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「EU は緊急に行動を起こすべき」:欧州労働組合連盟、EU-イスラエル連合協定の見直しを支持

2025年5月下旬、EU外務理事会は、残虐行為、人権侵害、人道法に対する重大な違反の証拠が相次ぐ中、EUとイスラエル間の広範な貿易・協力協定の見直しを決定した。EU 連合協定第 2 条は、両者の関係は「人権と民主主義の原則の尊重に基づくもの」であると規定している。

5月21日に欧州労働組合連盟(ETUC) 執行委員会はこの決定を歓迎し、欧州委員会に対して「協定の見直しが完了次第、適切な措置を講じる」よう求めた。ETUC は声明の中で次のように述べている。

この決定は、イスラエルによるガザ地区への破壊行為、その結果としての多数の死者とインフラや建物の破壊、ガザ住民追放に関する協議の継続などを背景に下されたものである。 (…中略…)EUは、ガザと占領下パレスチナで進行している状況に対し、緊急に行動を起こす必要がある。…信頼できる国際的な情報源による十分な証拠に基づき、EUはEU-イスラエル連合協定の第2条に違反があると結論付けることができる。(…中略…)ETUCは、イスラエルとパレスチナの間で交渉による合意に達し、持続可能で平和的な『二国家解決』を実現し、人道支援のための国境の開放と国際法への完全な尊重を伴う即時かつ永久的な停戦を改めて呼びかける。我々は強制的な移住を非難し、すべての捕虜の解放を求める声を支持する。(…中略…)ETUCは世界中で行われているあらゆる人権侵害を非難し、紛争地域における労働者および労働組合との連帯を表明する。ETUCとその加盟組織は、公正で持続可能な平和の基盤として、社会正義と国際法の尊重を追求し続ける。」

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のようにコメントした。「ETUCの行動呼びかけを歓迎する。EUでの前進は喜ばしいニュースだ。ガザで飢餓の脅威が迫る中、世界は危機的状況にあり、我々はこの危機が展開するのをリアルタイムで注視している。封鎖を非難する強い言葉が繰り返し表明され、深刻な人道危機の終結を求める多くの声が上がっている中、この動きは長年待ち望まれてきた具体的で必要な一歩だ。」


UNI Apro、ILO総会に対しミャンマーに対するILO憲章第33条の支持を要請

2025年5月21~22日にシンガポールで開催された第34回UNI Apro執行委員会で、ILO憲章第33条のミャンマーに対する措置の発動を求める国際的な呼びかけについて、強い支持を表明する連帯声明が採択された。この問題は、今年6月に開催される第113回ILO総会で議論される予定だ。

声明において、UNI Apro執行委員会は、2021年2月1日に発生した軍事クーデターにより被害を受け続けているミャンマー国民との連帯を再確認した。

同執行委員会はまた、2025年3月28日に発生したマグニチュード7.7の地震後に、援助の妨害や民間人に対する空爆の継続など、人道危機の悪化に対し深刻な懸念を表明した。

UNI Apro執行委員会は、2025年6月2日から13日まで開催される第113回ILO総会に参加するすべての政府、使用者団体、労働組合に対し、ILO憲章第33条措置に賛成票を投じるよう求める。また、国連システムや二国間・多国間機関を含む国際社会全体に対し、第33条に基づき採択される措置と政策・行動を一致させるよう呼びかける。


金融労組がスイスに集結、AIが産業に与える影響について議論

2025年5月半ば、35カ国から80人を超えるUNI加盟組織の役員が、スイス・ニヨンのUNI本部に集まり、銀行業と保険業界において拡大する人工知能(AI)の影響について議論した。

UNI 世界金融部会が主催したこの会議では、労働組合、国際機関、主要な銀行経営陣が参加し、AIが労働者に与える影響、リスク、機会について議論し、労働組合がAIの普及をどのように形作ることができるのか、意見を交わした。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、UNIが労働者に及ぶAIの影響に関する議論の先頭に立ってきたと述べるとともに、労働組合が社会対話と団体交渉を通じて果たす役割の重要性を強調した。同書記長は、「直感的に分かりにくいかもしれないが、実際にAIは労働者の問題だ。労働組合として、我々は有害な影響、その軽減策、リスク評価、そして労働の強化から生じる問題を認識している。準備を整え、互いに話し合い、互いから学ぶ必要がある。我々は準備を整え、自らの能力を構築していくことができる」と訴えた。

アンナ・マリア・ロマーノUNI世界金融部会議長は、職場のダイナミクスにおける危険な変化を警告して次のように述べた。「我々がAIに盲目的に従う時——アルゴリズムが我々のペース、決断、価値を支配する時、危険な一線を越えるリスクがある。その一線を越えると、人間は進歩の受益者ではなく、その製品となってしまう。監視され、分析され、最適化され——最終的に商品化されてしまう。(…中略…)労働組合として、そして職場における人権の擁護者として、我々の役割として、その境界線を常に意識することが重要だ。AIが人々を強化するものであって、人間にとって代わるようなことがおきないよう、そして労働者が効率性だけでなく、自律性を確保できるようにするためだ」

専門家の分析:リスクと現実
ILOの経済学者、ウマ・ラニ氏は、AIの二面的な影響について詳細に説明し、効率性と安全性の向上を強調する一方、監視、偏見、労働の強化に関する懸念を指摘した。またOECDの調査結果を引用し、複数の先進国で金融部門の従業員と雇用主の42%が既にAIを活用していると述べた。

ユーロファウンドのドラゴス・アダスカルテイ氏は、AI技術の導入加速とAIが可能なタスクの多様化を特徴とする新たなデジタル化時代に入っていると指摘した。だがAIはほとんどの場合、仕事を置き換えるよりも補完する可能性が高いと主張、低スキルの労働者が最も脆弱な立場にあると述べた。そして「AIの雇用への総合的な影響は主にポジティブだが、生産性向上の動向に大きく左右される」と指摘し、労働者の参画とスキル向上が必要だと強調した。

雇用主の視点
フランス系銀行のクレディ・アグリコル・グループのチーフデータ&AIオフィサー、アルドリック・ザッペリーニ氏は、同行がAIの導入前に開発、テスト、トレーニングに数年を費やした経緯を説明した。しかしなお鍵を握るのは労働者であると強調し、「すべてのタスクは人間と同等の品質で実行されなければならない。顧客への対応はすべて人間が確認する」と述べ、銀行はAIシステムがプロセスを向上させつつ、倫理基準を遵守するよう確保する必要があると付言した。

クレディ・アグリコルのピエール・ケルシュ・グループ労務関係部長は、同行がUNIと締結したグローバル枠組み協定を引用し、従業員が団体交渉を通じて、特にAIを含む新技術がもたらす潜在的な負の影響を特定、予防、軽減する仕組みを説明した。

イタリア最大手行のインテサ・サンパオロのグループデータ責任者を務めるマルコ・ディッタ氏は、AIが銀行およびその顧客に影響を与えるあらゆる事項について議論する場を内部に設けたと明かした。AIは、責任あるAIに焦点を当てたガバナンスメカニズムを備えた産業用の拡張可能なツールとして導入されている。

インテサ・サンパオロの労使関係部長であるパトリシア・オルダッソ氏は、従業員が現在と未来において必要なスキルを獲得するための必修の研修とツールを同行が整備したこと、またプロセスの各段階は労働組合と協力して進められていることを報告した。

労働組合がリードをとる
研修を実施しているのは企業だけではない。南アの労組SASBOのナタリー・ジョージ氏は、Sasboデジタルアカデミーを通じて1,000人を超える組合員がデジタルスキル向上コースを修了したと報告し、AIに関する共同監督委員会の設立を計画していると述べた。

他の地域でも、労働組合がAIを活用して進歩的な目標を推進している。オランダの労組FNVのデュグ・アクチャイ氏は、テクノロジーによる効率化を背景に週4日労働制を提唱した。「週5日労働制は時代遅れだ。我々はよりスマートに働き、生産性を向上させ、ストレスを軽減できる」と主張し、同国で欠勤の主要因であるストレスの問題にも言及した。

一方インドからは、AISBISF のL. チャンドラセカール氏が、インドのAI駆動型銀行改革が急速に進展しているものの、英国やEUのような強力な規制枠組みが欠如していると指摘、労働者の声を反映させるための組合の取組みについて説明した。

アイルランド金融労組のジョン・オコンネル氏は、女性が高い割合でAI関連職種に就いているため、大きな影響を受けていると指摘した。組合員の88%が職を失うことを恐れていると明かし、公正な移行の必要性を強調するとともに、強力な交渉、公共投資によるスキル向上、EU AI法の活用を通じて労働者を守る必要性を訴えた。

ノルウェーの組合から参加したアーネ・ハーシュタイン氏は、AIに関する交渉は複雑であり、労使協働のフォーラムを設立し、団体協定に盛り込む条項を共同で検討していると語った。

オーストラリア金融労組のニコール・マクファーソン氏は、同組合が銀行・保険業界の従業員を組織化する際にAIをテーマとして活用した事例を紹介した。2,200人の金融業界従事者のアンケート結果を活用し、同労組は数百人の新規組合員を勧誘、AIに関する職場憲章を策定した。

アンジェロ・ディクリストUNI世界金融部会担当局長は、「AIは急速に進化しているが、我々も歩みを進めている。互いに学び合い、知識を共有し、最新情報を維持する必要がある。この会議は単なる一回限りの議論ではない。UNIを通じて、我々は職場におけるAIの未来を形作るためのツールを構築することができる。組織化と団体交渉を通じて、労働者が声を上げ、保護され、未来に備えられるようにしていくことができる」と述べて会議を締めくくった。


ノルウェー政府系ウェルスファンド、西岸地区の入植地から利益を得る2社目から投資撤退

UNIは、世界最大のソブリンウェルスファンドであるノルウェー政府年金基金のパズ・リテール・アンド・エナジーからの投資撤退を歓迎する。同社は、占領下の西岸地区のイスラエル入植地に燃料を供給するインフラを所有・運営している。

これは、ガザでの戦争開始以来、同基金がイスラエルの西岸地区の違法入植地から利益を得る企業から全株式を売却した2つ目の事例だ。同基金は昨年12月にも通信会社べゼックの全株式を売却している。

イスラエルの西岸地区の入植地は国際法上、違法である。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のようにコメントした。「西岸地区の状況は日増しに深刻化している。イスラエル政府は地域を廃墟に変え、国家支援の入植者が数万人の住民を強制移住させ、パレスチナ人に対する暴力が増加している。我々はイスラエルの極右政権が全面的な併合の基盤を築こうとしていることに深刻な懸念を抱いている。(…中略…)こうした現実を踏まえ、社会的責任と人権を重視する機関が行動を起こすことが、より緊急の課題だ。ノルウェーの基金がこの一歩を踏み出したことを歓迎すると同時に、同基金を含む関連基金に対し、占領地域での死と破壊から利益を得ている企業からの完全な投資撤退を求める。我々は、自由で主権を有するパレスチナと安全なイスラエルが共存する社会の実現のため、これが不可欠だと信じている」

西岸地区で国際法違反を犯すイスラエル企業への投資を売却するよう、同基金に対する要求の声が高まる中で、今回の投資撤退の発表をReutersが報じた。ノルウェー最大の労働組合連合であるLOは、継続中の投資撤退キャンペーンを強化しており、最近の大会では、同基金が占領を維持する企業との取引や投資を止めるよう求める要求を再確認した。

UNIは長年、西岸地区の違法占領を非難してきた。過去3回のUNI世界大会では、UNIの「違法な入植地の拡大を妨げ、その成長と建設のための財政支援へのアクセスを制限する」ための行動を取るよう求める呼びかけが、加盟組織の圧倒的多数で支持された。これには、違法な入植地の建設と開発を資金提供する企業からの投資撤退が含まれる。

UNIはノルウェーの基金に対し、「すべての雇用主に対し、違法な入植地へのサービス提供や取引を控えるよう求め、消費者には入植地で生産された製品のボイコットを促す」という呼びかけを実施する一環として、当該地域で事業を行う企業を排除するよう働きかけてきた。

UNIは今後も、平和、平等、正義をすべての人々に実現するとのコミットメントに基づき、企業に対し投資撤退を呼びかけていく。


UNI、ソシエテ・ジェネラルとBNPパリバ・フォルティスの金融労働者のストを支持

数か月にわたる交渉の行き詰まりを経て、ソシエテ・ジェネラルが利益の公正な分配を拒否したことが、最後の決定打となった。UNI加盟組織であるFBA、CFDT、FSPBA、CGTは、14,600の署名を得て、2025年3月25日に大規模なストライキ実施を呼びかけた。

組合の主な要求は、公正な賃金、労働条件の改善、雇用の安定、そして過剰な営利主義的圧力の是正である。 だが労働者がリストラや業務量の増加、雇用の不安定化に身を置いているにもかわらず、経営陣は彼らにほとんど敬意を示していない。

BNPパリバ・フォルティスでは、経営陣は顧客サービスセンターの従業員約600人を外部コンサルタント企業アクセンチュアに移籍させる計画を推し進めている。この動きは従業員の権利よりもコスト削減を優先するものであり、BNPパリバの社会対話や雇用保障への取り組みに反するものである。

UNI加盟組織であるACLVB/CGSLB、BBTK/SETCA、ACV-Puls/CNEは、反対の声を上げ続け、透明性と代替案を要求しているが、経営陣は耳を傾けようとしていない。2025年4月3日に、労働者は圧力を強め、仲間の将来を守るためについにストに踏み切った。そのメッセージは、「私たちは売り物ではない!」という明確なものだ。

UNIと加盟組織は、ストライキ中の労働者を断固支持する。金融業界は、労働者の力があってこそ繁栄しているのであって、労働者を犠牲にしてはならない。ソシエテ・ジェネラルとBNPパリバ・フォルティスは、交渉のテーブルに戻り、従業員を尊重しなければならない。


UNIとBNPパリバのグローバル協定、台湾の事案を解決

BNPパリバ台湾の従業員が、UNIとBNPパリバの間で締結されたグローバル協定に基づく介入により、2025年3月17日に停職処分を解除された。

同行で選出された5人の従業員代表のうちの1人であるウー氏が、組織化に向けて動いていた際に、会社のリソースを不正に使用したとして2025年1月3日に停職処分を受けていた。

最近UNIとBNPパリバが締結した4年間のグローバル協定の規定により、現地およびグローバルレベルでの連携した議論が進められ、問題は解決に至った。停職処分が解除されたことを受け、ウー氏は労働省に提出していた不当労働行為の申し立てを取り下げた。

同行は台湾で約300人の従業員を雇用しており、5人の従業員代表が定期的な社内の社会対話セッションを通じて現地の経営陣と関わっている。

このような体制が確立されているにもかかわらず、ウー氏が2024年12月に組合結成の可能性を探るため、労働者の権利に関する情報や台北労働当局からの公式通知を同僚たちにEメールで共有したところ、現地経営陣が調査に乗り出した。この調査が最終的に同氏の停職処分につながった。

UNI加盟組織である台湾金融労組(TFFU)は、このプロセス全体を通じてウー氏を支援し、グローバル協定を通じたUNIの介入を要請した。

さらに心強いことに、BNPパリバ台湾の人事部とTFFUは、共同での労働教育セッションや組合結成に関する情報提供など、連携の道を模索し続けている。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長はこの成果を称賛し、「グローバル協定に設けられた新たな改善規定のおかげで、今回の事例は近年最も迅速に解決された事案のひとつだ。和解に至ったウー氏と現地経営陣を祝福するとともに、特にTFFUの果たした役割に感謝したい。BNPパリバ台湾における組合結成に向けたあらゆる取組みを支援していきたい」と述べた。

写真:2025年2月13日、BNPパリバ経営陣がTFFU幹部と会合。左から:アンドリュー・リンBNPパリバ台湾人事部長、ハン・シュアシャンTFFU書記長、ブルーノ・ブサードBNPパリバ台湾本部長、チャン・フーチTFFU委員長、カッタ・チョウTFFU副書記長


クリスティUNI書記長、ラジェンドラUNI Apro地域書記長の記念講演 ~第26回 UNI-LCJ年次総会~

クリスティUNI書記長とラジェンドラUNI Apro地域書記長

★講演1:「生成AIがもたらす労働の未来」 クリスティ・ホフマン UNI書記長

現在、世界は激動の時を迎えており、米国のトランプ政権は政府機構を解体し、国際機関からの脱退を進めています。その影響は世界中に及び、AIを含む技術革新にも大きな影響を与えている。

特に、AIの職場への導入については、労働組合の関与が不可欠だ。その理由は、①最良の結果を得るため、②労働者への悪影響(解雇など)に対応するため、③生産性向上の利益を労働者と共有するためである。しかし、使用者側は「テクノロジーについて交渉するのは非現実的」として反対しているが、それでもフランスの70以上の企業が社会対話に合意するなど、前向きな動きもある。

AI技術の中でも特に影響が大きいのはアルゴリズム管理と生成AIだ。アルゴリズム管理は、監視や労働者への圧力に利用され、Amazonの倉庫やコールセンターなどで広く導入されている。一方、Chat GPTなどの生成AIは、文章作成やデータ分析などを自動化し、多くの業務の一部を代替する可能性がある。IMFの予測によると、全雇用の40~80%が何らかの形で生成AIの影響を受ける、特に事務職やバックオフィス業務がリスクが高いとされており、コールセンターやプログラマーも影響を受けており、今後、経済全体への普及が加速する可能性がある。

労働組合は、AI導入に関する交渉を進めるべきだ。既にいくつかの成功例もある。例えば、米国の脚本家組合はAIの使用を制限する協約を勝ち取り、オーストラリアやドイツの労働組合もAIに関する協議の枠組みを確立した。これにより、AIが労働者に与える影響を最小限に抑えつつ、技術の利点を生かす道が開かれると期待している。しかし、多くの国ではまだAIに関する労働規制が整っていない現状もある。そのため、労働組合の活動を奨励し、雇用主が技術導入の際に労働者と協議することを義務化するなどの政策が求められている。労働者のスキル向上を支援し、新たな仕事を創出するためのインセンティブも必要だ。

テクノロジーの発展は不可避ですが、それが労働者にとって公平で持続可能な形で進められるよう、労働組合は交渉の場に立ち、積極的に関与することが重要である。UNIは今後もこの課題に取り組み、労働者の利益を守るために国際的な対話を推進していきたい。

★講演2:「平和・人権・民主主義」 ラジェンドラ・アチャリャ UNI Apro地域書記長

アジアにおける民主主義の状況は国によって異なり、日本、韓国、インドは民主主義を維持しているが、他の国々では依然として厳しい状況が続いている。

ミャンマーでは、軍事クーデターから4年が経過し、大規模な避難、暴力的な弾圧、そして活動家の投獄が続いている。労働組合は民主主義勢力とともに、民主主義を復活させるための国民統一政府(NUG)を結成した。香港では、中国の国家安全法の下で制限が強化され、言論の自由や報道の自由が制約されている。バングラデシュでは、政治的な状況が不安定であり、前政権は反対派の声を抑圧していたことで批判された。現在の指導者は、同様の手段に頼ることなく、安定した政治運営を行うことが重要である。

アジアにおける平和は依然として不安定であり、国境を巡る争いや南シナ海での緊張や、朝鮮半島における終わりの見えない紛争の脅威が地域の安定を脅かしている。 また、ミャンマー、アフガニスタン、フィリピン、パキスタンの一部地域では内戦が続いており、平和と安全を取り戻すための障壁となっている。

人権:続く闘い

アジア全体で人権侵害が広がっており、政府は言論の自由を制限し、報道機関を弾圧し、人権活動家を迫害している。また、監視体制や強制労働、政治的抑圧が根強く存在している。多くの国々で進展が見られる一方、依然として女性やジェンダー平等に対する制約が続いている。

労働組合の権利と労働条件:

アジアの労働者は、特に労働保護が不十分な国や権威主義的な国々で重大な課題に直面しており、多くの国では団体交渉が制限され、労働者は搾取され続けている。湾岸諸国では移民労働者が非人道的な労働条件に苦しんでいる。しかし、バングラデシュのラナ・プラザ事故後、繊維業界の安全基準が改善され、国際安全衛生協定はバングラデシュとパキスタンで進展を見せている。

国際労働基準と人権デューデリジェンス:

アジアにおける国際労働基準の施行は国によって異なる。いくつかの国々は主要な国際労働機関(ILO)の条約を批准しているが、その実施は一貫していない。強制労働、児童労働、そして安全でない労働環境は、繊維、農業、建設業、さらにはサービス業でも依然として続いている。人権デューデリジェンスは注目を集めており、日本、韓国、オーストラリアは企業責任規制を強化している。

デジタル時代における労働と労働組合の権利:

技術革新、デジタル化、自動化はアジアの労働市場に変革をもたらし、製造業やサービス業で雇用の安定性が脅かされている。ギグエコノミーの拡大に伴い、特に新興経済国で労働者保護が不十分だ。職場の監視やアルゴリズム管理には倫理的懸念があり、強力な規制が求められている。労働組合は、技術革新が労働者の権利を守りつつ進むよう役割を果たすべきである。

UNI Apro: 私たちの役割と取り組み

UNI Aproは、民主主義、人権、労働組合の自由を守るため、ミャンマーの強制労働問題やフィリピンの労働組合弾圧に対する活動を行っている。インドネシアのオムニバス法に挑戦し、香港のRCCGUを支援。さらに、フィリピン、インド、パキスタン、ネパールで労働組合権利強化を進めている。

アジアにおける民主主義、平和、人権、労働組合の自由の闘いは続いており、権威主義や労働搾取は依然として課題である。労働組合の強化、国際労働基準の施行、デジタル変革の責任ある導入が重要だ。

講演後には、福井洋損保労連事務局長は、アルゴリズムによる労働管理が日本に導入される可能性について言及し、「その際に労働者の納得感や働きがいに差が生じるかどうか。もし差が生じる場合、労使協議で特に重視される観点は何か、またアルゴリズム導入後に従業員からフィードバックを得る仕組みや、働きがいを高めるためにどのような工夫がされているか」と質問した。

また、UNI Apro青年委員を務めている横内愛咲UAゼンセン運動推進局局員は、UAゼンセンの多くの組合が若者への教育機会を設けているものの、意思決定機関に若者を参加させる進展が低い現状を報告し、「青年が意思決定機関に参加するために一番大切なことは何か、また海外での先進的な青年活動の事例」について質問した。


第26回UNI-LCJ年次総会開催~変革のために、共に立ち上がろう!

クリスティUNI書記長、ラジェンドラUNI Apro地域書記長とUNI-LCJ幹部会メンバー

2025年2月26日(水)、第26回UNI-LCJ年次総会が全電通労働会館ホール(東京都千代田区)で開催され、各加盟組織より運営委員、総会代議員、オブザーバー等約60人が出席した。

UNI-LCJ年次総会と監査報告をする戸口監査委員

2024年度活動報告、会計報告の後、UNI-LCJ内部監査員である戸口剛全印刷書記長より2024年度の会計監査報告があった。続いて2025年度活動計画および予算が承認された。

質疑で発言する川口日放労書記長、古賀印刷労連副書記長、中田UNI Apro女性委員会議長(UAゼンセン国際局副部長)

質疑の時間において、川口哲矢日放労中央書記長は、昨年11月タイ・バンコクで開催されたUNI Apro地域大会・女性大会と併催のメディア部会委員会の内容に触れ、「組合の役割は注目度が高まっており、連帯を高めるための活動は重要である。海外の仲間と様々な知見を共有し議論できるのは、日本の組合員にとってもとても有益である。今年度は、自組織の若手組合員と海外メディア労組との交流会の開催を期待したい」と述べた。

古賀初代印刷労連副中央書記長は、UNI Apro女性大会で中田綾子UAゼンセン国際局副部長がUNI Apro女性委員会議長に就任したことに触れ、「UNIの女性の取組みについては、印刷労連でも方針の柱の1つにしている。毎年UNI-LCJが開催している、青年・女性ネットワーク会議やユース英語セミナーを通じて、産業や組織の枠を超えたコミュニティの場が設けられており、非常に有益に感じている。グローバル化やDXなど新たな課題が山積だが、これからも、しっかり取り組んでいただきたい」と期待した。

中田UNI Apro女性委員会議長がこれに続き、インドネシアASPEK訪問の際聞いた、ASPEKが新しく始めた女性支援の取組みについて報告し「とても良い事例なので5月にシンガポールで開催されるUNI Apro女性委員会で報告ができるよう働きかけている。良い事例などあったら、今後も積極的に取り込んで情報共有していきたい」と述べた。

クリスティUNI書記長とラジェンドラUNI Apro地域書記長
(UNI-LCJ年次総会 記念講演)

続いて開催された記念講演には、UNI本部よりクリスティ・ホフマンUNI書記長、UNI Aproよりラジェンドラ・アチャリャ地域書記長が来賓として出席した。クリスティ書記長は「生成AIがもたらす労働の未来」について、またラジェンドラ地域書記長は「平和・人権・民主主義」について講演した。

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レセプションで乾杯の発声をする永島智子UNI-LCJ副議長(UAゼンセン会長)

記念講演終了後、会場近くのレストラン(グッドビューダイニング Good View Dinning、中央大学駿河台キャンパス19F)に場所を移し、レセプションを開催した。

レセプション開会の挨拶をする石川UNI-LCJ議長(JP労組中央執行委員長)

UNI-LCJ議長である石川幸徳JP労組中央執行委員長は「厚生労働省、連合、ITUCのご来賓に迎え、またUNI書記長・地域書記長から貴重な講演をいただだいた御礼を述べ、「今後もパートナーシップ労使関係を基盤とした労働運動の発展に向け、UNI-LCJも尽力していきたい」と冒頭の挨拶した。

来賓および連帯挨拶

続いて、秋山伸一厚生労働省大臣官房統括審議官(国際担当)に来賓の挨拶を、また、清水秀行日本労働組合総連合会事務局長、および、郷野晶子国際労働組合総連合会長より連来の挨拶をうけた。

全国農団労への感謝と司会進行を務めた永渕達也UNI Apro青年委員(情報労連中央執行委員)

また上田智亮UNI-LCJ事務局長は、全国農団労の川岸正徳代表および大谷篤史氏へ感謝の意を述べ「いつでもUNIファミリーに戻ってきてほしい」と言葉を贈った。

レセプションの中締めをする安藤京一UNI-LCJ副議長(情報労連中央執行委員長)

UNI欧州の調査:人々は公的資金が賃金と労働条件の改善につながることを望んでいる

2025年3月上旬に発表された欧州全域を対象とした調査(UNI欧州が委託したもの)の結果によると、EU市民の大多数(72%)が、団体交渉を通じて労働者の生活を強化する公共調達を支持していることが明らかになった。

この調査結果は、民間企業への公契約の発注を管理するEU調達規則の改革に 欧州委員会が着手した矢先の発表となった。調査結果は、調達規則の中に団体協約を有する企業を優先し、労働組合潰しやダンピングを行う企業を排除する社会的条項を求める労働者や組合の声を後押しするものとなる。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は「今回の調査結果は、緊急の行動を求める呼びかけであり、欧州委員会は欧州の有権者の声を聞くべきだ。公的資金は、公正な競争を阻害し労働組合を弱体化させる企業ではなく、質の高い雇用を支援すべきだ」と述べ、「最善の方法は、労働組合と団体協約を結んでいる良心的な雇用主を優先することだ」と付言した。

EUでは、公契約を通じて何百万人もの労働者が雇用されている。公共調達は、民間部門全体の賃金や労働条件に影響を与える基準をつくっている。

調査の主な結果:
• 回答者の65%が、公契約は価格、品質、環境、社会基準に基づいて発注されるべきだと回答
• これらの基準のうち、賃金と労働条件は最優先事項であり、回答者の46.4%が、価格が高くても正当化されると回答
• 回答者の83%が、組合潰しの企業や低賃金の企業を排除することを希望
• 回答者の72%が、公共機関が団体協約のある企業を優先することを希望
• 公共入札において価格以外の要素を考慮することを希望する市民の割合は、2011年の同様の調査以来、52%から65%へと大幅に増加

この調査は、欧州全域で700万人の労働者を代表するUNI欧州の委託により、独立系の世論調査会社オピニアが実施した。チェコ、フランス、ドイツ、アイルランド、ポーランド、スペインの6か国より6,080人以上の回答者から回答を得た。

調達をより社会的なものにするという人々の希望は、労働者や労働組合の要求と一致している。2024年10月1日、9か国から1,000人以上のエッセンシャルワーカーが賃金と労働条件の改善を目指す公共調達改革のためにブリュッセルに結集した。しかし、UNI欧州の調査では、EU全域の公共入札の半数が、最低価格のみに基づいて行われており、これは調達規則に起因する場合が多い。

トマ・ピケティやイザベラ・ウェーバーなど100人以上の世界屈指の経済学者が、公開書簡の中で「入札において最低価格のみにフォーカスしすぎること」を批判し、規則の改革に向けて「団体交渉の強化」を求める労働者の要求を支持した。労働集約型の清掃、警備、ケータリング産業の使用者団体ですら、価格のみに焦点を当てることをやめる必要性を強調している。

レティクUNI欧州地域書記長は「欧州の人々は、エッセンシャルワーカー、世界有数の経済学者、そして使用者とともに、EU規則は最低価格のみに焦点を当てるのではなく、労働条件、賃金、サービスの質に関する欧州全体の基準を設定すべきだ、と訴えている」と主張した。そして、「これは規則を簡素化するという欧州委員会の目標を推し進めることにもつながる。例えば団体協約の尊重といった明確な基準は、単に煩雑な役所仕事を減らすだけでなく、ヨーロッパの数百万人のサービス労働者の賃金と労働条件を改善することにもつながる」と訴えた。


フランスで開催のAIアクションサミット:多くの使用者が団体交渉、研修、サプライチェーンの公正性に対する支持を示す

2025年2月中旬にフランス・パリで開催されたAI アクションサミットでは、70社以上の使用者が『Pledge for a Trustworthy AI in the World of Work(仕事の世界における信頼できるAIについての誓約)』に署名した。この誓約には、団体交渉や労働組合との協議、トレーニングやスキルアップ、さらにはAIのサプライチェーンにおける労働基準の向上といった重要なコミットメントが含まれている。

この文書は、サミットの重要な成果のひとつであり、企業によるコミットメントをOECD、国際労働機関(ILO)、G7の最新枠組みと整合させ、労働者を代替するのではなく支援するAIの推進を強化するものだ。

サミットにパネリストとして参加したクリスティ・ホフマンUNI書記長は、今回の署名を歓迎し、次のように述べている。

『今回の誓約は、労働者の権利を尊重し、公正な経済を促進する形で人工知能を活用する動きに近づくものであり、先駆的な署名者のリーダーシップを称賛したい。サミット後の数週間で、我々は協力してこれらの誓約を具体的な行動に移さなければならない。つまりAIの影響を受ける人々、およびそのデータサプライチェーンの労働者の両方に対して、社会対話と団体交渉を拡大する上で真の進歩を遂げるということだ。またAIが雇用に影響を与える中、トレーニング、専門知識、スキル構築への投資を増やすことも意味する。これは規制に取って代わるものではなく、公益のためのAIを推進する政策を補完するものだ。我々は今後、使用者、政府、国際機関と協力し、ここに定めたコミットメントを強化し、AIをディーセントワークと経済的正義の推進力とするよう努めていく。』

文書の全文はこちら(英文)から。


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