
UNI世界商業部会が委託した新しい調査報告書は、熾烈な競争と自動車産業の大変革の中で良好な労働条件を確保する上で、自動車販売業における組合代表の重要性を強調している。
ルーマニアのシンデックス社が実施した調査報告書『世界の自動車市場の動向と自動車販売業界の変革』の主な調査結果は、以下の通り。
●小売業の従業員数が製造業の従業員数を上回る:自動車製造における新技術とオートメーション、および販売とアフターサービスの大幅な成長により、この業界の雇用構造は変化している。EU(小売業350万人、製造業240万人)や日本(小売業100万人、製造業88万3000人)などの主要市場では、自動車小売業に従事する従業員数が製造業の従業員数を上回っている。
●回復は成長市場が牽引:自動車販売はパンデミックにより大きな打撃を受け、それに続いてサプライチェーンの制約、高インフレ、金利が需給の両方に圧力をかけている。2024年の世界自動車市場は成長を続けているが、2023年よりもペースは鈍化している。欧州、米国、イタリアなどの主要市場は、依然としてパンデミック前の水準に達しておらず、完全な回復にはさらに2⁻3年を要する可能性がある。一方、中国、インド、ASEAN諸国などの成長市場は、パンデミックから回復しただけでなく、パンデミック前の水準を上回っている。
●中国の影響:中国は世界最大の市場であり、最も急速に成長している。小型自動車の販売台数は2,600万台を超え、西欧および中欧の市場を合わせたよりも大きな市場となっている。生産面では、中国の競争相手は既存の企業にとって真の脅威となりつつある。特に電気自動車に関しては、技術面でも価格面でも他に類を見ない競争優位性を持つ中国ブランドは、中国国内および海外市場の両方でシェアを拡大している。その結果、多くの企業にとって中国は収益性を支える鍵であったため、欧州および日本の自動車メーカーは深刻な困難に直面している。
●電動化が業界を変える:電動化は間違いなく、この100年で自動車業界が経験した最も重要な変革である。ハイブリッド車や電気自動車の台頭は、ほんの数年前には予想もできなかったペースで続いている。2023年には、電気自動車(バッテリー電気自動車とプラグインハイブリッド車を含む)が約1,400万台販売された。2019年には電気自動車の市場シェアは約2%であったが、2023年には18%に達した。 政府による規制やインセンティブは、依然として電動化の重要な推進役となっている。
●スマートカーと変化する顧客ニーズ:ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV、スマートカーとも呼ばれる)は、電気自動車と並行して徐々に標準となりつつある。特に成長著しいアジア市場では、ほとんどの顧客がデジタル機能に対してより高い金額を支払うことを惜しまない。従来の自動車メーカーは、より高度なデジタル接続性を求める需要の高まりに対応しようと苦戦しているが、電気自動車メーカーや新規参入企業は、すでにソフトウェア技術に多額の投資を行っているため、変化する顧客ニーズに迅速に対応している。
●「オムニチャネル」の自動車販売モデルが標準に:電気自動車への移行と競争の激化を背景に、従来のフランチャイズディーラーネットワークから代理店モデルや顧客への直接販売モデルへの移行が予測されていた。しかし最近の動向を見ると、新しいパラダイムは、実際には「オムニチャネル」となっており、自動車メーカーは市場の特性に応じて3つの販売組織モデルすべてを展開することになりそうだ。従来のフランチャイズディーラーは今後も残るだろうが、代理店や顧客への直販モデルからの挑戦はますます激しくなるとみられる。
自動車販売業者は、複数の課題に直面している。今回の調査では、自動車販売業者が直面する主な課題として、以下の点が明らかになった。
●自動車販売業界は、小売業界の他部門と比較して、パンデミックからの回復に非常に長い時間を要しており、その結果、自動車販売部門の労働者の権利、労働条件、給与、団体交渉力に一層大きな圧力がかかっている。
●自動車販売の公正な移行のためには、リスキリングやスキルアップがこれまで以上に重要になっている。 電動化、デジタル化、スマートカーへの需要の高まりにより、自動車販売に携わる労働者の働き方、職務、必要なスキルは変化している。
●製造業と小売業の両方で、労働者は中国との競争による悪影響を受けている。 特に欧州の自動車メーカーは、中国市場での業績低下に対応するため、大幅なコスト削減策を発表している。
●フランチャイズディーラーと直営代理店の両方で働く自動車販売の労働者は、高インフレ、高金利、中国メーカーとの価格競争により、さらに大きなプレッシャーにさらされている。自動車メーカーは、ディーラーや自動車販売に携わる労働者の犠牲を払ってでも、利益率と競争力を維持するための新しい方法を模索している。
●フランチャイズから直販または代理店モデルへの移行は、自動車小売業における雇用、業務、スキル、業務量、競争に重大な影響を及ぼす可能性がある。自動車ディーラーへの悪影響は、ディーラーから自動車メーカーへの業務の移行が主な原因となって、雇用が約7%という驚くべき減少を示していることからも、すでに明らかである。
マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「この調査は、自動車販売業界の大変革がもたらす課題から労働者を守るために、この部門における組織化の強化が急務であることを示している。我々は、加盟組織と協力して業界の動向を調査し、国際的な交流と連帯を通じて自動車販売業における組合の力をさらに強化する機会を模索していきたい」とコメントした。
UNI世界商業部会自動車販売労組ネットワークは、日本のUNI加盟組織である自動車総連の提案により、5年前に結成された。2020年と2022年に2度のオンライン会議を経て、2023年にイタリアで、2024年にはトルコで、対面式の会議が開催された。次回の会議は2025年後半にマレーシアで開催される予定である。
UNI世界商業部会は、ルーマニアのシンデックス社と提携し、毎年この部門の調査を実施している。最新の報告書の日本語訳はこちらから。





