
2026年8月21日、UNI加盟組織である韓国サービス労連(KFSU)に加盟するSKシールドス労組の組合員が、ソウルを襲った厳しい猛暑のなか、韓国有数の警備サービス企業であるSKシールドスで数百人の労働者に影響を及ぼしている一方的な事業再編に抗議する集会を行った。
SKシールドスは、韓国第2位の監視・出動サービス事業者であり、韓国を代表する総合セキュリティ企業の一つである。2025年時点で、正社員7,286人を雇用している。
SKシールドス労組のキム・ヨンホ委員長は、事業再編に抗議して、頭を丸刈りにした。
労組によると、SKシールドスは9月1日から15日まで、営業職を離れ、独立した代理店を開設することを希望する正社員を募った。労組は、会社が数百人の労働者に影響を及ぼす広範な事業再編を進める一方で、地域の管理職が労働者と個別に面談し、この転換を働きかけていることを問題視している。
労組は、こうした転換は偽装解雇にあたるとみている。転換した労働者は正社員としての雇用を失い、その後は独立した営業代理人として同社の業務を続けることになるためだ。
また労組は、今回の転換の動きは、SKシールドス自身が掲げるサステナビリティへの取り組みとも整合しないと指摘している。同社は、公正な人事管理、安定した労働環境、労使間の協力的なコミュニケーションを約束している。また、人権方針においても、事業活動や契約上の活動において人権および労働者の権利を尊重することを掲げている。
相次ぐ買収と増加する債務
SKシールドスの所有者の変遷、債務負担、最近の企業判断などを踏まえ、労組は、EQTがSKシールドスへの投資から撤退する準備を進めているのではないかとの強い懸念を示している。
SKシールドスの警備事業は、1971年に韓国警備公社(通称CAPS Korea)として始まった。1990年代後半のアジア通貨危機の際にTyco Groupに売却され、その後、2014年3月に約2兆6,500億ウォンでCarlyleに買収された。
2018年10月には、SKテレコム(55%)とMacquarie Infrastructure(45%)からなるコンソーシアムがCarlyleから同事業を買収した。この時点での企業価値は約2兆650億ウォン、負債は約1兆7,000億ウォンだった。
さらに2023年8月、EQT Partnersが68%、SK Squareが32%を保有する形で共同買収が行われ、再び所有者が変わった。この買収時のSKシールドスの企業価値は約5兆ウォンと評価され、EQTは新株取得などを含め約2兆200億ウォンを投資した。
2025年末時点で、同社の総負債は約3兆5,200億ウォンに達し、2018年に報告された1兆7,000億ウォンの2倍以上となった。EQTによる出資後、売上高は増加した一方、営業利益率は2022年の8.1%から2025年には5.1%に低下した。
労組は、支店の統合や正社員の削減に続いて、会社が売却される可能性を懸念している。また、2025年5月に取締役会が承認した配当基準の変更にも言及している。労組は、現在進められているコスト削減と事業再編が、将来的な売却を見据えて企業価値を高めることを目的としているのではないかとみている。ただし、EQTおよびSKシールドスから、投資撤退についての公式な発表は行われていない。
労組は、MBKパートナーズによる韓国のホームプラスの事例との類似性も指摘している。KFSUによれば、MBKは多額の借入れを伴う買収を行い、買収に伴う債務の返済のため、収益性の高い店舗や不動産資産を売却した。その結果、ホームプラスの経営基盤が弱まり、最終的に裁判所主導の企業再生手続きに入ることになったという。
賃金格差と安全上のリスク
労組はまた、会社の経営幹部と正社員の間で賃金格差が拡大していることについても問題提起している。2022年から2025年にかけて、正社員数は6,829人から7,286人に増加した。その平均年間賃金は5,500万ウォンから5,900万ウォンへ、7%上昇した。これに対して、同じ期間に役員数は45人から53人に増加し、役員の平均年間報酬は2億2,000万ウォンから約2億5,500万ウォンへ、約16%増加した。これは正社員の平均賃金の4.2倍以上に相当する。
労組によると、SKシールドスが新たな勤務体制を拡大し、統合物流センターの設立に伴って人員配置を変更するとともに、パトロール車両を含む現場の要員・資源を削減したことで、労働条件が悪化している。現場の個々の労働者が担当するアフターサービスの件数が増え、拠点間をより遠く、より頻繁に移動する必要が生じているため、業務負担が増加するとともに、交通事故に遭うリスクも高まっているという。
SKシールドスは自社のESGへの取組みのなかで、労働災害発生率を毎年5%削減するとともに、大規模災害への備えや労働安全衛生上の義務の遵守を強化するとしている。
しかし労組は、現場の人員やパトロール車両を削減することは、こうした方針と矛盾すると指摘している。実際、2024年10月から2025年6月までの間に、職場で4人が死亡したと報告されている。
組合側は協議と公的な調査を要求
労組によると、トップ経営陣との直接協議を求めたものの、会社側はこれに応じなかった。
SKシールドス労組のキム・ヨンホ委員長は、「SKシールドスの労働者は、極度の労働強化に苦しんでいる。CEOとの直接対話を求めて面談を申し入れたが、会社側からは企業文化部門の責任者と会うよう言われた」と述べている。
SKシールドス労組は、以下を要求している。
- 約400人の労働者に影響を及ぼす事業再編を中止すること。これには、正社員を非雇用型の営業代理人へ転換する動きを含む
- TSE職群のアフターサービス担当者を増員するとともに、職種変更に伴う労働者への一方的な賃金引下げを直ちに中止すること
- 不当労働行為および労働者との個別交渉をやめ、労働組合の権利と雇用上の権利を尊重すること
- 国会による国政監査で事業再編について検証するとともに、雇用労働部による特別労働監督を実施すること
ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「我々は、KFSUおよびSKシールドス労組に連帯する。過重労働と労働安全衛生に関する組合の懸念について、関係する労働当局が調査することを求める。SKシールドス経営陣は、遅滞なく労組と面談し、公正かつ誠実な対話を行うべきだ」と述べた。
(2026年9月7日)









