UNI、マルチブランド小売企業のインド参入に、警戒と厳重な条件を要求

インドの4500億ドル規模の小売市場に、外国直接投資(FDI)を認めるかどうかの激しい議論が行われている最中、クリスティ・ホフマンUNI副書記長 率いるUNI代表団が先週、インド政府と面会し、参入による社会的影響について議論した。UNI代表団は、仮に認めるとしても、団結権を保障し、小規模小 売業や国内サプライヤーの保護を確保するため、投資には厳重な条件をつけるよう提案した。また、何千万もの小規模な小売店によって占められる同産業におい て、条件に適応し混乱を最小化する能力を保つため、巨大小売企業参入許可のペースや規模を遅らせるようアドバイスした。
多国籍企業の参入により、深刻な事態を招くようなインドの商業改革が起こることが予想される。経済成長が続き、消費者数も増大する中、インドは多国籍小売 業者にとって、多くの点で最後の未開拓地となっている。ウォルマートの存在が、メディアやNGO、労働組合によって「待った」をかけられたのは当然のこと だ。

南アフリカでは既に、ウォルマートによるマスマートの買収が果たして国益にかなうかどうかを控訴裁判所が裁定しようとしていることに触れ、我々は、ウォル マートの参入がインドの労働者、製造業、農家、中小企業の大規模な混乱を意味するかもしれないと主張した。 UNI代表団は、FDIにより大規模な雇用成長が予測されているが、他の国の経験ではそうならなかった点も指摘した。小売業全体としての雇用成長率は、 ウォルマートが存在しない方が高かったことが明らかになっている。

ウォルマートは世界最大の民間企業であり210万人以上を雇用する使用者だ。その経済力をバックに行く手を阻むものはない。

UNI代表団は、世界中で経験したウォルマートの事例に基づく詳細な報告書を提示した。

意外にもインド政府代表は、UNIの見解を聞きたがっていた。実際、彼らは国内での議論の過程で、UNI以外に労働者の権利の問題を提起したものはなく、 その貢献は「比類ない」とさえ言った。更に、南アフリカで既に提示された論点について学ぶことにも関心を示した。歴史的にインドと密接な関係があるから だ。

インド政府は11月に、53の大都市で外国企業がインド小売企業の51%を所有することを認めると発表した。しかし数日後、主に小規模小売店や小売業の利 害関係者によって主導された政治的大反対を受け、計画を保留とした。恐らく、都市の数をずっと制限して認めるつもりのようだが、その他の条件はまだ決まっ ていないようだ。

小売産業は今のところ「インフォーマル」で、労働者も組織されていないため、労働者の利益は概して無視されている。労働者をフォーマル経済に取り込むこと は何でも前進だという見方がある。しかし、ウォルマートは既に卸売店舗を通じてインドに進出しており、UNIの調査担当が集めたデータでは、その仕事には 最低限の賃金しか払われていないことがわかっている。多くの従業員は、インフォーマル部門のレベルより更に安い賃金しか得ていない。つまり、小売の雇用が フォーマル化したとしても、「良い仕事」やディーセントワークになる保障はないのだ。UNI代表団は政府に、伝統的に組織されている産業でなされている例 と同様に、小売産業でも賃金基準に関する三者交渉の場を検討するよう要請した。これによって、労働者も交渉テーブルに着くことが保障され、インドのサービ ス経済の発展において、別なかたちで前進する可能性が期待される。

UNI代表団の訪問は、広くメディアの関心を呼んだ。報道はUNIのウェブサイトにリンクされている。UNIは、次のステップとして、インド社会から関係諸団体を代表する150人ほどが一堂に会するフォローアップ会議を3月にデリーで計画している。


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