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インフレ時の団体交渉:労働組合の対応

UNI欧州の新たな調査報告、『すべてが上がる – 欧州の団体協約における自動賃上げ』は、高いインフレ率の時代に、労働組合がどのように交渉するかについて、焦点を当てるものだ。

欧州では2021年以降、生活費の急激な高騰に見舞われている。COVID-19パンデミックによるサプライチェーンの混乱、ウクライナ紛争後のエネルギー価格の上昇、企業収益の増加などが原因となり、インフレ率は多くの地域で2桁に達した。こうした状況が労働者の購買力に大きな影響を及ぼしているため、団体交渉の主要なテーマとなっている。

従来、労働組合は定率の賃上げを交渉の対象としている。しかし、予測不可能な高インフレの時代には、このアプローチは困難に直面する。解決策の1つとして、インフレ率に連動した(半)自動賃上げの実施が考えられる。このような方式は、「賃金の物価スライド」または「生活費調整(COLA)」と呼ばれる。

団体協約にこうした条項を盛り込むことで、将来のインフレ率に合わせて賃金が調整され、実質的な賃金保障と名目的な柔軟性がもたらされる。高インフレ下でも、労働者の購買力は保証される。同時に、交渉当事者は、交渉期間中に賃金がどれだけ上昇するか正確に知ることはできない。インフレ率が高い時期には、概して賃金の物価スライドやCOLA条項が好まれる。

報告書ではまず、多くの国で現在、労働組合がこうした条項を導入していることを紹介している。同時に、賃金をインフレに連動させる範囲と方法の両方において、かなりの多様性がみられる。だが、賃金連動方式は以前考えられていたよりも広範囲に普及している一方で、社会パートナーが団体協約にこのような条項を盛り込むことに反対している多くの国々では、依然としてこの方式は存在しない。

本報告書は、高インフレの影響と闘う上で、団体交渉がどのように貢献しうるのか、具体な事例を示すことで労働組合を支援することを目的としている。
報告書(英文)は、こちらから


UNI、反ファシズムの労働組合ネットワークに参加

UNIとUNI欧州が、反ファシズム労働組合の国際ネットワークのマニフェストに署名した。マニフェストは、集団的な行動を通じて、社会正義の推進、人権の擁護、民主主義の強化に取組むものだ。

近年、世界各地で、強権化、反対派の弾圧、民主主義制度の弱体化を目論む指導者を擁する、危険な権威主義体制の台頭が憂慮されている。また欧州では、極右グループややファシスト組織の脅威が高まっており、暴力やヘイトスピーチを用いて過激な主張を推進するグループもある。

ネットワークは、イタリア労働総同盟(CGIL)が、ファシストによるローマ本部への襲撃事件から1年を機に発足させたものだ。民主主義の擁護、人権の促進、あらゆる形態の人種主義、性差別、差別との闘いに取組んでいく。ネットワークの参加組織は、極右イデオロギーの拡散に対する連携した対応と、民主的価値を保護する必要性を強調している。

ローマでネットワークの結成に参加したオリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「労働組合は民主主義の拠り所だ。ファシストが組合運動を嫌うのは、そのためだ。排除を説き、最も弱い立場の者を責め立てようとする者は、働く人々の間に分断の種をまこうとするものであり、我々の友人ではない。彼らは、排除と不平等を生み出している真の責任者から、人々の注意をそらそうとしている。我々の答えは、常に民主主義を支持し強化するということだ。職場における民主主義と社会における民主主義は、同じコインの表裏の関係にある。団体交渉はポピュリズムに対する解毒剤だ」と訴えた。

UNI 欧州は昨年、「民主主義の支持と強化」をテーマに、欧州の組合が一堂に会する会議を開催し、職場やそれ以外の場所でこの目標に向かってどのように取組んでいるか、意見交換を行った。


クレディ・スイスの従業員に救済措置を

スイス政府が積極仲介したUBSによるクレディ・スイスの買収により、クレディ・スイスとUBSの従業員は、大きな不安を抱えることになった。UNI加盟組織のスイス銀行従業員協会(SBEA)は、両行の幹部やスイス政府と連絡を取り合っている。SBEAは、従業員の救済策を取りまとめるため、銀行、社会パートナー、当局を含むタスクフォースの設立を要求している。

従業員が買収に伴う影響によって取り残されないよう支援するため、SBEAは以下の優先目標を発表した:

  1. 雇用喪失は、必要最小限に抑えなければならない。
    SBEAは、2023年末まで解雇を凍結し、その後にソーシャルプランの一環として回避不能な解雇の実施を求める。再就職が特に困難な55歳以上の従業員に対しては、解雇に対する特別かつ強力な保護が必要である。可能であれば、金銭的な補償のある早期退職を最初の選択肢とすべきである。
  2. 人員削減の影響は、可能な限り軽減されなければならない。
    早期退職などによる人員削減が不可避な場合や実施される場合には、UBSとクレディ・スイスは、影響を受ける従業員に対し、徹底した再教育などを通じて、新しい職への移行を容易にするための取組みをする必要がある。金融部門では熟練労働者が不足しているが、買収によって、銀行部門の労働市場が吸収できないような規模の人員削減が行われる恐れがある。
  3. 十分な試行を重ねた社会保障制度を、さらに拡充しなければならない。
    クレディ・スイスとUBSの全従業員に追加措置を適用することが必要である。UBSとクレディ・スイスの現行のソーシャルプランは、通常のリストラにおいては良い手段であるが、今回の買収はそれをはるかに超える規模のものであり、社会パートナーであるSBEAと追加措置について交渉する必要がある。

さらに、国が将来の雇用を保証しなければならない。企業が税金で保護されて、従業員は手ぶらで出て行くという状況は、容認できない。銀行の救済は、雇用の救済を意味するものでなければならない。スイス政府による10億フランの保証は、従業員に利益をもたらす条件とリンクさせるべきであり、政府はその費用を直接負担すべきである。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「我々は、クレディ・スイスの従業員と労働組合SBEAを全面的に支援する。他がすでに対処を受けているのに、従業員にツケを回させるわけにはいかない。労働者の税金が投入されるのであれば、労働者の利益を第一に考える必要がある」と強調した。


UNI、国際家事労働者連盟のエリザベス・タン書記長に全面的に連帯

UNIは、国際家事労働者連盟(IDWF)および世界の労働組合運動の仲間とともに、優れた組合指導者であるエリザベス・タンIDWF書記長の状況を、憂慮しつつ注視している。同書記長は、2023年3月9日、「国家の安全を脅かす」との嫌疑で香港の警察当局に逮捕され、現在は保釈中で進展を待っている。

UNIと同書記長の協力関係は、彼女が香港労働組合連盟を率い、そのエネルギッシュで若いチームが、警備員や清掃員の労働基準を引き上げる世界的なキャンペーンを積極的に支持していた20年近く前まで遡る。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、タン書記長について、「献身的な労働組合活動家であり、極めて誠実な人柄。幸運にも2000年代にタン書記長と密接に仕事をすることができたが、彼女は常に、取り残されて『見えなくされている』弱い立場の労働者に、とりわけ焦点をあててきた。彼女のアプローチは一貫して、より恵まれた環境にいる労働者だけでなく、すべての労働者の賃金と条件を引き上げなければならないというものであり、UNIの全幅の信頼を得てきた」と語った。

UNIは、世界で最も強い信念を持つ優れた労働組合活動家の女性の一人であるタン書記長に、全面的に連帯を表明する。

タン書記長は、UNIと世界中の2000万人の組合員の全面的な支持を受けている。我々は、この状況の前向きな解決と、世界中の労働者の権利促進に向けて、共に取組みを続けていく機会を待ち望んでいる。


2030年にむけた銀行部門:社会対話を通じ、AIリスクに対応

人工知能(AI)とデジタル技術によって、銀行部門やその事業展開のあり方が、急速に変化している。こうした進歩は多くの利点をもたらす一方、労働者と労働条件に大きな影響も及ぼしている。

銀行部門の労働者が直面する重要な課題の1つは、AIを含む新しいデジタルツールを使用するための新しいスキルの必要性であり、使用者は、労働者が訓練やスキルアップの機会を受けられるようにしなければならない。

また、AIやアルゴリズムの倫理的使用、データ保護、モニタリングや監視についての懸念も存在する。AIやデジタルツールは、労働者や顧客の膨大なデータの収集と分析を可能にするが、これらの個人データはどのように使用されるのだろうか?また、偏ったアルゴリズムやAIは、差別や不平等を永続させるなどの影響をもたらしうる。アルゴリズムやAIがどのように意思決定を行うかについての透明性が欠如していることで、倫理的懸念がさらに高まっているのである。

社会パートナープロジェクト
こうした問題に対応するため、欧州の銀行部門の社会パートナー(UNI欧州金融部会と、使用者団体であるEBF、EACB、ESBG)は、『Banking 2030:現在の世界的なトレンド、特に人工知能(AI)は、欧州の銀行業界とその従業員の未来をどのように形作っていくか? 』と題するプロジェクトを開始した。プロジェクトはEUが資金提供している。

プロジェクトの最初のワークショップが、2023年2月17日にパリで開催され、デジタル化、新技術、AIなど、銀行業を変革する主要なメガトレンドに焦点が当てられた。

ワークショップでは、変化を予測し対処する方法としての社会対話の意義が強調された。社会パートナーは、社会対話と団体交渉を通じて、初期段階からデジタルツールの使用を決定する上で重要な役割を担っていることを認識し、デジタルやその他の将来的動向を管理し、悪影響が及ばないよう、責任ある方法で移行していくために協力していく必要がある。

複数の講演者が、責任ある倫理的な方法でデジタル移行を管理する上での、社会対話と団体交渉の重要性を強調した。マーク・ピアソンOECD雇用労働・社会問題局副局長は、労働者の適切なスキルアップとトレーニングを確保し、新しい職場への適応を支援するためには、団体交渉が重要であると指摘した。

ビアンカ・クチニエロOECD-TUAC副会長は、AIの責任ある倫理的な使用には「人間によるコントロール」の原則が不可欠であると強調し、包摂性を促進するデジタル移行を呼びかけた。ミカエル・ブドルフソンUNI欧州金融部会議長は、社会パートナーによる積極的な関与の必要性と、労働者が職場のデジタル変革に適応するためのトレーニングと再技能教育を受けられるようにすることの重要性を強調した。

フランスのエリック・ペレスFO Cadres書記長は、職場でAIがどのように導入されるか、特に監視に関して警戒するよう、組合に呼びかけた。また、職場で使用されるツールが責任ある倫理的なものであるようにするため、実際の開発者を社会対話と団体交渉に参加させるよう、訴えた。

銀行部門におけるAIとデジタル技術の利用拡大は、労働者や労働条件に大きな影響を及ぼしている。労働者への適切なスキルアップとトレーニングの確保、包摂性の促進、監視や偏見などの悪影響の防止など、AIが銀行部門に及ぼす影響に対処するために、社会対話と団体交渉は明らかに必要である。

このプロジェクトは、まさにそのような実践を高めるものであり、次回ワークショップは、2023年6月13日にストックホルムで開催予定となっている。


UNIと加盟組織がノルウェー投資ファンドと会談、労働者の権利について協議

UNIは最近、ノルウェーの加盟組織HKおよびFSUとともに、世界第2位のノルウェー政府系ファンドの投資管理部門であるNBIMと会談し、労働者の権利を含む人的資本管理に関する期待文書の実施状況について、協議した。

今回の会談は、同ファンドのポートフォリオ9,000社以上との協議において、労働者問題を提起するよう、UNIが長年にわたってNBIMに働きかけてきたことの重要な節目となった。NBIMは、世界の全上場企業の1.5%以上、欧州の上場企業の2.7%以上の株式を保有しており、欧州の上場企業においては、概ね第2~3の大株主となっている。 その保有株式の大きさと世界的な地位により、同行は世界中の責任投資分野における基準を打ち立てている。

NBIMの期待文書が完璧だったわけではないが、昨年発表された期待文書では、労働者の権利を重視する姿勢について大きな進展が見られ、「結社の自由や団体交渉などの良好な労使関係は、企業が人的資本管理戦略を効果的に導入・実施するための基盤」であると記されている。

期待文書の発表後すぐに、UNIと加盟組織は、この文言を裏付ける強力な行動を求めてきた。今回の会合では、長年、多くの権利侵害や労働者に対する不当な扱いをしてきたアマゾン等の事例を取り上げ、なぜ実行することが重要なのかを強調した。

これらの懸念に対する銀行の対応は、UNIと加盟組織が注視していくことになる。また銀行を監督し、UNIとHKノルウェーとも会談したノルウェーの国会議員も、その動向について把握していく。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「今回の協議は、同行がその大きな影響力を用いて、どのように企業で労働者の権利が尊重されるようにしていくか、その転換点となりうるもの。他の投資家にも波及効果をもたらすだろう」と指摘し、「これは大きな変化であり、大きな出来事。我々は今、この明確に認識された基本的権利が、どのように実践されるかをしっかり見ていかなければならない。結局のところ、それが重要なのだ」と強調した。

UNIは10年以上にわたって、労働者の権利を促進するために銀行と関わり、労働問題を抱える特定の企業を取り上げ、労働基本権に焦点を当てるよう求めるとともに、ファンドによる影響力行使の強化を求めてきた。

今回のNBIMとの会談は、UNIがグローバルユニオンの労働者資本委員会(CWC)と共著した報告書『Shared Prosperity(繁栄の共有)』の発表を受けて、投資家に結社の自由と団体交渉の尊重に向けて行動を起こさせるための大きな取組みの一環である。同報告書は、企業が労働者の組合加入や団体交渉の権利を侵害する場合、投資家がなぜ、どのように対応すべきかについて、概説している。

労働者資本委員会(CWC)とは、労働者資本の責任ある投資に関して対話し行動を起こす国際労働組合ネットワークである。国際労働組合総連合(ITUC)、グローバルユニオン(GUF)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)の共同イニシアチブであり、UNIは事務局に参加している。


労働組合は、アルゴリズムについて交渉が必要

テクノロジーの発展は、我々の生活にますます強い影響を及ぼしており、それは仕事も例外ではない。正しく使えば、より効率的で魅力的な仕事につながるが、非常に多くの場合、テクノロジーによって仕事は単調で負担の大きいものになり、強い統制下に置かれている。スウェーデンでは、商業労組のHandelsが「Human-machine work」と題した報告書を発表し、新しいテクノロジー、特にアルゴリズムに基づくテクノロジーを職場でどのように導入するかを決定する際に、従業員を参加させることの重要性を明らかにしている。

この報告書には、倉庫の労働者を対象としたアンケート調査の結果が含まれており、それによると、労働者の大半は、アルゴリズム、ロボット、組み立てラインが作業を制御・監視するデジタルシステムを使用の中で働いている。システムがうまく機能すれば、従業員はスキルアップしてより高度な仕事をこなし、デジタルシステムと共に仕事を管理することができるが、うまく機能しない場合、従業員は人権侵害的な監視にさらされ、人間的な行動や思考の余地はほとんど残されていない。

問題は、新しいテクノロジーが導入される際に、従業員のニーズやスキルが必ずしも考慮されないことだ。その結果、従業員と企業の双方に利益をもたらすのでなく、労働環境が悪化してしまうのである。職場で定期的な能力開発の機会を得ている従業員はわずか17%で、10人中8人は新たな業務を遂行するための能力開発を望んでいる。

リンダ・パルメッツホーファーHandels委員長は、報告書の著者と共著の意見記事の中で「労働環境に影響を与える他の条件について交渉したいのと同様に、我々は職場のアルゴリズムやハイテクシステムについても交渉したいのだ」と、述べている。

Handelsの報告書は、職場におけるテクノロジーの発展が従業員に利益をもたらすようにするためのいくつかの方策を提案している。一点目は、アルゴリズムで管理されたシステムの導入や使用方法について、従業員に影響力を持たせるため、アルゴリズムについて交渉することだ。二つ目に、新しいシステムが導入される際には、従業員の知識と経験が活用されるようにしなければならない。そして最後に、従業員は、職場で新しいテクノロジーを使うためのスキルアップの機会を得るべきである。

同委員長は、「新しいテクノロジーは、より良い、より魅力的な仕事をもたらしうる。だが、その場合、従業員はテクノロジーが開発される時に、それがどのように使用されるかについて、関与していかなければならない」と指摘した。

Handelsによる報告書『Human-machine work』は、結びとして、職場におけるテクノロジーの発展から従業員がどのように恩恵を受けることができるかについて、洞察を示している。アルゴリズムの交渉、従業員の知識や経験の活用、スキルアップ機会の提供は、より良い職場環境へ向けた、重要なステップだ。


共に立ち上がろう!Rising Together!~第24回UNI-LCJ年次総会、記念講演、レセプション~

2023年2月17日、第24回UNI-LCJ年次総会が東京で開催された。コロナ禍により、昨年および一昨年は、会場出席者を制限したハイブリッド開催であったが、今会は3年ぶりの対面開催となった。各加盟組織より運営委員および総会代議員、オブザーバー等約60人が出席した。2022年度活動報告、会計報告の承認に続き、2023年度活動計画および予算が承認された。また今次年次総会では、2023~2027年度UNI-LCJアクションプランが採択された。

年次総会後に開催した記念講演には、UNI本部からクリスティ・ホフマンUNI書記長、UNI Aproからラジェンドラ・アチャリャ地域書記長が来賓として出席した。4年ぶりの来日となったホフマンUNI書記長は、他の友誼団体からの参加者を含めた約90人を前に、今年8月に開催される第6回UNI世界大会に向けた講演を行った。

ホフマンUNI書記長は、UNI世界大会の舞台となる米国・フィラデルフィアの歴史や、米国の労働運動が直面する課題、またUNI世界大会の動議案の概要を解説した。「これら動議は、今後の私たちUNIの活動の方向性をしっかり示すものだ。UNIの各部会はそれぞれ加盟組合の強化・育成に取組んでおり、社会的・経済的意義に対する責任をもって活動している。強い部会や地域組織なくしてUNIの成功はありえない」と熱く語り、日本の加盟組織が各部会や地域活動に多く関わり貢献していることに感謝の意を表した。

質疑応答のセッションでは、中山敬裕労済労連副中央執行委員長(UNI-LCJ運営委員)、大窄新二印刷労連中央書記長、山下茂美日放労中央執行委員(UNI-LCJ運営委員)より、以下質問があった。

Q:今年のダボス会議の印象や、会議でUNIとして訴えてきたことは何か。

A:印象的だったのは、出席していた企業代表や労働大臣が、団体交渉を通じた労働協約の重要性を訴えていたことだ。労働者に対して有効的な関係が築けていることが背景にあるからだと思うが、以前の会議とは違い、様々な姿勢や雰囲気を感じ、今年の会議は非常に特別なものになった。また、AIについての可能性が議論されたので、この会議に出席していた他のGUFやITUC代表と共に「AIが職場に及ぼす影響やAIの導入方法などの議論は、労働者の意見を聞きながら進めてもらいたい」と訴えてきた。以前と比べ、より多くの企業が労働組合にアプローチをかけてきており、労働組合と向き合う姿勢を強く感じるので、労働組合がまさにつかむべきチャンスであると考えている。

Q:人権デューデリジェンスに関して:

  • UNIが行っている投資家への働きかけの内容とは?
  • UNIが推進しているGFA(グローバル枠組み協定)は、人権デューデリジェンスを推進するのに効果的なスキームであると思うが、国連グローバルコンパクトやOECDガイドライン等と比べた違いは何か

A:投資家は、人権デューデリジェンスを遵守していない企業には投資してはならないというルールがある。具体的には投資家たちに悪質企業があるなど情報提供をしている。現在300の企業があり、場合によってはその投資家を集めて、問題になっている企業に対して行動をとることもある。具体的には、例えば介護分野においては、約4兆ドルを管理するアセットマネージャーに情報提供して取り組んでいる。また、テレパフォーマンス社においては、株価が大幅に下落したことがあったが、4年間働きかけをしてきた結果、今は助言や情報提供依頼を求められている。

 GFAには、労働者の基本的権利の尊重等の原則について関する協定であり、最も重要なのは、モニタリングと対話が組み込まれていることだ。世界中で遵守されるべきと考える。国連グローバルコンパクトは企業が一方的に宣言するもので、具体的にはモニタリングが確立されておらず、結社の自由の補償についての具体的な措置が盛り込まれていない。企業に責任を負わすことができず、現実価値のないものと考える。OECDガイドラインは、1~2年かけて紛争を解決していく場合には有効なツールであると考える。しかし、日常的な問題には実践的ではなくGFAの方が優れている。ただUNIは他の枠組みで上手く解決しない時には、このガイドラインを活用することがあり、バックアップとして有効であると考えている。

Q:リモートワークについて、日本では厚生労働省によるガイドラインはあるが法的拘束力はない。欧州は法整備が進んでいると聞くが、状況を教えてほしい。

A:欧州が進んでいるのは、コロナ禍前に「つながらない権利」についての法整備が確立していたためである。現在は、使用者側が労働者に行う監視カメラをどう制限していくかが、大きな課題となっている。監視カメラがオンでないと賃金を払わない使用者もいる。欧州では、このような行為は違法である法律で定められている。

「リモートワークの主要原則」を1年前に発表したが、リモートワークに関する労働協約を蓄積してまとめてあり、データベースはいつでも閲覧できる。例えば、イタリアの金融労組は、長期間交渉したリモートワークに関する労働協約を策定しており、このデータも閲覧することができるので、参考にしていただきたい。

レセプションでは、富田望厚生労働省大臣官房総括審議官(国際担当)から来賓挨拶を、また清水秀行連合事務局長、郷野晶子ITUC会長、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長から連帯挨拶を受けた。


ロシアのウクライナ侵攻から一年、UNIは難民支援を継続

ウクライナでの戦争開始から1年、UNIは、ユニオン・ヘルプ・レフュジーズ(UHR)プログラムを通じ、ポーランドに到着したウクライナ難民への支援を行ってきた。ワルシャワのUNI COZZ組織化センターが2022年3月に開始したこのプログラムは、はじめにヘルプラインを設置し、これまでに数千件の相談を受け、200件以上の労働者に対する搾取事案に対応してきした。

このチームは、労働者が怪我の補償や未払い賃金を獲得し、不当解雇と闘い、書面による雇用契約を確保するのを支援するだけでなく、難民が住む場所を見つけ、滞在を合法化し、権利を有する給付を受け取ることも、サポートしてきた。

UHRを通じて、難民はポーランドで活動する他の政府機関やNGOが提供する340以上の様々な種類の支援の窓口にアクセスすることができ、またすべての資料は母国語に翻訳されてきた。またUHRは、難民支援に携わる主なNGOと提携し、救済と法的支援を提供してきた。

UHRの教育プログラムは、難民として、また労働者としての権利を行使する方法について、特定の問題に関する実践的なアドバイスや、より高度な法的情報を人々に提供している。またUHRは、難民や労働者としての権利、労働組合加入によるメリットについて、短い動画や情報画像を定期的に作成し、UHRのFacebookやInstagramといったソーシャルメディアで共有している。

UHRは、難民をポーランドの労働組合に繋ぐだけでなく、今なおウクライナで働く組合員を対象に、オンラインおよび対面での組織化訓練も実施している。

ラファル・トマシアクCOZZ事務局長は、「国際連帯のおかげで、UHRのUNIチームは、何百人もの難民(そのほとんどが女性)が仕事を見つけ、搾取と戦い、不透明な状況にあっても生活を営むために自身の権利を学べるよう、支援することができている。我々は、この血なまぐさい戦争の罪なき犠牲者である難民のために最善を尽くし続け、また一年が過ぎてしまう前に、平和が訪れることを願っている」と語った。


KB金融グループ労組、従業員持株会に参加し、コーポレートガバナンスの改善に向け動員

KB国民銀行のコーポレートガバナンスを強化し、不採算の海外投資による損失を改善するため、UNI加盟組織である韓国金融産業労組(KFIU)傘下のKB国民銀行労組は、2023年3月24日に開催される韓国最大の金融グループの株主総会で株主権を行使する。

同組合は、最近提出した株主提案により、同行の取締役会に対し、経験豊富な銀行家を独立した社外取締役に選任するよう求めている。組合はまた、グループの定款を改正し、政府または行政機関の上級職員が「退任」後、直ちに金融グループの上級幹部のポストに就くことを制限するよう、求めている。組合は、会社に対して韓国の「公務員倫理法」の適用を望んでおり、提案では、グループ内の取締役レベルへの任命を検討するには、少なくとも3年間の空白期間を設けることを求めている。

KB金融グループ労組は、2万人の従業員と管理職を代表する従業員持株会(ESOP)会員を代表し、グループの海外投資による継続的な損失に深刻な懸念を抱いていると表明した。

特に、2兆ウォンを投資したインドネシア・ブコピン銀行では、現在までに7000億ウォンの損失を計上し、黒字化の兆しはない。こうした理由から組合は、リム・キョンジョン氏を取締役に任命することを提案した。同氏は、韓国輸出入銀行に33年間勤務し、そのうち6年以上、インドネシアのマンディリ銀行でCEOを務めた経歴を持つ。

リュ・ジェガンKB銀行労組会長は、「我々が正当な株主として提案を出していることについて、国民の理解と支持を求めたい。2017年にルールが改正され、株主が社外候補者を提案できるようになってから、今回で6回目の挑戦だ。しかし、株主が提案した有能な人材を取締役会が承認し選任した例は、いまだかつてない。だが、KB金融グループの海外事業部門の課題を是正し、株主と金融消費者のために機能する会社にすべく、決して諦めることはない」と決意を語った。

また、パク・ホンベKFIU委員長は、「今回、経営陣が我々の提案を受け入れても、社外取締役の中立性・独立性は維持される。ESOP株主権が資本市場における株価や価値評価にマイナスの影響を与える懸念はない」と付け加えた。


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