東アジアの労働組合が結集:急増する非正規雇用に警鐘

第3回UNI Apro東アジア労組フォーラムが2014年9月29~30日、台湾・台北で開催され、韓国、台湾、香港、日本から約200名が参加した。UNI-LCJからは9加盟組織及び事務局合わせて42名が参加した。2012年にUNI-LCJのイニシアチブで始まり、今年で3回目となる同フォーラムでは、「終わりなき新自由主義と雇用不安:雇用危機と雇用なき成長に対する組合の対応」という全体テーマの下、「若年者の雇用」、「教育:持続可能な労働市場と人材開発に向けたインクルーディング・ユー」、「労働組合におけるインクルーディング・ユー」という3つのサブ・テーマで討論が行われ、増加する非正規労働者や女性・青年の社会参画について各国の状況と課題が共有され、労組の取り組みが報告された。開会式には、ウー・デンイー台湾副総統、ファンユ労働副大臣をはじめ、友誼団体から来賓が多数出席した。クリストファー・ウンUNI-Apro地域書記長、各国UNI加盟協議長が連帯の挨拶を行い、3回目を迎えるフォーラムの成功を祈念した。

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小俣UNI-LCJ副議長は、グローバル化と国際的な価格競争の激化により非正規雇用や長時間労働などがますます増加する中、いかに労働者が仕事に誇りを持ちディーセントな労働環境を実現していくか労働組合の力量が問われているとして、活発な議論を期待した。逢見直人UNI Apro会長は、3回目を迎える東アジア労組フォーラムが地域の友好と連帯を深め、意見を発信する場として機能してきていることを評価し、各国での労働法の改正が相次ぎ、労働者を巡る状況が一層厳しさを増している中で、共通の問題と取組みを共有することは重要だとしてフォーラムの継続を呼びかけた。
基調講演では、パン・シーウェイ中国文化大学教授(前労働大臣)が、台湾でも派遣労働、非正規雇用が拡大しつつあるという現状と課題を報告した。また、メリサ・セラノ・フィリピン大学労使関係学部教授より東アジア4カ国における労働柔軟性と雇用保障に関する背景調査の報告が行われた。日本、韓国では近年の規制緩和が進み派遣労働者が急増していること、台湾では約5%と比較的少ないが徐々に増加傾向にあること、香港では労働法制が整っておらず解雇が容易なため非常にフレキシブルな雇用が一般的となっていることを比較分析した上で、組合による多様な非正規労働者へのアプローチの必要性が提起された。なお、本調査は、2015年12月に開催されるUNI-Apro地域大会で最終的な報告が発表される予定である。

各テーマでのUNI-LCJ加盟組織からの報告は以下のとおり。
テーマ1「若年者雇用:各国の現状と課題」では、田原UNI-LCJ副議長(損保労連委員長)が司会を務めた。損保労連/三井住友海上労働組合・三浦委員長は、「若年者雇用を取り巻く情勢と組合員化の促進に関する取り組み」として、日本の労働力人口の推移と政府の「若年雇用戦略」などの政策を紹介した上で、三井住友海上労組における取り組みとして有期社員を含むユニオンショップ協定締結に至る経緯を報告した。UAゼンセンの八野副会長からは、「長時間労働と労働の柔軟性(ホワイトカラー・エグゼンプション)に関する政府の見解と組合の取り組み」として、アベノミクスの成長戦略の問題点として残業代ゼロを推進するホワイトカラー・エグゼンプションが一般組合員にも波及する危険性が高いと指摘し、労働組合としてなんとしても労働法制規制緩和に反対していく決意を述べた。「非正規労働者の正規化に関する取り組み」については、まず、全労金石田委員長が全ての労働者の安定雇用や公正処遇を目指す観点から「仲間を広げる取り組み」として正職員登用に向けた取り組みを進めていくとの決意を述べた。また、JP労組花田中執は、これまでの正社員化の取り組み状況と2015年から導入される予定の新たな人事制度を紹介し、今後も組合員のニーズに合った正社員化を目指して労使協議を続けていく必要性を訴えた。
テーマ2「教育:持続可能な労働市場つと人材開発に向けたインクルーディング・ユー」では、情報労連/KDDI労組松井副委員長がKDDI労組におけるユニオンショップ協定締結を通じた有期契約社員の組織化や教育・研修活動、正社員登用制度、更にUNI-Aproと共に開催したユースワークショップなどの青年活動の取り組みを紹介した。自動車総連丸山国際局部長は、日本の競争力を高め雇用を維持するためには「新たなものを生み出し続けること(付加価値の創出)」が大切であるとし、そのためには常に学ぶ姿勢、コミュニケーション、働く楽しさ、適切なマネジメントが必要だと訴えた。全印刷の梅原書記長は、紙幣など機密性の高い製品を長期的に安定して製造するために高いモラルを持った人材育成が不可欠であり、組合が行っている各種の研修や青年女性活動について紹介した。労済労連佐伯副書記長は、平和行動や青年自ら企画・運営する社会貢献活動など労連及び加盟単組で実施している若年層向けの教育・研修制度を紹介した。
テーマ3「労働組合にインクルーディング・ユー」では、UNI Apro女性委員を務める宮原情報労連中執が日本における男女共同参画の促進として、女性の活躍促進を掲げる日本政府の取り組み、連合の男女平等参画活動の取り組み、更に情報労連、UAゼンセン、損保労連(あいおいニッセイ同和損保)、JP労組の取り組みを紹介した。日放労の岡﨑副委員長は、ワークライフバランスに関する政府の見解と組合の取組みを紹介すると共に長時間労働やサービス残業が依然として存在する中、実際の制度利用をいかに浸透させていくかが課題だとした。

なお、各テーマにおいて、参加した台湾、韓国、香港の現状と課題が共有された。また29日には、台湾加盟組織主催のレセプションが開催され、各国参加者によるダンスや歌を通じて交流が図られた。

閉会式では、今回のフォーラム開催準備に中心的な役割を果たしたCPWUの青年委員会メンバーが檀上に上がり、合同宣言文を読み上げた。同宣言では、2012年から始まったフォーラムの成果を振り返り、東アジアの労働組合の連帯と友好、共通課題の認識共有と意見発信に大きく寄与してきたことを評価し、今後3年間、2015年に日本、2016年に韓国、2017年に台湾で開催することが提案され、満場一致で確認された。

写真はFlickr参照

 

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