した。

 開会冒頭、ホスト国を代表し、ウー・ウェンフォン中華郵政労組(CPWU)委員長および、来賓としてワン・アンバン台湾労働省副大臣より歓迎挨拶を受けた。石川 幸德UNI-LCJ議長は、ウー委員長をはじめ、台湾の準備ともてなしに感謝した。そしてラジェンドラ・アチャリャUNI Apro書記長就任後、初めての開催となること、また、香港およびモンゴルから再び参加を得ることができた。3年ぶり開催となる今フォーラムの成功を祈念すると述べた。また松浦 昭彦UNI Apro会長は、特に「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関するILO190号条約」に関するテーマが本フォーラムで初めて取り上げられることを強調し、東アジアでは同条約の批准に至った国はなく、批准に向けた各国の取組みなどを共有したい旨述べた。この他、クリスティ・ホフマンUNI書記長、ユン・チャンヒョンUNI-KLC議長(韓国)、チェン・ライハUNI-HKLC議長(香港)、オユンバヤール・チェルテムドルチUNI-LCM議長(モンゴル)から連帯挨拶があった。

 アチャリャUNI Apro地域書記長は「アジア太平洋地域におけるポストコロナ時代の新たな課題と労働組合の対応」と題した基調講演において、ポストコロナ時代は対面接触の仕事やリモートワークと出勤との複合的な仕事形態、Eコマースの需要増加がある。雇用形態は複雑化することが予測され、労働組合の関与が不可欠である。新たな課題に対応するため、労働組合は有識者とも連携して組合の影響力を強化すべきだ」と述べ、日本のロビー活動や政策提案などの事例を挙げて強調した。また各国と連携して、青年や女性の地位を高める取組みも継続して行っていく旨述べた。

 続いて、「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応(サブテーマ1)」の冒頭、ホフマンUNI書記長より「労働安全衛生を「人権」に:新たな働き方に伴う新たな労働安全衛生課題に対するUNIの取組み」と題する特別報告を受けた。ILO労働安全衛生の基準の説明やサービス部門での安全衛生、ケア部門のメンタルケアの重要性など事例を挙げて説明し、「労働安全衛生は世界中どの国でも課題になっておりUNIは重要視している。来年開催するUNI世界大会でもテーマに取り上げる。我々が結束することにより、新たな問題解決方法を見つけていきたい」と述べた。

★討論のポイント

サブテーマ1:「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応」

(1)リモートワークにおける労働安全衛生の課題と組合の対応

  • 日本(辻 耕平 情報労連中央執行委員): 2点の課題、①「つながらない権利」は、日本において働き方をめぐる大きなテーマであり、海外での事例も参考にしながら当該企業労使の対応を強化していくことが必要である。②「AIによる労働監視の課題」は、日本でのAI活用は積極的な社会実装を進めようとしているが、データに関するルール制約などがAI利活用を阻む要因となっており、法的拘束力のある横断的な規制は不要との政府の考え方がある。労働分野におけるAI導入については、「事前の労使協議の徹底」や「従業員への同意確認」などを担保することが重要であり、論理的側面からの法整備について政策アクションを行っていきたいと報告した。
  • 韓国(キム・ジョンウ 韓国事務金融労連(KFCLU)オラクル韓国労組委員長):在宅および遠距離勤務、アルコリズム、災害保険などポストコロナの労働組合の対応を報告し、組織化や対面相談など在宅勤務での労組対応の難しさを説明した。
  • 台湾(チャン・フーチ 台湾金融労連(TFFU)委員長):コロナ禍における職場の安全や長時間労働、交代勤務などの労働安全衛生の状況を説明し、メーデーを活用した組合の対応など報告した。

(2)エッセンシャルワーカーの労働安全衛生の課題と組合の対応

  • 日本(坂根 元彦 JP労組中央執行委員):安全衛生の取組み、長時間労働および時間外労働の取組み、感染症対策について報告した。また無人搬送車・搬送ロボットAGV(Automatic Guided Vehicle)の導入を紹介し、郵便・物流の自動化進展の影響を報告した。
  • 韓国(ソン・クミ 全国保健医療産業労働組合(KHMU)書記長):感染対策、長時間労働などのストレス、交代勤務などの保険医療産業の現状と、政府や産業別交渉などの労組の対応報告をした。
  • 韓国(チュン・ハナ 韓国サービス労連(KFSU)政策局長):小売店の休業義務の現状と制度を説明し、休業義務の制度は変更せず、現行を維持しながら多様な意見をとりまとめる方針の政府に対して、政府HPや抗議の公文書などで意見表明をしている報告をした。
  • 台湾(ジャオ・リンユ 嘉義医療財団法人関連企業組合(CYCHCU)委員長):医療現場の現状を説明し、感染リスクの低減や適切な報酬など必要であり、組合は医療スタッフの感染リスクの低減を主張していると報告した。

サブテーマ2:「ポストコロナで加速するデジタル化に対応した人材育成と組合の対応

(1)各国・各産業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と課題

  • 日本(村上 瑞紀 自動車総連国際局部長):オンラインによる販売および商談、顧客がHPやSNSから情報を入手し購入の意思を固めてから来店する形態のマーケティング、電子制御車両や電気自動車増加による点検・整備のデジタル化の現状を紹介し、それぞれの課題を報告した。
  • 韓国(パク・ホンベ 韓国金融労組(KFIU)委員長):非対面金融サービスの拡張による店舗閉鎖の加速化などで発生した雇用縮小、業務負担の増加、金融消費者保護の弱体化等の問題点を挙げ、労働組合の取組みを説明した。
  • 台湾(リン・イーフン 中華郵政労組(CPWU)国際局長:DXの課題を業界別に挙げ、労働組合は、新たなテクノロジーは、より価値の高い生産的で創造的な仕事に集中できる職場環境になることを望んでいると説明した。また建設中のポスタル・スマートロジスティクス・パーク(物流オペレーションセンター)の紹介とその特長を説明した。
  • 香港(チェン・ライハUNI-HKLC議長):デジタル技術が全面に押し出され社会機能が維持することが可能になった反面、課題も多い。限られた資金の中小企業やデジタル技術を持たない労働者など。教育の在り方、技術分野に進出するのはまだ困難な女性など、デジタル技術の関心を高めていく必要性を説明した。

(2)DXに求められる人材育成と組合の役割(雇用の安定、リスキリングなど)

  • 日本(須齋 弥緒 損保労連事務局次長):技術革新が進む現状で、「人」ならではの付加価値を生み出す環境整備(雇用の安定)および「人への投資」の重要性やリスキリングの更なる拡充(人材育成)が重要であるとし、その取組みを報告した。
  • 韓国(キム・オクラン 医療産業労組(FKMTU)教育担当部長):非対面診療を充実させるため、デジタル医療の技術開発を進めており、労働組合として、デジタル技術に対応する人材育成を行っている旨述べた。
  • 台湾(ハミルトン・チェン 公共テレビ労組(PRTSFEU)執行委員:公共テレビ放送の現状を説明し、労働組合としては非デジタル業務をDXの方針に合わせて従業員の教育・研修を行い、働き方改革をする。また人材開発への転換や賃金体制の構築に取組みたいと述べた。

サブテーマ3:「ポストコロナの職場におけるハラスメントと組合の対応」

(1)職場における暴力の実態とILO第190号条約批准に向けた各国の取組みについて

  • 日本(桐田 真弓 全労金書記次長):法律を上回る「禁止」を盛り込んだ「労働金庫業態におけるあらゆるハラスメントの禁止ガイドライン」の策定と取組みを報告した。ILO第190号条約をどう具現化するか、①ハラスメントは人権問題である、②業務に関わる全ての人を対象とする、③全ての場所・ツールを対象とすることを盛り込んだものである旨報告した。
  • 台湾(リー・ハンチー 中華電信労組(CTWU)国際局長):反職場暴力・ハラスメント機構の構築や男女雇用平等法、ジェンダー平等教育法、セクハラ防止法など、CTWUと中華電信の連携した取組みを報告した。
  • 香港(キャロル・チャン 小売商業被服一般労組(RCCIGU)委員長):ILO190号条約について、中国返還前はイギリス政府によりILO条約を批准していたが、現在は中国の一部であり、国連人権報告書によると中国は条約に批准しないと思うと説明した。

(2)ハラスメントや暴力の撲滅に向けた組合の取組み

  • 日本(中島 麻紀子 生保労連中央副執行委員長):「職場におけるジェンダー平等」および「ワーク・ライフ・バランスの実現」を中期取組み方針とし、ハラスメント対策の強化は、双方の取組みの柱として位置付けている。組織としての取組み紹介や、法改正の動きを踏まえたハラスメント防止に向けた対応を強化する必要性がある旨述べた。
  • 日本(佐藤 宏太 UAゼンセン流通部門執行委員):厚生労働省に働きかけた結果、2022年度に厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が完成した。秋田県での事例やUAゼンセンの活動を紹介し、産別を超えた取組みが推進されるよう連合とも連携しながら進めたい旨報告した。
  • 韓国(オ・スジョン 韓国郵政労組(KPWU)委員長):職場内のパワハラやいじめ根絶に向けて、2022年2月、「労使合同パワハラ根絶宣言式」を開催し、毎月11日を相互尊重の日として、パワハラ改善に努力することを説明した。
  • 台湾(パトリシア・フン 公共テレビ労組(PTSFEU)):セクハラ、パワハラの事例をそれぞれ挙げ、前者は『ジェンダー平等委員会』を立ち上げて会議を行い、申立て後2か月で解決するよう対応しており、後者は現状明確なルールがないので今後は策定していきたいと説明した。

閉会では、ハン・シーフェン 台湾金融労組(TFFU)書記長より統括があり、フォーラムのまとめとして共同宣言を採択した 。次回、第10回フォーラムは、2023年、日本で開催する予定。

【司会者】

  • 開会/基調講演:(台湾)ロー・フェジュ 中華郵政労組(CPWU)書記長
  • サブテーマ1:(日本)古賀 初代 印刷労連 副中央書記長
  • サブテーマ2:(台湾)チア・パオリン 中華電信労組(CTWU)委員長
  • サブテーマ3:(韓国)カン・ヨンベ 保険医療労働組合(KHMU)情宣部長
  • 閉会:(台湾)ウー・ウェンフォン 中華郵政労組(CPWU)委員長

コロンビア:ILO第190号条約批准を求め、労働者が議会に集結

仕事の世界における暴力およびハラスメントの根絶を目指すILO第190号条約(C190)の批准が、コロンビアにおける公的アジェンダの中で、重要な課題として浮上している。10月7日のディーセント・ワーク世界行動デーに合わせ、労働組合と政治家のグループが共和国議会に集まり、C190批准に向けた公聴会に参加した。

公聴会は、UNI米州や加盟組織を含むC190の批准を目指すグループの呼びかけに応え、フェルナンダ・カラスカル下院議員が主催したものであり、条約や、ジェンダー不平等に対処するその他の措置を推進すべく開催された。

公聴会では、労連であるCGT、CTC、CUT、そして市民社会団体、UNIを含むグローバルユニオンが、条約批准に対する労働組合運動の取組みについて、改めて国会議員らに説明した。また女性たちは、自身や同僚が職場で受けたハラスメントや暴力の経験を共有した。

様々なセクターの女性が証言を行う中、ある清掃員の女性は、ハラスメントの状況がひどく、公の場で自らをさらけ出して証言することは身の危険につながるため、顔を覆って証言した。恐怖を感じつつも、この女性は深い決意を示し、支援ネットワークを通じて同僚とともに組織化を続けると表明した。

マグダ・アルベルト労働省ジェンダー平等・女性の権利担当アドバイザーは、C190の批准に向けた政府の取組みを強調するとともに、「女性や労働組合による証言は、職場での暴力やハラスメントに苦しむ労働者に償いを求めるものだ」と述べた。また、ジェンダーに基づく暴力に対抗する16日間の活動の一環として、ジェンダーの視点に関する訓練を受けた一級査察団が、11 月下旬に国内の各職場を監査することを発表した。

マリア・ラウラ・フィノILO国際労働基準専門家は、公聴会について「職場における暴力やハラスメントを根絶するための新たな国際労働規則を評価する適切な機会」であり、「身体的、精神的、性的、経済的被害を避けるためのプロトコル、つまり回復や啓発に向けた手段が保証された場」であるとして、その重要性を訴えた。

カラスカル議員は、労働組合組織の基本的な役割を確認し、「労働組合や組合員がC190の批准に向けた取組みを主導することは、非常に重要なことだ。困難なプロセスではあるが、我々は社会を変えていくことができる。我々にはやり遂げる意志があり、人権を守る必要性を理解しているからだ」と締めくくった。

今回の公聴会は、職場における暴力やハラスメント、差別によって、特に女性や移民、アフリカ系住民、LGBT+の人々が際立って大きな影響を受けていることを考慮し、これらの撲滅を目指すC190の批准に向けて、初めて開催されたものである。

UNIはこの条約の批准を長年にわたって支援し、加盟組織と協力してコロンビアをはじめ世界各地でこの条約の批准にむけて取組んでいる。


投獄されたミャンマーの労働組合員を解放せよ!

2022年10月10日、UNI、IndustriALL、国際食品関連産業労連(IUF)、国際公務労連(PSI)の代表らがジュネーブの国連前に結集し、投獄された労働組合員の解放と、国連によるミャンマーの国民統一政府の承認を要求した。

国際建設林業労連(BWI)、国際運輸労連(ITF)、国際家事労働者連盟(IDWF)を含む世界の労働組合運動は、以下の声明を発表した。

世界の2億人の労働者を代表するグローバルユニオンは、ミャンマーの全ての政治犯、特に2021年のクーデター以降、軍事政権によって不当に投獄されている60人以上の労働組合員の即時釈放を要求する。我々は、投獄された全ての民主化活動家に対するでっち上げの容疑を直ちに取り下げ、刑務所内における健康と安全を強力に保証すること、ならびに、彼らが家族のもとに迅速かつ安全に帰還できるようにすることを要求する。

活動家が収監され続けている状況は、正義の茶番であり、民主主義に対する愚弄である。労働組合の権利は、世界人権宣言ならびに労働における基本的原則および権利に関するILO宣言よって、世界的に認識され、保証されたものである。民主主義を守るためにこうした権利を行使したがゆえに労働者や労働組合員が投獄されることは、決して許されてはならない。人権および労働組合の権利は提案ではなく、差別や弾圧の恐怖を抱くことなく全ての労働者に適用されなければならない、普遍的で不可侵の権利である。

労働組合の権利は、民主主義の環境下においてのみ、発展していくことができ、民主的プロセスと法の支配にコミットする政府の下でのみ、成長し繁栄することができる。したがって、グローバルユニオンは、ミャンマーの国民統一政府(NUG)をミャンマー国民の唯一かつ真の民主的政府として承認するよう、国連総会に求めることを再確認するのである。NUGを承認することにより、我々はミャンマーの労働者の人権と労働組合権を保護し、軍事政権の残忍な独裁と国際社会における偽りのミャンマー代表にきっぱりと終止符を打つことができる。

またグローバルユニオンは、刑務所の内外でミャンマーの民主化活動家に対して蔓延する人権侵害、拷問、殺害を、可能な限り強い言葉で非難する。我々は、国連および全ての関連する国際的な人権機関に対し、この問題に関して強力な対応を取り、これら非道な行為に関して責任を持つ全ての者を裁くよう、強く要請する。

労働組合は、世界中のすべての労働組合員が抑圧や基本的権利の侵害から解放されるまで、決して休んではならない。民主主義は、すべての労働者にとっての権利である。専制政治が敷かれている場合には、いつ、いかなる場所にあっても、労働組合は団結と連帯をもって対応する。


世界の労働組合運動、イラン当局の残虐行為を非難-投獄された全労働組合員の釈放を要求

国際労働組合総連合(ITUC)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)およびGUFsは、イラン当局が自国民に対して繰り返している蛮行を非難し、国際社会からのイラン政権に対するより強力な圧力を求める。

国の厳しい服装規定に従わなかったことで、22歳のマーサ・アミニさんが宗教警察によって殺害された。この事件で国民の怒りが沸騰する中、約100人が殺され、多くの人々が負傷した。

シャラン・バローITUC書記長は、「全ての国際労働組合運動は、イラン専制政治の指導者による悪質な弾圧に立ち向かう勇敢な人々に敬意を表する。この抵抗運動を主導しているのは、身の危険を冒して、宗教的・政治的エリートの本質である女性差別および基本的権利の抑圧に終止符を打とうとする女性や少女たちだ。彼女たちに敬意と連帯の意を表したい」と述べた。

グローバルユニオン評議会(CGU)の議長を務めるスティーブ・コットン国際運輸労連(ITF)書記長は、「イランや世界中で労働組合員が逮捕されている。これは、批判者を黙らせ、国民の怒りは外部によって作られたものだと主張しようとする政権による、切羽詰まった試みだ。イランの労働者と世界中の仲間たちは、真実を理解している。彼らの即時解放を求める」と訴えた。

労働者の権利に関して、世界でも最も悪い状況にあるイランでは、あらゆる部門の労働者が、権利を求める闘いの先頭にたっている。

労働者の基本的権利を主張したがゆえに、多くの労働組合員が服役中であり、イランは2022年のITUC世界労働権利指数において、「労働者の権利が保証されていない」国の1つに入っている。

我々は、イランで投獄されているすべての労働組合員、その他不当に拘束されているすべての人々の釈放を求める。


UNIメンタリング・プログラム、南ア労働運動の女性をエンパワー

2022年8月下旬に、UNI機会均等局は、ヨハネスブルグでメンタリング・プログラムのワークショップを開催し、南アフリカの女性リーダー育成に向けた取組みを強化した。FES財団の支援を受けて開催されたこのワークショップは、南部アフリカ15か国の女性を対象に実施中の3つのUNIメンタリング・プログラムの1つだ。

8月22~23日の2日間、南アフリカの労働組合であるSASBOとSACCAWUの女性組合員がこのワークショップに参加し、成功事例を共有し、職場におけるジェンダー平等を推進する取組みを紹介した。

パトリシア・ナイマンUNI世界女性委員会議長(UNIアフリカ女性委員会議長)は、「ジェンダーの問題は、組合にとって優先課題だ。交渉や団体協約の中に盛り込み、我々の取組みの中心に据えなければならない。そうしてこそ、平等を実現できる」と述べた。

「このプログラムは女性をエンパワーしている」と述べるベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「労働組合において活躍するためのスキルやツールを女性に提供するだけでなく、女性が意思決定の地位に就くことを妨げている『インポスター症候群』※を克服するための、自信を育んでいる」と強調した。

SASBOのレボガン・セレペ氏は、「私を信頼してくれる人たちがいなかったら、私は自分の不安を克服し、目標を達成することができなかった」と語った。

メンターとメンティーが組み、新たなタンデムのプログラムを立ち上げることで、南アフリカ全土の労働組合の女性は、労働組合でのプレゼンスを高めるだけでなく、議論や交渉から職場方針、団体協約まで、労働組合の取組みの中にジェンダーの問題が適切に含まれるようにするための支援ネットワークを構築している。

約10年前に始まったこのプログラムは、世界中の労働組合運動における女性の地位向上を目的としており、労働運動における意思決定の地位において活躍する上で必要な能力の構築を支援するものである。

※インポスター症候群:能力があることを示す外的な証拠があるにもかかわらず、自分は詐欺師であり、成功に値しないという考えを持つ。自分の成功は、単なる幸運やタイミングのせいとして見過ごされるか、実際より能力があると他人を信じ込ませることで手に入れたものだと考える。インポスター症候群は、特に社会的に成功した女性に多いとする研究もある。


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