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団体交渉の復活:成功に向けた必要条件とは

1938年に著名な経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、ルーズベルト米大統領に宛てた書簡の中で、「団体交渉の拡大を不可欠なものと考えます。最低賃金と労働時間に関する規制を支持します」と述べている。

それから80年を待たずして、団体交渉が不可欠なものであることについて、さらに多くの人々が同意している。近年、EU委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、団体交渉の「強力な擁護者」であると宣言しており、また最近のOECD、ILO、欧州労働組合研究所(ETUI)の調査では、団体交渉は危機に強い経済と適正な賃金水準の構築に貢献すると同時に、平等かつ民主的社会の実現に不可欠であることが示されている。

欧州で団体交渉制度を強化・再構築するためのコンセンサスが確立された今、明確なターゲットが盛り込まれた適正な最低賃金に関するEU指令により、政治的突破口も開かれている。すべての加盟国は、自国の労働者の80%が団体協約の適用対象となることを目指さなければならないのである。現時点でこの野心的目標を達成できているのは、ほんの一握りの国だけである。この水準に達しない場合は、団体交渉の強化方法を示す国別行動計画を策定しなければならず、EU加盟国27か国のうち19か国が、これに該当する。

国別行動計画が効果的なものであるためには、まず複数使用者交渉制度の構築に集中し、次にサービス部門における団体交渉の具体的な課題に対処する必要がある。このような重点的な取組みなしには、国別行動計画は無駄に終わってしまうだろう。

複数使用者交渉:目標達成のための必要条件
団体交渉は、1ないし複数の労働組合と1企業との間で行われることもあるが、 同時に複数企業との間で実施されることもある。よくあるのは、同じ部門(例えば、すべての小売企業)または特定の場所(例えば、空港)で事業を展開する使用者との間での交渉である。後者のタイプの団体交渉(複数使用者間交渉または部門別交渉)には、明確な利点がある。必要となる交渉の回数が減ること、より多くの従業員が団体協約に適用されるようになること、そして何よりも、企業間競争によって、労働条件に不利益が生じないようにできる、という点だ。部門別交渉によって、事実上、賃金は競争から切り離される。

そのため、多くのEU諸国が、法制度または部門レベルの労働組合・使用者団体に対する積極的支援を通じて、この種の制度を支援している。

この図が明確に示すのは、団体交渉の適用範囲を80%に到達させる上で、複数使用者による交渉が必要条件であるということだ。その結果は自明である。国別行動計画には、法整備、行政による促進、社会パートナーの自主的な能力開発を通じて、複数使用者間交渉を強化または(再)構築するための何らかの措置が盛り込まれなければならないだろう。

成功の鍵を握るのは、サービス部門
国別行動計画を成功させるには、さらにサービス部門の団体交渉に焦点を当てる必要があるだろう。過去数十年間、サービス部門の従業員数は増加し、製造業・農業部門の労働者数は減少している。2020年には、欧州の労働者のほぼ 2 人に 1 人が、何らかのサービス部門に従事している。

さらに、サービス部門の団体交渉の適用範囲は、例えば製造業や公共部門などと比べて低い。ETUIの研究者ウーター・ズワイセン氏の調査によると、すべてのサービス部門で適用率は平均以下であり、例えばIT部門では、適用率が欧州の平均を20%下回っている。

団体交渉に関する国別行動計画は、必然的にサービス部門に焦点を当て、これらの部門が直面する、以下のような特有の課題に対処しなければならない。
●リモートワーク環境における団体交渉:パンデミック以降のリモートワークの急増により、労働組合がリモートワーカー、特に常時、在宅で勤務する労働者に接触を図り、連絡を取り、組織化し、動員する上での具体的な課題が明らかになった。
●分散型雇用における団体交渉:従業員が無数の場所で少人数チームまたは単独で働く部門(小売業や清掃業など)でも、労働者に接触して組織化することは、労働者を団体交渉に参加させることと同様、特に困難である。
●個人事業主の団体交渉:ほぼ同じ業務を行う一般従業員と同じ職場で肩を並べて働く個人事業主が増加する中、団体交渉は必然的に包摂的なものになる必要があり、その結果、特定の法的および実務的な問題への対処が必要になってくる。
●予測不可能なシフトを組む部門における団体交渉:従業員の勤務時間やシフトが直前に知らされるような環境では、統一した団体交渉要求や交渉の場を設けることが非常に困難である。
●低賃金部門における団体交渉:最後になるが、一部のサービス部門は特に低賃金であり、労働者が組合費を支払ったり、自発的な組合活動に時間を割いたりする余裕は、ほとんどない。

実効的な国内行動計画を策定するための明確な条件
適正な最低賃金に関する指令において、行動計画は80%の目標に向けて団体交渉適用率を漸進的に引き上げるべきであることが明記されている。加盟国がこの目標に真剣に取組むのであれば、行動計画には部門別交渉に向けた明確なステップを盛り込み、サービス部門における団体交渉に特有の課題に取組んでいく必要があるだろう。こうした要素が盛り込まれない場合、加盟国は指令に沿った形で計画を修正するため、振り出しに戻されるべきである。


ブラックフライデーを「アマゾンに支払わせる日」に!-労働組合やNGOが呼びかけ

UNIアマゾン・グローバル労組アライアンスが、パンデミック以降、初となる対面での会議をブリュッセルで開催した。その直後となる2022年11月3日、「メイク・アマゾン・ペイ(アマゾンに支払わせる)」キャンペーンは、ブラックフライデーとして知られる11月25日に、大規模なグローバル行動デーの実施を発表した。世界約30か国でストライキや抗議行動が行われる予定だ。キャンペーンは、生活費危機、世界的な債務危機、気候変動という緊急事態に直面している「労働者、地域社会、地球」から、アマゾンが「最後の一滴まで搾り取っている」ことを非難している。

プログレッシブ・インターナショナル等のNGOやUNIが共同で結成した「メイク・アマゾン・ペイ連合」(略称=MAP)は、両組織の他、グリーンピース、350.ORG、タックス・ジャスティス・ネットワーク、アマゾン労働者インターナショナルなど80以上の組合、市民社会組織、環境活動家、税金監視団体からなる連合体である。MAPは、労働者への公正な報酬の支払い、労働組合に加入する権利の尊重、公正な税負担、環境維持に向けた真の取組みといった、アマゾンに対する一連の共通要求のもとで団結している。

2022年11月25日には、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、バングラデシュ、ベルギー、ブラジル、カンボジア、カナダ、チェコ共和国、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、日本、ルクセンブルク、オランダ、パレスチナ、ポーランド、スロバキア、南アフリカ、トルコ、英国、米国で、アマゾンに対するストライキや抗議行動が計画されており、さらなる行動も予定されている。アマゾンのサプライチェーン全体の労働者、環境保護団体、市民社会組織、議員らが参加する。MAPはmakeamazonpay.comを通じ、一般市民にもアクション参加のための登録を呼びかけており、またアクションを開催する団体も募集している。

MAPがブラックフライデーにグローバル行動デーを開催するのは、今年で3回目となる。過去には、ドイツ全土の施設での数千人規模のストライキ、バングラデシュでの労働者の大規模な抗議行動、世界中のアマゾン本社での「Make Amazon Pay」ロゴ投影、ジェフ・ベゾス邸宅への「Pandemic Profiteer(パンデミックで暴利を貪る者)」の文字投影、環境保護団体『Extinction Rebellion』による英国の同社流通センターの封鎖などが実施されている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「#MakeAmazonPay デーと名付けられたブラックフライデーのこの日、労働組合、市民社会、進歩的な議員たちは、肩を並べて大規模なグローバル行動デーに参加し、労働者主導の組合活動を潰そうとする、アマゾンによる卑劣な数百万ドル規模のキャンペーンを糾弾する。この巨大ハイテク企業は、劣悪で危険な労働慣行を直ちにやめ、法を尊重し、より良い仕事を作っていきたいと願う労働者との交渉を行う時だ」と述べた。

プログレッシブ・インターナショナルのダニエル・コップMAPコーディネーターは、「我々は皆、あらゆるものの価格、そして地球の温度が上昇していることを知っている。アマゾンは、労働者に公正な報酬を与えず、税金を全納せず、環境破壊の代償を支払うこともしない代わりに、労働者、地域社会そして地球から、最後の一滴まで搾り取っている」と非難し、「世界中の労働者が生活危機に苦しむ中、アマゾンは莫大な利益を上げているにもかかわらず、労働者に実質的な賃下げを強要している。税金を逃れ、CO2排出量も急増している。アマゾンは販売した商品の1%分の排出量しかカウントしていないにもかかわらず、2021年のCO2排出量は18%も増加している」と指摘した。そして「生活費危機、世界的な債務危機、気候変動による緊急事態に直面する中、我々全員が一丸となって、アマゾンに支払わせなければならない」と意気込んだ。

プログレッシブ・インターナショナルの諮問委員を務める、バングラデシュのソミリト衣料品労連のナズマ・アクタル委員長は、「我々の組合が代表する衣料品労働者は、多くの場合、アマゾン労働者であることを認識すらされないまま働き、アマゾンの蓄えを膨らませている。アマゾンは世界で3番目に大きな使用者と言われているが、サプライチェーンで働く我々を数に含めれば、その規模はさらに大きくなる。職場では、経営側からセクハラを受けることもあれば、暴力に反対したり、賃金や労働条件の改善を求めて組合で組織化しようとすると、被害を受けることもある」と訴えた。また、「バングラデシュという、気候変動の影響の最前線にいる我々には、気候正義と社会正義は切り離すことができない」とし、「我々はアマゾンに、すべての労働者に対し、尊厳ある職場でまっとうな賃金を支払わせ、また環境破壊の代償を支払わせなければならない」と力を込めた。


ドイツ加盟組織ver.di、H&Mと初のデジタル化協約

ドイツのUNI加盟組織ver.diは、今後3年間にわたり14,300人のH&M労働者の権利を促進・保護する、小売業界で初となるデジタル化協約に調印した。

半年に及ぶ交渉の末に結ばれたこの画期的な協約によって、H&Mの労働者は、雇用保障と賞与を獲得すると同時に、ファッション業界大手における新技術の導入方法について、より大きな発言権を持つことになる。

この協約により、労使の代表者で構成されるデジタル化諮問委員会が設立され、労働者からのフィードバックを得て、委員会はH&Mにおける仕事の未来について、独自の提案を行っていく。また、デジタル化に関連する問題について、H&M中央労使評議会が関与する権利も拡大される。

コジモ・ダミアーノ・キントver.di交渉担当は、「小売業で初めてのデジタル化に関する団体協約であり、大きな成果だ。我々はデジタル技術に関する決定が、従業員の利益となるようにしていく必要がある」と語った。

オンライン販売の増加により、通常、店舗で働く従業員が得る販売報酬は、減少している。店舗での売上減少を補うため、この協約では年に2回の賞与を規定しており、2023年の賞与額は、労働時間に応じて250~450ユーロ(総額)となる予定だ。

この協約は、デジタル化の過程での解雇や降格に対する特別な保護を店舗従業員に与えるとともに、H&M正社員の代替として派遣労働者が使用されないことを保証している。また、店舗で働く従業員のスキル低下を防ぐため、接客のスキルアップ・キャンペーンを導入していく。2023年以降、一部の店舗で試験的にワークショップが開催され、従業員は新しい働き方を検証し、さらなる見直しに向けて結果をフィードバックしていく。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「ver.diとドイツのH&M労働者が、この画期的な協約を交渉し締結したことを祝福したい。この協約が示しているのは、高度にデジタル化された小売部門への公正な移行は、団体交渉、店舗労働者の積極的な参画、スキルアップ、労働者の努力に対する適正な評価によってのみ、達成できるということだ。次の世界商業部会大会おいて、本件が成功事例として発表されることを、楽しみにしている」と語った。


UNI、公正でディーセントな労働条件を求めるアップル・オーストラリアの労働者を支援

公正な協約の締結を求めるオーストラリアのアップル労働者の継続的な取組みを受け、UNIは以下の声明を発表した。

アップル・オーストラリアは、店舗流通関連労組(SDA)とオーストラリアサービス労組(ASU)が強く主張してきた、ディーセント・ワークの取り決めを求める労働者の要求を拒否した。オーストラリアのUNI加盟組織であるSDAとASUは、アップルが早急に締結しようとしている劣悪な協定(インフレ率を下回る賃上げを行い、ディーセントなワークライフ・バランスを認めない人員配置を内容とする)に対し、反対票を投じるよう、労働者に呼びかけている。

世界中のテックおよび商業労働者を代表するUNIは、この標準以下の協定に反対票を投じるという労働者の決断を、全面的に支持する。

投票結果にかかわらず、両労組はアップルの労働者が低賃金契約を結ばされないよう働きかけ、必要であれば公正労働委員会に提訴する構えである。

労働者のディーセントな労働条件を求めて闘うASUとSDAは、UNIの全面的な支援を受けている。

この闘争の詳細については、こちらの記事を参照。


「労働者の声に耳を傾けよ」:ローマから呼びかけ

2022年10月上旬、イタリア労働総同盟(CGIL)本部へのファシストによる襲撃から1年を迎え、何千人ものデモ隊がローマの街頭に結集した。デモ参加者は、イタリアや欧州各国の政策決定者に対し、労働者のニーズに耳を傾けるよう求めた。

労働者が提示した10項目の要求の中でも、生活費危機に対処するための団体交渉の強化と公正な税制、そしてイタリアにおける不安定な状況に対処し、社会保障と公共サービスを強化することは、特に優先課題だ。ここには、公共契約や民間企業への補助金に対する社会的条件の導入も含まれている。

UNI欧州は、デモ行進に加わるとともに、集会「労働者の権利と民主主義のための反ファシスト国際ネットワーク」にも参加した。オリバー・レティクUNI欧州地域書記長が講演を行い、極右グループによる分裂を煽る企てを阻止するための、欧州各地の労組の戦略・戦術について、洞察を語った。

マリア・グラツィア・ガブリエリFILCAMS書記長は、「改めて仕事を中心に据えたプロジェクトが必要だ。不安定な状況との闘い、そしてより良い労働条件や尊厳ある賃金も必要だ。この国に別の未来を切り開くということは、若者、女性、そしてすべての働く人々に展望と未来を与えるということだ」と訴えた。

レティク地域書記長は、「ローマの街頭から、欧州全体に向けて、働く人々は警鐘を鳴らし、尊厳を要求している。生活費の危機は、多くの人々を深刻な経済難に陥れている。労働者を主役に据えることで、この問題に取り組まなければならない。団体交渉はその解決策だ。今こそ、職場の民主主義を強化するための行動を起こすべき時だ」と力強く呼びかけた。


チリのドラッグストア労働者、団体交渉で成果

2022年10月8日、チリのCONATRACOPSに加盟する全国薬局労連(FENATRAFAR)は、国内最大規模のドラッグストアの1つ、サルコブランドとの団体交渉で勝利し、重要な協約に達した。

同労連は、この協約でサルコブランド全労働者の賃上げを勝ち取り、また休業手当として各労働者に100万ペソを交渉した。ジョルジナ・カラスコFENATRAFAR事務局長は、「労働者の尊厳と権利が守られた団体交渉の過程で、多大な支援を受けたことに感謝したい」と述べた。

また同労連は、通勤費手当の再調整、白エプロン使用の復活、その他の改善を実現するための対話継続の意思を両者が持つことなどについても協議、確認を行った。

「この組合を構成する73%の女性は、今回の勝利とUNIの支援に値する労働者であり、我々は誇りに思う」とカラスコ同事務局長は締めくくった。

10月6日に労働者による平和的デモ行進が実施された際、会社側が労働者にガスを放射する事件が起きた。これを受けたストライキを経て、今回の協約が締結された。UNI米州はこの事件を公に非難しており、労働省は責任の所在を明らかにするために調査を開始する予定だ。

今回のキャンペーンと交渉の担い手となり、ディーセントワークと公正な労働条件のために闘ってきたすべての労働者に祝福を贈る。


第9回UNI Apro東アジア労組フォーラム (2022年10月13~14日、台湾(ハイブリッド開催))

第9回UNI Apro東アジア労組フォーラムは、2022年10月13~14日、台湾においてハイブリッド開催された。日本、韓国、台湾、香港、モンゴルより述べ約200人が参加した。日本からは14組織73人(うち女性26人、女性参加率38%)が参加した。前回(2019年)、デモの影響で参加できなかった香港が参加し、モンゴルも前回に続き2回目の参加となった。

「東アジアにおけるポストコロナ時代の新たな課題と労働組合の対応」というスローガンの下、「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応」、「ポストコロナで加速するデジタル化に対応した人材育成と組合の対応」、「ポストコロナの職場におけるハラスメントと組合の対応」というテーマで、各国が取組みを共有した。

 開会冒頭、ホスト国を代表し、ウー・ウェンフォン中華郵政労組(CPWU)委員長および、来賓としてワン・アンバン台湾労働省副大臣より歓迎挨拶を受けた。石川 幸德UNI-LCJ議長は、ウー委員長をはじめ、台湾の準備ともてなしに感謝した。そしてラジェンドラ・アチャリャUNI Apro書記長就任後、初めての開催となること、また、香港およびモンゴルから再び参加を得ることができた。3年ぶり開催となる今フォーラムの成功を祈念すると述べた。また松浦 昭彦UNI Apro会長は、特に「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関するILO190号条約」に関するテーマが本フォーラムで初めて取り上げられることを強調し、東アジアでは同条約の批准に至った国はなく、批准に向けた各国の取組みなどを共有したい旨述べた。この他、クリスティ・ホフマンUNI書記長、ユン・チャンヒョンUNI-KLC議長(韓国)、チェン・ライハUNI-HKLC議長(香港)、オユンバヤール・チェルテムドルチUNI-LCM議長(モンゴル)から連帯挨拶があった。

 アチャリャUNI Apro地域書記長は「アジア太平洋地域におけるポストコロナ時代の新たな課題と労働組合の対応」と題した基調講演において、ポストコロナ時代は対面接触の仕事やリモートワークと出勤との複合的な仕事形態、Eコマースの需要増加がある。雇用形態は複雑化することが予測され、労働組合の関与が不可欠である。新たな課題に対応するため、労働組合は有識者とも連携して組合の影響力を強化すべきだ」と述べ、日本のロビー活動や政策提案などの事例を挙げて強調した。また各国と連携して、青年や女性の地位を高める取組みも継続して行っていく旨述べた。

 続いて、「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応(サブテーマ1)」の冒頭、ホフマンUNI書記長より「労働安全衛生を「人権」に:新たな働き方に伴う新たな労働安全衛生課題に対するUNIの取組み」と題する特別報告を受けた。ILO労働安全衛生の基準の説明やサービス部門での安全衛生、ケア部門のメンタルケアの重要性など事例を挙げて説明し、「労働安全衛生は世界中どの国でも課題になっておりUNIは重要視している。来年開催するUNI世界大会でもテーマに取り上げる。我々が結束することにより、新たな問題解決方法を見つけていきたい」と述べた。

★討論のポイント

サブテーマ1:「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応」

(1)リモートワークにおける労働安全衛生の課題と組合の対応

  • 日本(辻 耕平 情報労連中央執行委員): 2点の課題、①「つながらない権利」は、日本において働き方をめぐる大きなテーマであり、海外での事例も参考にしながら当該企業労使の対応を強化していくことが必要である。②「AIによる労働監視の課題」は、日本でのAI活用は積極的な社会実装を進めようとしているが、データに関するルール制約などがAI利活用を阻む要因となっており、法的拘束力のある横断的な規制は不要との政府の考え方がある。労働分野におけるAI導入については、「事前の労使協議の徹底」や「従業員への同意確認」などを担保することが重要であり、論理的側面からの法整備について政策アクションを行っていきたいと報告した。
  • 韓国(キム・ジョンウ 韓国事務金融労連(KFCLU)オラクル韓国労組委員長):在宅および遠距離勤務、アルコリズム、災害保険などポストコロナの労働組合の対応を報告し、組織化や対面相談など在宅勤務での労組対応の難しさを説明した。
  • 台湾(チャン・フーチ 台湾金融労連(TFFU)委員長):コロナ禍における職場の安全や長時間労働、交代勤務などの労働安全衛生の状況を説明し、メーデーを活用した組合の対応など報告した。

(2)エッセンシャルワーカーの労働安全衛生の課題と組合の対応

  • 日本(坂根 元彦 JP労組中央執行委員):安全衛生の取組み、長時間労働および時間外労働の取組み、感染症対策について報告した。また無人搬送車・搬送ロボットAGV(Automatic Guided Vehicle)の導入を紹介し、郵便・物流の自動化進展の影響を報告した。
  • 韓国(ソン・クミ 全国保健医療産業労働組合(KHMU)書記長):感染対策、長時間労働などのストレス、交代勤務などの保険医療産業の現状と、政府や産業別交渉などの労組の対応報告をした。
  • 韓国(チュン・ハナ 韓国サービス労連(KFSU)政策局長):小売店の休業義務の現状と制度を説明し、休業義務の制度は変更せず、現行を維持しながら多様な意見をとりまとめる方針の政府に対して、政府HPや抗議の公文書などで意見表明をしている報告をした。
  • 台湾(ジャオ・リンユ 嘉義医療財団法人関連企業組合(CYCHCU)委員長):医療現場の現状を説明し、感染リスクの低減や適切な報酬など必要であり、組合は医療スタッフの感染リスクの低減を主張していると報告した。

サブテーマ2:「ポストコロナで加速するデジタル化に対応した人材育成と組合の対応

(1)各国・各産業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と課題

  • 日本(村上 瑞紀 自動車総連国際局部長):オンラインによる販売および商談、顧客がHPやSNSから情報を入手し購入の意思を固めてから来店する形態のマーケティング、電子制御車両や電気自動車増加による点検・整備のデジタル化の現状を紹介し、それぞれの課題を報告した。
  • 韓国(パク・ホンベ 韓国金融労組(KFIU)委員長):非対面金融サービスの拡張による店舗閉鎖の加速化などで発生した雇用縮小、業務負担の増加、金融消費者保護の弱体化等の問題点を挙げ、労働組合の取組みを説明した。
  • 台湾(リン・イーフン 中華郵政労組(CPWU)国際局長:DXの課題を業界別に挙げ、労働組合は、新たなテクノロジーは、より価値の高い生産的で創造的な仕事に集中できる職場環境になることを望んでいると説明した。また建設中のポスタル・スマートロジスティクス・パーク(物流オペレーションセンター)の紹介とその特長を説明した。
  • 香港(チェン・ライハUNI-HKLC議長):デジタル技術が全面に押し出され社会機能が維持することが可能になった反面、課題も多い。限られた資金の中小企業やデジタル技術を持たない労働者など。教育の在り方、技術分野に進出するのはまだ困難な女性など、デジタル技術の関心を高めていく必要性を説明した。

(2)DXに求められる人材育成と組合の役割(雇用の安定、リスキリングなど)

  • 日本(須齋 弥緒 損保労連事務局次長):技術革新が進む現状で、「人」ならではの付加価値を生み出す環境整備(雇用の安定)および「人への投資」の重要性やリスキリングの更なる拡充(人材育成)が重要であるとし、その取組みを報告した。
  • 韓国(キム・オクラン 医療産業労組(FKMTU)教育担当部長):非対面診療を充実させるため、デジタル医療の技術開発を進めており、労働組合として、デジタル技術に対応する人材育成を行っている旨述べた。
  • 台湾(ハミルトン・チェン 公共テレビ労組(PRTSFEU)執行委員:公共テレビ放送の現状を説明し、労働組合としては非デジタル業務をDXの方針に合わせて従業員の教育・研修を行い、働き方改革をする。また人材開発への転換や賃金体制の構築に取組みたいと述べた。

サブテーマ3:「ポストコロナの職場におけるハラスメントと組合の対応」

(1)職場における暴力の実態とILO第190号条約批准に向けた各国の取組みについて

  • 日本(桐田 真弓 全労金書記次長):法律を上回る「禁止」を盛り込んだ「労働金庫業態におけるあらゆるハラスメントの禁止ガイドライン」の策定と取組みを報告した。ILO第190号条約をどう具現化するか、①ハラスメントは人権問題である、②業務に関わる全ての人を対象とする、③全ての場所・ツールを対象とすることを盛り込んだものである旨報告した。
  • 台湾(リー・ハンチー 中華電信労組(CTWU)国際局長):反職場暴力・ハラスメント機構の構築や男女雇用平等法、ジェンダー平等教育法、セクハラ防止法など、CTWUと中華電信の連携した取組みを報告した。
  • 香港(キャロル・チャン 小売商業被服一般労組(RCCIGU)委員長):ILO190号条約について、中国返還前はイギリス政府によりILO条約を批准していたが、現在は中国の一部であり、国連人権報告書によると中国は条約に批准しないと思うと説明した。

(2)ハラスメントや暴力の撲滅に向けた組合の取組み

  • 日本(中島 麻紀子 生保労連中央副執行委員長):「職場におけるジェンダー平等」および「ワーク・ライフ・バランスの実現」を中期取組み方針とし、ハラスメント対策の強化は、双方の取組みの柱として位置付けている。組織としての取組み紹介や、法改正の動きを踏まえたハラスメント防止に向けた対応を強化する必要性がある旨述べた。
  • 日本(佐藤 宏太 UAゼンセン流通部門執行委員):厚生労働省に働きかけた結果、2022年度に厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が完成した。秋田県での事例やUAゼンセンの活動を紹介し、産別を超えた取組みが推進されるよう連合とも連携しながら進めたい旨報告した。
  • 韓国(オ・スジョン 韓国郵政労組(KPWU)委員長):職場内のパワハラやいじめ根絶に向けて、2022年2月、「労使合同パワハラ根絶宣言式」を開催し、毎月11日を相互尊重の日として、パワハラ改善に努力することを説明した。
  • 台湾(パトリシア・フン 公共テレビ労組(PTSFEU)):セクハラ、パワハラの事例をそれぞれ挙げ、前者は『ジェンダー平等委員会』を立ち上げて会議を行い、申立て後2か月で解決するよう対応しており、後者は現状明確なルールがないので今後は策定していきたいと説明した。

閉会では、ハン・シーフェン 台湾金融労組(TFFU)書記長より統括があり、フォーラムのまとめとして共同宣言を採択した 。次回、第10回フォーラムは、2023年、日本で開催する予定。

【司会者】

  • 開会/基調講演:(台湾)ロー・フェジュ 中華郵政労組(CPWU)書記長
  • サブテーマ1:(日本)古賀 初代 印刷労連 副中央書記長
  • サブテーマ2:(台湾)チア・パオリン 中華電信労組(CTWU)委員長
  • サブテーマ3:(韓国)カン・ヨンベ 保険医療労働組合(KHMU)情宣部長
  • 閉会:(台湾)ウー・ウェンフォン 中華郵政労組(CPWU)委員長

投獄されたミャンマーの労働組合員を解放せよ!

2022年10月10日、UNI、IndustriALL、国際食品関連産業労連(IUF)、国際公務労連(PSI)の代表らがジュネーブの国連前に結集し、投獄された労働組合員の解放と、国連によるミャンマーの国民統一政府の承認を要求した。

国際建設林業労連(BWI)、国際運輸労連(ITF)、国際家事労働者連盟(IDWF)を含む世界の労働組合運動は、以下の声明を発表した。

世界の2億人の労働者を代表するグローバルユニオンは、ミャンマーの全ての政治犯、特に2021年のクーデター以降、軍事政権によって不当に投獄されている60人以上の労働組合員の即時釈放を要求する。我々は、投獄された全ての民主化活動家に対するでっち上げの容疑を直ちに取り下げ、刑務所内における健康と安全を強力に保証すること、ならびに、彼らが家族のもとに迅速かつ安全に帰還できるようにすることを要求する。

活動家が収監され続けている状況は、正義の茶番であり、民主主義に対する愚弄である。労働組合の権利は、世界人権宣言ならびに労働における基本的原則および権利に関するILO宣言よって、世界的に認識され、保証されたものである。民主主義を守るためにこうした権利を行使したがゆえに労働者や労働組合員が投獄されることは、決して許されてはならない。人権および労働組合の権利は提案ではなく、差別や弾圧の恐怖を抱くことなく全ての労働者に適用されなければならない、普遍的で不可侵の権利である。

労働組合の権利は、民主主義の環境下においてのみ、発展していくことができ、民主的プロセスと法の支配にコミットする政府の下でのみ、成長し繁栄することができる。したがって、グローバルユニオンは、ミャンマーの国民統一政府(NUG)をミャンマー国民の唯一かつ真の民主的政府として承認するよう、国連総会に求めることを再確認するのである。NUGを承認することにより、我々はミャンマーの労働者の人権と労働組合権を保護し、軍事政権の残忍な独裁と国際社会における偽りのミャンマー代表にきっぱりと終止符を打つことができる。

またグローバルユニオンは、刑務所の内外でミャンマーの民主化活動家に対して蔓延する人権侵害、拷問、殺害を、可能な限り強い言葉で非難する。我々は、国連および全ての関連する国際的な人権機関に対し、この問題に関して強力な対応を取り、これら非道な行為に関して責任を持つ全ての者を裁くよう、強く要請する。

労働組合は、世界中のすべての労働組合員が抑圧や基本的権利の侵害から解放されるまで、決して休んではならない。民主主義は、すべての労働者にとっての権利である。専制政治が敷かれている場合には、いつ、いかなる場所にあっても、労働組合は団結と連帯をもって対応する。


世界の労働組合運動、イラン当局の残虐行為を非難-投獄された全労働組合員の釈放を要求

国際労働組合総連合(ITUC)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)およびGUFsは、イラン当局が自国民に対して繰り返している蛮行を非難し、国際社会からのイラン政権に対するより強力な圧力を求める。

国の厳しい服装規定に従わなかったことで、22歳のマーサ・アミニさんが宗教警察によって殺害された。この事件で国民の怒りが沸騰する中、約100人が殺され、多くの人々が負傷した。

シャラン・バローITUC書記長は、「全ての国際労働組合運動は、イラン専制政治の指導者による悪質な弾圧に立ち向かう勇敢な人々に敬意を表する。この抵抗運動を主導しているのは、身の危険を冒して、宗教的・政治的エリートの本質である女性差別および基本的権利の抑圧に終止符を打とうとする女性や少女たちだ。彼女たちに敬意と連帯の意を表したい」と述べた。

グローバルユニオン評議会(CGU)の議長を務めるスティーブ・コットン国際運輸労連(ITF)書記長は、「イランや世界中で労働組合員が逮捕されている。これは、批判者を黙らせ、国民の怒りは外部によって作られたものだと主張しようとする政権による、切羽詰まった試みだ。イランの労働者と世界中の仲間たちは、真実を理解している。彼らの即時解放を求める」と訴えた。

労働者の権利に関して、世界でも最も悪い状況にあるイランでは、あらゆる部門の労働者が、権利を求める闘いの先頭にたっている。

労働者の基本的権利を主張したがゆえに、多くの労働組合員が服役中であり、イランは2022年のITUC世界労働権利指数において、「労働者の権利が保証されていない」国の1つに入っている。

我々は、イランで投獄されているすべての労働組合員、その他不当に拘束されているすべての人々の釈放を求める。


UNI、カルフールとのグローバル枠組み協定を強化

写真:2022年10月5日、パリのカルフール本社にて、アレクサンドル・ボンパール会長兼CEO(左から3人目)とクリスティ・ホフマンUNI書記長(右隣)

2022年10月5日、UNIは多国籍小売企業カルフールとのグローバル枠組み協定を更新し、同社の全世界32万1000人の従業員と、グローバルサプライチェーンにおける数千人の労働者の社会対話、多様性および労働基本権を強化・推進した。

フランス・パリのカルフール本社で開催された同社の欧州労使協議会(EWC)の会議において、クリスティ・ホフマンUNI書記長とアレクサンドル・ボンパール・カルフール会長兼CEOが協定に署名した。

2025年10月までを新たな期間として更新された今回の協定には、労働者の権利を強化する以下の追加事項が含まれている。

●仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に関するILO第190号条約の原則を実現するため、協定の両当事者が尽力すること。
●性的指向や性自認を理由とする差別から労働者を保護する包括的な文言。

労働者の健康保護に向けたUNIとカルフールの決意を強調するため、新たな協定には、UNIやカルフール、その他の小売業者が2020年のパンデミック時に署名した「食品小売業部門における労働者及び消費者のための予防措置に関する共同宣言」の付属文書が含まれている。

2001年に初めて署名され、2015年と2018年の改訂を経て強化されてきたカルフールとのグローバル枠組み協定は、両当事者間の建設的な社会対話を促進し、新規採用者との情報共有や承認を含む組合のアクセスに関する協定を通じ、労働者の団結権の行使を促進するものである。

この協定は団体交渉の原則を支持し、多様性、ジェンダー平等、女性に対する暴力防止、安全で衛生的な労働環境に関する強力な条項を含むものとなっている。

長年にわたり、カルフールとの間で結ばれたグローバル協定は、アルゼンチン、コロンビア、韓国、ルーマニア、トルコ等、世界中の数多くのカルフール事業所で、労働条件の改善、組合による代表の強化、団体交渉の確保に役立ってきた。

最近では、ウガンダとドミニカ共和国において、カルフールとのグローバル協定が現地の労働組合が承認される上で重要な役割を果たし、両国での団体協約の締結に道を開いた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、協定への調印にあたり、次のように述べた。
「今日、我々はこれまでのグローバル協定の成果を祝うとともに、今後これらの実績を基に、さらなる発展を期待している。この協定が非常に貴重なものであることは、幾度となく実証されてきた。協定により、労働組合への加入や労組結成が最も困難な国々においても、労働者の組織化が可能になり、労働者の生活に真の変化がもたらされてきた。パンデミック時には、UNIとカルフール(その他の食品小売企業も同様に)は連携し、業務にあたる労働者を保護する最善の安全対策に合意し、取組んだ。 そして今日、驚異的なインフレに直面する中でも、社会対話はこの荒波を乗り切るための貴重なツールであると認識している。」

一方、カルフールのアレクサンドル・ボンパールCEOは、「グローバル枠組み協定をさらに4年間更新できたことは、UNIとのパートナーシップ、そして強力な社会対話の証しだ。我々は、互いの価値観を強化し、相互の尊重、結社の自由、従業員の労働条件の改善を通じて会社を発展させるため、共に歩んでいく。我々は、変化していく世界に対応していかなければならないが、同時に我々の価値観を維持し、前進させる必要がある。グローバル枠組み協定を更新できることを誇りに思う」と語った。


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