
UNIは、2026年10月4日にフランスのリヨンで自殺により亡くなった若い女性のご遺族と友人、元同僚の皆さまに、心より哀悼の意を表する。
彼女は、テルスの子会社の従業員としてバルセロナで働き、Metaのために暴力的なコンテンツを審査するコンテンツモデレーターを務めていた。ご家族は、彼女の死がこの仕事によるトラウマと関係していると考え、法的措置を準備している。
彼女の死は、単に一企業の対応の失敗を示すものではない。対処が必要な、コンテンツモデレーション業界全体の構造的な問題を浮き彫りにしている。コンテンツモデレーターが自ら命を絶ったのは今回が初めてではなく、我々が行動を起こさない限り、今後も同様の悲劇が繰り返されるだろう。
バルセロナでは、元モデレーター700人以上が精神的な損害をめぐって訴訟を起こしている。また、心理社会的リスクを防止するための計画がなかったとする刑事告訴について、裁判所が捜査を進めている。2025年にMetaとテルスの契約が終了した際には、約2,000人の労働者が職を失った。
こうした状況は、世界のどこでこの仕事が行われていても繰り返されている。
マニラでは、モデレーターのジョーが自殺や自傷行為に関するコンテンツを審査する日々を送っている。担当業務の交代もなく、実質的なメンタルヘルス支援もない中、彼は「自殺というものが、脳にとって当たり前のことになってしまった」と語った。
ナイロビでは、ソニアがFacebookの業務を請け負う委託会社で、児童虐待や生々しい暴力の映像を1日10時間にわたって審査していた。目にした内容がどれほど過酷であっても、業務を続けることが求められ、その結果、不眠、不安、片頭痛に苦しむようになった。
トルコでは、あるモデレーターが「私たちは人間らしさを失っていく。感情を失っていくのだ」と語った。
プラットフォームも、業務委託会社も、国も異なるが、ビジネスモデルは同じだ。テック企業は、最も有害な業務を外部委託する一方で、その業務を規定する処理件数のノルマ、ツール、方針を決定している。そして労働者に被害を引き受けさせ、短期契約で雇用し、契約終了とともに支援も打ち切ることが少なくない。
こうした被害は予測可能であり、防ぐこともできる。警察官、救急対応に従事する人々、ジャーナリストは、トラウマを引き起こす情報や映像に接する仕事をしているが、確立された労働安全衛生上の手順や保護措置の下で働いている。毎日、何十億人ものインターネット利用者を有害なコンテンツから守っているコンテンツモデレーターにも、同等の保護が保障されるべきだ。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「これは、たった一つの劣悪な雇用主の問題ではない。モデレーターのメンタルヘルスを、誰かほかの人が対処すべき問題として扱う業界全体の問題だ。プラットフォームがルールを定め、委託会社がそれを実行し、労働者がその代償を払い、時には命を落とすことさえある。業界全体に共通するプロトコルを導入すれば、この状況を終わらせることができる」と述べた。
コンテンツ・モデレーター労組アライアンスの「メンタルヘルス・プロトコル」は、安全なコンテンツモデレーションのための最低基準を定めるものだ。その内容は、
- 有害なコンテンツへの曝露時間の制限
- 現実的な処理件数のノルマ
- トラウマに関する研修
- 24時間365日利用でき、雇用契約終了後も継続するカウンセリング
- 生活できる賃金を伴う安定した雇用
- 労使合同の安全衛生委員会
- 移住労働者の保護
- 労働組合を結成し、加入する権利
UNIは、Meta、TikTok、Alphabet、OpenAIをはじめとする、コンテンツモデレーションのサプライチェーンに関わるすべてのプラットフォーム企業および業務委託会社に対し、以下を求める。
- サプライチェーン全体で8つのプロトコルを採用し、確実に実施すること
- バルセロナの拠点で働いていた人々を含め、現在および過去のモデレーターに心理的ケアを提供すること
- 労働者に対し、業務に起因する被害についての請求権を放棄させる和解条件を用いることをやめること
また、各国政府および公的機関に対し、以下を求める。
- 有害なコンテンツへの曝露による心理的な傷害を、職業上の危険として認めること
- テクノロジー企業との調達契約において、これらの保護措置を契約条件とすること
有害なコンテンツへの曝露は、モデレーション業務の一部かもしれない。だが、トラウマに苦しむこと、声を上げられないこと、そして命を失うことまで、避けられないものではない。
(2026年10月16日)