デジタル植民地化に対抗する解決策を議論

2017年10月9日、UNI本部において、昨年に続き「労働の未来」に関する組合幹部サミットが開催され、100人を超える加盟組織役員、専門家、研究者らが出席し、デジタル化の課題と解決策について議論した。

デジタル化の懸念―格差の拡大、デジタル植民地化

デジタル時代の格差の拡大を防ぐことは、今回のサミットにおいても繰り返し強調された点である。IEEEスタンダード・アソシエーション(IEEE-SA)のコンスタンチノス・カラチャリオス氏は、「デジタル化は1970年代に始まったが、国内においても国境を越えても、社会的公平性は改善されるどころか、格差は人類史上かつてないほどに高まっている」との分析を示した。富と力はごく一部の人に集中しており、統計を見れば、デジタル時代の始まりから、生産性向上と典型的な労働者の報酬と乖離が明らかだと述べた。

人権とテクノロジーを専門とするレナータ・アヴィラ・ピント弁護士は、「デジタル植民地主義」の高まりに警鐘を鳴らした。豊かな国の一握りのデジタル企業がそれ以外のデジタルの運命をコントロールすることである。「インターネットにつながれることによって民主主義につながると思っていたが、知らず知らずのうちにデジタル植民地に足を踏み入れていた。我々の情報が無意識に流通することで、これらの企業に力が蓄積されている。」

解決策は?

ルーヴェン・カトリック大学で労働法を専門とするヴァレリオ・デステファノ教授は、プラットホーム労働者が直面する問題の解決策を説明した。「誤解があるようだが、実は多くのプラットホーム労働者の生計はギグエコノミー(単発の仕事)にかかっている。単発の仕事では副収入どころか、必要最低限の収入にしかならない。これは仕事として規制されるべきである」と述べた。「結社の自由と団体交渉は人権であり、私の知る限り、自営業者も人間だ。つまり、だれもが組合に加入し、団体交渉に参加する資格がある。差別を受けないことも人権であり、それは全ての労働者について言える。しかし、労働者を評価するためにアルゴリズムや格付けを使う時、これらの格付けは偏見や先入観を反映する可能性がある。この点に注意する必要がある」と指摘した。格付けについて、デステファノ教授は、プラットホーム労働者の雇用条件に関して、彼らに、もっと力を与えるかもしれない改革を提案した。それは、たいてい何年もかけて構築される格付けを自らコントロールできるようにすることである。格付けは労働者をひとつのプラットホームに固定してしまうが、格付けは移動可能であるべきだ、と主張した。「プラットホーム経済において、格付けは労働者にとって最大の資本である。労働者が別のプラットホームに移動した場合、それまで蓄積した良い格付けを持ち運べるようにするべきだ。」

全米脚本家ギルド東地区のローエル・ピーターソン氏は、「デジタルプラットホームにおける根本的な課題は、分断された職場でいかに力を構築するか」だと語った。分断を克服するため、同ギルドは、組合員にとっての専門的かつ創造的なコミュニティであると位置づけた。ソーシャルメディア上でギルドへの関与を確立することと合わせ、オフライン会議も重要であると述べた。この手法により、全米脚本家ギルドはこの数年で25%を超える成長を遂げた。更に、全米脚本家ギルドの教訓から、短期契約が当たり前のこの業界以外も学ぶことができる。臨時労働により依存する業界においては、幅広い組織化キャンペーンを企画し、複数の使用者を同時に組織する必要がある。組織率が鍵となる。

UNI本部でプラットホーム、派遣、デジタル化、貿易等を担当するクリスティーナ・コルクロフ部長は、「将来、世界のGDPの15~20%がデータ関連によるものとなるだろう。使用者は労働者の詳細データをモニターし、追跡することができ、搾取につながる懸念がある。個人データを評価に用い、雇用や解雇に利用することもできる。デジタル化された職場において労働者及び組合の権利を守るため、データの扱いが新たな開拓すべき分野になる」と力説した。

レナータ・アヴィラ・ピント弁護士は、「組合は労働者を守るだけでなく、いかに労働者がデータを活用できるかを考えるべきだ。我々のデータが企業の利益のために使われるのではなく、我々のために使われるよう、我々は協力して抵抗と独創性の場をつくることができるだろう」と述べた。

国際電気通信連合(ITU)の「デジタルインクルージョン(デジタル技術が「空気」や「水」のように受け入れられ、経済社会全体を包摂し、暮らしの豊かさや、人と人とのつながりを実感できる社会)」プログラムを担当する上級役員、ロクサナ・ウィドマー氏は、技術が男女格差を縮める可能性について話し、「情報通信技術(ICT)は、人々の能力の格差を縮め、人々に力をつけさせる強力なツールになり得る。ひいては包摂社会の創造につながる」と述べた。

しかし、政策や解決策を実行に移すことは容易ではない。カーディフ大学のヘレン・ブラケリー教授は、「今我々が行なう選択次第で将来は変わってくる。将来の社会は、政治権力闘争によって左右されるだろう。組合は、組合員を擁護するため、これらの対話の最前線に立つべきだ」と述べた。

フィリップ・ジェニングスUNI書記長は、我々のデータ及びデジタル化のプロセスに、より主導権を取る重要性を訴え、サミットのまとめとして、「我々は、自分たちの組織のことだけ話しているわけではない。我々の生活、そしてコミュニティの将来がかかっているのだ」と強調した。


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