UNIプライベートエクイティ・グループ会議(2008年11月10日、ニヨン)

2008年11月10日、ニヨンで標記委員会が世界執行委員会の前段に開催された。UNIプライベートエクイティ(PE)・グループは、ラーナー議長(米国SEIU)を中心に年1回会議を開催しており、関心あるUNIメンバーは誰でも参加できる。日本からの参加者は以下の通り。日本からは今回初めてこの種の会議に参加した。

NTT労組 中央執行委員長   加藤友康
NTT労組 国際担当   木村富美子
UIゼンセン同盟 副書記長   橋本和秀
UIゼンセン同盟 国際局部長   中野英恵
自動車総連 事務局長   相原康伸
自動車総連 企画室国際グループ長   村山恵一
損保労連 中央執行委員長   石川耕治
サービス・流通連合 事務局長   八野正一
サービス・流通連合 国際局部長   本田小枝子
サービス・流通連合 中央執行委員   村田善郎
サービス・流通連合/髙島屋労働組合中央執行委員 小熊栄
UNI-Apro東京事務所 所長   伊藤栄一

開会
ラーナー議長が欠席したため、ジェニングス書記長が開会した。
PEを扱うマルチメディア・プレゼンテーションの後、ジェニングス書記長は、「2007年は、まずミュンヘンで開催されたPEのスーパーリターン会議に対する対抗会議から始まった。また米国PE協議会のグループと4回の会合を持ち、その結果労働問題を扱う小グループができた。メンバーはGUF代表と法律家、学識者である。一連の対案を出したが、回答はまだ完全な形では来ていない。デンマーク、フランスでも対話を行っている」と述べた。
続いて、2008年7月17日に米国SEIUによって呼びかけられ、全世界で取組まれた「KKRグローバルアクションデー」の報告が映像で行われた。マイケル氏(SEIU)は、この取組みを評価すると共に、「SEIUはKKRと直接対話することが出来たが、結果が出ているわけではない」と報告した。

テーマ1「金融危機におけるプライベートエクイティ」 カレル・ウィリアムス・マンチェスター大学教授
PEによる企業買収の構造と現状を説明した。金融危機におけるPEの行動については、クレジットクランチと金融危機の中で、多くのファンドが資金繰りに苦しんでいるほか、ポートフォリオ企業も破綻し、損害が出ている。しかし2006~07年に巨額の資金調達が出来たPEは、新しい投資先を求めている。限られたPEに資金が集まっている状況である。

テーマ2「規制改善を求めるキャンペーン」 ピエール・ハバードOECD研究員
借金で繁栄する方法はだめだということが明らかになった。自ら仕組み商品(Structured Product)を勝手に作り、リスク商品をパッケージにして販売するなど、規制された金融市場の売買ではなかった。格付け機関が楽観的な評価を与えていたことも問題だった。金融には非規制の世界と規制の世界が出来ており、ごまかしは体質化した。リーマンブラザース理事会の10人中2人しか金融の知識が無かったという事実を聞くと、ガバナンスの古典的な問題が問われているといわざるを得ない。また中央銀行がバブルを阻止できなかった点も、市場の自然機能に依存しすぎだったと指摘できる。今後、金融のセーフガード強化、プルデンシャルルールの見直し、オフショアの規制、規制当局のスタッフィングなど規制政策の改善が重要である。

テーマ3「プライベートエクイティにおける労働基準の促進」 デイモン・シルバース氏(AFL-CIO)
負債によって資金調達し、企業を買い上げ、コントロールするというレバレッジドバイアウト・モデルが崩れた。銀行は、リスキーな人には貸さない方針に転換し、PEは資金繰りに苦慮、さらに株価が低迷しているのでエグジットも出来ない。PE、ヘッジファンド産業自体が崩壊の危機にある。
討論では、橋本UIゼンセン同盟副書記長が、「日本でもPEの資金力が落ちており、運転資金が借りられないという問題が発生している。我々が関係している企業の中には、緊急に資金を必要とする場合もあり、欧米ファンドの日本コーディネーターと交渉したいが、なかなか出来ない事情がある。事業会社との交渉を強化し、ファンドの担当者を動かすように交渉力を高めたい。これまでのファンドの行動を見ると、日本型労使関係を無視して買収を行っても、例えばスティールパートナーズのように失敗例が多い。規制については、PEだけの規制は難しいと思う。労働法制を守らせることをポイントとする方が現実的であろう」と発言した。
石川損保労連委員長は、「英国と米国では規制の形が違う。30%以上買収する場合は現金を必要とする英国型規制は、グリーンメーラー的買収を阻止する上で有効性があるのでは」とコメントした。
ジェニングス書記長は、UNI欧州の「金融市場の規制に関する13の要求」をベースにUNIとしての規制強化の要求を行う方向を示した。「来年はシアトルのWTO反対デモから10年。サイクル的に、大衆運動が高揚することが予想される。どういう社会であるべきか。新しいブレトンウッズをいかに作るか。我々は、幅広いアライアンスを作るべきである」と述べた。

テーマ4「年金基金に影響を与える」
年金基金がPEに投資している問題については、多くの参加者が危惧を表明した。金融問題に詳しいNGOのAVAAZを代表して出席したポール・ヒルダー氏は、「我々は新しい世界に生きている」と語った。ドイツVer.diのラインブレヒト氏は、公的な年金システムを充実させ、金融商品ではなく、生産とインフラに投資すべきであると主張した。

2009年のUNIプライベートエクイティ・グループの活動は、2月4日ベルリンで開催されるスーパーリターン対抗会議から始まる。金融・経済危機の進展に対応し、適切なキャンペーンを行っていくことが討論された。


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