自動車販売員のためにギアを入れよう

UNI世界商業部会が委託した新しい調査は、自動車小売部門の動向の変化と、メーカーによる一般消費者への直接販売の増加によって、自動車販売員が直面している課題を浮き彫りにした。この調査結果は、自動車販売員の公正な移行を確保するためには、労働組合による代表と団体交渉がこれまで以上に重要であることを示している。

「自動車販売業界の変革」と題された調査論文の主な調査結果は以下の通り:
●大規模な労働力:自動車小売業には大規模な労働力が存在し、現在、自動車産業全体の雇用に占める割合は高まっている。例えば、日本やEUでは、自動車販売・整備に従事する労働者数は、自動車製造業の従業員数を上回っている。日本では、89万人が製造業に従事しているのに対し、100万人が自動車販売・サービス業に従事しており、そのうち57万1千人が小売業で直接雇用されている。

●COVID-19パンデミックの影響:2020年の軽自動車の世界販売台数は、2019年比で13.4%減少し、世界レベルで完全な回復が予測されるのは、2024年とされている。また、米国、西欧・中欧、日本など、多くの北半球の先進国の市場は、2020年代半ばになってもパンデミック前と比較して販売台数が落ち込む一方、中国、インド、ASEAN諸国では販売台数が安定的に増加し、世界の回復をリードすると予測される。

●電気自動車への移行:2021年にはバッテリー式電気自動車が480万台、プラグインハイブリッド車が180万台となり、フル電動化が予想をはるかに上回るスピードで進行している。 2028年には新車の3台に1台が、準電気自動車または完全な電気自動車になると予想される。

●整備・中古車市場:電気自動車は部品点数が少ないため、修理などのアフターサービスが少なくて済む。自動車所有者がアフターセールスにおける部品にかける支出は40%減少すると推定され、関連する整備・小売サービスに悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、中古車市場の大幅な成長により、短中期的には電気自動車への移行の悪影響が補われると見込まれる。

●オンライン販売のさらなる拡大:自動車メーカーは、2030年までに(試乗車を除く)新車購入の約80%がオンラインで完了すると推定している。また、中古車市場におけるオンライン販売のシェアは、米国で18%、欧州で10%近くに達すると見込まれる。

●新たな自動車販売モデル: テスラは、サードパーティの自動車販売業者を持たない直販網をベースに、実店舗での販売網をオンライン販売に大きくシフトさせた、新しい自動車販売モデルを開拓している。フォルクスワーゲン、アウディ、メルセデス、BMW、ステランティス、トヨタ、ボルボ、フォードなど他の多くの大手企業も、サードパーティの独立系自動車販売業者を自社の販売網に置き換えることで、同様の戦略をとっている。ある試算によると、2030年までに新車の40%がメーカーによる直販になるという。

●雇用総数は減るが、直接雇用は増える:この新モデルにより、自動車小売業全体の雇用は3〜7%減少し、雇用面で大きな転換が生じると見込まれる。 直販モデルの拡大により、自動車小売業の雇用に占める自動車メーカーの割合は10%から25%に増加が予想される。自動車小売業における雇用総数の減少よりも、自動車販売業者と自動車メーカー間の雇用の大幅な入れ替えの方が大きな問題となる可能性がある。

●M&A、そしてメガ自動車販売業者の登場:中小企業にとって環境が厳しくなっており、M&Aが加速していく可能性が高い。自動車メーカーからの圧力が強まり、従来の自動車販売店が生き残りをかけてより良い戦略を打ち出さなければならない中で、独立系の自動車販売業者間の合併による、メガ自動車販売業者の出現が目前に迫ってきている。

●スキルセットの変化:この部門の変革は、自動車小売業の労働者の職務内容や必要なスキルセットも再定義し、自動車販売員の公正な移行を確保するため、労働組合による代表と団体交渉がこれまで以上に重要になるだろう。

UNI世界商業部会自動車販売労組ネットワークは、UNIの日本加盟組織である自動車総連の提案を受け、2年前に設立された。2020年と2022年にオンライン会議を開催し、当部門の動向について議論し、国際的な意見交換と連帯を通じ、自動車販売に携わる労働者の組合の力を高めるため、さらなる機会を探ってきた。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「電気自動車への移行やオンライン販売による自動車部門の変革は、サプライチェーンのあらゆる段階で、労働者に影響を及ぼしている。今こそ自動車販売員のためにギアを上げ、こうした労働者にとって公正な移行を現実のものとするため、より強力なグローバル労働組合運動を構築する時だ」と締めくくった。