12月 2008のお知らせ

髙島屋グローバル枠組み協定調印式(2008年11月11日、ニヨン)

グローバルユニオンと日本の多国籍企業が締結する初のグローバル枠組み協定の正式名称は「グローバル枠組み協定:企業の行動規範に関する労使協定」。協定者は株式会社髙島屋、髙島屋労働組合、JSD、UNIである。
調印式の開会にあたって、ジェニングス書記長は日本のだるまを紹介し、「不可能と思われていた日本のグローバル協定が締結できたことで、目を入れられる」と成功を祝い、協定を調印するパートナーを紹介した。
ジェニングス書記長はさらに、「歴史上日本で初めてグローバル協定の締結となる本日の催しは、新しい道を切り開き、グローバル経済に新しい相貌を与えることになるだろう。先週米国の大統領選挙の結果も明らかになったが、今われわれ全員が新しい希望を感じている。株主価値だけではなく、共通の価値、社会的責任を含む新しいビジネスモデルが評価されるようになっている。髙島屋GFAは特にサプライヤーとの関係でも一貫性を保っている」と語った。
署名の後、安藤髙島屋副社長はCSR経営の重要性を、村田髙島屋労組委員長は労使が共に手を取り合って企業の発展を目指す姿勢を、桜田JSD会長は「これがスタート」と強調した。ソマビアILO事務局長は、次のように語った。
「私がILOに来た頃はまだGFAは無かった。その後、2回証人として調印式に参加することができた。現在UNIは30社とGFAを結んだとのこと、全体のGFAの数が70なら、UNIは約半分を占めており、この分野でリーダーシップを発揮していると言えよう。GFAの真のアクターは、実体経済で活動している人々である。調印に至るまでは多くの困難があったと思うが、困難を克服し、今日の調印式までこぎつけたことに敬意を表したい。初めて何かを成し遂げようとする時、最初は多くの困難に直面するものである。髙島屋は、他の日本企業に対する道を指し示したと言える。私は、村田委員長の演説を聞いて2つのことに感銘を受けた。第1にUSR、組合の社会的責任、第2に1300の職場集会開催である。全世界的に、これまでの新自由主義的政策が問われている今、GFAが新たな道を指し示すことを期待している。」
調印式には、UNI世界執行委員をはじめ、約100名が出席した。同時期にILO理事会が開催されており、村木ILO政府側理事、中嶋ILO労働側理事も調印式に出席し、日本初のグローバル協定調印を共に祝った。


STEPPING UP SOLIDARITY! サービス・流通連合

サービス・流通連合は、流通サービス産業の組合の連合体で、2001年(平成13年)7月4日に誕生しました。全国の百貨店、チェーンストア、専門店、卸売業、食品関連(レストラン、食品製造など)、ホテル業、輸送関連業、その他流通産業に関係する労働組合が加盟しています。
組合員数は約21万人です。女性の組合員は全体の61%を占め、働く女性の仲間が多い産業別組織です。また、パートタイマーを約8万人組織化しており、パータイマーの方々の組織化にも力を入れています。
JSDの青年委員会活動は今期からスタートしたばかりで、現在、具体的な活動を検討中ですので、今回はコンセプトのみ紹介し、具体的な活動は次回以降に紹介していきたいと思います。その為、後段にはユース英語セミナー参加者のコメントを載せました。
「この青年委員会(JSDでは「F1M1―エフワン・エムワン」と呼んでいます)は、青年(男女問わず35歳以下の者)同士が「職場」・「企業」・「業種」・「地域」を超えて交流することでヒューマンネットワークを構築するとともに、委員会の参加メンバーが「自分たち自身で考え同じ目標に向かい全員で力を合わせ一つの物を創る」ことで、参加メンバーが「達成感」や「感動」を体感し、労働組合の原点である「仲間意識」や「連帯感」の醸成を図る場としていきます。」

今回はUNI-LCJユース英語セミナーに参加したメンバー近況や感想を報告します。

クレディセゾン労働組合
中央執行委員 牧田 真由美
私は、2007年5月に長崎で開催された第3回UNI-LCJ英語セミナーに続き、2008年10月には英語セミナーのフォローアップとして、UNIフィリピン加盟協とのユースワークショップにも参加させていただきました。
恥ずかしながら、昨年の英語セミナーから、さほど英語は向上しておらず、身振り手振りでのコミュニケーションが中心でしたが、フィリピンユースメンバーと互いの国情や青年活動について様々な意見交換ができました。ただ、やはり日本の状況や私たちの活動について知ってもらうには、自分の言葉で伝えることが重要だと痛感しました。
皆さんと英語でコミュニケーションが図れるよう、2010年長崎世界大会に向け、今後も英語学習を続けた意と思います。良い学習方法があれば、ぜひ教えて下さい!
では、皆さん、2010年長崎で会いましょう。

浜屋労働組合
中央執行委員 森 美香
2007年5月に行われました「第3回UNIユース英語セミナー」に参加させていただきました。私はあまり英語が得意ではないので不安でした。始めのオリエンテーションで、休憩時間以外では英会話のみという過酷な試練が待っていました。ですが普段では交流が持てない労働組合の方々とお話する事ができ、セミナーでは楽しい時間を過ごしました。また、自分から進んでコミュニケーションをとることの大切さも勉強させていただきました。
私は、百貨店に勤めておりますので、外国の旅行者から、よく道を尋ねられます。今でも英会話は上手くできないのですが、単語を聞き取り、ジェスチャーと片言の単語を交えながら話をし、通じた時の嬉しさや「Thank you」と言われた時の楽しさを味わえるようになりました。
2010年11月には、私が住んでいるこの長崎で〈UNI世界大会〉が行われます。
その時までに、英会話をもっと勉強してお迎え出来ればと思っています。英語セミナーに参加させていただき、一歩でも自分が成長できたこと、大変感謝しております。

サービス・流通連合
組織局部長 扇谷 浩彰
VIVA UNI!!
UNI活動に参画をしたのは、04年のモンゴルセミナー、06年・08年のタイ・テスコロータス労組支援セミナー、08年の英語セミナーですが、いずれの活動も私にとっては大きな意味を持っています。諸外国の労働運動に携わる人々と交流を持つ事により、各国における労働運動の異なりを伺い知る事ができ、国内における他産別の組合役員との交流からは、自組織の取り組みのアピール点と未成熟な点を感じる事ができました。
今後も、より多くの方々との接点や交流する機会を持ち、それらの経験を業務に役立てていきたいと思います。

中村ストアー労働組合
執行委員 時里 洋子
セミナーに参加した時はUNIや労働組合についての知識はあまりありませんでしたが、今振り返ってもおもいだされるのは楽しいことばかりです。
日本人どうしで英語を話すという環境はとても新鮮でした。そして何より、日本各地からの参加者、そして外国から来てくださった講師の方々やUNIのスタッフの方々と組合活動についての悩みや問題点などを共有化できとても貴重な経験をさせていただきました。
現在までもまだまだ執行委員として勉強の毎日ですが、組合員の方々へ組合活動についての認識を高めて頂けるよう地道に頑張っていきます。
もちろん英語の勉強も頑張っていきますよ!

東急百貨店グループ労働組合
事務局次長 瀬戸 哲朗
3日間で所定の課題をこなし、親睦を深め、長崎へ向け私を含め、参加した皆さんが前向きになれたのではないかと思います。海外の労組の取り組み事例や、ビルマの現状、セカンドライフを利用したIBMイタリアの攻略など、様々な取り組みを学び、今後の労組活動に大変参考になりました。
参加者の皆さんとも交流させていただき、異なる業界に、また日本各地に、よいネットワークができたと思っています。これは今後の活動に活かして行きたいと思っています。
セミナーの所感にも記載しましたが、2010年の長崎・世界大会時には役員を務めているか分かりませんが、何らかの形でお手伝いが出来れば、と思っております。
今回は貴重な機会をありがとうございました。
反省点としましては、私個人の問題かもしれませんが、事前にJSDの青年活動、女性活動などについての取り組みに対して予習をしなかったので、他の産別の方と議論がかみ合いませんでした。JSDの皆さんにはお詫び申し上げます。
これは単組内での問題かもしれませんが、私は多少の英語力があったため、単組内での派遣が決まりましたが、参加者の皆さんは若手の方が多く、セミナーの狙い(2010年へ向けた若手の育成)と自分とのギャップを感じてしまいました。


UNI世界商業部会拡大運営委員会(2008年11月13日、ニヨン)

2008年11月13日、ニヨンで標記委員会が開催され、日本からは以下のメンバーが参加した。

委員 サービス・流通連合 会長  桜田高明
オブ UIゼンセン同盟 副書記長  橋本和秀
オブ UIゼンセン同盟 国際局部長  中野英恵
オブ 自動車総連 企画室国際グループ長  村山恵一
オブ サービス・流通連合 事務局長  八野正一
オブ サービス・流通連合 国際局部長  本田小枝子
オブ サービス・流通連合 中央執行委員 村田善郎
オブ サービス・流通連合 髙島屋労働組合 中央書記長  佐藤尚弘
オブ サービス・流通連合 髙島屋労働組合 中央執行委員  小熊栄
事務局 UNI-Apro東京事務所 所長 伊藤栄一
なお、ゲストとして明比髙島屋人事部長が参加した。

アラン・スポールディングUNI商業部会議長が開会した。
ボイヤー副書記長は、「日本でGFAは不可能と考えられていたが、桜田会長、JSDのイニシャティブで髙島屋とのGFAが実現できた。このことは、不可能なことは無いということを示している。UFCWは、H&Mに組合を作ることが出来た。髙島屋のGFAにより、将来ニューヨークでも組合が作られることを望む。さらに髙島屋GFAが優れている点は、労働者が関与していることだ。1300の職場会を開き、GFAを周知した。GFAを労働者が理解していることが重要である。ショップライトなど、今後更に働きかけを強めて欲しい」と挨拶した。

髙島屋GFA
村田髙島屋労組委員長が、今回のGFA締結に至る経過、特徴、今後の方向を説明した。桜田JSD会長は、UNI-LCJの観点から見た今回のGFAの意義を語った。
明比髙島屋人事部長は、「日本経済の低迷、少子高齢化という状況の下で、顧客のニーズを常に考え、誠実な経営をしていかねばならない。髙島屋はCSRを経営の柱としてきた。今回のGFA締結にあたっても、多くの討論をしてきた。UNIに対する理解を促進する上で助かったのは、ジェニングス書記長とウン地域書記長が来日し、相互理解を深めたことだった。今後はこの協定をスリーピング協定にしないように、常に机の前に置いておきたい」とユーモアを交えて述べた。
ウン地域書記長は、髙島屋がシンガポールに開店した時の思い出から始め、「UNIが信頼できる組織であることを示せた」ことが重要だったと述べた。アペルバウム委員(RWDSU/UFCW)は、「新しい経済にあって、使用者としての責任を示してくれた。今後米国の他の使用者と話す時、髙島屋の例を示すことが出来る」と述べた。ヤン・フルステンブルク局長は、「GFAを深く考えるきっかけを与えた」と髙島屋のGFAを高く評価した。

商業部会に対する経済危機のインパクト
フルステンブルク局長は、経済危機のインパクトと危機からの脱出というテーマと結び付けて活動を報告した。特に多国籍商業企業ごとに現在の状況を詳しく説明した。

インドネシア・へーロースーパーマーケット
ウン地域書記長は、パートナーシップ労使関係の実例として、へーローの例を紹介した。

インド商業部門組織化プロジェクト
このプロジェクトは、2009~2011年の3年間UNI-COME組織拡大を目指すものである。2009年はバンガロールで330名、ハイデラバードで240名、デリーで400名を目標とし、3人のオルガナイザーがメトロ、ビッグバザール、シュビクシャの組織化を目指す。ボイヤー副書記長は、インドの状況を説明した。すでにマッピングは終わっており、組織化を行う体制は出来ている。
フルステンブルク局長は、「非政治的であることを示す必要がある」と述べた。ウン地域書記長は、「まずメトロで良い労使関係を作り、これをモデルとして、UNI-COMEを拡大したい」と述べた。

イケア
スウェーデンの代表からは以下の報告があった。「イケアは40カ国、18万人が営業・流通に関わっている。CEOはカリスマ的な人物であり、飛行機はエコノミー、古いボルボに乗り、クリスマス前には店舗に来て、人々と握手するなど、“イケアウェイ”を実践している。スウェーデンの1万7000人の従業員は組織化されているが、他国では組合は少ない。我々とのGFAについては否定的で、良い政策を実施しているので必要ないと言っている」
ドイツの代表は、「ドイツのイケアには、組合員はいるが、協約は締結できていない。我々は、スウェーデンの仲間の援助も得て、経営側と対話を始めることが出来た」と語った。

インディテックス・ザラ
フルステンブルク局長は、「創業者は、自転車でシャツを売る商売から始めた。そのため、労働者を理解している。スペインでは労使関係は良いが、海外で問題のある国もある。GFAに向け前進したい」と述べた。

ショップライト・チェッカーズ
南アフリカの企業だが、アフリカ諸国を中心に17カ国以上に進出している。現在、GFA締結を交渉している。

UNIテスコグローバル労組同盟
テスコは英国では良い企業だが、他国では組合忌避的行動が多い。米国UFCWは「テスコの2つの顔」という小冊子を出した。日本からは橋本UIゼンセン同盟副書記長が、「日本のテスコは、マーケティングをまず行い、続いてM&Aで拡大していく手法をとっている」と述べた。米国のテスコは、ある投資家の情報によれば、「米国経済の悪化と強力な労組によって良い業績を上げられず、2009年には撤退するかもしれない」とのこと。

欧州社会対話
ユルゲン・ホッペ委員(デンマークHK)は、「欧州レベルで達成できることが、各国レベルの期待に応えているわけではない。この点を改善しなければならない」と報告した。

2009年活動計画
アルケ・ベシガー新局長(2009年1月就任予定)は、「カルフール、H&M、メトロなどGFAが既にあるところは、関係を強化し改善していく。今後GFA締結を目指す企業は、センコスード、へーロー、イケア、インディテックス、ショップライト、テスコである。中国と関係を作り、インドのプロジェクトを続ける。新技術、派遣と契約労働、CSRに注目する」と述べた。橋本UIゼンセン同盟副書記長は、「CSRを活用し、ITGLWFが主催するブランドとの会議を利用してはどうか」と提案した。フルステンブルク局長は、「サプライチェーン関係強化は重要であり、ブレークスルーになるかもしれない。他のGUFとの関係を強化すべき」とコメントした。デブリュンSDA書記長は、「オーストラリアの商業企業ではまだ契約労働は無いが、将来を考えると不安だ」と述べ、「活動計画には賛成だが、進展について3ヶ月毎に簡単な報告を出してほしい」と要請した。
最後に、フルステンブルク局長が今年末で退任することが報告され、感謝の辞が述べられた。後任には、ベシガー女史が就任する。


UNIプライベートエクイティ・グループ会議(2008年11月10日、ニヨン)

2008年11月10日、ニヨンで標記委員会が世界執行委員会の前段に開催された。UNIプライベートエクイティ(PE)・グループは、ラーナー議長(米国SEIU)を中心に年1回会議を開催しており、関心あるUNIメンバーは誰でも参加できる。日本からの参加者は以下の通り。日本からは今回初めてこの種の会議に参加した。

NTT労組 中央執行委員長   加藤友康
NTT労組 国際担当   木村富美子
UIゼンセン同盟 副書記長   橋本和秀
UIゼンセン同盟 国際局部長   中野英恵
自動車総連 事務局長   相原康伸
自動車総連 企画室国際グループ長   村山恵一
損保労連 中央執行委員長   石川耕治
サービス・流通連合 事務局長   八野正一
サービス・流通連合 国際局部長   本田小枝子
サービス・流通連合 中央執行委員   村田善郎
サービス・流通連合/髙島屋労働組合中央執行委員 小熊栄
UNI-Apro東京事務所 所長   伊藤栄一

開会
ラーナー議長が欠席したため、ジェニングス書記長が開会した。
PEを扱うマルチメディア・プレゼンテーションの後、ジェニングス書記長は、「2007年は、まずミュンヘンで開催されたPEのスーパーリターン会議に対する対抗会議から始まった。また米国PE協議会のグループと4回の会合を持ち、その結果労働問題を扱う小グループができた。メンバーはGUF代表と法律家、学識者である。一連の対案を出したが、回答はまだ完全な形では来ていない。デンマーク、フランスでも対話を行っている」と述べた。
続いて、2008年7月17日に米国SEIUによって呼びかけられ、全世界で取組まれた「KKRグローバルアクションデー」の報告が映像で行われた。マイケル氏(SEIU)は、この取組みを評価すると共に、「SEIUはKKRと直接対話することが出来たが、結果が出ているわけではない」と報告した。

テーマ1「金融危機におけるプライベートエクイティ」 カレル・ウィリアムス・マンチェスター大学教授
PEによる企業買収の構造と現状を説明した。金融危機におけるPEの行動については、クレジットクランチと金融危機の中で、多くのファンドが資金繰りに苦しんでいるほか、ポートフォリオ企業も破綻し、損害が出ている。しかし2006~07年に巨額の資金調達が出来たPEは、新しい投資先を求めている。限られたPEに資金が集まっている状況である。

テーマ2「規制改善を求めるキャンペーン」 ピエール・ハバードOECD研究員
借金で繁栄する方法はだめだということが明らかになった。自ら仕組み商品(Structured Product)を勝手に作り、リスク商品をパッケージにして販売するなど、規制された金融市場の売買ではなかった。格付け機関が楽観的な評価を与えていたことも問題だった。金融には非規制の世界と規制の世界が出来ており、ごまかしは体質化した。リーマンブラザース理事会の10人中2人しか金融の知識が無かったという事実を聞くと、ガバナンスの古典的な問題が問われているといわざるを得ない。また中央銀行がバブルを阻止できなかった点も、市場の自然機能に依存しすぎだったと指摘できる。今後、金融のセーフガード強化、プルデンシャルルールの見直し、オフショアの規制、規制当局のスタッフィングなど規制政策の改善が重要である。

テーマ3「プライベートエクイティにおける労働基準の促進」 デイモン・シルバース氏(AFL-CIO)
負債によって資金調達し、企業を買い上げ、コントロールするというレバレッジドバイアウト・モデルが崩れた。銀行は、リスキーな人には貸さない方針に転換し、PEは資金繰りに苦慮、さらに株価が低迷しているのでエグジットも出来ない。PE、ヘッジファンド産業自体が崩壊の危機にある。
討論では、橋本UIゼンセン同盟副書記長が、「日本でもPEの資金力が落ちており、運転資金が借りられないという問題が発生している。我々が関係している企業の中には、緊急に資金を必要とする場合もあり、欧米ファンドの日本コーディネーターと交渉したいが、なかなか出来ない事情がある。事業会社との交渉を強化し、ファンドの担当者を動かすように交渉力を高めたい。これまでのファンドの行動を見ると、日本型労使関係を無視して買収を行っても、例えばスティールパートナーズのように失敗例が多い。規制については、PEだけの規制は難しいと思う。労働法制を守らせることをポイントとする方が現実的であろう」と発言した。
石川損保労連委員長は、「英国と米国では規制の形が違う。30%以上買収する場合は現金を必要とする英国型規制は、グリーンメーラー的買収を阻止する上で有効性があるのでは」とコメントした。
ジェニングス書記長は、UNI欧州の「金融市場の規制に関する13の要求」をベースにUNIとしての規制強化の要求を行う方向を示した。「来年はシアトルのWTO反対デモから10年。サイクル的に、大衆運動が高揚することが予想される。どういう社会であるべきか。新しいブレトンウッズをいかに作るか。我々は、幅広いアライアンスを作るべきである」と述べた。

テーマ4「年金基金に影響を与える」
年金基金がPEに投資している問題については、多くの参加者が危惧を表明した。金融問題に詳しいNGOのAVAAZを代表して出席したポール・ヒルダー氏は、「我々は新しい世界に生きている」と語った。ドイツVer.diのラインブレヒト氏は、公的な年金システムを充実させ、金融商品ではなく、生産とインフラに投資すべきであると主張した。

2009年のUNIプライベートエクイティ・グループの活動は、2月4日ベルリンで開催されるスーパーリターン対抗会議から始まる。金融・経済危機の進展に対応し、適切なキャンペーンを行っていくことが討論された。


DHLエクスプレスの米国からの撤退

2008年11月10日は、CEPL(クーリエ・急送便・小包・ロジスティクス)の歴史に残る日となろう。この日、「DHLは2009年1月30日をもって、米国国内市場から撤退する」と発表された。2003年以来75億ユーロのコスト・損失を出し、CEPL産業における最も高価な「冒険」は終息した。DHLの米国急送便市場からの劇的な撤退は、今年の国際急送便産業における最大の事件とも形容される。撤退によって1万人以上の従業員が職を失い、世界で最も大きな急送便・小包市場の競争環境を変化させ、DHLエクスプレスの戦略再構築につながった。 1990年代の後半から、クラウス・ツムヴィンケル前CEOの下、ドイツポストワールドネットは、世界最大のCEPL事業者として、多国籍企業に「ワンストップ・ショッピング」を提供するという戦略を立て、類を見ない規模で全世界的な拡大を行った。この拡大のコーナーストーンは、UPSとFedExとの競争に打ち勝つべく、2003年米国第3位の急送便企業であるエアボーン・エクスプレスを10億ドルで買収したことであった。DHLエクスプレスは、さらに12億ドルを投資し、航空と地上のハブと拠点を作り、全国的なネットワークの建設を計った。3億ドルをかけ、2005年オハイオ州ウィルミントン飛行場を米国のハブとしたのも、この計画の一つである。
しかし実際にはこの戦略は最初から失敗していた。2002年エアボーン・エクスプレスは、米国国内市場で19%のシェアを持ち、3億5600万個の小包を配達していた。2004年DHLがエアボーンを完全に統合して1年目、DHLのシェアは7%だった。43億2700万ユーロの収入に対し、4億9500万ユーロの営業損失を出した。2005年DHLは米国市場で4億5200万個(1日の取扱量170万個)を取り扱い、(収入ベースで)9%のシェアを標榜した。しかしその後、DHLエクスプレスUSAの損失は毎年劇的に増加していった。ビジネスは、ウィルミントン・ハブの開港に関わる運営上の問題、品質管理上の問題、さらに最近の米国経済の悪化に直撃された。2007年DHLエクスプレスUSAの営業損失は10億ドルだったが、2008年は15億ドルと予想されている。現在の1日の取扱量は120万個であり、2005年より30%減少している。
2008年5月28日フランク・アペルがドイツポストワールドネットの新しいCEOに就任し、ハンドブレーキを引いた。彼とDHLエクスプレスのCEOであるジョン・マレンは、20億ドルに上るリストラプログラムを発表し、2011年には損失を3億ドルまでに切り詰めるとした。計画の骨子は、1万8000人のDHLエクスプレスUSAの職員を1500~1800人削減し、グラウンドネットワークをダウンサイジングし、米国内の航空輸送をUPSに100億ドルで委託し、約8000人の職員削減と共にウィルミントン・ハブを閉鎖するというものであった。
しかしこのリストラ案は米国内で政治問題となり、UPSは身を引き始めた。しかも米国の経済危機と米国におけるDHLブランドの急速なイメージ悪化は、ここ数ヶ月DHLのビジネスを更に直撃し、先のリストラ計画では建て直しは不可能となった。それゆえ、11月10日DHLエクスプレスは、1月30日をもって米国の国内オペレーションからは撤退し、米国差し立て・到着の国際急送サービスのみに特化することを決定したのだ。
この間、UPS、FedEx、USPS(郵便公社)は、米国におけるDHLエクスプレスの顧客を獲得すべくウェブサイトなどでキャンペーンを張っている。
DHLエクスプレスのジョン・マレンCEOは、「米国に足場を持つことは、我々の全体としてのグローバル急送ネットワークにとって重要である。我々のトップ200顧客の約半分は米国を拠点としている」と語っている。2006年米国における国際CEP市場(46億ユーロ)のDHLエクスプレスのシェアは13%、FedExは34%、UPSは18%である。この分野におけるDHLのポジションは、他の地域ではもっと強い。2006年欧州における国際CEP市場(121億ユーロ)のDHLのシェアは24%、アジア太平洋地域における国際急送便市場(56億ユーロ)では34%との数字を誇っている。米国から撤退するDHLが他の地域で攻勢に出ることによって、今後この分野の競争が更に激化することは必至である。
(「CEPリサーチ」2008年11月14日号等から編集)


UNI-MEI代表団来日(2008年11月20~21日、東京)

UNI-MEI(メディア娯楽部会)代表団として、ヨハネス・ストゥディンガーUNI-MEI部会副部長、米国脚本家組合(WGA)のチャールズ・スロッカム副書記長が来日し、日本の映画団体等と意見交換した。
11月中旬ニュージーランドで、国際脚本家連盟(International Affiliation of Writers Guild)の総会が開催され、両氏は総会に出席した後、来日した。脚本家の国際組織としては、他にFSE(欧州シナリオ作家連盟:Federation Of Screen Writers Europe)がある。
米国には脚本家組合が2つあるが、WGAはハリウッドを中心に、強力な組織を誇る。ハリウッドでWGAに入っていない脚本家はまずいない。組合員は約1万人、スタッフは20人のオルグ、160人の法律家、会計士などからなる。映画会社や放送局との団体協約の締結と実施、健康保険・年金スキームの運営、著作権や二次使用に関わるロイヤルティーの受領業務が主な仕事であり、専門性の高いスタッフが必要とのこと。特にロイヤルティーの受領・配布は、脚本家の収入の最も大きな部分を占める。2007年11月から2008年2月まで「100日スト」を闘い、テレビドラマの放映をストップしたことで世界にWGAの名を轟かした組合である。ハリウッドでは、映画監督、俳優など映画制作に関わる全ての人々が、同様の強力な組合によって組織されている。
代表団は20日、UNI-Apro東京事務所を訪問した後、日本脚本家連盟、シナリオ作家協会と意見交換を行った。両団体とも協同組合形態を取っており、労働組合ではない。映画部門において、脚本家は唯一著作権を認められており、両組織とも著作権の受領団体としての性格を有している。さらに映演共闘と交流し、日本の映画演劇部門の状況と労働条件、職業団体について聞き取りを行った。21日は、日本映画監督家協会を訪問し、幅広く意見交換した。昼は民放労連主催昼食会に出席し、インターネットテレビのインパクト、デジタル放送への移行などのテーマで意見交換した。
その後、日本映像監督協会を訪問、労働組合化などのテーマを含め、率直な意見交換が行われた。国際交流に関しては、CISAC(著作権を中心に活動している)、旧AIDAA(監督を中心とする)などの国際団体へ加盟・連携している団体もあるほか、日本映像監督協会は毎年アジアの映画人とのシンポジウムを開催しており、概して関心が高く、「UNI-MEIという団体のことは全く知らなかったので、今後とも情報交換したい」という積極的な意見が多く聞かれた。
UNI-MEI代表団は、今年3月にも来日しており、日本のコンテンツ制作に関わる職能団体と交流を深めている。


UNI-LCJ印刷部会セミナー「欧州社会モデルを学ぶ」(2008年11月18日、全印刷会館)

ミシェル・ミュラーUNI印刷部会議長、アドリアーナ・ローゼンツヴァイクUNI印刷部会担当局長、トミー・アンダーセン・スウェーデン印刷労組(グラフィスカ)委員長を中心とするUNI印刷部会代表団が2008年11月16~19日に来日し、印刷関係労組と交流、標記セミナーで講演した。

印刷関係労組訪問
印刷労連
代表団は、印刷労連を訪問し、吉村副委員長、柿崎書記長と意見交換した。代表団は、まずUNI印刷部会の現状を報告した後、日本の印刷産業と印刷労連組織の現状について説明を受けた。日本では紙媒体からデジタル印刷へと変化する中、紙媒体部門の熾烈な競争、デジタル部門に進出可能な限られた企業による寡占化、印刷産業労働者の減少が見られ、大変厳しい状況の中にあることが説明された。代表団からは、中小企業でも技術革新を行い、発展しているイーランダー社(スウェーデン)の例が発表された。今後とも情報交換・意見交換していくことで合意した。

情報労連NTTクオリス労組
三木委員長から、NTTクオリスの現状について説明を受けた。NTTクオリスは、近代的な設備を誇り、キャパシティーは大きいが、広告の減少、電話帳の発行部数低下の中、一工場の閉鎖が通告され、組合として雇用と生活をいかに守るかの交渉に苦慮しているとの報告があった。

全印刷
11月17日に全印刷主催夕食会が開催され、全印刷からは竹井委員長、荒川副委員長、宇田川書記長以下中央執行委員会メンバーが参加し、代表団を歓迎した。竹井委員長は、ザグレブで開催されたセキュリティー印刷会議では大いに学ぶことが出来、企画に感謝していると述べ、継続を要請した。竹井委員長は、UNI-Apro印刷部会副議長の任に就いており、今後のUNI印刷部会活動の進め方についても意見交換した。

新聞労連
新聞労連では、豊委員長、木部書記長から、新聞産業をめぐる現状について説明を受けた。広告費の減少、発行部数の減少の中、どの新聞社も合理化を進めており、一部地域ではライバル社が共同して印刷会社を作り、アウトソースする例も出ている。分社、下請け会社の組織化が重要との点で一致した。フランス政府は、新しい新聞政策を発表し、12月には新聞労働者のストがあるとの情報も開示された。

広告労協
広告労協は、大手から中小まで日本を代表する広告会社を組織している。印刷、メディアと関係が深い業界だが、印刷会社は直接広告会社に事務所を置いて営業している。藤井広告労協事務局長からは、オムニコム、IPPなど多国籍企業へのアクセスを持ちたいとの希望が表明された。

この他、代表団は、加藤NTT労組委員長を表敬訪問し、UNI世界執行委員会、情報労連の役割について意見交換した。

UNI-LCJ印刷部会セミナー「欧州社会モデルを学ぶ」
ローゼンツヴァイクUNI印刷部会担当局長は開会挨拶で、昨年・今年の訪問を通じ活動への多くの示唆を得ていると日本の受入れ労組に感謝し、今後デジタル化が進行する中で旧来の労働者だけでなくホワイトカラーやIT労働者の組織化にも取組んでいくと語った。全印刷の竹井委員長は9月にザグレブで開催されたUNI印刷部会諸会議に出席し世界的な印刷産業の動向について新しい知見を得られたことに感謝し、本セミナーの成功を祈念した。
欧州社会モデルのケーススタディとして、まずミュラーUNI印刷部会議長(フランスFILPAC-CGT書記長)より、フランスの社会モデルを構成する重要な要素である労働法成立の経緯と内容、更に産別レベルの団体協約、企業レベルの企業協約について印刷産業における歴史、現状、課題が発表された。印刷産業労組の歴史は古く1881年に活版工の全国組織が結成されたのが始まりであり、1953年に印刷産業労働者全てに適用される産業レベルの団体協約が締結された。1968年以降従業員数50名以上の企業で企業委員会の結成が認められ、苦情処理や福利厚生活動を行っている。近年のEUの拡大、グローバル化に伴う国際競争の激化、新自由主義的なサルコジ政権の誕生により団体協約の影響力が低下しており、時代に合った協約策定のための交渉が求められている。理想の社会モデルはひとつではなく、国によっても異なるが、各国の経験を交換し労働者にとってより良い社会モデルを構築するべきである。
ふたつ目のケーススタディとして、アンダーソン・スウェーデン印刷労組(グラフィスカ)委員長がスウェーデンモデルの特徴である手厚い社会保障制度と労働組合が果たす積極的な役割について様々な統計を用いて発表した。同国は80%の組織率を誇るが、これは労働組合が失業保険基金を管理しているためである。基金は労使双方で負担され、それまでの所得の80%という手厚い給付金が補償される。スウェーデンモデルは法律ではなく、労使というソーシャルパートナー同士の交渉で決められ全労働者に適用される団体協約によって支えられ、これまではうまく機能してきた。しかし、2年前に労組に敵対的な保守中道政権が成立してから失業保険基金の給付や職業訓練が削減されるなど、手厚い社会保障を特徴とするスウェーデンモデルが脅威に晒されており、労働組合としては次回選挙での社会民主党政権の樹立を目指し闘っている。
ふたつの社会モデルが示された後、組織率の低下、ワーキングプア、非典型労働者の現状や両国の反組合的政権への労働組合の対応等について質疑応答が行なわれた。セミナー後は、同会場にてレセプションが開催され、参加者との更に活発な意見交換が行なわれた。


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