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UNI、イタリア郵便事業者の民営化阻止闘争で加盟組織に連帯

UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、イタリア郵便事業者のさらなる民営化阻止にむけて闘争中のSLP CISLとSLC CGILへの連帯・支援に向けて、加盟組織に団結を呼びかける。

イタリア政府は最近、2024年財政法の承認プロセスを開始し、特にイタリア郵便事業者に影響を与える大幅な民営化政策が含まれていることから、懸念の声が上がっている。提案されている2024年財政法の一部として、イタリア政府はイタリア郵便事業者の株式30%の追加売却を計画しており、この重要な公共サービスの完全民営化に向けて、大きな動きとなっている。

この動きに対し、SLP-CISL(イタリア労働組合連盟) と SLC-CGIL(イタリア労働総同盟) は共同で反対し、イタリア郵便事業者のさらなる民営化阻止に向けて行動することを表明している。

国際労働運動は、民営化によって直接的に影響を受ける10万人以上の郵便労働者の権利を守るため、イタリア労組の闘いを全面的に支持する。

この闘いは、イタリア郵便事業者を守るためだけのものではな く、世界中で進行中の民営化から労働者を守るための闘いでもある。UNI加盟組織は団結することで、イタリア郵便事業者の将来と公共サービスとしての郵便をめぐる重要な闘いに変化をもたらすことができる。

連帯を示そう
UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、UNI加盟組織に対し、連帯と支援の表明によって、 さらなる民営化への反対闘争に加わるよう、呼びかけます。共に、イタリア郵便事業者の重要な役割を守り、郵便労働者の権利を守るべきであるという明確なメッセージを送りましょう。マリオ・ぺティット氏(internazionale@slp-cisl.it)および マルティナ・トマッシーニ氏(martina.tomassini@slc.cgil.it)まで、Eメールで連帯メッセージをお寄せください。


フィリピン上院、全会一致でILO第190号条約の批准を承認-フィリピン労働者に歴史的な瞬間

2023年12月11日、フィリピン上院が「仕事の世界における暴力およびハラスメントに関するILO第190号条約」の批准を全会一致で承認し、フィリピン労働者の権利にとって画期的な勝利がもたらされた。

ILOがこの条約を2019年に採択して以来、UNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)は、フィリピンの他の労働組合、労働団体、権利擁護団体とともに、職場におけるあらゆる形態の暴力やハラスメントから労働者を保護するこの重要な条約の批准に向けて、キャンペーンを精力的に展開してきた。広範なロビー活動、大規模集会、政策立案者との対話、さらに労働者の権利保護における190号条約の重要性について認識を高めるための草の根アドボカシーなどを行ってきたのである。

UNI-PLCは、組合活動家やこの大きな成果のために取組んできた他の労働組合に敬意を表し、次のようにコメントした。「ILO第190号条約の批准は、フィリピン人労働者とその権利擁護のために取組んできた人々の声を結集した重要な勝利。ILO第190号条約が国内法の一部となるということは、フィリピンの労働組合・労働運動にとって重要な勝利として記憶される歴史的瞬間だ。この条約は、意味のある変化をもたらし、労働者の権利を前進させる上で、集団行動とアドボカシーの力がいかに重要であるかを示すものである。この画期的な勝利は、フィリピンのあらゆる労働者が暴力やハラスメントを受ける恐れを抱くことなく、まっとうな雇用に従事し、国内の職場で敬意と平等、安全の文化を育む未来への道を拓くものだ」

UNI-PLCはさらに、条約の批准という決定的な一歩を踏み出すことは、持続可能な開発と社会進歩の目標に沿い、すべての労働者の尊厳と権利を守る職場環境を構築するという国際労働基準と人権原則に対するフィリピンのコミットメントについて強力なメッセージを送ることになる、と期待している。

フィリピン政府は現在、法的枠組みの確立、執行のメカニズム、被害者への支援サービス、この問題に関する教育・啓発の促進など、包括的な施策を実施する体制を整えている。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「UNI Aproは、この画期的な成果を達成したUNI-PLCと加盟組織の精力的な活動、フィリピン労働運動への貢献を非常に誇りに思う」と述べ、勝利を祝した。

ILO第190号条約は、職場における暴力やハラスメントに対処・防止することを目的とし、そのような行為が人権や職場における基本原則・権利を侵害するだけでなく、個人の尊厳や社会全体の健全性を損なうものであるとしている。現在、ILO加盟国のうち36か国がこの条約を批准しており、うち太平洋地域からはオーストラリア、フィジー、パプアニューギニアの3か国が批准しているが、今回の画期的な決定により、フィリピンはアジアで初めて190号条約に加盟した国となった。


第22回UNI-LCJユース英語セミナーを開催!

2023年12月8~10日、東京・府中においてUNI-LCJユース英語セミナーが4年ぶりに対面開催された。6組織(情報労連、全印刷、全労金、UAゼンセン、大日本印刷労組、JP労組)14名の参加者(男性5名、女性9名)は、海外から招いた3人のリソースパーソンを交え、英語でコミュニケーションをはかりながら、国際労働運動について理解を深めた。

「2023~2027年UNI-LCJアクションプラン」の重点課題に挙げられる「国際労働運動で活躍できる人材の育成」という方針に沿って開催された本英語セミナーの開会式では、北村聡太UNI-LCJ副議長が英語で開会挨拶を行い、「将来、日本のみならずアジア太平洋地域の労働運動のリーダーとなる皆さんにとって、このセミナーへの参加は国際労働運動への第一歩となる。ぜひ職場の仲間にも、この合宿で得た体験を共有してほしい」と呼びかけた。

自己紹介とオリエンテーションを経て、参加者は、上田智亮UNI-LCJ事務局長より国際労働組合運動の概要やUNIの取組みについて説明を受けた。また、インド出身のプージャ・カパヒUNI Aproオルグ(デジタルコミュニケーション・キャンペーン担当)は、同国における貧富の差や女性差別などの問題に触れつつ、非正規層や青年女性の組織化、縁故主義の蔓延する労働組合運動の課題を指摘した。マレーシアのメディア労組のアメリア・ナディアKESTMB労組副書記長は、多文化共生の同国の風土、メディア産業、労働組合の現状、女性や青年の課題、組合の活動などについて報告した。また、オーストラリア出身のホビッグ・メルコニアンUNI Apro組織化・キャンペーン部長は、同国の労働組合運動の概要や、出身組織である店舗流通関連労組が取組んできたハラスメント撲滅キャンペーンやフランチャイズ店舗における移民労働者搾取に対する闘い等について、報告した。進藤葉月UAゼンセン国際局職員は、11月に開催されたUNI Apro青年委員会及びワークショップについて報告するとともに、UAゼンセンの青年組織である「ヤングリーブス」の取組みについて紹介した。

最終日には、前日より準備と練習を重ねてきた最終プレゼンテーションが行われた。

グループ1は、Make Amazon Payやジェンダーに基づく暴力に反対するキャンぺーン等を事例にUNIの取組みを説明し、組合の下で団結すれば変革していく力を得ることができる、とまとめた。

グループ2は、青年や女性がどのように労働運動の中で闘ってきたか、いくつかの事例をもとに歴史を振り返った。同時に、寸劇とクイズを盛り込み、参加者を惹きつける対話型の構成で発表を行った。

グループ3は、日本に来た外国人労働者が、日本の独特の職場文化に触れて違和感を表明しつつ、日本の労働者もそれによって視野を広げていくというストーリーで寸劇を行った。

いずれのグループも本セミナーで学んだ内容を盛り込みつつ、短い練習時間の中でもチームワークを発揮して、助け合いながらプレゼンテーションを成功させた。

またセミナー中、上記グループワーク以外にも、プレゼンの司会進行を担う「モデレーター」、参加者同士のアクティビティを企画・実施する「ソーシャルファン」、その日の出来事を英文記事にしてFacebookにアップする「レポーター」の3委員会が設置され、参加者は各委員会の中で積極的に役割を果たした。さらに懇親会や休憩時間、ソーシャルファンのセッションを通じて、参加者同士やリソースパーソンとの活発な交流が行われ、懇親と友情を深めた。

参加者からは、「日本と異なる組合の課題や社会問題を聞くことができて視野が広がった」、「英語への興味を今まで以上に持つことができた」、「他労組のメンバーと共に団結して達成感を味わい、横のつながりをのばすことができた」といった前向きな感想が寄せられた。


労働者の権利に焦点を当てた資産家のグローバル・ネットワークが発足

2兆2,000億米ドルを超える運用・助言資産を持つ投資家が、投資先企業に対し、結社の自由および団体交渉に関する労働者の基本的権利を尊重するよう求めるため、結集した。

労働者の権利投資家ネットワーク(LRIN)は、スチュワードシップ(財産を管理することを任された者の責務)の実践に労働者の権利を組み込むことにコミットする、資産運用会社、資産家、投資サービス・プロバイダーを集めた世界的なイニシアティブである。LRINの参加組織には、ニューヨーク市職員退職金制度および教員退職金制度、スウェーデンのフォルクスサム、英国を拠点とする地方自治体年金基金フォーラム(LAPFF)等が含まれる。

LRINは、労働者資本の責任ある投資を提唱するグローバル・ユニオン労働者資本委員会(CWC)に置かれている。

同ネットワークの指針となる投資家声明において、労働者の権利は、国連や経済協力開発機構(OECD)によって認められているように、「人間の自由の基本的な柱」であると指摘されている。同声明は、「労働者の権利を尊重する企業は、生産性の向上、職場の安全性強化、従業員エンゲージメントの向上など、多くの利益を得ることができる」としている。

クリストファー・ヨンソン労働者資本委員会(CWC)委員長は、 「我々はこのネットワークによって、基本的権利を侵害されている労働者の声が、労働者の権利がポートフォリオの中で確実に守られるよう尽力している投資家の耳に届くようにしていく。これにより、投資家は人権デュー・ディリジェンスを改善し、リスクを軽減し、国際的な規範と枠組みの下で責任を果たすことができるようになる」と述べた。

投資家声明では、投資先企業の取締役会や上級管理職が労働者の権利について監督責任を負い、結社の自由や団体交渉に対する労働者の権利が尊重されるようにし、労働関連の指標に関する情報開示を行うよう、求めている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「このネットワークは、世界中の労働者の権利を守る上で重要な役割を果たしている。介護やその他の部門において、投資家の効果的なスチュワードシップが、基本的権利の行使を望む労働者に変化をもたらすことを、我々は目の当たりにしてきた。また、投資家が投資先企業のリスクを理解し、軽減するためには、現場の組合からの情報が必要であることも分かっている」とその意義を強調した。LRINは、投資家メンバーがスチュワードシップの実践にこれを組み入れる上で必要な情報とツールを提供する。

以下は労働者の権利投資家ネットワークに参加した投資家のコメントである。
「何千人もの労働者の退職貯蓄を預かる金融資産管理者として、我々は投資先企業が確実に労働者に投資するようにしたい。基本的な労働者の権利を無視することは、長期的な株主価値を損なうリスクがある。労働者の権利が尊重されるよう求める歴史的な運動は、何十万人もの労働者に目に見える利益をもたらしてきた。我々はCWCと共に力強く立ち上がり、この重要な取組みを発表できることを誇りに思う」 — ニューヨーク市会計監査官 ブラッド・ランダー氏

「LRINは、我々のスチュワードシップ強化に真価を発揮するものであり、早期に参加できたことを嬉しく思う。投資先企業が結社の自由や団体交渉を尊重することを期待しているが、現実にはあまりに多くの場合、そうはなっていないことも知っている。情報を得たり、労働組合から直接見識を聞いたりすることで、LRINがこの問題に取組む一助になると信じている」 ―フォルクサム責任投資・コーポレートガバナンス部門責任者 エミリー・ウェストホルム氏

「LRINの発足を支援できることを大変嬉しく思う。長年にわたり、我々は労働力の管理をめぐって多くの企業や労働組合と関わってきており、こうしたテーマが提起される頻度も高まっている。また、気候変動のような問題については、協力的なネットワーキング・イニシアチブが投資家のスチュワードシップ活動の効果を高めることも分かっている。ゆえに、労働者の権利に焦点を当てたネットワークの設立については、これ以上良いタイミングはないだろう」 ―ダグ・マクマートLAPFF議長


UNI欧州、欧州労働組合連合のテレワーク法制化要求を支持

UNI欧州は、使用者による欧州社会パートナー協約の締結拒否を受け、欧州委員会がテレワークとつながらない権利に関する迅速な立法措置を開始するよう求める欧州労働組合連合(ETUC)の呼びかけを支持する。

2022年6月、欧州の3つの使用者団体はETUCとの社会対話作業プログラムに署名したが、その中には、指令の形で導入予定のテレワークに関する法的拘束力のあるEU全体レベルの協約を交渉することが盛り込まれていた。

しかし1年以上にわたる交渉の末、3つの使用者団体のうち2組織が、いかなる文書の提出も拒否し、成功への道筋を提示できないまま交渉から離脱したのである。

パンデミック以降、欧州においてテレワークに関する強力な規制の必要性は、さらに緊急性を増している。EUの労働条件調査では、常時在宅勤務をしている労働者は、自由時間に仕事をする傾向が6倍高く、48時間勤務の可能性が2倍高いことが示されているのである。

欧州委員会は、在宅勤務をする労働者のために適切な労働条件を確保するための立法措置を直ちに行うべきである。UNI欧州は欧州委員会に対し、以下のような指令の提出を求める:

・既存のつながらない権利を保証する。
・情報への権利やデジタル・アクセス権など、労働組合の権利を保証する。
・テレワークを行う人々の賃金と待遇の平等を確保する。
・プライバシーを保護し、人権侵害的な監視を防止する。
・テレワークの決定が労働者の手に委ねられ、職場を代替するものではないことを保証する。
・テレワークの設計と提供について、団体交渉を通じて労働組合の関与を保証する。


組合は、労働者がテクノロジーについて交渉できるようにしなければならない

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「AIと公共の利益」と題された幅広い討論の中で行われた基調講演において、労働者がAIの影響と導入について交渉する必要性を強調した。

2023年11月15日に オープンマーケッツ・インスティテュートとAIナウ・インスティテュートが、ワシントンDCで主催したイベントでは、AIの出現後に我々が地域社会や職場で直面する将来予測、脅威、規制上の課題について、議論が展開した。欧米から第一線の政策立案者、規制当局者、技術者、起業家、作家、音楽家、政策専門家、学者が集った。

ホフマン書記長は講演の中で、AIの使用に関する懸念について、職場における新技術の導入をめぐる集団的闘争という、より広範な歴史的文脈の中に位置づけた。産業革命の黎明期から、労働者は団結して、今日で言うところの「公正な移行」を要求してきたのである。

1980年代にホフマン書記長が交渉担当を務めたジェットエンジン工場を含め、現代の労働組合運動は1970年代からロボットやオートメーションといった技術をめぐって、本格的な交渉を開始した。同書記長は、今日のテクノロジーをめぐる闘いには、数十年前の闘いと同じ力が必要だと指摘し、次のように述べた。「我々が主に求めてきたのは、技術導入前の事前通告と、雇用、安全衛生、トレーニングの分野におけるリスクに対処する機会でした。また、新しい機械やテクノロジーを導入するための最善の方法を提案する機会も求めてきました。そして、こうした要求は現代にも通じることなのです…(中略)…しかし、より長期的には、新たな効率化によってもたらされるメリットを分かち合いたいと考えていました。実際にこの時代、自動車産業では、自動車製造に必要な労働者数が減ったという事実を踏まえ、賃金をめぐって大規模なストライキが起こりました。そしてまた、これこそ、私たちが生成AIに関して直面している重要な課題なのです」

ホフマンUNI書記長は、非常に人権侵害的なアルゴリズム管理など、他のタイプの職場技術に保護措置を設置することで、世界中の組合が成功を収めていることを指摘した。このようなプログラムは通常、継続的な監視とフィードバックによって生産性を向上させ、労働者を安全上好ましくない、持続不可能な速度で働かせている。

労働運動は、団体交渉と社会対話を必要とする規制枠組みの両方を通じて、職場監視の量と労働者のデータの使用方法を規制してきた。その例として、コールセンターにおける全米通信労組(CWA)とATTの団体協約や、ドイツの労使協議会とアマゾンの個別データに関する協約が挙げられる。

同様に、昨年登場した生成AIは、生産性の向上が期待されているが、アルゴリズム管理とは異なり、これらの利益は、単に労働者を過酷に働かせて搾り取るのではなく、作業の自動化や労働者の能力の増強によってもたらされる可能性がある。 生成AIを職場で使用することに関する唯一の大規模な調査研究のひとつは、コールセンターを対象としたもので、そこではこのテクノロジーによって通話時間が14%短縮され、顧客満足度が向上した。

ホフマン書記長は、 「これは良い話であり、労働者の離職率が下がり、雇用が安定するということになるかもしれない…(中略)…しかし、より多くの電話に応対できるようになったからといって、労働者の賃金は上がるのでしょうか? スピードアップによって、仕事のストレスはさらに増えるのでしょうか? これらの疑問は、こうした労働者が交渉の席で交渉し、ある程度の力を発揮できるかどうかによって多くの部分が決まる、未知の問いなのです」と続けた。

UNIメディア部会の加盟組織による最近の勝利が示しているのも、集団的な行動の力だ。こうした組合は、労働者の補償と雇用が完全に保護されるよう、AIの規制について交渉することができたからだ。

このことは、今後の組合闘争のモデルになるはずだ。ホフマンUNI書記長は次のように締めくくった。「米国で議論されているAIに対する規制は、組合を作るのが難しすぎるという核心的な問題を回避しています。実際、肖像権や知的財産の保護を強化する必要があるのです。 監視は継続的なものであってはならず、安全衛生規則は強力に実施されるべきであり、すべての労働者が休憩を得られるべきです。しかし最も重要なことは、労働組合結成への障壁を減らすことによって、すべての労働者がテクノロジーに関して交渉できるようにすることなのです。…(中略)…労働者には、我々が組織化の進んだ部門で何十年も行ってきたように、テクノロジーに関して使用者と交渉するための本当の力が必要です。 我々はその方法を知っています。ただ、扉を開くだけでいいのです」


第10回UNI Apro東アジア労組フォーラム(2日目)

テーマ2:各国で進む働き方改革と労働組合の対応-長時間労働、少子高齢社会、労働力不足等、東アジア共通の課題解決に向けた取組み
2-1)長時間労働の是正に向けた取組み
●日本(中島遥香 損保労連事務局次長):同労組の中期重点取組み課題において、多様な働き方の実現が掲げ、その一つに「長時間労働につながる商慣習の見直し」がある。時間外電話や至急の対応依頼などの行動を見直し、相手の働き方への配慮が重要である。連合と連携したシンポジウム開催や他産別との意見交換、労使協議等を行い、組合員の行動変革を促している。
●韓国(キム・ミュンソ KFIU副委員長):労働時間短縮に向けた同労組の取組みについて概説した。2002年に金融労使交渉の成果として同国で初の週5日制が導入され、他産業に対しても起爆剤となった。他に昼食休憩の一斉付与、パンデミック時の営業時間短縮などを要求してきた。現在は週休3日制を目指している。
●台湾(ナガオ・クナウ TPTSEU委員長):台湾の公共テレビとその組合員構成、同労組による長時間労働是正と勤務形態の多様化に向けた取組みについて、概説した。組合として次の勤務までの休息時間の確保等に取組んでいる。高齢化が進む中、交渉によって年5日の有給の介護休暇を獲得した。また「報道者」について、残業削減に向けて、超過勤務指示が直前に行われた場合には代休時間を増やすことを協約で定めた。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):政労使で公正される国家労働安全衛生委員会があり、2023年7月に労働条件の基準が改定、これにより労働安全衛生管理に重点がおかれることになった。最近はメンタルヘルス課題にも注力している。組合として、公務員の給与水準の統一、勤務歴に応じた手当、地方勤務手当の支払い、インフレに見合わない賃金水準の改善と求めている。

2-2)女性が働きやすい職場作り
●日本(阪本裕実子 生保労連中央副執行委員長):同労組では「誰もが安心と働きがい・生きがいをもてる職場の実現」に向けて、ジェンダー平等に向けたポジティブ・アクションの推進、両立支援制度の拡充・活用推進を柱に、働き方を柔軟に選択できる制度の整備に取組んでいる。ジェンダー平等に関する意見交換会、管理職フォーラム等を開催し、今後さらに女性が活躍できる環境を整備していく。
●韓国(バン・キウォン KHMU教育委員会議長):約9万人の組合員のうち、多くが女性看護師である。過重労働ゆえに高離職率で、看護師有資格者で実際の稼働率は約5割である。組合は、長時間労働の是正、交代勤務の改善、ワークライフバランス向上について、病院や政府と交渉・闘争し、成果を勝ち取ってきた。
●台湾(リュウ・チュンハン CPWU企画部長):台湾における女性の安全衛生に関する法的保護、中華郵政による女性が働きやすい職場環境促進に向けた措置、(各種休暇や補助金、育児支援など)ワークライフバランスの取組みなどを紹介した。 

2-3)多様な働き方(リモートワーク、フレックス勤務、ワークライフバランス、つながらない権利等)
●日本(水野和人 情報労連書記長): 2020年よりテレワークが急速に拡大、ICT産業で特に顕著であるが、東京と地方、業種間や事業所規模により開きがある。情報労連では加盟組織では7割以上がテレワークを実施、勤務時間管理や業務に必要な現物や手当ての支援、柔軟な働き方等について取組んできた。在宅勤務によるメンタルヘルス維持、つながらない権利が課題であり、労働条件と職場環境の改善に引き続き取組む。
●日本(井上克彦 UAゼンセン常任中央執行委員/イオンフィナンシャルサービスユニオン中央執行委員長):男性の育児休業取得率は2020年以降100%であり、取得日数も増加している。全国規模でのサテライトオフィスの活用や、誰でも時短制度の導入など、多様な働き方の促進に取組んでいる。

テーマ3:賃金・労働条件交渉の成果と今後の課題-物価高騰に対応した労働者への公正な分配・労働条件の向上は実現したか?
●韓国(キム・オクラン FKMTU政治部長):全国医療産業労連は大学病院と交渉、週休3日のパイロット事業の期間と部署を拡大した。また仁荷大学病院労組は2023年に医療労組として初めて中央労働委員会の調停制度を活用、賃金引上げについて早期に協約を締結しただけでなく、適正な人材配備による業務強度の改善、及び病院サービスの質の向上等、労働条件と密接な関連がある部分に対する合意を導出できた。
●日本(徳田和宏 自動車総連国際局部長):2023年の春闘は、全体的または中小組合についてもほぼ30年ぶりとなる水準の賃上げが実現した。2023年度は自動車販売部門においても物価上昇、人手不足を背景に、高い賃上げを獲得、自動車総連全体の底上げ・底支えに確実につながった。整備士を含むサービス職についても、資格手当や役職手当の新設、手当額の引上げを獲得した組合もある。
●日本(中田綾子 UAゼンセン流通部門執行委員):物価上昇やマイナスの実質賃金などを背景に2023年には全加盟組織より署名を集め、UAゼンセンとして賃上げ促進を政府に要請した。結果、政府や経営者団体の間で賃上げの必要性について認識が広がって賃上げの機運も大きく高まり、高い賃金妥結水準となった。短時間組合員の賃金引上げも8年連続で正社員の引上げを上回り、雇用形態間格差是正につながっている。また、労働時間の改善や、カスタマーハラスメント対策などについても多くの加盟組合で交渉が行われた。
●台湾(スー・ホンティン CTWU台北支部長):中華電信および組合、台湾の経済状況、CTWUの方針や戦略枠組みについて概説した。実際の成果として、会社収益に関わらず賃上げを確保すること、育児対策と補助の拡充、永年勤続者の賞与改善などがある。また労働権益の向上にむけた取組みとして、労使協議や政府陳情、労働者教育という3つのチャネルを説明した。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):組合の意見も反映した上で2021年に改定された同国の労働法では、雇用契約、労働時間、賃金・手当、柔軟な労働条件などの点において改善が見られた。リモートワークやパートタイムの環境整備を団協協約で決められるようになり、超過勤務や深夜勤務の手当、同一労働同一賃金も明記された。また一度のシフトにおける勤務上限は12時間となり、健康面で大きな成果である。また、男性の育休や障がい者の雇用割合についても規定された。

■閉会式
砂川翔UNI Apro青年委員(JP労組)より、今回のフォーラムを総括し「今後もUNI、UNI Aproと連携し、東アジアの加盟組織間の情報交換を継続しながら、政労使の社会対話を促進し、労働者の声を政府および使用者に届けていく」ことを確認する共同声明が読み上げられ、採択された。また、次回フォーラムホスト国である韓国のキム・ドンホKPWU委員長が、次回は2025年にキョンジュで開催することを発表した。最後に、安藤京一UNI-LCJ副議長が、二日間で学んだことを生かし、UNIファミリーとして「共にこの地域の社会・経済の発展に貢献していこう」と挨拶し、閉会した。

なお、各セッションでは以下の方々が司会を務めた。
• 開会/基調講演:(日本)山下茂美 日放労中央執行委員
• サブテーマ1 :(日本)加藤友樹 全印刷組織部長
• サブテーマ2 :(韓国)ヨン・ユンギュ KHMUプサン支部長 
• サブテーマ3 :(台湾)ジュリア・ロー CPWU書記長 
• 閉会 :(日本)大澤佳之 全労金ろうきんセントラル労組 執行委員


第10回UNI Apro東アジア労組フォーラムを東京で開催!(1日目)

UNI Apro東アジア労組フォーラムは第10回目を迎え「Rising Together! 共に立ち上がろう!東アジアにおける公正な分配と働き方改革の実現を目指して」をテーマに、2023年10月26~27日、東京・神田明神ホールにて開催され、日本、韓国、台湾、香港、モンゴルより延べ約160名(日本から14組織約100名)が参加した。

■開会式
ホスト国を代表し、石川幸德UNI-LCJ議長は4年ぶりの対面開催となった今回のフォーラム参加者を歓迎し、「実り多い経験の共有と交流の機会になることを期待する」と冒頭の挨拶をした。各国代表より、韓国からシン・ソンイルUNI-KLC議長が、台湾からジョン・フージー台湾金融労連(TFFU)委員長が、モンゴルからオユンバヤル・チュルテムドルジUNI-MLC議長が、そして香港から挨拶があった。続いて、松浦昭彦UNI Apro会長は「UNIファミリーのネットワークを活用し、東アジア共通の諸課題の解決に向けて、労働者の声をよりよく反映させていこう」と連帯挨拶を述べた。

■基調講演
「アジア太平洋地域の労働者を取り巻く環境と課題」と題して、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長がについて講演した。デジタル化等によって急速に変化する仕事の世界において、労働者の新たなスキルを強化して公正な移行を確保すること、ギグ・エコノミーやリモートワークの普及によって組織化が困難になった労働者層を代表していくこと、監視によるプライバシー侵害から労働者を保護すること、正規雇用であったものが非正規化されていくことを阻止すること、などの重要性に言及した。

■テーマ別セッション:3つのテーマについて、各国の加盟組織より報告が共有された。

テーマ1:東アジアの労働者を取り巻く政治・経済・社会の現状と課題
●日本(浅香朋子 JP労組中央執行委員):デフレ経済と停滞する賃金水準、格差拡大、少子高齢化と生産年齢人口の減少といった日本ンの社会経済の抱える課題、政府政策等を概説した。賃上げ機運を継続するために組織拡大が重要である。
●韓国(ユン・チャン KFIU/KDB銀行労組副委員長):反労働保守政権による労働政策改悪の状況と韓国の経済状況や少子高齢社会について言及し、労働弾圧に立ち向かう組合の活動や韓国産業銀行移転阻止に向けた取組みについて紹介した。
●台湾(ハン・シューシェン TFFU事務局長):台湾におけるメーデーの取組み、Mee too運動、インフレに伴う基本給の引き上げについて触れるとともに、2024年の総統選に向けて与党が最低賃金法を提出していること、交渉中の台米貿易協定の状況等について概説した。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):政府は経済発展、人材育成、産業推進などの分野で2050年の達成を目標に掲げている。全人口の約半数が労働可能人口であるが、高度人材の不足が課題となっている。組合は賃上げ実現に尽力し、2023年7月に国家公務員の賃上げを獲得、高齢者の年金の均一化も図られた。また都市部での渋滞解消のためにも組合として柔軟な勤務時間の導入に取組んでいる。


イスラエルとガザにおける戦争に関するUNI声明

以下の声明が、2023年11月8日に開催されたUNI世界執行委員会で採択された。

UNIは、イスラエルとガザで生じている悲劇に衝撃を受け、驚愕している。我々は、イスラエルとパレスチナのすべての暴力による犠牲者に思いを寄せ、連帯する。我々は、国際法の完全な適用に基づく平和と民主主義が実現する恐怖のない平和な世界に強くコミットしている。この目的を達成するため、我々全員が取り組みを強化する必要性は、かつてないほど高まっている。

敵対行為の即時停止が不可欠であり、国際社会は、すべての当事者が国際法の基本原則を守り、すべての民間人が保護されるよう、介入すべきである。

我々は、ハマスによるイスラエル市民に対する残忍な攻撃と殺害を非難し、すべての人質を即時且つ無条件に無事解放することを要求する。

ハマスによるイスラエル市民の殺害も、イスラエル政府によるガザ市民への砲撃も、恒久的な和平をもたらすものとはならない。

ガザでは今、破滅的な状況が続いている。 住民は容赦ない爆撃下に追い込まれ、ガザの医療体制は、必死に助けを求める人々を治療することがますます困難となり、電気、水、食料の遮断は、多数の男性、女性、子どもの死を引き起こしかねない広範な人道危機につながっている。ガザへの人道回廊を開き、切実に支援が必要な人々に援助を提供することが急務である。

UNIは、国連安全保障決議に則った公正で持続可能な和平と、占領の終結を求める長年の方針を掲げている。イスラエル、パレスチナ、そして国際社会が、何世代にもわたって続いてきたこの紛争の公正な解決の実現にこれまで失敗し続けてきたことは、あらゆる立場の多くの人々に影響を与えてきた暴力、トラウマ、殺戮の継続を意味する。

すべての国々は今、平等、民主主義、人権と労働権の尊重を促進する包括的かつ恒久的な和平に向けた取り組みを一層強化しなければならない。我々は、この地域全体のコミュニティを荒廃させてきた暴力の連鎖を終わらせなければならない。

世界中で反ユダヤ主義やイスラムへの嫌悪がエスカレートしていることに我々全員が警鐘を鳴らしている。だが我々は、この危機を利用して分断を煽ろうとする勢力を決して許さない。戦争、暴力、そしてあらゆる形の人種差別に反対する我々の断固たる姿勢は、すべての人のための平和と正義を希求する闘いにおいて、我々全員を団結させるに違いない。

ガザへの人道支援、人質の解放、そして即時停戦は、この危機を脱するための第一歩である。戦争と暴力から抜け出し、我々を平和な未来へと導く道である。


UNI、AI安全サミットに労働者の声を反映させるよう呼びかけ

2023年10月末、UNIとUNI欧州は、世界中の100を超える市民団体とともに、英国政府が開催するAI安全サミットについて「チャンスを逃した」と非難した。

リシ・スナク英国首相に宛てた公開書簡の中で、各団体は、AIによって最も影響を受ける地域社会や労働者がサミットから疎外されている一方で、一部の企業がルールを形作ろうとしている、と警鐘を鳴らした。

2023年11月1日、2日にロンドン近郊で開催予定のAI安全サミットでは、政治家やテック企業幹部を中心に、オープンAIのChatGPTのような高度なAI技術のリスクについて、議論がなされる予定だ。

ケイト・ベルTUC書記次長は、「AIはすでに、我々の働き方、雇用や解雇のされ方など、人々の人生を変えるような決定を下している。しかし、働く人々にはまだその交渉の席が与えられていない」と述べ、「このイベントは、幅広い声を集め、差し迫った脅威にどう対処し、いかにしてAIがすべての人に利益をもたらすようにするかを議論する機会となるべきだった。AIの未来を形作るのは、技術者や政治家だけであってはならない」と指摘した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「サミットから労働者の声を排除することは恥ずべきこと」と批判し、「AIを経済全体に展開する計画があるなら、労働者は初日からそのテーブルにつく必要がある。 AIは多くの人々にとって仕事が改善される機会を提供するが、それは適切な保護が導入され、労働者が利益を共有する場合に限られる」と強調した。


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