第13回UNI Apro東アジア郵便労組フォーラム

group第13回UNI Apro東アジア郵便労組フォーラムは、2015年10月27日、京都で開催された。東アジア地域にける郵便労組の友好・信頼関係の醸成と、事業を取り巻く情勢の共有のため、日本・韓国・台湾の郵便労組から70人が出席した。KPWU(韓国)からはキム委員長以下9人、CPWU(台湾)からは鄭委員長以下7人。今回は日本開催でJP労組がホスト組合であることから、各地本の国際担当者やユースネットワークも含めた約40人が参加した。テーマは、「非正規職員の労働条件改善」、「アジア太平洋の郵便事業と東アジア3 カ国の郵便労組の戦略構想」であった。

小俣委員長は開会式で、「かんぽ生命保険は、2016年にも米IBMの学習するコンピューター「ワトソン」を保険金の支払業務に導入する。人口知能の発達は労働の概念を大きく転換させることに繋がるとことを意味する。労働組合は、このことを可能性と受け止めるべきなのか、それとも憂慮すべき事態として受け止めるべきなのか。労働運動は、人を見つめ、働くことを見つめ、そして社会全体を見つめながら組み立てることが重要で、どのような技術の進歩や環境の変化があろうとも、働くことの価値、生きていくことの尊厳を高め貫くことが基本だ」と挨拶した。

IPOJP労組の今後

柴企画局長からは「IPOとJP労組の今後」として、海外からの注目度の高い株式公開による売却利益のその使途や日本郵政によるトールの買収理由が報告された。一方、JP労組もこのトールの買収を通じて、これまでの労働組合の枠組みに収まらない国際連携の強化を進め、トールの親会社「日本郵便」に対するJP労組の労使交渉等を通じて、日本的労使関係の浸透による組織化促進や、グローバル化時代として、海外の買収先の企業やその子会社の労働者の労働条件の向上を常に意識していると報告した。

日本郵便の海外戦略

日本郵便の目時執行役員から、世界最大のeコマース市場となるアジア市場の獲得のためのeBayや楽天との連携、海外通販セミナーの実施、新たな需要の掘り起こしとして国際郵便商品のラインナップ拡充(UGX、クールEMS、トール社買収)戦略等のプレゼンがあった。

非正規を巡る各労組の取組と進展状況

キムKPWU副委員長から、労働条件改善についての考察として、韓国郵政における非正規雇用の導入背景、その運用実態と問題点、非正規雇用の保護システム、KPWUの非正規職員の労働条件改善努力等について報告があった。その中では、長期間勤続手当・給食費・家族手当の支給や内務職員の制服の支給対象の拡大等の成果が明らかにされた。今後のKPWUの方向性として、身分の保証と雇用の安定、正規職員、祭日賞与などの各種手当の格差解消へ取組みが報告された。

台湾では、2003年の公社化に際して企業の競争力の強化と人件費の削減のために「雙軌制人事制(二重の人事制度)」を導入した。中華郵政には国家公務員身分の職員と公務員身分ではない職員が併存している。特に給与について非公務員給与は公務員の約75~80%に抑えられており、職員間の軋轢があることからCPWUとしても非公務員身分の職員待遇改善のために、特別休暇の手当支給、人事評価による賞与の支給、昇格なしとして給与の最高額に達している職員への賞与支給等を中華郵政から獲得したことが報告された。

JP労組が進めている非正規社員への取組みについて福島中央執行委員から、地域最低賃金を上回る郵政最低賃金や日本郵政グループ各社の期間雇用社員から正規社員登用のスキームや実際の登用者数や登用予定者数が示された。また、時給制期間雇用社員の休暇制度(特別休暇・女性社員の分娩・育児休暇・介護休暇等)について報告した。

UNI Apro郵便・ロジスティクス部会と共に15

来年に退職を控えている伊藤UNI Apro郵便・ロジスティクス部会担当部長から、自らのたどった過去15年に及ぶ国際労働運動、特に民主化直後のインドネシアポストの労働者の組織化、フィリピン等における複数ある郵便労組統一への思いが語られた。まだまだアジアの郵便労働者や郵便労組は支援を必要としており、今後もUNI Aproと連携して支援をしてほしいと要請があった。また、後継者への課題として、オーストラリアの郵便労組や中国郵電工会との関係を再構築してほしいとの期待が託された。

パネルディスカッション

小俣委員長、キム委員長、鄭理事長の3人に、伊藤UNI Apro郵便・ロジスティクス部会担当部長がモデレータとして加わった。各国の供する課題として、郵便事業は確かに大きく郵便物数を減らしており、事業は小包の増加によって救われているが、小包部門の競争も激化している。しかし、3カ国は、郵便、貯金、保険の三事業を持っており、事業の多角化をすでに実現している。この点は、他の地域にはない独自性であり、三事業一体ということは東アジア郵便事業の守るべき価値である。また、日本郵便のオーストラリア・トール買収に見られるように、今後海外戦略にどう対処していくかという問題がある。UNIのネットワークを活かし、当該企業の良し悪しを調査し失敗に至らないように判断することも可能であるという点で各労組の今後の方向性の一致をみた。


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