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団体交渉の復活:成功に向けた必要条件とは

1938年に著名な経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、ルーズベルト米大統領に宛てた書簡の中で、「団体交渉の拡大を不可欠なものと考えます。最低賃金と労働時間に関する規制を支持します」と述べている。

それから80年を待たずして、団体交渉が不可欠なものであることについて、さらに多くの人々が同意している。近年、EU委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、団体交渉の「強力な擁護者」であると宣言しており、また最近のOECD、ILO、欧州労働組合研究所(ETUI)の調査では、団体交渉は危機に強い経済と適正な賃金水準の構築に貢献すると同時に、平等かつ民主的社会の実現に不可欠であることが示されている。

欧州で団体交渉制度を強化・再構築するためのコンセンサスが確立された今、明確なターゲットが盛り込まれた適正な最低賃金に関するEU指令により、政治的突破口も開かれている。すべての加盟国は、自国の労働者の80%が団体協約の適用対象となることを目指さなければならないのである。現時点でこの野心的目標を達成できているのは、ほんの一握りの国だけである。この水準に達しない場合は、団体交渉の強化方法を示す国別行動計画を策定しなければならず、EU加盟国27か国のうち19か国が、これに該当する。

国別行動計画が効果的なものであるためには、まず複数使用者交渉制度の構築に集中し、次にサービス部門における団体交渉の具体的な課題に対処する必要がある。このような重点的な取組みなしには、国別行動計画は無駄に終わってしまうだろう。

複数使用者交渉:目標達成のための必要条件
団体交渉は、1ないし複数の労働組合と1企業との間で行われることもあるが、 同時に複数企業との間で実施されることもある。よくあるのは、同じ部門(例えば、すべての小売企業)または特定の場所(例えば、空港)で事業を展開する使用者との間での交渉である。後者のタイプの団体交渉(複数使用者間交渉または部門別交渉)には、明確な利点がある。必要となる交渉の回数が減ること、より多くの従業員が団体協約に適用されるようになること、そして何よりも、企業間競争によって、労働条件に不利益が生じないようにできる、という点だ。部門別交渉によって、事実上、賃金は競争から切り離される。

そのため、多くのEU諸国が、法制度または部門レベルの労働組合・使用者団体に対する積極的支援を通じて、この種の制度を支援している。

この図が明確に示すのは、団体交渉の適用範囲を80%に到達させる上で、複数使用者による交渉が必要条件であるということだ。その結果は自明である。国別行動計画には、法整備、行政による促進、社会パートナーの自主的な能力開発を通じて、複数使用者間交渉を強化または(再)構築するための何らかの措置が盛り込まれなければならないだろう。

成功の鍵を握るのは、サービス部門
国別行動計画を成功させるには、さらにサービス部門の団体交渉に焦点を当てる必要があるだろう。過去数十年間、サービス部門の従業員数は増加し、製造業・農業部門の労働者数は減少している。2020年には、欧州の労働者のほぼ 2 人に 1 人が、何らかのサービス部門に従事している。

さらに、サービス部門の団体交渉の適用範囲は、例えば製造業や公共部門などと比べて低い。ETUIの研究者ウーター・ズワイセン氏の調査によると、すべてのサービス部門で適用率は平均以下であり、例えばIT部門では、適用率が欧州の平均を20%下回っている。

団体交渉に関する国別行動計画は、必然的にサービス部門に焦点を当て、これらの部門が直面する、以下のような特有の課題に対処しなければならない。
●リモートワーク環境における団体交渉:パンデミック以降のリモートワークの急増により、労働組合がリモートワーカー、特に常時、在宅で勤務する労働者に接触を図り、連絡を取り、組織化し、動員する上での具体的な課題が明らかになった。
●分散型雇用における団体交渉:従業員が無数の場所で少人数チームまたは単独で働く部門(小売業や清掃業など)でも、労働者に接触して組織化することは、労働者を団体交渉に参加させることと同様、特に困難である。
●個人事業主の団体交渉:ほぼ同じ業務を行う一般従業員と同じ職場で肩を並べて働く個人事業主が増加する中、団体交渉は必然的に包摂的なものになる必要があり、その結果、特定の法的および実務的な問題への対処が必要になってくる。
●予測不可能なシフトを組む部門における団体交渉:従業員の勤務時間やシフトが直前に知らされるような環境では、統一した団体交渉要求や交渉の場を設けることが非常に困難である。
●低賃金部門における団体交渉:最後になるが、一部のサービス部門は特に低賃金であり、労働者が組合費を支払ったり、自発的な組合活動に時間を割いたりする余裕は、ほとんどない。

実効的な国内行動計画を策定するための明確な条件
適正な最低賃金に関する指令において、行動計画は80%の目標に向けて団体交渉適用率を漸進的に引き上げるべきであることが明記されている。加盟国がこの目標に真剣に取組むのであれば、行動計画には部門別交渉に向けた明確なステップを盛り込み、サービス部門における団体交渉に特有の課題に取組んでいく必要があるだろう。こうした要素が盛り込まれない場合、加盟国は指令に沿った形で計画を修正するため、振り出しに戻されるべきである。


「労働者の声に耳を傾けよ」:ローマから呼びかけ

2022年10月上旬、イタリア労働総同盟(CGIL)本部へのファシストによる襲撃から1年を迎え、何千人ものデモ隊がローマの街頭に結集した。デモ参加者は、イタリアや欧州各国の政策決定者に対し、労働者のニーズに耳を傾けるよう求めた。

労働者が提示した10項目の要求の中でも、生活費危機に対処するための団体交渉の強化と公正な税制、そしてイタリアにおける不安定な状況に対処し、社会保障と公共サービスを強化することは、特に優先課題だ。ここには、公共契約や民間企業への補助金に対する社会的条件の導入も含まれている。

UNI欧州は、デモ行進に加わるとともに、集会「労働者の権利と民主主義のための反ファシスト国際ネットワーク」にも参加した。オリバー・レティクUNI欧州地域書記長が講演を行い、極右グループによる分裂を煽る企てを阻止するための、欧州各地の労組の戦略・戦術について、洞察を語った。

マリア・グラツィア・ガブリエリFILCAMS書記長は、「改めて仕事を中心に据えたプロジェクトが必要だ。不安定な状況との闘い、そしてより良い労働条件や尊厳ある賃金も必要だ。この国に別の未来を切り開くということは、若者、女性、そしてすべての働く人々に展望と未来を与えるということだ」と訴えた。

レティク地域書記長は、「ローマの街頭から、欧州全体に向けて、働く人々は警鐘を鳴らし、尊厳を要求している。生活費の危機は、多くの人々を深刻な経済難に陥れている。労働者を主役に据えることで、この問題に取り組まなければならない。団体交渉はその解決策だ。今こそ、職場の民主主義を強化するための行動を起こすべき時だ」と力強く呼びかけた。


第9回UNI Apro東アジア労組フォーラム (2022年10月13~14日、台湾(ハイブリッド開催))

第9回UNI Apro東アジア労組フォーラムは、2022年10月13~14日、台湾においてハイブリッド開催された。日本、韓国、台湾、香港、モンゴルより述べ約200人が参加した。日本からは14組織73人(うち女性26人、女性参加率38%)が参加した。前回(2019年)、デモの影響で参加できなかった香港が参加し、モンゴルも前回に続き2回目の参加となった。

「東アジアにおけるポストコロナ時代の新たな課題と労働組合の対応」というスローガンの下、「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応」、「ポストコロナで加速するデジタル化に対応した人材育成と組合の対応」、「ポストコロナの職場におけるハラスメントと組合の対応」というテーマで、各国が取組みを共有した。

 開会冒頭、ホスト国を代表し、ウー・ウェンフォン中華郵政労組(CPWU)委員長および、来賓としてワン・アンバン台湾労働省副大臣より歓迎挨拶を受けた。石川 幸德UNI-LCJ議長は、ウー委員長をはじめ、台湾の準備ともてなしに感謝した。そしてラジェンドラ・アチャリャUNI Apro書記長就任後、初めての開催となること、また、香港およびモンゴルから再び参加を得ることができた。3年ぶり開催となる今フォーラムの成功を祈念すると述べた。また松浦 昭彦UNI Apro会長は、特に「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関するILO190号条約」に関するテーマが本フォーラムで初めて取り上げられることを強調し、東アジアでは同条約の批准に至った国はなく、批准に向けた各国の取組みなどを共有したい旨述べた。この他、クリスティ・ホフマンUNI書記長、ユン・チャンヒョンUNI-KLC議長(韓国)、チェン・ライハUNI-HKLC議長(香港)、オユンバヤール・チェルテムドルチUNI-LCM議長(モンゴル)から連帯挨拶があった。

 アチャリャUNI Apro地域書記長は「アジア太平洋地域におけるポストコロナ時代の新たな課題と労働組合の対応」と題した基調講演において、ポストコロナ時代は対面接触の仕事やリモートワークと出勤との複合的な仕事形態、Eコマースの需要増加がある。雇用形態は複雑化することが予測され、労働組合の関与が不可欠である。新たな課題に対応するため、労働組合は有識者とも連携して組合の影響力を強化すべきだ」と述べ、日本のロビー活動や政策提案などの事例を挙げて強調した。また各国と連携して、青年や女性の地位を高める取組みも継続して行っていく旨述べた。

 続いて、「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応(サブテーマ1)」の冒頭、ホフマンUNI書記長より「労働安全衛生を「人権」に:新たな働き方に伴う新たな労働安全衛生課題に対するUNIの取組み」と題する特別報告を受けた。ILO労働安全衛生の基準の説明やサービス部門での安全衛生、ケア部門のメンタルケアの重要性など事例を挙げて説明し、「労働安全衛生は世界中どの国でも課題になっておりUNIは重要視している。来年開催するUNI世界大会でもテーマに取り上げる。我々が結束することにより、新たな問題解決方法を見つけていきたい」と述べた。

★討論のポイント

サブテーマ1:「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応」

(1)リモートワークにおける労働安全衛生の課題と組合の対応

  • 日本(辻 耕平 情報労連中央執行委員): 2点の課題、①「つながらない権利」は、日本において働き方をめぐる大きなテーマであり、海外での事例も参考にしながら当該企業労使の対応を強化していくことが必要である。②「AIによる労働監視の課題」は、日本でのAI活用は積極的な社会実装を進めようとしているが、データに関するルール制約などがAI利活用を阻む要因となっており、法的拘束力のある横断的な規制は不要との政府の考え方がある。労働分野におけるAI導入については、「事前の労使協議の徹底」や「従業員への同意確認」などを担保することが重要であり、論理的側面からの法整備について政策アクションを行っていきたいと報告した。
  • 韓国(キム・ジョンウ 韓国事務金融労連(KFCLU)オラクル韓国労組委員長):在宅および遠距離勤務、アルコリズム、災害保険などポストコロナの労働組合の対応を報告し、組織化や対面相談など在宅勤務での労組対応の難しさを説明した。
  • 台湾(チャン・フーチ 台湾金融労連(TFFU)委員長):コロナ禍における職場の安全や長時間労働、交代勤務などの労働安全衛生の状況を説明し、メーデーを活用した組合の対応など報告した。

(2)エッセンシャルワーカーの労働安全衛生の課題と組合の対応

  • 日本(坂根 元彦 JP労組中央執行委員):安全衛生の取組み、長時間労働および時間外労働の取組み、感染症対策について報告した。また無人搬送車・搬送ロボットAGV(Automatic Guided Vehicle)の導入を紹介し、郵便・物流の自動化進展の影響を報告した。
  • 韓国(ソン・クミ 全国保健医療産業労働組合(KHMU)書記長):感染対策、長時間労働などのストレス、交代勤務などの保険医療産業の現状と、政府や産業別交渉などの労組の対応報告をした。
  • 韓国(チュン・ハナ 韓国サービス労連(KFSU)政策局長):小売店の休業義務の現状と制度を説明し、休業義務の制度は変更せず、現行を維持しながら多様な意見をとりまとめる方針の政府に対して、政府HPや抗議の公文書などで意見表明をしている報告をした。
  • 台湾(ジャオ・リンユ 嘉義医療財団法人関連企業組合(CYCHCU)委員長):医療現場の現状を説明し、感染リスクの低減や適切な報酬など必要であり、組合は医療スタッフの感染リスクの低減を主張していると報告した。

サブテーマ2:「ポストコロナで加速するデジタル化に対応した人材育成と組合の対応

(1)各国・各産業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と課題

  • 日本(村上 瑞紀 自動車総連国際局部長):オンラインによる販売および商談、顧客がHPやSNSから情報を入手し購入の意思を固めてから来店する形態のマーケティング、電子制御車両や電気自動車増加による点検・整備のデジタル化の現状を紹介し、それぞれの課題を報告した。
  • 韓国(パク・ホンベ 韓国金融労組(KFIU)委員長):非対面金融サービスの拡張による店舗閉鎖の加速化などで発生した雇用縮小、業務負担の増加、金融消費者保護の弱体化等の問題点を挙げ、労働組合の取組みを説明した。
  • 台湾(リン・イーフン 中華郵政労組(CPWU)国際局長:DXの課題を業界別に挙げ、労働組合は、新たなテクノロジーは、より価値の高い生産的で創造的な仕事に集中できる職場環境になることを望んでいると説明した。また建設中のポスタル・スマートロジスティクス・パーク(物流オペレーションセンター)の紹介とその特長を説明した。
  • 香港(チェン・ライハUNI-HKLC議長):デジタル技術が全面に押し出され社会機能が維持することが可能になった反面、課題も多い。限られた資金の中小企業やデジタル技術を持たない労働者など。教育の在り方、技術分野に進出するのはまだ困難な女性など、デジタル技術の関心を高めていく必要性を説明した。

(2)DXに求められる人材育成と組合の役割(雇用の安定、リスキリングなど)

  • 日本(須齋 弥緒 損保労連事務局次長):技術革新が進む現状で、「人」ならではの付加価値を生み出す環境整備(雇用の安定)および「人への投資」の重要性やリスキリングの更なる拡充(人材育成)が重要であるとし、その取組みを報告した。
  • 韓国(キム・オクラン 医療産業労組(FKMTU)教育担当部長):非対面診療を充実させるため、デジタル医療の技術開発を進めており、労働組合として、デジタル技術に対応する人材育成を行っている旨述べた。
  • 台湾(ハミルトン・チェン 公共テレビ労組(PRTSFEU)執行委員:公共テレビ放送の現状を説明し、労働組合としては非デジタル業務をDXの方針に合わせて従業員の教育・研修を行い、働き方改革をする。また人材開発への転換や賃金体制の構築に取組みたいと述べた。

サブテーマ3:「ポストコロナの職場におけるハラスメントと組合の対応」

(1)職場における暴力の実態とILO第190号条約批准に向けた各国の取組みについて

  • 日本(桐田 真弓 全労金書記次長):法律を上回る「禁止」を盛り込んだ「労働金庫業態におけるあらゆるハラスメントの禁止ガイドライン」の策定と取組みを報告した。ILO第190号条約をどう具現化するか、①ハラスメントは人権問題である、②業務に関わる全ての人を対象とする、③全ての場所・ツールを対象とすることを盛り込んだものである旨報告した。
  • 台湾(リー・ハンチー 中華電信労組(CTWU)国際局長):反職場暴力・ハラスメント機構の構築や男女雇用平等法、ジェンダー平等教育法、セクハラ防止法など、CTWUと中華電信の連携した取組みを報告した。
  • 香港(キャロル・チャン 小売商業被服一般労組(RCCIGU)委員長):ILO190号条約について、中国返還前はイギリス政府によりILO条約を批准していたが、現在は中国の一部であり、国連人権報告書によると中国は条約に批准しないと思うと説明した。

(2)ハラスメントや暴力の撲滅に向けた組合の取組み

  • 日本(中島 麻紀子 生保労連中央副執行委員長):「職場におけるジェンダー平等」および「ワーク・ライフ・バランスの実現」を中期取組み方針とし、ハラスメント対策の強化は、双方の取組みの柱として位置付けている。組織としての取組み紹介や、法改正の動きを踏まえたハラスメント防止に向けた対応を強化する必要性がある旨述べた。
  • 日本(佐藤 宏太 UAゼンセン流通部門執行委員):厚生労働省に働きかけた結果、2022年度に厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が完成した。秋田県での事例やUAゼンセンの活動を紹介し、産別を超えた取組みが推進されるよう連合とも連携しながら進めたい旨報告した。
  • 韓国(オ・スジョン 韓国郵政労組(KPWU)委員長):職場内のパワハラやいじめ根絶に向けて、2022年2月、「労使合同パワハラ根絶宣言式」を開催し、毎月11日を相互尊重の日として、パワハラ改善に努力することを説明した。
  • 台湾(パトリシア・フン 公共テレビ労組(PTSFEU)):セクハラ、パワハラの事例をそれぞれ挙げ、前者は『ジェンダー平等委員会』を立ち上げて会議を行い、申立て後2か月で解決するよう対応しており、後者は現状明確なルールがないので今後は策定していきたいと説明した。

閉会では、ハン・シーフェン 台湾金融労組(TFFU)書記長より統括があり、フォーラムのまとめとして共同宣言を採択した 。次回、第10回フォーラムは、2023年、日本で開催する予定。

【司会者】

  • 開会/基調講演:(台湾)ロー・フェジュ 中華郵政労組(CPWU)書記長
  • サブテーマ1:(日本)古賀 初代 印刷労連 副中央書記長
  • サブテーマ2:(台湾)チア・パオリン 中華電信労組(CTWU)委員長
  • サブテーマ3:(韓国)カン・ヨンベ 保険医療労働組合(KHMU)情宣部長
  • 閉会:(台湾)ウー・ウェンフォン 中華郵政労組(CPWU)委員長

投獄されたミャンマーの労働組合員を解放せよ!

2022年10月10日、UNI、IndustriALL、国際食品関連産業労連(IUF)、国際公務労連(PSI)の代表らがジュネーブの国連前に結集し、投獄された労働組合員の解放と、国連によるミャンマーの国民統一政府の承認を要求した。

国際建設林業労連(BWI)、国際運輸労連(ITF)、国際家事労働者連盟(IDWF)を含む世界の労働組合運動は、以下の声明を発表した。

世界の2億人の労働者を代表するグローバルユニオンは、ミャンマーの全ての政治犯、特に2021年のクーデター以降、軍事政権によって不当に投獄されている60人以上の労働組合員の即時釈放を要求する。我々は、投獄された全ての民主化活動家に対するでっち上げの容疑を直ちに取り下げ、刑務所内における健康と安全を強力に保証すること、ならびに、彼らが家族のもとに迅速かつ安全に帰還できるようにすることを要求する。

活動家が収監され続けている状況は、正義の茶番であり、民主主義に対する愚弄である。労働組合の権利は、世界人権宣言ならびに労働における基本的原則および権利に関するILO宣言よって、世界的に認識され、保証されたものである。民主主義を守るためにこうした権利を行使したがゆえに労働者や労働組合員が投獄されることは、決して許されてはならない。人権および労働組合の権利は提案ではなく、差別や弾圧の恐怖を抱くことなく全ての労働者に適用されなければならない、普遍的で不可侵の権利である。

労働組合の権利は、民主主義の環境下においてのみ、発展していくことができ、民主的プロセスと法の支配にコミットする政府の下でのみ、成長し繁栄することができる。したがって、グローバルユニオンは、ミャンマーの国民統一政府(NUG)をミャンマー国民の唯一かつ真の民主的政府として承認するよう、国連総会に求めることを再確認するのである。NUGを承認することにより、我々はミャンマーの労働者の人権と労働組合権を保護し、軍事政権の残忍な独裁と国際社会における偽りのミャンマー代表にきっぱりと終止符を打つことができる。

またグローバルユニオンは、刑務所の内外でミャンマーの民主化活動家に対して蔓延する人権侵害、拷問、殺害を、可能な限り強い言葉で非難する。我々は、国連および全ての関連する国際的な人権機関に対し、この問題に関して強力な対応を取り、これら非道な行為に関して責任を持つ全ての者を裁くよう、強く要請する。

労働組合は、世界中のすべての労働組合員が抑圧や基本的権利の侵害から解放されるまで、決して休んではならない。民主主義は、すべての労働者にとっての権利である。専制政治が敷かれている場合には、いつ、いかなる場所にあっても、労働組合は団結と連帯をもって対応する。


世界の労働組合運動、イラン当局の残虐行為を非難-投獄された全労働組合員の釈放を要求

国際労働組合総連合(ITUC)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)およびGUFsは、イラン当局が自国民に対して繰り返している蛮行を非難し、国際社会からのイラン政権に対するより強力な圧力を求める。

国の厳しい服装規定に従わなかったことで、22歳のマーサ・アミニさんが宗教警察によって殺害された。この事件で国民の怒りが沸騰する中、約100人が殺され、多くの人々が負傷した。

シャラン・バローITUC書記長は、「全ての国際労働組合運動は、イラン専制政治の指導者による悪質な弾圧に立ち向かう勇敢な人々に敬意を表する。この抵抗運動を主導しているのは、身の危険を冒して、宗教的・政治的エリートの本質である女性差別および基本的権利の抑圧に終止符を打とうとする女性や少女たちだ。彼女たちに敬意と連帯の意を表したい」と述べた。

グローバルユニオン評議会(CGU)の議長を務めるスティーブ・コットン国際運輸労連(ITF)書記長は、「イランや世界中で労働組合員が逮捕されている。これは、批判者を黙らせ、国民の怒りは外部によって作られたものだと主張しようとする政権による、切羽詰まった試みだ。イランの労働者と世界中の仲間たちは、真実を理解している。彼らの即時解放を求める」と訴えた。

労働者の権利に関して、世界でも最も悪い状況にあるイランでは、あらゆる部門の労働者が、権利を求める闘いの先頭にたっている。

労働者の基本的権利を主張したがゆえに、多くの労働組合員が服役中であり、イランは2022年のITUC世界労働権利指数において、「労働者の権利が保証されていない」国の1つに入っている。

我々は、イランで投獄されているすべての労働組合員、その他不当に拘束されているすべての人々の釈放を求める。


EUで自営業者の団体交渉に道筋

UNI欧州は、公正な賃金と労働条件を求めて団体交渉を行う自営業者の権利保護に向けた欧州委員会の動きを歓迎する。同委員会は2022年9月29日、EU競争法の適用に関するガイドラインを発表し、自営業者の団体交渉に関する法的障壁を取り払った。

これまでEU競争法の解釈が争われてきたが、EU域内の約2400万人の自営業者の多くが、団体交渉の対象から除外されてきた。その結果、労働力の二重構造が生じ、使用者がより低い条件で自営業者に外注するという状況が誘発されてきた。これによって使用者は、各産業における雇用基準を回避しうるためだ。

今回、ガイドラインで明確化されたことで、真の自営業者が団体交渉を行う基本的権利が保護されることになる。UNI欧州は、各国の加盟組織および欧州労働組合連合(ETUC)とともに、今回の重要な改正を主張してきた。

ドイツのフランク・ヴェネルケver.di委員長は、「欧州委員会のガイドラインによる明確化は、団体交渉の道を開くものだ。労働組合として我々の権限も強化される。EU競争法を根拠に、使用者が交渉を回避できる時代は終わった」と歓迎した。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「これは、人々の尊厳を競争の領域から解放する上で欠かせない一歩だ。働く者の賃金や条件が、競争上の優位性を得るための経費としか見なされなければ、底辺への競争が助長されることになる。強力な団体交渉が解決策となる。働く人々は共に、あらゆる人々のための尊厳ある共通の基準を確保するため、交渉することができる」と述べた。

欧州委員会はこのガイドラインにより、企業の従業員と共に同じ職場で働く自営業者が協定を交渉できること、また自営業者を既存の労働協約に組み込めることを明確に示したことになる。これは、例えば、従業員と自営業者が同じ職場で働くことが一般的となっている視聴覚部門の労働者にとっては、大きな一歩となる。さらにガイドラインは、企業に経済的に依存している自営業者を保護する必要性を認めている。

またUNI欧州は、欧州委員会が、特定の部門、あるいは文化・クリエイティブ産業の労働者など特定のカテゴリーの自営業者の団体交渉を規定する国内法およびEU法に干渉しないとした点についても、評価している。

これは、あらゆるサービス部門における真の自営業者にとって重要な前進であり、ギグエコノミーの労働者が、賃金や労働条件について団体交渉する際の法的根拠を提供するものであるが、他方でUNI欧州は、今後も欧州における偽装自営業の根絶に向けた取組みを強力に進めていく。


広島・長崎への原爆投下から77年目-UNIは原爆犠牲者を追悼し、軍縮の要求を新たに

UNIは、77年前の今週、日本への核攻撃で亡くなった22万5千人の人々を追悼する。 

また、第二次世界大戦中の1945年8月6日に広島、9日に長崎で行われた原爆投下によって、長期にわたる放射線の影響を受け続けた数千人以上の犠牲者に心を寄せる。

アルケ・ベシガーUNI副書記長は、「原爆投下が引き起こした言いようのない恐怖を決して忘れてはならないし、世界で混乱と核の脅威が高まる中、このような非道な行為が二度と起こらぬよう、平和と核軍縮を訴え続けなければならない」と述べた。

UNIは、人権の基本要件である核兵器のない世界の実現を積極的に求めるとともに、核兵器廃絶のための国際キャンペーンに参加している。また、2010年に長崎で開催されたUNI世界大会以来、UNIは長崎市や国際平和運動と強い絆を築いてきた。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「我々はこの厳かな節目の日に、失われた人命を追悼するとともに、我々の地域、そして世界中の安全で民主的な未来のために、核兵器を歴史の灰の山に追放しなければならないのだということを改めて表明する」と語った。


オスロ印刷労組の未来志向戦略

結成150周年を迎えるノルウェーの印刷・グラフィック部門の労働組合は、労働者の力を高め続けるため、未来に目を向けている。ノルウェーで最も歴史あるオスロ印刷労組(Fellesforbundet傘下)における、労働条件の改善に向けた野心的な動きを見ていきたい。

動き出した部門
クリスチャン・ミュレン・セザー・オスロ印刷労組委員長は、「伝統的な印刷部門の労使関係は、確立されたものであり、労働者は組合を通じて良質な労働条件を獲得してきた。だが、時代の変化にあわせて、組合も変わらなければならない。印刷部門の進化に伴い、大規模な印刷機ではなく、オフィスでコンピュータを使って働く印刷労働者が生まれた。従来の印刷業は今も中核的なサービスであるが、今日の印刷産業には、こうした新しい労働者の働くデザイン事務所も含まれる。我々は組合の豊富な経験を生かし、こうした進化の途上にある部門において、良好な労働条件を確立しようとしている」と語る。

デザイン事務所や広告代理店で働く人々の仕事は人々の目に触れやすいが、労働条件はそうではない。この成長中のグラフィックデザイン部門の労働者は、従来の印刷部門の労働者と同じレベルでは組織化されておらず、彼らの労働条件は、決して恵まれているとは言い難い。

未払いの残業代や、管理しきれない仕事量、労働時間が予測できない等の問題が頻繁に生じている。こうした状況に対応すべく、労働者は組合を通じて、こうした部門における組織化支援を強化していくことを決めた。

公共調達を活用し、最初の突破口を開く
ノルウェーでは、多くの労働者が団体交渉によって保護されているが、デザイン事務所や広告代理店で働く多くの人々は、これにあてはまらない。この状況を変えるには、このような代理店で最初の団体協約を締結し、組合にできることを示す必要があった。

こうした中、オスロを拠点にするデザイン会社BØKの労働者は、積極的なアプローチを取った。職場の一体感を醸成するため、組合の職場委員が同僚同士の交流を促した。従業員の中で共通の懸念が確認され、その結果、新たな組合員の加入にも繋がった。

最初の団体協約を締結するため、組合はノルウェーの公共調達法を利用する戦略を立てた。この法律は、公共機関が公共契約を発注する際に、労働者と団体協約を結んでいる企業を優先させることを義務づけている。ほとんどのグラフィックデザイン会社が対象外であるため、BØKは、この部門の重要な顧客基盤である公共機関のプロジェクトにアクセスする上で、大きな足掛かりを獲得することになる。

組合は、団体協約を締結することで公共契約の獲得につながるという点を強調し、経営陣に働きかけを行った。会社は公共契約を取り付けられるだけでなく、団体協約は適正な労働条件の証明にもなるので、他の社会的責任ある顧客向けのプロジェクトに応募する際にも活用できる。

会社トップと接触する機会において、こうした主張は効果的であり、また肯定的な反応を得ることができた。組織化の取組みを開始して10か月後、BØKの労働者は、2022年2月に使用者と団体協約を締結した。

部門全体の戦略
カーステン・オストビー・ホーコンセン・オスロ印刷労組副委員長は、「BØKでの最初の躍進が方向性を打ち出したが、ここで終わりではない。部門全体でディーセント・ワークを確立することが我々の狙いであり、そのためには、団体交渉を例外的なものではなく、原則にしていきたい」と意欲を語った。

劣悪な労働条件は、印刷デザイン業界でますます一般的になっている。 そこで組合の代表者らは、この部門で働く自身の経験をもとに、労働やデザインの専門サイトに意見を掲載したのである。 こうした的を絞ったメディアへの働きかけが功を奏し、労働者は組織化を自身の解決策とみなすようになった。

デザイン事務所は中小企業の数が多く、大企業の数は限られている。BØKの経験は前例を作るものとなったが、企業ごとの組織化は、効果が落ちる可能性があり、また膨大なリソースも必要となる。団体協約を早期に締結することの利点を享受できるうちに、一部の大企業に働きかけていくことが、流れを変える鍵になるだろう。

組合のもう一つの戦略は、学生に変化の種を蒔くことだ。組合は、大学や職業訓練校、中等教育機関を回り、組織化が職場の問題に取組むための解決策であることを教えている。学生たちに、自身の将来の労働条件を改善するためのツールを提供しているのである。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「150年の歴史を持ちながら、オスロ印刷労組は今なお健在であり、戦略的思考は組合運動の宝だ。我々は共に、蓄積された財産を活用し、現在も、そして次の150年も、労働者の力を構築していこう」と述べた。


韓国の労働組合、外国人投資法の改正を要求

韓国の労働組合が、不均衡で外国企業に有利な投資環境を是正するため、現行の外国人投資法の改正を求めている。

韓国の主要なナショナルセンターである韓国労働組合総連盟(FKTU)と韓国全国民主労働組合総連盟(KCTU)、そしてUNI韓国加盟組織連絡協議会(UNI-KLC)が、7月12日に国会図書館セミナールームで開催された、外国企業の労使関係に関する第3回合同フォーラムで、法改正の要求を表明した。

2019年末の政府統計によると、韓国における外資系企業は14,341社、その総売上高は韓国経済の13.2%にまで上昇したが、雇用および研究開発(R&D)における貢献は、それぞれ6.0%と5.2%と停滞している。

組合によると、1999年の金融危機以降、地方自治体は外国直接投資(FDI)を誘致するため、特別待遇や特権を与えてきた。しかし、この間、無責任な事業撤退、技術盗用、大量解雇を伴う一方的なリストラ計画や、組合活動に対する弾圧など、多くの負の問題が生じてきた。これらの問題は、製造業、金融業、小売業といった部門を横断して生じている。

20年近く負担を強いられてきた外資系企業の労働者は、国内の最低労働基準が遵守されるよう、外資法の改正を一致して求めるとともに、政府が外資系企業に対して新たな立場をとることも要求している。

フォーラムでは主に、地方政府が提供する投資便益や条件を規制するために法改正すること、使用者が団体交渉の義務を意図的に回避したり遅らせたりした場合の監督と罰則を強化すること、未公開株式投資ファンドの買収に対する規制を強化すること、海外送金の自由を保証しつつ、外国投資の流出に対する規制を強化すること、などの提言がなされた。

この分野の専門家であるホン・ソクマン氏は、フォーラムの中で、現在の枠組みにおいては、外国人投資家が不当な労働慣行を行っても、法的責任を容易に逃れることができるため、労働者の権利が損なわれてしまうと指摘した。そしてこの事は、外国資本に支えられた未公開株式投資ファンドによる買収や売却が容易にできてしまう状況によって、促進されているのである。

韓国事務金融労連(KFCLU)傘下キャピタル労組のキム・サンス氏は、「我々は長年、組合弾圧、技術盗難、やみくもな資産売却、本社への高額の移転価格を見てきた。だが政府は、労働市場の規制緩和は、韓国への外国投資水準を維持するために必要であると、同じ理屈を繰り返している」と述べた。

外資系企業の労働組合を率いるファン・ボクヨンKFCLU副委員長は、「法改正には時間がかかる。すべての外資系企業労組と連帯していくため、コミュニケーションを拡大する必要がある」と付け加えた。


UNI Apro、スリランカにおける平和的デモ参加者への攻撃を非難

UNI Aproは、コロンボの大統領公邸付近の公式なデモ宣言地域で、2022年7月22日に平和的なデモ参加者が攻撃されたことを、強く非難する。

UNI Aproは、これまで100日間にわたって表現の自由という正当な権利を行使し、平和的かつ非暴力的な方法で抗議の意思を示し、市民の生きる権利のための基本的ニーズを提供しない政府を非難してきたスリランカの人々に連帯し、敬意を表する。

我々は、政府治安部隊による非武装の市民に対する圧倒的な武力の行使を全面的に非難する。

現地からの報告によると、今回の残忍な攻撃では特に、7月22日のデモを取材していたメディア関係者、ジャーナリスト、外国メディアの記者、ソーシャルメディアの活動家が標的となった。

我々は、新たに就任したラニル・ウィクラマシンハ大統領率いる政府に対し、武装治安部隊による罪のない市民に対するあらゆる暴力を直ちに停止するよう求める。

また政府に対し、スリランカで深刻な苦境にある国民の声に応えるため、あらゆる平和的な機会を早急に模索するよう、要請する。


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