UNI-LCJapan年次総会、フィリップ・ジェニングスUNI書記長記念講演 「グローバル経済における欧州金融危機のインプリケーション」

 

2012年2月2日、東京で、第13回UNI-LCJ年次総会が開催され、2011年度活動報告、及び会計報告、監査報告、2012年度活動計画、予算が承認された。本部及び地域組織からはジェニングスUNI書記長とウンUNI-Apro地域書記長が駆けつけた。

「グローバル経済における欧州金融危機のインプリケーション」と題したジェニングス書記長記念講演には加盟組合を含め100名を超える参加者が集まった。
東日本大震災以降、初来日となった今回、ジェニングス書記長は冒頭、被災者とその家族へ深い哀悼の意を表すると共に、日本の労働運動を長年主導してきた芦 田氏、宇佐美氏の逝去に対し、両氏のご冥福を祈った。UNI-Apro会長に就任した加藤情報労連委員長には激励を、UNI-LCJの国際会議開催貢献賞 受賞については祝福の言葉を述べた。

世界各地で政治変革が起こり、市民による社会格差に不満を訴えるオキュパイ運動が拡大する中、今年のダボス会議ではディストピア(逆理想郷)という言葉が 使われた。ジェニングス書記長は「完全雇用やディーセントワークが実現する世界がユートピアであるなら、金融危機によって人々が憤り不平等が蔓延する今日 の欧州はディストピアの状態だ」と述べた。

欧州の長年の夢であったEU統合は、政治・経済的統合そして共通通貨ユーロ導入により域内の市民に様々な恩恵をもたらした。しかし、2008年金融危機が発端となり、銀行が破綻し、公的債務危機も加わって、緊縮財政、失業率増大につながり、悪循環に陥っている。

このような状況下で欧州労働運動は経済成長計画を求め、正しい選択がなされるよう闘っている。ジェニングス書記長は、「UNIは国際機関で発言力を強化 し、そして各地域、各部会がブレイキングスルー戦略のもと、各国内の政策決定プロセスで発言力を強化していかなければならない。協調した対応が不可欠だ」 とさらなる連帯を呼びかけた。

質疑応答で、柿田JP労組ユースネットワーク議長は、欧州での若年失業問題に対する組合の対応について質問した。「欧州金融危機の最大の被害者は若者であ る。多くの企業はコスト削減のため、採用を見送っている。欧米のビジネス界は、2兆ドルもの現金の山にあぐらをかいているが、先行きが不透明なためそれら 財源が投資されずにいる。今こそ、経済成長のために労働者に再投資されるべきである。緊縮財政では根本的な解決にならない。欧州の組合は、全ての若者に雇 用と教育の機会を確保するよう求めている。」

橋本JSD国際局部長が、インド小売業界における外資参入規制について見解を求めたのに対し、ジェニングス書記長は、「インドにおける小売のグローバル化 についてUNI代表団がデリーで政府関係者に意見提起した。インド世論の反発による外資の自由参入阻止が背景にある。6億人の中産階級を抱えるインドは小 売業最後の未開拓地である。UNIは、外資参入に当たり、インド側と知見を分かち合いながら、節度ある政策を立てるようインド政府に提言している。」また LCJの全部会に対し、日系企業の海外進出をつぶさに見ていき、進出先でも国内と同様、強力な労働組合運動そしてパートナーシップ労使関係を普及するよう 鼓舞した。

続いて行われたレセプションでは、落合UNI-LCJ議長が「UNI-LCJ組織の純増で101万7200人となった。ブレイキングスルー戦略の下、加盟 組合と共に更に前進したい」と開会挨拶を行い、続いて妹尾厚生労働省総括審議官、古賀連合会長そしてウンUNI-Apro地域書記長より連帯挨拶を受け た。ウン地域書記長は、加藤新会長の強力なリーダーシップのもと、ブレイキングスルー戦略を邁進していく決意を述べた。

写真はFlickr参照。


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