
国際ケア・サポート・デーに合わせ、UNIの新たな報告書がケア部門における暴力とハラスメントに関する世界的な危機-ケア労働者の10人中8人以上が職場でひどい扱いを受けたり目撃したことがあるという事実を明らかにした。
報告書『ケアする者を守る:ケア労働者への暴力・嫌がらせ防止に向けた組合の取組み』は、80カ国15,000人以上のケア労働者を対象とした2025年の世界調査に基づき、政府や使用者の対応が遅れる中、組合がどのように変革を推進しているかを記録している。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は、今年の国際ケア・サポート・デーに向けた行動要請として調査結果を次のように述べた:「仕事をしているだけで虐待や脅迫、嫌がらせを受けるべき人は誰もいない——特に他者をケアする人々がそのような仕打ちを受けてはならない。ケア労働者は恐れを抱くことなくケアできる環境が必要だ。つまり政府は法律を執行し、雇用主は安全を確保し、組合は責任追及の場に参加しなければならない」
報告書によれば、ケア労働者の86%が職場で暴力・嫌がらせ・差別を経験または目撃している。約3分の1が少なくとも月1回の発生を報告し、6人に1人は週1回の暴力被害に遭っている。被害者の3分の2は女性である。
労働者は、利用者やその親族、さらには管理者から侮辱、脅迫、身体的接触、暴行を受けた経験を語る。「暴力は権利侵害ではなく、仕事の一部として扱われてきた」と報告書は指摘する。
慢性的な人員不足と資金不足の介護医療制度が暴力の主要な要因と特定されている。人員不足の施設で働く労働者は、虐待に直面する可能性が2倍以上高い。「システムが機能不全に陥ると、職員がその失敗の象徴となり、不満の矛先となる」と報告書は警告する。
主な調査結果
• 広範な虐待:ケア労働者の86%が職場で暴力・差別・嫌がらせを経験または目撃したと報告している。
• 危険な職場環境:4人に1人以上(27%)が職場で「安全でない」「非常に安全でない」と感じている。
• 頻発する事案:3人に1人近く(30%)が月に1回以上暴力や嫌がらせに直面——看護師では37%に上昇する。
• 慢性的な東:17%が週1回の暴力被害を経験、4%は毎日の被害を報告している。
• 支援の欠如:調査対象8,000人超の労働者の69%が、暴力や差別被害後に使用者から十分な支援を受けられなかったと回答している。
• ジェンダーによる影響:被害者の3分の2が女性であり、ケア部門における構造的なジェンダー不平等を反映している。
こうした厳しい統計にもかかわらず、報告書は職場の安全向上に貢献する組合主導の取り組みの示唆に富む事例を紹介している:
• ガーナでは、保健サービス労組(HSWU)が、ジェンダーに基づく暴力防止を団体協約に組み込み、秘密報告の義務化、被害者支援、加害者への制裁を定めた条項を設けている。
• カナダでは、Uniforが労働者主導の研修と雇用主が出資する教育センターを構築。医療分野の暴力・ハラスメント対策専門コースを開講し、暴力発生リスクのある状況での単独勤務を禁止する団体協約を交渉成立させた。
• アルゼンチンでは、FATSAが暴力・ハラスメントに関するILO条約第190号を根拠に保護措置の交渉とジェンダー平等推進を行い、レイ・ミカエラ研修法を全国モデルとして活用している。
• 日本では、UAゼンセン傘下の日本介護クラフトユニオン(NCCU)がカスハラ対策法(2025年施行)の制定を推進し、事業主に対し利用者・家族によるハラスメントの防止・調査義務を課した。
• チリでは、労働組合が主導して画期的なレイ・カリン法を成立させ、性的ハラスメントと労働ハラスメントを定義・禁止するとともに、全ての職場での予防プロトコルを義務付けた。
• ペルーとアイルランドでは、労働組合が団体交渉や国の保健政策に保護措置を組み込んだ。一方、ベルギーの労働組合イニシアチブICOBAは、ケア施設に無料の加害防止ツールと研修を提供している。
本報告書は、ケア労働における暴力とハラスメントが避けられないものではないと強調する。各地域で労働組合は認識を再構築している:安全は特権ではなく権利である。データ収集、より強力な協定の交渉、法改正の推進を通じて、組合は長年隠されてきた実態を可視化している。
アラン・サブレUNIケア部会担当局長は、「ケア労働が過小評価され、低賃金で保護が不十分な場所では、暴力とハラスメントが蔓延してしまう」と指摘し、「こうした状況を終わらせる先頭に立っているのは労働組合だ。ケア労働者のためだけでなく、ケアそのものの未来のために」
UNIは各国政府に対し、以下の措置を要請している:
• 暴力とハラスメントに関するILO条約第190号及び付随する勧告第206号の批准と実施。
• 予防システム、人員配置、執行メカニズムへの資金提供。
• 労働組合と連携し、リスク評価、研修、被害者中心の報告システムを構築すること。
UNIは使用者に対し、明確なゼロトレランス方針、研修、秘密保持された報告経路を整備し、予防を職場の核心的義務とするよう要請する。そして国際ケア・サポート・デ―にあたり、UNIとUNI加盟組織は、ケア労働者が虐待ではなく尊厳、安全、尊重に値することを改めて表明する。