第49回アジア開発銀行(ADB)年次総会

Bro. Tahara

UNI Apro金融部会は、第45回総会(2012年、フィリピン・マニラ)から初めて参加し、第46回(2013年、インド・デリー)、第47回(2014年、カザフスタン・アスタナ)、第48回(2015年、アゼルバイジャン、バクー)と継続的に取組んでいる。ADBのビジョンはアジア太平洋地域の貧困撲滅であり、労働組合がADB総会に参加する目的はADBの民主的な運営の実現に向けた要求を行うことである。ADBのような多国間開発銀行から融資を受けて途上国で実施されるインフラ整備のプロジェクトは当初、労働者や地域住民の要求を無視して行われ、それに対する抗議から始まった。主な要求内容はADBが投資を行う際、人権・労働権、環境に配慮し、社会的セーフガードを守った投資を行うこと、その実効性を担保するために労働組合と継続的に話し合うことである。

第49回アジア開発銀行(ADB)年次総会は2016年5月2~5日、ドイツ・フランクフルトで開催され、40か国の政府代表(財務大臣、開発大臣、中央銀行総裁)、民間部門、労働組合・NGO等の市民社会組織(CSO)等3000人が出席した。クリーンエネルギー、気候変動、都市開発、公正なサプライチェーンの実現等、アジアにおける持続可能な開発とそのためのアジアと欧州の協力に焦点を当てて議論が行われた。

UNI及びPSI(国際公務労連)のアジア太平洋組織は今年も代表団を派遣し、UNI Aproからプリヤラル金融部会担当部長、ラジェンドラ地域書記次長、UNI-LCJからは以下6人が出席した。

田原將一UNI Apro金融部会議長(損害保険労働組合連合会中央執行委員長)

斉藤隆之全信連副議長(三井住友信託銀行従業員組合中央執行委員長)

向浦章裕全信連書記長(三井住友信託銀行従業員組合中央執行副委員長)

渡邊和孝全信連中央委員(三菱UFJ信託銀行従業員組合中央執行委員長)

中井雅彦全信連会計監査(三菱UFJ信託銀行従業員組合中央執行副委員長)

小川陽子UNI-LCJ事務局長

田原UNI Apro金融部会議長を団長とするUNI-LCJ代表団は、CSO企画プログラムを中心に、ADBセミナー、ホスト国セミナー、スポンサー企業セミナー等に積極的に出席した。

中尾ADB総裁との対話で、UNI Aproを代表して田原金融部会議長は、「税収と公共支出、貯蓄、投資のミスマッチの結果として起こる持続不可能な債務と大幅な財政赤字は、アジア太平洋地域の多くの国々で持続可能な開発を実現する上で、深刻な障害となっている。こうした問題を解決するためにADBはどのような政策指導をしているか」と質問した。ラクシュミPSIアジア太平洋地域書記長も中核的労働基準(CLS)及び官民協調融資(PPP)について質問した。ADBは2001年に初めて国際的労働基準の遵守を公約した多国間開発銀行として評価されているものの、15年を経過した今もその公約がきちんと守られているとは言えず、出席したNGOは途上国におけるADB出資の開発プロジェクトで人権、労働権が侵害され、環境に配慮されていない事例を挙げ、透明性と地域住民への十分な説明や意見反映を訴えた。

中尾ADB総裁は、「2010年頃アフリカの多くの国々で債務削減が実施されたが、幸いアジアではアフガニスタンを除き、融資を受けた国からきちんと返済は行われている。インフラを構築し、経済を成長させることができれば、ADBへの返済も可能になる。公共部門は重要だが、民間の効率性と資金を、適切に透明性をもって活用することも資金調達のひとつの方法として有効であると考えている。プロジェクトの恩恵を受ける現場の意見を汲み上げる上で労働組合やNGOの関与を歓迎し、今後も良い対話を続けていきたい」と答えた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAwith Mr. Nakao

 


コメントを残す