韓国スウォッチグループの労働者、組合活動に向けて始動

韓国スウォッチグループの労働者が、韓国百貨店・免税店販売・サービス労組(KOSU)傘下に新たな支部を結成し、韓国全土の小売・高級時計業界の労働者の声を結集している。

KOSUは、韓国サービス労連(KFSU)を通じてUNIに加盟しており、百貨店、免税店、その他の小売サービス業の職場で働く労働者を組織している。

2026年6月2日に正式に発足したこの新支部には、韓国全土の百貨店、免税店、アウトレット、直営店、事務所、カスタマーサービスセンターに勤務する韓国スウォッチグループの労働者が結集している。

韓国スウォッチグループは、同グループの同名ブランド「スウォッチ」に加え、ティソ、ハミルトン、ラドーからロンジン、オメガ、ブランパン、ブレゲに至るまで、幅広い有名時計ブランドの販売・流通を手掛けている。

懸念は賃金だけではない
組合結成の直接的なきっかけは、2026年の賃金凍結という会社側の一方的な決定であった。従業員によると、経営陣は「この決定はグローバルな方針を反映したものだ」と述べる以外に、何の説明も行わなかったという。

しかし労働者は、賃金だけが懸念事項ではないと主張している。業績評価、懲戒手続き、内部監査など、自らの生計に影響を与える決定について、透明性や明確な基準が欠如している点を指摘している。

業績評価は年2回行われ、個人の給与が決定される。だが労働者は必ずしも自身の評価結果を通知されておらず、場合によっては評価結果が賃金に反映されていないこともある。

従業員はまた、不透明な懲戒手続きや内部監査についても懸念を表明しており、これにより従業員が自己防衛の権利を効果的に行使することが困難になっている。

さらには、事前の承認を得ていなかったために残業が認められなかった事例も報告されている。ガイドライン、コミュニケーション、研修が不十分であるため、問題が発生した際には個々の従業員が責任を負わされる事態も生じている。

こうした懸念は、韓国スウォッチグループの『2025年度従業員ハンドブック』に記載されている「透明かつ公正な経営」や「人間を中心としたアプローチ」といった同社の基本理念とは対照的である。

公平性と労働者の尊重を求めて組織化
KOSUのパク・インホ韓国スウォッチグループ支部代表は、「会社が約束する価値観と、労働者が日々経験している現実とのギャップこそが、我々が労働組合を結成した理由だ」と述べた。

キム・ソヨンKOSU委員長は、「美容・化粧品業界に続き、組織化の動きは現在、時計業界へと広がっており、小売業や免税店の労働者が、自らの声を届けるために団結する動きがますます活発化している。KOSUは、韓国スウォッチグループの責任を問うべく、労働者と共に立ち上がる」と連帯の意を表した。

結成直後、同労組は会社に対し団体交渉を要請した。法定手続きが完了後に、正式な交渉が開始される見通しだ。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「高級ブランドやハイエンドブランドであっても、劣悪な労働条件や不公正な慣行の例外ではない。労働者の権利を守り、尊厳を擁護し、職場で発言権を与えるための労働組合の存在は、ぜいたく品ではなく、不可欠なもの。KFSU-KOSUの取組みによって、韓国スウォッチグループの労働者が集団行動、社会対話、および団体交渉を行える環境を確保できたことを称賛する」と述べた。

KOSUの韓国スウォッチグループ支部の設立は、職場での発言権、公正な待遇、そして人としての尊重を求める労働者の結束が強まる中、韓国における小売・サービス産業の組織化が進展していることを示す新たな一歩である。

KOSUについて
韓国百貨店・免税店販売・サービス労働組合(KOSU)は、韓国全土の百貨店、免税店、小売サービス事業所に雇用される労働者を組織化している。韓国サービス労連(KFSU)を通じてUNIに加盟するKOSUは、美容、化粧品、高級ブランド小売の各分野において組織化活動を拡大している。  

(2026年6月23日)


ネパールの清掃・警備労働者、気候危機に関する保護策の即時実施を訴える

2026年6月、ネパールのUNI加盟組織である全ネパール警備労組(ANSWU)、全ネパール清掃労組(ANCWU)、およびネパール地方公務員組合(LLEUN)は、「国際正義の日」を記念してカトマンズに集結し、現場で働く労働者のための気候危機に対する保護策の即時実施を訴えた。

UNIネパール加盟組織連絡協議会およびUNI Apro の代表者やスタッフの支援を受け、加盟組合は、気温の上昇、熱ストレス、洪水、その他の異常気象によって労働者が直面するリスクの増加について深刻な懸念を表明した。そして異常気象がより頻繁かつ深刻化する中、労働者の健康、安全、生計、尊厳を守るため、ネパール政府、使用者および利害関係者に対し、直ちに行動を起こすよう求めた。

その後、組合の代表団はカトマンズ地区行政事務所まで行進し、そこで組合代表者が地区行政長官を通じて、労働・雇用・社会保障省宛ての要請書を提出した。


要請書には、「対暑熱ストレス国家政策」の策定、気温に応じた勤務体制、安全な飲料水の確保、日陰のある休憩場所、気象状況に適した個人用保護具、気候関連の緊急休暇、および労働安全衛生対策の強化など、一連の要求が盛り込まれている。

ネパールの加盟組織によるこれらの要求は、UNIが発表した最新報告書『過酷な気候を生き抜く- 異常気象の時代における清掃・警備労働者の保護』によって裏付けられたものだ。ネパールを含む21カ国から寄せられた5,000件以上の回答を基に、この報告書は、熱波、洪水、暴風雨、その他の気候関連の危険が最前線で働く労働者に及ぼす広範な影響に強力な光を当てている。ネパールからの回答によると、労働者は依然として、気候に適した制服、気候緊急事態時の有給休暇、安全訓練、明確な緊急時手順など、異常気象時の基本的な保護措置が欠如した状況におかれている。

ミカラ・ラファーティUNIビル管理部会担当局長は、異常気象が労働者に及ぼす影響の増大について警鐘を鳴らしたネパールの警備員や清掃員らの取組みを称賛した。同氏は、警備・清掃サービスの労働者は、気温上昇や気候関連のリスクによって最も大きな影響を受ける労働者の一部であると指摘し、次のように述べた。「本日、ネパールの労働者とその労働組合が取った行動は、集団の声を上げ、連帯することの力を示している。気候変動は単なる環境問題ではなく、労働者の権利の問題であり、社会正義の問題であり、職場の安全の問題でもある。UNIは、ネパールおよび世界中の労働者と共に、より強力な保護、より安全な労働条件、そしていかなる労働者も取り残さない気候変動に対応した労働政策を求めていきたい」

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、ディーセントワークと気候正義の推進に向けた労働組合および労働者の献身を称賛し、「より安全で尊厳ある職場を求めて声を上げ続けている、ネパール全土の警備員や清掃労働者たちが示したリーダーシップに敬意を表する。気候変動に対応する職場を構築し、いかなる労働者も気候変動の負担を単独で背負うことがないようにするためには、有意義な社会対話と集団行動が不可欠だ」と語った。

各労組は、気候変動に配慮した労働政策を提唱し、警備員、清掃員、その他の脆弱な立場にある労働者の声が、意思決定のあらゆるレベルで確実に反映されるよう取組みを進めることを再確認した。また気候変動に直面する中で安全で健康的なディーセントワークを確保するためには、ネパール政府、使用者団体、労働者団体の間のより強固な連携が不可欠であると訴えた。

                            (2026年6月16日)


米州の映像・俳優労組、ディーセントワーク、包摂、社会的保護に向けた共通の課題を設定

  • 中南米の労働組合代表者がコロンビア・ボゴタに集まり、UNI米州メディア部会と国際俳優連盟米州組織(FIA-LA)の合同会議を開催し、労働者の権利、AI、ディーセントワークに関する共通の課題を掲げた。
  • コロンビアの労働大臣および文化大臣は、文化、映画、テレビ、ラジオの各部門について、社会的保護と良好な労働条件に値する産業として認識する動きが進んでいることを強調した。
  • 労働組合の指導者は、米州全域で高まる権威主義、緊縮財政、文化への攻撃に対し、労働者の権利を守るため、地域間の連携強化を求めた。

2026年6月下旬、コロンビア・ボゴタで、中南米全域のメディア部門の労働組合代表者が結集し、UNI米州メディア部会と国際俳優連盟米州組織(FIA-LA)の合同会議が開催された。経験の共有、労働者の権利、AI、労働安全衛生、多様性と包摂、職場における暴力やハラスメントの防止に焦点を当てた共通の課題が掲げられた。

このイベントには、地域の労働組合指導者や政府代表者が一堂に会し、業界において劇的な変革が進行する中で文化・映像労働者が直面する課題について、議論が交わされた。

開会セッションでは、同国のアントニオ・サンギノ労働大臣が、「文化産業の労働者―アーティスト、俳優、ダンサー、文化関係者―は、十分な保障もなく、年金制度への拠出もなく、社会的保護も受けられない非正規の立場にありながら、コロンビアの文化生活を支えてきた。我々は、この部門を生産的な産業として認識する包括的政策を通じて、この問題に取り組んできた」と述べるとともに、同部門との恒久的な対話メカニズムの構築や、文化産業の様々な分野において適切な労働条件を確保するための専門的な労働監督の強化の必要性を強調した。

またヤナイ・カダマニ文化芸術知識大臣は、芸術文化活動に固有の特性に対応した公共政策を構築することの重要性を強調し、「初めて芸術と文化が法的に認められることになった。各分野には独自の特性があるため、単一の枠組みで文化産業全体を規制することはできないが、権利を保障するためには共通の言語で語り合わなければならない」と発言した。また、公共政策の実効性を確保し、公的監視と説明責任のメカニズムを強化する上で、市民参加が果たす役割を強調した。

議論の主要なテーマの一つは、労働安全衛生であった。参加団体は、長時間労働や過酷な撮影環境など、映像制作現場のリスクを検討するとともに、予防措置や専門的な労働監督の強化の必要性について協議した。また多様性と包摂に関する経験を共有し、同部門における差別の防止、機会均等の促進、暴力やハラスメントの根絶を目的とした政策の実施における進展と継続的な課題の両方について検討した。

議論では、地域全体の労働組合の経験に加え、ジェンダー平等、ケア労働の責任分担、仕事の世界における暴力の根絶に関する国際条約の実施状況についての分析も行われた。

ヨハネス・シュトゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長は、文化産業が直面する共通の課題に対応するため、地域の労働組合間の協力強化の重要性を強調し、「我々の部門に影響を及ぼしている変化には、集団的な対応が求められる。経験を共有し、共通の戦略を構築することで、地域全体で労働者の権利を守るための労働組合の能力を強化することができる。連帯を通じて何を達成できるのか、コロンビアでの成果が示している」と述べた。

ミゲル・パニャグアUNI米州メディア部会議長は、「アルゼンチンでは、文化、労働組合、労働者の権利が攻撃されることによる結末を痛感している。だからこそ、こうした地域的な連携の場は、我々の成果を守り、労働者が直面する逆境に対して集団的な対応を構築するために不可欠だ」と訴えた。

この会議は、基本的権利を敵視し、労働組合、文化、平等政策を攻撃する政治勢力の台頭という国際的な文脈において、特に重要な意味を持つ。 ルシア・リンドナーUNI米州メディア部会担当部長は、「この地域全体で、ヘイトスピーチ、権威主義的な政策、緊縮政策が、数十年にわたる集団的な組織化と闘争を経てようやく勝ち取った権利を脅かしているのを目の当たりにしている。文化、表現の自由、労働者の権利は、多くの場合こうした攻撃の最初の標的となる。だからこそ、労働組合の国際連携を強化し、文化産業において民主主義、多様性、ディーセントワークを守るための集団的な対応を構築することが極めて重要だ」と述べた。

地域間の連携を引き続き強化し、社会保護の拡大、労働条件の改善、そして文化芸術メディア産業の発展が、ディーセントワークと人権および労働者の権利尊重に基づいて行われるようにするための共同行動の推進が確認され、会議は閉幕した。


国際労働組合運動は、民主主義を守るために闘うコロンビア国民と連帯する

2026年5月31日にコロンビアで 実施された大統領選挙を受け、国際労働組合運動は、民主主義、国民主権、そして投票箱を通じて表明された人々の意思の尊重を守るという決意を改めて表明する。

5月31日に実施された第1回投票では、中南米および欧州から民主主義の推進に尽力する70名を超える労働組合活動家が、GUFs、米州労働組合総連合(TUCA)、およびコロンビアの労働組合組織が調整役を務める「国際選挙監視・支援ミッション」に参加した。

監視団は、統合司令部(コロンビアの選挙をリアルタイムで監視する省庁横断的な機関)の一環として全国に展開し、選挙の進行状況を追跡し、苦情を受け付け、選挙プロセスの透明性と民主的保障を確保するために尽力した。

同ミッションは、選挙プロセスが深刻な政治的二極化、偽情報キャンペーン、および票の買収によって損なわれていることを確認した。また代表団は全般として、民主的機関を弱体化させ、コロンビア社会の広範な層における社会的進歩を後退させようとする極右勢力による攻勢が強まっていることを指摘した。

6月21日に行われた大統領選の決選投票に先立ち、国際労働組合運動は引き続き現地に留まり連帯を示し、圧力や脅迫、外部からの干渉を受けることなく、コロンビアの人々が自らの未来を自由に決定する権利への支持を表明した。

この地域全体で、権威主義的な言説、政治的敵意、権利を制限しようとする動きが高まっているため、代表団は、コロンビアにおける民主主義の擁護こそが、中南米全域における民主主義の擁護の核心であると位置づけた。

そのためUNIを含む参加団体は、特にトランプ政権による国外からのコロンビア国内政治の議論への干渉に懸念を表明し、偽情報や民主的機関への攻撃を通じて選挙プロセスに影響を与えようとした経済界やメディア関係者による動きに強い憂慮を示した。

マルシオ・モンザネUNI欧州地域書記長は、「コロンビアの民主主義は、いかなる圧力や干渉も受けることなく尊重されなければならない。国際労働組合運動はコロンビアの人々と連帯する。なぜなら、民主主義、労働者の権利、社会正義の擁護は、国境を越えた課題であることを知っているからだ。コロンビアで起きていることは、中南米全体にとって重要な意味を持つ」と指摘した。

ヘクター・デールUNI米州会長は、「選挙結果が極端な二極化という状況を生み出した。我々は、暴力や対立を煽ることなく、民主主義の営みに不可欠な労働組合という組織を尊重し、前政権下で勝ち取られた労働者の権利および社会的権利を損なわないような対話の道が見出されることを望む。ヘイトスピーチ、偽情報、そして市民組織を弱体化させようとする企てに対しては、より一層の民主主義、より一層の参加、そしてより一層の国際連帯をもって応えていく」と強い決意を表明した。

国際労働組合運動は、権利、社会正義、民主主義の擁護が地域全体の労働者にとっての共通の責任であるとの確信のもと、今後もコロンビアの人々とその民主的組織と連帯し続けていく。国際連帯は、人々の意思が尊重され、コロンビアが平和、包摂、民主主義の道を歩み続けるようにするための不可欠な手段であり続ける。


EU議会がデジタルユーロを可決する中、UNI欧州が欧州中央銀行総裁と会談

欧州議会経済委員会は2026年6月23日にデジタルユーロを可決し、この案件は本会議での採決、そして最終的には加盟国との交渉へと一歩近づいた。

この採決は、2026年6月22日にオリバー・レティクUNI欧州地域書記長、エステル・リンチ欧州労働組合連合(ETUC)書記長、クリスティーヌ・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁によるハイレベル会談が行われた翌日に実施された。

会談の中でレティクUNI欧州地域書記長は、UNI欧州がデジタルユーロプロジェクトを強く支持する意向を表明した。その根拠として「労働」「主権」「消費者」という3つの優先事項を挙げ、「我々はこれを、欧州の主権の問題、すなわち欧州の決済インフラを民主的かつ公的な管理下に置き、欧州外の民間主体への依存から脱却することだと捉えている。それは、共に闘う価値のある目標だ」と強調した。

今年初めに『プロジェクト・シンジケート』に寄稿した論説で、リンチETUC書記長とレティクUNI欧州地域書記長は、米国の多国籍企業がデジタル金融インフラを支配していれば、米国の政策立案者はそれを強制の手段として利用し得ると主張した。その顕著な例が、国際刑事裁判所のニコラ・ギユー判事であり、同氏は2025年にトランプ政権から制裁を受けたことをきっかけに、電子決済システムの利用を遮断されている。(フランス人のギュー氏は、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したICCの決定に関与したとされる)

同時に、UNI欧州が代表する金融、郵便、小売業界の数百万人のサービス産業労働者は、このプロジェクトの効果的な実施を保証し、極右によって拡散されるフェイクニュースを払拭する上で極めて重要な役割を果たすことになる。

こうした状況下で、レティクUNI欧州地域書記長は、雇用への影響評価が行われていないことについて深刻な懸念を強調した。欧州各地の加盟組織は、デジタルユーロによって職務内容が変わること、業務体制の再編と、こうした産業の労働者に大幅なスキル再習得の必要性をもたらすことを確認している。

同地域書記長は、「労働者が準備も訓練も相談もされていない状況で、公共の金融インフラを構築することはできない」と指摘する。

したがって、UNI欧州はまさにこの欠落している影響評価を実施する方針であり、すべての機関に対し、デジタルユーロの設計と実施において労働者が中心に位置づけられるよう確保することを求めている。


社会対話と団体交渉が、公正な生成AI変革に向けた鍵

銀行、電気通信、メディアの各部門を対象とした新たな報告書が発表された。生成AIが莫大な価値を生み出す一方、その価値が公正に分配され、適切に管理されて初めて、企業と労働者の双方に利益をもたらすという、数々の証拠が裏付けている事実を、具体的な数値で示している。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「この報告書が明らかにしていることは、生成AIが労働者に利益をもたらすのは、偶然ではないということ。実際、社会対話が活発な場所では、労働者と企業の双方が恩恵を受けている。一方で、社会対話が欠如している場所では、双方が代償を払うことになる。我々は、生成AIによるこの変革が、公正かつ透明なものとし、かつ交渉を通じて行われるようにしていく」と強調した。

生産性の向上も事実だが、その恩恵が不公平に分配されるリスクがあるのも事実

報告書は、銀行部門だけで1,800~3,060億ユーロの価値創出が見込まれ、ICTやメディア部門においても大幅な効率化がもたらされると予測している。しかし生産性向上の見通しは、多くの場合、過大評価されているとも警告している。労働組合と使用者は、効率化による利益の公正な分配を保証する真の社会対話や団体交渉を行うために、現実的な予測を必要としている。企業は労働者に利益をもたらす変革に投資する必要があるのだ。

人間による監督はAIを改善するのであり、進化を遅滞させることはない

今回の報告書で調査された部門は、信頼に支えられている。ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象のこと)、アルゴリズムのバイアス、不透明な意思決定は、すでにAI駆動型サービスへの信頼を蝕んでいる。スウェーデンのフィンテック企業であるクラーナがAIのみに頼るカスタマーサービスを撤回したことは、その顕著な一例である。雇用主と労働組合の双方は、説明と検証が可能で、真に信頼できるAIシステムに共通の利害関係を有している。

アイルランドの金融サービス労組(FSU)とアイルランド銀行の労働協約にも盛り込まれている、 労働組合側が一貫して要求してきた『人間による管理』の原則は、労働者を保護すると同時に、AIが倫理的かつ質の高い形で利用されることを保証するものである。

欧州社会問題銀行委員会のイェンス・タウ委員長は、あらゆるレベルでその取組み公式化することの重要性を強調し、「欧州レベルでは、AIと銀行部門に関する共同宣言を発表した。各国および欧州労使協議会が、AIに関する取組みにおいてこの宣言を活用することを期待している」と述べた。

スキル不足は喫緊の課題であり、市場に任せておくことはできない

これら3部門すべてにおいて、スキルは共通の制約要因となっている。通信業界のトップ企業の半数以上が、生成AI導入の最大の障壁として熟練労働力の不足を挙げている。小規模なEU加盟国の銀行には、AIの責任ある導入を実施する上での専門知識が不足している。メディア部門の企業には、学際的なスキルを持つ人材が必要だが、そのような人材はまだ十分な規模で存在していない。

しかし雇用主がAIを活用できる労働力を必要とするのと同様、労働者もまた、職を失うことなく適応し、活躍するための能力を身につける必要がある。調査によると、労働組合と協議の上で策定され、真に労働者の能力を深化させるよう設計された、雇用主が負担する体系的なリスキリングの枠組みが必要とされている。

欧州通信ネットワーク事業者協会(Connect Europe)社会対話・コミュニティ委員会のリタ・サントス委員長は、交渉による枠組みの予防的価値を強調し、「社会対話は、通信部門に変革的な影響を与えるAIの管理において中心的な役割を果たしている。社会対話は、システムが完全に導入される前に、変化とその影響を予測するための枠組みを提供する。また、主要な戦略を策定する上で重要な役割を果たし、労働者と事業者の双方が、変化し続ける役割に適応できるようにする」と語った。

問題は規制そのものではなく、執行の甘さにある

EUの規制枠組みは、時折指摘されるようなAI導入の障害ではない。欧州はAIの応用に関するイノベーションにおいて米国をリードしているが、それは規制環境があるからこそであり、規制環境にもかかわらず、ではないのだ。透明性、バイアス監視、知的財産権の遵守、および人間による監督に関する明確なルールは、企業が必要とする法的確実性を生み出し、規制の底辺への競争を防いでいる。EUの規制簡素化政策が、コンプライアンスに関わるコスト削減の名の下に、こうした基盤を蝕むことを許してはならない。

グレゴワール・ポラド欧州商業テレビ・ビデオ・オンデマンドサービス協会(ACT)事務局長は、クリエイティブ産業にとって特に重要な問題点について次のように指摘した。「AI大手企業は、我々の集合的な知的財産にほとんど、あるいは全く関心を持っていない。彼らは配信プラットフォームを構築したが、今度はコンテンツそのものを生み出そうとしている。彼らは、我々の知的財産を尊重することを拒みながら、独自の知的財産を築き上げようとしている。創造的な仕事に対する対価がなければ、メディア産業に未来はない。」

社会対話こそがAI導入を成功させる

労働者代表との有意義な協議なしにAIを導入する企業は、抵抗や不信感に直面し、AI導入は失敗に終わるだろう。対照的に、企業が労働者やその代表者と早期かつ真摯に関与する場合、AI導入は成功する可能性が高まり、信頼を獲得し、双方にとって持続的な価値をもたらすことになる。 本報告書に掲載された事例―銀行業のインテサ・サンパオロ、通信業界のオランジュ、メディア部門のRTLグループーには共通点がある。それは、労働者の参加を組み込んだガバナンスの枠組み、AIが役割をどのように変えるかについての明確なコミュニケーション、そして技術への投資と並行して人材への投資が行われている点である。団体交渉はAI導入の制約ではない。それこそが、導入を成功に導く要因なのである。

本調査は、プロジェクト「持続可能で公正なサービス産業のための生成AIの形成」の枠組みの中で、Visionary Analytics社によって実施された。本プロジェクトは、メディア、銀行、通信部門の欧州社会パートナーであるACT、EBF、Connect Europe、UNI 欧州が推進し、EUの共同資金提供を受けている。


タイのUNI加盟組織、共に未来を築くため団結を強化

2026年6月20~21日に、UNIタイ加盟組織連絡協議会(UNI-TLC)がバンコクで開催した戦略セミナーに加盟組織の役員や代表が一堂に会し、急速に変化する仕事の世界において、タイの労働者にとって公正な未来を確保し、団結強化に向けた議論が交わされた。

このイベントは、組織化と連帯のための重要な機会となり、変化が加速する時代において、労働運動の将来の方向性を形作る一助となるよう、タイのUNI加盟組織に活力を与えた。また、国営銀行や公的金融機関の労働者を代表する組合を含め、タイの金融部門の非加盟組織に対し、UNIを紹介する機会にもなった。

セミナーの冒頭で、スパチャ・カムサニットUNI-TLC議長は、「すべてのサービス部門において、労働者の権利、団体交渉、職場の安全、平等、そしてディーセントワークを推進する上で、UNIが果たす極めて重要な役割について、加盟組織の知識と認識を深めていきたい。また本イベントが連帯の場となり、次世代の労働運動指導者を育成し、すべての労働者のための正義、平等、尊厳を促進するという共通の使命を前進させる一助となることを願う」と語った。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、能力開発、より緊密な部会間の連携、そしてジェンダー平等と包摂への一層の注力を通じて、加盟組織を強化するためのUNIの地域全体的なアプローチについて説明した。またAIが企業のニーズだけでなく人々のために役立つようにすることで、AI主導の変革という猛攻に労働組合が立ち向かうことを求めた。これを実現するためには、AIシステムが職場に導入・展開される前に、強力な労働組合を通じて発信される労働者の声が、AIに関する規制の策定に反映されるようにすることが不可欠である。

アチャリャ地域書記長は、UNI-TLCの取組みを称賛し、「このセミナーはまさに時宜を得たものであり、2024年の第6回UNI Apro地域大会の開催に続く素晴らしい取組みだ。何よりも、参加者の皆さんがこのセミナーから一つの重要なメッセージを持ち帰ってくれることを願っている。それは、UNIを通じてつながっている限り、我々の闘いは孤立したものではなく、世界的な運動の一部であるということだ」と呼びかけた。

UNI-TLCは、商業、金融、印刷・パッケージング、ICTS、郵便・ロジスティクス、ビル管理、メディアという7つの主要部会におけるUNI加盟組織を代表している。 UNI-TLCは本セミナーを通じ、タイのサービス部門の労働組合間の連帯、連携、および共同行動のためのプラットフォームとしての役割を再確認した。


人気YouTubeチャンネルネットワークを展開するTheorist Media労働者の組合結成に支援を!

米国でYouTubeの主要チャンネルを複数運営するデジタル制作会社「Theorist Media」の労働者が、組合承認を求めて闘っている。

UNIはすべての加盟組織に対し、Theorist Mediaの労働者を支援するデジタル連帯行動に参加するよう呼びかける。Theorist Mediaの親会社であるLunar Xの経営陣に声を届けよう。自主的なカードチェック方式による組合承認を受け入れ、遅滞なく誠意ある交渉を開始するよう強く求めよう。

こちらから、Lunar XのCEO宛てにメッセージを送ることができる。(氏名とメールアドレスを入力後、テンプレートのメッセージを送信。オリジナルのメッセージも送信可能)

ベルリンに拠点を置くLunar Xの子会社であるTheorist Mediaのライター、編集者、グラフィックデザイナー、プロデューサーは、全米脚本家組合西部支部(WGAW)および国際舞台演劇映画組合700支部(IATSE Local 700)による労働組合代表権について、明確な過半数の支持を示している。しかし経営陣は、自主的なカードチェック方式による組合承認を受け入れることなく、この民主的なプロセスを遅らせようとしている。

Theorist Mediaの労働者が求めているのは、決して特別なことではない。公正な賃金、手の届く負担の医療費、そして職場での真の発言権を求めて闘っている。

労働者は組合を望んでいるが、経営陣が労働者の選択を無視している―
2025年の秋に労働者は、経営陣に対して自主的なカードチェック方式による組合承認を正式に要請した。これは、組合承認への最も単純かつ迅速、そして民主的なルートであり、署名された承認カードを通じてすでに表明されている過半数支持の証拠を、使用者が認めるだけでよいものである。

経営陣は迅速に回答しなかったが、ようやく回答を示した際、経営陣は手続きを全米労働関係委員会(NLRB)経由で行うことを主張した。同委員会は現在、機能が大幅に縮小されており、承認が12ヶ月以上遅れる可能性がある。

IATSEのアラン・ハイム700支部長と、ミシェル・マルローニーWGAW委員長は、Theoristの最高執行責任者およびLunar Xのクレメンス・ゼメルマイヤー法務顧問に対して共同書簡を送付し、同社に対し「正しい行動をとること――自主的なカードチェック方式による公正な手続きを通じて交渉単位として組合を正式承認し、誠意ある交渉を開始すること」を求めた。

主任脚本家のジェス・トッチ氏は、「我々は、いま活動している脚本家だけでなく、今後この業界に入るすべての人々のために、より良い労働条件を求めて闘っているのだ」と語った。

詳細については、WGAW委員長およびIATSE700支部長による共同書簡を参照。


クロアチアの介助者が結集、全国キャンペーンを開始

2026年5月、クロアチア各地で障がい者の自宅での介助に従事する労働者が初めて一堂に会した。国内で最も孤立し、過小評価されている労働力の一つであるこの職業に対し、社会的認知、公正な資金提供、団体交渉権を獲得するための全国キャンペーンの基盤が築れた。

アラン・セーブルUNIケア部会担当局長は、「欧州全土の障がい者介助や家事援助サービスに従事する労働者は、非常に多くの場合、見えない存在となっており、過小評価されている。だが力がないわけではない。オーストラリア、ドイツ、あるいは米国の仲間たちが同じ立場からスタートし、勝利を収めたことを知れば、団結して取り組むことで何を成し遂げることができるか、認識を変えることができる。UNIは、この部門が緊急に必要としている社会対話と団体交渉を構築しようとしているRISおよびクロアチアの介助者を支援する」と発言した。

2026年 5月22~23日にストビチケ・トプリツェで開催された2日間の研修には、障がい者が自宅で自立した生活を送れるよう支援する約20人の介助者が参加した。このワークショップは、EUが資金提供するプロジェクトの一環として、UNIの支援を受け、加盟組織RISが主催した。

クロアチアの介助者は、労働市場の中でも最も不安定な部門の一つで働いており、産業をカバーする団体協約はなく、他の労働者との接点もほとんどない。この仕事は過酷であり、利用者の尊厳と自立にとって不可欠であるにもかかわらず、使用者や政府、一般市民からほとんど見過ごされたままとなっている。ワークショップに参加したクリスティーナは、「我々が『見えない存在』であり、静かに沈黙している状態にはもううんざりだ。我々は真剣に受け止められなければならない。それを実現するには、団結して共に声を上げることしか道はない。我々は、尊厳ある賃金と労働条件を求めている」と語った。

2日間にわたり、労働者は直接、この部門におけるRISの全国キャンペーン計画に取組んだ。繰り返し取り上げられたテーマは、障がい者を仲間としてキャンペーンに巻き込むことの重要性である。介助におけるディーセントワークを求める闘いは、障がい当事者が尊厳と自立を持って生きる権利と切り離せないものだからだ。

ヤコフ・コラクRIS書記長は、「介助者の存在は、クロアチアにおける障がい者の自立生活の要だが、依然として目に見えず、保護もされていない。今回の研修は、こうした労働者が団結することで何が可能になるかを示した。介助者たちは、誰かに代表されるのを待っているのではなく、自分たちでキャンペーンを築き上げている」と述べた。

労働者は国境を越えた視点も持つことができた。オーストラリア、ドイツ、米国からの国際的な事例は、これより弱い立場からスタートした介助者が組織化し、実質的な成果を勝ち取ってきたことを示している。UNIを通じてつながったクロアチアの介助者は、自らの闘いを孤立したものではなく、世界的な運動の一部として捉え直すことにつながった。


各国の労働組合がメディア産業の安全衛生を推進

英国のメディア・エンターテインメント産業の労働者を組織する組合「Bectu」が2025年に実施した大規模調査によると、英国の同産業に従事する労働者の10人中6人近くが、過去12ヶ月間に不安や抑うつ感を抱いたと報告しており、これは舞台裏で深刻化するウェルビーイングの危機を如実に示す指標となっている。

長時間労働、過密な制作スケジュール、不安定な雇用、そして心理社会的リスクが、世界中の映画・テレビ産業の担い手に依然として多大な負担を強いている。ストレス、疲労、バーンアウト、不適切な行為、薬物乱用は、長年この業界に存在するリスクであるが、COVID-19パンデミックや#MeToo運動以降、より大きな注目を集めるようになった。

若年労働者は特に大きな影響を受けている。Bectuの調査によると、35歳未満のフリーランスの63%がメンタルヘルスの問題に苦しんでおり、10人中6人が職場でのいじめやハラスメントを実際に経験している。

変化をもたらす手段としての「親密なシーン」の調整と団体交渉
世界中の労働組合や雇用主は、具体的な措置を講じて対応している。スウェーデンでは、スウェーデン映画・テレビプロデューサー協会とスウェーデン舞台芸術・映画労組が共同で、映画およびドラマ制作における親密なシーンに関するガイドラインを策定し、プロデューサー、監督、俳優、スタッフに指針を提供している。オーストラリアでは、オーストラリアのジャーナリスト、メディア関係者、パフォーマー、クリエイターを支援する労働組合MEAAが、スクリーン・プロデューサーズ・オーストラリア、オーストラリア監督協会、オーストラリア・キャスティング・ギルド、オーストラリア脚本家協会と提携し、舞台および映像作品における親密なシーンに関するガイドラインを作成した。

フランスでは労使双方がさらに踏み込み、ジェンダーに基づく暴力や性的暴力に直接対処する労働協約の改正案を交渉し、映画業界向けには2024年5月に、テレビや映像業界向けに2025年3月に署名が行われた。各協定では、明確な定義、予防策、およびジェンダーに配慮した安全衛生戦略が定められている。フランスの国立映画基金である国立映画・映像センター(CNC)も、性差別的暴力および性的暴力の防止に関する雇用主および制作スタッフ向けの研修を必須とすることを、を、資金提供の条件としている。

欧州の社会パートナーがリスク評価ツールを改定
欧州レベルでは、テレビ・映像業界の社会パートナーが、重要な労働安全リソースの改訂を進めている。EUの支援を受けて2019~2021年にかけてこの分野のために開発された「オンライン対話型リスク評価(OiRA)」は、ストレスの予防、不適切な行為、職場での暴力、親密な場面を含む心理社会的リスクを組み込むべく改訂されている。改訂版は2026年秋に公開される予定だ。

ヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長は、「これらすべての事例が示しているのは、強力な社会対話とジェンダーに配慮した団体交渉の必要性だ。業界のすべての労働者が、ハラスメントのない、公正で安全かつ健康的な労働条件を享受できることが、議論の核心となるべきだ」と述べた。

UNIは世界中のメディア・エンターテインメント産業の労働者を代表しており、使用者、放送局、公的資金提供者に対し、キャストやスタッフのメンタルヘルスと安全を、制作における譲れない条件とすることを求めている。


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