フランスで開催のAIアクションサミット:多くの使用者が団体交渉、研修、サプライチェーンの公正性に対する支持を示す

2025年2月中旬にフランス・パリで開催されたAI アクションサミットでは、70社以上の使用者が『Pledge for a Trustworthy AI in the World of Work(仕事の世界における信頼できるAIについての誓約)』に署名した。この誓約には、団体交渉や労働組合との協議、トレーニングやスキルアップ、さらにはAIのサプライチェーンにおける労働基準の向上といった重要なコミットメントが含まれている。

この文書は、サミットの重要な成果のひとつであり、企業によるコミットメントをOECD、国際労働機関(ILO)、G7の最新枠組みと整合させ、労働者を代替するのではなく支援するAIの推進を強化するものだ。

サミットにパネリストとして参加したクリスティ・ホフマンUNI書記長は、今回の署名を歓迎し、次のように述べている。

『今回の誓約は、労働者の権利を尊重し、公正な経済を促進する形で人工知能を活用する動きに近づくものであり、先駆的な署名者のリーダーシップを称賛したい。サミット後の数週間で、我々は協力してこれらの誓約を具体的な行動に移さなければならない。つまりAIの影響を受ける人々、およびそのデータサプライチェーンの労働者の両方に対して、社会対話と団体交渉を拡大する上で真の進歩を遂げるということだ。またAIが雇用に影響を与える中、トレーニング、専門知識、スキル構築への投資を増やすことも意味する。これは規制に取って代わるものではなく、公益のためのAIを推進する政策を補完するものだ。我々は今後、使用者、政府、国際機関と協力し、ここに定めたコミットメントを強化し、AIをディーセントワークと経済的正義の推進力とするよう努めていく。』

文書の全文はこちら(英文)から。


南アジアのコミュニティ・ヘルスワーカーが団結

スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュのコミュニティ・ヘルスワーカー(CHW)労組のリーダーたちが、南アジア全域でCHW運動を強化するための新たな取組みを開始した。

UNIとSAGE基金の支援を受けるこのプロジェクトは、CHWの労働条件の改善、雇用形態の正規化、労働者としての権利の確保を支援することを目的としている。

プロジェクトの立ち上げ集会は、スリランカ最大の女性医療労組である政府助産師サービス協会(GMSA)が主催し、コロンボで開催された。この集会は、CHWの指導者が経験を共有し、キャンペーン計画を策定し、組織化と研修能力を強化するためのワークショップに参加するためのプラットフォームとなった。

女性主導の強力かつ民主的で独立した労働組合の結成、労連ネットワークの拡大、労働構造改革の提唱などを通じて、労働組合は団結してその力を強化することができる。このキャンペーンは、地域医療の取組みは労働であり、それに従事する労働者はボランティアではなく、公正な賃金、社会的保護、団体交渉権を当然にも享受する存在であることを明確にし、人々の意識変化を促していく。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「CHWは南アジア全域の医療制度の要であるにもかかわらず、依然として不安定な状況に置かれている。このイニシアティブは、CHWの権利を確保し、労働組合を強化し、ボランティアではなくエッセンシャルワーカーとして扱われるようにするための重要な一歩だ」と取組みの意義を語った。

GMSAスリランカのデビカ・コディトゥワク委員長は、「我々の組合は大きな力を持ち、その力を他の労働組合と共有している」と連帯を強調した。

ヘボン・ネパールのコピラ氏は、正規の労働者として認められることの重要性を強調し、「長年、我々は見返りを期待することなく地域社会を大切にしてきた。今、UNIとSAGE基金の支援を得て、我々は正当な承認を求めて闘っている」と訴えた。

また、ALPUパキスタンのブシュラ・アライン氏は、このイニシアティブを女性のヘルスワーカーにとって画期的なものだと述べ、「このプロジェクトは、公正な賃金、より良い労働条件、そして正当な承認を求めて闘う我々の力を後押ししてくれる」と語っている。

同じくパキスタンのPCHWUから参加したアフシャン・ババール氏は、「今日のトレーニングが明日のリーダーを育成していく。保健医療の労働者が成長すれば、地域社会も発展していく」と取組みに期待を寄せている。

このプロジェクトにより、UNIとパートナー組織は、南アジアにおけるCHWの状況を変え、彼らの声を拡大し、権利を向上させ、より広範な労働運動の強化に尽力している。


フランスでリドル労働者がストライキ

フランスでリドル(食品小売)の従業員が、不十分な賃上げや全店舗での日曜営業を強制とする計画に抗議し、2025年2月7日より無期限ストライキを開始した。

5つの労働組合(UNI加盟の4組織=FO、CFDT、CFTC、CGT、およびCFE)が組織したスト参加者たちは、リドルに対し、労働条件の改善、人員不足の解消、そして従業員の過剰な負担を軽減するため、リドルの業績目標の修正を求めている。

約1,600店舗で45,000人以上の従業員を擁するリドルは、競争の激しいフランス市場において、フランス以外の食品小売業者としては最大の規模を誇っている。だが成長を続けているにもかかわらず、リドルは従業員への投資を十分に行ってこなかった。2022年以降、同社は2,200人以上の従業員を削減し、残った従業員に200万労働時間相当の追加業務を強いている。

この人員削減により、サービス品質の低下を招き、特に小売業界が価格競争に直面する中、リドルの業績に直接的な影響が及んでいる。だが、こうした構造的な問題に対処するために同社は、従業員や店舗運営に投資するのではなく、従業員の給与を削減し、より高い業績目標を課すことで対応してきた。2019年から2024年の間に給与の増加はインフレにほとんど追いついておらず、さまざまな職務の従業員間で給与に大きな格差が生じている。

同社が効率性を追求するあまり、過剰な労働負荷が生じ、特にリドルの倉庫では、すでに業界最悪レベルの事故率がさらに悪化するという憂慮すべき事態が生じている。 一方でリドルが日曜営業の拡大と日曜シフトの義務化に固執していることに対しては、5つの労組すべてが強く反対している。現在、リドル店舗の半分のみが日曜日に営業しており、2016年以前に採用された従業員については、日曜日の勤務は任意となっている。

数か月にわたる交渉の後、2025年2月5日に行われたリドル経営陣と労働組合代表による最終協議は合意に達することなく終了した。要求を拒否する会社に業を煮やした労働者は、「無期限ストライキ」に踏み切った。すべての労働者が同日ストライキを行うわけではないが、今後数日~数週間にわたって、フランス全土のリドル店舗でストライキが実施される予定だ。店舗閉鎖に加え、労働者の要求を発信するためのデモや行動も計画されている。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「UNIは適正な賃金と日曜日の休息の権利を要求するフランスのリドル労働者に連帯する。低価格が労働者の生活と福利を犠牲にするものであってはならない。我々はリドルに再考を促し、労働者を尊重し、労働組合との交渉の場に戻るよう強く求める」と述べた。


フィラデルフィアのホールフーズで労働組合が歴史的な勝利を獲得

フィラデルフィアのホールフーズの従業員が、北米食品商業労組(UFCW)の1776支部とともに労働組合を結成した。アマゾン所有の食料品チェーンでは初となるこの歴史的勝利は、高級食品小売業者における多くの勝利の第一歩となることが期待される。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ホールフーズの労働者は、アマゾンによる攻撃的な組合潰しを乗り越え、職場での発言権を獲得した。この勝利は、米国のホールフーズ労働者だけでなく、世界中のアマゾン労働者にとっても大きな励みとなる。世界で最も強力な企業であっても、労働者が団結して公正な待遇を要求することは阻止できない。それを示す勝利だ」と述べ、労働者の断固とした姿勢を称賛した。

全米労働関係委員会(NLRB)が実施した選挙において、 ホールフーズ・フィラデルフィア店の従業員の大多数がUFCWへの加入に賛成票を投じた。アマゾンは、倉庫、配送業務、そして今回のような食料品店を含む全事業部門で労働組合に対する攻撃を仕掛けてきたが、投票は実施された。

UFCW1776支部のウェンデル・ヤング会長は、「この闘いはまだ終わっていないが、今日の勝利は重要な前進だ」と語り、「我々はホールフーズを交渉の席につかせ、従業員のニーズと優先事項を反映した初めての公正な協定を交渉する準備ができている。フィラデルフィアの従業員は、昨年早くから組合結成に向けた運動を開始した。賃上げ、利用しやすい医療保険、育児支援、ワークライフバランスと労働条件の改善などを要求事項に掲げている」と説明した。

マーク・ペローネUFCWインターナショナル会長は、「我々は今日、自らにふさわしい組合代表を得るために団結したフィラデルフィアのホールフーズ労働者の素晴らしい勝利を祝福したい。この勝利は、団結すればどんな大企業にも立ち向かい、勝利できるという力強いメッセージを、世界中の労働者に送るものだ」と称賛した。

ホールフーズが組合の取組みを理由にフィラデルフィア店の従業員の賃上げを保留にしたことについて、UFCW1776支部はすでにNRLBに申立てを行い、組合支持の従業員に報復したことを非難している。


新たなUNI調査報告書:自動車産業の変革が労働者の課題と組合成長の必要性を浮き彫りに

UNI世界商業部会が委託した新しい調査報告書は、熾烈な競争と自動車産業の大変革の中で良好な労働条件を確保する上で、自動車販売業における組合代表の重要性を強調している。

ルーマニアのシンデックス社が実施した調査報告書『世界の自動車市場の動向と自動車販売業界の変革』の主な調査結果は、以下の通り。

●小売業の従業員数が製造業の従業員数を上回る:自動車製造における新技術とオートメーション、および販売とアフターサービスの大幅な成長により、この業界の雇用構造は変化している。EU(小売業350万人、製造業240万人)や日本(小売業100万人、製造業88万3000人)などの主要市場では、自動車小売業に従事する従業員数が製造業の従業員数を上回っている。

●回復は成長市場が牽引:自動車販売はパンデミックにより大きな打撃を受け、それに続いてサプライチェーンの制約、高インフレ、金利が需給の両方に圧力をかけている。2024年の世界自動車市場は成長を続けているが、2023年よりもペースは鈍化している。欧州、米国、イタリアなどの主要市場は、依然としてパンデミック前の水準に達しておらず、完全な回復にはさらに2⁻3年を要する可能性がある。一方、中国、インド、ASEAN諸国などの成長市場は、パンデミックから回復しただけでなく、パンデミック前の水準を上回っている。

●中国の影響:中国は世界最大の市場であり、最も急速に成長している。小型自動車の販売台数は2,600万台を超え、西欧および中欧の市場を合わせたよりも大きな市場となっている。生産面では、中国の競争相手は既存の企業にとって真の脅威となりつつある。特に電気自動車に関しては、技術面でも価格面でも他に類を見ない競争優位性を持つ中国ブランドは、中国国内および海外市場の両方でシェアを拡大している。その結果、多くの企業にとって中国は収益性を支える鍵であったため、欧州および日本の自動車メーカーは深刻な困難に直面している。

●電動化が業界を変える:電動化は間違いなく、この100年で自動車業界が経験した最も重要な変革である。ハイブリッド車や電気自動車の台頭は、ほんの数年前には予想もできなかったペースで続いている。2023年には、電気自動車(バッテリー電気自動車とプラグインハイブリッド車を含む)が約1,400万台販売された。2019年には電気自動車の市場シェアは約2%であったが、2023年には18%に達した。 政府による規制やインセンティブは、依然として電動化の重要な推進役となっている。

●スマートカーと変化する顧客ニーズ:ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV、スマートカーとも呼ばれる)は、電気自動車と並行して徐々に標準となりつつある。特に成長著しいアジア市場では、ほとんどの顧客がデジタル機能に対してより高い金額を支払うことを惜しまない。従来の自動車メーカーは、より高度なデジタル接続性を求める需要の高まりに対応しようと苦戦しているが、電気自動車メーカーや新規参入企業は、すでにソフトウェア技術に多額の投資を行っているため、変化する顧客ニーズに迅速に対応している。

●「オムニチャネル」の自動車販売モデルが標準に:電気自動車への移行と競争の激化を背景に、従来のフランチャイズディーラーネットワークから代理店モデルや顧客への直接販売モデルへの移行が予測されていた。しかし最近の動向を見ると、新しいパラダイムは、実際には「オムニチャネル」となっており、自動車メーカーは市場の特性に応じて3つの販売組織モデルすべてを展開することになりそうだ。従来のフランチャイズディーラーは今後も残るだろうが、代理店や顧客への直販モデルからの挑戦はますます激しくなるとみられる。

自動車販売業者は、複数の課題に直面している。今回の調査では、自動車販売業者が直面する主な課題として、以下の点が明らかになった。
●自動車販売業界は、小売業界の他部門と比較して、パンデミックからの回復に非常に長い時間を要しており、その結果、自動車販売部門の労働者の権利、労働条件、給与、団体交渉力に一層大きな圧力がかかっている。
●自動車販売の公正な移行のためには、リスキリングやスキルアップがこれまで以上に重要になっている。 電動化、デジタル化、スマートカーへの需要の高まりにより、自動車販売に携わる労働者の働き方、職務、必要なスキルは変化している。
●製造業と小売業の両方で、労働者は中国との競争による悪影響を受けている。 特に欧州の自動車メーカーは、中国市場での業績低下に対応するため、大幅なコスト削減策を発表している。
●フランチャイズディーラーと直営代理店の両方で働く自動車販売の労働者は、高インフレ、高金利、中国メーカーとの価格競争により、さらに大きなプレッシャーにさらされている。自動車メーカーは、ディーラーや自動車販売に携わる労働者の犠牲を払ってでも、利益率と競争力を維持するための新しい方法を模索している。
●フランチャイズから直販または代理店モデルへの移行は、自動車小売業における雇用、業務、スキル、業務量、競争に重大な影響を及ぼす可能性がある。自動車ディーラーへの悪影響は、ディーラーから自動車メーカーへの業務の移行が主な原因となって、雇用が約7%という驚くべき減少を示していることからも、すでに明らかである。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「この調査は、自動車販売業界の大変革がもたらす課題から労働者を守るために、この部門における組織化の強化が急務であることを示している。我々は、加盟組織と協力して業界の動向を調査し、国際的な交流と連帯を通じて自動車販売業における組合の力をさらに強化する機会を模索していきたい」とコメントした。

UNI世界商業部会自動車販売労組ネットワークは、日本のUNI加盟組織である自動車総連の提案により、5年前に結成された。2020年と2022年に2度のオンライン会議を経て、2023年にイタリアで、2024年にはトルコで、対面式の会議が開催された。次回の会議は2025年後半にマレーシアで開催される予定である。

UNI世界商業部会は、ルーマニアのシンデックス社と提携し、毎年この部門の調査を実施している。最新の報告書の日本語訳はこちらから。


人権デューディリジェンス:労働組合のための新たなツールが形に

労働者の権利を保護する労働組合の力を強化するための新たな取組みが具体化しつつある。UNIがドイツの労働組合総連合DGBおよびフリードリヒ・エーベルト財団(FES)と提携し、2025年に人権デューディリジェンス・コンピテンスセンターを設立する。センターの目的は、労働組合が新しい人権デューディリジェンス法を活用して労働者の権利を効果的に保護できるようにすることだ。

任意の企業責任から企業責任の義務化へ
OECD多国籍企業行動指針や国連ビジネスと人権に関する指導原則など、従来の任意の規範を基に、ドイツ、フランス、EUの人権デューディリジェンス法は、グローバルな事業活動やサプライチェーン全体を通じて、労働者の基本的権利を含む人権尊重を確保するため、大企業に法的拘束力のある義務を課している。多くのグローバル・サプライチェーンが存在するアジア太平洋地域の労働組合にとっては、多国籍企業との社会対話を強化する大きな機会となる。この法律は、企業に対してグローバルおよびローカルの両レベルで労働組合などのステークホルダーと関わることを義務づけており、労働者の権利問題に関するより体系的で有意義な社会対話を促進する可能性をもつ。

今後開設されるコンピテンスセンターは、次の3つの重点分野を通じて、欧州の法律とグローバルレベルでの実施との間のギャップを埋めることが期待される。
●デューディリジェンス法を効果的に活用するための労働組合の能力強化
●労働者の権利への影響に関する具体事例への支援
●企業および政策立案者に対する人権デューディリジェンス法の効果的な実施の提唱
●協議ワークショップ

2025年1月15日にはオンラインでの協議ワークショップが開催され、UNI加盟組織、姉妹GUF組織、そしてアジア太平洋・アフリカ全域のFES各国担当者ら60人以上の参加者が集まった。このワークショップは2025年初の重要なイベントであり、2024年9月に開始した一連の協議の一部を成すものだ。

ブリタ・ウッツFESサハラ以南アフリカ地域労組コーディネーター、モニカ・テッパーITUC法務担当官、そしてUNIのミリアム・ニール氏が共同で進行役を務めたワークショップでは、人権デューディリジェンスの実施における労働組合の以下のような重要な役割が強調された。
●企業のデューディリジェンス方針および管理システムに関する対話への参加
●労働者の基本的権利に影響を与える問題を企業に通知する
●適切な是正措置について労働者を協議する
●デューディリジェンスの不備を明らかにするために企業の報告書を精査する
●企業が適切なデューディリジェンスを実施しない場合の説明責任を徹底する

参加者は、グローバル枠組み協定の強化、労働者からの苦情に対する信頼性できる申し立てメカニズムの確立、実施体制の利用など、人権デューディリジェンス法の潜在的な影響を示すいくつかの具体的事例を検討した。


ホフマンUNI書記長、ダボス会議でメンタルヘルスについて提唱

2025年1月に開催された世界経済フォーラムのパネルディスカッション【Mind Matters: Mental Health at Work(心が問題:職場のメンタルヘルス)】で、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、アルゴリズムやAIによる監視プログラム等のいわゆる「ボスウェア」の増加によって深刻化する危機にスポットライトを当てた。

同書記長は「以前よりもはるかに多くの人々が監視やモニタリングの対象となっている」とした上で、「これはコロナ禍で加速し、多くの労働者に多大なストレスをもたらし、職場で最大の不満となっている職場が多い。絶え間ない監視によって悪化した業務の激化により、多くの労働者が限界点にまで追い込まれている」と指摘した。

とりわけ、業務上の性質から容赦ない影響を受けているのが、コンテンツ・モデレーター、データ・ラベラー、ファクトチェッカーなど、データサプライチェーンの労働者だ。1時間に120件ものコンテンツを審査しなければならないノルマに加え、これらの労働者は、想像し得る限り最も極端で悪質なコンテンツを扱うことが多々あるとし、同書記長は「彼らは何百、何千もの動画を何時間も見続け、非常に有害で暴力的、感情に強く訴えかけるさまざまなレベルのコンテンツを目にしうる状況にある」と訴えた。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する人も多く、心理的な負担は計り知れない。このような不快な素材を毎日見続けることで、眠れなくなったり、家族と上手く関われなくなったりする人もいるのだ。

早急な対策が必要であることは明らかであり、特にデータ関連の業務に従事する社員にとっては、従来のメンタルヘルスサポートだけでは不十分だ。同書記長は、「心理的なサポートが必要な場合は、いつでも対応できるスタッフを用意している」と伝えるだけでは十分ではないと指摘し、そうではなく、仕事の仕組みを根本的に変える必要があると主張した。

解決策としては、有害なコンテンツへの接触を制限するために労働者をローテーションで配置したり、仕事のペースを落としたり、メンタルヘルスに関するトレーニングやサポートを義務付けたりすることが考えられる。重要なのは、こうした対策をすべての人が確実に利用できるよう、勤務時間内に組み込む必要があるということだ。

AIがこうした労働者の仕事より良く補助できるようになることが望ましいが、このような仕事がすぐに消えてなくなることはない。安全で正確なインターネットに不可欠なこうした労働者を排除するのではなく、「労働者がよりトラウマを感じないよう、仕事を変えていく必要がある」と述べた。

またホフマン同書記長は、公平性、権利の尊重、信頼できる結果を確保するため、労働者および労働組合をテクノロジーの意思決定に含めることの必要性を説いた論文を、WEFのウェブサイトで共同執筆している。

パネルディスカッションでは他に、Pinterestのビル・レディーCEO、Hologicのティーブン・P・マクミランCEO氏、Sky News Group、Sky News – BSkyBのデビッド・ローズ会長、南アフリカのパキスヘ・アーロン・モツォアレディ保健省大臣が登壇した。


フィリピンのヘルスワーカーへの手当支給遅延問題でUNI-PLCが議会公聴会に出席

2025年1月、UNIフィリピン加盟組織連絡協議会(UNI-PLC)がBHW党のアンジェリカ・ナターシャ下院議員が主導する下院議会公聴会に出席した。この公聴会は、バランガイ・ヘルスワーカー(BHW)に対する健康緊急手当(HEA)の支給についての深刻な遅延に取組むことを目的としたものである。

UNI-PLCは、全国121の市や町を対象に実施した協議から得た詳細な調査結果を発表し、BHWの厳しい現実を明らかにした。平均すると、BHWは25ヶ月間のうち17ヶ月間のHEAが未払いとなっており、その額は34億ペソ(約5,100万米ドル)に上る。さらに懸念されることに、調査対象となった自治体の65%で、BHWはHEAをまったく受給していないと報告しているのである。

このデータは保健省が発表した統計とほぼ一致している。保健省によると、全国で申請された350万件のHEA請求のうち、支払われたのは160万件のみで、180万件もの請求が未処理のままとなっている。

こうした遅延の大きな原因は、地方自治体レベルでの業務の停滞にある。BHWは、地方の保健担当官が彼らを受益者リストから除外するケースが多いと報告しており、これによりさらに不満が高まっている。

保健省は、HEAの支給のために国が割り当てた270億ペソ(約4億6100万米ドル)はすべて完全に自治体に払い出されていると説明しており、受益者にこれらの資金を適時に支給する責任は、現在では地方自治体にある。保健省は、HEAの資金が地方自治体レベルに届いてから受益者に行き渡るまでに30日以上を要してはならないと強調し、規定に従わない地方自治体に対しては、督促状や覚書を発布することを約束した。

カガヤンバレー地方のBHW連盟のマリベス・P・カイアバブ会長は、保健緊急手当(HEA)の支給が長引くことによるBHWの苛立ちと精神的負担が増大していると指摘し、「BHWたちは、この手当が支給される望みを失い始めている。 もうすぐ3年が経とうとしているが、我々は苦労した労働の成果や献身に対する報酬をまだ得られていない」と嘆いた。 また同氏は、財政的な困難が増大している中でも地域社会に貢献し続けているBHWが直面している苦境について、「我々は毎日休むことなく働き、バランガイの健康と安全を確保しているが、我々が受けるに値する評価や支援は、依然として手の届かないところにある」と付言した。

この発言は、支援制度から見捨てられたと感じている保健医療従事者たちの間に高まる苛立ちを浮き彫りにしている。支払いの遅れは、彼らに金銭的な負担をもたらしただけでなく、数えきれないほどの労働時間や献身、努力が正当に評価されることはないのではないかと、多くのBHWに疑問を生じさせている。

ローランド・デラクルスUNI-PLC議長は、彼らに対する支援の強化を表明し、「BHWは地域医療の要であり、彼らには約束された報酬を適時かつ公正に受ける資格がある。UNI-PLCは今後もBHWとともに闘い、彼らの苦情が汲み取られ、その献身が認められるよう、取組んでいく。正義が実現するまで、我々は闘い続ける」と述べた。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、この問題の重要性を強調し、「BHWの貴重な貢献には正当な報酬が支払われるべきだ。支払いは長引きすぎている。我々はフィリピン政府およびすべての関連当局に対し、団結して、今後一切の遅延なくすべてのBHWに正当に手当が支払われるよう強く求める。彼らにふさわしい敬意、権利、報酬が確実に支払われるようにすることは、我々全員の義務だ」と強調した。

今回の問題を解決する道のりは依然として困難に満ちているが、この議会公聴会はBHWにとって極めて重要な瞬間となった。彼らの訴えを広め、関係者間の対話を促進することで、エッセンシャルワーカー不である彼らに正義と評価がもたらされるための重要な一歩となった。

この取組みは、UNIが支援する「Together We Care」という画期的なプロジェクトを通じて行われており、USAID、フォード財団、CARE基金の支援を受け、保健・医療・介護部門における熟練しエンパワーされた労働者を育成することで、女性の経済的安定性を強化することを目的としている。


2025ダボス会議:UNI書記長、不平等なAIへの緊急対応とソーシャルメディアの説明責任を求める

労働者が参加しなければ、人工知能などの新しいテクノロジーは、世界的な不平等を深刻化させ、少数のエリート層に権力をさらに集中させるリスクがある ー クリスティ・ホフマンUNI書記長は、2025年1月に開催されるダボス会議(世界経済フォーラム)で、企業リーダーや政策立案者に対して厳しい警告を発する予定だ

同書記長は、「わずか2年の間に、多くの使用者の間で交わされるAIに関する会話は、労働者の能力を向上させることから労働者を代替することへと変化してきた。その間、ほんの一握りの企業が、この変革を推進するモデルを手中に収めつつある」と指摘し、「AIの導入方法を決定する会議に労働者が参加しなければ、AIは価値あるイノベーションではなく、不平等を助長するエンジンとなってしまうだろう。我々の民主主義、コミュニティ、経済は、新しい仕事の世界において労働者が発言権を持てるようにするため、労働者へのパワーシフトのない時間をもう1年も続ける余裕はない」と語気を強める。

同書記長にとってもう一つの重要な懸念は、ソーシャルメディアのプラットフォームが、サイト全体で正確で安全なコンテンツに対する責任を負うことを拒否する傾向が強まっていることだ。UNIの加盟組織は、メタやアルファベットなどの企業に直接雇用されているテック系従業員だけでなく、コンテンツの管理や大規模な言語モデルのトレーニングを行うデータサプライチェーンの労働者も代表している。

ホフマン書記長は「デマ、暴力、グロテスクなディープフェイクといった反民主主義的な勢力はますます強大化し、今まさに目前に迫ろうとしている。 プロフェッショナルで、十分な訓練を受け、十分な報酬を支払われたモデレーターの集団が、倫理的なAIによって強化されなければ、ソーシャルメディアの優れた機能の多くが奪われてしまうだろう。テック大手企業がこうした第一線で働く労働者たちに投資して我々を守ろうとしないのであれば、彼らは事実上、この混乱を招き入れているようなものだ」と懸念を表明した。そして、米国や欧州、その他の地域で規制や権利の後退を推し進めているイーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグのようなテック界の大物の影響力を相殺するためには、労働組合が必要だと主張した。

デジタル時代のディーセントワークに関して世界レベルで議論をリードするホフマン書記長は、日々、新たなテクノロジーがもたらす影響に直面している労働者を代表する数少ないダボス会議参加者の一人でもある。

関連記事はこちらから: Why digital trust depends on workers | World Economic Forum


労働者の歴史的勝利―コートジボワールDHLで労働組合が承認される

2019年にUNIがコートジボワールで実施したDHL労働者とのワークショップ

コートジボワールDHLの労働者が、初の労働組合代表を選出し、UNI郵便・ロジスティクス部会の加盟組織であるSYNAPOSTELにとって大きな勝利となった。この画期的な出来事は、地域およびグローバルレベルで、UNIとドイツの多国籍物流企業DHLが長年にわたり、建設的な関係を築くために取組んできた成果である。

西アフリカの国コートジボワールのDHLで、国内労働法に基づき、合計10人の労働者代表(正委員5人、予備委員5人)が選出された。

SYNAPOSTELのティエポ・アーセーン・アホーク書記長は「これは労働者にとって大きな勝利だ。これで、コートジボワールDHLでようやく労働者の声が届くようになる。労働者が団結すれば、大きな成果を上げられることを示す力強い証だ。これを可能にした国際的な連帯に心から感謝したい。これは始まりに過ぎない。労働条件の改善とより明るい未来につながるだろう」と、成果を喜んだ。

ドイツで2023年にデューディリジェンス法が採択されたことで、DHLコートジボワールとのパートナーシップが強化され、2024年11月に実施された選挙への歩みが後押しされた。だがその道のりは決して平坦なものではなかった。初の選挙実施にむけた2016年の取組みは失敗に終わり、SYNAPOSTELはUNIの支援の下、同国の労働監督局に調停を求めた。2019年7月には、UNIのドイツ加盟組織であるver.diの支援を受け、DHL労組アライアンスが設立され、OECDの枠組みの下でDHL、UNI、国際運輸労連(ITF)の間で協定が締結されたことで、組織化が進展した。

2022年6月には、DHLコートジボワール内で社会対話が強化され、画期的な集会の場でDHLコートジボワール全国労組(SYNAT DHL CI)が結成されるに至った。

キース・ジェイコブスUNIアフリカ地域書記は「この苦闘の末の勝利は、関係者全員の献身と忍耐の賜物であり、職場において強固で安定した持続可能な関係を築く上での連帯と社会対話の力を示すものだ。間違いなく労働者の待遇改善につながるだろう」と述べ、同労組の勝利を祝福した。


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