
2025年3月上旬に発表された欧州全域を対象とした調査(UNI欧州が委託したもの)の結果によると、EU市民の大多数(72%)が、団体交渉を通じて労働者の生活を強化する公共調達を支持していることが明らかになった。
この調査結果は、民間企業への公契約の発注を管理するEU調達規則の改革に 欧州委員会が着手した矢先の発表となった。調査結果は、調達規則の中に団体協約を有する企業を優先し、労働組合潰しやダンピングを行う企業を排除する社会的条項を求める労働者や組合の声を後押しするものとなる。
オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は「今回の調査結果は、緊急の行動を求める呼びかけであり、欧州委員会は欧州の有権者の声を聞くべきだ。公的資金は、公正な競争を阻害し労働組合を弱体化させる企業ではなく、質の高い雇用を支援すべきだ」と述べ、「最善の方法は、労働組合と団体協約を結んでいる良心的な雇用主を優先することだ」と付言した。
EUでは、公契約を通じて何百万人もの労働者が雇用されている。公共調達は、民間部門全体の賃金や労働条件に影響を与える基準をつくっている。
調査の主な結果:
• 回答者の65%が、公契約は価格、品質、環境、社会基準に基づいて発注されるべきだと回答
• これらの基準のうち、賃金と労働条件は最優先事項であり、回答者の46.4%が、価格が高くても正当化されると回答
• 回答者の83%が、組合潰しの企業や低賃金の企業を排除することを希望
• 回答者の72%が、公共機関が団体協約のある企業を優先することを希望
• 公共入札において価格以外の要素を考慮することを希望する市民の割合は、2011年の同様の調査以来、52%から65%へと大幅に増加
この調査は、欧州全域で700万人の労働者を代表するUNI欧州の委託により、独立系の世論調査会社オピニアが実施した。チェコ、フランス、ドイツ、アイルランド、ポーランド、スペインの6か国より6,080人以上の回答者から回答を得た。
調達をより社会的なものにするという人々の希望は、労働者や労働組合の要求と一致している。2024年10月1日、9か国から1,000人以上のエッセンシャルワーカーが賃金と労働条件の改善を目指す公共調達改革のためにブリュッセルに結集した。しかし、UNI欧州の調査では、EU全域の公共入札の半数が、最低価格のみに基づいて行われており、これは調達規則に起因する場合が多い。
トマ・ピケティやイザベラ・ウェーバーなど100人以上の世界屈指の経済学者が、公開書簡の中で「入札において最低価格のみにフォーカスしすぎること」を批判し、規則の改革に向けて「団体交渉の強化」を求める労働者の要求を支持した。労働集約型の清掃、警備、ケータリング産業の使用者団体ですら、価格のみに焦点を当てることをやめる必要性を強調している。
レティクUNI欧州地域書記長は「欧州の人々は、エッセンシャルワーカー、世界有数の経済学者、そして使用者とともに、EU規則は最低価格のみに焦点を当てるのではなく、労働条件、賃金、サービスの質に関する欧州全体の基準を設定すべきだ、と訴えている」と主張した。そして、「これは規則を簡素化するという欧州委員会の目標を推し進めることにもつながる。例えば団体協約の尊重といった明確な基準は、単に煩雑な役所仕事を減らすだけでなく、ヨーロッパの数百万人のサービス労働者の賃金と労働条件を改善することにもつながる」と訴えた。