フィンランドのテック産業使用者団体、産別交渉弱体化の動き

フィンランドのテック産業使用者団体、テクノロジー・インダストリーズは、2021年4月初旬、団体交渉における大幅な変更を発表した。この一方的な決定は、何十年にも渡り安定した国際競争力のある労働市場を提供してきた産別団体交渉制度に広範な影響を与えるものである。

今後、ノキア、グーグル、アクセンチュア、富士通、マイクロソフト等、同団体の加盟企業は、団体が行う中央交渉に参加するか、個別に団体協約を交渉するかを選択できるようになる。

「産別団体交渉は、経済の回復力を高め、繁栄を共有するために有効であることがわかっている。パンデミックに襲われ、経済が大打撃を受け、フィンランドでも所得格差が忍び寄る今は、使用者がこの極めて重要な合意形成の場を破壊する時ではない。使用者のこの非常に無責任な動きは、フィンランドのテック産業を有名にしてきたシステムを大きく傷つけるものだ」とオリバー・レティクUNI欧州地域書記長は憤る。

産別団体交渉制度は、企業間の競争に公平な競争条件を保証するものだ。つまり企業は、標準以下の低賃金や法律の弱体化で競争するのではなく、イノベーション、スタッフのスキルや競争力への投資、競争力のある福利厚生で競争することを保証する。テクノロジー・インダストリーズと、製造労組、専門職労組、専門職・管理職労連等によって交渉される産別団体協約は、何十万もの従業員を対象としている。

テクノロジー・インダストリーズの今回の発表と、昨年のフィンランド森林産業使用者団体の同様な発表は、何十年にも渡り行われてきた労使間の対等な交渉を台無しにする憂慮すべき傾向を示している。フィンランドの産別団体交渉制度に対する、周到に準備した全面的な攻撃であるともみられ、労働者をより弱い交渉の立場に追い込もうとする試みである。これは、「団体交渉は、政策立案者や市民が最も関心を寄せる、雇用、賃金、格差、生産性等の政策目標にとって重要である」と認識するOECDの助言に反するものである。

「強力な団体交渉のおかげで、フィンランドの所得格差は他の国に比べれば小さい。しかし、格差は拡大しており、今回の攻撃は、フィンランドの不安定化を促す原動力の中核となる。欧州全体に壊滅的な波及効果をもたらす可能性もある。今こそ、この乱用を止め、団体交渉を守るために立ち上がる時だ」とレティクUNI欧州地域書記長は主張した。