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グローバル・ユニオン、イスラエルで働く20万人以上のパレスチナ人労働者の賃金回復を求めてILOに提訴

国際労働機関(ILO)の賃金保護条約について明確な違反があったとして、世界160カ国以上、2億700万人の労働者を代表する10のグローバル・ユニオンが、イスラエル政府を提訴した。この訴状は、イスラエルで雇用されている20万人以上のパレスチナ人労働者の賃金未払いなどの状況を是正・救済するイスラエル当局の義務を強調している。

こうした状況は、司法の救済を受けることができないパレスチナ労働者にとって、多額の収入減、深刻な経済的な不安と困窮、基本的サービスの剥奪、影響を受けた労働者とその家族に広範な苦難をもたらしている。

 ILO憲章第24条に基づいて2024年9月27日に提出されたこの共同提訴は、2023年10月7日のハマスによる攻撃当時、イスラエルで公式または非公式に雇用されていたヨルダン川西岸とガザの20万人以上のパレスチナ人労働者が直面している搾取的な状況を詳述している。こうした労働者は、労働許可証の停止と一方的な契約打ち切りにより、広範に賃金が未払いとなっている。

グローバル・ユニオンの訴えは、ガザとヨルダン川西岸で働く20万人以上の労働者が、10月7日以前に完了した労務に対する賃金を支払われておらず、それ以降も賃金を受け取っていないことを示す証拠に基づいている。ILOの推計によると、正規の労働許可証に基づいてイスラエルで雇用されたパレスチナ人労働者の平均日給は297.30シェケル(79米ドル)だった。原告の推定によると、インフォーマル経済で働く労働者の平均週給は2,100~2,600シェケル(565~700米ドル)であった。1年以上にわたり、パレスチナ人労働者は未払賃金を回収することも、返済義務を清算することもできないでいる。

訴状には、アルファベット順に、国際建設林業労働組合連盟 (BWI)、 教育インターナショナル (EI); インダストリオール・グローバルユニオン、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)、国際労働組合総連合(ITUC)、国際運輸労連(ITF)、国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)、国際公務労連(PSI)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)、UNIグローバルユニオンの各組織が署名した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「ガザでの残忍な戦争とヨルダン川西岸での暴力の増加に加え、パレスチナの移民労働者は働く能力を奪われ、正当に得た数百万ドルの賃金を奪われている。イスラエル政府が賃金保護に関するILO条約第95号に違反したことで、何十万もの家族が、その多くがすでに不安定な状況に直面しているにもかかわらず、経済的荒廃の瀬戸際に立たされている。この深刻な不公正は、特に戦争・紛争時における国際条約の必要性と、イスラエル国家がILO加盟国としての約束を守る必要性を浮き彫りにしている」と語気を強める。

ルーク・トライアングルITUC書記長は、「今年初めにヨルダン川西岸地区を訪問した際、イスラエルで雇用されているパレスチナ人労働者の家族が経験している経済的困窮を目の当たりにした。今も、働く人々は紛争が続く中で最悪の事態に耐えている。この提訴を通じて我々は、生活苦にあえぐ労働者が切実に求めている未払いの賃金が支払われるようにしたい」と述べた。

アンベト・ユソンBWI書記長は、 「国際法は明確であり、いかなる危機も、戦争でさえも、労働者の労働権の停止や正義の否定を正当化することはできない。パレスチナの労働者の多くはイスラエ ルの建設部門で雇用されており、未払い賃金を受け取る権利がある。我々は、正当な報酬を拒否された何十万人ものパレスチナ人労働者に正義がもたらされ、停戦が実現するまで到底納得できない」とコメントした。

ステファン・コットンITF書記長は、「イスラエルによるヨルダン川西岸地区とガザ地区の不法占拠は、数十年にわたりパレスチナ経済を分裂させ、イスラエルの労働市場への過度の依存を引き起こしてきた。イスラエルで働くパレスチナ人が突然失業し、数十万人が貧困にあえいでいる。イスラエルは国際的な法的義務を遵守し、これらの労働者が賃金を受け取れるようにしなければならない。我々が永続的な和平に向けて努力する中で、イスラエルはパレスチナ人労働者に対する労働市場の再開も検討すべきだ」と主張した。

ダニエル・ベルトッサ PSI書記長は、「賃金未払いは、占領下のパレスチナ労働者が直面している最新の不当な屈辱だ。現在のガザへの砲撃と同様、この状況に正当性はない。これはパレスチナ人民に対する集団的懲罰である」と非難した。

デビッド・エドワーズEI書記長は、「我々は、パレスチナの労働者と揺るぎない連帯を築き、イスラエ ルに対し、国際法上の義務を履行し、支払うべき賃金が支払われるよう求める。さらに、ガザとヨルダン川西岸地区の教師は、2023年11月以降、給与が支払われておらず、壊滅的で非人道的な状況にもかかわらず、生徒のために教壇に立ち続けている。世界中の教育関係者は改めて、即時かつ永続的な停戦、人道援助の安全な受け入れ、すべての人質の無条件解放、パレスチナ人の権利承認、教師と生徒の安全な聖域としての学校の保護を求めていく」と述べた。

アトレ・ホーイ・インダストリオール書記長は「これは重要なILO条約に対する大規模な違反だ。20万人の労働者に賃金が支払われていない状況は、どのような形であれ許されることではない。だからこそ我々はITUCや他のGUFとともに、この提訴を行う」と、述べた。 


OECD技術フォーラムでホフマンUNI書記長「我々の望む未来を形づくるために今、行動を」

OECDの技術フォーラムで、クリスティ・ホフマンUNI書記長が発言した。労働者、労働組合、公正な経済の擁護者は、将来AIの恩恵が広く共有されるよう、いま行動しなければならないと訴え、「歴史と自身の経験の両方を踏まえ、テクノロジーの影響は、労働者がその使用について発言権を持つかどうか、規制や社会環境にかかっている」と指摘した。

パネル討議『Looking Back to Look Forward』(未来を見据えて、過去を振り返る)には、他にアーメド・N・タンタウィ・エジプト通信情報技術省上級顧問、ウェンデル・ウォラック・カーネギー国際問題倫理評議会「AIと平等イニシアチブ」共同ディレクターが参加し、司会はベン・ブレイク・ドイツ連邦デジタル・運輸省デジタル・データ政策局長が務めた。

ホフマンUNI書記長はパネルの中で、まずラッダイト運動を例に挙げて発言した。一般的には進歩の敵として理解されているラッダイト運動だが、実際には機械織機による代替から地域社会の仕事を守ることを目的とした大衆運動であった。この運動が成功しなかった理由の大部分は、労働者が政治的・組織的な力を持っていなかったからである。指導者たちは処刑され、地域社会は荒廃した。賃金は1世紀以上にわたり経済成長に遅れをとった。

しかし1980年代にホフマンUNI書記長自身が働いていた、組織化された工場に数値制御の機械が導入されたとき、同氏の経験はまったく違うものだった。

同書記長は当時を振り返り、「同僚はほとんど男性ばかりで、その多くは仕事のスキルが落ちることを恐れていましたが、私自身は肉体労働から解放されてとても嬉しかった。(…中略…)当時この技術は、今日ではほとんど存在しない状況の中で導入された。特に、UNIが代表する多くの部門を含め、AIの影響を最も受けそうな労働者にとって、状況はこれと同じではではない。私には組合があり、安全性に対するリスク、雇用保障への影響、OJTの必要性などについて交渉することができた。新しい機械が仕事を自動化するわけではないので、機械によって雇用が代替されることへの不安はなかった。機械は私の能力を高めてくれるものであり、生産性が上がれば、同僚や私の賃金も上がる。つまりこの技術をうまく導入させるたくさんの理由があり、実際、私は交渉委員会のメンバーに選ばれ、1982年に初めて新技術条項について交渉を行った。(…中略…)今日、どこの国の労働者もAIに取って代わられるのではないかと恐れている。使用者がAIによって生産性が大幅に向上すると公然と喧伝しているからだ。そして、ほとんどの労働者は集団で声を上げることができないでいる」と指摘した。

そして次のように続けた。
「労働者や社会全体は、長い目で見ればテクノロジーから常に恩恵を受けていると言われている。しかし我々は、長い道のりは実に長く、その過程で計り知れない苦しみや技術の誤用が生じ、深く取り返しのつかない損害をもたらす可能性があることを知っている。だが、苦難は避けられないものではない。我々は、労働者の尊厳とまっとうな生活を可能にする共有の利益を最大化するよう、技術の使用を形作っていくことができる。(…中略…)つまり、自動化するのではなく、我々は人間の能力を増大させるテクノロジーを支持しなければならないということだ。 AIに取って代わられる仕事にかわる、新たな仕事を生み出すテクノロジーだ。これは、資本所得に対する税金などによって賄われる賃金補助のような直接的介入を含め、多くの方法で実行可能だ。我々は、企業が労働者をリスキリングまたはスキルアップするためのインセンティブを提供しなければならないのであり、そうすることで、雇用を維持するインセンティブを高めることができる。(…中略…)例えば、共同決定や部門別交渉を通じて、団体交渉の障壁を下げ、テクノロジーの導入前に労働者代表との協議を義務付けるなど、組合結成を促進する労働政策が必要だ。これによって組合は、メンタルヘルスを含む安全衛生をめぐる交渉や、一部の業務が廃止されても他の業務を追加できるような職務の再編成、生産性向上による利益の公正な配分を交渉することができるようになる。我々は短期的な変化を過大評価しているが、職場における長期的な影響や、我々が何もしなければ富と権力のシフトが起こることを過小評価している。だから、5年後であろうと25年後であろうと、我々が望む経済社会を構築するために、我々は今、未来を形作るための取組みを始めなければならない」


UNI、イスラエルのゼネストを支持

ガザで拘束されている人質を解放する取引に向けてイスラエル政府を動かすことを期待し、イスラエル労働総同盟(ヒスタドルート)がイスラエル経済を停止させるゼネストを呼びかけた。UNIはこの動きを歓迎する。

2024年9月2日のストライキ発表の中で、ヒスタドルートのアーノン・バー=ダビッド議長は、「一般市民は無関心でいることなく、街頭に出よう」と呼びかけた。そして「これは右か左かの問題ではなく、生と死の問題だ。治安当局の責任者全員がこの取り決めを支持しており、人質を帰国させるのは政府の責任だ。我々の子どもたちが、狭い思考や利害のために帰国しないということは到底ありえない」と付言した。

また、国中の労働者を襲っている経済危機の拡大に警鐘を鳴らし、「インフレが止まらない。イスラエル中央銀行はシェケル安を警告している。イスラエルの信用格付けがマイナスの見通しで下がっている。来年度予算についての協議がいまだに始まっていない。赤字が深刻化している。連立政権がそれのさらなる拡大を要求している。こうした憂慮すべきシグナルがすでに出ているのだ」と訴えた。

UNIはこの危機が始まって以来、ガザでの戦争を終結させ、パレスチナ人の主権と自決も保証する公正で持続可能な和平への第一歩として、停戦と全人質の即時無条件解放を要求してきた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「全国的なストライキを呼びかけることで、ヒスタドルートの組合とイスラエルの労働者は非常に大きな重要な一歩を踏み出した。もうたくさんだ。停戦はもうずっと長いこと求められてきた。ネタニヤフ首相には、イスラエルの労働者の声に耳を傾け、いまだ拘束されている人質の家族の声に耳を傾け、国際社会の声に耳を傾け、合意に達するよう強く求める」と語気を強めた。


ブラジルのサンタンデール銀行での抗議行動に対する暴力的対応を糾弾する

UNIは、外部委託と不誠実な交渉に反対する労働者の平和的抗議が警察による暴力で終結したことを受け、ブラジルのUNI加盟組織である全国金融労連(CONTRAF)とその加盟組織であるサンパウロ銀行金融労組に連帯する。

2024年8月22日、サンパウロにあるサンタンデール銀行事務所前での集会中、銀行は軍警察び、軍警察は抗議行動を追い払うためにスタンガンや催涙ガスで労働者を攻撃、複数の組合員数を負傷させた。この日の行動は、外部委託に反対する全国行動デーの一環であった。

マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「サンタンデールが労働者と交渉するのではなく、警察を呼びつけたことは極めて不愉快だ」と述べ、「ブラジル、そして南北米大陸の銀行労働者は、自らの雇用の質と提供するサービスの質を守るために組織化しているのであり、警察による悪質な攻撃を受けるのではなく、公正な団体協約を得るべきだ」と強調した。

労働者はまた、インフレ率に見合った実質賃金の引き上げも要求している。2023年中のブラジル国内における銀行業界の総利益が1,442億ブラジルレアル(258億米ドル)であることを考えれば、銀行が容易に支払える金額だと言う。

だが CONTRAFによると、これまでのところ全国銀行連盟(FENABAN)は、銀行の雇用の維持、労働条件の改善、乱暴な販売手法の廃止など、労働者の重要な懸念事項について誠実に交渉することを拒否している。

ブラジルはサンタンデール銀行にとって重要な市場である。同行は世界全体の利益の約17%(2023年には16億8000万米ドル)をブラジルから得ている。

サンタンデールが利益を得ている一方で、CONTRAFによると、同行はさまざまな部門で外部委託会社を設立して労働者の交渉力を細分化して弱めるなど、多くの不正な雇用慣行を行っているという。こうした外部委託は、極右前政権が行った改革によって可能となっている。

それ以来、CONTRAFは一貫してこうした慣行と、その結果としての組合幹部への迫害と闘ってきた。

モンザネUNI米州地域書記長は、CONTRAFへの支持を表明し、「労働者はこうした扱いを一切容認しない。ブラジルのサンタンデール銀行の労働者に対する暴力は、新自由主義的改革を撤回し、正義を前進させようとする時に組合が直面する抵抗を示している。だが我々は今後も手を緩めずに闘い続ける」と述べた。


バングラデシュ情勢に関するUNI声明

UNIはバングラデシュで展開されている状況について警戒と懸念を強め注視している。我々は加盟組織と連絡を取り合い、労働者と家族の安全と幸せを最優先事項としている。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は「変革を求める人々の正当な声に対する前政権の残忍な対応を非難する」とし、「何百人ものデモ参加者が暴力によって死亡したことについて、その責任者が責任を問われることを求める。遺族に正義の裁きが下るよう、殺害に対する完全かつ独立した調査が行われなければならない」と語気を強める。

国際的な人権・労働基準に基づき、バングラデシュ国民の市民的自由を十分に尊重した上で、平和的デモ参加者の保護と安全が保証されなければならない。

アルケ・べシガーUNI副書記長は、「使用者は労働者に対する責任を果たす必要がある。 給与が支払われ、職場への往復という現実的な問題を含め、労働者の健康と安全が守られなければならない」とコメントし、「今は非常に憂慮すべき時だが、労働者の権利が守られ、労働組合が尊重される未来のバングラデシュには希望がある。我々は引き続き加盟組織に支援・連帯し、バングラデシュの平和で民主的な、より良い未来を築くための取組みにおいて、加盟組織と協力していく」と述べた。

UNIは、バングラデシュで新政府を樹立する人々に対し、労働組合との積極的な関与を求める。必要な改革と再建のプロセスにおいて、労働組合の声は極めて重要である。


広島を忘れない:核兵器のない世界を

広島への原爆投下から世界が79年を迎える今週、UNIは1945年に失われた14万人の命に思いをはせ、放射線と心的外傷の永続的な影響について考える。

世界情勢が不安定化する中、 UNIは、核兵器のない世界を実現するための新たな取組みを呼びかけている。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は「我々は、この厳粛な原爆の日に、命を落とした人々や永続的な苦しみを被った人々を追悼する。このような兵器が二度と使われることのないようにしなければならない」と述べ、「特にウクライナやガザでの戦争によって、世界が混乱と核の脅威に直面する中、平和と世界中の核兵器の廃絶を求める声は、これまで以上に緊急性を増している」と指摘した。

UNIは、核兵器の存在が人権と相容れないことを強調し、核兵器廃絶を長年にわたって提唱してきた。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメンバーとして、UNIは世界レベルの軍縮を支持し続けている。

アチャリャ地域書記長は、「我々の地域、そして世界中の安全で民主的な未来には平和が必要であり、それは核兵器の脅威によって損なわれている」と付言し、「この一週間は、追悼し、振り返り、そして被爆した家族に連帯する時だ」と訴えた。

UNI世界大会が2010年に長崎で開催されて以来、UNIは長崎市や国際平和運動との結びつきを強め、核兵器のない未来の必要性を強調してきた。


スリランカの銀行労組、1万人の従業員のために協約を獲得

2024年7月16日、 スリランカで最大かつ古くからのUNI加盟組織であるセイロン銀行従業員組合(CBEU)が、国営銀行4行の経営陣と一連の団体協約を締結し、生活費の高騰に苦しむ1万人の銀行労働者の労働条件が改善された。

2024~2026年の協約をめぐる交渉は9カ月前に終了していたが、各行の経営陣による協約署名前に、予期せぬ障害が立ちはだかった。財務省が、公共支出削減に関するIMFの条件を遵守しなければならないこと、そして経済的困難を理由にあげて、協定の承認を渋ったのである。

このためCBEUは、セイロン銀行、人民銀行、全国貯蓄銀行、国営抵当投資銀行の支部組合員からの支援を結集し、事態に不満を表明する数カ月にわたるキャンペーンに乗り出した。この動員が功を奏し、協約の締結に至ったのである。

チャナ・ディサナヤケCBEU委員長は、「我々の勝利は、銀行従業員の結束力にあります。組合員の利益を犠牲にすることなく協約を締結するという我々の決意を、経営陣と政府に対して、強力かつ集団的なメッセージとして送ることができたのは、組合員の支援、理解、コミットメントがあったからだ」とコメントした。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「CBEUが国営銀行の団体協約の権利を守ることに成功したことを祝福したい。自由で独立した組合が団結し、組合員のために声を一つにして発言することの重要性を示した。CBEU組合員の連帯は、この地域の労働者を鼓舞するものだ」と勝利を祝した。


ITUC グローバル権利指数:攻撃に晒される民主的価値と労働者の権利

2024年6月に発表されたITUCのグローバル権利指数は、民主的価値と基本的権利が国際レベルで崩壊しつつあることに、緊急の警鐘を鳴らしている。

この報告書は、ILO条約や法理論から抽出された労働者の権利尊重に関する97の指標リストに対して、151か国をランク付けしている。今年版は、労働組合を組織する権利や団体交渉を行う権利など、民主主義の本質を支える基本的権利について、政府や企業が踏みにじろうとする動きが強まっていることを示している。

ルーク・トライアングルITUC書記長は、「この11年間、この指数は世界のあらゆる地域で労働者の権利が急速に低下していることを明らかにしてきた。労働者は民主主義の心臓部であり、労働者が声をあげる権利は、民主主義制度の健全性と持続可能性にとって極めて重要である。労働者の権利が侵害されれば、民主主義そのものが攻撃されているということだ。民主主義、労働組合、労働者の権利は一体であり、どれか一つでも欠けたら、他方は成立しない」と危機感を表明した。

主な調査結果は以下の通り:
●言論および集会の自由は43%の国で制限されている。
●74%の国が労働組合の登録を妨げている。
●74か国で労働者が拘束・逮捕された。
●ストライキ権は87%の国で侵害された。
●75%の国で労働者は労働組合を結成したり、加入したりする権利を否定された。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「この新しいグローバル権利指数は、労働者の権利尊重に関して、我々が前進しているのではなく、むしろ逆であることを示している。これらの権利はますます損なわれ、完全に見捨てられてすらいる。あまりにも多くの国が、団結権について口先だけ甘いことを言っているが、権利を守るために何も実行していない。労働者が直面する問題は、常態化した組合潰しから暴力、さらには労働組合員の殺害まで多岐にわたる。これは世界的な恥辱であり、企業の自主的な社会的責任プログラムやチャリティが意味をなさないことを示している。グローバルなルールが必要なのだ」と語気を強めた。


銀行労働者、イタリア証券取引所で史上初のストライキに突入

欧州を代表する証券市場であるイタリア証券取引所を運営するボルサ・イタリアーナでは、2024年6月27日に約800人の行員が史上初のストライキに突入する。労働者は、転勤の可能性、不十分な昇給、時間外労働、グループ内のイタリア企業の自律性が失われることについて、抗議している。

労働組合とUNI加盟組織のFABI、FIRST CISL、FISAC CGILは共同で、グループ4社(ボルサ・イタリアーナ、カッサ・コンペンザツィオーネ・エ・ガランツィア、MTS、モンテ・ティトーリ)でのスト実施と、その後2週間にわたるさらなる動員を発表した。ボルサ・イタリアーナは実体経済成長の推進役として、カッサ・コンペンザツィオーネ・エ・ガランツィアはイタリア市場の金融安定化ツールとして、MTSとモンテ・チトーリは公的債務の適切かつ効率的な管理を担ってきた。

アンジェロ・ディクリストUNI世界金融部会担当局長は、「今回のストライキで、労働者と組合は前例のない一歩を踏み出した。だが、今という時代が前例のない時代だ。インフレによって労働者の購買力が低下する中で、イタリア証券取引所グループはイタリア国外への移転を検討している。そうではなく、労働組合と共通の解決策を見出すために交渉の席につくべきだ。UNI世界金融部会は、まっとうな労働条件を求めて闘う労働者に連帯する」とコメントした。

労働組合は特に、全国レベルでの雇用の安定を懸念している。海外移転計画を説明する一方で、同社は依然として、雇用を保護し、既存のスキルを向上させるための保証を用意し、共同で道を切り開くことを拒否している。

さらに使用者側は、グループ各社が特に 2023 年に記録的な業績を達成したにもかかわらず、銀行部門の全国協約の更新によって昇給を認めないことを決定した。組合は、こうした会社側の姿勢について、イタリア人労働者の購買力をインフレから守ろうとしない当グループのスタンスを反映していると見ている。

ボルサ・イタリアーナ・グループでは、徐々に組織構造が脆弱化していおり、時間外労働や土曜日・祝日の出勤、さらには夜勤に頼ることが組織的かつ構造的になっており、オンコール当番の持続不可能な管理もそれに拍車をかけている。

モリーン・ヒック UNI欧州金融部会担当部長は、「ボルサ・イタリアーナ各社において時間外労働が蔓延していることを深く憂慮している。これは労働者の肉体的・精神的健康だけでなく、グループ全体の持続可能性をも危うくしているのであり、緊急の改革が必要だ。私たちは使用者がイタリアの組合と健全な協約を交渉することを望んでいる」と述べた。

後に、労働組合は、ボルサ・イタリアーナ・グループのイタリア企業のガバナンスと経営的・戦略的自律性が徐々に失われていることを懸念している。イタリアの経済成長を牽引し、金融の安定性を確保する証券取引市場インフラの国家的重要性に鑑み、労働組合は、グループの戦略的方向性がイタリア国外に段階的に移転し、トップの役割がユーロネクスト・グループの他の地域に移行していることを批判している。

ボルサ・イタリアーナ・グループでは、時間の経過とともに脆弱化する組織構造に従って、時間外労働や土曜日・祝日の出勤、さらには夜勤に頼ることが組織的かつ構造的になっており、オンコール当番の持続不可能な管理もそれに拍車をかけている。


労働者の資金、労働者の未来-労働組合の力を高めるツールとしての年金基金

世界中の金融部労組の役員が2024年6月3~4日、アルゼンチン・ブエノスアイレスに集い、年金基金を最大限に活用して組合の力を高める方法について、議論した。

運用資産が60兆米ドルを超える年金基金は、世界経済の主要な担い手であり、責任ある企業行動のあり方を決定する役割を果たしている。

UNIの金融部会加盟組織であるラ・バンカリアがアルゼンチンの首都で開催したUNI世界金融部会セミナー『労働者の資金、労働者の未来』には、世界各国から70 人を超える参加者が集まった。

年金は何よりもまず労働者の資本と老後を守るべきであるが、労働組合による年金基金の取組みは、団体交渉、ジェンダー平等と多様性を促進する機会を最大限に活用し、年金基金が持続可能で、社会性を中心に据えた未来への投資となるようにすべきである。

アンナ・マリア・ロマーノUNI世界金融部会議長(イタリア・FISAC-CGIL-IT)は、「我々は、基準が単なる言葉ではなく、『グリーン・ウォッシング』や『ソーシャル・ウォッシング』にならないようにしていかなければならない。主要な金融多国籍企業はすべて年金基金に関与しており、その責任を追及しよう」と訴え、「環境の持続可能性だけでなく、社会の持続可能性、包摂性、人権も重要だ。我々はこの点で専門家なのであり、労働者を守り、我々には力があるということを証明していく必要がある」と付け加えた。

セミナーでは、年金資金の確保の問題が取り上げられた。多くの労働者が不適切な投資の代償を払っているのだ。ラ・バンカリアの書記長を務めるセルジオ・パラッツォUNI米州金融部会議長は、「アルゼンチンで民間の年金基金が導入された後、多くの労働者はほとんど何も手にすることなく取り残された(…中略…)民間の年金基金の運用実験において、我々は失敗したのだ」と指摘した。

このような状況はブラジルにおいても同様であり、郵便労働者は失われた20億米ドルの年金基金を取り戻すため、米国のBYNメロンと争っている。

リサ・ネイザンUNIビジネス・人権問題担当部長は、労働者資本の責任ある投資に関する対話と行動のための国際労働組合ネットワークである労働者資本委員会(CWC)と共に活動しており、「我々は、年金基金が投資先企業に対してどのように影響力を行使し、企業基準を向上させるかについて多くの関心を寄せており、(…中略…)UNIも、年金基金が労働組合の声に耳を傾け、労働者の権利に対する理解を深めるためのチャンネルを構築するために活動している」と述べた。

アンジェロ・ディクリストUNI世界金融部会担当局長は、「我々はこの会議を開催することで、年金基金の運用に関する知識を深め、労働組合が労働者の権利、多様性、包摂性を向上させるために投資を形成する方法を特定し、資金が責任を持って投資されるだけでなく、賢く投資されるようにするための取組みを開始することができた」と締めくくった。


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