UNI Apro女性大会の2日目は、参加者が新たな議長を選出し、変革に向けた野心的な道筋を描くなど、ダイナミックな議題が展開された。主な優先課題には、安全な職場の確保によるジェンダー平等の推進、ジェンダーに対応した労働安全衛生アプローチの採用、労働組合で指導的役割を担う若い女性を後押しする取組みの強化などがある。
会議の冒頭、アルケ・べシガーUNI副書記長は、5年前のUNI Apro女性大会以降、女性の地位向上が進展していることを強調し、「UNIの40 for 40キャンペーン、40%ルールの一貫した適用、そしてメンタリング・プログラムは、UNIの会議やUNIの意思決定機構における女性の参加率の大幅な上昇を実現する上で大きな力となった。(…中略…)昨年フィラデルフィアで開催されたUNI世界大会では、史上初めて女性の参加者が男性を上回った」と語った。
ジェンダー平等と安全な労働環境のために変革しよう 労働組合による一致した行動により、2019年に仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に向けて新たにILO第190号条約が採択された。しかし、この地域でより多くの政府に条約を批准させ、女性の保護を優先させるために、まだやるべき事は多い。
ルクサナ・パーベン代議員(バングラデシュ、GPEU)は、「ジェンダー平等と安全な労働環境のために変革しよう」に関する動議を説明し、女性や少女に対する暴力は依然として最も蔓延した人権侵害のひとつであり、女性の権利の実現と2030年の持続可能な開発目標の達成を大きく妨げていると主張し、次のように述べた。「経済的自立は暴力から逃れる道筋となり得るが、多くの被害者は仕事を中断したり不安定な状況に直面したりしており、生産性の低下や経済的不安定につながっている。これらの課題に取り組むため、UNI Aproは、ILO第190号条約の実施を支援し、暴力に反対するキャンペーンへの積極的な参加を促進し、重要な条約の批准を提唱していく」
この動議に関する討議で、スラッカナ・ラジャパクシャ代議員(スリランカ、銀行従業員労連)は、「職場でハラスメントや虐待を受けた場合、その人が自分が虐待されていることを認識するためには多くのことが必要だ。労働組合として、労働者を教育し、受入れ、必要な時にはNOと言えることがスキルだと認識させることは、我々の義務だ」と指摘した。
キム・テヒ代議員(韓国、金融産業労組)は、ストレスや仕事量など、職場における安全性の欠如につながる別の要因も、女性や社会に悪影響を及ぼしていると説明した。韓国の出生率は1人当たり0.72人まで急落し、OECD加盟38カ国の中で最低となっている。同氏は、「長時間労働のために子どもに十分な時間や気持ちを割くことができない環境では、出産・子育ての負担は必然的に増大する」と 説明するとともに、組合では週休4日制と労働時間の短縮を推進し、親が家族のための時間をもっと多く確保し、ワークライフバランスを実現できるよう働きかけていると付け加えた。
松井美里代議員(日本、生保労連)は、組合員の9割が女性で構成される同組織では、職場における女性管理職占率が高まることで、女性にとって長く働きやすい環境が整備されていくと考えている。現状は道半ばであるが、引き続き職場におけるジェンダー平等にむけた取組みを進めていく、と述べた。
伊藤美幸代議員(日本、JP労組)は、ジェンダー平等推進計画によって、中央本部の女性役員配置率や定期全国大会における女性代議員参画率について30%を達成したことを報告すると共に、ハラスメント根絶にむけて、定期的に中央本部と本社の間で意見交換を行い、意識合わせを行っていると共有した。
組合を変革する女性たち 労働組合の構築における女性の役割は、女性大会の重要な焦点となった。シャニカ・シルバ代議員(スリランカ、セイロン銀行従業員組合)は、「女性は組合の問題に独自の視点をもたらすことができる。職場におけるジェンダー不平等は賃金格差にとどまらず、指導的役割に就けないこと、昇進における不当な待遇、仕事と家庭生活の両立の難しさなどが挙げられる。組合で女性が声をあげることで、こうした問題に正面から取組むことができるようになる。我々が声を上げることで、女性だけでなく家族や地域社会にも影響を与える懸念を広めていくことができる」と訴えた。また、地域の協力とエンパワーメントを促進するための重要な取組みとして、南アジア専門職女性ネットワークについて紹介するとともに、UNIのメンタリング・プログラムは、女性にリーダーシップ・スキルを身につけさせる上で有効だと強調した
ジャケリナ・ビンティ・ラジウム代議員(マレーシア、郵便労組)は、「女性は単なる参加者ではなく、組合を変える触媒だ。女性の役割を理解し、ジェンダー特有の問題に取組むことで、組合はより包摂的で、対応力のある、効果的な組織になれる」と主張した。
阿部路子代議員(日本、UAゼンセン)は 、かつてわずか16%だった商業部門の女性代表を増やすための同労組の取組みについて語った。女性リーダーの育成を急務とし、「女性ネクストリーダー会議」を立ち上げ、メンバーがリーダーとして経験を積む場を設けるなどの取組みを通じ、女性役員の比率が向上したことを報告した。
小川友世代議員(日本、自動車総連)は、男性が多数を占める組合本部で、男性役員の常識を変えるべく、働く中で感じたことや改善点などを話し合いの場で伝えてきた自らの経験を振り返った。また、女性からいざ声があがってきても、それに対する優先順位が低くなりがちな状況を踏まえ、女性役員の意見交換会を開催したことや、今では、女性だけでなく多様な背景をもつ人が参画しやすい活動を話し合う委員会へと引き継がれていることを共有した。
フロアから発言した相宅幽香代議員(日本、損保労連)は、女性の意見がより労働組合活動に反映されるよう、同労連では組合の意思決定機関に参加する女性の割合を高める活動を進めてきたと報告した。取組みの結果、全国大会の代議員に占める女性の割合が3年前から1.6倍となる45%を超え、また半数以上の加盟単組の執行部に占める女性の割合が40%を超え、かつ三役に女性が登用されるようになったことを共有した。
万人のための安全:ジェンダーに対応した労働安全衛生 UNI機会均等局は、労働安全衛生をジェンダーに配慮した視点でとらえることを提唱している。生理(Menstruation)、出産(Maternity)、更年期(Menopause)という3つのMに焦点をあて、女性の職業生活に対する労働組合の支援強化を目的とした新たな実践的マニュアルを発表している。
カリヤニ・シェテ代議員(インド、RMS)は、南アジアの女性が直面する労働安全衛生に関する深刻な課題を強調し、「衛生設備へのアクセスは基本的人権だが、女性労働者の多くはそれを利用できないため、尿路感染症や骨盤内炎症性疾患、腎結石、下腹部痛、女性生殖器関連の問題など、さまざまな健康問題に苦しんでいる」と訴え、 労働組合がこうした状況に対処するための行動を起こすよう呼びかけた。
ヘレン・クーニー代議員(オーストラリア、店舗流通関連労組)は、法改正を推進する上での調査主導のアドボカシーの力を強調し、労働組合がオーストラリアのフェア・ワーク法にジェンダー平等の支店を組み込むことに成功した事例を紹介した。研究に基づく労働組合主導の取組みが、労働安全衛生政策をより包摂的なものに変える可能性を示したのである。
川島加津美代議員(日本、UAゼンセン)は、サービス業の女性労働者は、立ち仕事や強い冷房、不規則な勤務時間のため、ホルモンバランスの乱れから不調を起こしやすいとした上で、同組織で重点政策の一つに掲げる「働く女性の健康サポートの強化」について説明した。労働条件交渉の基本方針の中に女性の健康サポートに関する項目が盛り込まれていることを共有した他、女性の健康課題についての正しい情報共有のために、啓発リーフレットや動画による理解促進を図り、ライフステージごとの健康づくりや、企業における女性の健康支援の事例についてセミナーを開催したことなどを報告した。
三﨑友香里代議員(日本、大日本印刷労組)は、同労組で取組んでいる「生理痛体験」について報告した。性別に関わらず不調の原因や度合いは人それぞれであり、つらさの度合いを勝手に決めつけるのは違う、ということを体感的に理解することが目的である。「共に働く仲間は、それぞれ何かしらの不調を抱えているかもしれない。その不調はその人に様々な影響を与えているかもしれない」と想像できる優しさを持つことが重要だと訴えた。
若い女性のために変革しよう
ベルナデット・レイズ代議員(フィリピン、NUBE-IFO)は、「我々は今日、若者が社会の変革の担い手として果たす重要な役割を再認識するために集った。世界の若者の約60%がアジア太平洋地域に集中しており、我々は、ディーセントで持続可能な労働が優先され、若い女性の声に耳が傾けられ、女性が評価される未来を形成する、かつてない機会を手にしている」と述べ、動議6に関する討議の口火を切った。
パネリストとして登壇した入江優妃代議員(日本、情報労連)は、UNI-LCJユース英語セミナーに参加して学んだことを共有すると共に、日本において、若い女性を労働組合に参加させることの重要性について触れた。また、「昔のルール」が女性の活躍を阻害するのであれば、それを女性自身の声と行動で変えていくことが必要だと訴えた。
フロアから発言した横内愛咲代議員(日本、UAゼンセン)は、同組織が次世代リーター育成のために開催している弁論大会について紹介した。また、女性の健康やハラスメントの問題など、女性が安心して悩みを相談でき、活動に参加し、発言ができる機会や場所を設ける必要性についても言及した。またより組合員に近い単組において、女性に寄り添って参加を促すことが第一歩であるとし、UAゼンセンとしても単組の取組みを支援したいと述べた。
マルタ・オチョアUNI青年委員会担当局長は、「労働組合として、我々には義務がある。賃金格差と闘い、ジェンダーに基づく暴力を撲滅し、女性が成長し活躍できる機会を創出する義務がある。若い女性の声が届き、評価されるような指導、訓練、リーダーシップの道を提供する義務がある。そして同様に重要なことは、組合内に安全なスペース、つまり若い女性が恐れることなく組織し、指導し、活躍できるスペースを作る義務だ」と訴えかけた。
UNI機会均等局のメンタリング・プログラムは、3年前にUNI Aproの9カ国、28組合で開始し、メンティーの43%が指導的立場に昇進している。ヴェロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、その効果について次のように述べた:「その成果は、数字だけでなく、参加者の人生、前進したキャリア、参加者一人ひとりにもたらされた自信に表れている。メンティーは見識とスキルを身につけ、背筋が伸びるようになった。メンターも成長し、指導に新たな目的を見出すようになった。我々は共に、個人に力が与えられれば、組合が発展するということを証明してきた」
女性大会の最後に、中田綾子代議員(日本、UAゼンセン)が UNI Apro女性委員会議長に、バヴニート・カウール・アラン代議員(インド、AIBOBOA)が議長代行に選出された。
多様性に富んだ地域から集まったUNIの参加者たちは、女性大会で得たアイデア、戦略、抱負を母国で実現する準備を整えた。