
2025年10月15~16日にフィリピン・マニラで第7回UNI Apro金融部会大会が開催された。集団的な力を強化し、持続可能な金融を推進し、業界を再構築するデジタル変革に労働者として備えるべく、アジア太平洋地域の金融産業の労働者を代表する組合が結集した。
ジュリア・アングリサノUNI Apro金融部会副議長が議長を務めた本大会には、13カ国24加盟組織から27名の代表者と67名のオブザーバが参加した。『アジア太平洋地域における強い金融労組の実現に向けて共に立ち上がろう』をテーマに開催され、テクノロジーおよび環境面での前例のない課題に直面する金融労働者の力の構築に向けたUNIのコミットメントが再確認された。
ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、歓迎挨拶の中で、金融部会の組合強化における地域協力の重要性を強調して次のように述べた。「労働組合としての我々の任務は極めて明確だ。デジタル変革が労働者にとって不利益とならぬよう、労働者の利益となるようにしなければならない。それは公正な移行の保障、再訓練・スキルアップ・リスキリングの実施、そしてディーセントワークと社会対話を保護するということだ。」また同氏は、金融産業の企業慣行への懸念が高まっていることを強調し、収益を上げている銀行がAIを活用して雇用を削減しながらオフショアリングを継続している事例を挙げ、「これはシンプルに、企業が強欲だということ。我々は団結して、これを止めるよう声をあげなければならない」と訴えた。
人工知能とデジタル変革
人工知能と自動化が銀行・金融サービスを急速に変革する中、参加者は労働者の権利を保護する公正なデジタル移行の確保について深い懸念を表明した。会議ではUNI金融部会の新冊子『AIを形作り、仕事を守る:デジタル金融時代に向けた労働組合戦略』が発表された。これはAIが雇用・技能・職場ガバナンスに与える影響に対処するための主要な組合戦略と提言をまとめたものである。
加盟組織からは、雇用喪失、AI導入における透明性の必要性、アルゴリズム管理への懸念など差し迫った課題が提起された。参加者は、技術が労働者を置き換えるのではなく利益をもたらすものとなるよう、組合がAIリテラシー構築、公正なAIガバナンス枠組みの交渉、より強力な規制保護の提唱に取組む重要性を確認した。
持続可能な金融と気候変動への対応
大会では持続可能な金融と気候変動への対応策に重点が置かれ、参加者はグリーンファイナンス、再生可能エネルギー投資、気候レジリエンスに関する取組みを共有した。セッションでは、金融機関と労働組合が連携して責任ある融資慣行を推進しつつ、スキルアップ・再訓練プログラムを通じて労働者が環境に配慮した移行に対応できるよう準備する方策が検討された。
加盟組織は、特に排出量は少ないが気候リスクの高い脆弱地域において、労働者の再訓練、手頃な保険、気候対応戦略を含む公正な移行の緊急性を強調した。参加者は、公共資産の保険適用範囲拡大、持続可能な金融原則に関する継続的研修、環境配慮の銀行中核業務への統合など、成功事例を共有した。
デジタル時代における団体交渉
金融部会大会では、デジタル変革・アルゴリズム管理・雇用喪失に対処するため、団体交渉戦略を刷新することが急務であることが議論された。そしてテクノロジー導入に際しての透明性確保、職場変化に関する実質的な協議の実施、進化する金融産業に必要なデジタル・グリーンスキルを労働者に提供するため、組合が団体協約をどう活用できるかについて、検討がなされた。
加盟組織は、AIによる雇用削減への挑戦、持続可能性と包摂性を考慮した銀行業務に向けた影響力行使、技術変化に伴う公正な労働条件の交渉において、集団的力を活用した成功事例を共有した。セッションでは交渉力を構築し国境を越えたベストプラクティスを共有する上で、地域連帯の重要性が強調された。
2026~2030年の戦略的行動計画を採択
金融部会大会では包括的な「2026~2030年UNI Apro 金融部会戦略的行動計画」が採択された。地域全体の共同行動を導く明確な優先事項を定めた。
計画は5つの主要な柱に焦点を当てる:
- 南アジア・東南アジアにおける組織化を通じた組合の力の拡大
- リーダーシップ育成と技能訓練による能力構築
- デジタル変革と気候課題に対応する団体交渉
- 人権デュー・ディリジェンスを含む企業説明責任
- 公正な経済発展のための公正な移行と持続可能な金融
大会では、従来の労働者の権利を超えた企業説明責任の事例が強調された。ジュリア・アングリサノ議長は、UNIがBNPパリバに対し、占領下のパレスチナ地域で事業を行う企業への融資を停止するよう求めた事例を挙げ、金融機関に人権と倫理的金融の説明責任を問うことで組合が達成できる成果の証左とした。
行動計画は、ジェンダー平等、若年層の参加促進、そして十分な金融サービスを受けられないコミュニティに対する手頃な金融サービス提供における公的部門銀行の重要な役割に関するコミットメントを再確認している。
注目すべき大会セッション
大会では、地域の優先課題とパートナーシップに取り組む二つの重要なセッションが行われた。
アジア開発銀行(ADB)のステークホルダー協議枠組みに関する知識共有セッションでは、労働組合との協働における三つの優先分野が示された:市民社会の有意義な関与の拡大、知識共有と対話の強化、説明責任と透明性イニシアチブの推進である。本セッションでは、金融セ産業の労働組合が地域全体の持続可能な開発プロジェクトにおいてADBと連携する機会が強調された。
大会では、ミャンマーにおける人権改善に向けたUNI Aproの戦略的キャンペーンについて再確認がなされた。これには、金融産業労働者に対する権利侵害の記録、軍事政権を支援する団体の追跡、研究者・法律専門家・政策立案者による連合の構築が含まれる。加盟組織は、ミャンマー労働者の実態を広く伝え、対象を絞った制裁を推進し、ミャンマーに関するILO第33条決議の実施を各国政府に働きかけるよう尽力する。
連帯と地域支援
大会では、重大な課題に直面する加盟組織を支援する2つの連帯声明が採択された。一つ目はスリランカに関する声明であり、国有銀行の民営化と専門住宅金融機関を脅かす規制上の制約から銀行を守るための運動を展開するセイロン銀行従業員組合(CBEU)への連帯が表明された。また大会は、不利な規制変更を受けて労働権、雇用保障、独立管理退職基金を守るネパールの金融労組(FIEUN)による継続的な闘争を支持した。
リーダーシップと地域協力
大会では新たなUNI Apro金融部会委員会が選出され、中野剛損保労連委員長がUNI Apro金融部会議長として承認された。大会ではUNI世界金融部会委員会の代表者も選出された。
また、強力な団体交渉の必要性、若年層・女性の組合参加促進、新興市場における組織化活動の拡大など、グローバルな優先課題が示された。
閉会
閉会にあたりジュリア・アングリサノ大会議長は、この集まりの意義と代議員が描いたビジョンについて「私たちは単なる作業計画の見直しを超えた——ビジョンを確立した。それは強固で未来に対応し、正義と民主主義に根差した組合のビジョンだ」と振り返り、「ソウルからシドニー、バンコクからコロンボまで、地域の隅々から経験が共有された。どの物語も私たちに同じ真実を思い出させてくれた。金融労働者は団結すれば、我々は公平性を実現する上で止められない力となることができる」と述べ、地域全体の連帯の力を強調した。最後に「各組合において、意思決定レベルで女性のための場を創出し続けるよう強く求める。次回の会議ではより多くの女性が参加することを期待する」と述べた。
新たに選出された中野剛会長は、参加者全員に感謝の意を表し、「議長としての私の最初の使命は明確であり、それはこの行動計画を具体的な成果に転換すること。この場に集う全ての加盟組織の集合的な知恵、経験、そして力を結集し、共に運動を築き上げよう」と訴えた。
大会は、2026~2030年活動計画の実施と地域協力の深化を通じ、アジア太平洋地域の金融労働者全員に公正で安全かつ尊厳ある労働を実現できる強固な組合を構築することを誓って閉幕した。次回のUNI Apro金融部会委員会は2026年後半に東南アジアで開催される。

