ブログアーカイブ

グローバル物流企業の組織化を目指して

UNI Apro郵便・ロジスティクス部会加盟組合を対象にした組織化フォーラムが、UNI SCORE及びスウェーデンUNION TO UNIONの資金援助を得て、4月3~4日にバンコクで初めて開催された。11か国、16加盟組織から25名が参加した。

IMG_5518 facebook forum 5 IMG_5500

郵便労組が組合のない子会社や民間ロジスティクス企業を組織化する必要性

ステファン・デマテオUNI本部郵便・ロジスティクス部会局長は、「アジアではEコマースにより小包数が増加しているが、そこで働く労働者は分社化などのため多くが組織化されていない。郵便だけでなく、小包部門、そしてライバル企業をどう組織化していくか。今フォーラムは組織化のスキルを身に着ける第一歩となる」とフォーラム開催に至った背景を説明した。

また、ドナー団体でもあるスウェーデンSEKOのイェンス・サバースタム氏は、1993年から始まった郵便の自由化後、1000社もの民間郵便企業が生まれ、それらを組織化することの困難さ、そして公的部門と民間部門の組織方法の違いにも直面した経験を話した。組合の相談ホットラインの設置や、HPからの組合加入などの方策を取っている現状、スウェーデンでは2000年から郵便局の窓口業務が廃止され、多くの退職者が出た結果、現在では全盛期の3分の2にあたる2万人しか職員がいなくなった。小包部門を組織化しなければ、同じような組合員の大幅な減少はApro地域の国でも起こりうる、と警鐘を鳴らした。

ナイジェル・フラナガンUNI SCOREスタッフは、組織化のための具体的・基礎的な知識や方法を伝授した。参加者を小グループに分け、「組織化に必要なものとは何か」また「ネットワーキング技術とは」と、グループ作業及び発表を交え、話を進めた。また、蜘蛛の巣の絵を使い、参加者は中央に自組織名を書き、組合を取り巻く団体や支部、使用者団体やその他NGOなどを挙げ、蜘蛛の巣のように、どこで何が起こっても瞬時に連絡が届くような組合のネットワーク作りが重要、と強調した。

次に参加者からの経験共有として、ジョー・ギャラガーETUオーガナイザー(ニュージーランド)からSitel社を組織した経験を聞き、マレーシア加盟協のノーライリー・プロジェクトコーディネーターからはDHLの組織化について3社あるDHL傘下の企業の現状報告を受けた。

日本郵政のトールグループの買収

増田喜三郎JP労組副委員長は、日本郵政3社の株式上場や、トールグループ社の買収と組合組織化について報告した。トール社買収後、国際郵便・物流企業の売上高実績順位は日本郵便とトール社合わせると世界第5位となる。増田副委員長は、今までの日本国内、郵便部門内だけの活動から、郵便部門を超えたグローバル企業の組織化に目を向けた活動へとシフトしつつあること、Apro地域のトール従業員の組織化が必要だが、今後各国で組織化するにあたり様々な課題が浮上するだろうと指摘した。また、トール社の組織化のために4月下旬に東京でITF、UNI、TWUJP組で会合を持つ予定であると報告した。

各国毎に分かれる評価と反応

「日本郵便によるトール社の買収は、あなたの国の郵便セクターにどのようなインパクトを与えるか?あなたの組合にとって、どのような機会があるか?あなたの組合にとって、どのような将来的な課題,又は脅威を見るか?あなたの組合はどのように対応するか?」この問いかけに対し、各国からは様々な反応があった。マレーシア加盟協(UNI-MLC)はすでにトール社の調査を行った。一般にロジスティクス企業はTWUに属しており、ポスマレーシアが買収した企業に企業内組合を結成できるか検討する必要がある。スリランカ、ネパール、インドでは、郵便局は政府の機関であり郵便労組が民間企業を組織できず、法律で禁止されている。また、トール社が進出していないタイの郵便労組からは、進出することがあればタイポストとともに協力していきたい、との考えが示された。デマテオ担当局長は、民間企業と郵便がリンクする場面もある。そのような機会をとらえ、民間企業との接触を試みる方法も考えてほしいと述べた。

最後に増田副委員長は次のように討論をまとめた。「郵便物の減少は世界の流れであり、その中で物流に注目が行っている。ただしUSOの維持という課題もある。5日の配達を3日に減らして良いわけではない。アマゾンなど、送料無料としているが、実際に輸送コストがかからない訳ではない。底辺への競争を食い止めていかねばならない、そのような中で、トール社が出て来た。アジアの多くの国では労働組合がないので、なんとか組織化して行きたい。そして適正なサービスのためには適正なコストが必要ということを全体化したい。シンガポールで組合の組織化が経営側に邪魔されることがあれば、親会社に対して物申したい。JP労組として、トール社の動きを注視していきたい。」


フィリピン銀行労組、UNI-LCJ金融部会と交流

P1150408

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年3月14~16日、ウマリ委員長を団長とするフィリピン銀行労組(NUBE)代表団が来日し、UNI-LCJ金融部会の仲間と交流した。NUBE側からは、日本の金融労組の経験から学びたいとの強い要望があり、今回の受入れが実現した。メンバーは、ジーザス・ニデア副委員長(貯蓄銀行従組委員長)、ボールドウィン・セキムテ監査(預金保険機構従組委員長)、レイナー・クルス部長(スタンダードチャータード銀行従組委員長)、フェデリコ・ロハス顧問弁護士の5人。

14日の到着後、直ちに全労金本部を訪問し、桜井副委員長、深見書記長、奥井書記次長と意見交換を行った。NUBEからは協同組合銀行としての労金の役割に関して特に熱心な質問が出された。ウマリ団長は、日本の銀行で働く労働組合として初めてUNI加盟を果たした全労金の功績を称えると共に、NUBEが(UNIの前身である)国際産業別組織FIETへ加盟したことにより、銀行業界に押し寄せた技術革新の波にいかに対応すべきかを他国の例から学ぶことができた経験を述べ、海外事業を行っていなくても、同じ産業で働く者どうしの情報交換は非常に有益であると強調した。深見書記長からも、韓国の金融労組との交流で得られた情報を今年の要求に反映したこと等、国際労働運動の意義が報告された。

15日には新生銀行従業員組合、全銀連合と意見交換を行った。ウマリ団長からは「全銀連合との情報交換は、NUBEが今後取り組もうとしている農村銀行の組織化に大変参考となった。是非、フィリピンに来て、農村銀行協会と会ってほしい」との要望が出された。また、加藤元UNI Apro地域会長を表敬訪問し、ウマリ団長は、「加藤氏の退任後に、また会えるとは思ってもいなかった。今は日本再共済連理事長として、我々と同じ金融部門で活躍されていると聞き大変嬉しい」と再会を喜んだ。

16日には、UNI-LCJ金融部会主催「フィリピン金融産業と労働運動について聴く会」が損保労連会議室で開催され、損保労連、生保労連、労済労連、全信連、新生銀行従組が参加した。ウマリ団長は、NUBE及びフィリピンの金融産業概要を報告し、現在のNUBEの基礎は国際労働運動への参加を通じて確立されたと言っても過言でないと断言した。NUBEは1980年代、マレーシアやシンガポールの金融労組から支援を受けてFIET加盟を果たして以来、パートナーシップ労使関係作りに努力してきた。そして銀行業政労使協議会(BITC)設立はNUBEが主導し実現させたこと、BITCを通じた社会対話を通じて、金融産業で起こる変化や政策変更に労働組合も関与し、意見反映していく機会の重要性を強調した。フィリピンの他の産業でこのような三者対話のメカニズムを持ち定期的に対話を行っている組合は殆どない。NUBEはUNI Aproが推奨するパートナーシップ労使関係を推進し、銀行使用者とも良い関係を構築しており、ASEANの他の国にとっても先進的なモデルとなっている。

宮本生保労連副書記長から、フィリピンにおける青年組合員の活動について質問が出され、UNI Apro青年委員会の前議長も務めたレイナー部長が次のように説明した。フィリピンでは一般的に労働組合はトラブルメーカーだという悪評が先行しており、特に入社したばかりの若い世代は加入したがらない。「組合は良いことをしている」、「企業内の従業員の利益のためだけに活動しているわけではない」という正しいメッセージを伝えるために、フィリピンのUNI加盟組織の青年組合員で構成される青年委員会メンバーは、大学で学生に労働者の権利についてレクチャーする取組みを続けている。また、ゴミ集積場付近に暮らす貧困家庭の栄養失調の子供達に給食を与えると共に、子供達に日銭稼ぎの労働をさせるのではなく、貧困の連鎖を断ち切るためにも親に子供への教育の重要性を説く取組みを、UNI Apro青年委員会及び日本の加盟組織の支援も得て、10年以上継続している。レイナー部長は最後に、日本の金融部門の若い組合役員もUNI Apro青年委員会の取組みに積極的に参加してほしいと呼びかけた。

田原UNI-LCJ金融部会議長は、UNI Apro金融部会の仲間としてNUBEと今後も様々な場を通じて情報交換を続けていきたいとまとめた。

 

写真はFlickr参照


持続的で公正なグローバル・サプライチェーンを目指して

DSC_0163

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年2月16日、第17回UNI-LCJ年次総会が東京で開催され、各加盟組織より運営委員及び総会代議員、オブザーバー等64人が出席した。2015年度活動報告、同会計報告に続き、中村UNI-LCJ監査(日放労委員長)が監査報告を行った。また2016年活動計画、予算、UNI-LCJ財政管理・会計処理規則が承認された。改選年ではないが、副議長について、UAゼンセンの逢見会長から八野副会長への変更が確認された。更に、スタッフ人事として、伊藤UNI-LCJコーディネーターの退任(UNI Apro郵便・ロジスティクス部会担当部長職は2016年3月末日をもって退任)と、後任として4月1日から着任予定の大崎新UNI Apro郵便・ロジスティクス部会担当部長(現在はJP労組職員)の紹介・挨拶があった。

年次総会に引き続き、ジェニングスUNI書記長から「グローバル・サプライチェーンにおけるディーセントワークの達成に向けて」と題する講演を受けた。世界的に有名な多国籍企業であっても、生産プロセスの末端に位置する途上国の工場等では、劣悪な環境の下、低賃金で労働者が働いている現状を把握していないか無視している。その象徴的な事件として、2013年4月、バングラデシュで大手衣料ブランドの製品を製造する縫製工場が入ったラナプラザビルが倒壊し、1,130人もの労働者が亡くなっている。UNIはITUCや他のGUFと連携し、こうしたグローバル・サプライチェーンの実態把握と改善のため、G7、G20、世界経済フォーラム等の場で、各国の政治指導者及び多国籍企業のトップ等に現在のシステムを変える必要があると訴えてきた。合わせてUNIとインダストリオール、NGOが中心となり、215の大手ブランドとバングラデシュ・アコード(バングラデシュにおける火災予防及び建設物の安全に関わる協定)を締結するに至った。「なぜUNIのような国際労働運動がグローバル・サプライチェーンにおけるディーセントワークの確保に取組む必要があるのか?」という問いに、ジェニングス書記長は、「バングラデシュに生産拠点を持つ大手ブランドや小売業の従業員、物流に関わる労働者をはじめ、グローバル・サプライチェーンで働く多くの労働者は、UNI商業部会、UNI郵便・ロジスティクス部会他、様々な部会のメンバーだ。グローバル・サプライチェーン全体における持続可能で公正な生産を企業や政府に要求していく責任がある」と強調した。「グローバル・サプライチェーンにおけるディーセントワーク」は、本年6月のILO総会のテーマでもある。ジェニングス書記長は、UNI加盟組合の積極的な参画を訴えた。

レセプションでは、小俣議長の挨拶に続き、厚生労働省・勝田総括審議官(国際担当)、連合・神津会長より連帯挨拶を受けた。ウンUNI Apro地域書記長は、逢見前UNI Apro会長(現・連合事務局長)の多大な貢献に感謝し、逢見前UNI Apro会長もUNIでの思い出を語った。また、アチャリャUNI Apro労組強化部長は、ネパール大地震からの復興状況について写真を見せながら報告し、UNI-LCJの支援にあらためて感謝した。続いて、退任する伊藤コーディネーターとの数々の思い出を田原UNI-LCJ副議長が披露し、UNI-LCJ及びUNIへの長年の貢献をたたえた。伊藤コーディネーターは、「小俣議長、小川事務局長の下に加盟組織が一致団結して、UNI-LCJを更に発展させてほしい」と祈念した。大崎UNI-LCJスタッフ(4月よりUNI Apro郵便・ロジスティクス担当部長)は、在中国日本大使館での経験を活かし、同部会及びUNI-LCJを盛り上げていきたいと決意を述べた。

 

写真はFlickr参照

 

ジェニングスUNI書記長、アチャリャUNI Apro労組強化部長のプレゼンテーション資料はこちらから↓

Jennings PPT

Rajendra PPT

 

 


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ