3月 2025のお知らせ

クリスティUNI書記長、ラジェンドラUNI Apro地域書記長の記念講演 ~第26回 UNI-LCJ年次総会~

クリスティUNI書記長とラジェンドラUNI Apro地域書記長

★講演1:「生成AIがもたらす労働の未来」 クリスティ・ホフマン UNI書記長

現在、世界は激動の時を迎えており、米国のトランプ政権は政府機構を解体し、国際機関からの脱退を進めています。その影響は世界中に及び、AIを含む技術革新にも大きな影響を与えている。

特に、AIの職場への導入については、労働組合の関与が不可欠だ。その理由は、①最良の結果を得るため、②労働者への悪影響(解雇など)に対応するため、③生産性向上の利益を労働者と共有するためである。しかし、使用者側は「テクノロジーについて交渉するのは非現実的」として反対しているが、それでもフランスの70以上の企業が社会対話に合意するなど、前向きな動きもある。

AI技術の中でも特に影響が大きいのはアルゴリズム管理と生成AIだ。アルゴリズム管理は、監視や労働者への圧力に利用され、Amazonの倉庫やコールセンターなどで広く導入されている。一方、Chat GPTなどの生成AIは、文章作成やデータ分析などを自動化し、多くの業務の一部を代替する可能性がある。IMFの予測によると、全雇用の40~80%が何らかの形で生成AIの影響を受ける、特に事務職やバックオフィス業務がリスクが高いとされており、コールセンターやプログラマーも影響を受けており、今後、経済全体への普及が加速する可能性がある。

労働組合は、AI導入に関する交渉を進めるべきだ。既にいくつかの成功例もある。例えば、米国の脚本家組合はAIの使用を制限する協約を勝ち取り、オーストラリアやドイツの労働組合もAIに関する協議の枠組みを確立した。これにより、AIが労働者に与える影響を最小限に抑えつつ、技術の利点を生かす道が開かれると期待している。しかし、多くの国ではまだAIに関する労働規制が整っていない現状もある。そのため、労働組合の活動を奨励し、雇用主が技術導入の際に労働者と協議することを義務化するなどの政策が求められている。労働者のスキル向上を支援し、新たな仕事を創出するためのインセンティブも必要だ。

テクノロジーの発展は不可避ですが、それが労働者にとって公平で持続可能な形で進められるよう、労働組合は交渉の場に立ち、積極的に関与することが重要である。UNIは今後もこの課題に取り組み、労働者の利益を守るために国際的な対話を推進していきたい。

★講演2:「平和・人権・民主主義」 ラジェンドラ・アチャリャ UNI Apro地域書記長

アジアにおける民主主義の状況は国によって異なり、日本、韓国、インドは民主主義を維持しているが、他の国々では依然として厳しい状況が続いている。

ミャンマーでは、軍事クーデターから4年が経過し、大規模な避難、暴力的な弾圧、そして活動家の投獄が続いている。労働組合は民主主義勢力とともに、民主主義を復活させるための国民統一政府(NUG)を結成した。香港では、中国の国家安全法の下で制限が強化され、言論の自由や報道の自由が制約されている。バングラデシュでは、政治的な状況が不安定であり、前政権は反対派の声を抑圧していたことで批判された。現在の指導者は、同様の手段に頼ることなく、安定した政治運営を行うことが重要である。

アジアにおける平和は依然として不安定であり、国境を巡る争いや南シナ海での緊張や、朝鮮半島における終わりの見えない紛争の脅威が地域の安定を脅かしている。 また、ミャンマー、アフガニスタン、フィリピン、パキスタンの一部地域では内戦が続いており、平和と安全を取り戻すための障壁となっている。

人権:続く闘い

アジア全体で人権侵害が広がっており、政府は言論の自由を制限し、報道機関を弾圧し、人権活動家を迫害している。また、監視体制や強制労働、政治的抑圧が根強く存在している。多くの国々で進展が見られる一方、依然として女性やジェンダー平等に対する制約が続いている。

労働組合の権利と労働条件:

アジアの労働者は、特に労働保護が不十分な国や権威主義的な国々で重大な課題に直面しており、多くの国では団体交渉が制限され、労働者は搾取され続けている。湾岸諸国では移民労働者が非人道的な労働条件に苦しんでいる。しかし、バングラデシュのラナ・プラザ事故後、繊維業界の安全基準が改善され、国際安全衛生協定はバングラデシュとパキスタンで進展を見せている。

国際労働基準と人権デューデリジェンス:

アジアにおける国際労働基準の施行は国によって異なる。いくつかの国々は主要な国際労働機関(ILO)の条約を批准しているが、その実施は一貫していない。強制労働、児童労働、そして安全でない労働環境は、繊維、農業、建設業、さらにはサービス業でも依然として続いている。人権デューデリジェンスは注目を集めており、日本、韓国、オーストラリアは企業責任規制を強化している。

デジタル時代における労働と労働組合の権利:

技術革新、デジタル化、自動化はアジアの労働市場に変革をもたらし、製造業やサービス業で雇用の安定性が脅かされている。ギグエコノミーの拡大に伴い、特に新興経済国で労働者保護が不十分だ。職場の監視やアルゴリズム管理には倫理的懸念があり、強力な規制が求められている。労働組合は、技術革新が労働者の権利を守りつつ進むよう役割を果たすべきである。

UNI Apro: 私たちの役割と取り組み

UNI Aproは、民主主義、人権、労働組合の自由を守るため、ミャンマーの強制労働問題やフィリピンの労働組合弾圧に対する活動を行っている。インドネシアのオムニバス法に挑戦し、香港のRCCGUを支援。さらに、フィリピン、インド、パキスタン、ネパールで労働組合権利強化を進めている。

アジアにおける民主主義、平和、人権、労働組合の自由の闘いは続いており、権威主義や労働搾取は依然として課題である。労働組合の強化、国際労働基準の施行、デジタル変革の責任ある導入が重要だ。

講演後には、福井洋損保労連事務局長は、アルゴリズムによる労働管理が日本に導入される可能性について言及し、「その際に労働者の納得感や働きがいに差が生じるかどうか。もし差が生じる場合、労使協議で特に重視される観点は何か、またアルゴリズム導入後に従業員からフィードバックを得る仕組みや、働きがいを高めるためにどのような工夫がされているか」と質問した。

また、UNI Apro青年委員を務めている横内愛咲UAゼンセン運動推進局局員は、UAゼンセンの多くの組合が若者への教育機会を設けているものの、意思決定機関に若者を参加させる進展が低い現状を報告し、「青年が意思決定機関に参加するために一番大切なことは何か、また海外での先進的な青年活動の事例」について質問した。


第26回UNI-LCJ年次総会開催~変革のために、共に立ち上がろう!

クリスティUNI書記長、ラジェンドラUNI Apro地域書記長とUNI-LCJ幹部会メンバー

2025年2月26日(水)、第26回UNI-LCJ年次総会が全電通労働会館ホール(東京都千代田区)で開催され、各加盟組織より運営委員、総会代議員、オブザーバー等約60人が出席した。

UNI-LCJ年次総会と監査報告をする戸口監査委員

2024年度活動報告、会計報告の後、UNI-LCJ内部監査員である戸口剛全印刷書記長より2024年度の会計監査報告があった。続いて2025年度活動計画および予算が承認された。

質疑で発言する川口日放労書記長、古賀印刷労連副書記長、中田UNI Apro女性委員会議長(UAゼンセン国際局副部長)

質疑の時間において、川口哲矢日放労中央書記長は、昨年11月タイ・バンコクで開催されたUNI Apro地域大会・女性大会と併催のメディア部会委員会の内容に触れ、「組合の役割は注目度が高まっており、連帯を高めるための活動は重要である。海外の仲間と様々な知見を共有し議論できるのは、日本の組合員にとってもとても有益である。今年度は、自組織の若手組合員と海外メディア労組との交流会の開催を期待したい」と述べた。

古賀初代印刷労連副中央書記長は、UNI Apro女性大会で中田綾子UAゼンセン国際局副部長がUNI Apro女性委員会議長に就任したことに触れ、「UNIの女性の取組みについては、印刷労連でも方針の柱の1つにしている。毎年UNI-LCJが開催している、青年・女性ネットワーク会議やユース英語セミナーを通じて、産業や組織の枠を超えたコミュニティの場が設けられており、非常に有益に感じている。グローバル化やDXなど新たな課題が山積だが、これからも、しっかり取り組んでいただきたい」と期待した。

中田UNI Apro女性委員会議長がこれに続き、インドネシアASPEK訪問の際聞いた、ASPEKが新しく始めた女性支援の取組みについて報告し「とても良い事例なので5月にシンガポールで開催されるUNI Apro女性委員会で報告ができるよう働きかけている。良い事例などあったら、今後も積極的に取り込んで情報共有していきたい」と述べた。

クリスティUNI書記長とラジェンドラUNI Apro地域書記長
(UNI-LCJ年次総会 記念講演)

続いて開催された記念講演には、UNI本部よりクリスティ・ホフマンUNI書記長、UNI Aproよりラジェンドラ・アチャリャ地域書記長が来賓として出席した。クリスティ書記長は「生成AIがもたらす労働の未来」について、またラジェンドラ地域書記長は「平和・人権・民主主義」について講演した。

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レセプションで乾杯の発声をする永島智子UNI-LCJ副議長(UAゼンセン会長)

記念講演終了後、会場近くのレストラン(グッドビューダイニング Good View Dinning、中央大学駿河台キャンパス19F)に場所を移し、レセプションを開催した。

レセプション開会の挨拶をする石川UNI-LCJ議長(JP労組中央執行委員長)

UNI-LCJ議長である石川幸徳JP労組中央執行委員長は「厚生労働省、連合、ITUCのご来賓に迎え、またUNI書記長・地域書記長から貴重な講演をいただだいた御礼を述べ、「今後もパートナーシップ労使関係を基盤とした労働運動の発展に向け、UNI-LCJも尽力していきたい」と冒頭の挨拶した。

来賓および連帯挨拶

続いて、秋山伸一厚生労働省大臣官房統括審議官(国際担当)に来賓の挨拶を、また、清水秀行日本労働組合総連合会事務局長、および、郷野晶子国際労働組合総連合会長より連来の挨拶をうけた。

全国農団労への感謝と司会進行を務めた永渕達也UNI Apro青年委員(情報労連中央執行委員)

また上田智亮UNI-LCJ事務局長は、全国農団労の川岸正徳代表および大谷篤史氏へ感謝の意を述べ「いつでもUNIファミリーに戻ってきてほしい」と言葉を贈った。

レセプションの中締めをする安藤京一UNI-LCJ副議長(情報労連中央執行委員長)

国際女性デー:女性労働者の福利を求めて取組もう

UNIは国際女性デー(IWD)にあわせ、世界中の女性労働者の職場におけるメンタルヘルス保護に関する権利を支援する新しいマニュアルを発表する。

2024年に発表された生理、妊娠、更年期に関するガイドと同様に、『職場のメンタルヘルス:基本的人権』は、労働組合がタブー視されがちな問題に取り組む手助けとなる。このガイドは、職場の心理社会的リスクを特定、予防、管理するためのツールを提供している。

ストレスや過剰な業務量、職場での暴力やハラスメント、不平等な待遇、雇用の不安定さは、根強く、かつ不均衡な、女性の職場のメンタルヘルスに対する脅威である。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは、これらの課題を悪化させ、わずか1年で不安障害やうつ病性障害が25%増加した。世界的に見ると、うつ病について女性の生涯有病率は男性の約2倍、不安障害の生涯有病率はほとんどの疾患で男性の2倍となっている。それにもかかわらず、メンタルヘルス問題に対する偏見が、多くの女性が必要な支援を求めることを妨げている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「経済分野や国境を越えて、メンタルヘルスの危機が特に女性労働者に深刻な影響を与えている。この危機の根底には、不平等や職場でのハラスメント、過剰な業務量など、労働組合が最も対処しやすい多くの不平等や不当な扱いがある」と指摘した。

また、ヴェロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「女性のメンタルヘルスは、単に個人の問題ではなく、我々全員に影響を及ぼすもの。使用者と政策立案者は、職場におけるメンタルヘルス保護の緊急性を認識し、サポートのある、安全で包摂的な環境を整える必要がある。労働組合は、偏見を打破し、福利を優先する政策を提唱し、すべての女性が活躍できる職場を創出する上で重要な役割を果たす存在だ」と訴えた。

このガイドには、以下の戦略が含まれている。
●女性に大きな影響を及ぼす仕事関連のストレス要因を認識し、緩和する
●メンタルヘルスに関する偏見や差別と闘う
●柔軟な勤務形態、有給休暇、メンタルヘルス支援制度を促進する
●労働者および使用者を対象としたメンタルヘルスに関する意識向上と研修を強化する
●独立した職域保健サービスを利用できるようにする

UNIは引き続き、職場での暴力やハラスメントに対する保護を強化するために、ILO第190号条約および第206号勧告の批准と実施を継続的に要求していく。これらは、メンタルヘルスに大きな影響を与える職場での暴力やハラスメントに対する保護を強化するものだ。

職場のメンタルヘルスガイドをダウンロード


UNI欧州の調査:人々は公的資金が賃金と労働条件の改善につながることを望んでいる

2025年3月上旬に発表された欧州全域を対象とした調査(UNI欧州が委託したもの)の結果によると、EU市民の大多数(72%)が、団体交渉を通じて労働者の生活を強化する公共調達を支持していることが明らかになった。

この調査結果は、民間企業への公契約の発注を管理するEU調達規則の改革に 欧州委員会が着手した矢先の発表となった。調査結果は、調達規則の中に団体協約を有する企業を優先し、労働組合潰しやダンピングを行う企業を排除する社会的条項を求める労働者や組合の声を後押しするものとなる。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は「今回の調査結果は、緊急の行動を求める呼びかけであり、欧州委員会は欧州の有権者の声を聞くべきだ。公的資金は、公正な競争を阻害し労働組合を弱体化させる企業ではなく、質の高い雇用を支援すべきだ」と述べ、「最善の方法は、労働組合と団体協約を結んでいる良心的な雇用主を優先することだ」と付言した。

EUでは、公契約を通じて何百万人もの労働者が雇用されている。公共調達は、民間部門全体の賃金や労働条件に影響を与える基準をつくっている。

調査の主な結果:
• 回答者の65%が、公契約は価格、品質、環境、社会基準に基づいて発注されるべきだと回答
• これらの基準のうち、賃金と労働条件は最優先事項であり、回答者の46.4%が、価格が高くても正当化されると回答
• 回答者の83%が、組合潰しの企業や低賃金の企業を排除することを希望
• 回答者の72%が、公共機関が団体協約のある企業を優先することを希望
• 公共入札において価格以外の要素を考慮することを希望する市民の割合は、2011年の同様の調査以来、52%から65%へと大幅に増加

この調査は、欧州全域で700万人の労働者を代表するUNI欧州の委託により、独立系の世論調査会社オピニアが実施した。チェコ、フランス、ドイツ、アイルランド、ポーランド、スペインの6か国より6,080人以上の回答者から回答を得た。

調達をより社会的なものにするという人々の希望は、労働者や労働組合の要求と一致している。2024年10月1日、9か国から1,000人以上のエッセンシャルワーカーが賃金と労働条件の改善を目指す公共調達改革のためにブリュッセルに結集した。しかし、UNI欧州の調査では、EU全域の公共入札の半数が、最低価格のみに基づいて行われており、これは調達規則に起因する場合が多い。

トマ・ピケティやイザベラ・ウェーバーなど100人以上の世界屈指の経済学者が、公開書簡の中で「入札において最低価格のみにフォーカスしすぎること」を批判し、規則の改革に向けて「団体交渉の強化」を求める労働者の要求を支持した。労働集約型の清掃、警備、ケータリング産業の使用者団体ですら、価格のみに焦点を当てることをやめる必要性を強調している。

レティクUNI欧州地域書記長は「欧州の人々は、エッセンシャルワーカー、世界有数の経済学者、そして使用者とともに、EU規則は最低価格のみに焦点を当てるのではなく、労働条件、賃金、サービスの質に関する欧州全体の基準を設定すべきだ、と訴えている」と主張した。そして、「これは規則を簡素化するという欧州委員会の目標を推し進めることにもつながる。例えば団体協約の尊重といった明確な基準は、単に煩雑な役所仕事を減らすだけでなく、ヨーロッパの数百万人のサービス労働者の賃金と労働条件を改善することにもつながる」と訴えた。


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