
2026年3月26日、世界各国の労働組合、責任ある使用者、およびドイツ政府の代表者がベルリンに集まり、「人権デューディリジェンス・コンピテンスセンター」の発足式を行った。この新しいセンターは、労働組合や企業と連携し、衣料品、テクノロジー、重要鉱物など多岐にわたる部門において、グローバルなバリューチェーンや企業の事業活動全体を通じて労働者の権利を保障することを目指す。
ドイツの『サプライチェーンにおける企業のデューディリジェンス義務に関する法律』や、EUの『企業の持続可能性デューディリジェンス指令(CSDDD)』といった規制により、世界中の何百万人もの労働者が自らの権利を守るための新たな手段を得ることができた。だが、適切に執行され説明責任が伴わなければ、これらの法律は労働者を保護することなく、単なる形式的な措置に終わってしまうリスクがある。
この新センターは、まさに必要とされていた空白を埋めるために発足した。
現在、ザンビア、ジンバブエ、南アフリカの鉱業部門、およびカンボジア、インドネシア、バングラデシュの衣料品部門において、労働組合と連携したパイロットプログラムが進行中だ。これらは、労働者が自社のバリューチェーンにおける人権デューディリジェンスのプロセスに実質的に関与するための戦略を検証・開発することを目的としている。
これらパイロットプログラムのビジョンは、単なる形式的な手続きに終始しがちな社会監査への過度な依存から、労働者を中核に据えた対話型プロセスへと企業を移行させることだ。センターは、リスクの特定、行動計画の策定、そして是正措置を明確化し確保するための対話において、労働組合がステイクホルダーとしての役割を果たせるよう、支援していく。
センター長をつとめるケリー・フェイ・ロドリゲスセンター氏は、「新たな人権デューディリジェンス法や貿易法は、グローバルなサプライチェーンにおけるビジネスのあり方を根本から変えつつある。責任あるビジネスを支える法的基盤は世界中でまだ構築中だが、実践は今すぐ変革を始めなければならない。労働者と労働組合は、企業の評価、人権リスクの軽減、是正措置の中心に位置づけられなければならない。このコンピテンス・センターは、労働者とその代表者を支え、世界経済を支えるバリューチェーンにおいて、これらの新しい法律が労働者にとって具体的な成果をもたらすようにする役割を果たしていく」と述べた。
3月26日に開催された公式発足イベントでは、変化し続ける法的環境、サプライチェーンのデューディリジェンスに労働者の権利を組み込むためのモデル、そして責任ある企業行動に対する労働者の視点に焦点が当てられた。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は、「長きにわたって人権デューディリジェンスとは、進歩ではなく、単なる書類作業であった。グローバル・サプライチェーンの労働者には、紙の上の法律以上のものが必要だ。労働者には、その法律を自分たちのために機能させるためのツールと支援が必要だ。このコンピテンスセンターは、労働組合にまさにそれを実現するための手段を提供する。つまり、形式的なコンプライアンスから真の説明責任へと移行し、労働者がプロセスの中心に位置づけられ、後付けの存在にならないようにする」と語り、その意義を強調した。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「デューディリジェンス法には、グローバルなサプライチェーン全体で労働者の権利を強化する真の可能性がある。コンピテンス・センターは、労働組合がその可能性を実践に移すのを支援し、コンプライアンスが労働者のためのより良い雇用とより強力な保護につながることを保証する」と語った。
同センターは、労働組合向けのバーチャル・ヘルプデスクを運営する。これは人権デューディリジェンス法に関する助言、ガイダンス、および関連機関への連携を支援する戦略的ハブとなる。ヘルプデスクは、規制の枠組みや説明責任の仕組みが、どのように労働組合の影響力を強化して権利侵害に立ち向かい、労働者に正当な救済をもたらすことができるかを特定する。また権利保有者が訴訟を起こす際に支援できる法律・アドボカシー団体との重要な橋渡しも行う。
ヤスミン・ファヒミDGB会長は、「デューディリジェンス法は、執行力があって初めて真の力を発揮する。真の説明責任が伴わなければ、単なる形式的な手続きに終わってしまうリスクがある。この新しいコンピテンスセンターは、リスクの特定と対処の方法について、労働者が交渉の席に着き、実質的な発言権を持つことを確実にする一助となる。適切に実施されれば、デューディリジェンスは労働者の権利を保護するだけでなく、グローバルなサプライチェーンのレジリエンス(回復力)も強化する。ドイツ労働組合連合(DGB)にとって、これは譲れない条件だ」とコメントした。
UNI、インダストリオール、DGBで構成される同センターの運営委員会は、以下の3つの主要な目標に焦点を当てる。
- 人権デューディリジェンスの義務を活用して労働者の権利を守るため、世界中の労働組合の能力を構築する。
- 特定の人権侵害に対処するため、人権デューディリジェンスの手段を用いた戦略的介入を支援する。
- 効果的な人権デューディリジェンス法とその実施を提唱する。
UNIとインダストリオールは、ドイツのパートナーであるフリードリヒ・エーベルト財団(FES)およびドイツ労働総同盟(DGB)と協力し、グローバルな労働運動のためのこの新たなリソースを構築した。同コンピテンス・センターの設立は、ドイツ連邦経済協力開発省(BMZ)の委託を受け、ドイツ国際協力公社(GIZ)が実施するグローバルプログラムによって資金提供されている。
人権デューディリジェンス・コンピテンスセンターは、オランダに登録された非営利財団。現在、欧州、米国、アジア、アフリカを拠点とする小規模なリモートチームを構築中である。