ハンガリーの訪問介護労働者と使用者が共同声明 

2026年5月、ブダペストで開催された社会対話フォーラムには、訪問介護の分野から約40~50名の参加者が一堂に会した。そして労働者、使用者、研究者、サービス利用者は、ディーセントワークと質の高いケアの実現を約束する共同声明に署名した。

2026年5月6日に開催されたこの公開フォーラムでは、利害の大きく異なるグループ間での合意という、予想を超える成果が生まれた。参加者は、労働力の流出、経験豊富な介護労働者を維持することの難しさ、そして訪問介護業務の価値と労働条件との間に存在する根深い格差について率直に語りあった。

イベントの閉会時に署名された『訪問介護に関する声明』は、署名者が以下3つの原則を確認するものである。すなわち、ディーセントワークと質の高いケアは切り離せないものであるということ。労働者、使用者、研究者、サービス利用者のすべてが、この部門の将来に関する意思決定に参加する場を持つこと。そして社会対話には効果があるということである。

ハンガリーの社会福祉労組(SZÁD)のフェレンツ・ケーヴェシュ委員長は、イベント終了後に「このフォーラムは、この部門においてディーセントワークと質の高いケアを実現するためには、対話、連帯、そして集団行動が必要であるという我々の確信を強めるものとなった。今後も我々は取組みを進めていく」と述べた。

このフォーラムは、2026年5月5日にSZÁDがUNI欧州の支援を受けて開催した労働者研修から始まる1日半のプログラムの集大成であった。

高齢者や障がい者を自宅で支援するハンガリーの訪問介護労働者は、多くの場合、利用者間を数時間かけて移動しているが、移動時間は無給だ。そしてその賃金は業務に必要なスキルを反映したものではない。彼らの大半は、組織的な発言力を欠いている。研修では、組織化、ディーセントワークの必要性、権利擁護やコミュニケーションスキル、そして産別交渉への道筋などが取り上げられた。

またイベント中に提示された調査データは、労働者の負担が増大している実態を示していた。労働者の4人に1人近くが週40時間以上働いていると報告し、半数以上が6時間ごとの休憩を取ることができないと答え、60%が仕事に関連する腰痛や腱炎などの筋骨格系の不調を訴えた。同時に、57%がストレスに関連するメンタルヘルスの問題を抱えていると報告した。

 ソーシャルワーカーのモニカは、「組合活動への新たなエネルギーを得た。今後は地元の支部を強化し、組織化を全国に広めていきたい」と述べ、この研修の影響は単なるスキル向上にとどまらなかった。 訪問介護に携わるジュディットは、「組合の真の意義について、本当に目を開かされた」と率直に語り、別の参加者であるズズサナは、「この2日間で、組合活動に向けた新たな力を得ることができた」とコメントした。

フォーラムで議論された課題は、まもなく発表される「PHS雇用モニター」の調査結果にも反映されていた。この調査は欧州全域で8,000件以上の回答を集めており、そのうち400件以上がハンガリーからのものだ。調査によると、ハンガリーの訪問介護労働者の55.7%が過去3年間にこの業界を離れることを検討したことが判明し、そのうちの82%が理由として低賃金を挙げた。雇用主側も同様に深刻な課題に直面していると報告しており、41%が採用活動を「非常に困難」と表現し、容易だと答えた者は一人もいなかった。

だがこのデータは、なぜブダペストのフォーラムで合意形成ができたのかという理由も明らかにしている。この部門で最も必要な変化は何かという質問に対し、ハンガリーの労働者の90%が賃上げを最優先事項として挙げた。

これはUNIにとって、欧州のケアエコノミー全体において労働者の力を強化し、社会対話を構築するための継続的な取組みの一環である。この産業は数百万人を雇用し、労働者の大半が女性であり、多くの国で依然として最も過小評価されている部門の一つである。研究では一貫して、労働条件と介護の質が関連付けられている。すなわち、安定した環境と十分な支援を受けた介護労働者が、質の高い介護を支えるということだ。

今後の取組みとしては、SZÁDの組合員拡大、使用者側の関与の強化、そして労働者とケアを受ける人々の双方に利益をもたらす団体交渉の基盤構築などが挙げられる。

本イニシアチブや近日公開予定の「PHS雇用モニター」について詳しく知りたい読者は、6月15日20:30(日本時間)に開催されるオンライン会議への参加を推奨する:Zoom会議への登録はこちら。

 本イベントは、SZÁDがUNI 欧州と連携して主催し、EUの「個人・家庭サービス社会パートナープログラム」の一環であるSCALE UPプロジェクト(助成契約番号101197690)の下、欧州委員会から共同資金提供を受けて実施された。ここに示された見解は必ずしも欧州委員会の見解を反映するものではない。