アジア太平洋地域におけるUNIメディア部会の活動と今後の展望 ヨハネス・ストゥディンガーUNIメディア部会副部長に聞く

これまでのUNIメディア部会の成果をお聞かせください。
これまで、UNIメディア部会は組織化に焦点を当て、新しいキャンペーンを展開してきました。組織化はメディア・娯楽関連労組の支援と、欧州以外の地域での組合員を拡大することが目的です。
アジア太平洋地域では、東南アジアの放送業界労組のネットワークを構築し、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)との協力を強化するために、マニラで放送労働者会議を開催しました。香港ディズニーランド従業員の組織化キャンペーンは、世界的なエンターテイメント企業、ディズニーのテーマパーク従業員をグローバルな労組同盟結成にむけてまとめるのに大きな一歩となりました。2008年4月に香港で開催された会議には東京を含む全てのディズニーランド労組代表者が参加しました。会社側と会って、組合が香港ディズニーの敷地に自由にアクセスできるよう要求しましたが、認められませんでした。ディズニー組織化キャンペーンの最終目的は労組ネットワーク構築や香港の仲間達への支援だけではなく、世界中で組合のアクセス権が認められるようなグローバル枠組み協定の締結が長期的な目標です。
アジア太平洋以外の地域では地域ごとの運動および、南アフリカ、ブラジル等の映画製作労働者を対象とした国別プロジェクトを推進しています。地域キャンペーンが情報交換や協力を促進する組合間のネットワーク構築を目的としているのに対し、国別プロジェクトは組合の組織化支援に重点を置いています。米州では脚本家、監督、映画製作技術者の組織化に、欧州では東欧の映画・放送産業労働者の組織化に取り組んでいます。
この他にも2008年は各地でさかんに活動が行われました。多くが公共放送(PBS)擁護の活動でした。フランス、韓国、ニュージーランド、英国でUNIメディア部会は持続可能な財源、質の高い番組作り、編集上の独立性を守ろうとする加盟組織を支援しています。欧州レベルでは、EU関係機関および各国政府によってPBSへの資金供給に関する新たな規定が議論されています。UNIメディア部会は、こうした議論で大きな存在感を示し、IFJと連携して活動しています。1月16日にはPBSの財源に関する共同声明を発表しました(www.union-network.org/meiをご覧下さい)。私達は、知的所有権保護にもさらに力を注いでいます。海賊版に立ち向かい、作品を使用したら公正な報酬が支払われるよう各国法および国際法(EUと世界知的所有権機関)の整備を他の関係団体とも協力して促進してきました。また、国内・国際レベルで著作権協会とも強力な連携を築いています。海賊版については国際プロデューサー連盟のIVF、FIAPFと共に活動しました。商業放送分野においては、業界のグローバル化を調査し、グローバルな労組ネットワークに向けて活動を始めました。そのターゲット企業であるRTLとNews Corpはどちらもアジアに進出しています。放送業界全般については、2012年のロンドン夏季オリンピックでのメディアの労働条件に対策を講じています。国際オリンピック委員会と交渉し、あらゆるメディア労働者を含む協定の調印を目指しています。オリンピック期間中、国際放送センターには世界各国から20,000人が集まると見込まれています。
2007年10月の部会大会で、UNIメディア部会加盟組織は2011年の次回大会までにUNI-Aproと協力してアジア太平洋地域の部会を組織化することを明記した宣言を採択しました。UNIメディア部会には欧州、米州の2地域組織があります。2008年、アジア太平洋地域で様々な労組や未加盟団体と新たな関係を構築してきました。日本の加盟組織との情報交換は非常に有意義です。
同時に、UNIメディア部会は日本のメディア・娯楽産業の未加盟組織・団体にも協力を呼びかけています。2008年3月、ジム・ウィルソンUNIメディア部会担当部長と私は、日放労、民放労連の他、未加盟組織も訪問し、UNIメディア部会の世界的・地域的課題と活動を説明すると共に、日本のメディア・娯楽部門労働者が直面する課題について理解を深めました。私はまた、11月に米国脚本家組合(WGA)のチャールズ・スロッカム副書記長と、かつてのMEI加盟組織、広告業界の労働者、映画製作会社の労組を訪問し、関係を強化することが出来ました。さらに、監督と脚本家両方の製作者団体と初めて意見交換を行いました。この対話を維持し、アジア太平洋地域および他地域の映画製作者労組・団体との架け橋にしたいと考えています。当面は、私達のグローバルなアジェンダ、活動、キャンペーンに関する情報を定期的に提供したいと思います。今後は域内のイベントに参加するよう提案し、アジア太平洋地域のみならずそれ以外の地域の仲間達と情報共有できる場を設ける予定です。

2009年以降の活動計画をお聞かせください。
UNIメディア部会は昨年の訪問で得られた経験を足場にして、今後日本の加盟組合及び未加盟組合との連携・協力関係を強化していきます。昨年2度の来日に当たり、UNI日本加盟協にご協力いただき感謝しております。2010年に世界中から加盟組織が日本に集まる機会を利用し、UNI長崎世界大会の前後で2日間の会議を開催したいと計画しています。1日目はUNIメディア部会執行委員会、もう1日は日本のメディア・娯楽産業に関するセミナーです。
2009年にアジア太平洋地域で予定されている活動としては、2月にインドの映画・TV製作労働者との大規模な安全衛生プロジェクトが発足します。UNI-AproとUNIインド加盟協の協力を得て、大手映画製作会社がある州のほとんどで個別にイベントを開催します。7月初旬には、韓国で映画産業労働者のためのセミナーがあります。アジア太平洋地域の映画製作者・技術者を団結させるためのこのセミナーに日本の加盟組織のみならず未加盟組織からも是非ご参加ください。域内の映画産業労働者が経験を共有し、共通の目標と連携に向けた課題を話し合うことが目的です。また、年の前半にマレーシア、インドネシアのとりわけ民間放送労働者の組織化プロジェクトがあります。
全地域にわたってメディアの多元性、公共的価値、知的所有権の保護といった普遍的政策目標を強化していくつもりです。そして、グローバル同盟、グローバル枠組み協定に向けて前進していきたいと考えています。

ヨハネス・ストゥディンガー―ドイツ出身。2000年1月、UNIメディア部会副部長に就任。フリードリヒ・ナウマン財団ブリュッセル事務所、グラハム・ワトソン欧州議会議員事務所、欧州委員会事務局に勤務した経験をもつ。


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