変化する世界の印刷・パッケージング部門

 

 

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UNI世界印刷・パッケージング部会が2016年6月27~28日、スペイン・バルセロナで開催され、21か国から31人が出席した。日本からは全印刷の梅原委員長が出席した。トミー・アンダーソン議長(スウェーデン)は開会挨拶の中で、今年3月に就任したばかりのハビエル・カルレス新担当局長を紹介した。彼はウルグアイの印刷部門出身で、UNI米州地域組織及びUNI本部でICTS部会を経験した後、今般UNI世界印刷・パッケージング部会担当局長に就任した。
委員会の中では、印刷・パッケージング部門の雇用傾向と大手企業に関する調査結果が報告された。消費者包装の世界的傾向として、デジタル印刷によるカスタマイズ印刷、フレキシブルパッケージング(ハイブリッド型)、グリーンパッケージング(環境への配慮、リサイクル資材)、梱包サイズの選択肢拡大(小型から大型へ)、梱包産業にも“モビリューション”(MOBIL-UTION:モバイル端末とクラウドサービスを融合した、いつでも・どこでも他者と差別化したサービスを提供)導入等がある。市場としては、従来の先進国市場よりも、中間層が激増している新興市場の成長幅が大きいと予測される。欧米が減退している一方で、アジアは成長している。新聞部門は広告収入源に苦しみ、オンライン化による発行部数の減退が欧米でみられる一方、インドでは発行部数は伸びている。また業界における最近のM&Aや、キンバリークラーク、テトラパック、スマーフィットカッパ、ナンパック、イーランダーズ等、大手企業別の事業動向が紹介された。

前局長のアンディ・スノッディUNI SCORE(連帯・キャンペーン・組織化・調査・教育)局長は、「印刷・パッケージング部会を離れたが、今はUNI SCOREでUNI全体の組織化を指揮する立場となった」と挨拶し、今後も同部会の組織化、キャンペーン、組合教育等を支援していくと誓った。本年3月のUNI欧州地域大会では、中東欧の組織率低下を食い止めるため、COZZ(中東欧組織化センター)設立を決議した。西欧の製造業は東欧に移転する傾向があり、UNIの殆どの部会はM&A及び中東欧へのアウトソースによる影響を受けている。これまで、UNI本部SCORE、各部会、各地域でばらばらに取組んでいたため成果は思わしくなかった。ポーランドにはパッケージング部門の多国籍企業が所有する60もの工場がある。例えば、スマーフィットカッパ欧州の他国では組織率が高いが、COZZで2人のオルグを雇用し、ポーランドの5工場で組合を結成、団体交渉を始める。現場にオルグが通い、毎月フォロー会議でUNIに進捗を報告する。現実的な目標設定、毎日着実にキャンペーンを運営できる優秀なオルグの育成、定期的報告とフォローアップが不可欠である。まずは、ラファルCOZZ部長の指揮下で2人のオルグがポーランドとスロバキアの印刷・パッケージング部会と金融部会を担当する。将来的にはUNIの全ての部会と、チェコ、ハンガリーに展開していく。

クリスティ・ホフマンUNI副書記長は冒頭、「印刷・パッケージング部会はUNIの重要な部会だ。ポーランドにおける成功例を基に、他の中東欧諸国での組織化に弾みをつけていきたい」と述べた。UNI全体の課題としては、ブレイキングスルー戦略に従って、多国籍企業を中心に150近い組織化キャンペーンを展開する他、気候変動、サプライチェーンにおけるディーセントワークの実現にも力を入れている。バングラデシュ安全協定の取組みのように、利益をあげている企業にはサプライチェーンの労働者の安全を確保する責任を取らせるよう、インダストリオールと連携している。ロジスティクス分野ではITFとも協力している。「世界では他国の経済や労働者に影響を及ぼす事態が起きている。英国のEU離脱による欧州分裂の危機、米大統領候補者の人種差別発言、労働者無視の態度、報道の偏り等は民主主義への脅威である。緊縮政策をとっても好転しないことは明らかで、労働組合の参画が不可欠だと訴えていかなければならない。」ホフマン副書記長は、米国と欧州それぞれにおける、富の配分の不平等性と組合組織率の相関図を示し、「組合の交渉力が低下すると格差が広がる。だからこそ組合の責任は大きく、組織率を高め、団体協約にカバーされる組合員を増やしていかなければならない」と訴えた。

委員会はこの他、各地域報告、部会財政報告、加盟状況等を確認した。また、アンダーソン議長は2017年3月に組合役員から退任すると発表したため、委員会は後任として、スペインのホアキナ・ロドリゲス委員を確認して閉会した。

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