ユニバーサルサービス維持に向けて-UNI-Apro郵便・ロジスティクス部会 伊藤栄一担当部長に聞く

グローバルな金融・経済危機は、郵便・ロジスティクス部門にどのような影響を与えていますか?
経済・金融危機は、郵便・ロジスティクス部門に極めて大きな影響を与えています。生産が落ち、消費が減退すれば、モノを運ぶ必要も無いからです。事実航空宅配各社は軒並み財務目標の修正や事業拡大計画の縮小を行っています。IATAによれば、昨年11月世界の航空貨物の輸送量は13.5%の減少を記録したとのことです。最近しばしば「危機は、危険と機会という2つの単語からなっている」と語られます。経済・金融危機は、「翌日配達航空配送サービスに特化した企業よりも、安価で確実な配送サービスが得意な企業(例えば、郵便局)にはプラスに働く」と言われています。郵便事業から進化した多国籍ロジスティクス企業であるTNTにせよ、DHLにせよ、伝統的な郵便事業部門を強化する方向に動いています。郵便物数は各国で減少しており、この傾向は必然のように言われますが、ドイツポストの取り扱い郵便物数は増大しています。私たちは、「常識」に惑わされず、各国の状況を良く把握し、ベストプラクティスを集め、政策に生かしていく必要があります。

2008年を振り返り、UNI-Apro郵便・ロジスティクス部会はどのような成果を上げましたか?
第1に、民営化・規制緩和に対する取り組みです。競争の導入とユニバーサルサービスは、どこの国でも再調整が課題となっており、労働組合はチャレンジに直面しています。私たちは、各国の状況を定期的に発信し、各国における規制議論に組合が有効に対応できるように支援してきました。第2に、組織化です。2007年UNI郵便部会大会は、郵便・ロジスティクス部会と名称変更し、民間急送便・ロジスティクス企業の労組も受け入れることとしましたが、民間急送便・ロジスティクス企業はほとんど組織されていないのが実態です。UNI-Apro郵便・ロジスティクス部会は、この分野で最も活動的に組織化を進めています。勿論、伝統的な郵便部門の組織化にも力を入れています。韓国、ベトナムで、郵政事業の上級職員労組が結成されました。しかしアジア太平洋地域には、まだまだ郵便労組が無い国が多いことも事実です。少なくともAPPU加盟国には郵便労組がある状況を作りたいと考えています。第3に、UPU、APPUとの連携強化です。昨年はUPU大会議が開催され、ジェニングスUNI書記長がハイレベル会議でパネラーとして参加しました。APPUとの連携も継続しています。小地域における連携の強化も進めています。

2009年の活動計画を教えてください。
UNI-Apro郵便・ロジスティクス部会が、パワフルな存在、影響力を持った国際労働組合組織として登場するには、少なくとも各国に郵便・ロジスティクス労組が存在し、良くネットワークされる必要があります。現在UNI-Apro郵便・ロジスティクス部会の勢力は、39組合、61万7000人です。現在各国で組織化の努力が進められています。組織拡大が最大課題です。その上でグローバルな政策力、グローバルな代表制を高めて行かねばなりません。UNIは、今年中に自由化について調査し、政策をまとめ、国際機関の場で発表し、ユニバーサルサービスを守る国際世論を高めることとしています。今年7月にはUNI-Apro郵便・ロジスティクス部会大会が開催されます。ここでは民営化をテーマとした討論を行います。金融・経済危機の中、イデオロギー的な民営化論者の影響力は低下しましたが、将来の発展のための投資資金が不足していることは、特に途上国の多くの郵政事業が抱える問題です。その点で郵政改革は、必ずすべての国でテーマとなります。アジア太平洋地域の組合のリーダーたちは、このチャレンジに備え、政策力を向上させる必要があります。その点でJP労組の経験が大いに役に立ちます。

日本の郵便・ロジスティクス部会加盟組合へメッセージをお願いします。
山口JP労組委員長は、UNI-Apro郵便・ロジスティクス部会の議長、UNIの副会長を務めております。世界の郵便労組を概観すると、JP労組は米国、英国、ドイツ、中国に次いで5番目に大きな組合となります。是非組合員の皆様にもこのグローバルなポジショニングを理解いただき、これまで以上に国際活動の強化を図って頂きたいと思います。特にアジア太平洋地域の郵便労組の強化は、必ず日本の郵便労組の国際的なポジションを強化します。今後とも、UNI-Apro郵便・ロジスティクス部会をリードして頂きたいと思います。


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