ブログアーカイブ

2021年、共に立ち上がろう!

ルーベン・コルティナUNI会長ビデオメッセージ(スペイン語)

UNIファミリー、兄弟姉妹の皆さん

新年にあたり、2020年、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の中、奮闘された皆様のご尽力に感謝申し上げたいと思います。

既にご承知の通り、世界でワクチン接種が始まりましたが、ウィルスは未だ猛威を振るっております。

国際労働運動の仲間と共に最前線に立っておりますが、私達はこの先、より良い通常に戻るため、引き続き緊張感をもって取組んでいきたいと思います。

私達は今なお、経験しているこの現状を論理的に理解しようと努めながら、足元では医療体制の整備、根本的には政治経済の立て直しを考えなければなりません。

国際労働運動が訴えてきたように、以前より良いニューノーマル(新たな日常)を構築する必要がありましょう。

新たな、より良い日常とは、環境に配慮し、富を平等に配分する必要性や、持続可能な開発のシナリオを重視するものです。

少なくともこの3点に配慮がなされなければ、不確実性はこの先も続くと思われ、更なるパンデミックに見舞われる不安が拭えません。新たな経済危機が訪れ、必然的に労働者や排除された人々が影響を受けるのです。

引き続きウィルス感染防止対策を徹底し、同僚の職場の安全衛生確保に取組む必要があります。しかし根本的には、先に述べた、より良い日常を構築する上で意思決定に影響を及ぼすには、私達が国レベル、地域レベル、現場レベルで強力な存在感を持たなければなりません。

改めて皆さんに感謝申し上げると共に、世界の緊張関係が解消されようとしている中、国際労働運動としても主張すべきことがたくさんあることを強調したいと思います。そうすることには歴史的な教訓が多々あるからです。

私達の組織を強化し、私達自身を大事にし、新年のスタートを切りましょう。労働運動の中で、私達はどのようにコロナによって破壊されたものを建て直し、前進していくかを深く議論していきましょう。

ビデオではありますが、皆様に心より連帯の気持ちを送ります。2021年が皆様にとって素晴らしい年になりますように祈念申し上げます。ご静聴ありがとうございました。


Apro地域の金融労組で連帯し、労働組合の存在価値を高めよう

2020年12月16日、インド金融労組会議がオンラインで開催され、境田道正UNI Apro金融部会議長が連帯挨拶を行った。

境田議長は、同会議の開会にあたり、「コロナウイルス感染症パンデミックの間、最大級の犠牲を払った多くの金融業界の従業員へ心より哀悼の意を示すと共に、故スバッシュ・サワント氏(DS INBEF)の国内外の労働運動への功績に感謝する。そしてこの不確実な時代において、15%前後の賃上げを獲得したインド銀行従業員連合フォーラムのサンジーブ・バンドリッシュ議長とそのチームを賞賛する。こうした成果は、インドの金融労組のみならず、Apro地域の金融労組に対して勇気を与えるものであり、労働組合の存在価値を大いに高めたインド金融労組のメンバーに、改めて敬意を表する。」と述べた。

「パンデミックの中で直面する新たな課題に対応するため、我々は第 22 回 UNI Apro金融部会運営委員会で合意された優先課題に積極的に取組まねばならない。そのポイントは、1) 団体交渉の強化 2) 従業員が正しいワーク・ライフ・バランスを維持できるようリモートワーク基準を設定することの2点である。」と述べ、「これらの実施に向け、私から南アジア金融労組協議会(SAFSUC)にUNI Apro金融部会南アジア作業部会を設置し、地域共通の課題解決を促進すると共に、団体協約の更新に苦戦するバングラデシュ、ネパール、パキスタンの加盟組織を支援するよう呼びかけたい。来年こそは、事態が収束に向かい、これまでどおり、対面で意見交換できる日が訪れることを楽しみにしている。本会合が成功裡に開催され、今後の活動にとって意義深いものとなることを祈っている。」と結んだ。


暴力に反対する16日間の運動「暴力による心の病をなくそう」キャンペーン開始

11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から12月10日の「人権デー」までの16日間、UNIは暴力に対抗する運動を行う。

2020年は、全ての人にとって大変な年となったが、特に女性労働者にとって困難な年となった。国連女性機関によると、家庭内暴力は20%以上増加し、国際電気通信連合(ITU)の報告では、女性に対するオンラインの暴力は、セクシャルハラスメント、ストーカー行為、ズーム荒らし(ズーム上の侵入によるハラスメント)、セックス・トローリング(性的な荒らし行為)等の形で50%増加しており、COVID-19パンデミックが始まってから、最前線で働く女性労働者の多くが、不当に少なくとも週に1回は、第三者(顧客、依頼主、患者)から暴力を受けていると言っている。多くの場合、その暴力は、身体への暴行や暴言の形をとっている。

暴力は、長期的な心の健康に深刻な影響を与える。PTSD(心的外傷後ストレス障害)から抑うつ状態や不安症に至るまで、暴力は、私たちの健康に影響を与え、薬物などの乱用を招く。それは私たちの潜在能力を低下させ、私たちの生産性や地域社会への貢献を制限する。言い換えれば、暴力がある限り心の健康はない。COVID-19のパンデミックは、この問題を悪化させている。

私たちは、UNIとしてまた労働組合として、助けることができる。私たちは、労働の世界における全ての人への暴力をなくすためのILO190号条約と勧告の批准に向けて、労働組合と政府を支援し、この問題への意識啓発を図ることができる。

以上を踏まえ、「悪の連鎖を断ち切れ!」キャンペーンの新しいステージである「暴力による心の病をなくそう」への参加を要請する。

【実施期間】

2020年11月25日~12月10日までの16日間

【参加方法】

  1. 日替りポスター16枚を下記URLよりダウンロードする。
  2. 11月25日から16日間に渡り、1日1枚ずつ各種SNS等でハッシュタグ#ratifyILO190 #16daysをつけてシェアする。

日本語ポスター:https://1drv.ms/u/s!ArC6XJtdy3sNgaMqjKorB4sB_v1b1Q?e=BiaQ6g

英語その他言語のポスター:https://www.dropbox.com/sh/1rgmrb54xtnz6z9/AABtX5cVnfmTLpspbMfxIKEJa?dl=0

  キャンペーンサイト(英語):

UNI Global Union: Break the Circle! (breakingthecircle.org)

私たちは、今こそ女性労働者と共に立ち上がらなければならない。私たちが力を合わせれば、その力はより強くなり、労働の世界での暴力をなくす助けになる。暴力との闘いに参加してほしい。

UNI機会均等局長

ベロニカ・フェルナンデス・メンデス


世界の指導者たちへ:公正な経済復興と多国間主義の再構築に、労働組合は不可欠だ

マルティン・グズマン・アルゼンチン経済相、エンリコ・レッタ元イタリア首相を招き11月9日に開催されたUNI主催ウェビナーで、「COVID-19復興プログラムを公正なものとし、米国と欧州の間の環大西洋協力の再構築を支える上で、労働組合は重要な役割を担っている」との見解が表明された。

持続可能な金融システムの確保に向けた高度な議論は、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授による9月の講演に続き、UNI世界金融部会が中心となって企画した。

司会を務めたクリスティ・ホフマンUNI書記長は「回復とレジリエンスは世界中で合言葉となっている」と述べ、「2008年の金融危機の時、数十億ドルの公的資金を使って銀行は救済されたが、人々は10年間の緊縮財政に苦しんだ。過去を繰り返さないために、必要なことは何でもしなければならないということは明らかだ」と続けた。

「労働組合として、今回の復興資金には社会的保証が伴っていることを確認しなければならない。つまり、実体経済に投資し、労働組合の権利や団体交渉、グリーンで持続可能な雇用を支援する企業に財政支援を与えるということだ」

今年、アルゼンチンの公的債務650億ドルの繰り延べについて交渉を成功に導いたグズマン大臣は、公的債務に苦しむ国々を支援するために国際的構造改革が喫緊に必要だと強調した。

大臣は「多くの場合、社会発展の見通しを損なうことなく各国が返済を行うことは、どうしても不可能だ」とし、「公的債務危機に対処するには時間がかかりすぎ、多くの場合、窮地に陥った国を支援するのに十分な解決策ではない」と主張した。

グズマン大臣はまた、特にアルゼンチンなど長期におよぶ不安定な歴史を持っている国に対しては、債務や外貨に関して責任ある借入の必要性を強調した。

これに関連して大臣は、「今週アルゼンチンの議会に提出される新しい法案は、政府が外貨を借りる前には議会の承認を得なければならないようにするものであり、この法案が通れば今後、IMFとアルゼンチンの間で行われるプログラムはすべて、国会の承認を得なければならなくなる」と説明した。

UNIは中南米で国有銀行を支援するキャンペーンを行っており、大臣は、生産を押し上げ、雇用を創出するプロジェクトの資金調達を支える公的銀行の重要性を説明するとともに、「アルゼンチンの公的銀行は、COVID-19の影響に対処する社会を支えるサービスを提供する上で、非常に重要な役割を果たしてきた」と付け加えた。また、パンデミック中の安定性、雇用、経済活動の維持に役立ったアルゼンチンの労働組合の役割を称えた。

パリ政治学院の国際関係学部長であるエンリコ・レッタ氏は、「EUはCOVID-19危機に迅速に対応しており、7,500億ユーロの欧州復興基金(次世代EU)に合意するまで、わずか4ヶ月しかかかっていない」ことに触れ、「EUは、欧州安定メカニズム(ESM)を通じた復興計画の策定に4カ月ではなく4年もの歳月を要した2008年の金融危機から教訓を得た」と述べ、「当時この遅れによって欧州の経済・社会的な『災害』がもたらされ、失業率が高まり、ポピュリズムの台頭を招いた」と主張した。

さらに、「今回、EUは連帯という社会的な柱に基づく革命的な対応を行った」と述べ、「ある国が他国に資金を提供するのではなく、欧州委員会が債券を通じて資金を調達し、金融支援は、力ではなくニーズに基づいて各国に配分されることになった」と説明した。また、次世代EUの資金調達のあらゆる段階で、実施やチェックを含め労働組合が役割を果たす必要があると力説した。

レッタ氏は、米国の選挙結果を歓迎し「バイデン氏が、金融レベルを含め多国間・環大西洋の協力の必要性を信奉している人物であることを考えれば、我々はこの新しいバイデン時代の勢いと機会を生かさなければならない」と述べ、欧州や世界の労働組合運動は、多国間主義の改善を支えていく中で重要な役割を果たすことができると付け加えた。

レッタ氏はまた、G20の再開を呼びかけた。G20の再開は、ルールや成功事例を共有し、特に巨大テック企業、闇経済、タックスヘイブンに関連し、税金について重要な決定を下すという点で、大きな影響を与えうる。

アンジェロ・デクリストUNI世界金融部会担当局長は「労働組合は永続的で持続可能な金融部門の実現に向けて重要な役割を担っているのであり、2人の講演者が組合運動の重要性を強調したことを歓迎したい」とし、「我々は共に取組んで初めて、より公正な社会を実現することができる」と締めくくった。


アチャリャUNI Apro地域書記長、就任後初のUNI Apro運営委員会を開催

2020年10月12日、第34回UNI Apro運営委員会がようやく開催された。4月にシンガポールで開催する予定だったが、コロナのため延期となり、このほどオンライン開催することとなった。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長にとっては、昨年の第5回UNI Apro地域大会で選出されて以来、初めての運営委員会である。

野田UNI Apro会長は開会にあたり、「今この時も拡大を続ける“新型コロナウィルス感染症”により世界の経済・社会は、試練の時期を迎え、“私たちの日常”は劇的に変化している」と述べた。「アジア地域のサプライチェーンは、まさに分断の危機にある。企業活動の停止や停滞によって、地域経済は深刻な打撃を受け、その規模は、かつての“アジア経済危機”や“世界金融危機”を上回ることは明らかである。ILOからは、アジア太平洋地域においては、とりわけ青年の雇用への影響が深刻であるとの報告も示されている」と述べ、人口分布において若年層の割合が多いUNI Apro地域の重要な課題であると指摘した。“仕事の世界”においても、ニューノーマルの下での働き方が定着しつつあり、オンラインを活用したビジネスモデルも一般的になってきた。リモートワークが進む中、労働組合・労働運動のBCPも必須である。「これまでの対面を前提とした活動スタイルの抜本的見直しが必要だ。こうした中で、各国の状況や取組みは参考になる事例も多く、UNI Aproのネットワークを有効活用し先進的事例を水平展開したい」と述べた。

続いて、クリスティ・ホフマンUNI書記長が挨拶し、「厳しい状況の中でも最善を尽くそう」と呼びかけた。対面会議はできなくても、活動は進めなければならないと訴え、コロナ禍の間も、職場の安全衛生確保に重点的に取組み、加盟組織が安全な職場復帰に向けた交渉ができるよう支援してきたことを紹介した。リモートワーク、AI使用、アルゴリズム管理、Eコマースの拡大が加速しており、この動向に遅れることなく備えていかなければならないと強調した。一方、「危機によって、組合こそ違いをもたらせることが世間に知らしめられた。エッセンシャルワーカーが社会に果たす貢献が明らかになった」と、暗雲立ち込める中にも希望はあると述べた。

主な議題は、コロナの影響と各国の対応に関する情報交換、地域大会後のフォローアップ、2019年度会計報告確認、2020年度予算、2021年度暫定予算の承認、スタッフ人事及び就業規則改定案の承認、加盟申請の確認等であった。

アチャリャUNI Apro地域書記長は、昨年11月の地域大会以降、コロナ禍に見舞われた今日までの活動を次のように報告した。「対面の組織化ができない中、多くの組合がテクノロジーを活用してデジタル/リモート組織化という新たな手法を検討し、実施している。コロナ禍においてパートナーシップによる労使の連携は非常に重要になっている。安全衛生の確保、移民労働者の保護、女性・若年労働者の問題等にも力を入れている。コロナ禍における明るい兆しは、若年層が組合の意義に関心を持ち始めたことだ。どの業界で働いていても組合は大切だとの認識が深まった。」その上で、姉妹組織や他のGUFと連携しつつ、小地域(南アジア、東南アジア、東アジア、オセアニア)毎の戦略を立て、取組んでいくと述べた。

日本からは、野田UNI Apro会長、松浦UNI Apro副会長、金子UNI Apro副会長、増田UNI世界副会長、景中UNI Apro女性委員会副議長他、オブザーバーが出席した。日本のコロナの状況・影響、UAゼンセンの取組み等については、松浦UNI Apro副会長がUNI-LCJを代表して報告した。


スペインUNI加盟組織、金融労働者のテレワークとつながらない権利に大きな成果

スペインのUNI加盟組織CCOOとUGTは、テレワークとつながらない権利に関する金融労働者への重要な手当を含む団体協約を交渉した。

貯蓄銀行で働く約6万人の労働者全てに適用される産別協約が2020年10月1日に締結された。本協約は2023年12月31日まで有効となる。

協約は、30%以上テレワークをしている労働者に、使用者からのパソコン、携帯電話、人口工学的に設計された椅子の支給を保障する。

また、会社から提供されていない場合、新たにスクリーン、キーボード、マウスを購入するために1人130ユーロまで受け取ることができる。更に、労働者は、その他の経費をカバーするために日割り計算でひと月当たり55ユーロを受け取る。

テレワークが30%以下の労働者は、パソコンと携帯電話を支給され、好きな場所からテレワークをすることができる。

更に、本協定は、業務終了後の「つながらない権利」についても含まれており、これは、全国レベルの産別協約としては、初めてである。また、任意且つ午後7時以降の平日の業務時間外の会議についても制限し、平日の午後7時から午前8時までを「つながらない時間」と義務づけている。

賃上げや年間労働時間の削減と同様に、本団体協約にはジェンダーに基づく暴力に対する3か月以内の有休休暇も含まれる。

アンジェロ・デクリストUNI金融部会担当局長は、「今回の団体協約締結を実現したスペイン加盟組織のCCOOとUGTにお祝い申し上げたい。在宅勤務を行う労働者の数がコロナ禍の中で増えており、テレワークにより稼働日と休日の境界線が曖昧になっている。この協定は、団体交渉の偉大なる証しであり、労働者にとって極めて重要な支援となる。テレワークに必要な備品、つながらない権利を担保し、在宅勤務のコストを労働者が負担する必要はないということを明確にしたからだ。また、家庭内暴力がパンデミックの最中に増加しており、有休休暇はこうしたジェンダーに基づく暴力に苦しんでいる人々にとって大きな助けとなる」と述べた。

貯蓄銀行部門におけるCCOOとUGTの協定は、スペインの法律に準じるものである。スペインでは、使用者にテレワークを行う労働者に必要な備品を支給するよう義務付けている。しかしながら、その詳細については、団体交渉を通じて決めることが組合側に任せられている。

 


ディーセントワーク世界行動デーに、世界の労働組合がエッセンシャルワーカーの権利を求めるキャンペーンを開始

10月7日のディーセントワーク世界行動デーに、世界150か国のサービス産業労働組合を代表するUNIは、エッセンシャルワーカーのための不可欠な権利を求める国際キャンペーンを開始する。

新型コロナウィルス感染拡大期に、不当に低賃金で、正当に評価されず、過小評価された労働者こそが、世界中のコミュニティが機能し続けられるよう、働いてきた。棚に食料品を並べ、病気の人や高齢者の介護をし、学校、職場、公共交通機関、公共の場等が清潔で安全に保たれるようにする労働者がいた。郵便や小包を届ける労働者もいた。人々が金融サービスを受けられるようにする労働者もいた。

危機によって、これらの仕事がどれほど人々の生活に不可欠であるかが明らかになったように、このキャンペーンでは、私達の社会はもう、このような仕事をしている人々のニーズに気づかぬふりをするわけにはいかないと主張している。

「エッセンシャルワーカーにとってディーセントな仕事とは、より良い賃金、安全な仕事、有給の病気休暇、組合があること、そしてみんなが尊敬することだ」と、クリスティ・ホフマンUNI書記長は語る。「パンデミックをきっかけに、これらの不可欠な仕事を再評価しないなら、公正な経済はあり得ない。危機の間、そして平時であっても、エッセンシャルワーカーは大変な貢献をしており、感謝の言葉だけでなく、きちんと評価されるべきだ。」

ディーセントワーク世界行動デーは、私達のグローバル経済に必要とされる抜本的な変化に目を向ける好機である。だからこそ、世界中の労働組合は、全ての エッセンシャルワーカーのために不可欠な権利を要求している。


アジアにおける強い組合を! ポストコロナでも組織化と団体交渉の強化を確認

2020年9月25日、第22回UNI Apro金融部会が初めてオンラインで開催され、日本、台湾、韓国、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インド、スリランカ、ネパール、バングラデシュ、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー及び本部、UNI Aproのスタッフ、未加盟組織から44人が出席した。特に、4月にUNI加盟を決定し現在加盟手続き中の台湾金融労連(TFFU)からは、ジョン・フージー委員長、ハン・シーフェン書記長が出席し、加盟組織からの歓迎を受けた。日本からは、正委員として境田UNI Apro金融部会議長、田嶋労済労連単組(全労済アシスト労働組合)副中央執行委員長の2人が、オブザーバーとして、損保労連、生保労連、JP労組、あおぞら銀行従業員組合から計6人が出席した。

開会では、アチャリャUNI Apro地域書記長、デクリスト世界金融部会担当局長から連帯挨拶を受けた。また、来賓として、イヤーデュピュイ・アジア開発銀行(ADB)社会開発シニア・スペシャリスト/労働担当デスクが駆け付け、ADBが200億ドルの投資によりアジアにおける非正規女性労働者や移民労働者への支援、失業給付、雇用維持に取組んでいること、労使やその他ステイクホルダーとの社会対話の重要性、多国籍企業との交渉にあたってのUNI Apro金融部会の役割発揮への期待が表明された。

  1. 委員会構成の変更確認

事務局より委員の交代について説明があり、変更が確認された。東アジアで調整中となっていた女性議席への田嶋翠・労済労連単組(全労済アシスト労働組合)副中央執行委員長の指名が確認された。

  1. 活動報告

昨年11月にネパールでの委員会開催後、新型コロナウィルス感染症によりUNI Apro金融部会として予定されていた活動は中止や延期を余儀なくされた。そこで、プリヤラル担当部長が中心となって各国労組のコロナ禍の状況と取組み、今後の課題等について情報交換を行ってきた。それらをまとめた「 UNI Apro金融部会 COVID-19パンデミック後のアドボカシー活動」に関する報告が活動報告に代わり提出され、全会一致で確認された。また、現在加盟手続き中の台湾金融労連(TFFU)から、早期に新型コロナウィルス感染症の封じ込めに成功した経験についての詳細な報告が提出されたことについても留意された。

  1. UNI世界金融部会ポストCOVID19 戦略

デクリスト担当局長は、UNI世界金融部会委員会で確認されたポストCOVID19 戦略と今後の活動計画案について以下の通り概要を説明し、地域の実情に合わせた実施に向けて、加盟組織の協力を求めた。

  • 動画作成やグローバル行動デー開催などにより、エッセンシャルワーカーとしての金融産業労働者の社会的役割、より持続可能な社会に貢献する金融産業の目指すべき方向性について、内外にPRする。
  • 雇用を守るため、これまで以上に組織化と団体交渉を強化することが重要。団体交渉に関する作業部会を各地域で開催することを提案する。将来的には地域間でも情報交換を行いたい。
  • P&M委員会と連携し、リモートワークに関するガイドライン策定を進め、労働者の「繋がらない権利」を守る。
  • ILO対話フォーラム等の社会対話に積極的に関与し、労働組合の存在感を示す。
  • グローバル/地域の多国籍企業とのグローバル/地域枠組み協定の更新・新規締結を目指す。
  • EUの支援を受けているフィンテック・プロジェクトについて、地域とも連携して取組む。

質疑応答では、損保労連の景中事務局次長より、フィンテックについて特にどのような点に着目して取組んでいくのか?との質問があった。デクリスト担当局長は、「従来の銀行や保険会社も、フィンテックと柔軟に連携していくことができるはずだ。この分野について更に理解を深め、将来的にはフィンテック労働者を組織化したい」と意欲を示した。

  1. コロナ禍における金融部門の女性労働者の現状と課題

コロナ禍で金融部門の女性労働者が直面した課題と労組の対応等について、各小地域の女性委員から報告を受け共有した。東アジアからは女性委員として選出された田嶋委員(労済労連)が日本の金融部門女性労働者を巡る状況について報告した。いずれの地域においても、女性は育児、家事だけでなく、休校に伴う家庭教育等多くの役割を担いながらの在宅勤務を強いられ、心身の負担が増加したという共通の課題が報告された。続いて、UNI Apro女性委員会から提案された、コロナ禍からの復興において女性を主流化することを求める声明について、UNI Apro金融部会委員会としても支持を表明することが確認された。

  1. ポストコロナにおける組織化優先課題

2017年ジャカルタで開催された第5回UNI Apro金融部会大会で定めた5つの優先課題は変わらないが、具体的な進め方については、小地域ごとに作業部会を設置し、地域の状況に合わせて検討・実施していくことがプリヤラル担当部長より提案され、確認された。

2017~2021年UNI Apro金融部会活動計画優先課題:

  • 金融労組の組織化と強化―組織率を高める
  • 社会対話プロセスの制度化—アジア開発銀行(ADB)との関係を強化する
  • グローバル及び地域の規制・監督政策の策定に影響を及ぼす
  • フィンテックおよびスタートアップ企業との間でアライアンスを構築する
  • 金融労働者の雇用可能性を担保する

続いて、新たな取組みとして、モバイルアプリ等を利用したオンラインでの組織化の可能性について、クン・ワルダナUNI Apro ICTS部会担当部長が紹介した。金融部門のデジタル化が進み、フィンテック企業も多く参入する中、プラットフォーム労働者等、テレワークという形態で非正規やフリーランスで働く労働者が増加している。これらの労働者の多くは女性やデジタル世代と呼ばれる青年であり、彼らに接触し、組合活動への参加を促すために、モバイルアプリやオンラインツール等の活用が非常に効果的であるとの見解が共有された。

  1. 2020~2021年度UNI Apro金融部会優先課題

プリヤラル担当部長が活動計画作業文書に基づき、各小地域で主にオンライン作業部会を軸として活動を進めていく方針を説明した。東アジアでは、引き続きあらゆる機会を活用して組織化を進めること、また、日本、韓国、台湾の金融労組間の情報交換や連携強化を図り、団体交渉やリモートワーク等の関心の高いテーマで作業部会を立ち上げるため、年内及び、来年2~3月頃に計2回程度オンライン会議を開催することが提案され、今後日程等を調整していくことが確認された。

  1. 次回会議日程・場所、第6回UNI Apro金融部会大会

来年前半は各小地域での作業部会会議を行い、部会大会および委員会については、来年後半の開催になる予定である。具体的な日程、開催方法は決まり次第周知する。


ノーベル経済学賞受賞スティグリッツ教授、ポストコロナの復興に労組が果たす役割に期待

日本時間で9月28日深夜、UNI金融部会が主催したウェビナーに2001年ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授が招かれ、800人以上の聴衆を前に、コロナ危機における労働組合と金融機関の社会的役割について熱弁をふるった。
 
同氏は、米国が新型コロナウィルス感染症により世界最多の死者を出すという最悪の事態に至ったのは、トランプ政権が健康保険制度を崩壊させ、格差を拡大させ、国民の健康を顧みなかったためだと糾弾した。こうした中で、「賃金や労働条件を引き上げ、国民生活の向上を図ることにより、人々をパンデミックの危機から守り、真の変化をもたらすことができるのは、労働組合しかいない」と断言した。
 
また、スティグリッツ教授は、ポストコロナに向けては、このような事態を引き起こした元の世界に戻るのではなく、「ビルドバック・ベター(より良い社会の構築)」を目指さなくてはならないと強調。そのためには、富を独占しているGAFAなどの巨大テック企業への適切な課税、企業に説明責任を果たさせ内部告発者を守るためのルールの明確化、政府が社会政策を行うために必要な税収の確保等が必要だと述べた。
 
一方、金融機関には、2008年の金融危機を引き起こした時のように短期的利益を追求するのではなく、環境に配慮したグリーンな投資、倫理的な貸付を推進することで、新たな雇用を創出し、格差是正に貢献することを求めた。また、長期的視点で資産運用を行う必要性にも言及し、この点においては、単に利益を追求するのではなく、メンバーの福祉向上を目指して事業を行う協同組合や信用組合の役割が強調された。
 
最後に、「もし米国の銀行に労働組合ができたら、状況はどう変わるか?」という質問に対しては、「労働組合が使用者と団体交渉することにより、金融機関内に存在する格差が改善される。更に、弱者からの搾取や利益追求主義に走らないよう労組が事業を監視することにより、金融産業に社会的側面を与え、大きな違いをもたらすだろう」と組織化の意義を強調した。

ノーベル経済学賞受賞スティグリッツ氏、UNIウェビナーで講演

UNIが9月28日に開催するウェビナーで、ノーベル経済学賞を受賞したエコノミスト、ジョセフ・E.スティグリッツ氏が講演を行う。ウェビナーのテーマは、「世界が必要とする公正な経済の実現に向けて - ポスト・コロナ社会における金融の役割」。

スティグリッツ氏は、米国コロンビア大学教授、ルーズベルト研究所チーフエコノミストで、ノーベル経済学賞を受賞(2001年)。世界銀行で上級副総裁・チーフエコノミストを務めた。

ウェビナーを主催するUNI金融部会は、世界の銀行、保険等、金融機関の、237加盟組織、300万人の労働者を代表する。アンジェロ・デクリストUNI世界金融部会担当局長は、「我々のウェビナーにスティグリッツ教授をお迎えできて大変光栄だ」と興奮気味に語った。「金融産業の労働組合は、新型コロナウィルスの影響で問題に直面しながらも、人々や公共サービス、コミュニティに投資する、より持続可能な経済への移行を推進しようと努力している。そのような中で、教授の見識をお聞きするのを楽しみにしている。」

スティグリッツ教授は、所得分配、リスク、コーポレートガバナンス、公共政策、マクロ経済学、グローバル化に関する研究で知られ、著書も多い。最近の著書に「People, Power, and Profits: Progressive Capitalism for an Age of Discontent」(翻訳「プログレッシブ・キャピタリズム:利益はみんなのために」)がある。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「我々は今、極めて重要な瞬間にいる。コロナ後の国際経済をリセットする機会でもあるからだ。現在の経済システムをいかに持続可能なモデルへと転換していくか、いかに格差を削減し、労働者にもっと公平・公正な社会をもたらす経済へと転換していくか、スティグリッツ教授の見解に大いに期待している」と述べた。

ウェビナーは9月28日、日本時間23時から、UNIのフェイスブックでライブ中継される。


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