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国際女性デー:女性労働者の福利を求めて取組もう

UNIは国際女性デー(IWD)にあわせ、世界中の女性労働者の職場におけるメンタルヘルス保護に関する権利を支援する新しいマニュアルを発表する。

2024年に発表された生理、妊娠、更年期に関するガイドと同様に、『職場のメンタルヘルス:基本的人権』は、労働組合がタブー視されがちな問題に取り組む手助けとなる。このガイドは、職場の心理社会的リスクを特定、予防、管理するためのツールを提供している。

ストレスや過剰な業務量、職場での暴力やハラスメント、不平等な待遇、雇用の不安定さは、根強く、かつ不均衡な、女性の職場のメンタルヘルスに対する脅威である。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは、これらの課題を悪化させ、わずか1年で不安障害やうつ病性障害が25%増加した。世界的に見ると、うつ病について女性の生涯有病率は男性の約2倍、不安障害の生涯有病率はほとんどの疾患で男性の2倍となっている。それにもかかわらず、メンタルヘルス問題に対する偏見が、多くの女性が必要な支援を求めることを妨げている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「経済分野や国境を越えて、メンタルヘルスの危機が特に女性労働者に深刻な影響を与えている。この危機の根底には、不平等や職場でのハラスメント、過剰な業務量など、労働組合が最も対処しやすい多くの不平等や不当な扱いがある」と指摘した。

また、ヴェロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「女性のメンタルヘルスは、単に個人の問題ではなく、我々全員に影響を及ぼすもの。使用者と政策立案者は、職場におけるメンタルヘルス保護の緊急性を認識し、サポートのある、安全で包摂的な環境を整える必要がある。労働組合は、偏見を打破し、福利を優先する政策を提唱し、すべての女性が活躍できる職場を創出する上で重要な役割を果たす存在だ」と訴えた。

このガイドには、以下の戦略が含まれている。
●女性に大きな影響を及ぼす仕事関連のストレス要因を認識し、緩和する
●メンタルヘルスに関する偏見や差別と闘う
●柔軟な勤務形態、有給休暇、メンタルヘルス支援制度を促進する
●労働者および使用者を対象としたメンタルヘルスに関する意識向上と研修を強化する
●独立した職域保健サービスを利用できるようにする

UNIは引き続き、職場での暴力やハラスメントに対する保護を強化するために、ILO第190号条約および第206号勧告の批准と実施を継続的に要求していく。これらは、メンタルヘルスに大きな影響を与える職場での暴力やハラスメントに対する保護を強化するものだ。

職場のメンタルヘルスガイドをダウンロード


フランスで開催のAIアクションサミット:多くの使用者が団体交渉、研修、サプライチェーンの公正性に対する支持を示す

2025年2月中旬にフランス・パリで開催されたAI アクションサミットでは、70社以上の使用者が『Pledge for a Trustworthy AI in the World of Work(仕事の世界における信頼できるAIについての誓約)』に署名した。この誓約には、団体交渉や労働組合との協議、トレーニングやスキルアップ、さらにはAIのサプライチェーンにおける労働基準の向上といった重要なコミットメントが含まれている。

この文書は、サミットの重要な成果のひとつであり、企業によるコミットメントをOECD、国際労働機関(ILO)、G7の最新枠組みと整合させ、労働者を代替するのではなく支援するAIの推進を強化するものだ。

サミットにパネリストとして参加したクリスティ・ホフマンUNI書記長は、今回の署名を歓迎し、次のように述べている。

『今回の誓約は、労働者の権利を尊重し、公正な経済を促進する形で人工知能を活用する動きに近づくものであり、先駆的な署名者のリーダーシップを称賛したい。サミット後の数週間で、我々は協力してこれらの誓約を具体的な行動に移さなければならない。つまりAIの影響を受ける人々、およびそのデータサプライチェーンの労働者の両方に対して、社会対話と団体交渉を拡大する上で真の進歩を遂げるということだ。またAIが雇用に影響を与える中、トレーニング、専門知識、スキル構築への投資を増やすことも意味する。これは規制に取って代わるものではなく、公益のためのAIを推進する政策を補完するものだ。我々は今後、使用者、政府、国際機関と協力し、ここに定めたコミットメントを強化し、AIをディーセントワークと経済的正義の推進力とするよう努めていく。』

文書の全文はこちら(英文)から。


2025ダボス会議:UNI書記長、不平等なAIへの緊急対応とソーシャルメディアの説明責任を求める

労働者が参加しなければ、人工知能などの新しいテクノロジーは、世界的な不平等を深刻化させ、少数のエリート層に権力をさらに集中させるリスクがある ー クリスティ・ホフマンUNI書記長は、2025年1月に開催されるダボス会議(世界経済フォーラム)で、企業リーダーや政策立案者に対して厳しい警告を発する予定だ

同書記長は、「わずか2年の間に、多くの使用者の間で交わされるAIに関する会話は、労働者の能力を向上させることから労働者を代替することへと変化してきた。その間、ほんの一握りの企業が、この変革を推進するモデルを手中に収めつつある」と指摘し、「AIの導入方法を決定する会議に労働者が参加しなければ、AIは価値あるイノベーションではなく、不平等を助長するエンジンとなってしまうだろう。我々の民主主義、コミュニティ、経済は、新しい仕事の世界において労働者が発言権を持てるようにするため、労働者へのパワーシフトのない時間をもう1年も続ける余裕はない」と語気を強める。

同書記長にとってもう一つの重要な懸念は、ソーシャルメディアのプラットフォームが、サイト全体で正確で安全なコンテンツに対する責任を負うことを拒否する傾向が強まっていることだ。UNIの加盟組織は、メタやアルファベットなどの企業に直接雇用されているテック系従業員だけでなく、コンテンツの管理や大規模な言語モデルのトレーニングを行うデータサプライチェーンの労働者も代表している。

ホフマン書記長は「デマ、暴力、グロテスクなディープフェイクといった反民主主義的な勢力はますます強大化し、今まさに目前に迫ろうとしている。 プロフェッショナルで、十分な訓練を受け、十分な報酬を支払われたモデレーターの集団が、倫理的なAIによって強化されなければ、ソーシャルメディアの優れた機能の多くが奪われてしまうだろう。テック大手企業がこうした第一線で働く労働者たちに投資して我々を守ろうとしないのであれば、彼らは事実上、この混乱を招き入れているようなものだ」と懸念を表明した。そして、米国や欧州、その他の地域で規制や権利の後退を推し進めているイーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグのようなテック界の大物の影響力を相殺するためには、労働組合が必要だと主張した。

デジタル時代のディーセントワークに関して世界レベルで議論をリードするホフマン書記長は、日々、新たなテクノロジーがもたらす影響に直面している労働者を代表する数少ないダボス会議参加者の一人でもある。

関連記事はこちらから: Why digital trust depends on workers | World Economic Forum


韓国における民主主義の危機に関するUNI Apro声明

UNIアジア太平洋地域組織(UNI Apro)は、アジア太平洋地域全域のサービス産業の労働組合の組合員を代表し、2024年12月3日午後10時30分(現地時間)に韓国のユン・ソンニョル政権が発令した前例のない戒厳令について、深い懸念を表明する。国会の断固たる行動により、12月4日午前4時30分(韓国標準時)に戒厳令は撤回されたものの、民主的諸制度に対するこの攻撃の重大性を軽視することはできない。

戒厳令の宣言は、韓国の権威主義的な過去、特に韓国が今日誇らしく体現している民主主義のために人々が闘い、犠牲を払った1980年代の悲劇的な出来事を想起させる悪夢のような記憶を呼び起こした。夜のソウル上空を飛び交う軍用ヘリコプターの不気味で鋭い音が、暗黒時代の不穏な響きを強く呼び起こした。

国会議員たちが慌ただしく国会に向かうという劇的な場面が繰り広げられ、国会職員や補佐官等が、議会開催を阻止しようとする警察や軍人らに対して人間のバリケードを張った。韓国の民主主義を守るべく、早朝からおよそ3万人の人々が国会議事堂に押し寄せたが、武装した部隊が国会議事堂に侵入しようとしている憂慮すべき映像も流れた。

この宣言は、憲法上のいかなる正当な根拠も欠いており、アジアおよび国際社会全体に衝撃を与えた。この危機は国内外で、経済的不確実性と市場の不安定化を招いた。

アジア太平洋地域が民主的統治に対する数々の課題に直面する中、韓国の堅固な民主主義は、世界中の国々にとってインスピレーションの源であった。アジアで最も堅固な民主主義国家の一つにおけるこの前例のない行動は、地域の安定と民主主義制度に対する深刻な懸念を引き起こしている。

韓国のUNI加盟組織は、ユン政権に対して、反組合政策を放棄し、国会で可決された法案の拒否など、民主的手続きを無視するやり方を断つよう、一貫して求めてきた。戒厳令の宣言は、大統領権限が民主的決定を覆し、労働者や一般市民の声を封じこめるために行使されたことを示す明白な証拠である。

イ・ジェジン議長が率いる、韓国のUNI加盟組織の連合体であるUNI韓国加盟組織連絡協議会(UNI KLC)の組合は、戒厳令の宣布にあたり、迅速かつ断固とした対応を示した。組合は、この違憲行為を民主的機関と労働者の権利に対する重大な脅威として非難し、憲法秩序を回復し民主的自由を守るための即時措置を共同で求めた。

11月20日から22日にタイ・バンコクで開催された第6回UNI Apro地域大会では、代表団が、基本的権利の保護と労働条件の改善を求める韓国のUNI加盟組織の闘いを支援する声明を採択した。この地域的な連帯の表明は、特に最近の出来事を鑑みて、より重要性を増している。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、次のように表明している。「戒厳令の宣言は、労働者の権利と自由に対する直接的な攻撃である。この布告は、あらゆるストライキと集会を明確に禁止しており、合法的な組合活動を一夜にして事実上犯罪化するものだ。民主的制度を守るために韓国の労働運動が市民社会とともに迅速に対応したことは、民主主義を守る上で組織化された労働者が果たす重要な役割を示している。UNI Aproと地域の加盟組織は、韓国の仲間と連帯して動員する用意を整えている」

多大な犠牲を払って勝ち取ったこの民主主義が、無責任な政治的駆け引きによって損なわれてはならない。我々は、結社の自由や表現の自由の保証を含む真の民主的統治の回復を求める韓国の加盟組織を断固として支持する。

我々は韓国政府に対し、独裁的な道から離れ、平和的かつ民主的な手段によって社会を正常化するよう迅速に動くことを強く求める。韓国の民主的機関を維持する余地はまだ残されているが、早急な対応が不可欠である。


ジェンダーに基づく暴力に反対する16日間の行動:2024年は「生理、出産、更年期」3つのMに焦点

11月25日の「女性に対する暴力撤廃国際デー」は、ジェンダーに基づく暴力の根絶のための16日間キャンペーンの始まりを告げる日だ。2024年の今回、UNIは、差別、暴力、偏見のない職場の構築に向けて、ジェンダーの視点を取り入れた労働安全衛生政策に焦点を当てる。

特に、生理(Menstruation)、出産(Maternity)、更年期(Menopause)の3つのMを中心に、女性の健康を支援し、安全な職場を作り、差別をなくすため、労働組合がどのように組織化し、キャンペーンを行っているかを紹介する。

3つの「M」はすべて自然な生物学的現象であるにもかかわらず、多くの文化や職場では依然としてタブー視されている。これは多くの場合、労働者の権利やニーズの軽視につながり、暴力の根本原因のひとつである差別を生み出している。

ヴェロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「生理、出産、更年期という自然なプロセスは世界人口の半分に影響を与えている。これらについて、負のレッテル貼りがなされたり差別が生まれたり、サポートが欠如していると、ジェンダー平等が損なわれ、ジェンダーに基づく暴力の一因となりえる。これらの問題に対処するには、包括的な政策、教育、そして我々の経験に対するより大きな包摂性と尊重に向けた文化の変革が必要だ」と訴える。

UNIは、ILO条約第190号(C190)および勧告第206号(R206)の批准と実施を要求するだけでなく、一連のマニュアルを通じて、職場におけるより良い政策と支援制度を求めて闘う労働組合を支援している。

1:生理マニュアル                     

生理中の労働者が直面する職場での課題について、誤解を解き、取り組むことを目的としている。このマニュアルでは、適切な衛生設備を利用できないこと、生理に対する偏見が依然として続いていること、そしてこれらの要因が子宮内膜症や貧血などの健康状態を悪化させることを説明している。また、生理休暇に関する規定の交渉、衛生設備の利用の確保、職場でのプライバシーと尊厳の擁護など、生理中の労働者を支援する方法についてのガイドラインを労働組合に提供している。

2:出産マニュアル
ここでは、出産が労働者に与える影響や、妊娠中および授乳中の女性が直面する制度上の不平等について考察している。 安全な労働条件や有給休暇など、出産保護の実施に関する実践的な指針を提供している。 また、代理出産、養子縁組、世界中の女性が直面する育児危機を考慮したより良い出産政策の推進における労働組合の役割についても論じている。 産前、産中、産後の女性に適切な権利を確保するための団体交渉の重要性について論じている。。

3:更年期マニュアル
更年期マニュアルでは、更年期に関連する生物学的、心理学的、社会的変化についての洞察を紹介し、職場認識や支援の欠如、ハラスメントや差別など、更年期の女性が直面する課題を取り上げる。リスク評価の交渉、柔軟な勤務形態の確立、換気の不備や快適性を欠く制服など症状を悪化させる可能性のある職場環境への対処を通じ、労働組合が更年期の労働者を支援するための枠組みを提供している。

※日本語版のマニュアルは、「出版物」のページ下部よりアクセスできます。


UNI Apro地域大会最終日、変革の原動力を生み出す

第6回UNI Apro地域大会において、UNI加盟組織は、次の4年間で変革を起こすべく、団結し、共に立ち上がった。2024 年11月20~22日にかけてタイ・バンコクで開催された第6回UNI Apro地域大会には、22カ国の組合からおよそ600名が参加した。

デジタル時代のディーセント・ワークのために、共に変革しよう(動議4)
地域大会の最終日は、デジタル時代におけるディーセントワークの実現に向けた、公正な移行に関する議論から始まった。

パネル討議に参加した鈴木克彦代議員(日本、情報労連)は、「日本では労働人口が減少する中、自動化やAIはプロセスを効率化し、労働力不足に直面する産業をサポートするツールとして期待されている」としつつ、倫理性の欠如によって労働者の権利を蔑ろにするリスクをはらんでいることを指摘した。そして、AIが労働者を支え、労働者の権利を守り、労働環境を改善するためのツールとなるよう、労働組合が積極的に関与し、会社と協議していかなければならない、とまとめた。

デニス・マガ代議員(ニュージーランド、FIRST Union)は、労働者がスキルアップや再技能教育プログラムを受けたり、つながらない権利を行使できるようにするための団体交渉の必要性を強調した。さらに、AI関連の移行を管理する上での労働組合と使用者間の強固な対話の重要性を強調し、AI主導の変化の影響を受ける労働者を保護するための社会所得保険や積極的労働市場プログラムなどの制度的な措置の必要性を訴えた。

フロアから発言した橋本大樹代議員(日本、損保労連)は、緊急性が高くない場合であっても、評価を気にして上司からの連絡に対応してしまう等、「つながらない」ことを選択しづらい状況が存在している実態を指摘し、勤務時間外のおけるコミュニケーションツールの使用等に関するルール策定の整備を進め、つながらないことを選択しやすい環境整備の重要性を訴えた。

暴力やハラスメントのない健康で安全な職場のために、共に変革しよう(動議5)
並木泰宗UNI Apro副会長(日本、自動車総連)がセッション司会を務め、「安全で衛生的な職場で働くことは基本的権利であり、UNIと加盟組織は、世界中でこの権利の実現に向けて立ち上がり続けなければならない」と挨拶した。

ILOバンコク事務所の氏田由可 労働安全衛生上席専門家が、2022年にILOが基本的人権として定めた労働安全衛生について、基調講演を行った。「労働安全衛生は、組合が職場における基本的人権の意識を高めるための非常に良い出発点となる」と述べた上で「毎年、過重労働が原因で、25万人が心臓病や脳卒中で命を落としている。アジア太平洋地域では、世界でも最も深刻な過重労働の問題に直面しており、この地域にとって喫緊の課題だ」と指摘した。

パネリストの永島智子代議員(日本、UAゼンセン)は、「サービスを受ける側も提供する側も共に尊重される社会を創る!」をコンセプトにしたカスタマーハラスメントの取組みについて報告した。アンケートによる実態調査を基に、厚労省や地方自治体行政への要請や、同組織出身の議員による国会での課題提起などを行った結果、2022年には厚労省のカスタマーハラスメント対策が予算化され、政府による広報ツール等が作成され、社会的にも認知されるようになったこと、東京都が日本初の「カスタマーハラスメント防止条例」を成立させ、2025年4月から施行されること等を共有した。

プレムカラ・サンバハンペ代議員(ネパール、NTEAN)は、労働組合が交渉によって、負傷した技術者の医療費負担を含む労働者の福祉の大幅な改善を実現した経緯を説明し、「安全な職場は、業績、評判、コンプライアンスを向上させ、労働安全衛生への投資を不可欠なものとする」と述べた。

また、熊谷芙美子代議員(日本、自動車総連)は、同組織による労働災害撲滅の取組みについて報告した。類似災害発生防止のために事例を共有し、加盟組織の安全衛生担当者と必要な対策を協議していると述べ、今後は重大災害の発生原因をさらに深く分析し、職場での再発防止意識を徹底するなど、より一層の取組みが必要だと発言した。

社会対話やパートナーシップ労使関係を通じて、持続可能な未来のために共に変革しよう(動議6)
最終セッションでは、技術革新と世界的な不確実性の時代における社会対話の重要性が強調された。

ゲストスピーカーとして参加したロドラ・ババランASEAN人材開発局長は、AI、自動化、リモートワークがもたらす変化は、使用者や政策立案者だけでなく、労働組合も適応する必要があり、そうすることで労働者が団体交渉権やディーセントワークを享受できると述べた。

スブラマニアム代議員(シンガポール、UTES)は、シンガポールの強固な三者構成の枠組みを紹介し、政労使が協力し、2025年の目標である2,500社を上回る2,700社以上の企業研修委員会を設立、労働者の研修プログラムを共同で策定していると報告した。また、「労働者にスキルアップや再教育を奨励することで、彼らの雇用可能性が将来の仕事にも対応できることを保証している」と付言した。

パネリストの市川勝也代議員(日本、生保労連)は、労使が連携して諸課題に対応していくことが重要との認識から、金融産業では初となる「働き方改革に向けた生保産業労使共同宣言」が採択され、また2024年には「社会的使命達成に向けた生保産業労使共同宣言」の採択が実現したことを報告した。そして地域社会の諸課題の解決に向けた「地域社会共創フォーラム」を開催し、労使共同宣言を共に交わした経営者団体である生命保険協会もパネラーとして参加、労使一体となって課題解決策を話し合ったことなどを共有した。

同じくパネルに登壇した深見正弘代議員(日本、全労金)は、同組織が参加する協同組織産別・単組連絡会の活動について説明するとともに、雇用創出や持続可能な開発に貢献し、UNI やUNI Aproの運動とも合致する協同組合の意義について語った。そして国連の定める2025年の国際協同組合年に向けて、協同組合の貢献について認知度を高め、持続可能な開発に向けて協同組合が発展するよう、政府や関係機関に働きかけていくことについて、ともに取組むことを提起した。

また、労済労連の上杉雄太代議員も、「協同組合は生活をより良くしたいと願う人びとが自主的に集まって事業を行い、その事業の利用を中心にしながら、みんなで活動を進めていく、営利を目的としない組織」であると説明した。また連絡会による今年のシンポジウムでは、協同組合の社会的責任と可能性をテーマに学んだことを報告し、最後に「2025国際協同組合年」を盛り上げていくことを大会に要請した。

磯山直樹代議員(日本、UAZ)は、職場の課題については、企業別労組がパートナーシップ労使関係に基づき、経営側と労使協議や団体交渉を行い、解決に取組んでいるとした上で、税金や社会保障、労働法制、カスタマーハラスメント等の社会課題については、政治活動に積極的に取組む必要があると発言した。ただし若い組合員の政治への関心の低さが課題であるとし、所属する企業別労組では、若手組合員を対象に、国会見学などの政治研修会を実施していることを紹介した。

全ての動議について採択が行われ、満場一致で承認された。最後に、UNI Aproの新たな執行部について選挙が行われ、過去5年にわたってこの地域におけるUNIの取組みを主導してきた成果と実績が認められ、UAゼンセンの松浦明彦UNI Apro会長と、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長が再選された。また、UNI Apro執行委員会の新メンバーも大会で承認された。

安藤京一UNI副会長は、閉会挨拶の中で、気候変動や民主主義への脅威、一部の巨大多国籍企業による不当行為といったリスクにさらされ続ける中、すべての労働者が安心・安全に働けるようにするためには、グローバルな連帯が必要であり、UNI Aproに集う加盟組織がこれまで以上に一致団結しなければならないと訴えた。そして、新たに選出されたUNI Apro執行部を祝福し、UNI Aproの運動を牽引し、より良い将来の構築に向けてイニシアチブを発揮して頂きたいと述べ、締めくくった。


UNI Apro地域大会2日目:アジア太平洋地域における労働者の力を高める鍵は、連帯と組織化

激動する世界における国際連帯の緊急性は、UNI Apro地域大会2日目でも繰り返し取り上げられた。クリスティ・ホフマンUNI書記長は、基調講演の中で「我々は、AI、気候変動、労働組合を消滅させようとする圧政や少数独裁政治といった課題に直面し、今も組織化と成長という困難な闘いに立ち向かっている。地政学的な緊張関係が、あらゆる方向に発展する可能性がある。だからこそ、我々は互いを必要としている。世界はこれまで以上に労働組合運動の断固たる決意を必要としており、UNIはその中心となっていこう」と呼びかけた。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、企業欲に駆られた市場主導の親企業政策の台頭、労働基準を弱体化させる多国籍企業の前例のない影響力など、この地域における多くの課題を指摘した。同時に、各国政府は団結権に対する規制を強めており、ギグエコノミーの急速な拡大により、この問題はさらに深刻化している。物流、配送、Eコマースなどの分野では、プラットフォームワーカーやギグワーカーが深刻な搾取に直面している。同書記長は「この地域が経済的に成長するにつれ、エリート層だけでなく、すべての人々がその恩恵を受けられるよう、我々は闘っていく」と力強く宣言した。

組合の力を高めるために、共に変革しよう(動議1)
Apro地域における組織化の成功例が、数多く紹介された。

ダルメンドラ・クマール代議員(インド、アマゾン労組)は、組合潰しにも負けず組合を結成し、州のデジタル決済システム入札へのアマゾンの参加阻止、アマゾンが施設を閉鎖した際に解雇された800人以上の労働者に対する5か月分の賃金獲得など、数多くの成果を挙げたことを強調した。

ニコール・マクファーソン代議員(オーストラリア、金融産業労組)は、デジタル時代における労働者保護に関する組合の取組みについて報告した。同労組は、データセキュリティ、雇用保護、AIに関する労働者を交えた協議について、業界初の権利を獲得し、これにより、組合員は職場でのAIの利用方法を確実に管理できるようになる、と述べた。

木村美咲代議員(日本、UAゼンセン)は、自身が中央副書記長を務めるスギ薬局ユニオンの組織化について報告した。従来パート社員の組織率は5%であったが、パート社員組織化の重要性について会社側に説明して協定書を締結、店長の協力を得てパート社員一人ずつに丁寧に説明した結果、昨年パートタイム社員全員の組織化が実現した。SMSで気軽に労働相談ができるよう環境を整え、パート組合員向けのイベントを新たに企画する等、組合活動参加・参画への入り口を広げる活動にも取組んでいる。

平等と包摂のために、共に変革しよう(動議2)
はじめに中田綾子女性委員会議長(日本、UAゼンセン)が、座長として前日の女性大会の成果を報告するとともに、動議2の概要を説明した。

UNI Apro女性委員会議長代行に選出されたバブニート・カウール・アラン代議員(インド、AIBOBOA)は、過去3年間で1,300人以上の女性を支援し、51人の女性リーダー誕生につながったUNIのメンタリング・プログラムの成果を強調し、「若い女性のリーダーシップに投資すれば、職場での平等を推進する有能なリーダーの強固なパイプラインを構築できる」と訴えた。

また、パネルに参加した山口由紀子代議員(日本、UAゼンセン)は、組合員の6割が女性であるにも関わらず、女性の組合リーダーが少ないという課題について、同組織が取組む『女性ネクストリーダー会議』について説明した。同会議では、ジェンダー平等の実現と、女性トップリーダーの育成に向けた課題と必要な対応について議論し、その結果を流通部門の執行委員会に提案している。また、働く女性の健康支援の取組みとして、加盟組合への啓発活動を進めており、その成果は積立有給休暇を不妊治療に適用拡大することや、生理休暇の名称を変更し、更年期症状にも使えるようにすることなど、団体交渉にも表れている、と発言した。

同じくパネリストの三﨑友香里代議員(日本、大日本印刷労組)は、「性別や働き方に関わらず、すべての人が誇りをもって働けるように」との思いから始まった同組織の「MiMoSa」プロジェクトについて共有した。女性だけに焦点を当てるのではなく、セミナーではマイノリティと言われる人たちが感じた壁や必要とするサポートに多くの人が耳を傾け、共感したり、気づきを得たりするような取組みを行っている。

また永渕達也代議員(日本、情報労連)は、若者の過労死や、いわゆるブラックバイト等の状況に触れ、学生に対する労働教育が重要であるとの観点から、同労連による「明日知恵塾」の取組みを紹介した。労働に対する想像と現実のギャップを埋めるため、社会に出ていく学生に対して労働者としての実体験を共有し、労働組合の存在や必要性について伝えている。今後も労働組合の立場から、若者に対するワークルール教育に携わっていきたいと語った。

フロアから発言した藤原達矢代議員(日本、大日本印刷労組)は、同組織における男性育休制度の理解促進と、育休取得満足度の向上にむけた活動について紹介した。男性育休取得率は大幅に増加しているとしつつ、取得期間については満足度の低い人もいることから、育休取得経験者の声をもとに、体験談のシェア、収入面や人事評価への影響、復帰後の働き方などを伝える活動をしている。

民主主義、人権、労働組合の権利のために、共に変革しよう(動議3)
石川幸德UNI Apro副会長(日本、JP労組)が司会を務めた本セッションでは、はじめにユユン・ワヒュニンラムASEAN人権政府間委員会インドネシア代表が基調講演を行った。「世界がアジア太平洋地域を世界的な成長の原動力として注目する中、この進歩が包摂的で公正なものとなるようにしていく必要がある。搾取ではなく公平性、排除ではなくエンパワーメントに根ざしてたものにしていかなければならない」と呼びかけ、議論の口火を切った。

フィル・ロバートソン・アジア人権労働擁護団体事務局長は、この地域の深刻な人権状況について説明し、国際労働組合総連合(ITUC)が2024年に発表した『グローバル・ライツ・インデックス』において、労働者の権利ワースト10の中にアジア3カ国が挙げられていることに言及した。その一つ、現在2万人以上の政治犯が収監されているミャンマーにおいては、労働組合は禁止され、何千人もの民間人が殺害され、数百万人が国外に流出しており、同氏はミャンマーの人々を支援するよう国際社会に強く求めた。

地域大会には、マウン・マウン・ミャンマー労働組合総連合(CTUM)会長からのビデオメッセージが寄せられ、ミャンマーの労働者と民主主義を支援するUNIの取組み、特に多国籍銀行に対して軍事政権に関与する企業から投資撤退を要請する取組みについて、感謝の意が表された。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「組合の強さ、団結、正義への献身が、アジア太平洋地域のすべての労働者のより良い未来のために闘う我々を導いてくれる。皆さんのたゆまぬ努力、勇気、そして揺るぎない連帯に感謝したい。共に、すべての人にとって公平で公平な仕事の世界に向けて前進し続けよう、共に変革を!」と国際連帯の重要性を強く呼びかけた。

一方、フロアから発言した安達正美代議員(日本、JP労組)は、同労組が行っているウクライナ郵便労組へのカンパ活動や、「連合」を通じた平和4行動、平和についての次世代への継承活動、学習会などを通じた政治への関心を高め民主主義を守る取組み等を紹介し、民主主義・人権・労働組合の権利のために、引き続き尽力していきたいと語った。


変革のために、共に立ち上がろう!第6回UNI Apro地域大会がバンコクで開幕

2024年11月20日、『変革のために、共に立ち上がろう』(Rising Together to Transform)をテーマに開催された第6回UNI Apro地域大会の開幕に合わせ、Apro地域全体から600人を超える労働組合のリーダーが、タイ・バンコクに集結した。

11月20~22日まで開催される地域大会は、地域全体のUNI加盟組織が、連帯、組織化、団体交渉を通じて経済を変革するための舞台を整えるものとなる。

開会式では、タイ現代舞踊の美しいパフォーマンスに続き、スウィット・ミンモルUNIタイ加盟協議会議長が、タイのUNI加盟組織を代表して、参加者を歓迎した。

満員の会場でクリスティ・ホフマンUNI書記長は、「『トランスフォーム』という言葉は、我々がただ変化を望んでいるのではなく、もっと大きな変革を望んでいるということを意味する。経済を変革しなければなりません。組合の役割と力を変革しなければならない。そして、組合そのものを変革し、若者や女性をより多く受け入れられるよう、組合そのものを変革していかなければならない」と呼びかけた。

来賓のシラポップ・ドゥアンソッドスリ労働副大臣は 、デジタル経済がもたらす変革の中で、スキルアップ、リスキリング、労働者福祉の向上に関する政府の取組みを強調した。また、法制化によって労働者の権利を向上させる計画についても言及し、「現在策定中の独立労働法の草案は、タイを国際労働基準に沿った労働基準を持つ国にし、すべての人にディーセント・ワークを創出することを目的として いる。(…中略…)タイ政府を代表し、三者構成で労働団体と協力し、タイの労働問題に関わるミッションを着実かつ持続的に推進していく」と述べた。

松浦昭彦UNI Apro会長は 、パンデミック、政情不安、気候危機、経済格差の拡大など、かつてない激動の時代を乗り切るには、連帯が不可欠だと強調し、「労働組合は、団結し、共に変革を目指すことで労働者の権利を守ることができる。仲間を増やし、各国の組合同士が連帯することで、私たちの声を社会に響かせることができる。組織化を通じた労働者の権利の保護と労働条件の向上を実現しよう」と力強く呼びかけた。

パヌッダ・ブーンパラILOアジア太平洋地域事務所副事務局長は基調講演の中で、すべての労働者は暴力やハラスメントから解放されるべきだと述べ、「ILOは、特に移民労働者、非正規労働者、若年労働者がハラスメントの被害を最も受けやすい産業において、安全で包摂的な環境づくりに向けて継続的に取組んでいるUNI Aproの活動を称賛する」と述べ、職場における差別、ハラスメント、虐待の撲滅に向けた組合の取組みに対するILOの支援継続を約束した。

吉田昌哉ITUC-AP書記長は、 この地域の民主化闘争と組合の勝利に注目し、ミャンマーで軍事政権に抵抗する国民統一政府が前進したこと、インドネシアで労働法の改善を新たに提唱した組合が成功したこと、タイがOECD加盟を申請したことを称賛した。しかし、香港ではリー・チャクヤンのような活動家や組合指導者が不当に投獄されていることを非難し、「逆境の時こそ、我々は背筋を伸ばし、歴史から力を引き出し、前進しなければならない」と強調した。

もう一人の講演者、ヘニング・エフナー・フリードリッヒ・エーベルト財団タイ事務所長は、同財団がこの地域で長年にわたって築いてきたパートナーシップについて語り、「FESは皆さんと連帯し、社会正義、ディーセント・ワーク、労働組合の権利のために、アジア太平洋地域および世界中で組合の闘いを支援し続ける」と述べた。

マノップ・クエラットタイ国営企業労連委員長は、グローバルな自由市場の資本主義が悪化させた不平等の拡大について懸念を表明し、「短期雇用、雇用不安、労働権侵害、不当な賃金は、不平等の拡大につながっている。貧困層と富裕層の格差は拡大し続けている」と述べた。

ジェラルド・ドワイヤーUNI会長は、 タイ労働省の三者構成による取組みについて、「政府、使用者、労働者が協力し合うことができれば、それこそが最高の社会だ」称え、開会式を締めくくった。


UNI Aproの女性たち、変革を求める

UNI Apro女性大会の2日目は、参加者が新たな議長を選出し、変革に向けた野心的な道筋を描くなど、ダイナミックな議題が展開された。主な優先課題には、安全な職場の確保によるジェンダー平等の推進、ジェンダーに対応した労働安全衛生アプローチの採用、労働組合で指導的役割を担う若い女性を後押しする取組みの強化などがある。

会議の冒頭、アルケ・べシガーUNI副書記長は、5年前のUNI Apro女性大会以降、女性の地位向上が進展していることを強調し、「UNIの40 for 40キャンペーン、40%ルールの一貫した適用、そしてメンタリング・プログラムは、UNIの会議やUNIの意思決定機構における女性の参加率の大幅な上昇を実現する上で大きな力となった。(…中略…)昨年フィラデルフィアで開催されたUNI世界大会では、史上初めて女性の参加者が男性を上回った」と語った。

ジェンダー平等と安全な労働環境のために変革しよう
労働組合による一致した行動により、2019年に仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に向けて新たにILO第190号条約が採択された。しかし、この地域でより多くの政府に条約を批准させ、女性の保護を優先させるために、まだやるべき事は多い。

ルクサナ・パーベン代議員(バングラデシュ、GPEU)は、「ジェンダー平等と安全な労働環境のために変革しよう」に関する動議を説明し、女性や少女に対する暴力は依然として最も蔓延した人権侵害のひとつであり、女性の権利の実現と2030年の持続可能な開発目標の達成を大きく妨げていると主張し、次のように述べた。「経済的自立は暴力から逃れる道筋となり得るが、多くの被害者は仕事を中断したり不安定な状況に直面したりしており、生産性の低下や経済的不安定につながっている。これらの課題に取り組むため、UNI Aproは、ILO第190号条約の実施を支援し、暴力に反対するキャンペーンへの積極的な参加を促進し、重要な条約の批准を提唱していく」

この動議に関する討議で、スラッカナ・ラジャパクシャ代議員(スリランカ、銀行従業員労連)は、「職場でハラスメントや虐待を受けた場合、その人が自分が虐待されていることを認識するためには多くのことが必要だ。労働組合として、労働者を教育し、受入れ、必要な時にはNOと言えることがスキルだと認識させることは、我々の義務だ」と指摘した。

キム・テヒ代議員(韓国、金融産業労組)は、ストレスや仕事量など、職場における安全性の欠如につながる別の要因も、女性や社会に悪影響を及ぼしていると説明した。韓国の出生率は1人当たり0.72人まで急落し、OECD加盟38カ国の中で最低となっている。同氏は、「長時間労働のために子どもに十分な時間や気持ちを割くことができない環境では、出産・子育ての負担は必然的に増大する」と 説明するとともに、組合では週休4日制と労働時間の短縮を推進し、親が家族のための時間をもっと多く確保し、ワークライフバランスを実現できるよう働きかけていると付け加えた。

松井美里代議員(日本、生保労連)は、組合員の9割が女性で構成される同組織では、職場における女性管理職占率が高まることで、女性にとって長く働きやすい環境が整備されていくと考えている。現状は道半ばであるが、引き続き職場におけるジェンダー平等にむけた取組みを進めていく、と述べた。

伊藤美幸代議員(日本、JP労組)は、ジェンダー平等推進計画によって、中央本部の女性役員配置率や定期全国大会における女性代議員参画率について30%を達成したことを報告すると共に、ハラスメント根絶にむけて、定期的に中央本部と本社の間で意見交換を行い、意識合わせを行っていると共有した。

組合を変革する女性たち
労働組合の構築における女性の役割は、女性大会の重要な焦点となった。シャニカ・シルバ代議員(スリランカ、セイロン銀行従業員組合)は、「女性は組合の問題に独自の視点をもたらすことができる。職場におけるジェンダー不平等は賃金格差にとどまらず、指導的役割に就けないこと、昇進における不当な待遇、仕事と家庭生活の両立の難しさなどが挙げられる。組合で女性が声をあげることで、こうした問題に正面から取組むことができるようになる。我々が声を上げることで、女性だけでなく家族や地域社会にも影響を与える懸念を広めていくことができる」と訴えた。また、地域の協力とエンパワーメントを促進するための重要な取組みとして、南アジア専門職女性ネットワークについて紹介するとともに、UNIのメンタリング・プログラムは、女性にリーダーシップ・スキルを身につけさせる上で有効だと強調した

ジャケリナ・ビンティ・ラジウム代議員(マレーシア、郵便労組)は、「女性は単なる参加者ではなく、組合を変える触媒だ。女性の役割を理解し、ジェンダー特有の問題に取組むことで、組合はより包摂的で、対応力のある、効果的な組織になれる」と主張した。

阿部路子代議員(日本、UAゼンセン)は 、かつてわずか16%だった商業部門の女性代表を増やすための同労組の取組みについて語った。女性リーダーの育成を急務とし、「女性ネクストリーダー会議」を立ち上げ、メンバーがリーダーとして経験を積む場を設けるなどの取組みを通じ、女性役員の比率が向上したことを報告した。

小川友世代議員(日本、自動車総連)は、男性が多数を占める組合本部で、男性役員の常識を変えるべく、働く中で感じたことや改善点などを話し合いの場で伝えてきた自らの経験を振り返った。また、女性からいざ声があがってきても、それに対する優先順位が低くなりがちな状況を踏まえ、女性役員の意見交換会を開催したことや、今では、女性だけでなく多様な背景をもつ人が参画しやすい活動を話し合う委員会へと引き継がれていることを共有した。

フロアから発言した相宅幽香代議員(日本、損保労連)は、女性の意見がより労働組合活動に反映されるよう、同労連では組合の意思決定機関に参加する女性の割合を高める活動を進めてきたと報告した。取組みの結果、全国大会の代議員に占める女性の割合が3年前から1.6倍となる45%を超え、また半数以上の加盟単組の執行部に占める女性の割合が40%を超え、かつ三役に女性が登用されるようになったことを共有した。

万人のための安全:ジェンダーに対応した労働安全衛生
UNI機会均等局は、労働安全衛生をジェンダーに配慮した視点でとらえることを提唱している。生理(Menstruation)、出産(Maternity)、更年期(Menopause)という3つのMに焦点をあて、女性の職業生活に対する労働組合の支援強化を目的とした新たな実践的マニュアルを発表している。

カリヤニ・シェテ代議員(インド、RMS)は、南アジアの女性が直面する労働安全衛生に関する深刻な課題を強調し、「衛生設備へのアクセスは基本的人権だが、女性労働者の多くはそれを利用できないため、尿路感染症や骨盤内炎症性疾患、腎結石、下腹部痛、女性生殖器関連の問題など、さまざまな健康問題に苦しんでいる」と訴え、 労働組合がこうした状況に対処するための行動を起こすよう呼びかけた。

ヘレン・クーニー代議員(オーストラリア、店舗流通関連労組)は、法改正を推進する上での調査主導のアドボカシーの力を強調し、労働組合がオーストラリアのフェア・ワーク法にジェンダー平等の支店を組み込むことに成功した事例を紹介した。研究に基づく労働組合主導の取組みが、労働安全衛生政策をより包摂的なものに変える可能性を示したのである。

川島加津美代議員(日本、UAゼンセン)は、サービス業の女性労働者は、立ち仕事や強い冷房、不規則な勤務時間のため、ホルモンバランスの乱れから不調を起こしやすいとした上で、同組織で重点政策の一つに掲げる「働く女性の健康サポートの強化」について説明した。労働条件交渉の基本方針の中に女性の健康サポートに関する項目が盛り込まれていることを共有した他、女性の健康課題についての正しい情報共有のために、啓発リーフレットや動画による理解促進を図り、ライフステージごとの健康づくりや、企業における女性の健康支援の事例についてセミナーを開催したことなどを報告した。

三﨑友香里代議員(日本、大日本印刷労組)は、同労組で取組んでいる「生理痛体験」について報告した。性別に関わらず不調の原因や度合いは人それぞれであり、つらさの度合いを勝手に決めつけるのは違う、ということを体感的に理解することが目的である。「共に働く仲間は、それぞれ何かしらの不調を抱えているかもしれない。その不調はその人に様々な影響を与えているかもしれない」と想像できる優しさを持つことが重要だと訴えた。

若い女性のために変革しよう

ベルナデット・レイズ代議員(フィリピン、NUBE-IFO)は、「我々は今日、若者が社会の変革の担い手として果たす重要な役割を再認識するために集った。世界の若者の約60%がアジア太平洋地域に集中しており、我々は、ディーセントで持続可能な労働が優先され、若い女性の声に耳が傾けられ、女性が評価される未来を形成する、かつてない機会を手にしている」と述べ、動議6に関する討議の口火を切った。

パネリストとして登壇した入江優妃代議員(日本、情報労連)は、UNI-LCJユース英語セミナーに参加して学んだことを共有すると共に、日本において、若い女性を労働組合に参加させることの重要性について触れた。また、「昔のルール」が女性の活躍を阻害するのであれば、それを女性自身の声と行動で変えていくことが必要だと訴えた。

フロアから発言した横内愛咲代議員(日本、UAゼンセン)は、同組織が次世代リーター育成のために開催している弁論大会について紹介した。また、女性の健康やハラスメントの問題など、女性が安心して悩みを相談でき、活動に参加し、発言ができる機会や場所を設ける必要性についても言及した。またより組合員に近い単組において、女性に寄り添って参加を促すことが第一歩であるとし、UAゼンセンとしても単組の取組みを支援したいと述べた。

マルタ・オチョアUNI青年委員会担当局長は、「労働組合として、我々には義務がある。賃金格差と闘い、ジェンダーに基づく暴力を撲滅し、女性が成長し活躍できる機会を創出する義務がある。若い女性の声が届き、評価されるような指導、訓練、リーダーシップの道を提供する義務がある。そして同様に重要なことは、組合内に安全なスペース、つまり若い女性が恐れることなく組織し、指導し、活躍できるスペースを作る義務だ」と訴えかけた。

UNI機会均等局のメンタリング・プログラムは、3年前にUNI Aproの9カ国、28組合で開始し、メンティーの43%が指導的立場に昇進している。ヴェロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、その効果について次のように述べた:「その成果は、数字だけでなく、参加者の人生、前進したキャリア、参加者一人ひとりにもたらされた自信に表れている。メンティーは見識とスキルを身につけ、背筋が伸びるようになった。メンターも成長し、指導に新たな目的を見出すようになった。我々は共に、個人に力が与えられれば、組合が発展するということを証明してきた」

女性大会の最後に、中田綾子代議員(日本、UAゼンセン)が UNI Apro女性委員会議長に、バヴニート・カウール・アラン代議員(インド、AIBOBOA)が議長代行に選出された。

多様性に富んだ地域から集まったUNIの参加者たちは、女性大会で得たアイデア、戦略、抱負を母国で実現する準備を整えた。


障壁を打ち破り、平等を築こう: UNI Apro女性大会、バンコクで変化を促す

2024年11月18日、タイ・バンコクで第6回UNI Apro女性大会が開幕した。『ジェンダー平等のために、ともに変革しよう』をテーマに、20カ国から200人以上の女性が結集した。

UNIタイ加盟協を代表して、ニライモル・モントレカノン氏が参加者を歓迎し、「Su!Su!(闘おう!)」と唱和し、職場や組合で女性の力を高めるよう、呼びかけた。

中田綾子UNI Apro女性委員会副議長(日本、UAゼンセン)は、開会挨拶の中で「私たちは、女性を経済的、社会的、政治的にエンパワーする政策を提唱しなければなりません。特に、アジアでは歴史的にも、文化的にも、女性の立場が低い状況にありました。アジアの女性がおかれている環境は、世界と比較しても、まだ解決すべき課題があります。私たちは、暴力やハラスメント、差別、そして労働組合だけでなく社会全体への女性の全面的な参加を妨げるあらゆる障壁と闘っていかなければなりません」と述べ、ジェンダー平等への困難な道のりの中で女性のエンパワーメントを求める積極的な提言を行って大会の流れを導いた。

司会を務めたチャニサ・モンタマニー氏(タイ郵便労組)は、この大会がタイの民主的な労働組合運動にとって歴史的な瞬間であると称え、「UNI Aproによるこの素晴らしい国際交流の機会を利用し、私たち自身を豊かにしよう。障壁を打ち破り、より多くの女性が組合に参加し、意思決定の地位につけるよう道を切り拓いている、南アジアと東南アジアからメンタリング・プログラムに参加した姉妹を歓迎したい」と述べた。

UNI機会均等局のメンタリング・プログラムは、この地域で目覚ましい成果を上げており、わずか3年間で参加者の半数近くが意思決定に関わる役職を得て、その革新的効果を示している。

アルケ・べシガーUNI副書記長は、バングラデシュにおける安全な工場の構築、インドネシアの清掃労働者の賃上げ、日本での数千人のパートタイム労働者の組織化など、この地域における組合の成功を強調し、「UNIと加盟組織が、働く女性が直面している緊急問題に取組んでいることは、我々の誇りだ。我々は勝利する。組合の課題、UNIの課題は、女性の課題だ」と語った。

暴力、ハラスメントとの闘い
キャロル・シェファー UNI世界女性委員会議長(アイルランド・CWU)は、女性の安全と生活に深く影響する職場のハラスメントや家庭内暴力との闘いを出席者に呼びかけ、「職場のセクハラに立ち向かっていこう。もうたくさんだ、と叫ぼう。職場に忍び寄る家庭内暴力に立ち向かおう。一人ひとりが変革の担い手となろう。なぜなら、皆さんには力があるから」と呼びかけた。

ジェラルド・ドワイヤーUNI会長兼UNI Apro会長代行は、顧客と接する業務に就く女性に非常に大きな影響を与える、顧客からの攻撃という根強い問題について強調し、「真のディーセントワークとは、暴力や脅迫がないこと。顧客による攻撃は我々全員にとって災いであり、反撃していかなければならない。UNI Aproは、加盟組織のSDAとUAゼンセンが率先してこの課題に取組んでおり、非常に誇らしい」と述べた。また、20を超える加盟組合が、女性や若者に大きな影響を与える顧客からの暴力や攻撃に反対する広範なキャンペーンを展開していることを付け加えた。

男女間の賃金格差への取組み
ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、女性の経済的自立、強さと力を制限する男女間賃金格差の是正がこの地域の喫緊の課題であることを強調し、「サービス産業の女性は、同じ仕事でも男性より低賃金であることが多い。我々は、同一賃金政策と賃金の透明性を通じて、男女賃金格差の是正に注力している」と述べるとともに、仕事の世界における暴力やハラスメントと闘うため、より多くの国にILO 第190号条約の批准を迫る必要性を強調した。

2024~2028年の戦略的優先課題
大会初日には、2024年~2028年の戦略的優先課題から始まる2つの動議に関して、討議が行われた。

主な目標は以下のとおり:

  1. 組合における女性代表の増加: UNI機会均等局の「40for40」やメンタリング・プログラムなどのキャンペーンは、女性リーダーの地位向上を目指している。
  2. 暴力とハラスメントの撲滅: ILO第190号条約の批准に向けたアドボカシー、職場における暴力に関する教育、団体協約への原則の盛り込みが引き続き重要である。
  3. 女性のために取組む組合: ジェンダーに焦点を当てた団体交渉や、賃金格差、年金、安全衛生の課題に取組む政策が不可欠な戦略として強調された。

ディーセントで持続可能な未来のために、変革しよう
チュン・ライハ代議員(香港、HKRRCGU)は、ジェンダー平等を通じたディーセントワークと持続可能性の実現に焦点を当てる2番目の動議について説明し、「知識集約型経済において、ディーセントな雇用の推進と人材への投資は、経済成長と社会的包摂にとって非常に重要だ。ジェンダー平等は、持続可能な未来のためだけでなく、気候変動に直面する中で公正な移行を達成するためにも欠くことはできない」と述べた。

パネリストとして登壇した白國富美代 代議員(日本、UAゼンセン)は、同組織で6割を超えるパートタイムリーダーの育成に向けた取組みについて共有し、 ベストプラクティスの共有と ネットワークの構築を通じ、経験とモチベーションをアップさせていると語った。 そして、誰かに託すのではなく、パートタイム労働者が自ら自分たちの労働条件について考え、声を上げ、変えていくこと が重要だと訴えた。

外﨑文美子代議員(日本、自動車総連)は、相互理解のある職場づくりをする上で対話の果たす重要性について言及した。考えを発信しやすい環境を整えることがカギの一つだとし、そうすることで働きやすい職場の土台となり、活力が生まれ、職場の成長が促されると発言した。

UNI Apro女性大会は2日目(2024年11月19日)に続く。


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