韓国の警備業界労組、事業再編と投資家撤退の可能性に警鐘

2026年8月21日、UNI加盟組織である韓国サービス労連(KFSU)に加盟するSKシールドス労組の組合員が、ソウルを襲った厳しい猛暑のなか、韓国有数の警備サービス企業であるSKシールドスで数百人の労働者に影響を及ぼしている一方的な事業再編に抗議する集会を行った。

SKシールドスは、韓国第2位の監視・出動サービス事業者であり、韓国を代表する総合セキュリティ企業の一つである。2025年時点で、正社員7,286人を雇用している。

SKシールドス労組のキム・ヨンホ委員長は、事業再編に抗議して、頭を丸刈りにした。

労組によると、SKシールドスは9月1日から15日まで、営業職を離れ、独立した代理店を開設することを希望する正社員を募った。労組は、会社が数百人の労働者に影響を及ぼす広範な事業再編を進める一方で、地域の管理職が労働者と個別に面談し、この転換を働きかけていることを問題視している。

労組は、こうした転換は偽装解雇にあたるとみている。転換した労働者は正社員としての雇用を失い、その後は独立した営業代理人として同社の業務を続けることになるためだ。

また労組は、今回の転換の動きは、SKシールドス自身が掲げるサステナビリティへの取り組みとも整合しないと指摘している。同社は、公正な人事管理、安定した労働環境、労使間の協力的なコミュニケーションを約束している。また、人権方針においても、事業活動や契約上の活動において人権および労働者の権利を尊重することを掲げている。

相次ぐ買収と増加する債務

SKシールドスの所有者の変遷、債務負担、最近の企業判断などを踏まえ、労組は、EQTがSKシールドスへの投資から撤退する準備を進めているのではないかとの強い懸念を示している。

SKシールドスの警備事業は、1971年に韓国警備公社(通称CAPS Korea)として始まった。1990年代後半のアジア通貨危機の際にTyco Groupに売却され、その後、2014年3月に約2兆6,500億ウォンでCarlyleに買収された。

2018年10月には、SKテレコム(55%)とMacquarie Infrastructure(45%)からなるコンソーシアムがCarlyleから同事業を買収した。この時点での企業価値は約2兆650億ウォン、負債は約1兆7,000億ウォンだった。

さらに2023年8月、EQT Partnersが68%、SK Squareが32%を保有する形で共同買収が行われ、再び所有者が変わった。この買収時のSKシールドスの企業価値は約5兆ウォンと評価され、EQTは新株取得などを含め約2兆200億ウォンを投資した。

2025年末時点で、同社の総負債は約3兆5,200億ウォンに達し、2018年に報告された1兆7,000億ウォンの2倍以上となった。EQTによる出資後、売上高は増加した一方、営業利益率は2022年の8.1%から2025年には5.1%に低下した。

労組は、支店の統合や正社員の削減に続いて、会社が売却される可能性を懸念している。また、2025年5月に取締役会が承認した配当基準の変更にも言及している。労組は、現在進められているコスト削減と事業再編が、将来的な売却を見据えて企業価値を高めることを目的としているのではないかとみている。ただし、EQTおよびSKシールドスから、投資撤退についての公式な発表は行われていない。

労組は、MBKパートナーズによる韓国のホームプラスの事例との類似性も指摘している。KFSUによれば、MBKは多額の借入れを伴う買収を行い、買収に伴う債務の返済のため、収益性の高い店舗や不動産資産を売却した。その結果、ホームプラスの経営基盤が弱まり、最終的に裁判所主導の企業再生手続きに入ることになったという。

賃金格差と安全上のリスク

労組はまた、会社の経営幹部と正社員の間で賃金格差が拡大していることについても問題提起している。2022年から2025年にかけて、正社員数は6,829人から7,286人に増加した。その平均年間賃金は5,500万ウォンから5,900万ウォンへ、7%上昇した。これに対して、同じ期間に役員数は45人から53人に増加し、役員の平均年間報酬は2億2,000万ウォンから約2億5,500万ウォンへ、約16%増加した。これは正社員の平均賃金の4.2倍以上に相当する。

労組によると、SKシールドスが新たな勤務体制を拡大し、統合物流センターの設立に伴って人員配置を変更するとともに、パトロール車両を含む現場の要員・資源を削減したことで、労働条件が悪化している。現場の個々の労働者が担当するアフターサービスの件数が増え、拠点間をより遠く、より頻繁に移動する必要が生じているため、業務負担が増加するとともに、交通事故に遭うリスクも高まっているという。

SKシールドスは自社のESGへの取組みのなかで、労働災害発生率を毎年5%削減するとともに、大規模災害への備えや労働安全衛生上の義務の遵守を強化するとしている。

しかし労組は、現場の人員やパトロール車両を削減することは、こうした方針と矛盾すると指摘している。実際、2024年10月から2025年6月までの間に、職場で4人が死亡したと報告されている。

組合側は協議と公的な調査を要求

労組によると、トップ経営陣との直接協議を求めたものの、会社側はこれに応じなかった。

SKシールドス労組のキム・ヨンホ委員長は、「SKシールドスの労働者は、極度の労働強化に苦しんでいる。CEOとの直接対話を求めて面談を申し入れたが、会社側からは企業文化部門の責任者と会うよう言われた」と述べている。

SKシールドス労組は、以下を要求している。

  • 約400人の労働者に影響を及ぼす事業再編を中止すること。これには、正社員を非雇用型の営業代理人へ転換する動きを含む
  • TSE職群のアフターサービス担当者を増員するとともに、職種変更に伴う労働者への一方的な賃金引下げを直ちに中止すること
  • 不当労働行為および労働者との個別交渉をやめ、労働組合の権利と雇用上の権利を尊重すること
  • 国会による国政監査で事業再編について検証するとともに、雇用労働部による特別労働監督を実施すること

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「我々は、KFSUおよびSKシールドス労組に連帯する。過重労働と労働安全衛生に関する組合の懸念について、関係する労働当局が調査することを求める。SKシールドス経営陣は、遅滞なく労組と面談し、公正かつ誠実な対話を行うべきだ」と述べた。

(2026年9月7日)


スペインのコンセントリクス労働者、人員削減に対し法的措置へ

スペインのコールセンター大手企業であるコンセントリックスの労働者は、2026年8月に行われた第2弾の人員削減をめぐって合意に至らなかったことを受け、会社を提訴する方針だ。この人員削減により、さらに74人の従業員が職を失った。同社はマイクロソフトなどにサービスを提供している。

今回の新たな人員削減は、2026年7月にア・コルーニャ拠点で80人の解雇で終わった第1弾の集団解雇手続きからわずか数週間後のことであり、ガリシア州の同拠点で従業員380人のうち約160人を解雇するという同社のリストラ計画の一環である。

スペインのUNI加盟組織CC.OO、UGT等が代表する労働者側は適切な条件での合意を求めていたが、同社は解雇を正当化するために必要な書類を提示せず、前回の解雇においてコンセントリックスの労使協議会が交渉したより良い条件とは異なり、法的に定められた最低限の解雇補償しか提示しなかった。

さらに労働者側は、2026年8月27日に発表された共同声明の中で、コンセントリックスが雇用した監査人が、同社には解雇補償額を引き上げる余地があるほど堅調な財務状況にあることを確認し、影響を受ける従業員の一部を他拠点へ異動させることも可能であると判断したと述べた。

しかし同社は、集団解雇に対して法律で定められた最低補償額(勤続1年につき20日分の給与、上限は12ヶ月分の給与)を適用し、解雇を強行する方針だ。労使協議会はこの決定を受け入れておらず、人員削減計画(スペインでは「ERE」と呼ばれる)について裁判所に異議申し立てを行う意向である。今回の解雇は、従業員が2026年7月13日に抗議行動を開始し、7月15日にはストライキを実施して、計画されている人員削減に対する代替案を求めたことを受けて行われたものである。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、 「コンセントリックス社は、これらの人員削減が正当であることを示していない。同社自身の監査人さえも、配置転換は実行可能であり、解雇される労働者に対してより良い補償を行う余地があると指摘している。会社側は、ア・コルーニャでさらに雇用を削減する前に、配置転換の可能性を徹底的に模索すべきであり、退職する従業員に対する条件について、労働者代表委員会と真剣に交渉すべきだ」と指摘した。

(2026年9月3日)


壊滅的な洪水に見舞われたネパールへの世界的な連帯を

ネパール・中国の国境で発生した壊滅的な鉄砲水を受け、UNIはネパール国民と連帯し、家族や家を失い、地域社会が壊滅的な被害を受けた方々に対し、心より哀悼の意を表する。

この災害は2026年8月26日、ヒマラヤ高地の氷河が崩壊し、水、氷、岩の洪水が谷を下り始めたことから始まった。8月31日時点で、ネパールでは900人以上の死亡が確認され、4,200人以上が行方不明となっている一方、チベット当局は16人の死亡と500人以上の行方不明を報告している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「私たちは、UNIアジア・太平洋地域の仲間たちと共に、深い悲しみと連帯の意を表する。ネパールからの映像は、想像を絶するものだ。地域社会全体が数分のうちに流され、多くの家族が今も家族の消息を待ち続けている。この極めて困難な時期に、我々は対応の最前線に立つ労働者―緊急対応チーム、介護従事者、そしてその他大勢の人々――と連帯し、彼らが復旧と再建に取り組む中で、引き続き支援し続けなければならない。また、我々の世界を脅かす気候危機から目を背けることはできない。かつては考えられなかったような災害がますます頻繁に発生し、将来の悲劇から労働者や地域社会を守るために、政府や使用者が行動する意思を持っているかが問われている。」と述べた。

UNIネパール加盟組織連絡協議会(UNI NLC)とネパールのUNI加盟組織は、ラスワ、ヌワコット、および近隣の被災地域にいる仲間たちとの連絡を確立するために尽力している。組合代表者は、組合員とその家族の安否確認、負傷者や犠牲者の特定、そして労働者とその生計への影響確認に努めている。より確かな情報が入り次第、組合員が救援・復興活動をどのように支援できるかについても検討している。

UNIファミリー全体も迅速に対応した。UNI日本加盟組織連絡協議会(UNI-LCJ)は、日本の加盟組織からの連帯の意をいち早く伝えた団体の一つであり、UNI AproおよびUNIと連携し、被災した組合員とその家族への支援を申し出ている。 

(2026年9月1日)


ケニア、デジタル労働者を新たに保護する国家BPO政策を採択

ケニアは、新たな「国家ビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)政策」を採択した。労働組合によると、この政策は同国において急成長するデジタル経済においてディーセントワークを実現するための強固な枠組みを定めたものであり、ケニア通信労組(COWU)はこれを労働者にとっての「重要な勝利」と位置付けている

この政策の第4章に労働に関する規定が明記されており、政府はデジタル労働者への保護拡大、最低賃金の引上げを目的とした賃金評議会の設置、およびビジネスプロセス・アウトソーシングやデジタルサービス分野における労働安全衛生の強化を謳っている。

また、同部門の労働者のメンタルヘルスやワークライフバランスの支援、ならびに労働組合の活動へのアクセスや団体交渉の促進に関する取組みも盛り込まれており、これらはケニアのBPO産業が拡大する中で、労働組合が長年求めてきた規定である。

この政策について、労働担当首席秘書官との会合を含む政府との協議を重ねてきたケニア通信労組(COWU)は、この枠組みを歓迎した。

ケニア通信労組のベンソン・オクワロ書記長は、「これは重要な勝利だ。ケニアのBPO産業の成長が、ケニアの若者にとってディーセントで、安定し、持続可能な雇用につながるようにするのに役立つ枠組みを提示した政府を称賛する」。

ケニアのBPOおよびデジタル経済全般は近年急速に成長しており、若い労働者をコールセンター、データアノテーション、その他のアウトソーシングされたデジタルサービスの職に引き寄せている。労働組合や労働者の権利擁護団体は、この産業における低賃金、雇用の不安定さ、労働者代表へのアクセスが限られていることについて懸念を表明してきた。

注目は今や実施段階へと移っている。COWUは、この政策の公約を労働者にとって強制力のある保護措置へと転換するために必要な規制について、政府やその他の社会パートナーと引き続き協力していくことを期待していると述べた。

COWUケニア、UNI、およびドイツDGB BWの代表者は、労働・技能開発省のシャドラック・ムワディメ首席秘書官や政府高官と会談し、この政策について協議した。

(2026年8月28日)


トランスコムのコールセンター労働者、より良い解雇条件を求めてストライキを実施

トランスコム・フローニンゲンのコールセンター労働者約50名が、公正な解雇条件を求めてストライキを行っている。

これは、2026年11月1日に閉鎖が予定されており、約150人の従業員が職を失うことになるフローニンゲン支店における史上初のストライキである。彼らの多くは長年トランスコムで働いており、中には20年以上在籍している者もいる。

UNI加盟組織FNVは従業員と共に、より高額な退職金、研修および再就職支援のための予算、そして55歳以上の従業員に対するより充実した年金制度を含む、公正な解雇措置を求めている。

社会保障に手を出すな

FNVのコールセンター担当部長、エリー・ヘームスケルク氏は、「トランスコムの成功は、労働者の長年にわたる貢献の上に築かれている。彼らは何の過ちも犯していないにもかかわらず、スウェーデンの親会社の決定によって職を失おうとしている。このような状況下では、使用者が責任を負い、適切な退職金パッケージを提供すべきだ」と述べた。

ハンス・スペックマンFNV委員長もストライキ参加者に向けて次のように訴えた。「労働者は、何の過ちも犯す犯していないのに職を失おうとしている。これは、利益追求と株主の利益に駆り立てられた多国籍企業が、事業を海外に移転し、従業員を置き去りにしているためだ。まさにこのような時こそ、社会保障制度が存在する意義がある。それなのに、まさにこの分野で、現政権は数十億の予算削減を企てている。これは、人々が最も安心を必要としているまさにその瞬間に、人々をより脆弱な立場に追いやる政治的選択だ。我々はそれを許してはならない。だからこそ、来週、ストライキを行う」

トランスコムは交渉の席に戻らなければならない

FNVによると、トランスコムはこれまで解雇計画の再交渉を拒否し続けている。同労組は、とりわけ、より高額な退職金、研修および再就職支援のための予算、そして55歳以上の従業員に対するより充実した年金制度等を要求している。

トランスコムが交渉の席に戻り、妥当な解雇計画を提示する用意がない限り、労働者とFNVはさらなるストライキを行う。

イザベラ・ムホフスカFNVビジネスサービス担当部長は、「トランスコムは、長年にわたり会社の成功に貢献してきた従業員を、最低限の社会計画で脇に追いやることで、反社会的な振る舞いをしている。同社は支店を閉鎖しながらも、これまでずっと業務に従事してきた人々への影響について責任を取ることを拒否している。これは容認できない」と述べた。

トランスコムでのこの行動は、オランダ政府が社会保障支出を65億ユーロ削減しようとしている状況下で行われている。政府は、失業手当の受給期間の上限を短縮し、長期疾患を持つ人々への保護措置を撤廃し、介護への資金援助を削減する計画だ。これらの措置は、労働者が社会的セーフティネットを切実に必要としている時期に、彼らに打撃を与えることになる。そのため、オランダ全土の様々な部門の労働者が、来週から行動を起こすことになる。

(2026年8月28日)


チェコのマイクロソフト労働者、初の協約を獲得

マイクロソフトのチェコ支社に勤務する1,300人の労働者が、より強力な保護措置と職場における実質的な発言権を確保した。これはチェコのテック業界全体における基準となる画期的な成果である。

労働組合を結成してから2年足らずで、労働者は画期的な団体協約を勝ち取った。UNI加盟組織OS-PPP連盟に属するICTユニオンが交渉したこの協約は、チェコのテック業界において最も重要な労働組合の勝利の一つであり、労働者が組織化し、集団で交渉することで何を実現できるかを示している。

ICTユニオンは2025年に初めて団体協約案を起草し、年末にマイクロソフトに提示した。数ヶ月にわたる交渉の末、労働者とその組合は、苦闘の末に勝ち取った一連の保護措置と福利厚生を確保した。

新しい団体協約には以下が含まれる:

  • 退職金の額の大幅な引き上げ
  • 年金拠出に関する福利厚生の拡充
  • 従業員への組合情報共有のためのコミュニケーションチャネルの拡充
  • 回答期限の明確化を含む、経営陣と組合代表者間のコミュニケーションに関する規則の明文化
  • 新入社員研修に組合情報や資料を組み込み、組合代表者が直接新入社員向けに定期的な説明会を実施すること。

またこの協定では、チェコの労働法にすでに規定されているいくつかの権利を直接明記しており、これらの法定権利が弱体化することから従業員を保護するとともに、チェコ語を母国語としない労働者に対しても、自身が有する権利について明確に周知されるようにしている。

ICTユニオンのバルボラ・ミュラーヴァ氏は、「この協定によって、マイクロソフトにおける労働条件の改善以上の成果が得られることを期待している。マイクロソフトの従業員が組織化し、より良い労働条件を交渉で勝ち取ったやり方は、IT業界全体において物事がどのように進むべきかを示す好例だ。これは単なる一社や一つの協定の話にとどまらず、労働者が団結し、団体交渉を行うことで職場を変える力を持っているという証拠なのだ。」と語った。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「この協約は、単にマイクロソフト従業員にとっての成果であるばかりではない。同国で急速に成長している、組織化困難なテック産業における、より広範な組織化の取組みの礎を築くものだ」と述べた。欧州全域で、アイルランドからチェコに至るまで、尊厳と権利、団体交渉のためにますます多くのテック労働者が組織化している。UNI欧州は、こうした労働者への支援を今後も継続していく。

マイクロソフトのチェコ支社における労働組合は、2024年7月に公に発足した。その後の2年間で、同労組は支援を必要とするすべての従業員にとって頼れる存在へと成長すると同時に、日々の労働条件を改善するために会社と建設的に協力してきた。ICTユニオンはその過程で国際的な連携を築き、他国の労働組合と協力し、マイクロソフト欧州労使協議会に参加することで、チェコの労働者を欧州全土の仲間からなるより広範なネットワークへと結びつけてきた。

 ICTユニオンは2023年後半、東欧にあるUNIの組織化センターCOZZの支援を受けて結成され、OS PPP(銀行・保険従業員労働組合)の加盟組織となった。

(2026年8月27日)


AI規制――誰が労働者を代表するのか:クリスティ・ホフマンUNI書記長とジェラルド・ドワイヤーSDA書記長による対談(第3部)

2026年4月、オーストラリアの店舗流通関連労組(SDA)は、ジョン・カーティン研究センターに委託して作成した報告書『For All of Us: Making AI Work for Working People(すべての人のために――AIを働く人のために役立てる)』を発表した。

この報告書とそこで提起された問題について、クリスティ・ホフマンUNI書記長と、UNI会長を務めるジェラルド・ドワイヤーSDA書記長との対話の第3部では、何をすべきか、そして誰がそれを行うべきかという点に議論が及んだ。焦点は「代表権」である。大多数の労働者が労働組合に加入していない状況下で、どのようにして使用者に対し、AIについて労働者と協議するよう義務づけるべきか。ドワイヤー氏は、まだ有効なうちに早期に規制を行う必要性を指摘する。

ホフマン:私にとって最も重要な質問はこれです。この報告書は、オーストラリア労働組合評議会(ACTU)が採択した勧告を支持しており、それによれば、使用者はAIが導入される前に、保証を盛り込んだAI導入協定を労働者と締結することが義務付けられるべきだとされています。これは普遍的に採用されるべき要求だと思います。しかし、私が繰り返し問われているのは、労働者に労働組合の代表がいない場合、誰がAI導入協定を交渉するのか、そして労働組合の伝統的な役割を損なうことなく、それをどのように実現するのか、という点です。米国では、労働者を代表する者の不在が大きな問題となっています。AIの影響を受ける労働者の圧倒的多数は、組合によって代表されていないのです。

ドワイヤー:私たちの制度では、職場に正式な労働組合が存在しなくても、法的要件を設けることは可能です。連邦制度の下では、大多数の労働者がこの制度の対象になっていますが、各業界や産別の法的な基準に、組合代表者の権利に関するモデル条項が盛り込まれています。この条項は、企業がフェアワーク委員会に承認を求めるあらゆる労働協約に含めなければなりません―たとえ労働組合を介さずに締結されたものであっても、です。なぜなら、この条項が含まれていない場合、承認の要件を満たさないからです。したがって、私たちの制度では、導入協定のようなものを要件として企業に課すことが実際に可能です。

ホフマン: ですが、誰と交渉するんでしょうか?

ジェラルド: そこが問題なのです。企業が業界または産別協定に基づいて事業を行っている場合、新しいテクノロジーが導入されてもその要件は適用されるため、法的に依然として拘束されます。

一方、自社の労働者との間で独自の協定を結ぶ場合―組合がなくても可能です―数名の従業員が交渉代表として選出され、所定の手続きを経ます。仕組みとしては一見すると非常に似ていますが、その効果ははるかに劣ります。統計データが示すように、組合による協定の方が、組合が関与しない協定よりも、高い賃上げ率を実現しているのです。

しかし、いずれの場合も、結局は執行の問題に帰着します。そこが問題なのです。文書上の条文はあっても、労働組合が存在しない場合、実施合意が実際に守られているかどうかをどうやって確認できるでしょうか? 法律を整備すること自体が私たちの課題ではなく、その執行こそが課題なのです。かつて賃金記録を検査する権限があった頃は、賃金窃取が蔓延することはありませんでした。今日、それが蔓延しているのは、労働者や責任ある企業を守るために本来行うべきことを、私たちに許されていないからです。

ホフマン: それが米国における核心的な問題であり、状況はさらに深刻です。なぜなら、民間部門の労働組合組織率は約7%に過ぎないからです。つまり、労働者の93%は代表を持たず、使用者が非組合グループと交渉することは、理論的には違法となります。それは企業主導の組合になってしまうからです。使用者はそれを口実に、労働組合とは一切会おうとしません。では、協議すべき労働組合が存在しない状況で、どうやってAIに関する協議を要求すればよいのでしょうか?協議義務は実際に組合結成への道筋となるのでしょうか、それとも、実効性のない労働者グループを生み出すだけなのでしょうか?

ドワイヤー: それは非常に大きな制度的な問題です。それが一部のグループを労働組合へと変えることになるかどうかについては、研究があるかは分かりませんが、経験から言えば、そうなる可能性が高いと思います。

以前の制度の下では、数名の交渉代表を選出したスタッフと交渉を行うことができました。そうした代表者は平均的な従業員よりも関与度が高く、「組合」というラベルの背後で、あなたが実際にやろうとしていることが、より良い結果を得るためのスキルや知識を彼らに与えることだと理解すれば、彼らははるかに前向きになる。すでにミニ集団モデルは存在しており、彼らは集団として行動することにすでに前向きなのだ。

以前の制度では、労働者が何人かの交渉代表者を選出し、その代表者と交渉することができました。こうした代表者は一般の労働者よりも関与度が高く、「組合」という看板の裏にあるのが、実際には、より良い結果を得るために自分たちのスキルや知識を高めようとしているのだと分かれば、ずっと前向きになります。すでに小規模な集団交渉のモデルが存在しているのです。彼らはすでに、集団で行動することに前向きなのです。

以前、あるアウトドア用品チェーンとの交渉に携わったことがあります。こちらには組合の職場代表者と専従の組合交渉担当者が参加し、相手側には、そのチェーンが事業を展開していた各州から1人ずつ、計4人の交渉代表者がいました。その代表者たちは交渉の全過程に参加し、組合がどのように活動しているのかを見て、こちらの主張に耳を傾けました。私たちは詳細な要求書を用意していましたが、彼らの要求は比較的穏当なものでした。彼らも決して愚かではありません。私たちの要求書を見て、「これはいいアイデアだ」と思ったのです。

話を簡単にまとめると、その交渉代表者のうち2人が、その後、労働組合に加入しました。そして、そのうちの1人は何人かの同僚にも加入を呼びかけ、さらに、その協約の適用範囲には倉庫も含まれていたため、実際に倉庫の組織化まで行いました。40~50人規模です。

労働者を関与させ、交渉のテーブルにつかせることにつながるものは何であれ、それは組合にとってのチャンスなのです。

クリスティ: まさに私もそう直感しています。米国では、労働者が組合に反対しているわけではなく――激しい使用者側の威嚇キャンペーンの末に50%の賛成票を勝ち取るのは、本当に、本当に難しいのです。もし経営側がまずテクノロジーに関する交渉を迫られたとしたら、すでに組合支持のコア層が形成されているはずです。なぜなら、ほぼどの現場でも、30~40%の労働者が即座に賛成票を投じるからです。ですから、たとえ力関係の不均衡を根本的に解決できないとしても、組合未加入層が何らかの形でテクノロジーに関する交渉を行えるようにすることを私は支持します。

最後に、他に特に重要だとお考えの提言や、付け加えたいメッセージはありますか?

ドワイヤー:ソーシャルメディアは「放任主義」の姿勢で導入されましたが、数年が経過した今、社会は、規制のない空間が生み出す心理社会的リスクから個人、とりわけ若者を保護するための措置を講じるのに苦慮しています。

ここから得られる教訓は、規制を早い段階で整備しておくべきだということです。社会の一員として、私たちはビッグテックによる自己利益に偏った「自由放任」の主張を退け、手遅れになる前に効果的な規制を法制化しなければなりません。AIは、ごく一部の者の経済的利益ではなく、私たちの社会の社会的・経済的利益を促進するような形で規制されるべきであり、またそうされなければなりません。

一部の国では法的障壁に直面しているものの、労働運動は一つの原則を主張し続けなければなりません。それは、「労働者との協議なしにAIを導入してはならない」ということです。

(2026年8月20日)


AIの恩恵を受けるのは誰か?-クリスティ・ホフマンUNI書記長とジェラルド・ドワイヤーSDA書記長による対談(第2部)

2026年4月、オーストラリアの店舗流通関連労組(SDA)は、 ジョン・カーティン研究センターに委託して作成した報告書『For All of Us: Making AI Work for Working People(すべての人のために――AIを働く人のために役立てる)』を発表した。この報告書とそこで提起された課題に関する対談の第2部では、クリスティ・ホフマンUNI書記長と、UNI会長を務めるジェラルド・ドワイヤーSDA書記長が、AIをめぐる核心的な問い―「誰が恩恵を受けるのか」―について議論する。ドワイヤー氏は、小売業の賃金と生産性の格差を、オーストラリア国民がAIから持続的な価値を得られるのか、それとも単にデータセンターを建設して利益が国外に流出するのをただ見守るだけになるのかという、国民的な懸念と結びつけている。

ホフマン: この報告書は、通常は悪名高いラッダイト派に対して非常に好意的な見方を示しています。論文では、彼らが知られるようになった抵抗運動は、実際には戦術であったと論じています――彼らの目的は技術を停止させることではなく、そのプロセスにおける発言権と一定の保護を獲得することだったのです。公平性から切り離された技術革新は反発を招くと指摘しているのです。それは今日の米国で目のあたりにしています。オーストラリアでも同様の現象が見られますか?

ドワイヤー:はい。米国ほどではありませんが、ここオーストラリアではAIがまだ社会的受容を得ていないというのは正しいでしょう。まだ得ていません。米国ほどの反発には至っていませんが、職場でのAI利用が進むにつれて、議論は深まっていくのではないかと私たちは見ています。AIを活用し、それが仕事の助けになると実感した人々は、熱烈な支持者になるでしょう。しかし、雇用喪失が起きた場合――もしそのペースが速すぎれば――、それはより激しい反発として表れるでしょう。もし移行が管理されたものであれば、これまでの技術導入と同様に、私たちは皆、それを乗り越えられると思います。新しい雇用が生まれ、生産性も向上するからです。しかし、現時点ではそれは大きな疑問符がついています。

昨日聞いた話では、この地域のとある銀行の情報技術部門には約1万人の従業員がいるそうです。5年後にはそのうちの何人の職が必要とされるのか疑問に思います。というのも、現在、同銀行では従業員をボットシステムの管理担当へと配置転換しているからです。あるレベルで人間がボットを監督し、そのボットが別のレベルでさらに下のボットを監督するというように階層的に展開されており、最終的に1~2人の人間が全体を監督する形になっています。

ホフマン: まさにそれが答えですよね。人への悪影響を最小限に抑えるよう移行を管理すれば、反発ははるかに小さくなります。おそらくオーストラリアの労働者はより手厚い保護を受けているため、安心感があるのです。欧州でも同様の傾向が見られます。反発が少ないのは、米国のような解雇の過酷さがそこには存在しないことも一因でしょう。労使関係の過酷さが、反発を助長しているのかもしれません。

ジェラルド:反発を助長するもう一つの要因――これは私たちの見解を要約したものです――は、2つあります。一つは協議です。つまり、職場の変化の一員であると感じ、自分の意見が反映されていると感じることです。その意見は、多くの場合、雇用の拡大を最大化し、代替雇用を最小限に抑えることにつながります。もう一つは、生産性の向上による利益を分かち合うことです。

私たちの業界では、過去20年間、生産性の伸びに賃金の伸びが追いついていないという問題が、国全体で生じています。オーストラリア経済全体で見ると、賃金は約15%遅れを取っており、これは、向上した生産性の成果を企業と労働者で分かち合うべきだという、従来の産業・社会的な合意に反するものだと私たちは考えています。

昨年我々が委託した調査によると、商業部門ではその差は27%に達しており、我々はこれを「生産性債務」と呼んでいます。つまり、その格差はほぼ2倍に及ぶのです。これは、生産性が26%上昇した一方で、実質賃金が1%下落したことによるものです。新型コロナウイルスの影響は深刻であり、インフレ率も望ましい水準ではありません。実質賃金の引き上げについては一定の進展が見られましたが、オーストラリア労働組合評議会(ACTU)が賃金交渉において多大な貢献を果たしたにもかかわらず、今年は再び後退する可能性があるようです。

ホフマン:最近は珍しいことではありません――多くの地域で実質賃金が後退していますが、27%もの格差は甚大です。この論文はまた、多くの箇所でAI主権を求めており、その声は世界中で聞かれます。しかし、オーストラリアがそれを実現するために具体的に何ができるのでしょうか?

ジェラルド: これはおそらく、実際に実現させるのが最も難しい課題でしょう。小国がどのようにして主権的なAIエコシステムを構築できるのでしょうか?

国内にも一定の能力はあります。アデレードにあるオーストラリア機械学習研究所(Australian Institute for Machine Learning)は世界トップクラスと評価される研究を行っており、シドニーのニューサウスウェールズ大学にも同様の研究所があります。私たちが懸念しているのは、人々が単にスキルを学ぶだけでなく、それを実践し、企業や国に経済的利益をもたらすことのできる地元のエコシステムを構築できなければ、有望な若手人材が単に海外、おそらくは米国へと流出してしまうということです。

主権のもう一つの側面は、それが常に安全保障という観点から捉えられるという点です。安全保障とは単に防衛のことではありません。我々の銀行システムは国家安全保障上の問題と見なされるべきであり、通信事業者や病院システムも同様で、これらはすべて社会全体の安全保障の一部である。もしそれらが主権的な能力に基づいて構築されていなければ、後になって誰かがその「蛇口」を閉めることができてしまうのではないでしょうか?私たちは、ロシアからドイツへのガス供給という例を繰り返し挙げています。問題が起きるまではすべて順調に見えますが、一旦問題が発生すれば、深刻な事態に陥ります。私たちは米国の同盟国ですが、今年、安全保障上の理由から、米国が一部のデータへのアクセスを遮断するという事態が発生しました。国家は自国の利益のために行動するのであって、他国の利益のためではありません。

私たちは米国の同盟国ですが、今年、安全保障上の理由から、米国が一部のデータへのアクセスを遮断するという事態が発生しました。国家は自国の利益のために行動するのであって、他国の利益のためではありません。

米国は私たちの医薬品給付制度(PBS)を嫌っており、現在、その制度に対する圧力は甚大です――これは大手製薬企業が米国政府に圧力をかけ、ひいては私たちにも圧力をかけているからです。では、なぜAIの分野でも同じことが起こらないというのでしょうか?私たちも圧力をかけられることになるでしょう。

ホフマン:欧州もその点で本当に苦戦しています。追いつくには莫大な費用がかかるため、誰にも特効薬はありません――追いつこうとするのではなく、異なるモデルを構築する必要があるのです。

ジェラード: そして、もし小規模なものがあれば、緊急時にはそれを拡大することができます。何もなければ、ゼロからのスタートになります。

クリスティ: あなたが報告書を発表したとき、オーストラリア政府はちょうど新しい基準を発表したところでした。データセンターは、電力料金に影響が出ないよう、独自の電力供給を確保し、全費用を負担するとともに、節水対策も講じなければならないというものです。これらの推奨事項は、十分と言えるでしょうか?

ドワイヤー:いいえ、十分だとは思いません。確かに必要な措置ですが、データセンターの立地や形態について、地域社会とのより建設的な対話が必要です。首都圏では深刻な住宅不足に直面しており、データセンターの問題と並行して検討されなければなりません。

その後、関連法案が提出されることが発表されました。州間の競争や入札が行われている現状を踏まえ、連邦政府はその権限を行使して全国に最低基準を設ける予定です。ある州でデータセンターが建設されると、私たちが求める「エネルギーと水の両面で完全に自給自足であること」という最低基準が骨抜きにされるのではないかと懸念しています。

政府の見解―これは私の言葉であって、政府の公式見解ではありません―は、AIエコシステムを構築したいのであれば、データセンターは重要インフラの一部であるというものです。しかし私の考えでは、現時点ではそれは単なる「採石場」に過ぎない。真に付加価値を生み出したいのであれば、上流へと遡らなければならない。つまり、この技術を活用し、経済的に成立し、人々が求め、企業が購入するようなプログラムへと発展させる場が必要なのだ。この問題には深い背景があります。私たちは昔から「採石場」として扱われてきた歴史があるのです。鉄鉱石を掘り出し、それを海外に送り出して鋼鉄に加工してもらい、はるかに高い価格でその鋼鉄を買い戻す。データセンターについても、まさに同じ懸念を抱いているのです。

(2026年8月20日)


働く人のためのAIを実現する-クリスティ・ホフマンUNI書記長とジェラルド・ドワイヤーSDA書記長による対談(第1部)

2026年4月、オーストラリアのUNI加盟組織である店舗流通関連労組(SDA)は、ジョン・カーティン研究センターに委託して作成した報告書『For All of Us: Making AI Work for Working People(すべての人のために――AIを働く人のために役立てる)』を発表した。これを受け、UNI会長を務めるジェラルド・ドワイヤーSDA書記長は、クリスティ・ホフマンUNI書記長と、調査結果や、人工知能(AI)が小売業の働き方をどのように変えているか、そして社会におけるAIの全体像について対談した。

「私たちはロボットではない」:現場におけるAI

小売業の労働者にとって、AIはすでに身近な存在となっている。AIはシフトのペースを決定する一助となっており、一部の店舗では、労働者が懲戒処分を受けるタイミングさえも決定している。ジェラルド氏は、SDAがなぜこの調査を委託したのか、そしてそこから何が明らかになったのかを説明する。

「人間が監督することなく、その情報は直接本社に送られ、警告が発行されたのです。」

ホフマン: まずは簡単な質問を2つさせてください。第一に、あなたの組合は主に小売業や倉庫業の労働者を代表していますが、この調査を委託したきっかけは何だったのでしょうか? 第二に、SDAが代表する労働者にとって、現在どのような問題が生じているか、あるいは将来的にどのような問題が生じると予想していますか?

ドワイヤー: 私たちは、小売業界におけるテクノロジーの進歩という側面を認識しています。AIの時代が到来しつつあり、それが労働者にどのような変革をもたらすのかを理解したかったのです。例えば、人々がAIについて語り始める数年前から、私たちはこうしたアルゴリズムによる勤務表作成プログラムに頭を悩ませていましたが、今ではすべてが納得できます。これらは労働管理のためのAI駆動型アルゴリズムであり、勤務表を営業パターンや業務の完了状況に合わせようとしているものです。私たちは、そこで何が起きているのかをより深く理解したいと考えました。

もう一つの動機は、キャンペーンを企画する際、通常は調査から始めるという点です。優れたキャンペーンは、データが専門的に分析された確固たる調査に基づいて構築されます。つまり、動機はこれでした。すなわち、完全には理解できていない問題を引き起こしている勤務表作成アルゴリズム、AIそのものへの理解不足、AIが現在私たちの業界にどのような影響を与えているか、そして将来さらに大きな影響を及ぼす可能性についてです。また、倉庫業務においては、過去10年間にわたり自動化との格闘を続けてきましたが、AIはその上にさらに一段階上を行くものであり、その影響をより深く理解したいと考えました。

ホフマン: 勤務表作成―北米では「スケジューリング」と呼ばれますが―については、すでに長い間自動化されてきたのではないでしょうか? 勤務表作成アルゴリズムは、以前よりも高度化していると感じますか?

ドワイヤー: はるかに高度になりましたが、それだけ問題も増えました。オーストラリアには最低3時間のシフト勤務という規定があるため、特定の繁忙期に1時間シフトが組まれるのをある程度防ぐ防波堤にはなっていますが、それでもまだ十分とは言えません。

休憩時間の割り当てに問題が生じています。アルゴリズムが、有給の休憩時間が与えられるという点を計算に入れていないからです。無給の食事休憩なら管理できます。コンピュータは給与が支払われていないと判断し、その間は勤務外であるとみなすからです。しかし、15分間一切の作業を行ってはならない有給休憩となると、システムは混乱してしまいます。コンピュータにはそれを処理する能力がないのです。

もう一つは、設定がどのように決定されたのかが全く見えないという点です。システムは私たちの人間性を考慮しておらず、私たちがロボットではないという事実を理解しないペースで、作業を強いているように見えます。勤務4日目のシフト5時間目には、出勤したばかりの頃と同じ速さでカートンを梱包・処理することはできません。

私たちは別の問題にも直面しています。シフト編成のことではありませんが、なぜ調査・研究が重要なのかを示す事例です。レジの上にAIが導入され、スキャンの正確性をチェックしているのですが、その結果がそのまま本社に上がっていくのです。ある店舗の組合員は、スキャンの正確率が99.8%だったことを理由に、注意・指導を受けました。これは、533回のスキャンにつき1回程度のミスに相当します。しかも、その注意・指導をAIが自動的に生成したのです。組合との協議が一切ないため、その情報は人を介することなく、本社まで自動的に上がっていきます。途中にあるのは、人ではなく、いくつもの小さなAIのチェックポイントなのです。

それが本社に届くと、30年の経験を持つこの従業員は書面による警告を受けます。もし店舗レベルで人間が監督していたなら、部門マネージャーがこれを阻止していたと確信しています。もしそうでなければ、店長が阻止していたでしょう。それでもなければ、組織担当者が介入し、その警告書は破り捨てられていたはずです。しかし、人間の監督がなかったため、それはそのまま本社に送られ、警告が発行されてしまいました。私たちがまだ想定していない他の事例においても、このようなことが起こるのではないかと懸念しているのです。

(2026年8月20日)


入植者による暴力が激化する中、UNIはヨルダン川西岸地区におけるパレスチナ人の安全と権利の尊重を要求する

占領地域全域で続くパレスチナ人に対する違法な攻撃を受け、UNIは、パレスチナ人に対して極度の暴力行為を行う入植者の不処罰状態を終わらせるよう、イスラエル政府に要請する。

また、政府が加担あるいは積極的な当事者となっている、強制的な住民追放の継続的なキャンペーンを、最も強い言葉で非難する。

最近起きたある攻撃では、入植者がイドナの町にあるパレスチナ人の住宅やモスクを襲撃し、多くの人々が負傷しました。その中には、UNIのパレスチナ加盟組織である**全国銀行・保険労組(National Trade Union of Banking and Insurance)**の組合員で、労働組合活動家でもあるイマド・トマイザ氏も含まれている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「世界の労働組合運動は、この拡大する暴力を前にして、沈黙して傍観することはできない。その暴力は我々の仲間の一人を傷つけたのであり、それは我々全員に関わる問題だ。イマド・トマイザ氏の一日も早い完全な回復を願う。しかし占領から解放され、パレスチナ人の権利が真に守られるようになるまで、彼とその家族、そして地域社会は、再び攻撃を受ける脅威の下で暮らし続けることになるだろう。

イスラエル政府は、このエスカレートする暴力を止めるため、直ちに行動しなければならない。そして世界中で、平和と正義を願う我々は、パレスチナの市民、労働者、労働組合員を直ちに保護するよう求める声に加わらなければならない。」

UNIは、アドボカシー、連帯、そして集団的行動を通じて、パレスチナ人の基本的権利を奪っている占領の構造に立ち向かう取り組みを続けている。我々は、パレスチナ国家の承認を求める世界的な呼びかけにも加わっている。また、西岸地区の違法な入植地との経済的なつながりを断つことを求めてきた。その対象には、BNPパリバなどの銀行も含まれる。

UNIは世界中の労働者と労働組合を結集し、平和、正義、平等の実現に取り組んでいる。そしてパレスチナ人とイスラエル人がともに、自由と尊厳、安全のもとで暮らせる未来を目指している。

(2026年8月19日)


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