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危機の時こそ、世界の労働組合は労働者の権利を促進するため奮闘している

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、2020年3月30日、全ての加盟組織に以下のメッセージを送った。

皆様、家族、友人、コミュニティのことを心配しつつ、非常にストレスの多い日々をお過ごしのことと思います。コロナ禍が過ぎた後の世界は一体どうなっていることでしょう。収入保障や医療ケア、安全な仕事の無い人々にとっては悪夢です。UNIファミリーの多くの人がいつ終わるかわからない「ロックダウン(都市封鎖)」に近い状況下にあり、その数も増えています。在宅勤務を指示された人もいれば、仕事が無いと言われた人もいます。

また多くのUNIメンバーが大きなリスクに晒されながらも最前線で働いています。高齢者介護に携わる労働者、清掃員、警備員、食料品店等の労働者、郵便労働者等はみんな社会に必要不可欠とされています。毎日勇敢に感染リスクと闘っています。

一方で、テレビ・映画産業等、キャリアが中断され将来を見通せない労働者もいます。シーズン全体が中止という事態に追い込まれたスポーツ選手もいます。

UNIはこの間、加盟組織に連絡を取り、現場の声を集めることに努めてきました。加盟組織の新型コロナウィルス対策に関する優良事例を共有すると共に、皆さまが組合員を守る取組みを支援していきたいと思います。世界中の働く人々に適用される基準を勝ち取るため、組合として力を結集したいのです。ウィルスに国境は関係なく、我々が挑むには国境を越えた解決策が必要だからです。

全世界に感染が広まる直前の、約2週間前に、UNIは現状をよく理解するため加盟組織に初期の調査を行ったところ、我々の予想を超え、UNIの全ての部会から、そして5大陸、60か国、合わせて500万人近い労働者を代表する、170もの加盟組織から回答をいただきました。そこから得られたことは驚くまでもなく、組合は世界中の働く人々の状況をよくしているということでした。

この危険な中で組合員を守るため対応に奮闘されていることに敬意を表します。90%が、感染防止のため、組合員への情報提供を徹底していると答えています。

何百万人もの労働者は既に仕事を失い、この状況においては所得補償が決定的に重要となっています。組合があることは大きな違いをもたらすことができます。90%以上が、感染した労働者は、団体協約のおかげで、職場封鎖、隔離等の場合にも、賃金を全額受けることができると回答しています。多くの組織が、失職または一時解雇された労働者が国の制度上受けられる額に上乗せするよう使用者に要求しています。メディア部会の多くの加盟組織は、フリーランスのための特別な所得補償を交渉で勝ち取ったとのことです。

パンデミック(感染の世界的な大流行)は、何百万人もの労働者に在宅勤務を余儀なくさせました。50%以上が、新型コロナウィルス対策のため在宅または遠隔勤務をする時、組合員は明確に「つながらない権利」を持つ、つまり危機の間は「必ずしも常にオン」であることは期待されない、と回答しました。

皆さんの多くの組合員は、従業員の多い施設で働き、一般の人と接する仕事をしています。60%以上が、組合員はマスクや手袋等の個人用保護具不足に直面していると回答しました。例えば、清掃員、流通産業やコールセンターで働く人、介護労働者等です。そのような中で働き続け、更に超過勤務や週末勤務を要求されています。50%が、(使用者から)労働時間の延長要求を受けたと報告しています。例えば、食料品店、清掃部門、コールセンター、郵便部門、医療部門で働く人々です。

最後に、世界中の労働組合は、団体協約が確実に実行されるよう、そして、政府や使用者に労働者の健康と生計を守る新たな対策を要求する等、休むことなく取組んでいます。70%以上が、現在、有給病気休暇、安全衛生研修の強化、更なる保護具の支給等を要求していると回答しました。

今回、勝ち取ることのできた利益、とりわけ病気休暇や医療面の利益は(今回限りではなく)恒久的なものとするよう主張すべきです。83%の回答者は、労働安全衛生面の法律や、有給病気休暇の拡大等、恒久的な改革を要求する予定だと答えています。

UNIの殆どのスタッフ及び役員は現在、在宅勤務をしています。しかし、我々の多くの多様なメンバーの権益を代表する取組みを中断しているわけではありません。各部会は、優良事例を収集し、使用者にグローバルな基準を求めて精力的に交渉しています。3月27日には、UNIはUPU(万国郵便連合)と、新型コロナウィルスから労働者を保護する対策に関する協定を調印することができました。他の部会も、使用者と交渉するための指針を発表しています。

UNIは皆さんが使用者に、有給病気休暇や職場での適切な距離の確保等を交渉する取組みを支えていきます。まだ組合員でない人に、安全な労働条件を要求するため、団結を呼びかけ組織化をしています。コールセンターに手の消毒液設置を、食料品店にマスク支給を要求し過ぎることはありません。介護労働者に防護具なしに働くよう強制することがあってはなりません。

これは軽んじられるべきではありません。UNI加盟組織の中でも既に、少なくとも3人の、公衆と接する仕事に就くメンバーがウィルスに感染して亡くなりました。郵便労働者、食料品店労働者、警備員です。残念ながら、この先も死亡者が増えると予測されます。

そして、この危機が終息した時、壊れた経済を立て直し、社会契約を中心に据えた環境に優しい経済を再建する必要があります。危機の時こそ団結を強め、もっと強力な組織になりましょう。

労働者の生活を改善するため、皆さんが日々ご奮闘されていることにあらためて感謝申し上げます。どうぞ安全にお過ごしください。そして連絡を取り合っていきましょう。

連帯を込めて


韓国保健医療労組、新型コロナウィルス撲滅と医療制度改革のために団結

世界は、公衆衛生上、近年まれにみる最悪の危機に直面しているが、韓国の新型コロナウィルス対策は、他の感染国が見習うべきモデルであると称賛されている。UNI加盟組織の韓国保健医療労働組合(KHMU)が代表する医療従事者は、ウィルスを抑え込むための国の効果的な対策の中心で奮闘している。

新たな感染率や致死率が抑えられたのは、強く団結した韓国保健医療労働者の対応があったからであり、国民から労働者への支持は大きくなった。組合は、4月15日の総選挙までの間に、韓国の医療制度に必要な改革を要求するために、この支持を追い風にしている。要求事項として、国立感染症予防病院、国立公共衛生大学院、及び公立病院のスタッフ増員が加えられた。

「韓国の医療従事者は、新型コロナウィルス撲滅に向けて、いかに協力すべきかを世界に示してくれた」とクリスティ・ホフマンUNI書記長は称えた。「社会がうまく機能するためには、強固な保健医療制度において、勤勉で高度に訓練された医療従事者が守られていなければならない。この緊急事態に学んだことがあるとすれば、政府と使用者は、いかなるウィルス対策においても、人間を優先するために必要なことをすべきだ、ということだ。」

韓国の感染発生の震源地である大邱医療センターの看護師たちは、ほぼ常時(椅子や床で仮眠をする間でさえ)レベルDの特別防護服、二重の手袋、特殊ヘルメットを身に着けて、12時間シフト2交代で患者の世話に当たった。看護師の1人は、「家族のことがとても心配だったけれど、夫が子供たちの世話をするから心配しないでと励ましてくれた。人々の命を守るために一生懸命働きたい」と語った。

大邱のスタッフの負荷を軽減するために、韓国の他の地域からの医療スタッフが加わった。3月14日、ソウルの国立医療センターで働く看護師24人(KHMUの組合員)が、大邱に向けて出発した。アン・ソギュンKHMUソウル支部長は、出発前の看護師たちに、「大邱市で看護師不足が続いてると聞き、リスクを承知でこの困難な決断をした。最善を尽くしてほしい」と激励すると共に、無事を祈った。

労働者と患者を守る

ソウル大学校のユ・ビョンソン教授が、最近、ミョンジ病院の医師、看護師、事務スタッフ1300人を対象に調査をしたところ、53.4%が感染リスクにさらされていることが判明した。回答者の多くが、業務の激増により疲弊していると訴えた。そこでKHMUは、医療スタッフへの支援を政府に要求した。

KHMUの働きかけが奏功し、政府は医療従事者を守り補償するための補足的対策を発表した。これにより、現在コロナウィルス治療に当たっている計2124人(医師1128人、看護師793人、スタッフ203人)に、超過勤務手当が補償され、休憩時間が増やされ、マスクが追加支給される。

団結した迅速な対応

韓国における新型コロナウィルス感染数は、31人目の陽性患者(海外渡航歴なしの61歳女性)がスーパースプレッダー(感染拡大の感染源)となった1月後半に急増し始めた。この女性は、韓国南部の大邱市にある新天地イエス教会の礼拝に参加していた多くの信者を無意識に感染させた。この教会は、韓国全土に28万人の信者を抱える。

陽性確定数が増加するにつれて、大邱市長は、医療人員不足のため、韓国全土に支援を訴えた。各地の医師や看護師が支援要請に応じた。アン・チョルス野党代表も病院のボランティア活動に妻と共に参加した。多くの医師が彼らの医院を一時閉鎖して大邱に駆けつけた。

KHMUは、このような献身的な労働者の努力を称えるため、彼らに感謝のメッセージを送るよう、ソーシャルメディアキャンペーンを立ち上げた。国中から、愛と感謝のメッセージに加え、食料や果物が続々と寄せられている。


フレゼニウスの韓国における労働法侵害を非難

アルケ・ベシガーUNI副書記長は、韓国政府に対し、韓国の年金基金の運用先としてドイツのヘルスケア大手フレゼニウスと米国テクノロジー大手オラクルに投資することを厳しく見直すよう要求した。両社は、国際法で認められている労働者の権利を繰り返し侵害している。

2月21日に韓国の国会で開かれた記者会見で、韓国民主医薬労組(KDPU)を支持しながら、ベシガー副書記長は次のように語った。「我々は、2つの労組の代表から、結社の自由と団体交渉の権利を行使しようとしている中、ここ韓国で労働者が直面している困難な状況について聞いた。韓国においても、そして国際的にも認められている労働者の権利を順守する企業のみが政府の投資を受けるべきだ。政府はその影響力を行使して企業の行為を変えるよう要求すべきだ。」

ドイツに本社を置く多国籍企業フレゼニウスのグループ会社、フレゼニウス・メディカルケアでは、20回交渉してもゼロ回答であった。韓国の法律で勧告されている組合活動のための休暇を与えるといった労組の最も基本的な要求すら、会社側は拒否している。

「他国のフレゼニウス労働者が直面している障害と同様、韓国における問題は、同社に体系的かつ国際的な問題があることを示している。韓国フレゼニウス・メディカルケアとドイツの親会社フレゼニウスは、労働者の権利をこれ以上拒否せず、直ちに労組との有意義な交渉を始めなければならない」とベシガー副書記長は訴えた。

オラクルも、従業員と適切な雇用契約を締結していないことは韓国の労働法違反だとして、労組から非難されている。会社側は労働者の残業手当や年次休暇の補償も否定している。

ドイツ・バドホンブルグに本社のあるフレゼニウスは、世界で29万人の労働者を雇用し、年商約300億ユーロ(323億ドル)を記録するヘルスケアの大手企業である。韓国では、主に栄養食品を販売するフレゼニウス・カービと、人工透析器、透析液の販売、サービスを提供するフレゼニウス・メディカルケアを営業している。


ケア労働者、ディーセントワーク世界行動デーにより良い労働条件を要求

今年のディーセントワーク世界行動デーに、UNIとUNIケア部会加盟組織は共に、ケア産業への投資と、ケア産業を支える労働者の尊重を要求した。

10月7日、12回目のディーセントワーク世界行動デーとなる今年のテーマは「ケア産業への投資」。労働者や患者が直面する多くの課題を克服するため、各国政府及び業界の多国籍企業に対し、ケア産業への更なる投資を要求した

UNIは、全てのケア労働者に対するディーセントな労働条件、適切な賃金、団体交渉を要求している。とりわけ使用者には、ケア労働者が安全に働けるよう、適切なスタッフ配置と訓練を提供するよう要求している。

「この日を機会に、ケア産業の企業化と、それが労働者や患者にとって意味することにスポットライトを当てたい」とクリスティ・ホフマンUNI書記長は述べる。「フレゼニウス、ORPEA等、ケア産業の大手多国籍企業には、全てのケア労働者が職種や使用者に関係なく、尊厳や敬意をもって扱われるようにしてほしい。」

エイドリアン・ドゥルチUNIケア部会担当局長は、「在宅介護はグローバル経済の中で最も急速に成長している分野だ。そこで働く人々は、社会の中で最も弱い立場にある人々の世話をしている。団体交渉を通じて、彼らにディーセントな労働条件を確保していかなければならない。使用者の“底辺への競争”は押し返さなければならない。」

ニュージーランドのE tū、インドのRMS、ネパールのUNIPHIN等、世界で組合がデモや集会を行った。アフリカではUGTTが病院や介護施設で、欧州ではポーランドやチェコのORPEA労働者が連帯行動を行った。オーストリアのVida、ベルギーのSETCA、スペインのCC.OOは、長期介護に関する啓発キャンペーンを行った。

ミゲル・ズビエタUNIケア部会議長(アルゼンチン FATSA)は、アルゼンチンの何百人もの在宅介護労働者とデモに参加した。ペルー、チリ、ウルグアイの仲間ともライブ配信でつながった。ズビエタ議長は、ケア産業の仕事は極度に感情的かつ体力を要する仕事であることを強調し、全ての労働者に尊厳、訓練、団体交渉権が必要だと訴えた。

この日のもう1つのテーマは、よりジェンダー平等なケア産業とすることだ。ケア産業の仕事は主に女性が行っているが、過小評価されており、低賃金と不十分な労働条件である。


UNI-LCJ/インド加盟協セミナー

2019~2022年度UNI-LCJ海外活動の方向性において、インド労組の支援を4年継続することを確認した。 2019年9月21~22日、インド・ムンバイにおいて、UNIインド加盟組織協議会(UNI-ILC)から22人が参加した。 日本からは、情報労連・髙代中央執行委員を団長に、UAゼンセン、自動車総連、JP労組から講師が参加した。各講師は次のテーマで日本の経験を共有した。

団長:情報労連 中央執行委員  髙代 守「日本の労働組合―概要、機構、課題」

講師:UAゼンセン 総合サービス部門副事務局長  武藤 剛「パートナーシップ労使関係」

講師:自動車総連 組織局部長  南 考謙「日本の組織化事例」

講師:JP労組 中央執行委員  川本 秀幸「正規・非正規雇用の格差是正」

セミナーの目的の1つはインドの若手・女性組合員に、「労使パートナーシップ」の概念を紹介することである。また、労働組合が同一産業内または企業内において複数競合するインドにおいて、労働組合間で連携・協力・団結することによる交渉力強化と組合の能力強化の必要性も強調した。参加者は講師の詳細なプレゼン後、質疑応答を通じて、より理解を深めることができた。 UNI-ILCに加盟する郵便部会、金融部会(銀行労組)、メディア部会(ラジオ局労組)、印刷・パッケージング部会(新聞労組、造幣局労組)、ケア部会(病院労組)と様々な加盟組織から参加があり、女性参加比率40%、青年参加比率40%を達成した。

セミナーの翌日(23日)、「社会パートナーとの対話」として、ムンバイ中央郵便局を訪問し、経営陣との意見交換を通じて、日本の労使パートナーシップについて紹介すると共に、インドポストの労使関係や、デジタル化・新技術の導入に対する考え方について聞いた。

また、「グローバル化と労働」を専攻するTISS(タタ社会科学研究所(大学院))の修士学生に、日本のパートナーシップ労使関係について紹介し、学生からの様々な質問に答えた。


UNIネパールの仲間、UNI Apro地域大会受入れまでカウントダウン

本年11月に、ネパールの首都カトマンズで第5回UNI Apro地域大会が開催される。UNIネパール加盟組織協議会(UNI-NLC)はホスト国として、大会の成功を支えるため、ボランティアの育成を始めている。2019年7月14日、日曜日にも関わらず、UNIネパール加盟組合の若手組合員や大学生ら約100人がカトマンズのイエローパゴダホテルに集まり、ボランティア育成セミナーが実施された。

開会挨拶の中で、シャンカール・ラミチャーニUNI-NLC議長は、ネパールにおける労働組合及びUNI Aproについて簡単に紹介した。続いて、アロック・マーラ担当が大会受入れ準備状況を説明し、大会ロゴをデザインしたマヘンドラ・シュレスタIMPRESSION(通信・メディア・グラフィック労連)委員長がロゴの意味を解説した。その後、UNI日本加盟組織連絡協議会の小川事務局長が、2010年に長崎でUNI世界大会を受入れた際のホスト国としての経験を共有した。

シャンカール議長は、「就職前の学生にも、組合活動や集団で行動する意義と楽しさを体感してもらうため、UNI Apro地域大会受入れという好機を活用したい」と、ボランティアとして大学生を動員する理由を明かした。「ネパールの労働運動には、民主的な組織から、イデオロギーの異なる政党によって支援された組織まで、様々ある。そのため、一般的には、労働組合といえば政治色の強い組織が競合し合っているイメージが蔓延している。UNI-NLCは、メンバーのスキル訓練や組合の交渉力強化の訓練を重視し、日本の組合のように被災地復興支援等の社会貢献活動を行ったりして、組合のイメージ改善に努めている。」

参加者はこの他、チームビルディングのゲームを行ったり、大会期間中のタスク毎にチーム編成を行ったりした。

UNI Apro地域大会は今回、初めて南アジアで開催される。4年前に計画されていたが、2015年4月に大地震が発生し、開催地の変更を余儀なくされた。大地震からの復興と、変化を遂げようとしている組合運動を見せようと、ネパールのUNIの仲間は張り切っている。UNI-NLCには、商業、金融、ICTS、メディア、警備、郵便・ロジスティクス、ケア、ゲーム、美容・理容部会の18加盟組織、10万人のメンバーが結集している。ナショナルセンター加盟は、NTUC、GEFONT、独立系と異なるが、シャンカール議長のリーダーシップの下、協力してUNI Apro地域大会準備に尽力している。


第2回UNI世界ケア部会大会

2019年2月13~15日、イタリア・ローマにおいて、第2回UNI世界ケア部会大会が開催され、世界30国、35組織より約110人が参加した。日本からは、UAゼンセンの原田光康総合サービス部門事務局長と、古川政信社会保険病院労働組合組合長が出席した。

エイドリアン・ドゥルチUNIケア部会担当局長は、活動報告の中で、以下の課題について指摘した。

  • 高齢化が世界的に進む中で、ケア労働者の処遇が課題
  • 移民労働者や女性労働者への対応の視点が必要
  • 金融危機以降は、広く民営化の動きなどもある中で、同等の処遇をどう維持していくかが課題
  • ヘルスケア多国籍企業への対策が必要であり、働く人を重視すべき人間的な事業であるにもかかわらず、本社のある自国以外では利益重視の経営になっていること

大会では、カソリック系医療施設で働く労働者の労働条件改善、高齢化社会における医療・社会ケアの将来、長期医療介護施設・病院におけるより良い労働条件に向けた取組み、多国籍企業と利益追求型企業における取組み、団体協約とトレーニングの重要性、等のテーマが取り上げられた。団体協約とトレーニングの重要性のテーマでは、古川組合長より、①組合協議体制から交渉の仕方、②医療安全の取組み、③訓練のシステム・体系、④労使共同で行っているトレーニングについて報告を行った。

部会役員として、オカンポ議長が退任となり、新議長としてミゲル・ズビェタ氏(アルゼンチンFATSA)が選出された。


労働組合と平和―UNIは平和への取組みを続ける

7年ぶりに長崎を再訪したフィリップ・ジェニングスUNI書記長は、「核兵器の終わりか、それとも、私たちの終わりか」という、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞した際の、ベアトリス・フィン事務局長の演説の一節を引用した。長崎は、2010年のUNI世界大会の開催地。その大会でUNIは、核兵器のない世界を創る取組みを確認した。「私たちが終わる」脅威。世界中にはまだ1万5千発を超える核兵器が存在する。ジェニングスUNI書記長は、長崎の平和大使として世界に核兵器廃絶を訴え続けてきた。

UNI-LCJは3月1日、長崎で、ジェニングスUNI書記長の再訪を歓迎する会を開催し、当時のUNI長崎連絡会役員及び加盟組織役員等40人が集まった。中村法道長崎県知事、田上富久長崎市長も出席した。田上市長は挨拶の中で、「分断された世界において、平和の構築に労働組合の声は極めて重要だと認識している」と述べた。生存する被爆者が減っても、平和へのメッセージが忘れられてはならない。ジェニングスUNI書記長は、「労働組合は平和運動と連携し、長崎及び広島の被爆者の経験を語り継いでいく義務がある」と訴えた。

中村県知事は、UNIが長崎で大会を開催したことにあらためて感謝した。その上で、6月に退任するジェニングスUNI書記長に、今後も「長崎奉行」として長崎の思いを世界に発信し続けてほしいと期待を寄せた。

2010年以降も、UNIと長崎との友好関係は続いており、毎年スイスにあるUNI本部に長崎からの平和大使を受け入れ交流している。UNIはICANとIPB(国際平和ビューロー)のメンバーでもある。「平和」は6月に英国・リバプールで開催される第5回UNI世界大会の議題としても取り上げられる。平和はUNIの取組みの中心にある。なぜなら、社会正義がなければ平和が構築できるはずがないからだ。「平和なくして正義なし、正義なくして平和なし。」

UNI運動の目標は150か国から集う加盟組織の間に連帯を構築することである。2017年だけで15万7千人もの尊い命が紛争で失われた。犠牲になるのは人々であり、荒廃した国を再建するのも人々である。150年前、英国・マンチェスターで初の労働組合会議が開催された時から、労働運動は常に平和運動の推進者でもあった。

世界を見れば、労働運動はいつも勇気をもって危険をかえりみず、平和を求める闘いの中心にあった。独裁者に立ち向かい、民主主義と人権を求めて闘い、時には命を落とすこともあった。コロンビア、南アフリカ、北アイルランド、チュニジア、チリ、ブラジル、アルゼンチン、フィリピン、ネパール、インドネシア…労働組合がいかに民主主義、社会正義、そして平和のために立ち上がったかはあまり語られないが。

2007年のICAN創設以来、より多くの平和・核兵器廃絶推進団体が連携を図り、2017年7月7日、122か国が賛成し、核兵器禁止条約が採択された。現在まで50を超える国が批准した。地雷及びクラスター爆弾禁止条約もこの動きを後押しした。

2010年のUNI長崎世界大会で、核兵器のない世界の構築に向けた新たな勢いが感じられた。世界週末時計が深夜まであと2分と迫る中、我々はこの取組みを継続していかなければならない。

ジェニングスUNI書記長は最後に、2017年のノーベル平和賞受賞式で演説した広島の被爆者、サーロー節子氏の言葉を引用した。「今日私は皆さんに、広島と長崎で非業の死を遂げたすべての人々の存在を感じていただきたい。皆さんに、私たちの上にそして私たちの周りに、 25万人の魂の大きな固まりを感じ取っていただきたいと思います。その一人ひとりには名前がありました。一人ひとりが、誰かに愛されていました。彼らの死を無駄にしてはなりません。」

UNIリバプール世界大会では、 時が流れても、犠牲者の死が決して無駄にならないよう、我々は取組みを進めていくことを示す。


ネパール大地震から2年、UNIの仲間から感謝

UNI日本加盟組織連絡協議会

松浦議長

 

本日、4月25日、8,000人を超える犠牲者を出し、多くの人が住む場所を失ったネパール大地震から2年が経ちました。数多くの歴史的、象徴的建築物が一瞬にして瓦礫と化しました。地震のような自然災害は予測不可能で壊滅的な被害をもたらします。私たちは常に、自然の前では無力であります。

この危機によって私たちは精神的にダメージを受けましたが、同時に、連帯と集団の力の重要性を教えられました。支えてくださる人々がいれば、究極の絶望と恐怖の中にあっても、それは時に、力に変わることがあります。社会運動の活動家である私たちは、常に自らの社会的責任を心掛けていなければなりません。

苦境にある人々の顔に微笑みを取り戻すために、私たちは頑張ってきました。労働組合として、私たちは限界もわきまえながら、同時に、恵まれないコミュニティに対して、私たちの義務と責任を全力で果たそうとしています。更に、ありとあらゆる方法で彼らの生活水準を高める計画に取組んでいます。

私は、UNIネパール加盟協(UNI–NLC)と加盟組合を代表して、皆様からの寛大なご支援があったからこそ、こうした活動が実現できたと、謹んで申し上げます。皆様の、被災者へ寄り添う温かいお気持ちと復興に向けた惜しみないご支援のおかげで、私たちは悲しみの中にも希望と力を見出すことができました。

皆様からの大きなご支援によって、私たちは瓦礫の中から新しいエネルギーと復興への誓いをもって、再び立ち上がることができました。心より御礼を申し上げます。

 

UNI–NLC議長

シャンカール・ラミッチャン

 

■UNI–NLC震災救援・再建支援活動報告

2015年4月25日は、ネパール史上、最大の悪夢と言える。この大地震によって、8,000人を超える犠牲者が出、無数の人々が家族や家屋を失った。そのインパクトはあまりに甚大で、生活はほぼ元に戻ったとはいえ、未だに精神的苦痛を感じている人が多い。

政府、NGO、個人等による直後の救援物資配給の取組みは、賞賛に値する。しかし、不安定な政治状況に加え、地理的、気候的問題のために、再建プロセスは順調にはいかなかった。

労働組合は社会の重要な構成員であり、労働運動は重要な社会運動である。労働組合は社会的責任を果たさなければならない。それを踏まえて、UNI–NLCは、その力量の範囲で、またUNIをはじめとする様々な友誼団体の寛大なご支援を受けて、被災者の苦しみと悲しみを和らげるために努力している。UNI–NLCの支援活動第1段階の概要は次の通り。

第2段階として、UNI–NLCは、被災した靴製造者のグループのために、2つのコミュニティハウスの建設に取組んでいる。彼らは暮らしが貧しく、衛生面の認識が全くない。そこで、UNI–NLCは以下の目的で彼らの生計支援プログラムを実施している。

  • 再建:コミュニティハウス
  • 健康、衛生面の改善
  • 女性のリプロダクティブヘルスの認識の改善
  • 基礎教育
  • 収入を得るための技能訓練
  • 協同組合を通じたコミュニティの人々の組織化

貧困は決して誰も望んでいるわけではない。貧困撲滅には全ての人々の努力を結集することが必要だ。従って、人々が貧困を克服することができるよう、技能開発、収入を得るための訓練が行われている。

最後に、UNI–NLCは長期的利益のために協同組合に従事することを決めた。UNI–NLCは常々、被災者の涙を拭うための取組に対する、組織や個人からの寛大なご支援に感謝している。

 


ドゥルチUNIケア部会担当局長、日本の介護の現場を視察

2017年4月10~11日、UNI本部よりエイドリアン・ドゥルチUNIケア部会担当局長が来日し、UAゼンセン本部及び加盟組合の日本介護クラフトユニオン(NCCU)、更に都内にある介護施設の現場を訪問した。同局長は2016年9月に就任後、初めて来日し、日本の少子高齢化社会を背景とするケア産業の現状と課題、ケア労働者を巡る問題について見識を深めた。

10日は、UAゼンセン本部を訪問し、総合サービス部門の古川事務局長からUAゼンセンの組織概要と総合サービス部門全体について、伊藤執行委員から医療・介護・福祉部会の組織現勢、主な活動内容、介護労働者の人材不足、処遇改善等の政策的課題に対する取組みについて説明を受けた。ドゥルチ局長は、今後、世界及びアジアで同部会活動を推進する上で、日本のような労使対話に基づく建設的労使関係を模範としていきたいと述べ、UAゼンセンに継続的な情報共有と連携強化を要請した。

11日は、NCCUを訪問し、久保会長、染川事務局長、村上政策部門長と懇談した。まず、染川事務局長より日本の介護保険制度、NCCU誕生に至る経緯、活動内容、組織拡大、政策、今後の課題等について説明を受けた。続いて、村上政策部門長が「介護ロボットとICT」と題して、政府の一億総活躍プランに基づき厚生労働省が推進している介護ロボット導入支援事業や介護サービスにおけるICT活用実証研究事業について説明した。その後、NCCUの組織化の課題、日本の介護産業における介護ロボットの活用状況と今後の展望等を中心に意見交換が行なわれた。欧州ではロボット等AIの活用により雇用が奪われるのではないかとの懸念が強いが、日本ではどうか?との質問に対しては、急激な高齢化で介護人材が不足する中、負担の大きい作業の軽減による労働環境の改善への期待が大きいこと、一方で介護ロボットは依然として導入コストが高く、ICTの扱いに習熟した人材も少ないこと等から普及はなかなか進んでいないという回答があった。

最後に、東京都内の高齢者ケアセンターを訪問し、同社の国内外での事業展開について説明を受けた後、介護労働の現場を視察した。ドゥルチ局長は、欧州にはない通所形のデイケアサービスや、入浴介助用機器類等に関心を示し、多くの質問をした。


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