ブログアーカイブ

変革のために、共に立ち上がろう!第6回UNI Apro地域大会がバンコクで開幕

2024年11月20日、『変革のために、共に立ち上がろう』(Rising Together to Transform)をテーマに開催された第6回UNI Apro地域大会の開幕に合わせ、Apro地域全体から600人を超える労働組合のリーダーが、タイ・バンコクに集結した。

11月20~22日まで開催される地域大会は、地域全体のUNI加盟組織が、連帯、組織化、団体交渉を通じて経済を変革するための舞台を整えるものとなる。

開会式では、タイ現代舞踊の美しいパフォーマンスに続き、スウィット・ミンモルUNIタイ加盟協議会議長が、タイのUNI加盟組織を代表して、参加者を歓迎した。

満員の会場でクリスティ・ホフマンUNI書記長は、「『トランスフォーム』という言葉は、我々がただ変化を望んでいるのではなく、もっと大きな変革を望んでいるということを意味する。経済を変革しなければなりません。組合の役割と力を変革しなければならない。そして、組合そのものを変革し、若者や女性をより多く受け入れられるよう、組合そのものを変革していかなければならない」と呼びかけた。

来賓のシラポップ・ドゥアンソッドスリ労働副大臣は 、デジタル経済がもたらす変革の中で、スキルアップ、リスキリング、労働者福祉の向上に関する政府の取組みを強調した。また、法制化によって労働者の権利を向上させる計画についても言及し、「現在策定中の独立労働法の草案は、タイを国際労働基準に沿った労働基準を持つ国にし、すべての人にディーセント・ワークを創出することを目的として いる。(…中略…)タイ政府を代表し、三者構成で労働団体と協力し、タイの労働問題に関わるミッションを着実かつ持続的に推進していく」と述べた。

松浦昭彦UNI Apro会長は 、パンデミック、政情不安、気候危機、経済格差の拡大など、かつてない激動の時代を乗り切るには、連帯が不可欠だと強調し、「労働組合は、団結し、共に変革を目指すことで労働者の権利を守ることができる。仲間を増やし、各国の組合同士が連帯することで、私たちの声を社会に響かせることができる。組織化を通じた労働者の権利の保護と労働条件の向上を実現しよう」と力強く呼びかけた。

パヌッダ・ブーンパラILOアジア太平洋地域事務所副事務局長は基調講演の中で、すべての労働者は暴力やハラスメントから解放されるべきだと述べ、「ILOは、特に移民労働者、非正規労働者、若年労働者がハラスメントの被害を最も受けやすい産業において、安全で包摂的な環境づくりに向けて継続的に取組んでいるUNI Aproの活動を称賛する」と述べ、職場における差別、ハラスメント、虐待の撲滅に向けた組合の取組みに対するILOの支援継続を約束した。

吉田昌哉ITUC-AP書記長は、 この地域の民主化闘争と組合の勝利に注目し、ミャンマーで軍事政権に抵抗する国民統一政府が前進したこと、インドネシアで労働法の改善を新たに提唱した組合が成功したこと、タイがOECD加盟を申請したことを称賛した。しかし、香港ではリー・チャクヤンのような活動家や組合指導者が不当に投獄されていることを非難し、「逆境の時こそ、我々は背筋を伸ばし、歴史から力を引き出し、前進しなければならない」と強調した。

もう一人の講演者、ヘニング・エフナー・フリードリッヒ・エーベルト財団タイ事務所長は、同財団がこの地域で長年にわたって築いてきたパートナーシップについて語り、「FESは皆さんと連帯し、社会正義、ディーセント・ワーク、労働組合の権利のために、アジア太平洋地域および世界中で組合の闘いを支援し続ける」と述べた。

マノップ・クエラットタイ国営企業労連委員長は、グローバルな自由市場の資本主義が悪化させた不平等の拡大について懸念を表明し、「短期雇用、雇用不安、労働権侵害、不当な賃金は、不平等の拡大につながっている。貧困層と富裕層の格差は拡大し続けている」と述べた。

ジェラルド・ドワイヤーUNI会長は、 タイ労働省の三者構成による取組みについて、「政府、使用者、労働者が協力し合うことができれば、それこそが最高の社会だ」称え、開会式を締めくくった。


UAゼンセンがブレイキング・スルー賞を受賞:パートタイム労働者の組織化に尽力

UAゼンセンが、「UNIブレイキング・スルー賞」を受賞した。より高い賃金とより良い雇用を求めて商業部門のパートタイム労働者の組織化を支援する同組織の取組みを称えるものである。

2023年9月に開催された前回の定期大会以来、約190万人の労働者を代表する同組織は、4万6,500人以上の商業労働者を新たに組合員とし、この新規組合員の89%はパートタイム労働者である。

永島智子UAゼンセン会長は、「ブレイキング・スルー賞の受賞は大変名誉なことであり、UAゼンセンの仲間と喜びを分かち合いたい。『組織化』と『賃上げ』は最優先課題であり、今後も仲間づくり、同一価値労働同一賃金実現に向け、UNIと連携して取り組みを進めたい」とコメントした。

多くの職場で、UAゼンセン加盟組合はパートタイム労働者一人ひとりに労働組合加入の重要性を説明しており、スーパーマーケットや専門店など商業部門のさまざまな分野で組合員数が増加している。特筆すべきは、日本で約 1,700 のドラッグストアを展開するスギ薬局ユニオンにおける約16,400名の組合員の拡大である。

パートタイム従業員は現在、UAゼンセンの組合員総数の61%以上を占めている。こうした組合員数の増加によって、力も増している。

UAゼンセンは2024年の労働条件交渉(春闘)でインフレ率を上回る賃金を取り決め、150万人を超える労働者の生活条件の改善を確保した。従来、パートタイム労働者はフルタイム労働者よりも賃金が低いが、パートタイム組合員の加重平均賃上げ率は5.75%と、前年6月末時点の賃上げ率を大幅に上回った。組合の交渉によって正社員とパートタイム従業員の賃金格差が縮小したのは、今年で9年連続となった。

これらの成果は、労使が対等な立場で互いを尊重し、信頼関係を築くというUAゼンセンの労使関係のコンセプトに基づいている。両パートナーは正社員だけでなくパートタイム組合員にも公正・公平に成果を配分するよう交渉し、事業・産業の発展のために日常業務と生産性の向上に協力している。UAゼンセンは、パートタイム労働者が組合に加入し、安定した労使関係を構築することの利点を使用者に示すことに成功した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「パートタイム労働者の組織化におけるUAゼンセンの成功から、世界中の組合がインスピレーションを得ることを願っている。職種や労働時間に関係なく、組合がすべての労働者に働きかければ、労働者は賃金と労働条件の改善を勝ち取ることができるということが証明された。UAゼンセンはブレイキングスルーによって、同組織のみならず日本経済全体を強化した」と称賛した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「UAゼンセンの功績は、組合がパートタイム、フルタイムを問わず、すべての労働者のために力をつけることを優先すれば何が可能であるかを示している。アジアだけでなく世界中に強力な模範を示している。UAゼンセンがこのような賞を受賞することを誇りに思う。UAゼンセンと協力し、 労働者の生活向上を支援し続けていきたい」と同組織の受賞を喜んだ。


英国議会、団結権と団体交渉権に関する労働者保護強化に向けた法案を可決

2024年10月10日、英国議会は、職場における労働組合の強いプレゼンスは労働者と経済にとって有益であり、団体交渉は生産性、産業改革、平等性と雇用に利益をもたらすという認識が高まっていることを受け、法案を提出した。この法案は10月21日、下院の2回目の読会で委員会段階に進められた。

主なポイントは以下:

  • 労働組合が職場にアクセスし、労働者の組織化、集会、代表を行う権利の確立。
  • 組合承認手続きの簡素化、基準の引き下げ、組合員が過半数を超える組合の自動承認。
  • ストライキを行う労働組合員の保護。
  • 組合選挙および労働争議の決定に関する投票ルールの公平化。
  • 平等な代表性のための施設利用時間を含む新たな権利。

声明で、英国労働組合会議(TUC、ナショナルセンター)は次のように述べている。

「この法案は、労働組合が現代の職場において活動するためのより良い環境を整備するものとなる。労働組合を通じて賃金や労働条件を守る上で、労働者の地位が改善されることになる。(…中略…)多くの使用者が、労働組合が労働者と事業にもたらす利益を認識している一方で、AmazonがGMBの最近の組合承認キャンペーンに反応したように、労働組合が労働者と話すことさえ妨げる異常な手段を取る使用者もいる。この法案は、労働組合が職場に入り、労働者と面会し、労働者を代表し、組織化し、労働者を勧誘し、団体交渉を促進することを可能にすることで、こうした状況を変えていくものだ」

労働者のためのニューディールキャンペーンを立ち上げたデーブ・ウォード英国通信労組書記長は、「これは前向きな展開であり、労働の世界の再均衡化に向けた第一歩だ。欧州の他地域では一般的となっている労働者の権利を拡大するこれらの提案を、一部のメディアや大企業が攻撃していることは恥ずべきこと。我々は今、労働党に対し、これらの計画の完全実施を迅速に進めるよう強く要請する。保守党による数十年にわたる労働者への攻撃を経て、この変更を遅らせることはできない。また、法律を骨抜きにする大企業の要求に屈することもできない」と強い決意を見せる。

UNIとUNI欧州は、TUCおよび英国の労働組合とともに、これらの進展を歓迎する。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「この法案は、労働組合の活動家にとって明るい話題であり、職場で団結力を高めたいと願う労働者が直面する障壁を低くするための現実的な前進策を提供するものだ。現行の規則では、アマゾンのような反組合キャンペーンを打ち負かすことはほぼ不可能だ。だが、この新法は、長らく待ち望まれていた転換点となるだろう。新しい法律には、常に細部に問題が潜んでいるが、この法案には大きな期待が持てる」と歓迎した。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「団体交渉は労働組合活動の基盤であり、職場におけるより公平で透明性の高い強力な代表を通じてのみ、労働者は自らの状況を改善することができる。この法案は、労働者とその組合が職場において真の意見表明と賃上げを実現するための組織化を可能にするものであり、我々はこれを歓迎する。この新法はまた、欧州全域における団体交渉の強化に焦点を当てるUNI欧州の機関会議(2025年3月にアイルランド・ベルファストで開催予定)に向けて、重要なメッセージを発信するものだ」とコメントした。


UNI世界金融部会/UNI世界専門職・監督職委員会共催シンポジウム『デジタル化とAIがもたらす労働の未来』を開催

2024年9月26~27日、全電通労働会館ホール(東京都千代田区)において、UNI世界金融部会、UNI世界専門職・監督職(P&M)委員会共催シンポジウム『デジタル化とAIがもたらす労働の未来』を開催した。1日目は全部門対象に「生成AIについて」をテーマに、2日目は金融部門対象に「銀行業界と保険業界におけるAI」をテーマに開催し、UNI-LCJ加盟組織や未加盟の金融労組他、2日間で延べ約120人が参加した。

本シンポジウム開催に伴い、海外より、アンジェロ・ディクリストUNI世界金融部会担当局長、マッシモ・メンシUNI世界専門職・監督職(P&M)委員会担当局長兼UNI Aproデジタル・テクノロジー政策アドバイザー、ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長兼UNI Apro専門職・監督職委員会担当部長を、また日本より、独立法人労働政策研究・研修機構の岩月信也研究員を招聘し、最新の事例と研究が共有された。

昨年より生成AIの台頭によって、仕事の世界においても様々な機会に、AIやデジタル化についての議論が関心を集めてきた。激動の変化の中で、労働の世界はどのように変化し、公正な移行に向けて労働組合はどのように対応していくべきか、活発な議論が展開された。

1日目-UNIの部門横断的視野から、仕事の世界における生成AIの現状と組合の取組みについて、議論がなされた。

 冒頭の挨拶でディクリストUNI世界金融部会担当局長は、新技術が労働に与える影響について触れ「特にデジタル化とAIは労働者にとって機会と課題の両面の意味を持つ。AI技術が労働者の仕事を奪う可能性がある一方で、労働環境の改善にもつながる可能性がある。UNIとしてはAIに関する政策検証が重要であり、これに対応する準備が必要だと」強調した。

 次に挨拶した安藤京一UNI-LCJ副議長(情報労連中央執行委員長)は、デジタル化とAIの進展が労働市場に与える影響を指摘し「多くの職業が自動化されるリスクがあり、労働者が新しいスキルを習得し、増々変化に適応することが必要だ」と述べ、労働時間の柔軟性やリモートワークの普及に伴い、労働組合が従来の枠組みを再構築する必要性を強調した。

■基調講演「生成AIが労働力に与える影響」

 メンシUNI P&M委員会担当局長は、生成AIの現状と今後の動向、生成AIが各部門や労働力に与える影響について基調講演を行い、生成AIなどの新技術が生産性を向上させる一方で、労働者の雇用や権利を侵害するリスクを指摘した。特にアルゴリズム管理が労働者を過度に監視し、労働環境を悪化させる可能性があるとした上で、労働組合がこうした技術の導入に対して労働者の権利を守るための交渉を行う重要性を強調した。

■パネル・ディスカッション「生成AIの部門横断的影響について」

 プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長がセッションの司会を務め、4組織(UAゼンセン、JP労組、大日本印刷株式会社、情報労連(※発表順))の報告が共有された。

  • 松井健 UAゼンセン常任中央執行委員/労働条件局長/政策サポートセンター長は、デジタル技術革新への対応と人材育成強化の取組みについて説明した。「2019年から労働条件交渉にAI導入を要求項目に加えた。AIとDXの推進が労働者にとって必要不可欠であり、人材育成と技術導入による生産性向上が重要だ」と強調した。
  • 吉野充 JP労組特別中央執行委員は、物流業務の自動化や無人搬送車、ドローンを使った配送など、労働力不足への対応策を具体例として挙げ、日本郵政グループにおけるAI活用と省力化、省人化の取組みや組合としてAI技術の活用を支持する理由を説明した。
  • 大竹宏之 大日本印刷株式会社 技術・研究開発本部ICT統括室室長は、同社のDX戦略と生成AIの取組みについて発表し、「社内にAI利用環境を整備し、全社員へのリテラシー教育を推進している。またAIの活用に伴う倫理的問題にも配慮し、高セキュリティな運用を行っている」と説明した。
  • 春川徹 情報労連副中央執行委員長/KDDI労組中央執行委員長は、生成AIの導入が職場で進行している事例を紹介し、AIの活用が労働者のサポートとなり、効率向上に寄与している点を強調した。またAIが人事評価に利用される可能性に対して懸念を示し、人間中心のAI活用の必要性を主張した。

■アルゴリズム管理「労働組合役員のためのUNIガイド」

 メンシUNI世界P&M担当局長は、アルゴリズム管理(作業プロセスをコンピュータで調整する技術で、リアルタイムのモニタリングや職場の意思決定に活用されている)と生成AIが労働環境に与える影響について説明をした。特にアマゾンの倉庫労働者が過剰な監視を受けている事例を挙げ、労働者の生産性や健康に悪影響を及ぼすことを指摘し「労働組合が透明性を確保し、労働者の権利を守るための団体交渉を実施すること、そして今後の生成AIの進化に対応するためのスキルアップとトレーニングの重要だ」と強調した。

 講演を受けて、フロアからは多くの意見や質問が出た(以下❶~❺) 

❶ 春川徹 情報労連 副中央執行委員長:「労働組合がビッグデータを活用して組合員のエンゲージメントを高め、組織活動を改善する事例を知りたい」という質問に、メンシ局長は「欧州の労働組合では生成AIを活用して団体交渉データを分析し、労働協約を改善する取り組みが進行中である」とし、労働組合が生成AIに関する研修を実施して情報格差に対抗し、組織活動の効率化を図る計画が進められている事例を紹介した。

❷ 岩月信也 労働政策研究・研修機構研究員 :「多くの労働者がAmazonで働き続ける理由やストライキなど対応手段を取る可能性はあるか?」という質問に、メンシ局長は、 同社は失業率や貧困率が高い地域において他に選択肢がない労働者を雇用しているため、過酷な環境でも労働者が辞められない現状が続いていることを説明し「労働組合が結成され対抗措置が取られたた事例はあるが企業の影響力が強い中での闘いは厳しい」と言及した

❸ 北村聡太 UNI Apro金融部会議長/損保労連中央執行委員長 :「アルゴリズム管理の厳しさに非常に懸念を感じる。団体協商や労使協議を通じて労働者の健康や労働条件に配慮された形でアルゴリズム管理が導入されるケースがあるのか?」という質問に、メンシ局長は「アルゴリズム管理が労使協議によって労働者に有益な形で使われるケースは可能である」と回答し、イタリアの事例等を紹介した。

❹ 許晃 全労金書記次長 :「企業側がビッグデータとアルゴリズムを導入する中、労使の情報量の差がさらに広がる状況にどのように対応していくべきか、またオープンソースや廉価なアルゴリズムを労働者や協同組合が共有財産として運営している事例を知りたい」という質問に、メンシ局長は「技術を労働組合が活用することが情報格差への対策である」と回答し、米国で清掃スタッフがソフトウェアの不具合を明らかにし、訴訟を通じて解決した事例を紹介した。

❺ 大津郁美 大日本印刷労組常任執行委員:「労働者自身は職場でAIとどのように向き合うべきか?」という質問に、メンシ局長は「労働者はAIを拒絶するのではなく知識と経験を活かして慎重に活用すべきだ。AIは統計技術に基づくものであり、労働者自身が判断する姿勢が必要だ」と述べた。

※UNIが2023年に発表した報告書 『アルゴリズム管理:集団行動のチャンス』に関する記事と日本語前文はこちらのリンクよりお読みいただけます。

2日目 -銀行業界と保険業界におけるAIの影響やILOでの取組み、OECD諸国と日本の比較研究の成果などが共有された。 

 前日に続いて2日目シンポジウムの挨拶をしたディクリスト局長に続き、北村聡太 UNI Apro金融部会議長(損保労連中央執行委員長)が挨拶をした。北村井議長はデジタル技術やAIが金融業界に与える影響について触れ「今こそ労働組合の役割が重要であり、スキルアップの強化が必要だ」と強調した。

■金融部門のデジタル化に関するILO三者会合結論文書

 ディクリスト局長は、ILO三者会合の結論文書を紹介し、デジタル化が金融業界における雇用の安定や労働者のスキル向上に大きな影響を与える一方で、雇用の自動化によるリスクも伴うと指摘していることに言及した。また、労働組合がこの変革に対応して労働者の権利を守るための社会対話を行う重要性を強調した。

 講演を受けて、フロアよりいくつか質問や意見があった。(以下❻~❾)

❻ 荻原周 損保労連事務局次長:「今後DXが進展する中で、労働組合として雇用リスクを未然に防ぐために取るべき対策を聞きたい」という質問に対し、ディクリスト局長は「リスキリング再教育や技能向上が重要であるが、特に高齢労働者に対しては早期退職などの手当を設ける必要がある」と回答した。

❼ 山本洋子 JP労組中央執行委員:「デジタル競争力ランキングで日本が順位を下げた。デジタル化に対して労働組合が果たすべき役割について聞きたい」という質問に対し、ディクリスト局長は「労働組合が規制の枠組み作りにおいて役割を果たすことが重要であり、新技術導入に対する組合の発言権を確保する必要がある。デジタル化による職の喪失に対し、労働者が威厳を保ちつつ職を離れられるよう、適切な対応策を講じるべきだ」と強調した。

❽ 許晃 全労金書記次長:「金融産業における企業がビッグテック企業の提供する技術基盤に依存している現状がある。労働組合がビッグテック企業に行動を起こした事例について聞きたい」という質問に対し、ディクリスト局長は「労働組合は、市場を独占しているビッグテックに社会的視点を持つよう働きかけるべきだ。労働者の権利を守るための規制を進める必要がある」と回答した。

■銀行部門のEU社会パートナーによる「金融部門におけるAIに関するEU共同宣言」

 「金融部門におけるAIに関するEU共同宣言」について、メンシ担当局長が経緯を含めて概説した。「共同宣言は、銀行業界におけるAIの影響を広範に取上げ、透明性、公平性、差別禁止、プライバシー保護の原則を重視している」と説明し、金融部門における具体的なAIの適用状況に触れた上で「特にAIのアルゴリズムによる意思決定は人間が管理すべきであり、AIの導入とモニタリングに際しては、AIが倫理的に使用され、全てのステークホルダーに利益をもたらされるよう、社会パートナーを参加させることが必須だ」と強調した。

❾ 櫻井大介 全労金書記長:「AIと人間の管理のバランスを保つことの困難さを感じている」と意見したのに対し、マッシモ局長は「AIがもたらす変化と倫理的側面についての重要性を認識したうえで、AIの導入には労働者の権利保護を確実に行う必要がある」と応答した。

■講演「職場におけるAI技術の活用と従業員への影響-OECDとの国際比較研究に基づく日本の位置づけ-

労働政策研究・研修機構の岩月信也研究員が、2021~2022年に実施した上記調査の概要を報告し、日本と多国の共通性や差異について概説した。そして職場への影響は、技術が一義的に決定するのではなく、組織の方針や介入によって大きく左右されると指摘した。特に、タスク変化やスキル向上、雇用への影響が重要視され、AIが必ずしも従業員の職務を全面的に自動化するわけではないとする見解を示した。また、欧州でAI導入に関して労使協議がなされている場合でも組合側の持つ情報や知識が十分でないため、協約の文言について組合が十分にコントロールできていない状況であり、労働者側の知識の蓄積や労使当事者の主体性が重要だと言及した。

 報告を受けて、活発な意見交換がなされた。

 木下宏樹 全信連書記長は、信託銀行業界では個別性の強い業務が多いためAIの活用領域は相対的に少なく、またAI導入が直ちに雇用喪失や処遇低下に繋がるわけではないが、業務効率化と生産性向上を図るため、労使共通の戦略でAIを推進する必要があるのとの認識を示した。

 松田惣佑 生保労連書記長は、生保産業においてAIは事務や営業の支援として活用されているが、今後も女性の雇用を支えつつAIの影響を注意深く見守るべきであるとの見解を示した。

 川岸正徳 全国農団労代表は、人手不足が深刻化しており農協ではデジタル化を打ち出している。新技術に関して高齢層は手を出したがらず、業務が若い世代に集中して負担となっている現状があり、適切な技術導入の必要性を感じていると発言した。

 榎本直人 労済労連中央執行委員は、日本でAI技術の活用方針が労働条件に大きな影響を与えていない要因や背景について質問した。これに対し、日本では解雇が難しい点や日本の賃金制度が挙げられた他、日本のサービス産業ではAIに対応できない細かな業務が多いため、AIの費用対効果が薄いのではないかとの見解が示された。

■グローバル視点から見た金融部門におけるAIの影響
 メンシ担当局長は講演の中で、AI技術は銀行業務の中で高頻度取引や不正の検知、マーケティング最適化などに利用されており、効率性の向上やリスクの低減に貢献している一方で、AI人材の維持確保が課題であり、特に高度なAI専門家の需要が高まっている点などを指摘した。また各職業・職種についてのAIの影響に関するILOの研究を紹介した。

■閉会
 安達正美JP労組書記長が、シンポジウムを通じて議論されたAI技術の進展と労働環境への影響について振り返るとともに、AIが労働環境に大きな変化をもたらすことは不可避であり、労働組合としてその変化に適切に対応する必要があると強調した。続いて、プリヤラル担当部長が2日間のワークショップを総括し、技術をどのように管理し活用していくかが重要な課題であるとし、労働者の権利を守るために組合の果たす役割を再確認した。最後に、ディクリスト担当局長が、日本での経験を持ち帰り今後の活動に活かしていきたいと述べ、シンポジウムを締めくくった。




リドルとカウフランドの労働者、グローバル協定を活用し団結

欧州と米国のリドルおよびカウフランドの労組が、ドイツの多国籍親会社シュワルツ・グループとUNIとの間のグローバル協定を推進するために団結することで合意した。労働者はこの協定を利用し、シュワルツの全事業における労働条件、結社の自由、団体交渉の改善を望んでいる。

欧州最大の食品小売業者であるシュワルツ・グループは、世界第3位の食品小売業者で、総数57万5,000人の労働者と1万3,900店舗のネットワークを有する。グループには、欧州と米国の30カ国で事業を展開するリドルと、欧州8カ国で事業を展開するカウフランドの2つの主要子会社がある。

オランダの UNI加盟組織FNVが9月にアムステルダムで主催した UNI商業部会シュワルツ・グループ組織化ネットワークの初会合で、 グローバル協定を利用したキャンペーンの展開を決定した。会議には、ベルギー、クロアチア、チェコ、フィンランド、フ ランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、モルドバ、オランダ、ルーマ ニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、米国の各国で、リドルおよびカウフランドの労働者を組織または代表する労働組合が結集した。

トゥール・エルツィンガFNV委員長は、「ここオランダで初めて、リドルとカウフランド両社の労働組合を迎えることができ、大変嬉しく思う。我々の総力を結集することで、リドルとカウフランドの労働者に大きな変化をもたらすことができる」と述べた。

UNI商業部会は参加者に、シュワルツ・グループの労働条件、労働組合の権利、団体交渉の状況に関する調査から得られた主な結果を示した。20カ国以上から情報を集めたこの調査では、労働組合権の侵害、社会対話の弱さ、デュー・ディリジェンスの実施における課題、高負荷の労働、労働安全衛生に関する懸念など、深刻な問題が見つかった。

FNVのファトマ・ブグダイチ=カラタス氏は、「リドルの労働者は、オランダだけでなく欧州と米国全土で過酷な仕事量とプレッシャーに直面している。我々が国際的に団結し、グローバル協定を確保することが極めて重要だ。そうすれば、労働者が当然得るべき公正な労働条件を実現するために、もはや各国で同じ闘いをする必要はなくなる」と語った。

会議は、調査で特定された問題に関して委員会を設置し、グループ経営陣と接触することを決定して終了した。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「我々はシュワルツ・グループに働きかけ、この調査結果を憂慮すべきものとして提示し、UNIや加盟組織と協力するよう促すつもりだ」と述べた。

会議ではまた、組織化に関するワークショップも開催され、調査で明らかになった主な課題とそれを克服するための戦略が取り上げられた。

エイドリアン・ドゥルチUNI SCORE担当局長は、「UNIは今後もより多くの研修や複数国にまたがる組織化キャンペーンで加盟組織を支援していく。我々はこれらの課題をチャンスに変え、リドルとカウフランドの労働者のためにより強力な組合の力を構築していく」と述べた。


UNIとインディテックス、グローバル協定を強化

UNIとインディテックスは、ファッションおよび小売の大手企業で働く世界中の16万人を超える労働者の権利を向上させるため、グローバル協定を更新した。初の合意から15年を経て、2024年10月10日に協定を更新する調印式が行れた。

新協定では、結社の自由や団体交渉権といった基本的権利に関するコミットメントを再確認するだけでなく、以下の分野でも前進が見られた。

  • 公正なデジタル変革:小売業者がショッピング体験を向上させるためにデジタルツールを導入する中、協定では、各国の法律および社会対話の慣行に従い、インディテックスがこれらのツールを使用および導入することに関して、小売業者の従業員が協議を行う権利について、この種のものとして初の文言が盛り込まれた。
  • ジェンダーに基づく暴力の根絶:協定では、職場におけるセクハラやジェンダーに基づく暴力の根絶に向けた共同の取組みが強化された。
  • 職場の包摂性:インディテックスとUNIは、機能的多様性を持つ労働者の包摂と定着に焦点を当てた新たな施策を展開する。
  • フランチャイズ:会社は、フランチャイズ事業が労働者の権利を尊重し、遵守するようコミットしている。現在フランチャイズは、UNIとインディテックスが毎年、協定の実施状況を検討する会議で取り上げられるテーマとなっている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「我々の合意は、パンデミック後の第三者による暴力の急増やデジタル化の影響等、小売業で働く人々が今日直面している差し迫った問題への待望の対応策だ。また、欧州の多くの国々で人権デューディリジェンスに関する法律が制定されていることも認識している。そのため、インディテックスがこの協定において責任を果たし、今後はフランチャイズ事業についてもUNIとの協議の議題に含めることを嬉しく思う」と述べた。

オスカル・ガルシア・マセイラスインディテックスのCEOは、「当社で働く16万人を超える従業員に対するコミットメントと、当社が地域社会にプラスの影響を与えるための取組みは、インディテックスにとって戦略的な優先事項だ」と述べ、さらに「労働組合との関わりを常に改善していくことが、労働者の福利を確保するという共通の目標に向けて前進し続けるための鍵となる」と強調した。

2009年のグローバル協定締結以来、UNIとインディテックスの協定は、何千人もの労働者の賃上げや労働条件の改善、団体交渉へのアクセス拡大に貢献してきた。例えば、米国の小売・卸売・百貨店労組(RWDSU)会長を務めるスチュアート・アッペルバウムUNI世界商業部会議長は、協定の締結10周年の節目を振り返り、「ニューヨークのザラの労働者は、このグローバル協定の力を身をもって体験した。全米のファッション小売業界の労働者にとって前向きなトレンドを生み出したということだ。そして、それは他の企業も見習うべき公正なプロセスによって実現した。この協定は、何千人もの労働者の生活を変え、仕事、賃金、福利厚生を改善してきた。小売業界をも変えたのだ」と語った。


#WDDW24: ディーセント・ワークには平和と民主主義が必要

2024年10月7日は「ディーセント・ワーク世界行動デー」であり、今、世界の労働組合運動は平和と民主主義を求めている。忍び寄る権威主義と拡大する軍事衝突が世界中に暗雲を投げかける中、我々は世界行動デーに臨む。

現在、世界中で 110 件以上の武力紛争が発生している。いずれの紛争においても、働く人々が最前線に立たされ、地域社会は荒廃し、暮らしと生計、権利が奪われている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「平和はディーセント・ワークの基本だ。そして、我々がフィラデルフィアでの世界大会で決定したように、普遍的かつ永続的な平和は、共通の安全保障と社会正義、搾取のない世界があり、全ての人がまっとうな生活水準を得てこそ、確立することができる」と述べた。

この1年間、UNIはミャンマー、ウクライナ、ガザで進行中の紛争において、労働者と民主主義を守る人々の支援に重点を置いてきた。

ミャンマーでは2021年のクーデター以来、軍事独裁政権が労働者とその家族を暴力的に弾圧し、基本的権利を剥奪してきた。労働組合運動は、国民統一政府の承認に始まる民主化を求めるミャンマーの人々と連帯を築き、政権を政治的・経済的に孤立させてきた。

ウクライナについては、世界の労働組合運動が、平和とウクライナの主権回復、そして労働者の権利が十分に尊重される中で復興が行われることを求め続けている。戦時中にウクライナ政府が労働組合の権利を制限したことで、深刻な懸念が生じている。 

ホフマンUNI書記長は「2024年5月に、ウクライナの人々に対する世界の労働運動の支持を示すため、国際連帯ミッションの一環としてキエフを訪れた。キエフは戦闘の最前線から遠く離れているにもかかわらず、日々爆撃の脅威があり、愛する人を失い、基本的なインフラが破壊されていた。その中でも人々の勇敢な行為を目の当たりにした。我々は彼らとともに今、平和を要求する。そして国の復興に向けた人々の歩みに、寄り添い続けていく」と語った。

中東の危機は日に日に深刻化し、世界中の労働組合が即時停戦、正当な法的手続きなしに拘束された全ての人質の解放、紛争に巻き込まれたすべての労働者の安全な帰還、人道支援の拡大、2国家による恒久的な解決を要求している。

ここ数週間で、UNIと他9つのグローバル・ユニオンも、 紛争のためにイスラエルで働けなくなったパレスチナ人労働者を支援するため、ILOに提訴し、賃金損失を回復するための行動を起こした。 

ホフマン書記長は「2024年初め、ラマラでUNI加盟組織と会談し、ガザの耐え難い状況に加え、ますます激しさを増す占領と減少する公的資源の下で彼らが直面している状況を聞いた。現地の加盟組織は、グローバルな労働運動は連帯によって変化を生み出すことができると強調した。(…中略…)これまで以上に手が届きにくくなっているが、安全なイスラエルと並んで、主権を持つパレスチナにつながる停戦を求めて、我々は声を上げ続けなければならない(…中略…)9月下旬にレバノンで生じた出来事は、この呼びかけがなぜ一層必要なのかを示している。この紛争がこれ以上拡大すれば、何百万もの人々に壊滅的な打撃を与えかねない.紛争がこれ以上エスカレートしないようにする措置が必要」と語気を強める。

ガザであれ、ウクライナであれ、ミャンマーであれ、その他の武力紛争地域であれ、労働組合運動はこの日を利用し、この無分別な暴力の終結を要求するために声を一つにして発信している。

ルーク・トライアングルITUC書記長は、「政府は外交による紛争解決に失敗しているが、労働者と労働組合は平和的交渉を続けている。永続的な平和と安定のために必要な条件を作り出そうとするならば、労働者が和平・復興プロセスに参加することが必要」と述べた。


壊滅的な洪水に見舞われたネパールの人々に連帯

UNI Aproは、現在も続く自然災害により甚大な被害を被っているネパールの人々に対し、心よりお見舞いと連帯の意を表明する。

2024年9月26日以降、降り続く豪雨により洪水や地滑りが広範囲に発生し、200人以上が死亡、さらに多くの負傷者や行方不明者が出ている。

負傷者を助ける医療従事者、地域社会をつなぐ郵便局員、地域社会の安全を守る警備員など、 こうした中でエッセンシャルワークに携わっている労働者が特に懸念される。 この災害はまた、社会的に脆弱な立場にある労働者、特に移民とその家族、非正規労働者が直面する課題を悪化させている。

多くの人々が家を失い、生計を立てられなくなり、農場や事業所は洪水で水没した。工業地帯や地元の市場は、インフラ被害によって閉鎖に追い込まれている。

首都カトマンズと国内各地を結ぶ主要な高速道路を含む道路が封鎖され、交通や通信網に大きな混乱が生じている。プリトヴィ高速道路やトリブバン高速道路を含む主要な道路が地滑りによって寸断され、重要な橋が流されているため、地域社会はさらに孤立し、商業活動が停止している。

3,000人以上が救助されたものの、救助活動が続く中、多くの人々が依然として取り残されている。

UNIとUNI Aproはネパールの人々に連帯し、世界中の仲間と労働運動に対し、この危機の中で労働者が生活を再建し、権利を確保できるよう、支援を呼びかける。


グローバル・ユニオン、イスラエルで働く20万人以上のパレスチナ人労働者の賃金回復を求めてILOに提訴

国際労働機関(ILO)の賃金保護条約について明確な違反があったとして、世界160カ国以上、2億700万人の労働者を代表する10のグローバル・ユニオンが、イスラエル政府を提訴した。この訴状は、イスラエルで雇用されている20万人以上のパレスチナ人労働者の賃金未払いなどの状況を是正・救済するイスラエル当局の義務を強調している。

こうした状況は、司法の救済を受けることができないパレスチナ労働者にとって、多額の収入減、深刻な経済的な不安と困窮、基本的サービスの剥奪、影響を受けた労働者とその家族に広範な苦難をもたらしている。

 ILO憲章第24条に基づいて2024年9月27日に提出されたこの共同提訴は、2023年10月7日のハマスによる攻撃当時、イスラエルで公式または非公式に雇用されていたヨルダン川西岸とガザの20万人以上のパレスチナ人労働者が直面している搾取的な状況を詳述している。こうした労働者は、労働許可証の停止と一方的な契約打ち切りにより、広範に賃金が未払いとなっている。

グローバル・ユニオンの訴えは、ガザとヨルダン川西岸で働く20万人以上の労働者が、10月7日以前に完了した労務に対する賃金を支払われておらず、それ以降も賃金を受け取っていないことを示す証拠に基づいている。ILOの推計によると、正規の労働許可証に基づいてイスラエルで雇用されたパレスチナ人労働者の平均日給は297.30シェケル(79米ドル)だった。原告の推定によると、インフォーマル経済で働く労働者の平均週給は2,100~2,600シェケル(565~700米ドル)であった。1年以上にわたり、パレスチナ人労働者は未払賃金を回収することも、返済義務を清算することもできないでいる。

訴状には、アルファベット順に、国際建設林業労働組合連盟 (BWI)、 教育インターナショナル (EI); インダストリオール・グローバルユニオン、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)、国際労働組合総連合(ITUC)、国際運輸労連(ITF)、国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)、国際公務労連(PSI)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)、UNIグローバルユニオンの各組織が署名した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「ガザでの残忍な戦争とヨルダン川西岸での暴力の増加に加え、パレスチナの移民労働者は働く能力を奪われ、正当に得た数百万ドルの賃金を奪われている。イスラエル政府が賃金保護に関するILO条約第95号に違反したことで、何十万もの家族が、その多くがすでに不安定な状況に直面しているにもかかわらず、経済的荒廃の瀬戸際に立たされている。この深刻な不公正は、特に戦争・紛争時における国際条約の必要性と、イスラエル国家がILO加盟国としての約束を守る必要性を浮き彫りにしている」と語気を強める。

ルーク・トライアングルITUC書記長は、「今年初めにヨルダン川西岸地区を訪問した際、イスラエルで雇用されているパレスチナ人労働者の家族が経験している経済的困窮を目の当たりにした。今も、働く人々は紛争が続く中で最悪の事態に耐えている。この提訴を通じて我々は、生活苦にあえぐ労働者が切実に求めている未払いの賃金が支払われるようにしたい」と述べた。

アンベト・ユソンBWI書記長は、 「国際法は明確であり、いかなる危機も、戦争でさえも、労働者の労働権の停止や正義の否定を正当化することはできない。パレスチナの労働者の多くはイスラエ ルの建設部門で雇用されており、未払い賃金を受け取る権利がある。我々は、正当な報酬を拒否された何十万人ものパレスチナ人労働者に正義がもたらされ、停戦が実現するまで到底納得できない」とコメントした。

ステファン・コットンITF書記長は、「イスラエルによるヨルダン川西岸地区とガザ地区の不法占拠は、数十年にわたりパレスチナ経済を分裂させ、イスラエルの労働市場への過度の依存を引き起こしてきた。イスラエルで働くパレスチナ人が突然失業し、数十万人が貧困にあえいでいる。イスラエルは国際的な法的義務を遵守し、これらの労働者が賃金を受け取れるようにしなければならない。我々が永続的な和平に向けて努力する中で、イスラエルはパレスチナ人労働者に対する労働市場の再開も検討すべきだ」と主張した。

ダニエル・ベルトッサ PSI書記長は、「賃金未払いは、占領下のパレスチナ労働者が直面している最新の不当な屈辱だ。現在のガザへの砲撃と同様、この状況に正当性はない。これはパレスチナ人民に対する集団的懲罰である」と非難した。

デビッド・エドワーズEI書記長は、「我々は、パレスチナの労働者と揺るぎない連帯を築き、イスラエ ルに対し、国際法上の義務を履行し、支払うべき賃金が支払われるよう求める。さらに、ガザとヨルダン川西岸地区の教師は、2023年11月以降、給与が支払われておらず、壊滅的で非人道的な状況にもかかわらず、生徒のために教壇に立ち続けている。世界中の教育関係者は改めて、即時かつ永続的な停戦、人道援助の安全な受け入れ、すべての人質の無条件解放、パレスチナ人の権利承認、教師と生徒の安全な聖域としての学校の保護を求めていく」と述べた。

アトレ・ホーイ・インダストリオール書記長は「これは重要なILO条約に対する大規模な違反だ。20万人の労働者に賃金が支払われていない状況は、どのような形であれ許されることではない。だからこそ我々はITUCや他のGUFとともに、この提訴を行う」と、述べた。 


OECD技術フォーラムでホフマンUNI書記長「我々の望む未来を形づくるために今、行動を」

OECDの技術フォーラムで、クリスティ・ホフマンUNI書記長が発言した。労働者、労働組合、公正な経済の擁護者は、将来AIの恩恵が広く共有されるよう、いま行動しなければならないと訴え、「歴史と自身の経験の両方を踏まえ、テクノロジーの影響は、労働者がその使用について発言権を持つかどうか、規制や社会環境にかかっている」と指摘した。

パネル討議『Looking Back to Look Forward』(未来を見据えて、過去を振り返る)には、他にアーメド・N・タンタウィ・エジプト通信情報技術省上級顧問、ウェンデル・ウォラック・カーネギー国際問題倫理評議会「AIと平等イニシアチブ」共同ディレクターが参加し、司会はベン・ブレイク・ドイツ連邦デジタル・運輸省デジタル・データ政策局長が務めた。

ホフマンUNI書記長はパネルの中で、まずラッダイト運動を例に挙げて発言した。一般的には進歩の敵として理解されているラッダイト運動だが、実際には機械織機による代替から地域社会の仕事を守ることを目的とした大衆運動であった。この運動が成功しなかった理由の大部分は、労働者が政治的・組織的な力を持っていなかったからである。指導者たちは処刑され、地域社会は荒廃した。賃金は1世紀以上にわたり経済成長に遅れをとった。

しかし1980年代にホフマンUNI書記長自身が働いていた、組織化された工場に数値制御の機械が導入されたとき、同氏の経験はまったく違うものだった。

同書記長は当時を振り返り、「同僚はほとんど男性ばかりで、その多くは仕事のスキルが落ちることを恐れていましたが、私自身は肉体労働から解放されてとても嬉しかった。(…中略…)当時この技術は、今日ではほとんど存在しない状況の中で導入された。特に、UNIが代表する多くの部門を含め、AIの影響を最も受けそうな労働者にとって、状況はこれと同じではではない。私には組合があり、安全性に対するリスク、雇用保障への影響、OJTの必要性などについて交渉することができた。新しい機械が仕事を自動化するわけではないので、機械によって雇用が代替されることへの不安はなかった。機械は私の能力を高めてくれるものであり、生産性が上がれば、同僚や私の賃金も上がる。つまりこの技術をうまく導入させるたくさんの理由があり、実際、私は交渉委員会のメンバーに選ばれ、1982年に初めて新技術条項について交渉を行った。(…中略…)今日、どこの国の労働者もAIに取って代わられるのではないかと恐れている。使用者がAIによって生産性が大幅に向上すると公然と喧伝しているからだ。そして、ほとんどの労働者は集団で声を上げることができないでいる」と指摘した。

そして次のように続けた。
「労働者や社会全体は、長い目で見ればテクノロジーから常に恩恵を受けていると言われている。しかし我々は、長い道のりは実に長く、その過程で計り知れない苦しみや技術の誤用が生じ、深く取り返しのつかない損害をもたらす可能性があることを知っている。だが、苦難は避けられないものではない。我々は、労働者の尊厳とまっとうな生活を可能にする共有の利益を最大化するよう、技術の使用を形作っていくことができる。(…中略…)つまり、自動化するのではなく、我々は人間の能力を増大させるテクノロジーを支持しなければならないということだ。 AIに取って代わられる仕事にかわる、新たな仕事を生み出すテクノロジーだ。これは、資本所得に対する税金などによって賄われる賃金補助のような直接的介入を含め、多くの方法で実行可能だ。我々は、企業が労働者をリスキリングまたはスキルアップするためのインセンティブを提供しなければならないのであり、そうすることで、雇用を維持するインセンティブを高めることができる。(…中略…)例えば、共同決定や部門別交渉を通じて、団体交渉の障壁を下げ、テクノロジーの導入前に労働者代表との協議を義務付けるなど、組合結成を促進する労働政策が必要だ。これによって組合は、メンタルヘルスを含む安全衛生をめぐる交渉や、一部の業務が廃止されても他の業務を追加できるような職務の再編成、生産性向上による利益の公正な配分を交渉することができるようになる。我々は短期的な変化を過大評価しているが、職場における長期的な影響や、我々が何もしなければ富と権力のシフトが起こることを過小評価している。だから、5年後であろうと25年後であろうと、我々が望む経済社会を構築するために、我々は今、未来を形作るための取組みを始めなければならない」


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ