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タイ情報通信産業の再編に向けて労組が対応を協議

2019年3月21日、野田情報労連委員長(UNI Apro ICTS部会議長)は、タイ・バンコクでUNIに加盟する情報通信労組から直近の状況と課題について報告を受けた。タイには6社の通信会社があり、UNIにはTOT(約1万人)とCAT(約4,500人)の組合が加盟している。現在、両企業の合併案が持ち上がっており、両労組が対応を検討中であることから、当面の課題と対応について協議した。

両労組は、2社の合併が実現した場合には労組も1つであることが望ましいと認識しているが、新たな組織体制や規約の整理等、様々な課題がある。雇用維持や処遇統一等についても検討していかなければならない。「諸外国の事例を参考にしながら慎重に対応していきたい」と述べ、日本の経験に基づく野田UNI Apro ICTS部会議長からのアドバイスに感謝した。


バングラデシュにおける労使パートナーシップの普及

2019年3月17日、バングラデシュの首都ダッカにおいて、ICTS(情報通信産業)の労組役員を対象としたセミナーが開催され、6組織の代表者が参加した。野田情報労連委員長(UNI Apro地域会長、UNI Apro ICTS部会議長)は、講演の中で日本の労使関係について紹介し、「健全な企業発展には健全な労働組合が必要であり、そのことを政労使全体で理解しなければならない」と強調した。
バングラデシュでは組合を結成しても、登録が認められないことがよくある。セミナーでは各労組の代表が、組織状況と課題について報告した。
セミナーの最後には、新たにUNIバングラデシュICTS部会委員会が設立された。産業別組織を構築し情報共有と意見交換を推進することで、産業内労働者の地位向上を目指していく。
また、郵便、ICTS、メディア、印刷、商業、金融の6部門の加盟組織及び青年・女性代表から構成されるUNIバングラデシュ加盟協(UNI-BLC)の役員とも意見交換を行った。
この他、野田UNI Apro地域会長は、バングラデシュ電気通信規制委員会(BTRC)長官や、労働雇用省事務次官を表敬訪問し、UNIが提唱する労使スマートパートナーシップの概念を紹介し、労使での課題認識共有を要請した。


バングラデシュでの7年に渡る闘争を経て、グラミンフォン労組、承認を勝ち取る

組合の承認を求めて7年間闘い続けたグラミンフォン労組(GPEU)は、3月7日ついにバングラデシュ労働局から、組合登録受理の通知を受けた。

「GPEUはグラミンフォン労働者のために勇気をもって粘り強く訴えてきた。労働者も厳しいチャレンジに直面しながらも、堅い決意の下、希望を捨てずに頑張ってきた」と、クリスティ・ホフマンUNI書記長は称えた。「この勝利によって、より良い労働条件を求めて闘っている世界中の通信産業の労働者にも希望や感動が与えられた。」

闘いは2012年に始まった。組合は、バングラデシュで急速に成長する情報通信産業において組合運動が発展し拡大するのを阻止しようと連携した会社、使用者協会、政府からの反対に遭った。

GPEUへの抵抗は凄まじいものだった。162人の組合員と7人の組合役員が解雇された。労働者を分断し、不和を生じさせるために、ライバル組合がつくられた。組合の登録申請に対し法的措置が取られ、登録を阻止するために労働省から訴えられた。

それにもかかわらず、GPEUは地道に労働者の結束を図り、今では従業員の過半数を代表し、職場代表の選出や団体交渉等、次のステップの準備にかかっている。

 

 

 


国際女性デーに寄せて

#MeToo運動が起こる前から、女性に対する暴力がメディアで毎日のように報道される前から、#googlewalkout(世界中の何千人ものグーグル労働者がセクハラ問題への同社の対応に抗議するため、職場を離れてストを行った)が起こる前から、UNI女性委員会は闘ってきた。

2000年代初めから、UNIは機会均等局を通じて、特に女性に対する暴力のインパクトに関する意識啓発に努めてきた。2009年に「悪循環を断ち切れ」キャンペーンを開始し、暴力を根絶するための闘いをより「見える化」した。UNIは常に、女性に関わる問題、とりわけ女性に対する暴力を根絶する闘いの先頭に立ってきた。

3月8日の国際女性デーにあたり、私たちの長期に渡る取組みをハイライトしたい。こうした辛抱強い取組みは、意識啓発だけでなく、より大きな夢を実現することにつながる。今私たちは、職場における、あらゆる種類の暴力を根絶するためのILO条約の制定を目指している。

3月8日、私たちは、嫌がらせやセクハラが夜のニュースになるまで長い間闘ってきたUNIの全ての女性の努力を称えたい。女性たちの辛抱強い取組みと熱意に敬意を表し、労働組合は、全ての人にもっと平等で公正な社会をつくるために不可欠であることを示したい。

「悪循環を断ち切れ」キャンペーン専用ウェブサイト(英語)はこちら

#1 私は、ジェンダー、年齢、人種、性的指向、信条にかかわらず、全ての人の基本的な権利を尊重する。 #2 私は自分がそう取り扱われるように他人にも接する。暴力は解決策ではない。いかなる種類の暴力も受け入れられない。
#3 もし私が職場で暴力やハラスメントを目撃したら、被害者への支援を申し出る。私は無関心ではいられない。私たちは暴力を終わらせるため共に協力しなければならない。 #4 私は、職場や地域でのジェンダーに基づく暴力やハラスメントに対し声を挙げる。

 

#5 私はジェンダーに基づく暴力とハラスメント問題に対して全員があらゆる行動をとることを信じている。 #6 私は、積極的な変化を起こし、ジェンダーに基づく暴力とハラスメントを廃絶するために、あらゆる手段を使う。私の組合はこの闘いの協力者だ。
#7 私は、ジェンダーに基づく暴力とはどのようなものであり、誰が苦しみ、どのように撲滅できるかを周囲の人に伝える。 #8 私は、ジェンダーに基づく暴力とハラスメントの被害者を支援し、耳を傾ける。私はあなたを信じている。
#9 私たちは、職場の暴力とハラスメントを廃絶するため、勧告を伴うILO条約の採択を強く推進する。 #10 私たちは、労働の未来における、あらゆる種類の暴力とハラスメントの禁止条項を含む労働政策を確保するために取組む。
#11 私たちの組織は、労働の未来における暴力とハラスメントが、世界中の国営・民間企業、正規・非正規、全ての職業及び産業に影響を及ぼすことを理解している。廃絶するのは私たちの義務だ。 #12 私たちは、ジェンダーに基づく暴力とハラスメントに関する教育訓練を促進し、そのための資源を確保していく。私たちのあらゆる行動は、ジェンダーに基づく暴力とハラスメントの廃絶に近づける一歩となる。
#13 私たちは、とりわけ女性、青年、LGBTIQ+等のグループに向けられる暴力を防ぐために取組む。 #14私は、ジェンダー、年齢、人種、性的指向、信条にかかわらず、全ての人の基本的な権利を尊重する。
#15 私たちは、目撃者と内部告発者が守られるような、暴力とハラスメントの事例を解決するための適切なメカニズムと手続きを実行する。

#16 私たちは、職場におけるジェンダーに基づく暴力とハラスメントの被害者に耳を傾け、支援を提供する。私たちはあなたを信じる。組合はあなたの味方だ。

 

 


世界の商業部門におけるデジタル化を議論

2019年2月26~28日、オーストラリア・シドニーにおいて、UNI世界商業部会運営委員会が開催され、世界22カ国から46人が出席した。日本からは、八野UNI世界商業部会副議長(UAゼンセン 副会長)、金子UNI世界商業部会運営委員(自動車総連 事務局長)、藤吉UNI Apro商業部会委員(UAゼンセン 副会長)、中野UAゼンセン国際局長、小川UNI-LCJ事務局長が参加した。

主な議題は、2018年度活動報告、2019年度活動計画、多国籍企業対策、Eコマース等であった。

食品小売を含むハイパーマーケット部門の調査報告を受け、様々な意見交換が行われた。従来の大手小売業者(ウォルマート、カルフール等)は、Eコマース事業者の買収により積極的な拡大戦略をとっている。Eコマースの更なる拡大が見込まれる中、Eコマース労働者を組織化するための新しい戦略が必要だ、との意見が出された。キャッシュレス化の動きについては、カードを持てない消費者への差別だと反対する国(米国等)もあれば、スウェーデンのように夜間の犯罪防止のためにキャッシュレス化の推進を主張する組合もある。テクノロジーの導入によって変わる新しい仕事に移行できるよう、労働者に必要なスキル訓練へのアクセスを保障することが重要であり、雇用の喪失を恐れる必要はないが、社会がプラットフォーム経済を中心に形成されることに懸念の声があがった。

ファストファッション部門の調査報告に続き、ユニクロがスウェーデンで初めて団体協約に署名したことが報告された。組合と協約を結ぶとビジネスもやりやすい、というスウェーデンモデルのメリットが他社にも示された。

アマゾンが第2本社をニューヨークに建設する計画を断念したことについて、アッペルバウムUNI世界商業部会議長(米国UFCW/RWDSU)が組合とコミュニティが一体となった闘いの詳細を説明した。更に、売上と株価を重視するアマゾンのビジネスモデルを投資家の観点から詳細に分析し、環境への影響、労使関係等に疑問を持つ株主グループや大手年金基金等との連携が提案された。

また、開催国オーストラリアの労働党(ALP)の議員を招いて、「オーストラリアにおける格差と労働の未来」について聞いた。

ALP全国議長を務めるウェイン・スワン議員は、2007~13年、財務大臣在任中に世界経済危機が起こったが、緊縮策ではなく刺激策をとったことにより大幅な失業には至らず、実質賃金は上がった経験を振り返り、現保守党政権が推進する、他国で失敗したトリクルダウン政策を批判した。デボラ・オニール上院議員も、多国籍企業に権力が集中し過ぎている中、民主主義に疑問を持つ個人が増えていることを懸念した。また、オーストラリアの年金制度設計に女性が関わらなかったために、女性に不利な制度になっている例を挙げ、中長期的な労働の世界に女性の視点は不可欠であることを強調した。

 


「流通の職場における暴力根絶」ガイドラインを発刊

2019年2月25日、第19回UNI Apro商業部会委員会が、オーストラリアの加盟組織SDAのニューサウスウェールズ支部において開催され、オーストラリア、香港、日本、シンガポールから委員、オブザーバーが参加した。日本からは、八野UNI世界商業部会副議長(UAゼンセン 副会長)、金子UNI Apro商業部会副議長(自動車総連 事務局長)、藤吉UNI Apro商業部会委員(UAゼンセン 副会長)、中野UAゼンセン国際局長、小川UNI-LCJ事務局長が出席した。

主な議題は、2018年度活動報告、「流通の職場における暴力根絶」ガイドラインの披露、Eコマース調査報告、等であった。

2018年度活動報告の中で、UNI Aproが各国で取組む多国籍企業(ファストファッション、小売スーパー、その他)の組織化状況と組合強化活動について最新情報が報告され、UAゼンセンからの支援に感謝が示された。

「流通の職場における暴力根絶」ガイドラインは、UAゼンセン及びオーストラリアSDA等からの資料を基に編集された。ウンUNI Apro地域書記長、アッペルバウムUNI世界商業部会議長、八野UNI世界商業部会副議長、ドワイヤーUNI Apro商業部会議長が発刊を記念して署名を行った。ウンUNI Apro地域書記長は、「職場の安全衛生:小売業ガイドライン」のように各国語に翻訳し、広く活用してもらいたい、と述べた。

各国報告として、金子UNI Apro商業部会副議長は、春闘の説明及び自動車総連、販売部門の2019年度賃上げの取組みについて報告した。

ライハ委員は、「香港の小売労働者は長時間労働のため研修を受ける時間がなく、研修のための休暇も無い。研修費の自己負担も大きく、制度の有効性が不十分。セルフレジが増えており、将来、無人店舗化されれば大量解雇が予想される」と懸念を表した。

藤吉UNI Apro商業部会委員は、悪質クレーム対策について最新情報を報告した。

スラシュ委員は、シンガポールにおいて、髙島屋、BHG、伊勢丹、メトロ、ムスタファ等3000人を組織していること、商業部門では若い人が働きたがらず。45歳以上が多いこと、等を報告した。

また、会場となったSDAニューサウスウェールズ支部のバーニー書記長から、職場におけるハラスメント対策(顧客からの暴力・ハラスメント対策)、休日確保等の取組みについて報告を受けた後、事務所内を視察した。 

 


UNI Apro運営委員会、地域大会準備を議論

第32回UNI Apro運営委員会が、2019年2月22日、東京で開催された。野田UNI Apro会長が議長を務めた。

今年は地域大会開催年であるため、例年4~5月に開催されるUNI Apro執行委員会は開かれず、地域大会準備のための重要事項については、UNI Apro運営委員会の確認に委ねることが、昨年のUNI Apro執行委員会で確認されていた。

従って、主な議題は第5回UNI Apro地域大会(11月、ネパール・カトマンズ)・女性大会の準備に関わる事項であった。

この他、昨年、英国・リバプールで開催された第5回UNI世界大会・女性大会のフォローアップ、UNI Aproの法人登録に伴う移行手続きの最新状況、予算等について確認を行った。


クリスティ・ホフマンUNI書記長、UNI-LCJ年次総会で記念講演

司会:さて、ホフマン書記長は、年明け早々、世界経済フォーラム、ダボス会議に世界の労働組合リーダーと共に出席されました。まずは初めて参加したダボス会議の様子をお聞かせください。

ダボスには期間中3000人くらい集まり、うち企業は1000社くらい参加しています。今年、労働界からの参加は10人だったので、私たちのプレゼンスは限定的だったかもしれません。それでも存在感を示すことはできたと思います。連合から相原事務局長、3つのGUF代表、デンマーク、スウェーデンと米国の労働組合代表、シャラン・バロウITUC書記長が出席しました。多くのパネルディスカッションに参加し、様々なマスコミからインタビューを受けたので、存在感を示すことができました。今回も、将来についての議論がかなり行われました。グローバル経済にとって最大の脅威は、サイバーセキュリティーと気候変動であると認識されました。テクノロジーについての議論では、ロボットがやってくる、というヒステリックな論調から離れ、テクノロジーの活用に対してより現実的なアプローチになっているとの印象を受けました。

ダボスに参集したリーダーや専門家の意見を総合的に考えると、デジタル化は予想より遅いスピードで起こっており、企業は既存の従業員を置き換えるのではなく、再教育または再訓練してデジタル技術を導入しようとしています。これは私たちにとって朗報だと言えます。表向きには企業はそのようなことを言っており、私たちはもっと懐疑的に思うべきかも知れませんが、ダボスでは、少なくとも真摯な気持ちで言っていたと感じました。

ダボスで共有された雇用に関するデータは以前より良好なものでした。デジタル化によって雇用が大幅に拡大するという見方もありましたが、新たな雇用がどれだけ増えても、仕事を失う労働者は必ず出てきます。私たち労働組合リーダーは、ダボス会議の中で、「誰も取り残されないように、政府主導または政労使の取組みが必要だ。生涯教育を受ける権利を全ての人に保障するべきだ」と訴えてきました。

また、ダボスでは引き続き各国内での所得格差の拡大に懸念が示されました。最新情報によると、世界の富の半分はわずか26人の富豪によって所有されているといいます。しかし、富裕層への税率を引き上げることによって、富の再分配を図るという考えには、ダボスの参加者は反対しました。この考えはいろいろな会議の分科会で笑い飛ばされ、ある分科会では、これを提起した若いオランダのエコノミストの発言が衝撃的とされ、論議の的となり、彼のスピーチの動画はSNSで炎上しました。ダボス会議創設者のクラウス・シュワブ氏は、会議後のフォローアップの中で、「ことによっては富の再分配は必要かもしれない」というコメントを出しています。

ダボス・デビューとしては実りが多かったと自負しています。

司会:書記長は米国出身で、米国の労働運動でも長く活躍してこられました。ということで、米国や、ブラジル、ルーベン会長の出身国でもあるアルゼンチン等における労働運動について簡単にご紹介いただけますでしょうか。

私は米国出身であり、米州(南北アメリカ)で何が起きているか、いつも注視しています。

まず米国について、トランプ政権は組合に非常に敵対的ですが、そのことによって組合の役割が薄れたわけではありません。逆に昨年、組合の闘争活動、スト回数、スト参加人数はここ数十年で最高を記録したのです。現在の組合費徴収の仕組みに対して法的手段を用いた攻撃が続いているにも関わらず、組織人員は変わっていません。こうした攻撃を受ければ組合員は減るのではないかと言われていましたが、労働者はより強く問題意識を持ち、職場で声をあげたい、ディーセントな(人間らしい)仕事がほしい、という気持ちをより積極的に表現するようになりました。調査によると、若者はここ数年で一番労働組合を好意的に見るようになっていると言う結果も出ています。

民主党も労働組合により好意的で、州レベルでもはっきりと物を言う野党に生まれ変わりました。多くの州で最低賃金が1時間15ドルに引き上げられました。これは連邦政府が設定している最低賃金の約2倍です。法律で病気休暇を定めることが義務化された州もあります。今まで米国の労働者にはこうした法定の休暇はありませんでした。

最近では、従来の労働組合に代わる労働者グループの活動が活発になってきています。こうしたグループは、単一の問題についてSNS上でキャンペーンを展開したり、使用者に要求を行ったりしています。昨年だけで200ものキャンペーンが行われました。例を挙げると、昨年、世界中のグーグルで働く2万人の労働者が、組合は無いものの、世界各国で1日ストライキを実施しました。彼らの要求は、セクハラに関するものの他に、自分たちが開発する商品に関して発言したい、というものでした。大局的に見ると、組合費徴収が攻撃されているものの、労働者による行動が活発化していると言えます。ですから、米国の状況は非常に期待できると考えています。

一方、ブラジルの状況は全く違います。ボルソナーロ新大統領は、就任後すぐに最低賃金を引き下げました。新政府は全ての労働者を標的にしています。労働省は切り捨てられ、つぶされてしまいました。1日の労働時間は8時間だったところ、10時間労働を導入し、かつ、労働者の権利保護を縮小する動きが多数出ています。政府は、労働組合の結成承認と規制の権限を連邦警察に委ねると提案しており、これは結社の自由に対する恥知らずな攻撃です。

ブラジルの労働法制において、団体交渉、組合費徴収等の点がかなり前から弱体化されており、その結果、UNI加盟組織は組合費収入の相当の部分を失いました。ブラジルの組合は危機に瀕しており、今後、再編・統合を余儀なくされると思われます。しかし、ブラジルの組合は、極右政府によって突きつけられた制約の中でも闘争を続ける強い意志を持っています。

コルティナUNI会長の出身でもあるアルゼンチンには、リバプール世界大会後、2度訪れています。財政危機、通貨危機に陥って、政府がとった緊縮財政政策に多くの労働者が苦しんでいます。しかし、アルゼンチンの組合の交渉力はまだ強く、産業別労組は未だ健在です。組合は今でも重要な交渉当事者です。政府の力に屈せず、組合の力が強いことに期待していますが、通貨の切り下げの結果、通貨危機以前の資産を取り戻すには、ここから先4世代かかると試算されています。

司会:UNIは“労働の未来”について、5年前のケープタウン世界大会から取組みを始めていました。これについて最新情報をお聞かせください。

UNIにおいては、“労働の未来(Future world of work)”から徐々に“新しい仕事の世界(New world of work)”へと移行しています。ケープタウンで初めて提起されて以来、様々な取組みを経て、現在進行形です。“新しい仕事の世界”におけるUNIの役割は、さらに進化しています。最初はトレンドに対する問題喚起・啓発活動でしたが、その段階は終わり、次は解決策を求めていく段階です。この過程において、いかに労働組合を強化していくか。将来を形成するプロセスに労働者が確実に参画できるようにするにはどうすればよいのか、具体的には将来のあるべき姿に向けての交渉当事者として、労働組合の役割を強化しなければなりません。交渉議題には、新たな技術の再訓練の強化や、新たな技術の導入により可能となった使用者の過剰な監視等が、含まれるでしょう。他にも多くの交渉すべき議題があります。使用者と交渉する際に、加盟組合にはこのような課題を強調するようお願いしたいと思います。UNIは、世界各国から優良事例を集め、共有することを目指しています。UNI加盟組織は既に重要な成果をたくさんあげています。優良事例も教訓も蓄積されています。恐らく私だけではないと思いますが、「労働組合は過去の遺物だ」と言われることに辟易しています。将来のあるべき姿を決めるため、労働者が発言力を持つために、今まで以上に労働組合は大切です。労働組合の交渉は、正義ある未来への移行過程の一部なのです。

この移行期において、置き去りにされる労働者がいないようにするためには、団体交渉の諸制度を強化すべく、ルールを変更し、自営業、自由業、フリーランスの人たちにも組織化する権利や社会的保護を与え、生活賃金が保障されなければなりません。このような主旨がILOの報告書にも提案されています。

テクノロジーと言えば、UNIが組織化活動を推進する上で、いかにテクノロジーを活用できるかを探求する、「デジタル組織化フォーラム」を昨年、欧州で開催しました。そこで優良事例を共有しました。今年も5月に同様のフォーラムを開催する予定です。UNI本部で“労働の未来”を担当するクリスティーナ・コロクロフが、グーグル財団から資金援助を受け、特に若い労働者の組織化に役立つアプリの開発に取組んでいます。良いアイデアが出てきています。今度皆さんにも共有したいと思います。

司会:書記長になってから、既に4つか5つのGFAが結ばれました。短期間にそんなに結ばれた理由は何でしょうか?

新規に加え、更新されたものを入れると、8つだと思います。副書記長時代からGFA締結に取組んできました。リバプール世界大会以前から交渉していたものもありました。新書記長に花を持たせようと、スタッフが締結時期を調整してくれたのかもしれません。

最近調印されたGFAには、デューデリジェンスに関する有意義な文言が盛り込まれました。企業が果たすべきデューデリジェンス遂行計画の中で、UNIの役割もきちんと定められています。このようなブレイクスルーが達成されたことを大変嬉しく思います。他のGFAも新しい文言が含まれています。例えば、セクハラ条項、フランチャイズ条項、“つながらない権利(労働者が持っている通信機器のスイッチを切る権利)”条項が入っている協定もあります。

私は40年近く多国籍企業との交渉を行ってきました。今後もUNIの対象となる産業の多国籍企業とのGFA締結に力を入れていきます。私のアプローチは単純です。グローバル化時代において、多国籍企業が労働者の権利が尊重されていない国に進出する時に、GFAは不可欠だと会社側を説得するのです。リスクの未然防止の点からも、企業の評判を高める点からも、良いものだという付加価値を会社側にオファーするのです。UNIは長きに渡り信頼できるパートナーであることも主張します。私たちは約束したことは必ず守り、企業側にも必ず守ってもらう。目標は野心的に高く設定し、それを明確に相手に伝えなければなりません。

今は、新しいグローバルなルールがあります。企業はデューデリジェンスが求められており、GUF(UNIのようなグローバルユニオン)とのGFA締結の意義を多くの企業が認識するようになっています。私たちは信頼できるパートナーであると、企業も認めています。デューデリジェンスとは、企業が、労働者の人権や権利に関わるリスクの調査を行い、リスク防止の措置をとり、権利侵害が発生した場合には対策をとることが要求されることです。UNIはこの全てのプロセスに付加価値をつけることができるのです。デューデリジェンスの徹底は、私たちに追い風となっています。特にフランスでは法律により、使用者はデューデリジェンスの遂行が義務付けられました。デューデリジェンスの一環としてフランスの使用者は、GFA締結が奨励されており、そのためフランスの多国籍企業とのGFA締結が増えています。

司会:最後に、書記長としての今後4年間の豊富と、UNI-LCJに期待することをお聞かせください。

先週開かれたILO専門家会合で、GFAについても話し合われました。GFAが結ばれたのは欧州企業とだけではないか、と言われ、私は、日本をはじめとするアジアや、ブラジル等の企業とも締結されている、と発言しました。髙島屋やイオンとのGFAの意義について、ILO等の場を通じて他の使用者の理解が深まることを期待しています。

このような取組みを重ね、多国籍企業におけるUNIの認知度を高め、影響力を拡大したいと思います。労使関係の構築において、UNIはもっと重要な役割を担っていくべきだと考えます。

各部会でそれぞれの活動計画を立てていますが、中には部会の活動範囲を超えた分野もあります。例えば、アマゾン対策です。UNIは、アマゾン対策のハブ組織になろうとしています。アマゾンに対するアクションは、UNIの全ての部会を巻き込み、世界中の労働組合や関係者を連携させることが必要です。ICTS部会は、グーグルとの関係構築に取組もうとしています。グーグルで起きていることは、今までとは違います。何人かのグーグル労働者とコンタクトをとりながら、彼らをUNIに引き込み、彼らのまとめ役になりたいと考えています。彼らは自分たちで何でもできると思っていますが、私たちの仲間になって一緒に行動しよう、と粘り強く説得していきます。

世界は新たなルールを必要としています。ルール作りにもUNIは積極的に参加し、貢献していかなければなりません。実効力のあるGFAモデルをつくっていきます。サプライチェーンに正義をもたらす取組み、例えばバングラデシュ安全協定を、パキスタン等、他の南アジアの国にも適用できないか、検討しているところです。

GFA、OECD多国籍企業ガイドライン等の取組みを通じて、GUFをデューデリジェンスのプロセスにしっかりと組み込み、標準化していきたいと思います。これは私たちの将来にとって非常に重要です。さらに雇用労働者の定義を再検討し、自営業者として不当に分類され不利益を受けている何百万人もの労働者の問題に取組む必要もあります。全ての労働者を包摂することが重要です。

そのような中、日本の加盟組織には大変期待しております。皆さんの組織拡大には常に感銘を受けています。日本企業とのGFAは実効力ある理想的なものです。“新しい仕事の世界”で労働者が受ける影響は東洋と西洋で異なっても、世界の働く仲間とUNIを通じて連帯し、多国籍企業と建設的な交渉をしていきましょう。

 

 


第20回UNI-LCJ年次総会

2019年2月21日、第20回UNI-LCJ年次総会が東京で開催され、各加盟組織より運営委員及び総会代議員、オブザーバー等約65人が出席した。2018年度活動報告、会計報告に続き、2019~2022年度UNI-LCJアクションプランやUNI-LCJ海外活動の方向性を含む、2019年度活動計画及び予算が承認された。最後に、松浦UNI-LCJ議長以下、副議長、事務局長、事務局次長、運営委員の再選が確認された。

記念講演及びレセプションには、UNI本部からクリスティ・ホフマンUNI書記長、UNI Aproからクリストファー・ウン地域書記長、ラジェンドラ・アチャリャ書記次長が出席した。また、翌22日に東京で開催されるUNI Apro運営委員会に出席するため来日したUNI Apro運営委員会メンバーも来賓として参加した。

第5回UNI世界大会(2018年6月、英国・リバプール)において選出されたホフマン書記長は、連合、ILO、GUF、友誼団体等から集まった約120人を前に、「皆さんと共にMaking it Happen(実現していこう!)」と題し、最近のホットな話題から、新書記長としての決意や日本の加盟組織に対する期待等を述べた。司会の小川UNI-LCJ事務局長から、書記長として初めて参加した世界経済フォーラム(ダボス会議)の感想を聞かれ、「政界・財界・ビジネス界等から多数参加する中で、労働組合からの参加は非常に少なかったが、多くのマスコミからのインタビューに応じ、一定の存在感を示すことができた」と述べた。「“労働の未来”の議論におけるUNIの役割も、労働者への啓発から、団体交渉を通じたプロセスへの積極的関与の奨励へと変わってきている。いかに労働組合の存在感を高め、未来を形成するプロセスに労働者が確実に参画していくか、将来のあるべき姿に向けて労働組合の役割を強化していかなくてはならない。グローバル企業におけるUNIの認知度を高め、組合の影響力を拡大したい」と書記長としての抱負を熱く語った。また、最近のILO専門家会議において、日本の企業と結ばれたGFAの効果について発言し、欧州だけに限った取組みではないことを強調した。日本の加盟組織に対しては、組織化や効力あるGFAの経験について、UNIにおいて共有してほしい、と期待を寄せた。(全文はこちら)

レセプションでは、厚生労働省の麻田千穂子国際労働交渉官、連合の逢見直人会長代行から連帯挨拶を受けた。ドワイヤーUNI Apro会長代行(オーストラリアSDA書記長)は、UNI Apro運営委員会メンバーを代表して挨拶した。ウンUNI Apro地域書記長は年末の自身の退任を控え、国際労働運動に42年もの長きに渡って関わった経験を振り返りつつ、乾杯の音頭をとった。

その後UNI-LCJ年次総会参加者は、他の加盟組織参加者及び国内外の来賓との懇親を深めた。


第2回UNI世界ケア部会大会

2019年2月13~15日、イタリア・ローマにおいて、第2回UNI世界ケア部会大会が開催され、世界30国、35組織より約110人が参加した。日本からは、UAゼンセンの原田光康総合サービス部門事務局長と、古川政信社会保険病院労働組合組合長が出席した。

エイドリアン・ドゥルチUNIケア部会担当局長は、活動報告の中で、以下の課題について指摘した。

  • 高齢化が世界的に進む中で、ケア労働者の処遇が課題
  • 移民労働者や女性労働者への対応の視点が必要
  • 金融危機以降は、広く民営化の動きなどもある中で、同等の処遇をどう維持していくかが課題
  • ヘルスケア多国籍企業への対策が必要であり、働く人を重視すべき人間的な事業であるにもかかわらず、本社のある自国以外では利益重視の経営になっていること

大会では、カソリック系医療施設で働く労働者の労働条件改善、高齢化社会における医療・社会ケアの将来、長期医療介護施設・病院におけるより良い労働条件に向けた取組み、多国籍企業と利益追求型企業における取組み、団体協約とトレーニングの重要性、等のテーマが取り上げられた。団体協約とトレーニングの重要性のテーマでは、古川組合長より、①組合協議体制から交渉の仕方、②医療安全の取組み、③訓練のシステム・体系、④労使共同で行っているトレーニングについて報告を行った。

部会役員として、オカンポ議長が退任となり、新議長としてミゲル・ズビェタ氏(アルゼンチンFATSA)が選出された。


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