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フィンランドのテック産業使用者団体、産別交渉弱体化の動き

フィンランドのテック産業使用者団体、テクノロジー・インダストリーズは、2021年4月初旬、団体交渉における大幅な変更を発表した。この一方的な決定は、何十年にも渡り安定した国際競争力のある労働市場を提供してきた産別団体交渉制度に広範な影響を与えるものである。

今後、ノキア、グーグル、アクセンチュア、富士通、マイクロソフト等、同団体の加盟企業は、団体が行う中央交渉に参加するか、個別に団体協約を交渉するかを選択できるようになる。

「産別団体交渉は、経済の回復力を高め、繁栄を共有するために有効であることがわかっている。パンデミックに襲われ、経済が大打撃を受け、フィンランドでも所得格差が忍び寄る今は、使用者がこの極めて重要な合意形成の場を破壊する時ではない。使用者のこの非常に無責任な動きは、フィンランドのテック産業を有名にしてきたシステムを大きく傷つけるものだ」とオリバー・レティクUNI欧州地域書記長は憤る。

産別団体交渉制度は、企業間の競争に公平な競争条件を保証するものだ。つまり企業は、標準以下の低賃金や法律の弱体化で競争するのではなく、イノベーション、スタッフのスキルや競争力への投資、競争力のある福利厚生で競争することを保証する。テクノロジー・インダストリーズと、製造労組、専門職労組、専門職・管理職労連等によって交渉される産別団体協約は、何十万もの従業員を対象としている。

テクノロジー・インダストリーズの今回の発表と、昨年のフィンランド森林産業使用者団体の同様な発表は、何十年にも渡り行われてきた労使間の対等な交渉を台無しにする憂慮すべき傾向を示している。フィンランドの産別団体交渉制度に対する、周到に準備した全面的な攻撃であるともみられ、労働者をより弱い交渉の立場に追い込もうとする試みである。これは、「団体交渉は、政策立案者や市民が最も関心を寄せる、雇用、賃金、格差、生産性等の政策目標にとって重要である」と認識するOECDの助言に反するものである。

「強力な団体交渉のおかげで、フィンランドの所得格差は他の国に比べれば小さい。しかし、格差は拡大しており、今回の攻撃は、フィンランドの不安定化を促す原動力の中核となる。欧州全体に壊滅的な波及効果をもたらす可能性もある。今こそ、この乱用を止め、団体交渉を守るために立ち上がる時だ」とレティクUNI欧州地域書記長は主張した。


欧州議会、人権デューデリジェンスの義務化に向けて強いシグナル発信

欧州議会は2021年3月10日、ララ・ウォルターズ欧州議会議員による企業のデューデリジェンス及び説明責任に関する法制化に向けた自発的な報告書を採択した。

この報告書が賛成多数で採択されたことは、欧州委員会による人権デューデリジェンス義務化の導入に対する欧州議会の支持を示す、強いシグナルを出している。報告書では、欧州議会が今後の法案に期待する重要な要素も強調されている。

この報告書では、特に結社の自由と団体交渉の権利の重要性並びに、デューデリジェンス戦略の確立と実施にあたり、各国、EU、そして国際レベルで、労働組合と労働者代表が関与する必要性が認識されている点が非常に重要である。

欧州議会による今回の強力な支持表明は、EUにおける効果的な人権デューデリジェンスの義務化に向けた機運を後押しするものとなる。この問題の進展は、長年の懸案であった。企業の自主性に任せた人権擁護対策が失敗するのを、世界中で何度も見てきたからだ。

人権デューデリジェンスの義務化は、世界中で危機に陥っている結社の自由と団体交渉の権利が尊重されるよう取組む上で、特に求められている。ヘルスケア大手のフレゼニウスからコンタクトセンター大手テレパフォーマンスに至るまで、サービス産業全域で欧州企業がこうした基本的権利を弱体化させているのを我々は目の当たりにしてきた。

こうした人権上の必要性を満たすため、欧州委員会の取組みは、議会からのシグナルを踏まえたものであることが極めて重要だ。欧州委員会の公開協議の中では、欧州全域及び世界中のサービス産業の組合から、デューデリジェンスの必要性を強調した明確な事例が挙げられ、これを支持する声が数多く寄せられた。

このことから、多国籍企業から中小企業、公的部門の組織、スポーツ団体等、非営利団体として登録されている組織に至るまで、法的形態にかかわらず、EU域内で事業展開するあらゆる企業を対象としたEUの取組みが切実に求められているのが分かる。

UNIは、特に以下の点について取組みの必要性を強調する。

  1. 団体交渉の権利と結社の自由を強調すること。これらは、労働者がより広く自らの人権を守れるようにするための基本的な権利である。これに関して企業の進捗状況を測るため、団体協約の対象となる労働者の割合について報告を義務付け、これら基本的権利に関する企業のデューデリジェンスの成果を示させるべきである。
  2. デューデリジェンスのプロセス全体を通して、企業に対し、職場、国、欧州、国際レベルで、労働組合の意義ある関与を義務付けること。プロセスを交渉する権利、リスクの所在の明確化、リスク軽減措置に有意義に関与する権利も含まれる。
  3. デューデリジェンスが事業戦略の中核に位置付けられること。企業の人権デューデリジェンスの策定と実施を継続的に監督する責任を担う特定の取締役を任命する、監査委員会の監督を受ける、デューデリジェンスを年次総会の議題とする等。

ミャンマー軍事政権の代理人に金融制裁を科すべきだ

国際労働組合総連合(ITUC)と金融部門の労働者を代表するUNIは、3月19日、既に金融制裁の対象となっているクーデター指導者が彼らを代理人として利用することを避けるために、ミャンマー軍事政権と密接な関係を持つ金融制裁の対象とすべき23人の名前を公表した。

シャラン・バローITUC書記長は、「これら23人の人々は、米国やその他の国が科した金融制裁を逃れるために将軍達に利用されている。彼らもまた、制裁から逃れさせないために厳しい制裁を受けるべきである。政府には行動する責任があり、銀行やクレジットカード会社を含むその他の金融グループは、政権を支配する残忍な悪党への信用供与や資金のアクセスを遮断すべきである。また、SWIFTなどの決済サービスに対しても、クーデター指導者たちとその関係者との間の支払いを遮断するよう求めている。軍による罪のない人々の殺害や国家の略奪に、企業が加担することは許されない」と述べた。

行動する責任

また世界の組合組織は、ミャワディ銀行、インワ銀行、ミャンマー市民銀行、建設住宅インフラ開発(CHID)銀行等、軍政権が支配している、或いは一部支配している銀行との関係を断つよう、銀行に呼びかけている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べた。「ミャンマーの軍事政権によって殺害された若者や平和的な抗議者の数が増えるにつれ、銀行を含むミャンマーと関係のある全ての企業が、この受け入れがたい暴力を終わらせるための責任を取ることがより一層必要となっている。軍トップの将軍達に対する金融制裁は重要な一歩だが、これだけでは不十分である。我々は、権力中枢のクーデターのリーダー、そしてその暴力から利益を得ようとしている人たちの資金やクレジットへのアクセスを遮断しなければならない。」


コロナ禍の1年を振り返る

WHOが新型コロナウィルスの感染について「世界的大流行(パンデミック)」であると宣言して1年となる3月11日、労働組合は、これがいかに仕事の世界を変えてきたか振り返った。

この重要な節目は、労働者が勝ち取ったものを思い起こす機会であるだけでなく、失ったものを悼む時でもある。同時に、危機によって引き起こされた諸課題に立ち向かうため、次に何をすべきかを考察する時でもある。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べた。「パンデミックによって、世界経済の格差が明るみに出て、一大変革の必要性を露呈させた。ポーランドの老人ホーム、ペルーのスーパーマーケット、フィリピンのコールセンター、そして世界的なテック企業の本社等、世界中の労働者が、ますます集中する企業の権力に対抗しようと結集している。労働者を組織化するのは、コロナ禍で何百万もの労働者に想像を絶する悲劇をもたらしたのと同じ不正が、パンデミックからの復興過程で繰り返されないようにするためだ。」

UNIは2020年、打撃を受けた介護部門の徹底的な見直しを要求し、アマゾン等の企業による権力の濫用に抵抗し、団体交渉を通じて経済のバランスを取り戻すため、世界中で労働組合の動員を後押ししてきた。

UNIは、介護、小売、郵便・ロジスティクス、そしてコールセンター等の部門において、パンデミック中により安全に仕事をするための指針を提示した。メディア及びスポーツ部門でも、安全に仕事を再開させるための詳細な職場復帰手続きについて、組合の交渉を支援した。印刷及び金融部門では、優良事例の収集と社会対話を通じ、加盟組織を支援した。

また、多国籍企業の使用者と連携し、世界中の労働者のために安全基準を設定した。2月には、パンデミックの影響で加速しているリモートワークに関し、団体交渉の指針を発表した。

UNIは、加盟組織と共に、エッセンシャルワーカーのための不可欠な権利を要求した。危機の最初の年に、第一線で働く労働者は、コミュニティに食料が行き渡るようにし、安全で清潔な環境を保つために働き続けた。しかし彼らの仕事の多くは低賃金で、過小評価され、見過ごされてきた。

例えば、個人用防護具の支給を拒否された後に、組織化を行ったトルコのスーパーマーケット労働者は、「安全だとは思わないが、働く以外の選択肢はない」と打ち明けた。

ガーナの介護労働者も変化を求めている。ある助産師は、「特に今、支えてくれる組合が必要だ。仕事はますます厳しくなっている。介護をしながら、同時に使用者と絶えず労働条件交渉を行うことはできない。組合はそんな私達を支えてくれている」と述べた。

ネパールの警備労働者も、権利を尊重してほしいと願っている。ある警備員は「パンデミックの間も、全力でコミュニティを守ってきた。だから私達にも配慮してほしい。私達の仕事にも尊厳がある。私達にも組合に入る権利が必要だ」と訴えた。

ホフマンUNI書記長は、「このパンデミックの間、組合は世の中のためになる力として広く認識されるようになった。組合は、職場で感染拡大防止に尽力し、組合員が安定した収入を維持できるよう闘い、リモートワークのための公正な条件を交渉した。最近では、誰でも平等にワクチンを接種できるよう声を上げている」と述べた。

だが、道のりはまだ長い。

ポーランドの介護労働者は、パンデミック宣言から1年が経とうとする中、「疲労困憊だが満足している」と明かした。「自分の中に、前進していくための新たなエネルギーを見つけた。みんなで力を合わせて取組めば、パンデミックはいつか収束するだろう。」

パンデミックにより、組合運動にも新たなエネルギーが注入され、緊急性が煽られた。経済部門や国境を越え、労働組合はこの好機を捉え、変革を推進するために共に取組みを行っている。パンデミックが収束した時、私達は共により強くなり、より公正な社会を迎えているだろう。


世界中で労働者の力を構築してきたUNIの20年を祝う

UNIは、2021年3月9日、20周年記念イベントを開催し、2000万人のメンバーを持つ国際産別労働組織(グローバルユニオン)が労働者の力を構築してきた20年の歴史を振り返り、次の20年を展望した。

司会を務めたアルケ・ベシガーUNI副書記長は、「コロナ禍のため、記念イベントはオンライン開催となったが、世界中の組合役員、活動家、そしてUNIサポーターの皆さんと共にこれまでの数々の素晴らしい成果を称えると共に、連帯の精神を再確認する機会としたい」と挨拶した。

「今日のUNIは、明確なビジョンを持ったリーダー達によって創られ、私達がそのビジョンを一つ一つ実現してきた」とクリスティ・ホフマンUNI書記長は誇らしげに述べた。

UNI創設に尽力した4つの国際産別労働組織のリーダー、フィリップ・ジェニングス初代UNI書記長(FIET出身)、フィリップ・ボイヤー前UNI副書記長(CI出身)、アドリアーナ・ローゼンツバイク前UNI米州地域書記長(IGF出身)、トニー・レノン前MEI会長がそれぞれ、黎明期から草創期を振り返った。

「私達は、組合の国際協力の在り方をダイナミックなものに変えたいと思った」と、ジェニングス初代UNI書記長は熱く語った。「創設当初から、UNIは新たなミレニアム(千年紀)に生まれた新しい国際産別労働組織なのだとアピールし、結果を出すことにコミットしていた。」

その言葉通り、数々の成果(ブレイキングスルー)がスクリーンに映し出された。第3回UNI世界大会(2010年、長崎)のスローガンでもあった「ブレイキングスルー(突破)!」は、その後、UNIの中で“成果”を表す言葉としてずっと使われている。

これまでに、日本の髙島屋、イオンを含め50社以上の多国籍企業とUNIはグローバル協定(GFA)を締結し、世界中の何百万人もの労働者がこれらの協定の対象となっている。多国籍企業毎に、様々な国の労働組合を結集した同盟(労組アライアンス)が結成され、定期的に経営陣と対話を行っている。アマゾン、テレパフォーマンス等の企業をターゲットに国境を越えた組織化キャンペーンが展開されている。ジェンダー平等の点でもこの間、大きく前進した。労働者のために、ゲームのルールを変えようと、世界中で野心的な取組みを行ってきた。長崎世界大会で満場一致で採択された「核兵器の無い平和な世界」に向けた取組みは、核兵器禁止条約の発効につながった。

「我が米州地域で私は、UNIがどのように変化してきたか、そしてUNIが加盟組織や組合員のために、どのように違いをもたらしてきたかを、身をもって体験した」と、ルーベン・コルティナUNI会長は述べた。

UNIは世界の隅々まで影響力を及ぼしてきた。ナイジェリアのDHL組合員、アルゼンチンの銀行労組組合員、ポーランドの介護労働者、米国の警備員、不当に投獄された韓国の組合役員、マカオのカジノ労働者、マレーシアの放送局の組合役員が次々に、「組合があることで生活が変わった」、「UNIとUNIの仲間によって助けられた」と証言した。

コロナ禍にあって、組合があることはかつてなく重要である。

次の20年に向けて識者から示唆を得るためのパネルディスカッションでは、コロナ危機を克服し、より強い組合となる必要性が強調された。

「私達はこの好機を捉えなければならない」とホフマン書記長は強調した。「労働組合は、コロナ禍の間に、世の中のためになる力として広く認識されるようになった。そして労働者は貧しいままなのに、コロナで暴利を貪る人達がもっと裕福になるのを目の当たりにした。この怒りを集団の力に変える時だ。」

パネルディスカッションにはこの他、オックスファムからガブリエラ・ブシェール・エグゼクティブディレクター、ジャーナリストのオーウェン・ジョーンズ氏、ILO仕事の未来世界委員会メンバーを務めた清家篤慶應義塾大学前学長が加わり、ポストコロナの世界で公正な経済を構築するために、労働組合に期待される役割等を語った。清家教授は、ILO仕事の未来世界委員会報告書から、①人間の潜在能力への投資、②仕事に関わる制度への投資、③ディーセントで持続可能な仕事への投資の拡充が重要であるとし、コロナ禍でこれらへの投資の緊急性が高まったと述べた。

この他、ガイ・ライダーILO(国際労働機関)事務局長、シャラン・バロウITUC(国際労働組合総連合)書記長、ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長、アンヘル・グリアOECD(経済開発協力機構)事務局長、ダニエル・ロゼラ・ニヨン市長らから祝辞を受けた。

UNIの将来は、国際連帯にかかっており、グローバルアクションを通じた労働者のエンパワーメントにかかっている。

UNIは、20周年記念イベントに参加し共に祝ってくださった全ての皆さんに感謝します


UNI世界ICTS部会幹部会、ミャンマーの電気通信事業者に要請「非合法な軍事政権からの命令には抵抗を」

UNI世界ICTS部会幹部会は2月末に声明を発表し、ミャンマーで営業活動を行う電気通信事業者に対し、民主派活動家への通信アクセス制限及び彼らに関するデータ収集を要求する軍事政権の命令に「抵抗し、抗議する」よう要請した。

UNI世界ICTS部会幹部会は、テレノール(ノルウェー)、KDDI(日本)、オレド(カタール)の多国籍電気通信事業者3社に対し、以下のように要請した。

  • 通信へのアクセスを制限したり遮断したりする行為を公に非難すること。
  • 個人ユーザーデータを保護するために、あらゆる合理的な措置を講じること。
  • 人権状況が悪化した場合には、市民社会組織と協力して行動計画を立てること。
  • 軍事政権に対するストライキに参加した労働者や、人権を侵害する当局の違法な命令に抵抗した労働者に、報復措置を取らないこと。

テレノールは、軍事政権が提案したサイバーセキュリティ法に反対する声明を発表した。通信事業者に対し、3年間の個人データ保存を義務付けるこの法案は、軍事政権に広範な調査権限を与え、当局によるオンラインコンテンツの遮断を可能にするとしていた。この過酷な法案が行き詰っているのは明らかだ。

アンディ・カーUNI世界ICTS部会議長(英国通信労組副書記長)は、「民主化のために結集しているミャンマーの人々は、これらの通信事業者のサービスを利用しており、プロバイダは人権を守る上で唯一無二の重要な役割を担っている」と指摘し、「軍事政権に抵抗する人々の安全は、これらの企業が人権を守るかどうかにかかっている」と述べた。「数百万を超える人々が民主的政府を希求している。」

UNI世界ICTS部会幹部会は、世界ICTS部会議長及びアジア太平洋、欧州、アフリカ、米州地域のICTS部会議長から構成される。


UNIグローバル・ウェビナー「UNIリモートワークの主要原則」開催

2月23日、UNI金融部会及び同ICTS部会は、UNIグローバル・ウェビナーを開催し、UNIリモートワークに関する主要原則を発表した。

この1年、コロナ禍によるロックダウン等により、新たな働き方として、リモートワークの活用が加速した。コロナ禍は、仕事の世界のデジタル化を一気に10年進めたと言われている。このようなリモートワークが我々にもたらす影響は大きく、特に仕事と家庭生活の境界線が不明瞭になっている。このような状況に対応し、労働者を守るため、団体交渉を行っている世界中の労働組合を支援するため、UNIはリモートワーカーの権利を保障するためのガイドラインを発表した。

このガイドラインは、激変する仕事の世界において、労働者を保護しながら、より弾力性を求める労使双方の要求のバランスを図る上で参考になるものである。リモートワークによって仕事をする場所が変わっても、基本的な雇用関係は変わることはないという核心的な価値観が中心となっている。

リモートワークに関する主要原則において、リモートワークに関する団体交渉の範囲は多岐にわたる。使用者が、リモートワークを口実に、労働組合の弱体化、団体交渉力の弱体化、社会対話の弱体化を目論むことは許されない。コロナ禍のパンデミックのような危機がない限り、リモートワークへの移行は、あくまで労働者の任意でなければならず、いつでも職場に戻ることができると同時にワークライフバランスの確保、監視の最小化、差別の禁止、ジェンダー中立性の確保等を優先事項として交渉すべきであるとしている。リモートワークは働き方の「追加」ではなく、あくまで「代替」なのである。

主要原則の発表に続いて、様々なパネリストが登壇し、リモートワークの普及が企業のバランスシートにもたらすコスト削減の分析、「つながらない権利」に代表されるリモートワーク法制化の取組み、ジェンダー視点からのリモートワークの課題などが発表された。

この基本原則は、これまでの職場以外の場所で働く全ての人々が、仕事の成果をあげる上で、不可欠なものである。これらの原則は、労使双方がリモートワークを活用する中で、相互に利益を得ることを保証する。繰り返しになるが、リモートワークに関する最も重要な点は、リモートワークとは、これまで保障されてきた働く上での権利を得ずに働くことではないということである。


UNI、リモートワーカーの権利を促進するための団体交渉の原則を発表

過去1年の間で、新型コロナウィルス感染症が急速に蔓延し、その後のロックダウン措置等により、リモートワークの活用が加速した。この増加する傾向に対応して労働条件を交渉している世界中の労働組合を支援するために、UNIは2月23日、リモートワーカーの権利を促進するための重要な原則を発表した。

このガイドラインは、進化する仕事の世界が、労働者を保護しながら、より柔軟性を求める労使双方の要求のバランスを図る上で参考になるだろう。ガイドラインでは、仕事をする場所が変わっても、基本的な雇用関係は変わらないという核心的な価値観を中心に据えている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「パンデミックによってリモートワークの拡大が加速している中で、これらの原則は、不安定な雇用の創出、社会的保護の弱体化、団体交渉の弱体化といった負の影響に拍車をかけないようにするためにまとめた」と述べた。そして、「コロナ禍の間、労働組合は、つながらない権利、リモートワーク経費の返済、プライバシーを侵害する監視の廃止等を勝ち取ったが、今後もリモートワーカーの権利を守るため工夫し、優良事例を共有していきたい」と続けた。

この原則を発表するため、UNIは世界中の組合や労働者とオンラインでリモートワークに関するウェビナーを開催し、現実の世界での原則の適用を具体的に説明した。

リモートワークの意味合いと団体交渉の範囲は多岐にわたる。使用者は、労働組合を弱体化させ、団体交渉を弱体化させ、社会対話を弱体化させるための武器としてリモートワークを使うことはできない。新型コロナウィルスのパンデミックのような危機がない限り、リモートワークへのシフトは労働者の任意でなければならず、ワークライフバランスの確保、監視の最小化、差別をしないこと、ジェンダー中立性の確保等を優先事項として交渉すべきである。

リモートワークは従来の職場に関連した運営コストを節約できる場合が多いため、使用者はリモートワークに関連する費用を負担すべきである。使用者はまた、総合保険、病気休暇、良質な暴力の無い労働環境を提供する等、リモートワーカーの健康と安全についても責任を負わなければならない。

これらの基本原則は、従来の職場以外で働く人々が仕事の成果をあげる上で不可欠なものである。これらの原則は、労使双方がリモートワークを発展させる中で相互に利益を得ることを保障する。最も重要な点は、リモートワークとは権利が無く働くという意味ではないことである。

リモートワークの原則は以下の通りである。

  • 使用者は、リモートワーカーにも結社の自由と団体交渉を保障しなければならない。
  • リモートワークは、労使の雇用関係を損なうものであってはならない。
  • リモートワーカーを監視するための監視ツールは制限されなければならない。
  • リモートワークは労働者の任意でなければならない。
  • 使用者は、通常の労働時間と、つながらない権利を尊重しなければならない。
  • 使用者は、労働者の健康と安全に責任を負わなければならない。
  • 作業機器やリモートワークスペースの費用は、使用者が負担しなければならない。
  • リモートワークは「ジェンダーに中立」で、全ての人に開かれたものでなければならない。
  • リモートワーカーには、従来の事務所で働く労働者と同様に、研修及びキャリア開発の機会が与えられなければならない。
  • リモートワークのルールを導入または拡大する前に、労使はその影響を徹底的に評価し、文書化しなければならない。

第22回UNI-LCJ年次総会、新体制でUNI Apro運動牽引を誓う

2021年2月15日、第22回UNI-LCJ年次総会が初めてオンライン併用で開催された。コロナ禍で延期や変更を余儀なくされた2020年度活動報告、会計報告、監査報告を承認した。続いて、UNI Aproにおける6部会大会等の主要行事を含む2021年度活動計画及び予算が承認された。最後に役員改選があり、松浦UAゼンセン会長がUNI-LCJ議長に再選され、事務局長として新たに森川容子が選出された。

就任挨拶を行う森川新事務局長
上田事務局次長

続く記念講演には各加盟組織及び来賓等約100人が出席した。

主催者を代表して挨拶した松浦議長は、UNIやUNI Aproがコロナ禍にあっても組織化の手を緩めず、エッセンシャルワーカーや弱い立場にある労働者のために取組みを続けてきたことに触れ、今後もパートナーシップ労使関係を大切にしながら労働運動を発展させていきたいと決意を述べた。

また来賓として、厚労省の井内総括審議官は、政労使の社会対話によりコロナ禍の難局を乗り切っていく重要性を強調した。

神津連合会長は、ビデオメッセージを寄せ、労働者にとって非常に厳しい状況であるが、雇用や生活を守り、セーフティネットを拡充し、希望と安心の持てる社会の実現に向けて、労働運動は共に連携して取組んでいこうと呼びかけた。

その後「ウィズ/ポストコロナの国際労働運動」と題し、クリスティ・ホフマンUNI書記長(スイスからオンライン参加)及びラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長(ネパールからオンライン参加)から、過去1年の振り返りと今後の展望を聞いた。

ホフマン書記長は冒頭、年明け早々、米国でバイデン大統領率いる民主党政権が誕生したことや、米国のグーグル労働者が組合を結成したこと等の喜びと今後への期待を述べた。UNIはコロナ禍の間、エッセンシャルワーカーの労働条件改善に向けたキャンペーンに精力的に取組んだことや、デジタルな組織化スキルを深めてきたことを紹介した。2021年は、コロナ禍で加速したリモートワークの課題やリストラの課題に取組むこと、企業に説明責任を負わせるために、OECDガイドライン等の枠組みを活用しながら、運動を進めていくと述べた。アジアでは、ミャンマー、香港、フィリピン等で民主主義が危機に瀕していることにも触れ、UNI Aproと緊密に連携しながら国際労働運動全体として弾圧されている人々の支援に全力を挙げると強調した。

アチャリャUNI Apro地域書記長は、コロナの大打撃を受けアジア太平洋地域の特に途上国において労働者の状況が悪化していることを報告した。そのような中、労働者を勇気づけるキャンペーンに日本の加盟組織やリーダーが積極的に参加していることに、感謝の言葉が述べられた。最後に、UNI Aproはワンチームとして、コロナを克服し、より良い復興に向けて、政労使の議論に積極的に参画していきたいとの決意を語った。

講演後には、「コロナ禍を理由に労働者が不利な立場に置かれる国が多い中で、政労使の協力によって乗り切ろうとしている事例があれば教えてほしい」(全労金・末留委員長)、「UNI長崎世界大会で女性参画比率40%の目標を採択して10年が経過したが、前進したと評価できるか」(印刷労連・古賀副書記長)、「在宅勤務等の働き方が普及する中で、とりわけ就業経験の少ない若年層にはワークライフバランスやメンタルヘルス上の課題が生じている。このような新たな課題を解決するためのヒントはないか」(日放労・松波中央執行委員)、「グーグル労組結成までの経緯や苦労した点」(UAゼンセン・中田国際局局員)等の質問が出された。

閉会にあたり、野田副議長は、引き続き建設的労使関係の普及に努めるべく、アチャリャUNI Apro地域書記長を支え、松浦議長、森川新事務局長・上田事務局次長の下、UNI-LCJとして力強く活動を展開し、より良い復興を共に目指していこう、と参加者全体を鼓舞した。


「ミャンマーの人々は黙っていない」UNIも民主主義を要求するグローバルな騒音アクションに参加

ミャンマーの軍事政権が民主主義を支持するデモ参加者に対し、ますます暴力的な戦術に訴える中、UNIは国際労働運動の仲間と共に、2月11日、民主的統治への復帰を要求するための騒音爆幕に参加する。

世界中の組合活動家は、ミャンマー大使館、領事館、事務所の外やインターネット上で騒ぎ立てることで、連帯を示している。こうした連帯行動は、ヤンゴンにおける毎晩の騒音抗議を真似するものだ。

「ミャンマーの人々は黙っていない。警官に叩かれても、撃たれても、放水されても、毅然として民主主義を訴えている」とクリスティ・ホフマンUNI書記長は述べた。「今日、世界中の労働組合は、声をあげている。非合法な軍事政権への経済的支援を断ち切るよう、我々の国や企業に呼び掛けている。特に、インターネットを遮断せよとの軍からの悪意ある指令を無視するよう、携帯事業者やインターネットプロバイダーに要請する。」

世界的なアクションは2月11日、中央ヨーロッパ時間午後2時30分に開始される。

「民主主義の価値観は労働組合の価値観であり、ミャンマーの組合員は軍事政権に終止符を打つため最前線で闘っている。我々は彼らに連帯し、民主主義を取り戻し、拘束されている人々が釈放され、情報が自由に配信されるよう、共に闘う決意だ」と、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は述べた。

9日に、UNIをはじめとするグローバルユニオンは、ミャンマーのために立ち上がるよう、企業や政府に圧力をかける声明を発表した。


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