UNI世界MEI(メディア・エンターテインメント)部会大会

equalityUNI世界MEI(メディア・エンターテインメント)部会大会は、10月25~28日、ポルトガルのリスボンで、さまざまな会合を含んで開催された。世界各国から、80人以上の代議員とオブザーバーが集まり、現在のメディアが置かれている世界的な現状の課題と共有について熱い議論を交わした。

今回の大会は、「デジタル/公正/交渉」というタイトルが掲げられた。これは、一昨年に開かれた、デジタル時代のメディアでの労働条件をめぐって議論したブエノスアイレスでの世界執行委員会、さらには昨年の、丸一日を「世界公共放送サービス会議」と題し、経済的、政治的な側面から放送の公共性を守り、質を維持する制度を検討したウィーンでの世界執行委員会での議論を踏まえたものである。

会議では初日の女性委員会と世界執行委員会に続き、2日目は「テレビ・映画制作」と「ライブパフォーマンス」に分かれてグループ討議がおこなわれた。ギリシャで放送局が封鎖されるなど、制度的に具体的な課題を抱えるテレビ・映画部門と、フリーランス性が高いとみなされ団体交渉の仕組みもまだままならない俳優やスタッフなどの部門でそれぞれ討議をおこない、翌日からの執行委員会の事前討議とした。

3日目と4日目が世界大会に充てられた。世界大会では、

①私たちの、「将来の労働世界」を組織するために、②公正なデジタル市場のためのよりよいルール、③包括的な産業のためのさらなる平等、④世界経済のなかでの強固な公共的価値、⑤境界を越えていく表現の自由、⑥結社の自由に向けた私たちの闘い、の6つのテーマについて議論がおこなわれた。

UNI全体の方針と同様、組織化は大きなテーマとして議論の俎上にのぼった。とりわけ、デジタル時代で競争が激化し、取材者やスタッフの労働価値が低減されていくなかで、どのように組合員を組織化し、団体交渉権を確立していくか、ということが切実なテーマとして議論された。なかでも、アフリカや東ヨーロッパ諸国など、公共性に基づく放送局をこれから作っていこう、という志に燃えた労働組合が、しかしながら、使用者や国との関係のなかで活動が阻害され、影響を及ぼされようとしている実情が報告され、参加他労組からも強い支持の意見が寄せられた。

デジタル時代の課題については、さらに深く議論が進められた。世界各国では、デジタル化の進展によってメディアに対する資本の支配力が増し、品質の維持や公正性、表現の自由といったメディアにとって根本的な価値観が失われつつある、といった議論がなされ、これに対抗するための団結のあり方を今後も考えていくべき、という趣旨が展開された。

また、支配力が増しているのは資本のみならず、政治も同様である。この観点からも多くの発言があった。どの国でも、政治のなかでナショナリズムに基づく過激な意見が増え、有権者もそれを支持するようになり、対立が強く煽られるなかで、政治的な言説が力を増し、それをメディアが伝えるように求められるケースが増えている、といった発言が相次いだ。特に、1月にはパリで雑誌社の編集部がテロリストに襲撃され、また、来年の免許更新を控え、イギリスのBBCでは効率化に対抗すべく、労働組合が中心となって視聴者へ呼びかけるキャンペーンがおこなわれており、切実感をもった報告が各国からおこなわれた。

メディアに必要とされる、「世界経済のなかでの強固な公共的価値」については、アカデミズムの観点からの検討、さらにヨーロッパ放送連盟(EBU)との連携によるこれまでの活動報告が行われ、とりわけメディアでは労使関係においても、公共的価値を基本とした対話がおこなわれることが重要だ、という指摘があった。これを踏まえ日放労からは、経営との労働協約のなかにその目的として「放送の文化的使命の達成」という文言が入っていることを報告した上で、今年夏の安保法制をめぐる議論等で、世論の中に、対立ばかりが存在し、どこかで共通理解にいたるための、共同体としての基本的な要素である「公共性」が欠けていたのではないか、これは世界的な傾向ともいえるので、放送がむしろいかに「公共性」を積極的に再構築できるよう働きかける役割を労使で確認する必要があるのではないか、と提起した。

最後はランチタイムの時間もコーヒーブレイクの時間も半減させ、その時間中も参加者間の議論が止まらない、熱のこもった世界大会となった。会議の最後にアクションプランを採択し、次回2020年の世界大会をアジア・太平洋地域で開催することを決定し、閉幕した。


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