ILOの新しい報告書『仕事の世界における暴力とハラスメント:暴力およびハラスメントに関する第190号条約および第206号勧告の採択(2019年)以降の労働組合の取組み、戦略、交渉』が、職場における暴力やハラスメントと闘うUNIや加盟組織の取組みにスポットライトを当てている。
報告書では、特にリモートの職場環境における第三者からの暴力、ジェンダーに基づく暴力、デジタル化の影響、家庭内暴力の増加への対処を含め、組合がパンデミック時にどのように戦略を適応させたかを詳しく紹介している。
また、ILO第190号条約の批准・実施などの機会均等局のキャンペーンとともに、UNIのグローバルなキャンペーン『商業部門における暴力とハラスメントを根絶しよう』を取り上げており、さらにUNIのグローバル協定や組合の取組み、キャンペーン、ベストプラクティスが与えた影響についても論じている。
UNIが、カルフール、クレディ・アグリコル、オレンジなどと締結した協約は、労働者が暴力やハラスメントのない職場で働く権利を持てるよう、グローバルユニオンが後押ししている事例として紹介されている。
さらにILOは、UNI欧州の『金融部門における多様性と包摂に関する共同声明』(2022年)を、LGBTI+労働者に対する差別禁止と包摂、そして暴力やハラスメントに対する脆弱性と彼らの直面する状況の両方に取組む画期的な方法として評価している。
報告書は、日本のUAゼンセン、オーストラリアの店舗流通関連労組(SDA)、スペインのCCOO、フィンランドのPAMなどといった加盟組織の活動も紹介している。
こうした活動をさらに推し進めていくために、ILOは労働組合に対し、あらゆる形態の暴力とハラスメントに関する研修・啓発を継続し、第190号条約および第206号勧告に沿って職場の交渉を行い、女性のリーダーシップ研修を促進するよう勧告している。