
2026年3月20日にUNIが発表した新たな報告書『金融化されたケアの代償:投資、所有権、説明責任』は、金融事業者が6カ国において医療介護制度を再構築しようとしているが、その方法は労働条件や医療提供を体系的に損なう恐れがあると、警告した。
UNIは、「適切な安全策がなければ、ケアの金融化は労働者の不安定さを増大させ、透明性を低下させ、公共政策の余地を狭め、最終的にはケアシステムそのものを損なうことになる」と警鐘を鳴らす。そして各国政府に対し、「投資が、そこから利益を得る者ではなく、ケアを提供しケアを受ける人々のために機能するようにすること」を求めている。
コロンビア、ブラジル、ドミニカ共和国、ケニア、ガーナ、フィリピンにおける医療部門の金融化を調査した同報告書は、プライベート・エクイティ投資、債務主導の統合、不透明な保険仲介業者が、公的資金による医療制度を再構築しつつ、賃金を押し下げていることを明らかにした。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ケアは決して、単なる投資家のための資産カテゴリーの一つとして扱われるべきではない。ケアへの投資は強く求められているが、利益追求型の金融戦略が社会にとって不可欠なサービスを再構築する時、その代償を払うのは労働者と患者だ」と指摘し、「ケア部門に対する民間投資には、労働者と患者を守るための安全策と透明性が不可欠だ。説明責任がなければ、金融化は社会が最も依存しているサービスそのものを損なうリスクがある。今こそ、政府が行動を起こすべき時だ」と呼びかけた。
UNIはケアの金融化が定着する前に、各国政府に対し5つの分野で行動を起こすよう求めている。
• 公的ケア制度の強化。これは搾取的な金融化に対する最も効果的な防護策である。
• すべてのケア提供者において、所有権の系列、債務水準、財務構造に関する完全な透明性を義務付けること。
• 最も悪影響の大きい金融慣行を対象とした、規制上の安全策を導入する。
• 政策立案に労働組合と労働者を関与させる。ケアを提供する当事者が、システムがどこで機能不全に陥っているかについて、かけがえのない知識を持っている。
• ケア部門のすべての規制および投資評価にジェンダー分析を組み込む。
さらにUNIは労働組合に対し、合併、新規株式公開(IPO)、所有権の変更といった影響力を行使できる機会を契機とし、投資家の種類に応じた差別化された戦略を策定するよう促している。そして1999年以降、民間医療部門に90億米ドル以上を投資してきた世界銀行傘下の国際金融公社(IFC)を含む開発金融機関に対し、プロジェクト承認前およびプロジェクトの全ライフサイクルを通じて、拘束力のある労働者保護措置を徹底するよう求めている。
各国の事例:公的資金、私的利益
本報告書は、現代の医療政策の根本的な前提、すなわち「公的資金が公的説明責任を保証する」という考えに異議を唱えている。調査対象国において、この前提は成立しておらず、政府はこのへだたりを埋めることに失敗しているのだ。
コロンビアでは、医療費の70%以上を国が負担しているが、その資金の大部分は、患者に対するケアではなく利益追求を主目的とする民間仲介業者(その多くは外資系)に流れている。改革の試みは、政治的に根強い企業利益、とりわけ多国籍企業ケラルティ・グループによって阻まれ、政治危機を引き起こした。
ケニアでは、画期的な公的医療保険改革として提示されたものが、後に同国の監査総監によって、民間コンソーシアムに委託された営利目的の契約であることが明らかになった。この8億米ドル規模のプログラムにおいて、同コンソーシアムは請求1件あたり約5%の管理手数料を徴収していた。
ドミニカ共和国では、3社の民間医療リスク管理会社が保険市場の75%近くを支配しており、最大33%の利益率を記録している。
リスクのシグナルとしての負債
報告書は、過度なレバレッジが労働条件の悪化や患者の安全リスクを示す先行指標であると指摘し、ケア部門はすでに危険水域に深く入り込んでいると結論づけている。プライベート・エクイティによる買収企業は、2023年までの10年間で平均1.74倍のレバレッジ比率を示した。医療部門のレバレッジ比率は、すでに高い水準にあるその平均値を45%上回っており、これはICT部門に匹敵する水準である。
ブラジルでは、ハプヴィダ(Hapvida)、レデ・ドール(Rede D’Or)、ダサ(DASA)を含む国内5大医療コングロマリットによる負債を伴う事業拡大が、2015年から2021年の経済危機において、医療従事者の実質賃金を大幅に押し下げる一因となった。多くの労働者は、最低限の収入を維持するために、複数の仕事を掛け持ちし、週60~80時間働くことを余儀なくされた。
この部門に流入する資本の規模を鑑みれば、政府による対策は急務である。世界の急性期病院医療市場は2022年に3.2兆米ドルと評価され、2030年までに4.9兆米ドルに達すると予測されている。医療部門への世界のプライベート・エクイティ投資だけでも、2022年には約4,460億米ドルに達した。報告書は、適切な規制がなければ、この資本は患者や彼らをケアする労働者よりも、財務的リターンを優先する形で流入し続けると警告している。