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UNI世界青年委員会、メンタルヘルス危機への対応キャンペーンを開始

10月10日の世界メンタルヘルスデーに、UNI世界青年委員会は、世界中で懸念が高まっているメンタルヘルスの問題に組合が取組むよう、新しい啓発キャンペーンを開始した。新型コロナウィルスの感染が拡大する中で、インドからブラジル、フランスから米国まで、世界各地の労働者の間に、ストレス、燃え尽き、不安、薬物乱用、憂鬱といった心の健康上の問題が生じている。

団体交渉を通じて、組合は、心の健康を保つための支援に関する適切な枠組みや方針を実施することができる。UNI世界青年委員会が推進するUNI Yeah! キャンペーンは、メンタルヘルスを重点課題として取組む加盟組織を支援するものだ。

メンタルヘルスの問題を啓発するため、ポスター、インフォグラフィックス、アニメーション等、ソーシャルメディア用キットが作成されたので活用してほしい。

新型コロナウィルスが若年労働者のメンタルヘルスへ及ぼした影響は、とりわけ深刻である。若年層の間に失業が高まり、不安定雇用や不確実性が増し、ILOが実施した世界の若年層を対象とした調査では、18~29歳の若年層の2人に1人に不安神経症や鬱病の可能性があることが示された。大規模に教育機関や職場の閉鎖が行われたことが一因だろう。世界中で若い労働者は失業したり、労働時間が短縮されたりし、かつてないほどに将来への不安を感じるようになった。

若い女性の場合、状況は更に深刻だ。ロックダウン期間中、家庭内の責任が過度に増し、家庭内暴力件数も増大した。UNI機会均等局が最近行った調査では、労働者の10%が、家事が100%増加したと答えている。子供がいる場合、44%が、勉強の手伝いをする時間を作らなければならなかったと答えている。

世界保健機関(WHO)によれば、メンタルヘルスとは精神的に満たされた状態のことであり、精神的に健康であれば個人は自身の能力を発揮し、生活上の通常のストレスに対処し、生産的に働き、コミュニティに貢献することができるという。健康にとって非常に重要で、ますます組合が取組むべき課題となっている。

何百万もの人々が在宅で働くようになり、在宅勤務が続く中、メンタルヘルスの問題も増え続けている。テレワーク、長時間労働、つながらない権利の不徹底等と相まって、不健康な働き方が恒常化し、労働者には更なる負担となっている。 UNI世界青年委員会は、若年労働者に、「彼らをサポートする強力な組合があること、職場におけるメンタルヘルス問題は組合を通じて撲滅していかなければならない」というメッセージを発信している。


スペインUNI加盟組織、金融労働者のテレワークとつながらない権利に大きな成果

スペインのUNI加盟組織CCOOとUGTは、テレワークとつながらない権利に関する金融労働者への重要な手当を含む団体協約を交渉した。

貯蓄銀行で働く約6万人の労働者全てに適用される産別協約が2020年10月1日に締結された。本協約は2023年12月31日まで有効となる。

協約は、30%以上テレワークをしている労働者に、使用者からのパソコン、携帯電話、人口工学的に設計された椅子の支給を保障する。

また、会社から提供されていない場合、新たにスクリーン、キーボード、マウスを購入するために1人130ユーロまで受け取ることができる。更に、労働者は、その他の経費をカバーするために日割り計算でひと月当たり55ユーロを受け取る。

テレワークが30%以下の労働者は、パソコンと携帯電話を支給され、好きな場所からテレワークをすることができる。

更に、本協定は、業務終了後の「つながらない権利」についても含まれており、これは、全国レベルの産別協約としては、初めてである。また、任意且つ午後7時以降の平日の業務時間外の会議についても制限し、平日の午後7時から午前8時までを「つながらない時間」と義務づけている。

賃上げや年間労働時間の削減と同様に、本団体協約にはジェンダーに基づく暴力に対する3か月以内の有休休暇も含まれる。

アンジェロ・デクリストUNI金融部会担当局長は、「今回の団体協約締結を実現したスペイン加盟組織のCCOOとUGTにお祝い申し上げたい。在宅勤務を行う労働者の数がコロナ禍の中で増えており、テレワークにより稼働日と休日の境界線が曖昧になっている。この協定は、団体交渉の偉大なる証しであり、労働者にとって極めて重要な支援となる。テレワークに必要な備品、つながらない権利を担保し、在宅勤務のコストを労働者が負担する必要はないということを明確にしたからだ。また、家庭内暴力がパンデミックの最中に増加しており、有休休暇はこうしたジェンダーに基づく暴力に苦しんでいる人々にとって大きな助けとなる」と述べた。

貯蓄銀行部門におけるCCOOとUGTの協定は、スペインの法律に準じるものである。スペインでは、使用者にテレワークを行う労働者に必要な備品を支給するよう義務付けている。しかしながら、その詳細については、団体交渉を通じて決めることが組合側に任せられている。

 


UNI世界郵便・ロジスティクス部会、「危機における組合の役割」ガイドラインをリリース

10月9日の世界郵便デーに合わせ、UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、郵便労組向けに新しいガイドライン「危機における組合の役割 COVID-19からの教訓」を発表した。

このガイドラインは、コロナ危機の間の優良事例を紹介し、社会の中でユニバーサルサービスを提供するという重要な役割を維持すると共に、郵便労働者の雇用を守る方法を明示するものである。

災害が発生した時、組合が、郵便サービスや労働者の健康に対する脅威を予測し軽減するための参考にしてほしい。目的は、危機の時こそ、そして危機の収束後も、不可欠なサービスとしての郵便を強化し、郵便労組を更に強化することである。


10月9日「世界郵便デー」記念オンラインイベント

今年の世界郵便デー(10月9日)に、UNIは、コロナ禍の間も人々の絆を保つために奮闘した郵便労働者に敬意を表するオンラインイベントを開催する。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会が主催する記念イベントには、世界各国の組合役員が参加し、エッセンシャルサービス(不可欠なサービス)としての郵便と、危機の際の組合の役割について語る。中央ヨーロッパ夏時間午後2時から4時まで(日本時間午後9時から11時)、Facebookでライブ配信される。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会は合わせて、「COVID-19から学んだ教訓」と題する新たな報告書をリリースする。その報告書の中では、パンデミックの間に組合が取組んだ優良事例が紹介されている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べた。「今年の世界郵便デーには極めて重要な意味がある。郵便労働者はパンデミックの間も多くの人々にとってライフラインの役割を果たしてきたからだ。食料品、医薬品、マスク等を届ける新しいサービスを始めたり、弱者や高齢者を見守り続けたりした。今こそ、労働組合として、このようなエッセンシャルサービス、あらゆる人々が手頃な価格で利用できる郵便サービスを守らなければならない。今年の世界郵便デーは、困難な時にもずっとサービスを提供し続けた世界中の郵便労働者に敬意を表し、感謝する機会としたい。」

デイブ・ウォードUNI世界郵便・ロジスティクス部会議長(英国通信労組書記長)は、「今年は今まで以上に、世界中で郵便労働者の献身さが評価された。国々をつなぎ続けるだけでなく、あらゆるコミュニティを助けるという任務をはるかに超える貢献をしてきた。今日は、皆さんの努力に心から敬意を表したい。郵便局で働く一人ひとりに“ありがとう”と伝えたい」とメッセージを寄せた。

コーネリア・ベルガーUNI世界郵便・ロジスティクス部会担当局長は、「今日は、郵便労働者がもっと評価され、それにふさわしい賃金とディーセントな労働条件が担保されるよう要求する。コロナ禍の間、郵便サービスが不可欠なものであったように、労働組合も不可欠であることが認知されるようになった。組合が強ければ、労働者はより守られる。UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、世界中の郵便労働者の状況を改善するため、世界中の郵便労組が協力し合い、知見や最良の経験を交換できるよう、サポートしている」と述べた。

Facebookライブはこちらから https://fb.me/e/3xeDSvCxD


ディーセントワーク世界行動デーに、世界の労働組合がエッセンシャルワーカーの権利を求めるキャンペーンを開始

10月7日のディーセントワーク世界行動デーに、世界150か国のサービス産業労働組合を代表するUNIは、エッセンシャルワーカーのための不可欠な権利を求める国際キャンペーンを開始する。

新型コロナウィルス感染拡大期に、不当に低賃金で、正当に評価されず、過小評価された労働者こそが、世界中のコミュニティが機能し続けられるよう、働いてきた。棚に食料品を並べ、病気の人や高齢者の介護をし、学校、職場、公共交通機関、公共の場等が清潔で安全に保たれるようにする労働者がいた。郵便や小包を届ける労働者もいた。人々が金融サービスを受けられるようにする労働者もいた。

危機によって、これらの仕事がどれほど人々の生活に不可欠であるかが明らかになったように、このキャンペーンでは、私達の社会はもう、このような仕事をしている人々のニーズに気づかぬふりをするわけにはいかないと主張している。

「エッセンシャルワーカーにとってディーセントな仕事とは、より良い賃金、安全な仕事、有給の病気休暇、組合があること、そしてみんなが尊敬することだ」と、クリスティ・ホフマンUNI書記長は語る。「パンデミックをきっかけに、これらの不可欠な仕事を再評価しないなら、公正な経済はあり得ない。危機の間、そして平時であっても、エッセンシャルワーカーは大変な貢献をしており、感謝の言葉だけでなく、きちんと評価されるべきだ。」

ディーセントワーク世界行動デーは、私達のグローバル経済に必要とされる抜本的な変化に目を向ける好機である。だからこそ、世界中の労働組合は、全ての エッセンシャルワーカーのために不可欠な権利を要求している。


ブラジルの郵便労働者、ストはやめても闘争継続を誓う

ブラジルの郵便労働者は、1か月に渡るストをやめたが、郵便局の民営化反対闘争のため、より団結する決意を新たにした。

9月21日に最高労働裁判所の判決が下り、労働者には2.6%の賃上げが確保されたが、いくつかの手当ては撤回されてしまった。この判決を受けて、ストをやめることとした。

ブラジルの郵便事業者コレイオスは、UNI加盟組織であるFENTECT及びFINDECTとの団体協約の履行を拒否したため、紛争は裁判に持ち込まれた。この国有企業は、ふつうは労働者に与えられるはずの70の手当てを剥奪しようとした。

裁判官は、ストは違法ではなく、労働者にはスト期間中、賃金の50%が支払われるとの判決を下した。医療・歯科治療補助を含む29の手当ては維持されたが、休暇手当は削減され、出産休暇は180日から120日へ縮小された。

本訴訟で、カティア・アルダ大臣は、全ての手当てが維持されるべきだと主張し、コレイオスはパンデミックの間に増益となったにも関わらず、手当ての削減に経済上の理由を主張していると指摘した。アルダ大臣は、会社が協約の条項や権利の撤廃を提案するとは初めて聞いた、と述べ、以前、労働裁判所が提案した協約の受入れをコレイオスが拒否したことも批判した。「会社側には明らかに交渉に否定的な態度があった。私は労働裁判に30年携わってきたが、このような態度は見たことがない」と言い切った。

しかし裁判官は、ボルソナロ大統領に支援されたイブ・ガンドラ・フィリョ大臣によって示された主張にも譲歩した。ブラジル大統領は、できるだけ早期に郵便局を民営化することで頭が一杯なのである。

労働裁判の判決が下る日に国際行動デーが企画され、世界中のUNI加盟組織は、ブラジルの郵便労働者に連帯を示した。 マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「ブラジルの郵便労働者は、団体協約の交渉に極めて敵対的な環境に直面しながらも、長期ストを決行する等、善戦した。職場に戻った今、以前にも増して団結し、民営化闘争を続ける覚悟ができた。我々は、最後まで支援していく」と語気を強めた。


アジアにおける強い組合を! ポストコロナでも組織化と団体交渉の強化を確認

2020年9月25日、第22回UNI Apro金融部会が初めてオンラインで開催され、日本、台湾、韓国、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インド、スリランカ、ネパール、バングラデシュ、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー及び本部、UNI Aproのスタッフ、未加盟組織から44人が出席した。特に、4月にUNI加盟を決定し現在加盟手続き中の台湾金融労連(TFFU)からは、ジョン・フージー委員長、ハン・シーフェン書記長が出席し、加盟組織からの歓迎を受けた。日本からは、正委員として境田UNI Apro金融部会議長、田嶋労済労連単組(全労済アシスト労働組合)副中央執行委員長の2人が、オブザーバーとして、損保労連、生保労連、JP労組、あおぞら銀行従業員組合から計6人が出席した。

開会では、アチャリャUNI Apro地域書記長、デクリスト世界金融部会担当局長から連帯挨拶を受けた。また、来賓として、イヤーデュピュイ・アジア開発銀行(ADB)社会開発シニア・スペシャリスト/労働担当デスクが駆け付け、ADBが200億ドルの投資によりアジアにおける非正規女性労働者や移民労働者への支援、失業給付、雇用維持に取組んでいること、労使やその他ステイクホルダーとの社会対話の重要性、多国籍企業との交渉にあたってのUNI Apro金融部会の役割発揮への期待が表明された。

  1. 委員会構成の変更確認

事務局より委員の交代について説明があり、変更が確認された。東アジアで調整中となっていた女性議席への田嶋翠・労済労連単組(全労済アシスト労働組合)副中央執行委員長の指名が確認された。

  1. 活動報告

昨年11月にネパールでの委員会開催後、新型コロナウィルス感染症によりUNI Apro金融部会として予定されていた活動は中止や延期を余儀なくされた。そこで、プリヤラル担当部長が中心となって各国労組のコロナ禍の状況と取組み、今後の課題等について情報交換を行ってきた。それらをまとめた「 UNI Apro金融部会 COVID-19パンデミック後のアドボカシー活動」に関する報告が活動報告に代わり提出され、全会一致で確認された。また、現在加盟手続き中の台湾金融労連(TFFU)から、早期に新型コロナウィルス感染症の封じ込めに成功した経験についての詳細な報告が提出されたことについても留意された。

  1. UNI世界金融部会ポストCOVID19 戦略

デクリスト担当局長は、UNI世界金融部会委員会で確認されたポストCOVID19 戦略と今後の活動計画案について以下の通り概要を説明し、地域の実情に合わせた実施に向けて、加盟組織の協力を求めた。

  • 動画作成やグローバル行動デー開催などにより、エッセンシャルワーカーとしての金融産業労働者の社会的役割、より持続可能な社会に貢献する金融産業の目指すべき方向性について、内外にPRする。
  • 雇用を守るため、これまで以上に組織化と団体交渉を強化することが重要。団体交渉に関する作業部会を各地域で開催することを提案する。将来的には地域間でも情報交換を行いたい。
  • P&M委員会と連携し、リモートワークに関するガイドライン策定を進め、労働者の「繋がらない権利」を守る。
  • ILO対話フォーラム等の社会対話に積極的に関与し、労働組合の存在感を示す。
  • グローバル/地域の多国籍企業とのグローバル/地域枠組み協定の更新・新規締結を目指す。
  • EUの支援を受けているフィンテック・プロジェクトについて、地域とも連携して取組む。

質疑応答では、損保労連の景中事務局次長より、フィンテックについて特にどのような点に着目して取組んでいくのか?との質問があった。デクリスト担当局長は、「従来の銀行や保険会社も、フィンテックと柔軟に連携していくことができるはずだ。この分野について更に理解を深め、将来的にはフィンテック労働者を組織化したい」と意欲を示した。

  1. コロナ禍における金融部門の女性労働者の現状と課題

コロナ禍で金融部門の女性労働者が直面した課題と労組の対応等について、各小地域の女性委員から報告を受け共有した。東アジアからは女性委員として選出された田嶋委員(労済労連)が日本の金融部門女性労働者を巡る状況について報告した。いずれの地域においても、女性は育児、家事だけでなく、休校に伴う家庭教育等多くの役割を担いながらの在宅勤務を強いられ、心身の負担が増加したという共通の課題が報告された。続いて、UNI Apro女性委員会から提案された、コロナ禍からの復興において女性を主流化することを求める声明について、UNI Apro金融部会委員会としても支持を表明することが確認された。

  1. ポストコロナにおける組織化優先課題

2017年ジャカルタで開催された第5回UNI Apro金融部会大会で定めた5つの優先課題は変わらないが、具体的な進め方については、小地域ごとに作業部会を設置し、地域の状況に合わせて検討・実施していくことがプリヤラル担当部長より提案され、確認された。

2017~2021年UNI Apro金融部会活動計画優先課題:

  • 金融労組の組織化と強化―組織率を高める
  • 社会対話プロセスの制度化—アジア開発銀行(ADB)との関係を強化する
  • グローバル及び地域の規制・監督政策の策定に影響を及ぼす
  • フィンテックおよびスタートアップ企業との間でアライアンスを構築する
  • 金融労働者の雇用可能性を担保する

続いて、新たな取組みとして、モバイルアプリ等を利用したオンラインでの組織化の可能性について、クン・ワルダナUNI Apro ICTS部会担当部長が紹介した。金融部門のデジタル化が進み、フィンテック企業も多く参入する中、プラットフォーム労働者等、テレワークという形態で非正規やフリーランスで働く労働者が増加している。これらの労働者の多くは女性やデジタル世代と呼ばれる青年であり、彼らに接触し、組合活動への参加を促すために、モバイルアプリやオンラインツール等の活用が非常に効果的であるとの見解が共有された。

  1. 2020~2021年度UNI Apro金融部会優先課題

プリヤラル担当部長が活動計画作業文書に基づき、各小地域で主にオンライン作業部会を軸として活動を進めていく方針を説明した。東アジアでは、引き続きあらゆる機会を活用して組織化を進めること、また、日本、韓国、台湾の金融労組間の情報交換や連携強化を図り、団体交渉やリモートワーク等の関心の高いテーマで作業部会を立ち上げるため、年内及び、来年2~3月頃に計2回程度オンライン会議を開催することが提案され、今後日程等を調整していくことが確認された。

  1. 次回会議日程・場所、第6回UNI Apro金融部会大会

来年前半は各小地域での作業部会会議を行い、部会大会および委員会については、来年後半の開催になる予定である。具体的な日程、開催方法は決まり次第周知する。


ノーベル経済学賞受賞スティグリッツ教授、ポストコロナの復興に労組が果たす役割に期待

日本時間で9月28日深夜、UNI金融部会が主催したウェビナーに2001年ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授が招かれ、800人以上の聴衆を前に、コロナ危機における労働組合と金融機関の社会的役割について熱弁をふるった。
 
同氏は、米国が新型コロナウィルス感染症により世界最多の死者を出すという最悪の事態に至ったのは、トランプ政権が健康保険制度を崩壊させ、格差を拡大させ、国民の健康を顧みなかったためだと糾弾した。こうした中で、「賃金や労働条件を引き上げ、国民生活の向上を図ることにより、人々をパンデミックの危機から守り、真の変化をもたらすことができるのは、労働組合しかいない」と断言した。
 
また、スティグリッツ教授は、ポストコロナに向けては、このような事態を引き起こした元の世界に戻るのではなく、「ビルドバック・ベター(より良い社会の構築)」を目指さなくてはならないと強調。そのためには、富を独占しているGAFAなどの巨大テック企業への適切な課税、企業に説明責任を果たさせ内部告発者を守るためのルールの明確化、政府が社会政策を行うために必要な税収の確保等が必要だと述べた。
 
一方、金融機関には、2008年の金融危機を引き起こした時のように短期的利益を追求するのではなく、環境に配慮したグリーンな投資、倫理的な貸付を推進することで、新たな雇用を創出し、格差是正に貢献することを求めた。また、長期的視点で資産運用を行う必要性にも言及し、この点においては、単に利益を追求するのではなく、メンバーの福祉向上を目指して事業を行う協同組合や信用組合の役割が強調された。
 
最後に、「もし米国の銀行に労働組合ができたら、状況はどう変わるか?」という質問に対しては、「労働組合が使用者と団体交渉することにより、金融機関内に存在する格差が改善される。更に、弱者からの搾取や利益追求主義に走らないよう労組が事業を監視することにより、金融産業に社会的側面を与え、大きな違いをもたらすだろう」と組織化の意義を強調した。

ノーベル経済学賞受賞スティグリッツ氏、UNIウェビナーで講演

UNIが9月28日に開催するウェビナーで、ノーベル経済学賞を受賞したエコノミスト、ジョセフ・E.スティグリッツ氏が講演を行う。ウェビナーのテーマは、「世界が必要とする公正な経済の実現に向けて - ポスト・コロナ社会における金融の役割」。

スティグリッツ氏は、米国コロンビア大学教授、ルーズベルト研究所チーフエコノミストで、ノーベル経済学賞を受賞(2001年)。世界銀行で上級副総裁・チーフエコノミストを務めた。

ウェビナーを主催するUNI金融部会は、世界の銀行、保険等、金融機関の、237加盟組織、300万人の労働者を代表する。アンジェロ・デクリストUNI世界金融部会担当局長は、「我々のウェビナーにスティグリッツ教授をお迎えできて大変光栄だ」と興奮気味に語った。「金融産業の労働組合は、新型コロナウィルスの影響で問題に直面しながらも、人々や公共サービス、コミュニティに投資する、より持続可能な経済への移行を推進しようと努力している。そのような中で、教授の見識をお聞きするのを楽しみにしている。」

スティグリッツ教授は、所得分配、リスク、コーポレートガバナンス、公共政策、マクロ経済学、グローバル化に関する研究で知られ、著書も多い。最近の著書に「People, Power, and Profits: Progressive Capitalism for an Age of Discontent」(翻訳「プログレッシブ・キャピタリズム:利益はみんなのために」)がある。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「我々は今、極めて重要な瞬間にいる。コロナ後の国際経済をリセットする機会でもあるからだ。現在の経済システムをいかに持続可能なモデルへと転換していくか、いかに格差を削減し、労働者にもっと公平・公正な社会をもたらす経済へと転換していくか、スティグリッツ教授の見解に大いに期待している」と述べた。

ウェビナーは9月28日、日本時間23時から、UNIのフェイスブックでライブ中継される。


転換期にさしかかるリモートワーク?

クリスティ・ホフマンUNI書記長とシャラン・バロウITUC書記長は共同で、2020年7月23日付『Social Europe』に次の意見を掲載した。原文はこちらから

パンデミック中にリモートワークが急増した。監視された中で孤立状態とならぬよう、個人の自主性を確保する団体協約が必要である。

数年後、我々は2020年を転換期として振り返ることだろう。大勢の労働者が職場から離れ、在宅や自宅近くで働く新たなモデルへ向けて生活を立て直し始めた、極めて重要な時期だった、と。世界的な感染拡大によって、突然、破壊的な働き方の変更を余儀なくされた。想像以上に大規模に、業務を継続することができるよう迅速に調整されたテクノロジーによって、そうした変更は後押しされてきた。多くの人々が、過去の職場には戻らないだろうと予想している。

そうしたテレワークはこの数十年で徐々に増加してきた。典型的なテレワークは、測定しやすく高度に自主的な仕事に関連し、多くの場合、ハイレベルで独立した評価が行われてきた。このような働き方が最も普及しているのは北欧や米国の、通勤時間が長く事務所賃料が高額な地域であり、労使共にこのモデルを採用する動機付けがある。

だがパンデミックによって、非熟練の自主性の低い仕事も含め、より幅広い仕事が、職場を離れても効果的に遂行できることがわかった。事実、ロックダウン期間中にOECD加盟国の全労働者の推定40%が在宅で仕事を継続できたという。

恒久的にリモート

全従業員が職場で仕事を再開したという企業はまだほとんど無く、そうする予定はないと宣言している経営者の数は増大している。最高財務責任者を対象にしたある調査では、企業の74%が一定割合の従業員を恒久的にリモートワークにする予定だと答えている。

米国のネーションワイド・インシュランスは、大規模事務所のうち5つを閉鎖する予定で、従業員に在宅勤務を要請している。世界最大手のコールセンター企業であるテレパフォーマンスは、約15万人の従業員が職場に戻らないだろうと推測している。「生産性が低下しても、事務所維持経費をなくせるので、十分におつりがくる」と、言う経営者もいる。

現下のテクノロジーは職場から脱出する利点を生かすには十分なほど発達している。ZoomやTeamsといったツールを通じて高度に進化したリモートでの連携が可能であり、マネジメントのサポートすら提供している。また、仕事を細分化することで、測定しやすく、どこからでも扱えるいくつかのタスクに分割することができる。そのため、リモートワークに適した職域が広がっている。

例えば保険産業では、多くの仕事がルーチン化されており、人工知能が保険請求の審査業務を補完している。コールセンター業務は、以前は大規模なセンターで管理者が動き回る中、行われてきたが、今や在宅で仕事ができる。そして、監視カメラやAIによって、受けた通話全ての会話内容、声のトーン、結果の一部始終がモニタリングされている。

ワークライフバランス

労働者にとってこれは何を意味するのか? 在宅勤務は望ましいはずであり、実際、特に通勤時間が長い上、家庭責任を持つ多くの人々とっては、本当に助かるはずだ。合理的な1日の勤務の終わりに「つながらない権利」が伴っているなら、ワークライフバランスを回復するのにいくらか役立つはずである。

しかし現実は、乱用されやすい状況にある。尊厳を守り、雇用関係を維持し、結社の自由が担保されるような措置が取られて、初めて「ウィンウィン(双方に利をもたらす)」となるのだ。

かなり長い間、組合は、リモートワークの条件について経営者と交渉してきた。銀行・保険産業では、1999年からリモートワーク規定が整っている。こうした団体協約によって、リモートワークの選択は任意であること、事務所勤務に「戻る」権利があること、昇進の道と均等な機会が守られること等が確保されてきた。組合は、在宅勤務時のつながらない権利の促進についても道を開いてきた。

遠隔勤務者を増やすという経営者側の需要が大きくなるにつれ、こうした協約の真価が問われ、交渉プロセスを促進する規制が必要となるだろう。

職場代表がいない

しかし残念なことに、在宅勤務を続ける可能性のある労働者の大多数に、職場代表がいない。欧州以外の多くの国の政府は、この新しい働き方の現実を規制していない。米国の民間部門では、ホワイトカラー労働者を対象とする協約が事実上存在しない。これは極端な例だが、民間サービス部門のホワイトカラー労働者には、世界の他のグループのような組合代表がいないのだ。

また、組合は、リモートワークが、こうした労働者の非正規化や「ウーバー化」につながらないよう警戒しなければならない。仕事が、「プロジェクト単位で支払われる」独立請負人契約等の営利契約や、より人件費の安いところへ外注しやすい昔ながらの出来高払いの仕事へと後退するにつれ、「リモート」ワークと「プラットフォーム」ワークの境界線が曖昧になることは想像に難くない。

そして働く場所の変化が、労働者から企業のポケットへと流れる富の移動を意味してはならない。在宅を続ける従業員の条件を悪化させてはならない。加えて、労働者が自宅の電気ガス水道、インターネットを使うことに対して、費用を補償されるべきだ。そして当然、使用者に必要機器と安全な職場を提供する責任があることは変わらない。パンデミック中に「在宅勤務」へと転換されたコールセンター労働者の中には、通勤費を節約できているという主張から、企業のWi-Fiパッケージを購入するよう要求された者もいる。

使用者は常に従業員の生産性を測ってきたが、AIによる監視は度を超す可能性があり、組合代表と交渉が行われない限り、許すべきでない。データ及びプライバシーに関する方針は、一方的に押し付けられてはならない。

労働者が地域あるいは国境を超えて分散している現状では、結社の自由を実現するのは、ほぼ不可能である。この基本的な権利を、何百万もの労働者にとって過ぎし日のスローガンではなく、現実のものにしようとするならば、結社の自由のルールと定義を見直し、例えばデジタルな会議スペース等を通じ、組合が労働者とコミュニケーションを図る有意義な機会を可能にしなければならない。

最も重い負荷

女性は、家庭の世話をする、より重い責任を担っているため、在宅勤務を選択する可能性が最も高い。女性が「忘れられ」たり孤立したりして、キャリアの機会やメンタリング(職場において熟練者が未熟者に助言や手助けをしながら人材を育成すること)から断たれないよう、積極的な措置を取る必要がある。多くの組織において、恒久的なリモートワーク状態が成功への切符にはなりそうにない。

リモートワークが生産性に及ぼす影響は議論すべきテーマであり、特に執筆プロジェクト等の、集中し個別化した作業の間は、在宅の方が生産性は高いと考える人が多い。米国のある調査では、専門職は週15時間までは在宅勤務の方が生産的だということがわかった。もちろん部門によって様々ではあるが、フルタイムの在宅勤務の長期的な影響について、じきにもっとわかるだろう。

しかし、特にフルタイムの在宅勤務には、創造性、チームや企業風土、連携という点でマイナスの影響がありそうだ。Facebookが何年か前に初期の「在宅勤務」の実験をやめたのは、それが理由だった。(その後、同社は成績優秀者のために新たなリモート方針を発表した。)また、フルタイムのリモートワークに伴い、同僚と疎遠になることも、過小評価してはならない。多くの人々にとってメンタルヘルス上の問題が生じるからである。コーヒーブレイク中のおしゃべりに代わる、どんな個人的な交流があるだろう?

また、この変革が我々のコミュニティに対して及ぼす劇的な影響を、誇張し過ぎることはない。ホワイトカラー労働者は毎日、公共交通機関を使い、街に流れ込み、ランチを外食し、ドライクリーニング店やその他のサービスを利用する。このような労働者が街に来なくなれば、どうなるか? 気候へのプラスの影響を称賛できる一方で、こうした変革へと舵取りするには、能動的な計画が必要である。 我々は真の転換期にさしかかっている。多くのプラス面があるものの、危険信号も点滅している。労働者代表は、こうした移行の条件を交渉するために、使用者や政府、国際機関との交渉テーブルにつかなければならない。過去の職場が取り残されても、労働者の利益がそうならないようにするには、それしか方法はない。


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