ノーベル経済学賞受賞スティグリッツ教授、ポストコロナの復興に労組が果たす役割に期待

日本時間で9月28日深夜、UNI金融部会が主催したウェビナーに2001年ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授が招かれ、800人以上の聴衆を前に、コロナ危機における労働組合と金融機関の社会的役割について熱弁をふるった。
 
同氏は、米国が新型コロナウィルス感染症により世界最多の死者を出すという最悪の事態に至ったのは、トランプ政権が健康保険制度を崩壊させ、格差を拡大させ、国民の健康を顧みなかったためだと糾弾した。こうした中で、「賃金や労働条件を引き上げ、国民生活の向上を図ることにより、人々をパンデミックの危機から守り、真の変化をもたらすことができるのは、労働組合しかいない」と断言した。
 
また、スティグリッツ教授は、ポストコロナに向けては、このような事態を引き起こした元の世界に戻るのではなく、「ビルドバック・ベター(より良い社会の構築)」を目指さなくてはならないと強調。そのためには、富を独占しているGAFAなどの巨大テック企業への適切な課税、企業に説明責任を果たさせ内部告発者を守るためのルールの明確化、政府が社会政策を行うために必要な税収の確保等が必要だと述べた。
 
一方、金融機関には、2008年の金融危機を引き起こした時のように短期的利益を追求するのではなく、環境に配慮したグリーンな投資、倫理的な貸付を推進することで、新たな雇用を創出し、格差是正に貢献することを求めた。また、長期的視点で資産運用を行う必要性にも言及し、この点においては、単に利益を追求するのではなく、メンバーの福祉向上を目指して事業を行う協同組合や信用組合の役割が強調された。
 
最後に、「もし米国の銀行に労働組合ができたら、状況はどう変わるか?」という質問に対しては、「労働組合が使用者と団体交渉することにより、金融機関内に存在する格差が改善される。更に、弱者からの搾取や利益追求主義に走らないよう労組が事業を監視することにより、金融産業に社会的側面を与え、大きな違いをもたらすだろう」と組織化の意義を強調した。