パキスタンの銀行労組、非正規化の流れを阻止

2022年12月2日、パキスタン国家労使関係委員会(NIRC)は、農民への農業信用・融資サービスを専門とする公共部門最大の銀行であるザライ・タラキアティ銀行(ZTBL、旧農業開発銀行)で働く契約労働者を正社員として認めるべきとする判決を下し、ZTBL労組は大きな勝利を収めた。

UNI加盟組織のPBIFEF傘下であるZTBL労組は、8月初めにNIRCに対して申立てを行った。同労組は、10年以上にわたってZTBLで運転手として働いてきた3名の当該労働者に代わり、銀行に正規雇用を要請したが、繰り返し拒否されてきた。

ZTBL経営側の主張では、3名の運転手はKSSLを通じて契約・配備されており、直接の雇用関係は存在しないというものであった。他方のZTBL労組は、KSSLはZTBLによって完全 に所有・管理されており、ZTBLに労働者を派遣しているだけである実態から、ドライバーは正規雇用の社員として扱われるべきだと主張した。

NIRCは11月23日にこの申立てを審理し、 パキスタンの高等裁判所における同様の訴訟の判例に裏打ちされた主張を展開した労組側が、勝利した。

マリ・ムハマド・イスマイルZTBL労組書記長は、「我々が支援する3人の申立人は、KSSLを通じて派遣された48人の労働者グループの一部だ。今回の労使委員会の決定は、そうした他の労働者にも適用されるため、非常に重要である。彼らは今、正規の従業員として認められることを期待できるのであり、もはや銀行は、彼らの法定の福利厚生を否定することはできない」と述べた。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、ZBTL労組の率先した取組みを称賛し、「銀行のような規制の厳しい業界で、非典型労働者の権利のために闘うZTBL労組の姿勢に敬意を表したい。パキスタンの労働組合は、不当な労働慣行によって正規部門が弱体化するのを防ぐため、結集していく必要がある。従業員の側に立ってディーセントワークの確保を支えるPBIFEFとZTBL労組を祝福したい」とコメントした。

ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長も、「2014年に金融労連として再出発したPBIFEFは、この事案においてZTBL労組を支える上で、非常に重要な役割を担った。両組織を祝福するとともに、PBIFEFとその構成組織と協力し、非典型的な労働条件に苦しむ労働者の組織化を強化し、彼らが自身の権利のために交渉できるようにしていきたい」と述べた。


自動車販売員のためにギアを入れよう

UNI世界商業部会が委託した新しい調査は、自動車小売部門の動向の変化と、メーカーによる一般消費者への直接販売の増加によって、自動車販売員が直面している課題を浮き彫りにした。この調査結果は、自動車販売員の公正な移行を確保するためには、労働組合による代表と団体交渉がこれまで以上に重要であることを示している。

「自動車販売業界の変革」と題された調査論文の主な調査結果は以下の通り:
●大規模な労働力:自動車小売業には大規模な労働力が存在し、現在、自動車産業全体の雇用に占める割合は高まっている。例えば、日本やEUでは、自動車販売・整備に従事する労働者数は、自動車製造業の従業員数を上回っている。日本では、89万人が製造業に従事しているのに対し、100万人が自動車販売・サービス業に従事しており、そのうち57万1千人が小売業で直接雇用されている。

●COVID-19パンデミックの影響:2020年の軽自動車の世界販売台数は、2019年比で13.4%減少し、世界レベルで完全な回復が予測されるのは、2024年とされている。また、米国、西欧・中欧、日本など、多くの北半球の先進国の市場は、2020年代半ばになってもパンデミック前と比較して販売台数が落ち込む一方、中国、インド、ASEAN諸国では販売台数が安定的に増加し、世界の回復をリードすると予測される。

●電気自動車への移行:2021年にはバッテリー式電気自動車が480万台、プラグインハイブリッド車が180万台となり、フル電動化が予想をはるかに上回るスピードで進行している。 2028年には新車の3台に1台が、準電気自動車または完全な電気自動車になると予想される。

●整備・中古車市場:電気自動車は部品点数が少ないため、修理などのアフターサービスが少なくて済む。自動車所有者がアフターセールスにおける部品にかける支出は40%減少すると推定され、関連する整備・小売サービスに悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、中古車市場の大幅な成長により、短中期的には電気自動車への移行の悪影響が補われると見込まれる。

●オンライン販売のさらなる拡大:自動車メーカーは、2030年までに(試乗車を除く)新車購入の約80%がオンラインで完了すると推定している。また、中古車市場におけるオンライン販売のシェアは、米国で18%、欧州で10%近くに達すると見込まれる。

●新たな自動車販売モデル: テスラは、サードパーティの自動車販売業者を持たない直販網をベースに、実店舗での販売網をオンライン販売に大きくシフトさせた、新しい自動車販売モデルを開拓している。フォルクスワーゲン、アウディ、メルセデス、BMW、ステランティス、トヨタ、ボルボ、フォードなど他の多くの大手企業も、サードパーティの独立系自動車販売業者を自社の販売網に置き換えることで、同様の戦略をとっている。ある試算によると、2030年までに新車の40%がメーカーによる直販になるという。

●雇用総数は減るが、直接雇用は増える:この新モデルにより、自動車小売業全体の雇用は3〜7%減少し、雇用面で大きな転換が生じると見込まれる。 直販モデルの拡大により、自動車小売業の雇用に占める自動車メーカーの割合は10%から25%に増加が予想される。自動車小売業における雇用総数の減少よりも、自動車販売業者と自動車メーカー間の雇用の大幅な入れ替えの方が大きな問題となる可能性がある。

●M&A、そしてメガ自動車販売業者の登場:中小企業にとって環境が厳しくなっており、M&Aが加速していく可能性が高い。自動車メーカーからの圧力が強まり、従来の自動車販売店が生き残りをかけてより良い戦略を打ち出さなければならない中で、独立系の自動車販売業者間の合併による、メガ自動車販売業者の出現が目前に迫ってきている。

●スキルセットの変化:この部門の変革は、自動車小売業の労働者の職務内容や必要なスキルセットも再定義し、自動車販売員の公正な移行を確保するため、労働組合による代表と団体交渉がこれまで以上に重要になるだろう。

UNI世界商業部会自動車販売労組ネットワークは、UNIの日本加盟組織である自動車総連の提案を受け、2年前に設立された。2020年と2022年にオンライン会議を開催し、当部門の動向について議論し、国際的な意見交換と連帯を通じ、自動車販売に携わる労働者の組合の力を高めるため、さらなる機会を探ってきた。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「電気自動車への移行やオンライン販売による自動車部門の変革は、サプライチェーンのあらゆる段階で、労働者に影響を及ぼしている。今こそ自動車販売員のためにギアを上げ、こうした労働者にとって公正な移行を現実のものとするため、より強力なグローバル労働組合運動を構築する時だ」と締めくくった。


バングラデシュで実績ある国際アコード、パキスタンに拡大

過去9年間にわたり、バングラデシュで縫製に携わる数百万人の労働者の雇用をより安全なものにしてきた国際アコードが今回、パキスタンにも拡大されることになった。

画期的なバングラデシュ・アコードを主導してきたUNIとインダストリオールは、繊維・衣料産業における安全衛生のための国際アコードを、パキスタンへと拡大することを発表した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「バングラデシュで確立された成功モデルを他の国にも拡大することは、我々の長年の目標であった。今回のパキスタン・アコードで、我々は安全性を向上させて労働者の命を救い、また衣料品部門から家庭用繊維製品、アクセサリーへと、範囲を拡大することができる。安全性の課題に取組もうとするパキスタンから製品を調達している国際的な小売業者やブランドは、このアコードに署名してサプライチェーンの労働者に責任を持つべきだ」と述べた。

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は、「パキスタンの縫製労働者は、職場でより安全な未来を手にすることができる。このプログラムが実施されれば、予防可能な死亡や事故は急速に減少するだろう。労働者は労働安全衛生に関するトレーニングを受けて力をつけ、また願わくは労働組合に加入し、自らの権利のために集団で闘うことの利点を感じるようになるだろう」と語った。

繊維・衣料品産業の安全衛生に関する国際アコードの署名企業は、企業の衣料品・繊維サプライヤーを対象としたパキスタンの包括的な職場安全衛生プログラムを構築している。繊維・衣料品産業の安全衛生に関するパキスタンの新しいアコードは、UNIとインダストリオールのGUF、アパレル企業および小売業者との間で、2023年からの暫定3年間、法的拘束力のある協定として締結された。

バングラデシュで広範に安全性が向上した成果に基づき、パキスタン・アコードには国際アコードの以下の主要な特徴がすべて含まれている:火災、電気系統、構造面、またボイラーの危険に対応するための独立した安全検査、是正の監視と支援、安全委員会の訓練と労働者の安全意識向上プログラム、独立した苦情処理メカニズム、幅広い透明性への取組み、産業における安全衛生の風土を強化するための現地での能力開発など。

ジョリス・オルデンツィール国際アコード財団事務局長は、「国際アコードの署名企業が、それぞれの衣料・繊維サプライヤーを対象とした職場安全プログラムを確立することに合意し、嬉しく思う。我々はパキスタンの関係者と緊密に協力し、我々の共同の取組みが業界と労働者にとって有益なものとなるよう尽力していく」と述べた。

バングラデシュでの実績を踏まえ、アコード署名企業は少なくとも他もう一か国の繊維・衣料生産地へ、労働安全衛生プログラムを拡大するよう求められている。署名企業の調査、広範な研究、現地関係者との協議を通じ、アコー ド事務局は主要素に基づき拡大の実現可能性を評価し、パキスタンが優先国として浮上した。同国がアコードブランドの衣料品や繊維製品の調達先として重要であることも、その理由の一つだ。

国際アコードは、パキスタンで連邦省庁や州政府、業界団体、サプライヤー、労働組合、市民社会組織と広範囲に関わってきた。パキスタン・アコードのプログラムは、これら主要関係者と緊密に協力し、国内に運営機関を設立して段階的に実施される予定だ。

このプログラムは、同国の年間200億ドル規模の衣料品および繊維製品の輸出の大部分を製造する、シンド州とパンジャブ州の500以上の工場(アコード署名企業100社以上に製品を提供)を、段階的にカバーしていくことを目指す。

パキスタンから製品を調達している国際アコードの全ての署名ブランド企業は、パキスタン・アコードへの署名も見込まれている。現在、国際アコードに参加しておらず、パキスタンから製品を調達している他のブランド企業も、この画期的な安全衛生に関する協定への参加が呼びかけられている。

協定の全文は、こちらからダウンロード。

過去の参考記事:

「縫製工場の安全性- パキスタンの優先課題」

「ラナ・プラザ事故から9年目、UNIがブランド企業各社に合意書への署名を要請」

70社以上のブランドが署名する衣料品産業労働者の安全衛生に関する国際協定が発効


UNI世界商業部会、野心的な行動計画の実現に向けてリーダーを選出

「立ち上がれ!商業労働者、今こそグローバルな運動を」をテーマとして米国・アトランタで開催されたUNI世界商業部会大会は、最終日の12月9日、組合の力を高める大胆で新しい行動計画を実行する、今後4年間のリーダーを選出した。

約30か国から結集したUNI世界商業部会の数百名の代議員は、スチュワート・アッペルバウム小売・卸売・百貨店労組(RWDSU)委員長を、UNI世界商業部会議長に再選した。

2017年からの前任期間中にアッペルバウム議長は、UNIのアマゾン・グローバル労組アライアンスを推進する等、この分野におけるUNI世界商業部会の地位強化に貢献してきた。

全会一致の採決後、アッペルバウム議長は、「我々の前に立ちはだかっている課題は非常に大きいが、我々は何をすべきかを知っている。我々には行動計画があり、この機会を生かすべきだ」と述べ、「パンデミックにより、使用者や仕事に対する労働者の見方は変わった。今、労働者はもっと多くのことを要求しているのであり、尊厳と敬意をもって扱われ、公正な賃金を受け、職場の安全が確保されなければならない。それは、組合を通じてしか得られないものだ。我々は、変化を起こそうとしている労働者を支援するため、できる限りのことをしなければならない。団結して共にこれらの課題に立ち向かっていこう」と決意を語った。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、議長に賛意を示し、「我々の大会は、この時代の労働組合運動となるためにあり、そのためには、時代にふさわしいリーダーシップが必要だ。スチュワート議長の経験とビジョンは、いま我々が必要としているものであり、今後4年間、商業労働者のためのより強力な労働運動に必要だ」と述べた。

各地域を代表するUNI世界商業部会副議長には、永島智子(日本、UAゼンセン)、ダニエル・ロヴェイラ(アルゼンチン、FAECYS)、リンダ・パルメツホーファー(スウェーデン、HANDELS)の各氏が選出された。アフリカ選出の副議長は後日、決定予定。


責任投資原則:投資家と多国籍企業には労働者の権利を尊重する責任と機会がある

2022年11月下旬、責任投資に関する世界有数の独立機関「PRI」(Principles for Responsible Investment=責任投資原則)の年次総会が、スペイン・バルセロナで開催された。この中で、リサ・ネイザンUNIシニア投資家活動アドバイザーは、人権と財務の両面から、株式を保有する企業において労働者の権利を強化するよう、投資家に訴えた。

パネルディスカッション『人権と社会問題に対する投資家行動の強化』の中で、同氏は、リスクの特定、防止、軽減のために、国連のビジネスと人権に関する指導原則を活用すること、人権デューデリジェンスに対する投資家の支持を得ること、人権と社会問題に体系的に取組むことなどの主要トピックを取り上げた。また、労働者の権利侵害は9年ぶりの高水準を示して世界的に危機的状況にあり、結社の自由と団体交渉の確保に向けた投資家の行動が緊急に求められていると主張した。また、労働者の権利侵害は、労働条件を低下させるだけでなく、アマゾンのような企業においては規制、業務、風評上のリスクをも生じさせる。組織率の低下は、不平等や政治的・経済的不安定の増大と関連しており、経済全体にシステミックなリスクをもたらしている。

さらに同氏は、「労働基本権に関して我々が直面している危機は、特に重大だ。結社の自由と団体交渉は、力を与える権利。労働者が組合に加入することでエンパワーされれば、安全衛生やジェンダー、人種間の平等など、他の人権を守ることができる」と述べ、「投資家は自らの責任において、労働者が自らの人権を守れるよう環境を整えることができ、その結果、人権など多くの重大なリスクを軽減することができる。 これを実現するためには、投資家や企業が、労働者や労働組合と連携して取組むことが不可欠である」と締めくくった。

今回のPRI年次総会は、労働者資本委員会(CWC)が、投資家と共に労働者の権利を向上させるためのグローバルキャンペーンを開始した数日後に開催された。CWCは、キャンペーンのキックオフの一環として、投資家向けガイド『繁栄の共有:結社の自由と団体交渉のための投資家の役割』を発表した。このガイドは、人権に関する投資家責任を概説し、労働基本権を尊重することが長期的に財務上の利益にかなうと主張するとともに、投資家の実践的な行動のロードマップを提供している。

UNIは、ネットワーク事務局のメンバーおよび報告書の共著者として、CWCの取組みに参加している。


欧州委員会に対し、議員160名が公共調達指令の是正を要求

労働者の待遇について底辺への競争を助長する公的資金の流れを阻止しようとの機運が高まっている。5つの異なる政治グループからなる160名の欧州議会議員が、ディーセントワークを実践する使用者とだけ公共調達の契約が締結されるようにするよう、求めている。UNI欧州は、欧州委員会に公開書簡を送り、この呼びかけを伝え、欧州全体の労働者を失望させている公共調達指令の是正を要求している。

公的機関は、 民間企業が提供する商品やサービスのために、毎年2兆ユーロ以上を支出している。これはEUのGDPの14%に相当する。このうち半数の契約は、価格だけを基準に締結されており、これによって底辺への競争が煽られ、企業が労働者の賃金や条件について互いに切り下げ、職場の民主主義を抑圧する誘因となっている。

欧州中の労働組合は、EUの法律が団体交渉に与える壊滅的な影響に警鐘を鳴らしている。確立された交渉文化と適正な労働条件を持つ多くの企業が、公契約への参入を阻まれている。劣悪な賃金、長時間労働、組合忌避をビジネスモデルとしている企業を相手に、競争できないのだ。

欧州議会議員の広範な連合は、シンプルで効果的な解決策を求め、労働者と労働組合を支援している。価格を最優先とするのではなく、すべての公契約は労働者と団体協約を結んでいる企業に委ねなければならない。そのためには、EUの公共調達指令は是正が必要である。

労働組合や議員だけでなく、専門家もこの指令の変更を求めている。最近、欧州議会で開催された公共調達に関する専門家の聴聞会では、「現行の法律は破綻しており、是正すべき」との明確なメッセージが示された。

公的資金がディーセントワークを確保する企業に流れるようにするキャンペーンを支援したい方は、 こちらから。


UNI欧州ケア部会:介護部門における暴力とハラスメントに取組む

2022年11月下旬、ポーランド・ワルシャワでUNI欧州ケア部会大会が開催され、介護施設や在宅介護の労働者が直面している暴力やハラスメントへの対処が主な議題の一つとして議論された。

介護労働者に対する暴力やハラスメントの増加の要因のひとつに、労働力不足と離職率の高さがある。これは UNI欧州ケア部会の「RETAINプロジェクト」でも明らかになっている。 人手不足はサービス提供の低下につながり、最終的には介護利用者と介護労働者の双方にストレスを与えることになる。そのため、「RETAINプロジェクト」では、UNIケア部会の加盟組織が各国政府にILO第190号条約を批准するよう働きかけることを、提案してきた。

介護労働者の95%が女性であり、その多くが移民や有色人種であるため、組合は労働者の問題に取組む具体的な措置を策定する必要がある。そのため、UNI欧州ケア部会は、EUが資金提供するプロジェクト (VS/2021/0041)の一環として、UNI機会均等局と連携して今大会に臨んだ。

大会の中でアメル・ジェメイルUNI欧州機会均等部長は、EU加盟国全体でのILO第190号条約の批准に向けたUNI欧州のキャンペーンと、EUレベルで指針を策定する必要性について、説明した。

討議の中で、ポーランドの介護施設職員は、施設利用者の間でアルコール依存症が蔓延していることに触れ、酒に酔うと、職員に唾を吐きかけ、侮辱し、身体的に攻撃することさえあると言及した。また、ポーランドのケア部会加盟組織OPZZ-KPのバーバラ・ドール氏は、虐待は身体的・心理的なものであると述べた。

また、欧州各地から集まったケア部会の代表者は、在宅介護労働者が利用者宅でどのような暴力やハラスメントにさらされ、何の保護も受けられないまま放置されているかについて議論し、ある参加者は、移住してきた住み込みの介護士が、夜中に利用者が部屋に入ってくるので、モップでドアを塞がなければならなかった状況を紹介した。

ベルギーのUNIケア部会加盟組織であるSETCA-BBTKは、使用者団体と共同で、介護部門における暴力とハラスメントのモニタリングに特化したICOBAという組織を立ち上げた。SETCA-BTKは、UNIケア部会が使用者、高齢者団体、障がい者団体、その他の利用者団体と協力し、利用者宅での暴力やハラスメントに対処する指針を策定する必要性について強調する動議を提出し、採択された。

エイドリアン・ドゥルチUNI世界ケア部会担当局長は「近年、フェミニスト運動と労働組合が結びつき、女性や移民労働者の暮らしをいかに変えてきたか、我々は見てきた。だが依然として、欧州の数百万人の在宅介護労働者は、労働者として十分な保護を得ていない。UNIケア部会はこの状況を変えるべく、組合の力を使って、介護施設や在宅介護の労働者が恐怖におびえながら働く必要がないよう尽力していく」と強調した。


インドのUNI加盟組織AISBISF、75周年を迎える

16万人の組合員を擁するインド最大のUNI加盟組織であるインドステート銀行従業員労働組合(AISBISF)は、2022年11月26日、歴史あるコルカタで75周年記念式典を開催した。

記念式典は、インド各地から集まった5,000人近い組合員による活気あふれるパレードで開始した。一行が会場の屋内競技場までの道のりを行進し、ダンスを披露した後、式典はサンジーブ・バンドリッシュASIBISF書記長とアルン・バゴリワル同委員長が組合旗を掲げて最高潮に達した。クリスティ・ホフマンUNI書記長とラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長も、この祝賀行事に出席した。

ホフマンUNI書記長は、70年以上にわたって組合員や地域社会に貢献してきたAISBISFへの祝辞を述べるとともに、インドステート銀行(SBI)の経営陣と生産的な労使関係を維持してきた組合の活動を称賛し、この良好な労使関係によって組合員の労働条件を具体的に改善する団体協約が可能になったと述べた。

また同書記長は、銀行業界はEバンキングやデジタル・バンキングの出現によって新たな競争圧力に直面しており、この業界で働く多くの労働者を脅かしていると指摘する中で、国有公共銀行を保護するAISBISFのキャンペーンを支援することを約束した。さらに、「AISBISFのような強力な組合は、労働運動の懸念を表明する上で主導的な役割を果たすべき」として、来年G20がインドで開催される際には、組合が強力な役割を果たすよう激励すると同時に、「UNIやITUCが来年のG20期間中にL20会議を開催する際には、ぜひご参加いただきたい」と語った。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、AISBISFの功績を称え、「AISBISFは、UNIの貴重な加盟組織。インドの新興産業における労働組合の結成を促進する取組みの中で、AISBISFから頂いた支援に大変感謝している。我々が力を合わせれば、この国の不安定労働を減らすことができる」と述べた。


スウェーデンの商業労働者は、持続可能な商業部門を求めている

スウェーデンの労働組合Handelsが発表した新しい報告書によると、商業労働者は、商業部門が環境に与える悪影響を軽減するよう使用者に働きかけ、良好な労働条件を生み出す持続可能な社会に向けた公正な移行を望んでいることが明らかになった。

『労働組合の課題としての環境・気候』と題されたこの報告書は、スウェーデンの商業労組であるHandelsが、環境・気候問題への取組みを定めた大会決議を受け、2020年から2022年にかけて行った4種類の調査・報告書をまとめたものである。Handelsの組合員に対して実施した調査に照らし、気候問題に対する労働者の見解を伝えている。

●労働者は環境・気候問題に関心を持っているー回答者の88%は、環境・気候問題に十分または部分的に関心を持っているとした。
●労働者は商業の影響を懸念しているー回答者の80%が、商業部門が環境や気候に与える悪影響を懸念していると述べた。
●アマゾンは重要な関心事であるー72%の労働者が、2020年のスウェーデンへのアマゾン進出により、労働環境と環境の持続可能性が損なわれている可能性があると回答している。
●労働者は、商業部門が環境への影響を軽減することを望んでいるー調査した労働者のうち、「商業は環境と気候への影響を減らす必要がある」点に同意した労働者が71%、ある程度同意した労働者は20%となった。
●気候正義、労働条件の改善ー労働者は変化を求める一方、64%の労働者は、導入される環境対策は、良好な労働条件や職場環境と両立するものであるべきだと強調している。
●気候正義と労働者の権利は、トレードオフの関係であってはならないー労働者の約80%が、 環境や気候に関連する議論によって 、労働条件や労働者の権利を悪化させる可能性のある行動が見えなくされる可能性がある点を強調した。
●労働者が適切に訓練されていないー職場の研修やスキル開発の取組みに、環境・気候問題が含まれていると回答したのは、回答者のうち、わずか24%である。
●労働者は、会社に影響力を及ぼしたいと考えているー10 人中 9 人の労働者が、勤務する会社における環境・気候問題に対して影響力を高めることに関心を示している。労働者が影響力を行使したいと考える分野では、「スキル開発の強化」、「環境改善と良好な労働条件の組み合わせ」、「環境にやさしい職場」が上位に挙げられた。
●公正な移行を中核とすべきであるー労働者の約95%がHandelsに対し、公正な移行に重点的に取組むことを求めている。労働者は組合に対し、良好な労働条件、良好な労働環境、労働者の適切なスキル開発と両立する気候対策の促進を期待している。労働者の中心的な要求は、「誰もが持続可能な消費をできる公正な移行」である。

報告書は、労働組合が気候変動の問題に関与しなければ、気候問題を市場の勢力などに委ねることになり、労働者はより大きな代償を支払うことになるという点を強調している。また、労働組合が環境問題においてどのような変化をもたらしうるかを詳細に分析し、公正な移行を確保するための国際協力とグローバル枠組み協定の重要性も強調している。 報告では、商業部門が環境に与える悪影響を最小限にするための40以上の対策と行動を提示し、労働組合運動が連携して気候危機がもたらす課題に取組んでいくことを呼びかけている。


第21回UNI-LCJユース英語セミナーを開催

UNI-LCJは、「2019~2022年度UNI-LCJアクションプラン」に掲げた「国際労働運動に参加する青年・女性メンバーを更に増やす」という目標に基づき、UNI-LCJユース英語セミナーを継続開催してきた。2006年から過去20回に渡り、合宿型の英語セミナーを開催し、のべ600人以上が参加してきた。2020年はコロナ禍により実施を見送り、2021年はオンライン開催となった。今年は当初、対面でのセミナー開催を検討していたが、企画段階でコロナ収束が予測できなかったため、前年同様、引き続きオンラインにて半日の開催とした。

参加者・講師等

  • 5組織(情報労連、UAゼンセン、自動車総連、大日本印刷労組、JP労組)から9人(男性5人、女性4人)
  • UNI講師:フィリピンよりミシェル・ベリーノUNI Apro青年委員会担当部長/メディア部会担当部長、インドよりキマヤ・ウキタブUNI Apro青年委員会副議長(バローダ銀行労組)、インドネシアより、ガディス・レズマナUNI Apro青年委員(ASPEK)
  • UNI-LCJ事務局3人 ※事務局の特別アシスタントとして、過去にも同セミナー講師を務めたトム・シューマッハ氏が参加。

プログラム

冒頭、石川議長より動画で激励の挨拶を受けた。続いて、全参加者が2グループに分かれ、自己紹介を行うとともに、今回の目標を語り、セミナー中のニックネームとグループ目標を決めた。

続いて、3人のリソースパーソンが行ったプレゼンテーションについて、グループに分かれてディスカッションの時間を持った。その後、グループの代表者が全体セッションで自分のグループで出た意見について報告した。

・ミシェル・ベリーノUNI Apro青年委員会担当部長は、UNIやUNI Aproの取組み、青年委員会による組織化やスキル開発などの取組み、フィリピン加盟協の社会運動組合主義について説明した。

・ガディス・レズマナUNI Apro青年委員は、自身の所属するASPEKの組織構成や青年活動、慈善活動などについて報告した。またインドネシアの育児休暇や、青年層における組合の認識など、課題についても指摘した。

・キマヤ・ウキダブUNI Apro青年委員会副議長は、インドの多様性を言語や宗教、民族等の点で説明するとともに、インドの全人口の66%が35歳以下の青年層であると強調した。その後、バローダ銀行従業員労連による青年層の組織化の取組みや研修活動などについて紹介した。  

グループワークでは、「政治活動など重たいイメージがあり、青年の間でポジティブな印象はない」との意見が出る一方で、「若い人にもっと政治に興味を持ってもらうため、新しい形の活動も必要」等の意見が出され、また「インドやインドネシアの育児休暇は父親も取得できるのか?」等の質問が出るなど、参加者は英語に苦労しつつも、積極的に自分の意見や気持ちを伝えようと挑戦する姿が見られた。最後にUNI講師から総括を受け、4時間英語漬けというハードなセミナーを終了した。


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