女性の力をステップアップ!-UNI-Apro女性委員会 小川陽子新担当部長に聞く

ジェンダー平等を求めて闘う女性労働者にとって、昨今の経済のグローバル化、経済・金融危機は大きなインパクト
アジア太平洋地域は、特に女性労働者にとって組合活動への参加にいまだ多くの障壁がある地域の一つと言えます。社会的、文化的、伝統的障壁によって女性の参加が阻まれ、結果、女性労働者の声が反映されにくい男性中心の組合になっているのが現状です。また、アジア太平洋地域には中国及びインドという世界の2大市場が存在し、成長の中心地であると同時に、質の高い安価な商品を生み出す源にもなっています。従って、先進国、途上国に関わらず利益のみを追求する多国籍企業が押し寄せ、生産コストを抑え安価な労働力を搾取するようになっており、グローバル化の勢いに便乗したいと願う政府もこれを後押ししています。こうした動きは労働者にかつてない悪影響を及ぼしています。底辺への競争によって貧富の格差は広がり、特に貧困の女性化が進行しています。多くの国で女性が、労働市場、特にスキルを必要としないサービス産業に参入するにつれて、男女格差、男女不平等が広がっています。
女性への差別や不平等の原因は何千年も前から社会的に継承されてきた規範や慣行によるもので、歴史的にも文化的にも深く根ざしており、女性に対する見方や女性自身の考えを変えるのは容易ではありません。特に貧しく識字率の低い国においてはとりわけ、この傾向が顕著に見られます。概して、女性の権利や女性の問題について、女性労働者自身も、女性組合員も組合役員も余り関心を持ってきませんでした。女性が無関心である背景には、一家の稼ぎ手であり主婦でもあるという二重の負担を負わなければならない経済的・文化的理由も存在します。そこで、余暇を仕事や家庭以外のボランテイィアや組合活動に当てる余裕はないのです。また、そうしたことをしたいと思っても、男性(夫や父親)の許可を得なければいけないという状況も、積極的な組合参加を阻害する一因となっています。

女性のエンパワーメント
UNI及びUNI-Aproはその結成当初から、女性及び青年労働者にも組合活動にもっと積極的に参画してもらうこと、意見がきちんと反映されるよう意思決定プロセスに関わることを目標に、主に女性・青年の教育活動とリーダー育成に力を入れてきました。アジア太平洋地域においては、日本のように自由で独立した民主的な労働組合活動を行うことすらできない国や、反組合的な態度の使用者が少なくありません。そのような状況下にあって、また経済がグローバル化し、企業も労働者も国を超えて移動する現在、女性と青年の組織化・エンパワーメント、組合活動への積極的な参画とそれによる組合自体の活性化は、労働運動の弱体化に歯止めをかけるのみならず、新しい時代に組合が存続するためにますます重要になっています。
UNI-Apro女性委員会は、昨年の委員会で、退任した宮本尚子議長(NTT労組)の後任に、インド・ステート銀行労組ムンバイ地本委員長を務めるアンジャリ・ベデカーさんを新議長として承認しました。アンジャリ議長は、UNI-Aproがインド国内及び南アジア地域で実施した様々な組合研修に参加し、女性リーダーとして後輩の女性メンバーを勇気付け、女性労働者のネットワークを拡大し、ステート銀行労組初の重職に選ばれた、まさに草の根から男性中心の組合のトップに就いた方です。彼女とは、昨年、インドの郵便労組女性セミナーに講師として共に参加しましたが、組合活動に積極的でない理由を分析した時に参加者が述べた「組合から情報が届かない」とか「組合は男性だけで運営されている」という文句に対し、「女性労働者に組合への関心を深めてもらうには、同じ悩みを共有する女性自身が話しかける(オルグする)方がよい」、「良い組合リーダーとは、人の話を聴くことができる人」だと、労働者どうし有効なコミュニケーションをはかり、仲間の女性メンバーを増やしていくにはどうしたらよいかを、わかりやすい言葉で自らの経験から説明し、最後には郵便労組の女性参加者から「産業を超えて女性どうし結束を高めていこう」という力強い意見が多く出されました。

日本の女性メンバーの皆さんへ-ブレイキングスルー@長崎!
国を超えても同じことが言えると思います。UNI-Apro女性委員会における活動とは、共通の問題を抱える女性が各国の経験から学び、互いにサポートしていくことに他なりません。日本の労働組合が日々奮闘している女性、若年労働者や非正規労働者の組織化をはじめ、男女間格差の是正、均等待遇要求、育児支援政策、ワークライフバランス達成に向けた取組みなど多面的な経験は、他の国でも非常に参考になります。北欧やオーストラリアなどのように、男性も育児や家事に参加するという文化・習慣や、シンガポールのような国を挙げてのワークライフ・ハーモニー・プログラムなどは、私たちにも参考になるでしょう。最近結婚した、シンガポール人と韓国人の若い夫婦が、それぞれの母国で暮らさず、オーストラリアでの生活を選択するに至った理由を、「シンガポールや韓国では、仕事と生活を両立したライフスタイルが不可能だから」と言っていました。皆さんは、どう思われますか?
さて、2010年には長崎で世界中のUNI女性メンバーが結集する、第3回UNI世界女性大会が世界大会前段に開かれます。世界大会のメインテーマは「ブレイキングスルー」。女性大会のテーマはこれを、「ガラスの天井」を打破する、「階級の壁」を打破する、「家父長制」を打破する、というように各国の状況に照らして解釈し、女性をもっと組合活動へ参画させ、労働組合においてジェンダー平等を達成し、女性組合員がパワーを得るための行動計画を立てることになっています。
日本のUNI-Apro女性委員会メンバーは、既に世界大会・女性大会の準備に積極的に関わっています。女性メンバーからは、海外参加者に日本の労働運動の到達点、特に男女共同参画社会とワークライフバランスの達成に向けた取組みの成果を示すことに加え、長崎の街や歴史・文化を知ってもらったり、ローカルな職場に案内するなどして地元との交流を図ったりするための、様々なアイデアが出され、実施に向けて検討を重ねています。世界の女性からも、「折り紙などの日本文化を象徴するような装飾」や、「開会式には日本女子サッカーチームに来てほしい」とか、国際労働運動の象徴である“平和とパンと薔薇”を日本流になぞって、「“平和像、カステラ、菊”を記念品にしてはどうか」などの要望も出されており、日本開催への期待も大きくなっています。アジア太平洋地域の女性活動をリードし、長崎で「日本の女性はスゴイ!」と言われるよう、STEP UPしていきましょう。

小川陽子-津田塾大学卒業後、日野自動車勤務を経て、1997年よりUNI創設パートナーのひとつPTTI東京事務所に入職。2000年のUNI統合後は、UNI-Apro女性・青年活動コーディネーターとしてアリス・チャン同部長を補佐、2009年1月からUNI-Apro女性委員会担当部長に就任。


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