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UNI Apro ICTS部会委員会

2018年8月28~29日、ベトナム・ハノイで第20回UNI Apro ICTS部会委員会が開催され、13カ国・40人が参集した。日本からは情報労連・野田委員長、木村国際担当部長、NTT労組データ本部・福田副委員長、KDDI労組・後藤委員長、長谷川政策局長が参加した。野田ICTS部会議長が開会挨拶し、各国での熱心な活動に敬意を表するとともに、UNI本部と地域がしっかり連携した上で、Aproらしいやり方で効果を高めていく必要性を強調した。ホフマン書記長は「ICTS部会には①テレコム、②IT、③コンタクトセンターを3本柱として取組んでほしい。UNI本部もAproを支援していく」と挨拶した。

各国の状況

  • NTT労組データ本部・福田副委員長は日本の働き方改革に向けた労使の取組みとして、NTTデータ労使の対応について、罰則付き時間外労働規制においては法律を下回る設定を達成したことや、テレワークの取組みについて報告した。
  • KDDI労組・長谷川政策局長はKDDI労組の情報通信政策について説明し、産業全体の発展とそれに関わる労働者の雇用や生活向上につながる取組みとして、労働組合としての政策を持つべきであると強調した。
  • UNI-MLC(マレーシア)・シャフィー議長は、DIGIにおける第2回団体協約が締結されたことを報告した。
  • NCU(インド)・プラサド議長は、インドの携帯事業会社が3~4社に収斂されていくと予想し、エリクソン、イデア、テレノール/エアテルを主要ターゲット企業として組織化活動を展開すると報告した。
  • GPEU(バングラディシュ)・マスート委員長は政府の反組合政策の実態を説明し、親会社のテレノールを訪問して協力を要請すると述べた。
  • メディアプロテク(スリランカ)・ヘティアラチ書記長は、近年スリランカテレコムでリストラが実施されていたが、UNI Apro ICTS委員会の声明が一定の抑止役割を果たしたと報告した。CTWU(台湾)・リー国際部長は台湾の労働法改正について説明し、週当たり労働時間や休日など、労働者に不利な状況となっていると指摘した。
  • パキスタンテレコム(従業員1万人)では組合が消滅していたが、組織化に向けた取組みを再開した。アチャリャ書記次長がパキスタンを訪問して関係者との調整を行う予定であると報告した。

ITアウトソーシングについて

ホグバックP&M局長がIT部門のアウトソーシングについて報告した。1990年代、欧州の企業で最も早くアウトソーシングが進んだのがIT関連であり、背景としてコスト面が挙げられるが、逆に、専門知識やノウハウを外部に求めるケースも多い。UNIのターゲット企業であるエリクソンは後者で、ネットワークの質を高め、専門知識を得るためでもあった。Aproでもグラミンフォン(バングラディシュ)のIT部門がアクセンチュアに買収された。他にもエクセルアクシアタ(インドネシア)IT部門はファーウェイに、アクシアタ(マレーシア)ネットワーク部門はエリクソンに売却された。労働組合が考えなければならないのは、コストとサービスの質を考えること、また、アウトソーシングによるサービスの管理の問題である。アウトソーシングが正式決定される前に、常に状況を把握し組織率を高めておくことが必要である。

行動計画

アクシアタ(マレーシア)、テレノール(ノルウェー)、エリクソン(スウェーデン)の3社をターゲット企業として確定し、各企業の対策について議論、決定した。

この他、韓国オラクルの従業員が賃金や労働条件面で会社から不当な扱いを受けていることを受けて、UNI Aproとしてオラクルにおける闘争を支援する声明を採択した。

野田議長が閉会挨拶し「各国で様々な課題はあるが共通点も多いことが分かった、労働の未来へのアプローチは全員の課題であり、リーダーがどう向き合うかが大事だ。来年11月の委員会では成果と結果を持ち寄れるように頑張ろう」と参加者を激励し、委員会を閉会した。

 


第2回UNI Apro IT組織化ネットワーク会議

 

2018年8月27~28日、ベトナム・ハノイで第2回UNI Apro IT組織化ネットワーク会議が開催され、11カ国から約30人が参集した。日本からは情報労連・野田委員長、木村国際担当部長、NTT労組データ本部・福田副委員長、KDDI労組・後藤委員長、長谷川政策局長が参加した。

ICTS部会では通信部門と比べてIT労働者組織化の取組みが遅れており、急速に市場が拡大しているアジア地域においても重要性が高いとの認識の下、2017年のUNI Apro ICTS部会大会でIT労働者組織化を優先課題とした。これを受け、今年2月には第1回UNI Apro組織化ネットワーク会議をネパールで開催、今回は2回目の開催となった。

野田ICTS部会議長が開会挨拶し、IT労働者組織化の理由として、①自分のスキルに頼る一匹狼のように見えるが長期的な視点に立てばIT労働者にも組合が必要である、②既存の通信会社従業員が減少傾向にある中でUNI Apro ICTS部会の体制強化のためにはIT労働者組織化が絶対に必要である、と指摘した。

各国報告

会議では、前回会議で策定した国別行動計画について進捗状況を共有した。

  • インド・NCUでは、目標500人に対して524人の組織化を達成した。
  • ネパール・UNICTSは230人の新規組合員を獲得した。
  • スリランカ・UNITESは組合登録を達成した。
  • 他にも、韓国・HP労組、MSN労組、オラクル労組、及びマレーシアにおいてもIT会社組織化に取組んでいる事が報告された。
  • NTTデータは海外従業員約118,000人が未組織であるが「各国の労働法制や文化の違いを考慮し、UNIの指導の下で対応していく」と報告した。

戦略的優先課題

IT組織化ネットワークの活動強化に向けて、①オンラインアプリ等のコミュニケーションツールを活用し、加盟組織の情報交換を進める、②マイクロソフト、HP、オラクルをターゲット企業とし、加えて中小企業や新規事業者においても組織化を行う、③IT部門の女性、青年、フリーランス労働者を組合へ勧誘する、等を柱とした戦略的優先課題を策定した。参加者は各国でIT労働者組織化の対応を強化していくことを確認し、会議を終了した。


シリコンバレーの従業員が話し合いの場を要求

米国企業には強力な反組合文化があるにもかかわらず、巨大テクノロジー企業の従業員は使用者に影響を与えるために集団行動をとっている。

ホフマンUNI書記長によると、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、IBMの従業員はこの1年以内に、集団行動を起こした。このような行動のほとんどが嘆願書への署名活動であり、一般職員が、攻撃的な移民法の施行やドローンの戦争利用に関連する米国政府機関とのビジネスをやめさせようとするものだ。

「労働者の力がこのように使われるケースは珍しい。従業員は会社の評判を形成するような決定に対し、発言権を要求している。自分の仕事に自らの価値観を反映したいと望んでいる。」

ホフマンUNI書記長は、従業員の集団行動が企業文化を変えた4つの事例をあげた。

  • グーグルの従業員は、ドローン攻撃の目標設定の精度を上げるために人工知能を利用する米国防総省のプロジェクト、「プロジェクト・メイブン」をやめさせるため団結した。従業員は、このようなプロジェクトのために働かされるならグーグルを辞めると迫った。グーグルは引き下がり、米軍との契約を破棄した。今月、グーグルの従業員は、予想される中国への再進出につき、倫理や透明性について再び懸念を示した。
  • アマゾンの従業員は、ジェフ・ベゾスに、顔認証を警察や政府機関、特に移民局に売らないよう要求している。
  • マイクロソフトの従業員は、移民局との1940万ドルのクラウドサービス契約の終了を要求している。
  • IBMの従業員は、coworker.orgというプラットフォームに結集し、会社に対し、トランプ大統領とは異なり、多様性を認めるよう要求した。IBMの従業員はまた、女性への待遇をめぐる問題でも団結した。

多くの若いIT専門職は「世界をより良い場所にする」という会社のビジネスモデルに納得しており、会社の製品が彼らの倫理観に反するときには立ち上がるべきだという責任を感じている。

従業員は、問題が発生する度に戦いたいとは思っていない。むしろ、決定が行われる交渉の場に参加したいのだ。あるアマゾンの従業員はジェフ・ベゾスへの手紙に、『自分達が作るものに選択権を要求し、その使われ方にも意見を言いたい』と書いた。

「従業員達は、技術者が発言権を持つには団結するしかないことを学んだ。最終的には、彼らのキャンペーン・ネットワーク組織をもっと正式な機構に変えていく必要がある。その新しい機構とは組合のようなものになるだろう」とホフマンUNI書記長は予測する。

UNI書記長は、ベトナムで開催されたUNI Apro ICTS部会主催のIT専門職組織化フォーラムの開会挨拶の中で、このように述べ、アジア太平洋地域におけるIT分野の組織化の重要性も強調した。

 


UNI、高校生平和大使の訪問を歓迎

長崎・広島、他からの高校生平和大使20人と被爆者及び関係者が、今年もスイス・ニヨンにあるUNI本部を訪れ、アルケ・ベシガー副書記長をはじめ本部スタッフの歓迎を受けた。高校生平和大使は2018年度ノーベル平和賞候補に選ばれている。

第1世代から第2世代、第3世代、第4世代の被爆者は、1945年8月の広島、長崎への原爆投下による重大な教訓を語り継ぎ訴えている。平和大使は毎年、ジュネーブの国連本部に、核兵器廃絶を要求する署名を届けており、その際、UNI本部も訪れている。

UNIが2010年に長崎で世界大会を開催したことがきっかけで、平和大使とUNIの交流は始まった。高校生平和大使によるUNI本部訪問は10年以上続いている。長崎世界大会に世界中から集まった2,000人を超える大会参加者は皆、新たな「平和大使」となって帰国した。

若い平和大使の1人は、被爆者が高齢化し亡くなっていく中、自分たちは恐らく被爆者から直接体験を聞くことのできる最後の世代だろう、だからこそ後輩に語り継ぐ責任があると述べた。同席したUNI本部スタッフは、原爆投下とその後の恐ろしい体験を聞き、まるでその場にいるかのように感じた。別の平和大使は、核兵器廃絶を実現するまで決してあきらめないと語った。この「夢」は、昨年、核兵器禁止条約が国連で採択されたことで、一歩前進した。

ベシガー副書記長は、「UNIは皆さんや他の平和を願う組織と共に、国連核兵器廃絶条約の完全実施を政治家に強く求めていく。今年6月にリバプールで開催されたUNI世界大会でもUNIファミリーは、核兵器の無い世界の実現に向けた決意をあらためて示した。労働組合運動は平和運動と一体となって、取り組んでいく」と約束した。

UNIのブレイキングスルー戦略は、国際的な核軍縮の動きを支持している。UNIは、国連核兵器廃絶条約の採択を後押ししたことで、昨年ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)及びIPB(国際平和ビューロー)のメンバーでもある。

 


広島、長崎への原爆投下から73年、犠牲者を追悼

広島と長崎は、2018年8月6日と9日、21万人を超える尊い命を奪い、多くの負傷者を出した原爆投下から73年目を迎える。被爆後、生存者の多くが癌や白血病等、放射能の後遺症に苦しんでいる。

今年、リバプールで開催されたUNI世界大会では、UNIファミリーが核兵器の無い世界の実現に向け、誓いをあらたにした。

UNIは2010年に長崎で第3回世界大会を開催したことがきっかけで、長崎との交流を始め、平和運動に深く関わってきた。長崎世界大会に参加した2000人を越える代議員は、被爆者の体験を直接聞き、原爆資料館を訪れて原爆の恐ろしさを実感し、平和大使となって、その経験を各国に語りついでいる。

2017年7月、国連は核兵器禁止条約を採択した。この歴史的な条約は、核兵器とそれに関する全ての活動を禁止するものである。核兵器禁止条約は、50カ国が批准すると発効する。世界の指導者達は、核兵器のない未来を求める被爆者の叫びや世界中の市民の訴えに真剣に耳を傾けるべきだ。UNIは、核兵器禁止条約の採択を後押ししたことで2017年にノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)及び世界最古の平和組織IPB(国際平和ビューロー)の運動を支持し、メンバーになっている。

1945年8月に広島で被爆したサーロー節子氏は、2017年12月のノーベル平和賞受賞スピーチで、「その一人ひとりには名前がありました。一人ひとりが、誰かに愛されていました。彼らの死を無駄にしてはなりません」と訴えた。

 

 


コルティナ新UNI会長にバトンタッチ

第5回UNI世界大会の最終日、ルーべン・コルティナ氏が新たなUNI会長に選ばれた。幼い頃から苦労が絶えなかったが、コルティナ氏はアルゼンチンの労働運動で頭角を現し、2003年にUNI米州地域会長に就任すると、ラテンアメリカにおける組織化と組合強化を主導してきた。

4年間UNI会長を務め、今回退任するアン・セリン会長は、アルゼンチンの商業部門から始まり、30年に渡ってラテンアメリカの労働運動に影響力を及ぼしてきた同氏の多大な貢献と揺るぎない決意に敬意を表し、「ここでコルティナ氏に引き継げることを嬉しく思う」と述べた。セリン会長は、癌と闘いながらも、指導体制移行期のUNIを支えてきた。

コルティナ新会長は就任演説で、将来の世代のための労働組合の戦略的行動の必要性を強く訴えた。「問題の原因究明はよいが、変化のための行動を起こさなければ意味がない。不確実性を排したいなら、明確なビジョンと計画に基づいた行動を起こさなければならない。政治家が行動するだろうと座って待つ余裕は無い。」

「どの多国籍企業の門戸も叩き、プラットフォーム経済の隅々まで出かけて行く。子供達に寄り添い、子供達が働かなくて済むようにする。働く女性に寄り添い、賃金格差を埋めていく。青年に寄り添い、将来の機会を与える。必要とされるところへは、どんなに遠くても出かけて行く。世界中の2000万人の兄弟姉妹のために、UNIはある。」

「我々は、団結と平等のために闘う。我々のために誰かが社会正義をもたらしてくれるわけではない。我々自身で共に社会正義を構築していこう!」

コルティナ氏は、家族とアルゼンチン商業サービス労連(FAECyS)、UNI米州地域組織、UNI本部、そしてUNI加盟組織からの支援に感謝した。

ホフマンUNI書記長は、セリン会長とコルティナ新会長が何年にも渡りUNIの目標達成に貢献してきたことに心から感謝した。

世界大会はまた、各地域を代表する副会長と内部監査も選出した。UNI Aproからは、増田光儀JP労組委員長がUNI Apro副会長に選出された。

 


世界平和、民主主義、人権を求めて

平和と民主主義は労働運動にとって重要である。UNIは国連核兵器禁止条約の成立に大きく貢献した2つの平和推進組織、ICAN及びIPBのメンバーである。1891年に設立された世界で最も歴史のある平和団体、国際平和ビューロー(IPB)は1910年に、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は2017年に、それぞれノーベル平和賞を受賞した。ライナー・ブラウン国際平和ビューロー(IPB)共同会長は、世界大会で演説し、「平和は今脅かされ、世界は混乱状態にある。軍備拡大から縮小へ舵を切らねばならない。対立と軍事化の政治を克服しなければならない」と強く訴えた。2010年に開催された長崎世界大会において、UNIファミリーは、核兵器の恐怖を再認識するとともに、核兵器廃絶を求める世界平和の大使となることを誓った。

UGTT(チュニジア労働総同盟)のフセン・アバシ前書記長は、希望と連帯のメッセージを大会代議員に送った。国民対話カルテットの一員として、アバシ前書記長は不断の努力を続け、チュニジアを内戦から救った。2015年10月、UGTT、チュニジア商工業・手工業経営者連合、チュニジア人権擁護連盟、チュニジア全国法律家協会から構成される国民対話カルテットはノーベル平和賞を受賞した。「グローバル化によって我々は、強欲な企業、不安定な雇用、民主主義の縮小といった同じ課題に直面している。UNIは単に2000万人の労働者を持つ組織であるだけでなく、アイデアを持つ組織だ。みんなで立ち上がり、平和、労働者の権利、正義のために闘っている。我々が直面するグローバルな課題には、組織間、国家間の連携を強化してこそ打ち勝つことができる。一貫したアクションと、経済・社会・教育的行動を通じて、国際連帯を持続していかなければならない。」国民対話カルテットの事例は、市民社会、とりわけ労働組合が社会の亀裂を癒す上で大きな役割を果たせることを証明した。

続いて、不正に立ち向かっている人や団体にUNIから「恐怖からの解放賞」が贈られた。

ヒルズボロ遺族支援グループ、ヒルズボロ正義キャンペーン、故アン・ウィリアムズ氏は皆、1989年4月に発生したヒルズボロの悲劇(サッカースタジアムで発生した将棋倒しで96人のファンが犠牲になった)の遺族と生存者のために正義を勝ち取るまで、その闘いを決して諦めなかった。代表して受賞したジリアン・エドワーズ氏とシーラ・コールマン氏に、大会代議員は総立ちの拍手で称えた。「私達は女性として決して諦めなかった。リバプールの女性のDNAかもしれない」とコールマン氏は述べた。英国政府は96人の死亡の原因を隠蔽しようとしたが、彼女達の正義を明らかにするという決意は揺るがなかった。「他の人のために集団で闘う意味を理解する、UNIのような同志から表彰されて光栄だ。」ヒルズボロの悲劇の正義は実現したが、現在は他のキャンペーングループが真実を明かそうとするのを支援している。彼女達は、恐怖からの解放賞を、グレンフェルの正義を求めるキャンペーン(2017年に発生したグレンフェルの火災で72人が犠牲となった後、結成された)に捧げた。

偏狭、人種差別、外国人排斥に立ち向かっている国際奴隷博物館にも同賞が贈られ、リチャード・ベンジャミン館長が受賞した。同博物館は、道義に反する奴隷制度を風化させないよう、今でも闘い続けている。同博物館は、奴隷貿易廃止法制定200周年記念の、2007年8月に開館した。だが、未だに世界史の暗く野蛮な出来事の遺産は残っている。「2007年の開館以来、400万人を超える人がこの示唆に富む博物館を訪れた。我々は来館者に、大西洋奴隷貿易の遺産を思い巡らすだけでなく、現代の奴隷の形態すなわち人身売買や債務労働等の奴隷についても積極的に考えてもらいたい」とベンジャミン館長は述べた。国際奴隷博物館は、奴隷制度の国際的な重要性を歴史的及び現代的視点から訴えかけている。他の団体と連携し、奴隷制度と自由に焦点を当て、現代の奴隷制度の理解と意識喚起の機会を提供すると共に、人種差別や憎悪犯罪と闘っている。第三者憎悪犯罪報告センターに指定された英国で唯一の博物館でもある。

米国のプロバスケットボール選手、ビルキス・アブドゥル・カーディルは、イスラム教の女性が被るスカーフ(ヒジャブ)を着用して競技する権利を要求して闘った勇気を称えられ、恐怖からの解放賞を受賞した。3年間競技停止を受けてもなお、彼女はUNI世界選手協会、世界各国のバスケットボール選手協会、EUアスリート及び人権ウォッチ(NGO)等と連携して差別をなくすキャンペーンを展開し、国際バスケットボール連盟(FIBA)の禁止規定を覆させた。受賞演説で彼女は、バスケットボール選手への平等な扱いという観点だけでなく、イスラム教の女性への偏見や差別をなくす闘いだったと振り返った。「若いイスラム教の女子選手が安心して競技できる場をつくりたかった。イスラム教の女性はどこにでもいる。彼女達は他の人々と同様に扱われ、同様にする権利がある。」それでも人種差別や外国人排斥との闘いは続く。全ての組合活動家は、逆境を跳ね返した彼女の強さに勇気付けられるだろう。バラク・オバマ前米国大統領は、「ビルキスはイスラム教の女児だけでなく、我々全員に感動を与えた」と称えた。

フロアから発言した藪裕之代議員(JP労組)は、東日本大震災の直後に世界の仲間から受けた連帯支援に感謝すると同時に、自ら被災しても地域の役に立ちたいという使命感を持って仕事をしたことを振り返り、助け合い労わり合う心があれば、争いはなくなるだろうと述べた。そして将来を担うユース世代が中心となって、人を思いやる精神をもって全ての労働者の社会的地位の向上に取組み、世界平和の実現に向けて行動していくとの決意を述べた。

動議5については、LGBTQI、メディア、スポーツの視点を追加し、トルコ情勢等を修正した、決議委員会の最終案が採択された。

 

 


組合の意思決定に、より多くの青年・女性が必要だ!

UNI世界青年委員会は、各地域議長が登壇し、UNI及び加盟組織に、青年メンバーを意思決定機関に統合するよう訴えた。法被を着た日本の青年メンバーも壇上で応援した。

世界大会直前に開催された世界女性大会で退任したデニス・マクガイア前議長から同大会の報告を受け、続いてパトリシア・ナイマン新議長及び各地域を代表する副議長が今後も、ジェンダー代表制確保、女性に対する暴力廃絶、メンター制度をはじめとする女性のエンパワーメント等の取組みを継続・強化していくと抱負を述べた。

相川和男代議員(新聞労連)は、新聞社で働く女性が、社内では上司や同僚によって、社外では取引先や取材先によってセクハラの被害にあっていること、「セクハラに我慢するのはもうやめよう」という緊急アピール文を採択し、女性も安心して働ける職場環境・労働条件を早急に整備するよう新聞協会に要請したことを報告した。新聞社で働く女性比率は今後も増える見通しで、女性の意見や要望を実現化するため女性の労組役員比率3割を目標に掲げる予定だと述べた。


労働組合と労働の未来

UNIは「労働の未来」に関するオピニオンリーダーとして、デジタルの世界が全ての労働者に力を与え、誰をも包摂するよう潮目を変えるために努力してきた。労働組合は、政府の政策に影響を及ぼし、透明性、機会、責任を確保し、新しいテクノロジーが少数者だけでなく多くの人に恩恵をもたらすものとなるよう適正化する力を持つイノベーターである。

この議題では、労働者のデータに関する権利、拡大するデジタル格差をいかに是正するか、倫理的なAIの活用、新しい世代の労働者といかに接点を持つかについて議論した。

UNIと加盟組織は、公正なデジタル化の未来に向けた発展にとりわけ責任があることについては疑いの余地が無い。なぜなら、新たな仕事の90%がUNIの関わる部門で創出されると見込まれているからだ。

ガイ・ライダーILO事務局長は、ILO創設100周年「仕事の未来」イニシアチブについて報告し、「かつてない速度で労働の世界が激変する中、労働者に有利な変革を起こすには、労働者を動員し、労働組合が様々な組織と連携して我々の望む労働の未来を形作る上で中心的役割を果たしていかなければならない」と訴えた。「さもなければ、将来は残酷な極論者によってつくられてしまう。我々が過去闘って勝ち取ってきた労働者の権利、包摂性、社会正義、持続可能な民主的な社会は将来、居場所がなくなってしまうだろう。」

ジャーナリストであり作家でもある、オープン・マーケット研究所のバリー・C・リン所長は、巨大テクノロジー企業の間の独占力が我々の経済・政治システムに及ぼす脅威について語った。

カーディフ大学の、ヘレン・ブレイカリー博士とスティーブ・デイビス博士は、UNIから委託された「労働組合のイノベーション」に関する調査の結果を報告した。

リバプール・ガール・ギークスの、ジョアン・モーフィとジェス・イングリーは、英国のテクノロジー分野におけるジェンダー格差をなくすため、女子学生に理数系の学習を奨励し、将来テクノロジー分野の職に就けるよう支援するプログラムに参加した体験を紹介した。

松浦昭彦UNI-LCJ議長は、UNIの労働の未来の取組みに沿って、UNI-LCJとしても、集中的に議論してきたこと、UNI本部のクリスティーナ・コロクロフ部長から、労働者データの扱いや、AIの倫理的活用を求める取組みについて情報共有したこと等を報告し、連合の労働の未来に関する認識を紹介した。「人口減少・超少子高齢に向かっている日本では、技術革新により、労働力不足を補い、生産性の向上が期待できる側面がある。産業内・産業間の労働力の需要の変化が見込まれるが、新規雇用が創出され、労働者が失業することなく新しいディーセントな仕事に移行できるよう、能力強化対策をとらねばならない」とする一方、クラウドソーシング、シェアリングエコノミー等、働き方が多様化する中、労働契約、安全衛生、教育訓練、社会保障制度も、働く人を守る視点から、改革する必要があると述べた。UNIを通じて、世界で起こっていること、海外の組合の対応に関する最新情報を共有し、日本の現状を踏まえ、将来を予測し、迅速な行動をとっていきたいと発言した。

日下部大樹代議員(生保労連)は、デジタル化によりサービスのあり方や働き方が大きく変化し、無くなる仕事も予測される一方で、東日本大震災直後の生命保険会社の営業担当者の経験を挙げ、人にしかできない、感情を動かすホスピタリティのあるサービスを創造し提供することが、これまでにない顧客の満足と新しい価値を生み出し、人間としての心の豊かさにもつながるのではないかと、問いかけた。

リバプールに結集した大会代議員はまた、アマゾンの事業モデルは労働者を底辺への競争に駆り立てていると非難し、レッドカードを突き付けた。ベシガーUNI副書記長は、同社の労働者への不当な扱いに抗議して、UNIの要求を明確に示した。「アマゾンは、法人税を適正に支払い、責任あるグローバル企業としてふるまうべきだ。我々はアマゾンの悪しき慣行に立ち向かう。アマゾンは、労働者をロボットではなく人間として尊敬すべきだ!」

動議4は満場一致で採択された。

 


持続可能なグローバル経済のための労働組合

グローバル経済は曲がり角にきている。格差は拡大し、企業の業績は右肩上がりの一方で、労働者の賃金は伸び悩んでいる。この危機は、経済理論の失敗、資本主義の失敗、企業の傲慢さが招いたものであり、一刻も早く、我々の経済を富裕層や権力者だけを潤すものではなく、全ての人に公正で持続可能なものにしなければならない。

組合員を増やすこと、団体交渉の強化こそが、この経済の転換を実現するために必要だというコンセンサスができてきている。格差が急速な拡大すると同時に、組合組織率も落ち込んでいる。右翼やポピュリストの潮流に対抗し、持続可能で公正な経済を形成するために労働組合が必要なのは明白だ。また、人々と地球を優先する、公正な経済及び新しい貿易・開発モデルを生み出す必要がある。

来賓として挨拶したシャラン・バロウ国際労働組合総連合(ITUC)書記長は、まずホフマン書記長が率いるUNIの新時代の到来を歓迎すると共に、退任したジェニングス前書記長の多大な功績を称え、会場にいる人々全てにとって、永遠にリーダーでありメンターであり友人であると述べた。バロウ書記長は、女性蔑視、女性への暴力、人種差別、外国人排斥の高まりに挑んでいく決意を明確にし、労働組合リーダーに、国際的な視点から共通の課題に共に取組もうと呼びかけた。「格差と不正に反撃するには、労働者の組織化を通じた力の構築と国際連帯しかない。我々は公正な世界を求めて闘い、必ず勝利する。強力な国際労働運動を引っ張っていくのはUNIだ!」

ステファン・ロヴェーン・スウェーデン首相はビデオで大会代議員にメッセージを送った。ロヴェーン首相は溶接工から組合活動家になり、金属労組の会長になった。リバプールが世界に誇るサッカーチームのサポーターズソング「You’ll never walk alone(君は決してひとりではない)」を引用し、「労働者が力を合わせ、1人も置き去りにすることなく、互いのために立ち上がれば、必ずうまくいく」と強調し、「“君は決してひとりではない”というメッセージは、労働者から労働者へ、国から国へ、大陸から大陸へと伝わり、団結の力で我々の将来を形作ることができる。共に実現していこう!」と訴えた。

フロア発言では、日本の加盟組織から積極的な提言が相次いだ。

齋藤久子代議員(情報労連)は、グローバル化の恩恵が全ての人に行き渡り、持続可能な“人間中心の”RCEPを構築するためには、ILO中核的労働基準の遵守条項と環境条項を組込む必要があり、ASEANで整備されている社会対話の機構を足場として、RCEP加盟国の労働組合が連帯し、RCEP交渉の論議にもっと関与すべきだと訴えた。

柏木裕也代議員(全信連)は、日本の金融産業を取り巻く環境が激変し、従来のビジネスモデルが通用しなくなっている中、産業別労働組合として、キャリアの複線化や多様化する従業員のニーズにも応えていくと同時に、企業に対してはESG投資、環境保護、女性活躍の推進、人権の面から責任ある提言を投げかける必要が高まっており、UNI活動等を通じ、適切な情報収集、研鑽を図りたいと発言した。

八野正一代議員(UAゼンセン)は、UNI本部SCOREの資金援助による多くのプロジェクトが各国で実施され大きな成功を収めていることを称賛した上で、UNIのグローバルな戦略を受け、地域・国の加盟組合の考えと組合文化を十分理解し考慮したアプローチをとることが重要だと主張した。アジアでは労使の相互信頼と尊重を基礎にして労働者の権利と諸条件の改善及び企業の成長を目指す「パートナーシップ労使関係」がより有効に機能する例も多くあり、UNI本部と地域組織の間で十分な情報共有を行い、今まで以上に緊密に連携・協力してほしいと要請した。

末留新吾代議員(全労金)は、UNIに結集する全組織が、市場万能・短期利益最優先の風潮に歯止めをかける労働組合の社会的機能を強化し、協同組合経済の領域拡大を図り、新自由主義に変わる持続可能な社会を実現しようと提起した。連帯と協同を通じ安心・共生の社会を築くことで、世界から貧困・児童労働・奴隷制を無くすことにつながるとし、そのために労働運動と協同組合は更なる連携強化が必要だとSDGs実現に向けた積極的な取組みを要請した。

金子晃浩代議員(自動車総連)は、少子高齢化・人口減少、就業人口減少が急速に進む日本では、労使で確認された『生産性三原則』に基づく生産性向上運動を通じて付加価値を高め、経営者と労働者との報酬配分の偏りを均そうとしていると紹介した。また、自動車産業全体で拡大する産業内格差及び労働者間の格差の是正を目指すと共に、グローバルにバリューチェーンが形成されている自動車産業として、日本に限らず全世界で労働基本権が確保され、建設的な労使関係が構築されるよう連帯を惜しまないと述べた。

中村正敏代議員(日放労)は、会社の持続可能性が強調され、労働者個人の持続可能性が蔑ろにされ、新しい時代の奴隷労働になりかねない現状に警鐘を鳴らした。労働への価値観を共有する活動によって、企業も労働者個人も、またAI等によって変化する仕事も全てが持続可能となる道を探す視野を持つべきだと述べた。特にメディア産業で労働組合が社会対話の主体として認められ、グローバル経済に消費されない強靭な社会の主体となれるようよう行動を起こしていくべきだと訴えた。

様々な提言や支持の発言を受け、動議3は採択された。

 


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